2024年11月11日更新業種別M&A

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を取り巻く環境は?事例15選も紹介!

本記事では、自動車小売業のM&A・事業承継を取り巻く環境から事例、近年の動向、M&A・事業承継を成功させるポイント、M&A・事業承継の相談先を解説します。自動車業界は大きな転換期を迎えており、小売業(ディーラー)にも業界再編の波が押し寄せています。M&Aを検討中の方は必見です。

目次
  1. 自動車小売業(ディーラー)のM&A(譲渡・売却)・事業承継について
  2. 自動車小売業(ディーラー)を取り巻く3つの環境
  3. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例15選
  4. 自動車小売業(ディーラー)をM&A・事業承継のメリット
  5. 自動車小売業(ディーラー)をM&A・事業承継の際におすすめの相談先5選
  6. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際の確認事項5選
  7. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を成功させるポイント5選
  8. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際におすすめの仲介会社
  9. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継のまとめ

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自動車小売業(ディーラー)のM&A(譲渡・売却)・事業承継について

大きな転換の時期を迎えている自動車業界では、自動車小売業(ディーラー)もM&A事業承継による業界再編期を迎えています。本記事では、自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例や、相談先などを紹介します。

まずは、自動車小売業(ディーラー)の定義やM&A・事業承継の意味などを解説します。

自動車小売業(ディーラー)とは

自動車小売業(ディーラー)とは、仕入れた自動車を消費者に販売する事業者および、修理・車検などを行う事業者のことです。正規代理店として系列メーカーの自動車のみを取り扱う事業者や、複数メーカーの新車・中古車を取り扱う事業者があります。

特定メーカーに属さず複数メーカーの自動車を取り扱っている場合でも、メーカーと契約を取り交わして、一定のルール内で販売することが一般的です。

小売業界のM&A事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】小売業界のM&A事例35選を紹介!最新動向や成功のコツも徹底解説【2023年最新版】

自動車小売業(ディーラー)を取り巻く3つの環境

近年の自動車小売業(ディーラー)業界動向には、以下のような特徴がみられます。

  1. 営業体制の再構築による業界再編 
  2. 倒産・廃業の増加
  3. 同系列の統合

①営業体制の再構築による業界再編

業界再編が進む自動車業界の影響により、自動車小売業(ディーラー)でも業界再編が進められています。正規自動車ディーラーの場合は、店舗の閉店や近隣地域の系列ディーラー間での店舗譲渡が行われ、独立系ディーラーの場合は自動車ブランドごとの売買が行なわれています。

②倒産・廃業の増加

国内自動車販売市場の縮小や利益率の低下により、自動車小売業(ディーラー)の倒産や廃業が増加しています。その一方で、売上を伸ばしているディーラーも少数ながら存在するなど、業種内での二極化が進んでいます。

③同系列の統合

各メーカーの正規自動車ディーラーでは、同系列メーカー内での統合が行なわれています。正規自動車ディーラーはメーカーの権限が強いため、統廃合はメーカーの営業戦略に大きく左右されます。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例15選

ここからは、自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例を紹介します。

  1. 双日によるアウトプラッツの買収
  2. Swift Holdings Investments Pty Ltd.によるGulliver Australia Pty Ltdの買収
  3. オートバックスセブンによるTAインポートの買収
  4. グッドスピードによるチャンピオンの買収
  5. VTホールディングスによる富士モーター商会と大兵自動車の買収
  6. VTホールディングスによる光洋自動車の買収
  7. テーオーホールディングスによる北見三菱自動車販売の買収
  8. ネクステージによるウエインズインポートの買収
  9. 遠州鉄道による静岡トヨタ自動車の買収
  10. 双日によるビー・エム・ダブリュー大阪の買収
  11. 伊藤忠商事によるヤナセの株式追加取得
  12. ウイルプラスHDによるボルボ・カーズ小田原の事業譲受
  13. VTホールディングスによるスペインの自動車ディーラー買収
  14. 西日本三菱自動車販売による事業譲渡
  15. 大洋日産自動車販売による事業譲渡

①双日によるアウトプラッツの買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、双日によるアウトプラッツの買収です。

2023年9月、双日はアウトプラッツの全ての株式を取得しました。双日は、エネルギーや金属・食料資源など、幅広くビジネスを展開している大手の総合商社です。対象会社のアウトプラッツは、BMW・MINIの正規ディーラーで販売や車輛の修理・メンテナンスを行う企業です。

今回のM&Aにより双日は、両社の蓄積した知見の活用し、販売とサービス拡充による事業価値の向上を目指します。

双日、東京都23区北西部におけるBMW・MINIディーラー事業会社の株式100%を取得

②Swift Holdings Investments Pty Ltd.によるGulliver Australia Pty Ltdの買収

2022年4月に、Swift Holdings Investments Pty Ltd.はGulliver Australia Pty Ltdの全ての株式を取得し、これによりGulliver Australiaを自社の子会社にしました。

Swift Holdings Investments Pty Ltd.は、投資事業を手がける企業です。Gulliver Australia Pty Ltdは、オーストラリアのヴィクトリア州で新車および中古車の販売を行っているIDOMの連結子会社でした。

このM&Aの背景には、譲渡する側が資本効率の向上や成長可能性のある核となる事業に注力するため、またオーストラリアでの新車ディーラー事業から撤退するための戦略があります。

③オートバックスセブンによるTAインポートの買収

2021年3月、オートバックスセブンは、子会社「オートバックス・ディーラーグループ・ホールディングス」を通じて、TAインポートの株式すべてを取得し、完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、東京都江東区を拠点に、カー用品店最大手のチェーン運営およびフランチャイズ展開を行っている企業です。

売却側のTAインポートは、栃木県や千葉県北部においてAudi正規ディーラーを3拠点運営しています。

オートバックスセブンは、新たな自動車メーカーとのネットワークの構築および、より多くの顧客と接する機会の獲得、さらなる収益拡大を図ることを目的として本M&Aを実施しました。

当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

④グッドスピードによるチャンピオンの買収

2021年2月、グッドスピードは、チャンピオンの株式すべてを取得し、子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、愛知県名古屋市に本社を置く中古車販売店です。対する売却側は、ハーレーダビッドソンおよびベスパの正規ディーラーです。

本件M&Aにより、買収側では、BMW Motorradに加えてハーレーダビッドソンの正規ディーラーを運営することで、バイク事業と四輪事業においてシナジー効果を獲得でき、企業価値の向上を図るとしています。

⑤VTホールディングスによる富士モーター商会と大兵自動車の買収

2021年2月、VTホールディングスは、連結子会社「ホンダカーズ東海」を通じて、富士モーターズ紹介と大兵自動車から、それぞれ愛知県津島市のホンダ販売店を譲受すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、愛知県名古屋市に本社を置く、自動車ディーラーの持株会社です。対する売却側は、ともに愛知県津島市を拠点に、自動車販売関連事業を手掛けています。

本件M&Aにより、買収側では、愛知県・岐阜県エリアのシェア拡大および事業拡大を図っています。

⑥VTホールディングスによる光洋自動車の買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、VTホールディングス(本社:愛知県名古屋市)による光洋自動車(本社:北海道北見市)の買収です。2019年8月、VTホールディングスは、フォルクスワーゲンとアウディの正規自動車ディーラーを展開する光洋自動車の株式を取得し、子会社化しました。

複数メーカーの自動車ディーラーを展開するVTホールディングスは、光洋自動車のグループ化により取り扱いメーカーを増やし、北海道でのシェア拡大を図っています。

VTホールディングス、光洋自動車の株式を取得(子会社化)-フォルクスワーゲンおよびアウディのシェア拡大

⑦テーオーホールディングスによる北見三菱自動車販売の買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、テーオーホールディングスによる北見三菱自動車販売の買収です。2019年5月、テーオーホールディングスは、三菱自動車工業のディーラーである北見三菱自動車販売の株式を取得し、子会社化しました。

グループ内に日産自動車のディーラーを持つテーオーホールディングスは、北見三菱自動車販売のグループ化により自動車ディーラー事業のさらなる成長を図っています。

北⾒三菱⾃動⾞販売株式会社の株式取得(⼦会社化)に関するお知らせ

⑧ネクステージによるウエインズインポートの買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例はネクステージによるウエインズインポートの買収です。2018年6月、ネクステージは、神奈川県でアウディ正規自動車ディーラーを営むウエインズインポートの株式を取得し、子会社化しました。

複数メーカーのディーラーを展開するネクステージは、ウエインズインポートの子会社化によりグループの販売ラインナップを拡充し、事業の成長を図っています。

⑨遠州鉄道による静岡トヨタ自動車の買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、遠州鉄道による静岡トヨタ自動車の買収です。2018年5月、遠州鉄道は、静岡トヨタ自動車グループの株式を取得し、連結子会社化しました。

静岡県西部地域を中心にトヨタ自動車系列の自動車ディーラーを展開する遠州鉄道グループは、静岡トヨタ自動車をグループに加えることで、生産性の向上とトヨタの新たなモビリティサービスの提供が可能になると発表しています。

遠州鉄道株式会社による静岡トヨタ自動車株式会社の株式取得について

⑩双日によるビー・エム・ダブリュー大阪の買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、双日によるビー・エム・ダブリュー大阪の買収です。2017年11月、双日は、ビー・エム・ダブリューより、大阪地域でビー・エム・ダブリューブランド自動車の正規ディーラーであるビー・エム・ダブリュー大阪の全株式を取得しました。

双日は、ビー・エム・ダブリュー大阪の従業員および販売・サービス拠点をそのまま承継し、プレミアムブランド車の市場占有率が高い大阪地域において、ビー・エム・ダブリューブランド車のさらなる販売の拡大とサービスの拡充を図っています。

⑪伊藤忠商事によるヤナセの株式追加取得

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、伊藤忠商事によるヤナセの株式追加取得です。2017年5月、伊藤忠商事は、輸入車・中古車ディーラーであるヤナセの株式をTOBにより追加取得し、子会社化しました。

伊藤忠商事は、自社のノウハウやネットワークをヤナセに投入することで、事業の最適化や海外展開を進め、収益力の向上を図っています。

株式会社ヤナセ株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

⑫ウイルプラスHDによるボルボ・カーズ小田原の事業譲受

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、ウイルプラスHDによるボルボ・カーズ小田原の事業譲受です。2017年4月、ウイルプラスHDは、連結子会社の帝欧オートを通じて、サン・ガレージからボルボの正規ディーラーである「ボルボ・カーズ小田原」を事業譲受しました。

輸入車ディーラーを展開するウイルプラスHDは、ボルボブランドの獲得により取扱範囲の拡大と、神奈川県の販売網拡充を果たしています。

⑬VTホールディングスによるスペインの自動車ディーラー買収

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、VTホールディングスによるスペインの自動車ディーラー会社買収です。2016年10月、VTホールディングスは、スペインで日本車などの販売を行っているマスター・オートモーション社の株式を取得し、子会社化しました。

VTホールディングスは、海外の現地企業を買収することにより、縮小する日本国内市場以外での収益拡大を図っています。

VTHD、スペインの車販社を買収 海外事業を強化

⑭西日本三菱自動車販売による事業譲渡

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、西日本三菱自動車販売による事業譲渡です。2015年6月、西日本三菱自動車販売は、宮崎県で展開している自動車販売店を宮崎三菱自動車販売へ譲渡しました。

また、山口県の販売店を下関三菱自動車販売へ譲渡しています。西日本三菱自動車販売は、店舗の整理を行うことにより、事業のスリム化を進めています。

⑮太洋日産自動車販売による事業譲渡

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例はは、太洋日産自動車販売による事業譲渡です。日通商事の100%出資子会社である太洋日産自動車販売は、2015年5月、事業の一部を日産自動車グループの販売会社3社へ譲渡しました。

太洋日産自動車販売は、事業の一部を日産自動車グループへ譲渡することにより、自社事業の選択と集中を進めています。

自動車小売業(ディーラー)をM&A・事業承継のメリット

本章では、自動車小売業(ディーラー)を対象とするM&A・事業承継で期待される基本的なメリットをまとめました。まず、売り手側に期待されるメリットは、以下のとおりです。

  • 事業を継続できる
  • 従業員の雇用を維持できる
  • 大企業の傘下により、安定的・効率的な事業経営が実現する
  • 創業者利益を獲得できる
  • 借入金の個人保証や差入担保を解消できる

売り手側にとって最も大きなメリットだと考えられているのは、事業承継の実現です。たとえ後継者を確保できていない企業であっても、M&Aによる事業承継では、自社の後継者に相応しい人材を第三者から広く探せます。その一方で、買い手側では以下のようなメリットの獲得が期待されます。

  • 新たなネットワーク・販路を獲得できる
  • スケールメリットを享受(間接部門の効率化、車両の仕入価格など)
  • 新規の自動車販売エリアを獲得できる

このように、自動車小売業(ディーラー)を対象とするM&A・事業承継では、売り手・買い手ともにさまざまなメリットが期待されます。なお、M&A全般に期待されるメリットについて知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。

M&Aのメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aのメリット・デメリットとは?買い手・売り手ごとのメリットやリスク・M&A戦略策定・手法別の効果を紹介

自動車小売業(ディーラー)をM&A・事業承継の際におすすめの相談先5選

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を行う際は、以下の会社・機関などに相談できます。

  1. M&A仲介会社
  2. 地元の金融機関
  3. 地元の公的機関
  4. 地元の弁護士・会計士・税理士など
  5. マッチングサイト

①M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&A・事業承継のサポートを専業とする専門家です。M&A相手を探すためのネットワークや、M&Aを成功させるための豊富なノウハウを蓄積しています。

M&A仲介会社は小規模の会社も含めると非常に多いため、その中から自社に合った仲介会社を選ぶことが大切です。

②地元の金融機関

地方金融機関が、地元中小企業の事業承継支援も行っている場合は、融資先や取引先企業の中からM&A相手を紹介してもらえる可能性があります。

ただし、実際のM&Aサポートは提携先のM&A仲介会社が行うケースがほとんどであるため、自社に合ったサポートが可能であるか不明な点がデメリットです。そのため、自身で最適な仲介会社を選んだ方が良い場合もあります。

③地元の公的機関

各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターでは、地元の事業者であれば小規模な案件でも対応しています。

しかし、公的機関であり実務面のサポートを直接行えないため、金融機関のケースと同じく、提携先の仲介会社などに再依頼しなければなりません。

④地元の弁護士・会計士・税理士など

多くの弁護士・会計士・税理士事務所では、M&A・事業承継の中でも特定分野に特化してサポートを行っています。

相続税・贈与税に関する相談や債権者・株主とのトラブル対応など、相談内容が定まっている場合は強みを発揮します。

ただし、M&A相手とのマッチングや交渉などは、提携している仲介会社やマッチングサイト運営会社に任せるケースがほとんどです。

⑤マッチングサイト

大手企業や他業界の企業が相次いで参入していることで、マッチングサイトの質と信頼性が年々向上しています。

買収ニーズを登録するだけで条件の合う売却案件をマッチングするなど、従来にはなかったシステムやサービスを提供するマッチングサイトも生まれています。

M&A案件の探し方については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&A案件の探し方を解説!中小企業や個人事業主向けの少額案件の探し方と注意点

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際の確認事項5選

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を行う際は、以下の点に注意が必要です。

  1. 自社の収益力の確認 
  2. 棚卸資産の確認
  3. 立地条件や環境など不動産の確認
  4. 賃貸契約などの契約内容の確認
  5. 取引先との代理店契約の確認

①自社の収益力の確認

自動車小売業(ディーラー)は、メーカーとの関係上、利益率がそれほど高くありません。また、自動車メーカーの利益率も下がっていることから、自動車小売業(ディーラー)は今後さらに厳しくなる可能性があります。

事業を売却する際は、収益を生み出せる付加価値があるかどうか、十分に買い手に示す必要があります。

②棚卸資産の確認

自動車小売業(ディーラー)のM&Aでは、棚卸資産を十分に確認する必要があります。多くの自動車ディーラーは、購入者が即座に乗り出せるための在庫や、引先からの実質ノルマ在庫などを抱えています。

そのため、在庫車がいつから保管されているのか、新車扱いか中古車扱いなのか、メーカーへの支払い期日はいつかなどを確認しておかなければ、M&A価格に大きく影響したり、買収後に損を被ったりするおそれがあります。

③立地条件や環境など不動産の確認

自動車メーカー各社は、それぞれ独自の販売網戦略を講じており、同系列で販売網を分散させるケース・近隣に集中させるケース・同メーカーの異ブランドを集中させるケースなど、その戦略はさまざまです。

買収予定の販売店が他メーカー販売店に対して不利な位置にないかなど、立地条件も戦略的に見極める必要があります。

④賃貸契約などの契約内容の確認

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際は、販売店の土地や建物の契約内容に関しても確認が必要です。事業譲渡によってM&Aを行う際は再契約が必要とされるため、土地や建物を借りている場合は解約金や再契約金が発生したり、契約条件が変わったりする可能性があります。

⑤取引先との代理店契約の確認

正規自動車ディーラーとの代理店契約を結んで自動車販売を行っている独立系販売店の場合、契約内容の確認も忘れずに行わなければなりません。取引先との代理店契約に支障がある場合、M&A後の営業再開に時間がかかるなど、思わぬ負担を負うこともあり得ます。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を成功させるポイント5選

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を成功させるには、以下のポイントを意識して行うことが重要です。

  1. 他店にはない強みをまとめる 
  2. 従業員・整備士の離職を防ぐ
  3. 希望する条件をまとめる
  4. 入念な準備を行う
  5. M&A・事業承継の専門家に相談する

①他店にはない強みをまとめる

自動車の販売自体で差別化を図り収益力を高めることが難しい自動車小売業(ディーラー)の場合、いかに他サービスの付加価値で収益力を向上させるかが重要です。他店との差別化が可能な強みをまとめると、条件どおりに取引を行ってくれる良買い手が見つかる可能性が高まり、交渉もスムーズに進みます。

②従業員・整備士の離職を防ぐ

M&A・事業承継によって会社の経営者が変わることで、従業員・整備士が不安や不満を覚えて離職するケースもあります。そのため、売り手側では、情報を伝えるタイミングや伝え方に注意する一方で、買い手側では買収後のコミュニケーションや待遇などに配慮が必要です。

③希望する条件をまとめる

M&Aで希望する条件を明確にし、アドバイザーやM&A相手に伝えることで、交渉がスムーズに進みやすくなります。

M&Aを早く成立させることに焦って条件を妥協したり、逆に条件にこだわりすぎて交渉を難航させたりしないよう、自社の希望条件を事前にまとめておくことが大切です。

④入念な準備を行う

M&Aの成功率を高めるには、入念な準備が必要です。M&Aの手続き期間中は精神的・時間的負担が大きくなりますが、先を見据えて早めに仲介会社などに相談しておくことで、負担を減らすことが可能です。

⑤M&A・事業承継の専門家に相談する

仲介会社などのM&A・事業承継の専門家は、ネットワークによってM&A相手を探したり、豊富な経験によって負担の大きい交渉事などをサポートしたりと、幅広いサポートを行います。

仲介会社に相談することで、手続き面のサポートだけでなく、企業価値の向上や事業の成長支援につながるケースもあります。

M&AサポートにおけるM&A仲介業者の役割や売却事例/買収事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&AサポートにおけるM&A仲介業者の役割や売却事例/買収事例をご紹介

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際におすすめの仲介会社

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を成功させるには、M&Aスキームの策定や最適なM&A相手の選定や円滑な交渉が求められるために、M&A仲介会社などの専門家によるサポートは必要不可欠だといえます。

M&A総合研究所では、経験と知識が豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談は随時お受けしていますので、自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継のまとめ

本記事では、自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例や成功させるポイントなどを紹介しました。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例や成功させるためには、業界動向を把握し計画的に進めることが重要です。

また、専門的な知識や見解が求められるため、M&A仲介会社など専門家のアドバイス・サポートは必要不可欠だといえます。

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