M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年3月17日更新業種別M&A
パン屋のM&A・売却・買収の目的は?事例や動向から相場や案件の探し方まで解説!
本記事では、パン屋のM&Aでの注意点や相場・費用・案件の探し方について紹介します。パン屋・ベーカリー業界は大手製パンメーカーと個人経営のパン屋が併存し成立しています。昨今のパン屋業界におけるM&A事情について取り上げました。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
パン屋のM&A・売却・買収の概要
まず、この章では、パン屋の概要やパン業界の特徴、M&A・売却・買収の基本的な意味などについて確認しましょう。
パン屋とは
パンを製造・販売している店がパン屋です。日本語のパンはポルトガル語に由来するとされていますが、そのポルトガル語のパンは、フランス語・スペイン語・イタリア語などと同様にラテン語が語源となっています。
英語ではパンはBread、パン屋はBakeryです。ブレッドやベーカリーもまた、日本でも用いられています。ベーカリーの場合は、単にパンの製造・販売だけでなく、ケーキ・パイ・ペイストリーなど洋菓子の製造・販売も行う店舗も含まれる点が違いです。
また、パンを同一店舗内で製造・販売する形態のパン屋と、パンを工場で製造し小売店に卸す形態のパン屋(パン会社)に二分されています。
パン屋・ベーカリー業界は、大手の製パンメーカーと個人経営・自営業のパン屋に大別されます。両者は、経営規模やビジネスモデルなど全く別物ですが、調合が保たれて市場が形成されてきました。おそらく、それは今後も揺らぐことはないでしょう。
コメ離れの後押し
戦後の欧米文化の普及により、過去数十年間、日本の食卓ではパン食が広く浸透しました。もはや、パンは一般的な存在となり、場合によってはコメではなく、パンを主食とする家庭も見られます。特に近年は、時間のない朝食はパンが好まれるなどコメ離れが顕著です。
矢野経済研究所の「パン市場に関する調査を実施(2023年)」によると、パン屋業界の市場規模(メーカーの出荷金額)は、2021年で1兆5,354億円となっています。
コロナ禍による業務用パン需要の減少と、都市部のコンビニエンスストアを中心とした消費者のパン需要の減少などが市場に大きく影響を与え、2020年度は苦戦を強いられました。2021年度は徐々にパン需要が回復し、前年度比でプラスに転じました。
パン市場は今後も微増で推移する予想が出ており、2026年度の国内パン市場規模は1兆6,090億円になるとされています。
今後の国内市場
一方で、現在の日本国内の人口減少は歯止めがかからない状態です。早晩、食品業界の市場縮小はいずれ訪れるものと考えたほうがいいでしょう。この点はパン業界も例外ではありません。消費者が減っていくのに市場を拡大させるというのは、無理な話です。
また、もう1点、パン屋業界が気をつけなければいけないのは、コメ離れの逆の現象でしょう。ある意味で消費者の行動には気まぐれな部分があり、コメブームやパスタブームが生じ、パン離れが起きないとは断言できません。
この点においては、大手製パンメーカーであれ、個人経営のパン屋であれ、対応策は同様であると考えられます。それは、現在の高級食パンのような、オリジナリティある独自の食品としてのパンを生み出すことです。
大手は海外進出を視野
国内市場の成長見込みは望みが薄い以上、大手製パンメーカーが取る経営戦略は2つあります。1つは、国内において同業者を買収し、吸収したり子会社化したりして、自社グループの事業規模とシェアを上げることです。業界再編と言ってもいいでしょう。
もう1つは、海外市場への進出です。パン屋業界に限らず、日本の全ての業種は市場縮小問題を抱えています。すでにいろいろな業種が、業績拡大を目的に海外市場に打って出ている状況です。その海外進出方法として用いられているのが、M&Aです。
海外で一から拠点を設け事業を新規で展開していくのは、あまり得策ではありません。それよりも、すでにパン屋・ベーカリー事業を行っている海外の法人を買収して傘下に収め、それを足掛かりに事業展開していくのが合理的です。
日本の大手製パンメーカーの中には、すでにその動きを加速させつつある企業も現れています。その傾向は、今後ますます増していくでしょう。なお、日本企業と海外企業との間で行われるM&Aのことを、別称でクロスボーダーM&Aと言います。
パン屋に関する動向
いわゆる街のパン屋の場合、個人事業主か、家族経営の自営業というケースが多いでしょう。パン屋に限らず個人経営の店の特徴であり長所となるのは、自由に独自色を出せることです。パンの製法やレシピ、品ぞろえ、陳列方法、内装や外装など多種多様な工夫を行えます。
それは個性であり魅力となって、消費者にアピールできるでしょう。また、パン屋によって、立地条件はさまざまです。人通りが多い商店街や駅から近い場所などは一般的に好立地と考えられますが、隠れ家的な場所で経営しているパン屋もあります。
現代はSNSによる情報発信も可能ですから、独自性があれば立地に左右されないパン屋もいるのです。ただし、個人経営のパン屋の場合、行った施策が裏目に出ると、途端に業績が悪化する危険性があります。
小規模経営では、特に資金面の余裕がないことが多いので、販売戦略が思惑どおりに機能しないケースでは、どうしても経営が不安定になりがちな点は否定できません。また、昨今は他業種同様に、後継者不足に悩むパン屋も増えています。
少子化の影響で身内に跡継ぎがおらず、廃業を検討するパン屋もいるのです。しかし、この点については、解決策として、M&Aによる事業承継という方法が少しずつ浸透しつつあります。
パン屋のM&Aの現状と最新動向
M&Aとは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称です。会社や事業を売買取引したり、合併などで企業間の組織再編行為をしたりすることの総称になります。M&Aにはさまざまなスキーム(手法)がありますが、代表的なスキームの概要を確認しておきましょう。
近年、さまざまな業界でM&Aが行われるようになりましたが、この傾向は食品業界も例外ではありません。その食品業界の1つであるパン屋・ベーカリー業界でも、M&Aが検討・実施されるケースが増えてきています。
日本の食品業界は、少子化による人口減で国内市場縮小が目に見えています。急激に市場が縮小することはないでしょうが、少なくとも成長が見込まれる状況にはありません。このことは、パン屋市場でも同様です。
そうなると、大手企業の場合、国内市場向けにはM&Aによって業界再編を進めるかもしれません。規模を拡大し合理性を追求することで利益率を上げ、売上の減少分をカバーするためです。また、業績拡大のために、海外進出を強化することも予想されます。
一方、個人経営のパン屋は、同規模同士の生き残り競争が激化するかもしれません。その競争の過程において、自営業のパン屋の場合でもM&Aによって経営の課題解決を図ろうという動きが広まり、M&Aが活発に実施される可能性も高まります。
海外進出の課題については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
パン屋業界におけるM&Aの目的
パン屋業界で検討され実施に至るM&Aについて、その背景を探ってみましょう。最終的にはケースバイケースで、各社・各店の事情ということになりますが、その中にある、共通する事由や傾向などをピックアップします。
海外進出や海外事業の強化を目的としたM&A
人口減少などの要因により、食品業界の国内市場の縮小が話題となる中、やはり大手企業では、海外進出や海外事業の強化を図る会社が多くあります。パン屋・ベーカリー業界でも、今後は海外事業に焦点を置いた事業展開が進むでしょう。
その海外進出や海外事業の強化を、短期間で実現を目指す方法がクロスボーダーM&Aです。食品の場合、味覚の好みは国や地域で全く異なります。同じ日本国内でさえ、関東と関西では味の好みが違うと言われるぐらいです。
したがって海外となると、それを克服するのは容易ではありません。その意味においても、現地のパン屋・ベーカリー業の会社をM&Aで傘下に加えられれば、試行錯誤することなく販売戦略を実践していくことが可能です。
経営上の問題を解決するためのM&A
M&Aは、後継者不足問題などの経営上の問題を解決するための手法としても活用できます。たとえば、経営者が高齢になったにもかかわらず後継者がいない場合に、自社を他社に売却することで、他社に経営を任せて事業を継続させるといったケースなどです。
買い手に経営を任せる形で後継者不足問題が解決して事業は引き継がれ、売却対価を受け取りリタイア後の生活資金も得られます。また、経営が悪化して事業の継続が難しくなった場合でも、他社に売却して経営を任せ、事業再建を託すことが可能です。
個人経営のパン屋の場合、運転資金に余裕がないため、経営悪化に耐えられる期間はわずかしかありません。その点、資金力が豊富な企業の傘下であれば、安定した経営基盤のもとで事業再建がなされるわけです。
以前は、上記のどちらの場合でも、取り得る選択肢は廃業しかないと考えられていました。M&Aが広く浸透し身近なものとなりつつある近頃にあって、新たな選択肢として検討されるようになったのです。
パン屋の事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
パン屋業界におけるM&Aのデメリット
ここでは、パン屋業界でM&Aをした場合に、被るかもしれないデメリットについて解説します。売却側、買収側に分けてデメリットを見てみましょう。
売却側のデメリット
パン屋を売却する際に、M&Aのスキームを事業譲渡にした場合、会社法に規定されている競業避止義務を負います。競業避止義務とは、売却した事業と同一の事業を、20年間は同じ区市町村および隣接する区市町村で行えないというものです。
ただし、事業譲渡契約を結ぶ際に、買収側から競業避止義務免除や期間短縮の同意を得れば、法令を免れられます。もう1つのパン屋売却側のM&Aのデメリットは、必ずしも希望どおりの買収相手が現れるとは限らないということです。
相手がいなければM&Aは成立しません。買収候補が現れても、条件が一致しないことはよくあります。せっかくM&Aを決断したのに徒労に終わらせないためには、自社に適したM&A仲介会社選びが欠かせません。
買収側ののデメリット
パン屋の買収側にもM&Aの懸念点が2つあります。1つは、簿外債務などの経営上のリスクを引き継いでしまう可能性があることです。これは、M&Aを株式譲渡で行った場合に起こり得ます。
株式の譲渡だけでM&Aが成立するのは簡便でよいのですが、売却側企業を包括的に承継することになるため、潜んでいるかもしれない経営リスクも引き継いでしまうのです。この対策としては、成約前のデューデリジェンス(売却企業の精密監査)をしっかり行うしかありません。
もう1点は、売却側の企業価値を見誤り、割高な買収額でM&Aしてしまった場合、投資額を回収できないおそれです。この対策は、M&A仲介会社のアドバイスをよく聞くことにつきるでしょう。つまり、デメリットの回避には、M&A仲介会社の存在が不可欠です。
パン屋の事業売却については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
パン屋のM&Aの費用相場
パン屋・ベーカリー業界におけるM&Aは、業界構造の特徴から、大手上場企業が実施するもの、中小企業が実施するもの、さらに個人経営のパン屋が関わるものの3種類です。それぞれ、経営規模の違いと同様に、M&Aでの投資規模も異なるものになります。
また、大手の製パンメーカーであれば海外企業とのM&Aもあり得るため、対象も多岐です。つまり、パン屋・ベーカリー業界のM&Aとして相場・費用を見極めることは、一概には難しいと言えます。
現実にM&Aを検討しているのであれば、相場や手数料などの費用はいくらぐらいになるか、具体的にM&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどに問い合わせるのが得策です。多くのM&A仲介会社の場合、無料相談を受けつけているので、それを利用するとよいでしょう。
パン屋のM&Aをご検討の際に相談先でお困りでしたら、ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&A案件を取り扱っており、M&Aの知識と経験が豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
パン屋のM&Aにおける買収・売却時の注意点
パン屋のM&Aを実施するにあたり注意すべき点について、買収側と売却側に分けて説明します。
パン屋のM&A・買収時の注意点
パン屋や製パン会社を買収しようとする場合、それぞれにおいて目的があるはずです。M&Aでパン屋や製パン会社を買収することが、本当に自分たちの目的を達成するための手段として最もふさわしいかどうかは、意識して考えるようにしましょう。
一般的に買収を行う場合に考えられる目的は、新たにパン業界へ進出するか、すでに行っているパン屋・ベーカリー事業の規模拡大による強化のどちらかがほとんどです。その目的に合致している売却側を見極めるには、以下の点に着目して検討しましょう。
- 製造・販売しているパンの種類
- 顧客・消費者からの評判(パンの味わい)
- 店舗の立地(パン屋の場合)
- 売上高・営業利益額・負債額
- パンの種類ごとの販売数量
- 固定客の人数(パン屋の場合)
- 所有する資産や設備内容
そして、買収先が定まったら、適切なM&Aスキームを選ぶ必要があります。買収の目的と上記の着目点を照らし合わせ、M&A仲介会社のアドバイスを聞いてM&Aスキームを決めましょう。
パン屋のM&A・売却時の注意点
パン屋・製パン会社を売却しようとする場合、買い手にとって魅力となる事業内容であることをしっかりとアピールする必要があります。独自の強みや商品などの魅力をしっかり示すことができれば、それだけ多くの企業やパン屋が買い手に名乗り出てくれるはずです。
売却を成功させるには、まずは買い手に魅力を感じてもらわなければなりません。特に個人経営のパン屋の場合、自己アピールすることやプレゼンテーションに不慣れな場合が多く、戸惑いがちです。しっかりと事前準備することをおすすめします。
また、他にも準備する必要があるのは(前項の買収側の着目事項と重複しますが)、以下のようなものです。
- 製造・販売しているパンのリスト
- 売上高・営業利益額・負債額などの経営上の数値情報
- パンの種類ごとの販売数量データ
- 固定客の人数データ(パン屋の場合)
- 所有する資産や設備のリスト
さらに、買収側に希望する売却条件には優先度をつけて決めておきます。100%希望が通ることはまれですから、優先度付けがポイントです。そして、売却後、問題なくパン屋を継続していってくれそうな買い手かどうか、買い手選びの選択眼も重要になります。
したがって、よいアドバイスをしてくれるM&A仲介会社選びも注意すべきポイントと言えるでしょう。
食品卸売業界のM&A動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
パン屋のM&A案件の探し方4選
パン屋のM&A案件の探し方としては、主に以下の4つがあります。
- M&A仲介会社などの専門家に依頼する
- 金融機関に相談する
- 公的機関に相談する
- M&Aマッチングサイトで探す
①M&A仲介会社などの専門家に依頼する
最も一般的で確実なM&A案件の探し方は、M&A仲介会社などの専門家に依頼することです。専門家として独自の情報網がありますから、取り扱っている案件数も多く、有望な案件が見つかる可能性も大きいでしょう。
また、M&A仲介会社などの専門家への依頼は、単なる案件探しではなくM&A成約までの業務委託契約になります。その点でも心強い存在です。M&A仲介会社以外の専門家としては、ファイナンシャルアドバイザー、経営コンサルタント、士業事務所などがあります。
②金融機関に相談する
多くの企業は、金融機関から融資を受け事業を行っています。そのため、取引金融機関には企業から経営相談も寄せられており、その中には事業承継やM&Aの相談もあるのです。したがって、M&A仲介会社などが持ちえない案件情報を金融機関が持っている可能性があります。
同一金融機関であれば、各支店間でも情報共有されているので、思わぬM&A案件に出会えるかもしれません。また、昨今は、M&A仲介部門を設ける金融機関も増えてきており、案件探しの相談先として有望と言えるでしょう。
③公的機関に相談する
全国には、後継者不在で事業承継できない中小企業が数多くあります。そのような中小企業を支援するための公的機関がたくさんありますので、希望条件に合うパン屋がM&Aを希望している情報も持っているはずです。相談先として代表的な公的機関には以下のようなものがあります。
- 事業承継・引継ぎ支援センター(各都道府県)
- よろず支援拠点(各都道府県)
- 商工会・商工会議所
④M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトとは、無料の会員登録などによって、サイト上に登録されている売却希望案件や買収希望者の情報が閲覧できるサービスです。閲覧後、交渉した案件があれば、別途、手数料を支払うことなどで当事者間での交渉に進めます(サイトごとに規定が異なります)。
無料で手軽に利用できるため、情報収集という点でとても有用です。また、当事者間でのM&A交渉・手続きに不安がある場合は、別途、M&Aアドバイザーに依頼できるようになっています(有料)。
食品製造業界については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
パン屋業界のM&Aの事例4選
パン屋・ベーカリー業界で実施されたM&Aの具体的な事例を見てみましょう。ただし、個人経営のパン屋のM&Aについては、上場企業などと違って世間に公表されることがないため、その具体事例をこの場で紹介することは、かないません。
ここででは、パン屋・ベーカリー業界の上場企業が行ったM&A3事例を掲示します。
①クリエイト・レストランツHDがサンジェルマンを子会社化
2022年9月、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、日本たばこ産業からサンジェルマンの株式を全て取得し、連結子会社化しました。
クリエイト・レストランツHDは、レストラン事業、居酒屋事業、ラーメン・フードコート事業などを行う企業です。サンジェルマンは、ベーカリー事業などをメインに行っています。
今回のM&Aにより、両社の持つ伝統のブランドと顧客基盤を活用し、新規出店やイートイン強化を含めた投資を進めることで新たな成長戦略を目指します。
②シャトレーゼが菜花堂を子会社化
2022(令和4)年2月、シャトレーゼは、菜花堂の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。シャトレーゼは、洋菓子、和菓子、アイスクリーム、パン、飲料の製造・販売およびFC店の全国展開を行っています。
昭和産業の完全子会社だった菜花堂は、冷凍の和菓子・洋菓子・パン・冷凍生地の製造・販売などを行っている企業です。昭和産業の発表によれば、シャトレーゼに売却した方が菜花堂の企業価値向上につながると判断しました。
③昭和産業がガーデンベーカリーの株式を取得
2018(平成30)年4月、二次加工食品や小麦粉の製造販売などを行う東京の昭和産業が、菓子・食品の製造販売を行う東京のカルビーの子会社で、パンや菓子などの製造販売を行う東京のガーデンベーカリーの株式66.6%を取得しました。
ガーデンベーカリーは、セブン-イレブンの菓子パン・惣菜パンを製造販売しています。昭和産業も子会社グランソールベーカリーとスウィングベーカリーが、セブン-イレブンに小麦粉・ミックスなどの原料供給から焼成までを取引しており、グループとして体制強化を図ったものです。
また、カルビーはガーデンベーカリーの全株式を譲渡したわけではないので、ガーデンベーカリーは昭和産業が主導権を持つものの、カルビーとの共同経営になります。昭和産業としては、今後カルビーとの事業強化を進めたい考えです。
④山崎製パンがBakewiseを子会社化
2016(平成28)年7月、東京の製パン業最大手の山崎製パンは、アメリカの製パン会社であるBakewise Brands, Inc.(以下、Bakewise)の全株式を取得し、100%子会社としたことを発表しました。
山崎製パンは、パン、和洋菓子、調理パン・米飯類の製造・販売、製菓・米菓の販売、ベーカリーの経営、コンビニエンスストア事業など幅広い事業を展開しています。また、長年培ってきた製パン技術による高品質なパン製品を海外で展開するため、海外事業にも積極的です。
すでにアジアでは複数国でベーカリーショップ事業を展開し、インドネシアではホールセールベーカリー事業も行っています。また、アメリカでは1991(平成3)年にVie de France Yamazaki, Inc.(以下、VdFY)を設立し、ベーカリー製品の製造販売事業を進めてきました。
Bakewiseの子会社化は、VdFYと連携して、アメリカにおけるベーカリー事業のシェア拡大をねらったものです。ニューヨーク州にあるBakewiseには、高級アルチザン・ブレッド事業を行う完全子会社Tom Cat Bakery, Inc.もあります。
山崎製パンにとって、Bakewiseがグループに加わったことによって、アメリカにおけるベーカリー事業拡大に向け、このうえない体制が組めたと言えるでしょう。
食品メーカー・食品会社におけるM&Aの売却/買収事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
パン屋のM&A・売却・買収のまとめ
今後、人口減少の加速が見込まれることもあり、食品業界の国内市場は縮小する可能性があります。こうした動向を踏まえ、海外進出や海外事業の強化などを図る企業も増えていますが、パン屋・ベーカリー業界も例外ではありません。
現段階で海外進出が著しく多いというわけではありませんが、今後はM&Aなどを通じて海外事業に焦点を置く企業が増える可能性はあります。一方で、個人経営のパン屋の場合、経営上の問題の解決や事業の強化・拡大を目的にM&Aを行うケースもあるでしょう。
特に経営がどうしても不安定になりやすい個人経営の場合、売却などで経営上の問題を解決するなどのメリットがあります。パン屋・ベーカリー業界におけるM&Aを検討する際には、こうした動向やM&A事例を踏まえ、さまざまな観点から分析を行うことが重要です。
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