M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年11月19日更新業種別M&A
介護業界の動向とM&Aのメリット|流れや注意点と売却・買収事例を解説!【2024年最新】
介護業界では競争が激化しており、事業拡大や新規参入などの目的でM&Aを活用するケースが増えています。本記事では、介護業界の市場動向と動向、M&Aの相場や費用、M&Aのメリットなどを最新事例とともに紹介します。介護のM&Aを検討している方は必見です。
目次
介護業界とは
介護業界の定義
介護とは、高齢者や障がい者などを対象に日常生活を送るうえで必要なサポートを行うことを指します。この介護をさまざまな形でサービスとして提供しているのが介護業界です。
総務省が定める日本標準産業分類によると介護事業は
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・通所・短期入所介護事業
・訪問介護事業
・認知症老人グループホーム
・有料老人ホーム
・その他の老人福祉・介護事業
となっています。
介護業界のサービス分類
介護サービスの中でも代表的なサービスである有料老人ホームは主に民間企業によって運営されており、「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類があります。
介護業界は規制が多くあり、設備や居室面積、職員配置などが労働福祉法や介護保険法等で定められています。なかでも介護付有料老人ホームは、開設するために都道府県又は市町村による指定が必要になり、「特定施設入居者生活介護」に指定されています。
参考:老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)
総務省「 日本標準産業分類 大分類 P 医療,福祉」
介護業界の現況
市場の拡大
厚生労働省発表の「介護給付費等実態統計の概況」によると、2021(令和3)年における介護予防サービス及び介護サービスの年間実受給者数は約638万人であり、前年比で2.6%増加している状況です。
また、厚生労働省の「介護保険制度をめぐる最近の動向について」によると介護保険制度は制度創設以来21年を経過し、65歳以上被保険者数が約1.7倍に増加するなかで、サービス利用者数は約3.4倍に増加しています。
現在日本の総人口は減少に転じている中、高齢者(特に75歳以上の高齢者)の占める割合は増加していくことが想定されています。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる頃には、業界のニーズはかなり高まっていると考えられます。
参考:厚生労働省「令和3年度 介護給付費等実態統計の概況」
厚生労働省「介護保険制度をめぐる最近の動向について」
介護業界の人手不足
出典:厚生労働省「介護・福祉分野の有効求人倍率の推移」
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/21/backdata/02-01-05.html
業界ニーズの拡大の一方で、問題視されているのが、働き手の不足です。
厚生労働省のデータによると2025年度には年間5.3万人の介護職員が不足するとされています。
一般職業紹介状況(職業安定業務統計)によると2023(令和5)年3月時点で介護事業における有効求人倍率は3.07倍、職業全体が1.24倍でした。介護業界で見ると改善傾向ではありますが、依然として慢性的な人手不足といえます。
参考:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
今後の展望
社会保障給付費は増加の一途をたどり、社会保障を支える生産年齢人口が減っている状況です。2025年以降には生産年齢人口の減少がさらに増すと見られ、2040年ごろには高齢者のピークを迎えます。
国は社会保障制度の見直しを行っており、社会保障・働き方改革本部を設置し「多様な就労・社会参加」「健康寿命の延伸」「医療、福祉サービス改革」を課題として取り組んでいくとしています。具体的には、70歳までの雇用確保や、医療機関と保険者・民間事業者(スポーツクラブ等)等が連携し、 医学的管理と運動・栄養等のプログラムを一体的に提供する仕組みづくりなどを行っています。さらに、2040年に向けたロボット・AI等の現場活用に向けた実用化構想を検討しています。
人手不足に関しても①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護 職の魅力向上、⑤外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策を行っていくとしています。
参考: 厚生労働省「今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー」
厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」
介護業界のM&A動向
人材確保を目的としたM&A
先述の通り介護業界では人材不足が深刻な問題となっています。人材不足の要因として処遇や育成面、離職率の高さなどです。
このような背景により、人材確保のため同業者同士のM&Aが行われています。
譲受側としてはスキルやノウハウを持つ人材の獲得ができ、さらに人材育成を積極的に行うことで採用時のアピールにつながり、新たな人材の確保もしやすくなるメリットもあります。
譲渡側としてはグループ傘下に入ることでキャリアアップや施設の異動もできるようになります。
海外とのM&A
国内の市場は拡大していますが、人口減少など将来を見据え中国など海外への進出を考えている企業も少なくありません。
海外は日本ほど介護サービスが整っていないエリアも多く、そういった地域で事業の拡大や基盤を築いていく動きがあります。
異業種からの参入
介護業界のM&A数は増加傾向であり、近年は異業種からの新規参入がみられます。今後も介護ニーズが拡大することから異業種の参入も盛んになっていくと考えられます。
親和性の高い住宅の建設事業や警備会社、保険会社などシナジー効果を求めたものや医療機関は高齢者マーケット進出をしていき、顧客の囲い込みを図っています。また、有料老人ホームは自治体ごとに総量規制がり新規開設が難しく、M&Aの需要が高まっています。
事業承継のため
介護施設事業のM&Aは、介護保険法が施行された2000(平成12)年から20年が過ぎ、経営者の世代交代として事業承継目的でのM&Aが増えています。
少子化もあり後継者が足りておらず、親族や従業員への承継が難しい企業も少なくありません。そのためM&Aによる事業承継は増えています。
介護事業の事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
介護業界でM&Aを行うメリット
ここでは、介護業界でM&Aを実施する場合のメリットを見ていきましょう。譲渡側と譲受側では立場が異なるので、それぞれに分けて掲示します。
譲渡側のメリット
介護事業を譲渡する側のメリットは、主に以下です。
後継者不在問題の解決
後継者問題を解決できることはM&Aの大きなメリットです。中小企業の多くは後継者不足に悩んでいます。特に、介護業界は経営者の高齢化が進み後継者不在は経営に大きく影響する問題です。
M&Aによる事業承継を行うことで、廃業になる事態を避けることができます。
債務や個人保証からの解放
M&Aの手法の一つである株式譲渡で介護会社を売却すると、金融機関などへの債務を包括的に買い手企業へ引き継ぐことができます。経営者保証ガイドラインが定める条件を満たせば、経営者の負う個人保証も高い確率で解消することができます。倒産した際に個人が債務返済を負うリスクの心配をせず安心して暮らすことができます。
売却益の獲得
株式譲渡の場合は経営者が株式の譲渡利益を得ることがきます。また、事業譲の場合は会社が事業の譲渡利益を獲得することができます。
廃業をすると、廃業手続きの費用がかかりますが、M&Aによって売却することでそれらの費用がないだけではなく譲渡利益を獲得できます。おおよそ営業利益の数年分に値する利益を獲得することができるため、老後を悠々自適に生活できたり、新規事業や主力事業へ投資することができます。
安定した基盤での経営
介護業界では3年ごとの介護報酬の改定の影響を避けられません。多くの企業はこのタイミングで経営が悪化しやすい特徴があります。特に規模の小さい事業所の場合は廃業となるケースもあります。
M&Aにより大手企業に譲渡することで、報酬改定といった変動に耐えられる安定した経営が可能になります。また、サービスの利用者にとっても経営が安定することで安心してサービスを利用できます。
譲受側のメリット
介護事業を譲受する側のメリットは、主に以下があります。
介護業界の新規参入
譲受側のM&Aをメリットは、許認可や施設建設などの初期費用、介護業務に関するノウハウなど入手にかかる労力を大幅に削減できる点にあります。
新しく介護業界に参入する際、土地の入手、施設の建設など費用や労力が必要です。そのため、サービスを開始するまでに、資金と期間を確保する必要があります。
M&Aにより許認可や施設やノウハウを獲得することで費用や時間、労力を軽減させることが可能です。
事業の拡大
M&Aにより譲受側は未開拓のエリアを獲得できるメリットがあります。
新しいエリアの開拓は、多大な資金と労力を必要とします。また既存エリアであってもエリアシェアの拡大と会社全体の業績向上を見込むことができ、シナジー効果を発揮する期待もできます。
人材や利用者の獲得
介護業界では人材不足が深刻化しています。M&Aによって人材を獲得できるのは大きなメリットになります。
介護業界では多忙でありながら人材の育成には期間が必要です。M&Aを行うことで、求人をだしてもすぐに集まらないような経験を詰んだ人材を確保することができます。そのため、人材育成のための期間や費用を削減することができます。
加えて、施設利用者を引き継ぐことができます。そのため新規開拓の必要もなく、運営開始から一定の売り上げを確保することができます。
介護施設のM&A流れ
M&Aに関する相談・検討
M&Aを検討し始めたら、まずはM&Aの専門家へ相談をしましょう。M&Aをするべきかどうかから、M&Aに必要な目的や方向性といった戦略など、無料で丁寧に相談に乗ってくれます。M&A専門家と相談しながら現実的なM&A戦略を定めることが大切です。
M&Aの専門家との契約
専門家へ相談したのち、業務委託に関して納得したら専門家と契約を行います。この段階で秘密保持契約やアドバイザリー契約そして自社情報・資料の提出を行います。
M&A戦略の決定・売却候補への打診
M&Aアドバイザーに仲介の依頼すると決めたら、M&A戦略を決定させ売却先の選定を行います。売却先選定の際には、一般的に企業名を公表しないノンネームシートという情報を基に売却先候補との条件を照らし合わせ売却先を選定していきます。
トップ面談
交渉先を決め買い手の意思が固まったら、次にトップ面談が設けられます。この場では売り手・買い手の企業のトップが顔を合わせ、M&Aの経緯や会社のビジョン、今後の方針に関して話し合いを行います。
基本合意書の締結
面談を通し、M&Aを進めることを決めたら具体的な交渉に入ります。交渉が妥結したら基本合意書を締結します。
基本合意書では、売却の金額、守秘義務、独占交渉権、M&Aのスキーム、日程の目安、従業員や役員の待遇などが記載されます。一般的には、独占交渉権以外の項目に法的拘束力は掛けません。
デューデリジェンスの実施
デューデリジェンスとは売り手企業にリスクがないかを把握するために行われる調査のことです。具体的には、M&Aに精通した専門家や士業が売り手企業を訪問し、帳簿を閲覧や書面では把握できない会社状況をチェックを行います。
デューデリジェンスで発生する専門家への手数料は、一般的に買い手が負担します。
最終交渉・最終契約書の締結
基本合意書をもとにデューデリジェンスの結果から最終的な条件交渉が行われます。デューデリジェンスの結果によって、大幅な減額や破談になることもあります。その後、売却価格や条件に問題がない場合、最終契約書の締結となります。
クロージング
クロージングでは最終契約書の内容からヒトやモノ、カネを移動させます。クロージングが完了すると、手続き上のM&Aフローは完了です。
クロージングでは多くの混乱が生じることが予想されるため、クロージング計画書などを事前に作成しておきましょう。
介護業界のM&Aの注意点
許認可の届出
介護業界のM&Aでの注意点としては、事業譲渡の際は許認可や行政の届け出が必要になることです。M&A実施後から事業運営がスムーズにできるよう、早めに準備しておくことが望ましいでしょう。
介護報酬改正
介護報酬は3年ごとに改正があります。マイナス改定の際には介護業界の業績は大きく影響されます。M&Aを検討する企業はこの報酬改定のタイミングを見計らって行うことが多いです。
また、老人ホームなどはそれぞれ入居定員数があり売上げ上限が決まってしまいます。コスト削減や業務の効率化によって利益を確保するため介護業界では、これらを目的としてM&Aが活用されています。
補助金返済
介護業界のM&Aでは、譲渡側が受け取っている補助金の取り扱いに注意が必要となります。譲渡側は、介護施設の建設時や設備増設などの理由から行政の補助を受けていることがあります。
事業譲渡を用いた際、過去に受けた補助金の返済を行政から要求されることがあります。全額、一部の返済、一定要件を満たせば返済免除と行政によって対応はまちまちです。
事業譲渡を行う場合は、管轄行政へ補助金の取り扱いについて事前に確認しておく必要があります。
賃貸借契約
介護業界のM&Aで事業譲渡を用いる場合は施設の土地や建物は個別承継となります。売り手が使用していた土地・建物が賃貸借契約の場合、株式譲渡のように買い手側へ自動的に引き継がれることはありません。
土地や不動産の持ち主と譲受企業が新たに契約を結びなおすかたちとなります。しかしその際に互いの条件が折り合わず、合意に至れないことや賃料や敷金が増額されたりする可能性もあります。
従業員の継続雇用
賃貸借契約と同様に事業譲渡の場合、従業員との雇用契約も結びなおしが必要となります。従業員に不利益が生じないために、売り手と買い手は事前に調整を行っておきます。
M&Aでは従業員に少なからず不安を与えてしまいます。雇用の継続や処遇が守られることを説明することも譲受側にとって大切なことです。
介護業界のM&Aを成功するためのポイント
ここでは、売り手側の介護業界のM&Aを成功するためのポイントを説明します。
事業の現状を正確に把握
介護業界の会社売却を成功させるためには、事業の状態を正しく把握することが重要になります。「入居率、稼働率が低い原因は何か」「施設の評判を悪くする要因は人材の問題なのか、もしくは設備や仕組みの問題なのか」など、細かく分析して現状を把握することが大切です。
原因を突き止め、対策を講じておくことでより高額に売却をすることができる可能性が高まります。また、現状を把握していないためにM&Aを行ってもお互いの良さを引き出せないこともあります。
入居者の属性を考慮
稼働率が良くても収益性が悪い場合があります。そのため入居さの属性は大切になってきます。例えば入居者の大半が介護度の低い方たちである際、入居者の属性が収益性を下げます。
有料老人ホームの場合は、収益は家賃収入と介護保険収入の2つで構成されます。介護保険サービスを必要としない入居者が多い場合、収益性が悪くなります。短期的に収益を上げたいがために、確認せず断らずに受け入れてしまうと、その傾向は強まっていきます。
事前に施設入居者の属性を確認するようにしましょう。
不動産の状況把握
介護事業は人的資源の他に不動産事業という側面もあります。建物のメンテナンスや立地面、自己所有かそれともテナントかを確認されます。テナントの場合は、契約状態が不利益を被らないか、過剰投資ではないかを配慮し、可能な対策を講じておくことが大切です。
早期の段階で相談先を見つける
介護事業が黒字であっても、中長期的に人口の減少で先行きが不安な事業者も少なくありません。そういった場合に相談できる相手がいることは安心につながります。M&Aは多様な手続きが必要となり、業務をこなしながら自社だけで進めていくことは難しいものです。業務への影響を最小限にとどめつつ、早い段階で方向性を見定め、相談先をみつけることがポイントです。
介護事業の事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
介護事業のM&Aの価格相場
介護事業のM&Aを検討する際に気になる要素として、相場や費用が挙げられます。そこで本章では、介護施設のM&A相場と費用をまとめました。
介護施設事業のM&A相場
介護施設事業のM&A相場は、首都圏で3,000万円〜1億円程度です。もちろん全てのM&Aが該当するわけではなく、介護事業の利益額や施設の所在地などによりM&Aの最終的な価額は変動します。
しかし、立地や利益額などによって若干異なるものの、大まかなM&A相場の把握は可能です。介護施設の大まかなM&A相場は、土地や施設などの合計金額(時価純資産額)に年間営業利益の数年分を加えた金額が1つの目安になります。
- 介護施設のM&A相場=時価純資産額+営業利益の3年〜5年分
時価純資産額が2,000万円、年間営業利益が1,000万円で3年分を考慮するケースでは、介護施設のM&A相場は以下です。
- 2,000万円+1,000万円×3年分=5,000万円
上記の計算式を活用して、介護施設のM&Aを実施する際は事前に相場を想定しましょう。上記の計算式よりも正確な売買価額が知りたい場合は、介護事業のM&Aに詳しいM&A仲介会社などの専門家に計算を依頼すれば算出してもらえます。
介護施設事業のM&Aに要する費用
M&Aは専門的な知識や経験を要するため、M&A仲介会社などの専門家に業務を依頼するのが一般的です。その際に手数料を支払いますが、手数料は段階や内容に応じて以下の7種類があります。
- 相談料:正式依頼前の相談時にかかる費用。無料であることが多い。
- 着手金:仲介契約を締結した時点で発生する。無料となるケースが増えている。
- 月額報酬:仲介契約後、毎月発生する顧問料。発生しない会社の方が多い。
- 中間報酬:M&A相手と基本合意契約を締結した時点で発生する。無料の会社も多い。
- 成功報酬:M&Aの成約時点で発生する。レーマン方式の料率表を基に算定することが多い。
- 業務遂行時に生じた実費:出張費や弁護士相談費用といった、業務実行に付加して生じる費用。
- デューデリジェンス費:買収側が実施する売却側企業の精密調査に要する費用。買収側企業にのみ発生。
介護業界同士によるM&A事例
まずは、同業種・介護関連企業によるM&A・事業承継事例として取り上げます。
グラファー×KURASERU
2024年10月、グラファーはKURASERUの要介護認定照会システム事業を譲受しました。
グラファーは、生成AIを活用した企業変革と行政機関の業務に関するデジタル変革などを行っています。対象となったKURASERUは、介護関連のDX支援サービスを展開しています。
今回のM&Aにより、多様なサービスと要介護認定照会システムを組み合わせることで拡販の強化を目指します。
参考:グラファー、株式会社KURASERUが保有する要介護認定照会システムを事業譲受
元気な介護 ×サンライフ
2024年9月、元気な介護はサンライフの株式を全て取得しました。
元気な介護社は、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅の経営や訪問介護などの支援を行っています。コンセックの子会社であるサンライフも同様の事業を展開していましたが、介護サービス利用者や施設入居者が減少するなど、大変厳しい経営環境が続いていたため譲渡しました。
今回のM&Aにより、元気な介護はさらなる介護サービスの提供と地域包括ケアの実現に向けた取り組みを推進していきます。
参考:株式会社サンライフの子会社化に関するお知らせ
揚工舎×トータルケア陽だまり
2023年5月、揚工舎は有限会社トータルケア陽だまりの発行済全株式を取得し100%子会社化することを発表しました。
トータルケア陽だまりは神奈川南足柄市にて住宅型有料老人ホーム事業、及び 小田原市でサービス付き高齢者向け住宅等を営み質の高い介護サービスを提供しています。
買収した揚工舎は、有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護などの介護サービス事業、介護資格取得のため教育事業並びに介護人材の紹介や派遣事業の充実と拡大に取り組んでいます。
揚工舎は首都圏を中心に業容を拡大する戦略に合致する為、トータルケア陽だまりの全株式を譲り受け子会社化したとしています。
参考:有限会社トータルケア陽だまりの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
ソラスト×総合ケアネットワーク
2023年4月ソラストは、総合ケアネットワーク株式会社(以下「総合ケアネットワーク」)の株式を取 得(子会社化)することを発表しました。
ソラストは急速に高まる高齢化社会のニーズに応えるため、「自立支援と地域トータル ケア*」を理念に、住み慣れた地域での暮らしの中、複数のサービスを提供できるよう事業展開エ リアの拡大やエリア内での提供サービスの拡充を行っています。
総合ケアネットワークは福岡県で有料老人ホームや訪問介護等を9事業所で運営しています。
ソラストは福岡県内でのサービス拡充と「地域トータルケア」の実現に貢献すると判断し、株式を取得し子会社化することを決定いたし ました。
参考:総合ケアネットワーク株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
ユニマットリタイアメント・コミュニティ×アメニティーライフ
2020年12月、デイサービス、ショートステイ、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などを中心に、全国で309拠点、640事業所の運営を行っているユニマットリタイアメント・コミュニティは、アメニティーライフの株式を全株取得しました。
今回、買収したアメニティーライフは、東京都八王子市で近隣の協力医療機関と連携を図りながら、緑豊かな八王子郊外で高齢者が健康を維持し快適なシニアライフを実現する施設として「アメニティーライフ八王子」を運営しています。介護の質を高く保つため職場環境の整備や介護人材の育成にも尽力している会社です。
ユニマットリタイアメントは、東京都八王子市にある既存拠点との職場環境づくりや介護人材の育成におけるノウハウの共有を含めたシナジー効果が期待できるとして、今回の買収に踏み切りました。
参考:株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティ「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」
ケアサービス✕広域社会福祉会
2020年9月、ケアサービスは、広域社会福祉会が手掛ける訪問介護事業を取得すると発表しました。本件M&Aの取引金額は500万円です。買収側のケアサービスは、介護からエンゼルケアまで一貫したサービスを提供しています。
売却側の広域社会福祉会は、訪問介護および介護予防事業を手掛ける企業です。本件M&Aの目的は、サービスラインアップ拡充に関するシナジー効果の発揮、およびドミナントエリアにおけるさらなる市場シェア拡大にあります。
参考:事業譲受に関するお知らせ
ソラスト✕日本エルダリーケアサービス
2020年8月、ソラストは、日本エルダリーケアサービスの株式全てを取得し完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取引金額は約23億円です。買収側のソラストは東京都に本社を置き、医療・教育・福祉関連企業として知られています。
売却側の日本エルダリーケアサービスは、首都圏を中心に訪問介護・宅介護支援・通所介護を122事業所、運営する企業です。その中でも訪問介護サービスは、78事業所を保有しています。本件M&Aの目的は、事業規模拡大、およびサービス充実化です。
参考:株式会社日本エルダリーケアサービスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
ワイグッドケア✕ご長寿くらぶ
2020年7月、ワイグッドケアは、「ご長寿くらぶ」3施設の事業を取得すると発表しました。本件M&Aの取引金額は非公開です。買収側のワイグッドケアは、関東地方において有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を13拠点、展開しています。
売却側のご長寿くらぶは、栃木県で展開されているサービス付き高齢者向け住宅です。本件M&Aの目的は、サービス内容の向上、および地域社会への貢献にあります。
綜合警備保障✕らいふホールディングス
2020年4月、綜合警備保障は、らいふホールディングスの株式全てを取得し完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取引金額は非公開です。
買収側の綜合警備保障は、コーポレートブランド「ALSOK」を展開する警備・セキュリティサービス会社で、2012年以降は介護事業にも進出しています。
売却側のらいふホールディングスは高齢者支援事業として、主に高齢者施設・住宅事業を展開している企業です。本件M&Aの目的は、介護事業・関連事業の強化、および顧客満足度向上・顧客基盤拡大となっています。
参考:らいふホールディングス全株式を綜合警備保障株式会社(ALSOK)に譲渡する件
明友ケアーズ✕Body Pioneer
2020年4月、明友ケアーズは、Body Pioneerに対してM&Aにより事業承継を完了させました。買収側のBody Pioneerは、「豊かに生きる」をモットーに、リハビリテーションをつうじて幸せに満ちふれた豊かな生活をクリエイトする企業です。
売却側の明友ケアーズは介護事業を手掛ける企業で、「デイサービスめいゆう」を運営してきました。本件M&Aの目的は、経営者引退の実現です。
global bridge HOLDINGS✕ウェルクス
2020年2月、global bridge HOLDINGSは、ウェルクスと資本提携を締結すると発表しました。当事会社であるglobal bridge HOLDINGSは、保育・介護・ICTを主事業とする持ち株会社です。資本提携は、広義のM&Aとされています。
一方のウェルクスは、保育分野における人材紹介・情報サービスを提供する企業です。全国各地の保育士に向けて、就職支援、求人広告・転職、人材派遣サービスを展開しています。
本件M&Aの目的は、グループの人材採用ネットワーク、およびICT事業の全国各地における保育施設への販売ネットワーク強化です。
参考:ウェルクスと資本提携
介護業界と異業種とのM&A事例
次に、異業種における介護事業への参入・M&A・事業承継を取り上げます。
クオールホールディングス✕ニチホス
2021年4月、クオールホールディングスは、ニチホスの株式を追加取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取引金額は非公開です。
買収側のクオールホールディングスは調剤薬局事業を中心に手掛けており、医療機関とのマンツーマン出店を基本とした「クオール薬局」を全国各地に展開しています。
売却側のニチホスは、クオールホールディングスの連結子会社であり、薬局・在宅介護事業を経営する企業です。本件M&Aの目的は、連結子会社との連携強化・意思決定の迅速化・東名阪における積極出店の加速による企業価値の向上にあります。
参考:株式会社ニチホスの株式取得(完全子会社化)のお知らせ
介護関連事業のM&A事例
ここでは、介護関連事業者によるM&A・事業承継の事例をみていきましょう。
農林中金イノベーションファンド×ドクターメイト
2021年7月、農林中金イノベーションファンドは、みずほ銀行、商工中金と共同して、ドクターメイトへ出資を行っています。その額は、1.8億円でした。
農林中金イノベーションファンド(農林中金イノベーション投資事業有限責任組合)は、ベンチャーキャピタルファンドで、ドクターメイトは、介護施設スタッフへオンライン医療相談と夜間オンコール代行を融合したサービスを行っています。
これにより、ドクターメイトは医療介護業界の人材不足解消と医療・介護・自治体の連携強化を狙い、出資で調達した資金は、プロダクトの開発・人材採用の強化に用いる見込みです。
参考:農林中金イノベーションファンドを通じたドクターメイト株式会社への出資について
サイバーエージェント・キャピタル、一燈会×メダ
2021年6月、サイバーエージェント・キャピタルは一燈会と一緒に、メダによる第三者割当増資を引き受けています。
サイバーエージェント・キャピタルは、インターネット関連ベンチャー企業への投資を行うベンチャーキャピタルで、一燈会は、介護施設などの運営や障がい者支援などの事業を手掛け、メダは、介護事務書類のクラウド管理プラットフォームを提供しています。
この出資は、メダを資金面で援助し、プロダクト開発現場と介護現場が協力する体制を築くことが目的です。
参考:介護書類クラウド管理、メダ株式会社に出資
栗原医療器械店×セラピ
2021年2月、栗原医療器械店は、セラピの介護福祉用具レンタルの事業を承継することを決めています。承継の具体的な手法・条件は非公開です。
栗原医療器械店は、医療機器ディーラーで、セラピは、介護福祉用具、医療器具の卸売事業とレンタル事業を行っています。
これにより、栗原医療器械店は、ヘルスケア事業を拡げて市場対応力を強め、高収益体質の実現を狙います。
参考:事業承継に関するお知らせ
ブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズ×LINK
2020年9月、ブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズが、LINKによる第三者割当増資を引き受けています。出資額は、6,500万円でした。
ブラッククローキャピタルはスタートアップ企業を支援するベンチャーキャピタル、三井住友海上キャピタルは幅広い業種への投資を行うベンチャーキャピタル、マネックスベンチャーズは先進的・革新的サービスを提供する企業への投資を行うベンチャーキャピタルです。
LINKは、「イチロウ」という要介護者と家族へ介護士を派遣する介護士シェアリングサービスを展開しています。
これにより、LINKは、主に名古屋市で行われていた「イチロウ」のサービスを関東エリアへと拡げ、プロダクトのさらなる磨き込みを行う狙いです。
介護施設事業のM&A仲介会社を選ぶ3つのポイント
介護業界でM&Aを行う際は、M&Aの手続きに詳しい仲介会社に相談しましょう。介護業界のM&Aに適したM&A仲介会社を選ぶポイントは、以下のとおりです。
①介護業界のM&Aに詳しい
M&Aを行う際、施設・サービスの利用者や取引先・従業員が混乱してしまうケースは珍しくありません。しかし、介護業界のM&A事情に詳しい専門家であれば、発生しやすいトラブルを未然に防いだうえで、多くの関係者が納得できるM&Aの実現を目指せます。
「M&Aについて詳しくない」「どの仲介会社に相談すればよいかわからない」と悩んでいる経営者は、介護業界のM&A成約実績を持つM&A仲介会社に相談しましょう。
②全国のM&A案件に対応している
地方に拠点を持つ介護施設の場合、M&Aを検討しているものの、周りに企業がほとんど存在しない状況に陥っている経営者もあります。そのため、M&A仲介会社を選ぶ際は、全国の案件に対応し、多くの買い手情報を持つところが良いでしょう。
全国から買い手を探せば、地方の会社でもM&Aを実現する可能性が向上します。したがって、規模を問わずに多くの案件を持つ仲介会社に相談し、M&A成功のチャンスを少しでも増やすことが肝要です。
③料金体系がわかりやすい
料金体系が複雑で細かい費用が複数発生する仲介会社では、いかなる部分でお金が発生するのかわからず安心して相談できません。M&A仲介会社を選ぶ際は、料金体系がわかりやすく料金発生のタイミングが明確な仲介会社を選びましょう。
最近は、M&A成立まで一切の料金が発生しない「完全成功報酬制」のシステムを取る仲介会社も増えています。しかし、仲介会社によっては相談料・着手金・中間金などが発生するところも依然として多いため、事前によく確認してください。
M&A仲介会社選びは、M&Aの成否を左右するため、慎重に行いましょう。
M&A仲介会社選びにお困りの際は、全国の中小企業におけるM&Aに数多く携わるM&A総合研究所にご相談ください。
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無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
介護業界のM&Aまとめ
介護業界では市場規模が拡大しており、M&Aが盛んに実施されています。大きな意思決定であるM&Aには注意点も多いため、専門家を活用しましょう。本記事の概要は、以下のとおりです。
・介護施設事業のM&A相場
→首都圏で3,000万円〜1億円程度が1つの目安
・介護業界M&Aの仲介会社を選ぶ3つのポイント
→介護業界のM&Aに詳しい・全国のM&A案件に対応している・料金体系がわかりやすい
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M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
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