2021年4月30日更新節税

節税スキームを有効活用!消費税・法人税・相続税に活用できる節税スキーム

世の中にはさまざまな節税スキームが存在し、とりわけ法人税や消費税に関する節税スキームは多く、大きな節税効果が期待できます。しかし、使い方次第では「租税回避」と見なされる恐れがあるため注意が必要です。今回は、節税スキームに関して詳しく説明していきます。

目次
  1. 節税のスキームの現状
  2. 節税スキームにおける「租税回避行為」
  3. 法人税の節税スキーム
  4. 消費税の節税スキーム
  5. 相続税の節税スキーム
  6. 資産管理会社を用いた節税スキーム
  7. まとめ

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節税のスキームの現状

M&Aの実施後、手元に多くの現金を残すためには、節税対策は必要不可欠です。世の中にはさまざまな節税スキームが存在し、とりわけ法人税や消費税に関する節税スキームは多く、大きな節税効果を期待できます。

しかし、大企業であれば節税に詳しい人材を確保できるかもしれませんが、中小企業では人材が少ない傾向にあり、節税を最大限に実施できていないケースも多くみられます

資金繰りを良くするためには、実際に活用できる節税スキームをいくつか知っておく必要があるでしょう。この記事では、「法人税」「消費税」「相続税」にわけ、それぞれ節税スキームについて解説します。

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節税スキームにおける「租税回避行為」

はじめに、「租税回避行為」について説明していきます。「租税回避行為」は、節税スキームを考える上で重要なポイントであるため、しっかりと押さえておく必要があります。

「租税回避行為」とは?

「租税回避行為」とは、本来課税される取引に対して偽装または合理性のない方法を選択し、通常課せられる予定であった課税条件を免れ、税負担を軽減・回避する行為をさします。

世の中には多種多様な節税スキームが存在しており、実際に効果が期待できるものもあれば、全く効果が現れないものもあります。そのため、節税スキームを選ぶ際には、実際にメリットを得られるかどうかを事前に検証する必要があります。

しかし、たとえ検証の結果メリットが得られる節税スキームであっても、「租税回避行為」と見なされる場合は節税効果が認められなかったり、ペナルティを課せられたりする恐れがあるため注意が必要です。

「節税」と「租税回避」の違い

「節税」と「租税回避」には、どのような違いがあるのでしょうか?

節税とは法律上認められている合法行為である一方で、租税回避行為は税法上意図しないスキームにより税負担を軽減する行為です。つまり、通常ではあり得ない不自然な行為により、合法的に課税を逃れる行為です。

租税回避行為は法律上問題はないものの、税務署から指摘されたり罰則を受けたりする可能性があります。租税法律主義に基づいて課税されるため、本来は法律に規定がない形で税金を徴収される事態には陥りません。

実際に租税回避を巡って裁判沙汰になった事例はいくつかあり、最高裁が国による追徴を取り消したケースもあります。しかし、最高裁まで争えば租税回避行為を認めさせる可能性は高いものの、費用や手間がかかるためおすすめできません。

そのため、はじめから租税回避と見なされないために、実施する節税スキームが課税逃れ目的ではないことを証明できるようにしましょう。今回ご紹介する節税スキームも、活用方法次第では「租税回避」と見なされる恐れがあります。

税務署から指摘された際に、他の合理的理由を説明できるよう対処しておくことが大切です。

法人税の節税スキーム

ここでは、以下の法人税の節税スキームについてお伝えします。

  1. 自己株式の買取スキーム
  2. 経営セーフティ共済

法人税はM&Aにおいて重要な税金であるため、理解しておくと非常に役に立ちます。

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①自己株式の買取スキーム

法人税の節税スキームの中でも、自己株式の買取スキームは安全であり、大きな節税効果が期待できます。自己株式の買取スキームでは、はじめに他社株式を法人名義で買い取り、買い取った株式を購入時と同額でその会社に買収してもらいます。つまり、他社に自己株式の買い取りを実施してもらいます。

このとき、買取時と売却時の価格が変わらないため、損益計算書では利益と損失のいずれも計上されません。

一方、税法上では買い取り方や発行会社の状況次第ですが、株式の売却により自社では株式譲渡損失と受取配当金を計上します。株式譲渡損失は損金に算入できますが、受取配当金は益金に算入されません。

税法上は株式譲渡損失のみ計上するため、益金不算入分だけ所得が減少し、減少した金額にかかる法人税を節税できます。余計な出費を伴わないため、非常に効果の高い節税スキームです。

②経営セーフティ共済

経営セーフティ共済の活用も、法人税の削減に有効な節税スキームです。経営セーフティ共済とは、中小企業倒産防止共済とも呼ばれており、取引先の倒産により自社が倒産する事態を防止する共済制度をさします。

経営セーフティ共済への掛け金は全額損金(経費)として計上できるため、法人税(所得税)を大幅に節税できるのです。掛け金は月額5,000円から20万円まで選べるため、年間最大で「240万円分×法人税率」の法人税を節税できます。

経営セーフティ共済は単なる節税スキームではなく、いざという時に無担保・無保証人で多額の借り入れを実施できるメリットもあります。国が運営している共済制度ですので、租税回避と疑われるリスクもなく活用できる節税スキームです。

しかし、共済解約時に受け取る掛け金は、税法上益金と見なされて課税されるため注意が必要です。

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消費税の節税スキーム

次に、法人の設立による消費税の節税スキームについて説明していきます。消費税の節税スキームとは、法人の設立により、消費税を節税できる可能性をさします。

たとえば、2年前の年間課税売上高が1,000万円を超えていない場合には、消費税が非課税となります。

この仕組みを利用したスキームが法人の設立(法人成り)です。法人を設立してから2年間は消費税課税を判定する期間がないため、消費税は課税されません

消費税の節税スキームの注意点

法律上問題もなく非常に便利な節税スキームですが、いくつか注意すべき点があります。事業年度開始の時点で資本金が1,000万円以上の事業者は、設立後2年間であっても消費税が課税されるのです。

また、設立後2年間であっても、特定期間(当該事業年度の前事業年度開始日から数えて6ヶ月間)の課税売上高と給与支給額の双方が1,000万円を超える場合は消費税が発生します

他にも分割や合併による新設法人の場合は、消費税が課税される場合があります。上記例外規定以外にも状況次第では租税回避と見なされる恐れがあるため注意が必要です。このような注意点があるため、よく検討してから節税スキームを活用しましょう。

個人事業主が法人成りする際には、上記の心配は基本的に不要である場合が多く、効果的に消費税を節税できます。個人事業主の方は消費税の節税もふまえた上で、法人成りを実施することをおすすめします。

相続税の節税スキーム

ここでは、相続税の節税スキームについて以下の2つをご紹介します。

  1. 計画的な暦年贈与
  2. 相続時精算課税制度の活用

①計画的な暦年贈与

暦年贈与とは、贈与税の課税方式の一つであり、暦年贈与を計画的に実施することで、相続税の有効な節税スキームとなります。暦年贈与では、年間110万円までの贈与が非課税で実施できます。

また、相続予定の財産を年間110万以内で毎年生前贈与すれば、贈与税をかけないで相続財産を減らす(移転する)ことも可能です。このスキームにより、相続税と贈与税をいずれも節税した上で財産を移転できます。

この方法は、非常に効果的な節税スキームですが、毎年定額ずつ生前贈与をするため租税回避を疑われるリスクがあります。しかし、租税回避を疑われるリスクはあるものの、非常に効果的な相続税の節税スキームです。

②相続時精算課税制度の活用

贈与税の課税方式には、暦年課税以外に「相続時精算課税」と呼ばれる制度があり、こちらも有効な節税スキームとなり得ます。相続時精算課税制度では、一人当たり2,500万円までの贈与を非課税で実施できます

しかし、相続時精算課税制度を用いて贈与した財産は、後々の相続税計算に加えることになるため、計画次第では節税とならない可能性もあります。相続時精算課税制度を利用する際は、計画的に節税を図ることが重要です。

資産管理会社を用いた節税スキーム

最後に資産管理会社を用いた節税スキームについて解説します。

一個人で不動産を多数所有している場合、一個人に所得が集中するため所得税負担が大きくなります。しかし、資産管理会社を設立して、家族が会社から給与を受け取る形にすれば、節税の効果が期待できるのです。

法人税と所得税の税率は異なっており、同じ収益でも手元に残る利益が異なります。また、給与所得は累進課税(所得が多いほど税率が高くなる)であるため、家族で所得を分配すれば、トータルの税負担が大幅に軽くなるのです。

この方法は非常に効果の高い節税スキームですが、「租税回避」と見なされる恐れがあるため注意が必要です。さらに、租税回避のリスクだけでなく、資産管理会社に不動産を移転する際に「登録免許税」と「不動産取得税」がかかる点にも注意しなくてはなりません。

資産管理会社の利用は非常に効果的であるものの、必要となる税法の知識が複雑であるため、税理士に相談することをおすすめします。

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まとめ

今回は節税のスキームについて解説しました。世の中にはさまざまな節税スキームが存在しますが、「租税回避」と見なされる恐れもあるため注意が必要です。また、法人税や消費税に活用可能な節税スキームでは、使い方次第で大きな節税効果が期待できます。

しかし、節税スキームの多くは高度な専門知識が必要であるため、税理士の助力を得た上で実施することをおすすめします。専門家の力を借りて節税スキームを有効活用し、会社の資金繰りを安定させましょう。

要点をまとめると下記のとおりです。

・「節税スキーム」と「租税回避スキーム」

→納税額を減らすためだけの不自然な行為は租税回避行為と見なされる恐れがある

・法人税の節税スキーム

→自己株式の買取スキーム、経営セーフティ共済

・消費税の節税スキーム

→法人の新設(法人成り)、不動産を用いた消費税還付

・相続税の節税スキーム

→計画的な暦年贈与、経営セーフティ共済

・資産管理会社を利用した節税スキーム

→個人が保有する不動産を資産管理会社で管理することで、節税に繋がるケースがある

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