M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新業種別M&A
薬局業界のM&A
薬局の需要増加に伴い、薬局業界のM&A件数も増加しています。薬局業界がM&Aを実施する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。この記事では、薬局業界のM&Aについての現状や成功させるためのポイントについてご紹介します。
薬局業界の推移
現代は少子高齢化の影響で、医療や介護分野の需要が高まっています。それと同時に、薬局の需要も高まっています。薬局では、薬や日用品、雑貨などを販売しています。調剤薬局の数は10年前と比較すると大幅に増加しています。調剤薬局では、前述のとおり日用品も販売しているからです。
薬を必要としている人だけでなく、健康な人も薬局に足を運ぶようになりました。今や薬局の数はコンビニエンスストアの数を超えており、その存在は消費者の生活に欠かせないものとなっています。
しかし、現在薬局の店舗数は増えているものの、経営を行う企業数は激減しています。大手薬局経営会社が規模拡大のために店舗数を増やしているからです。現在ではコンビニをはじめとして、スーパーなどでもプライベートブランドの販売が認められているため、薬の販売だけでは生き残っていけません。
薬局業界で生き残るためには、大手企業との連携が不可欠です。また、消費者は薬局で購入する商品に対して、清潔感と安心感を求めているため、名の知れていない企業の商品よりも大手企業のブランドを選ぶ傾向にあります。
つまり薬局を経営するためには知名度が必要ということです。そのため、新規事業としてゼロから始めるには、非常に困難な業界だといえます。
薬局業界M&Aの概要
現在の薬局業界では、中規模企業が大規模な会社に吸収されるM&Aが多く見受けられます。前述のとおり、この業界に新規参入するのは困難です。したがって、この業界に参入したい大規模会社が中規模の薬局を買収する形で、M&Aを実施します。
またM&Aを広義に捉えると、業務提携も頻繁に実施されています。薬局業界の大手企業が、注目されているデザイナーや商品開発者、インフルエンサーなどとコラボレーションした商品を販売する目的で、業務提携を実行するケースが多いです。
その商品の販売により、顧客の獲得を目指しています。そのため、複数の会社と業務提携を結ぶ形で、M&Aを頻繁に実施するのです。
薬局業界のM&Aの課題は、需要の見極めです。単純な規模拡大により、集客が可能になるわけではありません。そのため、消費者が何を望んで足を運ぶのかを検討する必要があります。
薬局業界同士のM&A
薬局業界では、同業・他業種に関係なくM&Aが実施されています。薬局業界のM&Aとしてまず考えられるのが、薬局同士のM&Aです。売り手が中規模の薬局である場合、その背景には後継者不足や薬剤師不足などの問題があります。経営には両者が必要です。そのためM&Aを活用すれば、経営が可能になります。
M&Aで薬局が存続できるのは、消費者にとってもありがたいことです。薬局のような販売店の場合、M&Aの実施後もそのまま買収先の薬局として経営を継続できるため、消費者は変わらず利用でき、さほど影響はありません。
また、薬局同士でM&Aを実行して大手企業の傘下に入った場合、単独で経営するよりも仕入れの幅が広がります。従来の経営では取引がなかった会社との取引も生まれます。また、後継者不足や薬剤師不足も解決可能です。
薬局同士のM&Aは、買い手企業にとってもメリットがあります。中規模薬局の多くは、地域に根ざす形で経営しています。そのため、買収後はその跡地に店舗が構えられるので、そのまま経営できます。したがって、ある程度の顧客を確保しながら店舗の拡大が可能です。
また、改装工事が短時間で済むのも大きなメリットです。業界が異なる企業とM&Aを実行した場合は、内装や外装の工事が必要になります。そのため、新店舗として経営をスタートするまでに、時間がかかってしまいます。
しかし、既存の薬局とM&Aを実施すれば、外装の看板を変更するだけで使用できます。つまり、薬局同士のM&Aによって、経営を迅速に始められる可能性が高いということです。
M&Aを行う際にはさまざまな専門知識を必要とするため、後継者不在でお悩みの場合やM&Aをお考えの場合は、M&A総合研究所にご相談ください。
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薬局と別業界の会社のM&A
一方で、薬局業界以外の企業とM&Aを実施するケースもあります。その多くは、買い手が薬局業界の大手であり、買収の対象となる企業が別の業界のパターンです。買い手は、対象事業をM&Aによって取り入れて、新しい事業へと発展させようと考えています。
たとえば、薬局業界の企業が食品メーカーとM&Aを実施したら、その企業独自のルートで仕入れている食品を店頭に並べられます。一方で、出版関係の企業とM&Aを行えば、雑誌の頒布物が作成可能となります。
上記のように、薬局業界と異なる企業とのM&Aにより、新規事業への参入が可能です。現在では1つの企業が複数事業を運営するのは当然になっています。しかし、一から全てを始めるには、コストや時間が大幅に必要です。
M&Aを活用すれば、新規事業参入とともにコストや時間を短縮できます。少ない時間で事業を拡大する上で、M&Aの活用は非常に有効です。
薬局業界のM&Aで注意すべきポイント
薬局同士のM&Aを行う際、売り手側が注意すべきポイントは、買い手が付く店舗であることです。買い手企業は、統合後に利益を獲得できるかどうかで、売り手側を評価します。将来的なキャッシュフローが見込める店舗になるためには、以下の点を改善する必要があります。
①店内の清潔感
薬局は薬や清潔用品を扱うお店です。そのため、清潔感がなければ購入どころか来客数も増えません。これは、薬局以外の販売店でも同様で、毎日の清掃の徹底は不可欠です。店内だけではなくバックヤードやレジの中など、直接消費者の目には触れない点にも気を配る必要があります。
M&Aの際は、必ずデューデリジェンスを実施します。その際に店内が綺麗でも、裏側が汚れていると信用が下がります。M&Aの買い手を見つけるためには、清潔感は非常に重要です。
②集客意識
集客は、利益を獲得するためには不可欠です。「集客のためにしていること」について、しっかりと答えられるようにしておきましょう。
また、集客にばらつききがある場合は、その理由や改善点などを答えられるようにしておきます。そうすれば、M&Aが実現できる可能性が高まります。キャンペーンやフェア、チラシ配りやDMなどは、集客に欠かせません。
どのような対策を取っているかは、経営の姿勢に直結する問題です。どのような意思で経営を行っているのかを明確にしておきましょう。
③客単価アップ戦略
集客ができても、消費者が商品を購入しなくては意味がありません。特に客単価は、貴重なデータになります。利益に直結する要素なので、意識しておきましょう。店内の導線は確保できているか、関連商品を一緒に陳列して購入を促しているかなどの観点をM&Aの際に評価されます。
買い手にとって魅力的な企業とは、売り上げを一定額確保している会社です。したがって、M&Aを成功させるためには、普段から売上高の向上を目指す必要があります。M&Aが決定してから、経営を改善するのでは遅いです。常に売り上げを意識する経営が重要になります。
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薬局業界のM&Aの事例
ここでは、薬局業界のM&Aの事例についてお伝えします。譲渡先などもご紹介していきますので、M&Aの検討にお役立てください。
①ファーマライズHD×ヘルシーワーク
2020年に、調剤薬局事業のファーマライズHDは、同業のヘルシーワークの株式を取得し完全子会社化しました。ファーマライズHDは、ヘルシーワークとの経営資源の相互活用、共同事業などをとおした各事業の強化、拡充、発展を目指し、シナジー効果を見込んで買収を実施しています。
②クオールHD×セラ・メディック
2019年に、クオールHDは薬局運営のセラ・メディックの株式を100%取得して子会社化しました。クオールHDグループは、医療や健康をサポートする事業を拡大しており、中核事業の調剤薬局事業は、前向きな新規出店、M&Aを活かして事業を拡げています。
クオールHDグループは、地域密着型のかかりつけ薬局を目指しており、セラ・メディックの子会社化で更なる地域医療・在宅医療への貢献を見込んで買収を行いました。
③アント・キャピタル・パートナーズ共同出資のアロスワン×吉野薬局
2017年に、アント・キャピタル・パートナーズ株式会社に運営されるアント・カタライザー4号投資事業有限責任組合と株式会社阪神調剤ホールディングが共同で出資・運営する合弁会社の株式会社アロスワンが、吉野薬局を事業譲渡で取得しました。
アント・キャピタルは、今後も阪神調剤HDとの提携による協業をとおして、調剤薬局業界におけるM&Aを推進するとしています。
まとめ
薬局のM&Aは、現在需要が高い分野です。なぜなら高齢化社会に伴い、今後も店舗数増加が予想されるからです。売り手側が抱える後継者不足や薬剤師不足などの深刻な問題も、M&Aを活用すれば解決する可能性が高くなります。
薬局業界のM&Aを行う際には、今回紹介した知識をぜひ参考にしてください。要点をまとめると下記になります。
薬局業界のM&Aは?
→中規模企業が大規模な会社に吸収されるM&Aが多い
薬局業界同士のM&Aは?
→売り手側は後継者や薬剤師不足問題を解決できる一方で、買い手側はすぐに経営を開始できる
薬局と別業界の会社のM&Aは?
→M&Aによって、迅速に新規事業に参入できる
→店内の清潔感、集客意識を持つ、客単価アップを意識した経営
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