M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年11月15日更新業種別M&A
マンション・賃貸管理会社のM&A事例を解説!動向や案件も紹介
本記事では、マンション・賃貸管理会社のM&A事例を中心に紹介します。最新のM&A動向も取り上げますので、お役立てください。マンション・賃貸管理会社はスケールメリットが得やすい事業であるため、M&Aと相性が良く、活発に取引が行われています。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
マンション・賃貸管理会社のM&A動向
マンション管理会社のM&A動向としては、M&Aが盛んな点が挙げられます。マンション管理業界では、近年マンションに居住する人が増えていることから、ニーズが非常に高まっている状況です。また、マンション管理業は管理戸数を増やすことで収益が増加するため、M&Aの実施によりスケールメリットを得やすいです。
こうした状況の中で、特に大手企業が中小規模のマンション管理会社を買収することで、事業規模を拡大する戦略を取るケースが増加しています。
マンション・賃貸管理会社の市場規模
2022年のマンション管理費市場規模は、管理費ベースで前年比2.2%増の8,206億円と推計されています。新築分譲マンションの竣工戸数はわずかに減少傾向にあるものの(データ提供:国土交通省)、新築マンションの価格や人件費の上昇に伴って管理費も上がっており、市場は引き続き堅調な成長を見せています。
一方で、2022年の共用部修繕工事市場規模(工事費ベース)は前年比21.0%減の5,746億円と推定されました。この市場は、マンションの計画修繕の周期に影響を受け、年ごとに規模が変動します。
2022年は、2008年頃に竣工したマンションが1回目の大規模修繕工事を迎える時期でしたが、当時のリーマンショックの影響でマンション供給戸数が例年より少なかったため、大規模修繕工事件数が減少しました。これが市場縮小の主な要因と考えられます。
マンション・賃貸管理会社のM&A事例【2024年最新】
ここでは、実際にあったマンション・賃貸管理会社のM&A事例を取り上げます
アンビションDXホールディングス×DRSなど3社
2024年7月31日、アンビションDXホールディングスは、START(東京都港区)のグループ会社であるDRS、SPM、LTD(いずれも東京都港区)3社の全株式を取得することを決定しました。
アンビションDXホールディングスグループは、主に賃貸DXプロパティマネジメント事業を展開し、賃貸DX賃貸仲介、売買DXインベストメント事業、インキュベーション事業、不動産DX事業などを手がけています。DRS、SPM、LTDの3社は、不動産賃貸管理業を運営しています。
このM&Aにより、賃貸DXプロパティマネジメント分野をさらに拡大し、3社の顧客基盤を活用することで、アンビションDXホールディングスグループは少額短期保険事業やライフライン事業、内装工事事業といった不動産関連の新たな収益源を確保していくことを目指しています。
日動×シティビルサービス札幌
2024年5月30日、日動(北海道札幌市)は、シティビルサービス札幌(北海道札幌市)の全株式を取得し、完全子会社化しました。
日動は、分譲マンション事業(ブランド名:ラ・クラッセシリーズ)や賃貸事業(貸家・貸ビル、家具家電付き賃貸マンション、マンスリーマンション、賃貸斡旋)、さらに管理事業(分譲マンション・賃貸マンション・公営住宅・施設管理)など、幅広い事業を展開しています。
シティビルサービス札幌は、賃貸管理業を主軸に、ビルやマンションの資産保有を行い、賃貸仲介店舗「ピタットハウス」を札幌市内に4店舗運営している不動産会社です。
今回の子会社化により、日動グループはシティビルサービス札幌との連携を強化し、両社のシナジーを活かして、住まいに関わるサービスを通じてさらに高い顧客満足を提供することを目指します。
ミガロHD×AKIコマース
2023年11月27日、ミガロホールディングスは、AKIコマース(東京都新宿区)の株式を取得し、子会社化することを決定しました。この株式取得に伴い、AKIコマースの完全子会社であるアソシア・プロパティは、ミガロホールディングスの孫会社となります。
ミガロホールディングスグループは、2023年10月に持株会社体制へ移行し、DX不動産事業をグループの中核として展開しています。AKIコマースおよびアソシア・プロパティは、主に賃貸管理業、サブリース業、買取再販業を行う企業です。
今回の株式取得は、ミガロホールディングスグループのDX不動産事業の推進方針と戦略に基づき、賃貸管理、サブリース、買取再販といった事業分野での会員データの拡充や流通物件の確保能力強化に資するものです。
ミガロホールディングスは、DX不動産事業の売上高1,000億円達成を目指し、今後もこの方針と戦略に基づいて積極的にM&Aを推進していく方針です。
神鋼不動産ジークレフサービス×中央日土地レジデンシャルサービス
2021年7月、中央日土地レジデンシャルサービスは、神鋼不動産ジークレフサービスの東京支店におけるマンション管理事業を吸収分割により承継し、マンション管理事業に着手することを発表しました。
買収側の中央日土地レジデンシャルサービスは、中央日本土地建物グループ子会社「中央日本土地建物」「長谷工管理ホールディングス」「神鋼不動産ジークレフサービス」の3社による合弁会社です。
売却側の神鋼不動産ジークレフサービスは、神戸・阪神エリアを中心に地域に密着したマンション管理を実施している企業で、豊富な管理実績をはじめ、仲介・リフォーム、公営住宅の管理などさまざまな事業を展開しています。
本件M&Aにより、首都圏のマンション管理事業を中央日土地レジデンシャルサービスへ移管・集約し、分譲マンショ ン管理事業の顧客サービス向上を図り、分譲マンション事業の製・販・管の一貫体制を構築していくとしています。
マンション・賃貸管理会社のM&Aが行われる5つの理由
マンション・賃貸管理会社のM&A事例を確認したところで、ここではマンション管理会社のM&Aが行われる理由を紹介します。マンション・賃貸管理会社がM&Aを行う理由には、主に以下のとおりです。
- 後継者問題によるM&A
- 競合業者が多く将来性が不安
- 時代に即した顧客ニーズへの対応が困難
- 人材の確保が困難
- 人件費の増加により利益率が低下
マンション・賃貸管理会社がM&Aを行うと、これらの問題を解決できる可能性があります。
①後継者問題によるM&A
まず考えられるマンション・賃貸管理会社のM&A理由のひとつに、後継者問題の解決が挙げられます。もちろん、後継者問題を抱えているためにM&Aを行うのは、マンション管理会社に限ったことではありません。
昨今は、経営者が高齢化しているのもかかわらず、後継者が不在であるため事業承継できないケースが増加しています。そのような状態に陥っている会社は、経営者が引退すれば廃業せざるを得なくなり、従業員の雇用や地域経済に大きな損失を与えるようなことになりかねません。
そのような問題を解決するためにM&Aを駆使し、第三者に経営権を託すことで、会社を存続させるケースが増えています。この事業承継目的のM&Aは、日本のM&A件数を増加させている一因であり、とりわけ中小企業のM&Aで多数見られるものです。
マンション・賃貸管理会社の経営者も、後継者問題によるM&Aを検討している人が多いです。
②競合業者が多く将来性が不安
マンション・賃貸管理業界はニーズが高まっていることもあって競合業者が多く、生き残りが難しい状況といえます。加えて、デベロッパー系の会社など、他の会社のグループに入っているマンション管理会社は不景気になると切り離されることが多く、競争を勝ち抜くことが困難な状況です。
そのような状況を改善するうえでも、M&Aで大手の資本の傘下に入り、経営基盤を強化することで生き残りを図るマンション管理会社も多くなっています。中小規模のマンション管理会社の経営者で、将来の自社のことを考えてM&Aを検討している人は多いでしょう。
今後もマンション・賃貸管理業界の競争は激化すると見られており、大手のマンション管理会社も競争で生き残るために積極的なM&Aを実践しています。中小規模のマンション・賃貸管理会社もM&Aを経営戦略に取り入れるケースも見られており、今後もこの傾向は続くと見られています。
③時代に即した顧客ニーズへの対応が困難
マンション・賃貸管理業界へのニーズが高まっている一方で、そのニーズは多種多様です。しかし、「マンション・賃貸管理会社がそれぞれのニーズに的確に対応できるのか」という点は、決して簡単な話ではありません。多様な顧客ニーズに対応するには、ノウハウや資金力が必要です。
そのため、中小規模のマンション・賃貸管理会社の場合、対応が難しいです。ただ、他の会社にはないサービスを提供することで差別化を図ることは、マンション管理業界での競争を勝ち抜くうえでも重要なポイントです。
そこでM&Aを実施することで、他のマンション・賃貸管理会社を買収してノウハウを取り入れれば、新たなサービスを提供できる体制を整えられます。多様なニーズに対応できるようになれば、他のマンション・賃貸管理会社との差別化を図れるうえに、さらなる顧客の取り込みも期待できます。
④人材の確保が困難
マンション・賃貸管理会社が抱えている経営課題のひとつが、「人材の確保」です。そのため、人材を効率良く確保するためにM&Aを行うことも珍しくありません。マンション・賃貸管理会社は業務の性質上、若手の人材の志望が少なく、新たな人材の確保が難しい傾向にあります。
そもそも経験や知識のある人材を、ゼロから育成するのは時間もコストもかかります。加えて、既存の従業員の高齢化もあり、人材の確保の難易度はより高まっているのが現状です。そこで、M&Aを用いると、人材を確保しやすくなります。
M&Aで会社を買収すれば、相手企業の人材をそのまま引き継げるため、採用や育成の手間が省けるのです。このような人材不足を解決するためのM&Aは、マンション・賃貸管理会社以外のさまざまな業界で行われています。
⑤人件費の増加により利益率が低下
人件費の増加によって利益率が低下することも、マンション・賃貸管理会社がM&Aを行う理由のひとつです。規模が小さいマンション・賃貸管理会社ほど、人件費の負担は大きくなり、利益率が低下すれば経営を維持することが難しいです。
そこでM&Aを実施することで、経営基盤を強化して増加する人件費への対応を図るマンション・賃貸管理会社も現れています。自社の人件費の状況がそれほど良くない場合、改善するためにM&Aを検討してみるのも良いでしょう。
マンション・賃貸管理会社のM&A時におすすめの相談先
最後に、マンション・賃貸管理会社のM&A時におすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した部門を設立するケースが増えています。特に投資銀行やメガバンクなどの大手金融機関は、ファイナンシャルアドバイザー(FA)としてM&A取引をサポートし、資金調達や戦略立案を通じて取引を円滑に進める役割を担っています。
このサポートにより、企業は資金調達や事業承継に伴う複雑な課題に対応でき、専門家の助けを借りることで取引の成功率が高まります。
ただし、大手金融機関は規模の大きな案件を優先する傾向があるため、中小企業が十分な支援を受けられない場合もあります。そのため、企業は自社に合った支援機関を慎重に選ぶことが求められます。また、アドバイザリー報酬が高額になることが多いため、費用面の確認も重要です。
公的機関
最近、事業承継やM&Aに対する公的な支援体制が急速に整えられています。全国47都道府県に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」は、後継者不足に悩む中小企業の相談窓口として機能しており、事業承継やM&Aに関する情報提供、アドバイス、企業間マッチングのサポートを無料で提供しています。
この仕組みによって、地方の中小企業も専門的な支援を受けやすくなっています。さらに、個人事業主への支援も充実しており、希望に応じてM&A仲介会社や専門家を紹介してもらうことも可能です。
ただし、民間の仲介会社に比べて対応のスピードや柔軟性に限界があるため、利用する際にはその点を考慮する必要があります。こうした公的支援機関は、事業承継やM&Aを検討する企業にとって有力な選択肢の一つといえるでしょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売買を総合的にサポートする専門機関です。売り手と買い手双方に対し、取引先の選定、交渉の支援、スケジュールの管理、企業価値の評価、契約書の作成など、幅広いサービスを提供し、条件の調整を通じて取引をスムーズに進める役割を担っています。
特に、豊富なネットワークを駆使して適切な取引先を見つける能力に優れ、M&Aの成功率を高める点が強みです。また、M&A経験の少ない企業には、実務的なアドバイスを提供し、取引全体が円滑に進むようサポートします。
ただし、仲介会社の利用には着手金や中間報酬などの費用がかかる場合があり、コスト面に配慮が必要です。費用を抑えたい場合は、成功報酬型の仲介会社を選ぶとよいでしょう。
マンション・賃貸管理会社のM&Aまとめ
マンション・賃貸管理会社業界ではM&Aが盛んであり、業界内での競争が激しくなっています。また、スケールメリットを得やすい業態であることから、M&Aを積極的に行える業種と考えられています。そのため、数多くのM&A事例が見られる状況です。
M&Aを経営戦略に組み込む大手も多いため、マンション・賃貸管理業界のM&Aの動向に注意しておくと良いでしょう。マンション管理会社のM&Aに興味がある方は、まず専門家に相談することをおすすめします。
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