2021年12月19日更新節税

純金積立とは?メリット・デメリット、手数料を解説

純金積立とは、毎月一定の金額を積み立てて純金を購入する投資をさします。毎月1,000円から積み立て可能のサービスもあり、少額で投資を開始できる点が大きなメリットです。そこで本記事では、純金積立の特徴や純金積立が向いている人について解説します。

目次
  1. 純金積立とは?
  2. 純金積立のメリットとは?
  3. 純金積立のデメリットとは?
  4. 純金積立を扱う会社を比較
  5. 純金積立の主な手数料
  6. 純金積立に向いている人とは?
  7. 積立投資の始め方
  8. 純金積立のまとめ

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純金積立とは?

純金積立とは、月次で決まった金額を積み立てし、純金を購入していく投資方法のことです。純金積立は金投資のひとつであり、田中貴金属工業や三菱マテリアルなどの会社のほか、SBI証券をはじめとするネット証券・住信SBIネット銀行を含むネット銀行などでも取り扱われています。

ここからは、純金積立の仕組みや特徴についてポイントを解説します。

純金積立の仕組み

純金積立は、はじめに申し込みを行っておけば、運営会社が定額あるいは定量で毎月自動的に金を購入してくれます。最近では、株式・投資信託などと同じように、インターネットから純金積立を申し込める運営会社も増加中です。

また、スポット取引を利用すれば、ボーナス月などに臨時の買い増しも行えます。

金投資とは何か?

金投資は、貴金属の金(きん)に対する投資です。金投資の大きな特徴は、実物自体が価値を持つ金に投資する点にあります。金は普遍的価値のある実物資産であるため、景気の動向により価値が失われることはありません。この点は、株式などの有価証券と比較すると非常に大きな利点です。

株式投資は企業の影響を直接的に受けるため、株価急落などのリスクがあります。例えば、企業が倒産したとき株式の資産価値はなくなりますが、その一方で金投資はそれ自体が価値を持つ金に投資するため、企業の業績の影響を受けません。景気の影響を受けにくい点において、金は安全資産といえます。

また、世界経済や世界情勢が不安定になれば、金への投資は増える傾向にあります。株式や国債に投資するより、金に投資した方が安全であるためです。これにより金の価値は上昇するため、この点でも金は世界共通の安全資産だといえます。

このような金に投資する手法を金投資と呼び、そのひとつとして純金積立が知られています。

純金積立の特徴

純金積立は、毎月一定の金額を積み立てて純金を購入する投資手法です。例えば、月々1,000円〜3,000円などの少額で投資を開始できます。多額の初期費用は必要なく、気軽にコツコツ積み立てられる点が大きな特徴です。そのため、時間と手間をかけずに投資を進められます。

購入した金は、取扱会社に預けます。実物の金を自身が管理するわけではないため、管理コストなどの手間もかかりません。

現物化や現金化の流れ

積み立てた金額は、金地金をはじめ金貨・金のジュエリーなどと交換可能です。また、売却や解約による現金化も行えます。

純金積立に関する税金

純金積立では、利益・損失が生じた場合、ケースごとに税務処理が必要です。税務処理の際に困らないよう、純金積立における所得の取り扱いについて最低限把握しておきましょう。

利益が生じた場合

純金積立で購入した金や金地金など、保有していた現物により売却益が生じた場合の所得は、譲渡所得・雑所得・事業所得のいずれかに該当します。具体的にいうと、一般的な会社員であれば譲渡所得・営利目的の売買であれば雑所得・事業による売買であれば事業所得です。

譲渡益については、他の譲渡益と合わせて年間50万円までの特別控除枠を利用できます。また、課税対象となる譲渡所得の計算方法は、保有期間に応じて異なる点も特徴的です。例えば、純金積立で保有期間が5年を超える場合は、譲渡所得金額が半分になります。

損失が生じた場合

純金積立で保有していた現物の売却により損失が生じた場合、譲渡所得であれば他の譲渡所得と合わせて損益通算できます。具体的にいうと、絵画やゴルフ会員の売却による所得などと合算可能です。これと同様に、雑所得の損益通算に関しても、他の雑所得と合算できます。

ただし、純金積立に関する税金の判断は、業者ごとに異なる点に注意しましょう。そのため、所得の種類の判断に迷った場合は、税務署や国税庁のHPなどで確認すると良いです。

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純金積立のメリットとは?

本章では、株式や国債などさまざまな投資方法がある中で、純金積立を選んで活用する理由を把握するために、純金積立のメリットを整理します。

少額で投資を開始可能

純金積立は、月1,000円から少額で投資を開始できる点に大きなメリットがあります。金地金を購入する場合は一般的に数百万円程度かかりますが、純金積立では多額の資金をまとめて用意する必要がありません。

ドルコスト平均法による積立購入となる

純金積立では、継続的に同金額の商品を買うドルコスト平均法と呼ばれる方法が採用されています。ここでは、ドルコスト平均法の仕組みについて把握しておきましょう。日々価格が変わる金は価格変動リスクがあるため、「毎月○グラムの金を買う」と決めている場合は月々により購入金額が変わります。

その一方で、「毎月○円しか買わない」と決めれば、月々で購入する金の量が変わります。例えば、月3,000円と決めた場合、いかなる月でも3,000円分しか購入しません。これにより、金が高値のときは購入量が減り、安値のときは購入量が増えます。

こうした「毎月○円しか買わない」という仕組みが、ドルコスト平均法です。ドルコスト平均法では、購入価格の平均化により価格変動リスクを抑えられるため、リスク分散に効果的だといえます。

スポット購入が可能な場合も

純金積立では、毎月決まった金額を購入する方法だけでなく、スポット購入が可能な場合もあります。この購入方法であれば、金の価格が下がった場合や資金に余裕が生じた場合などに任意の金額分購入することが可能です。

購入のタイミングを都合に応じて設定できる点やWeb・電話などで気軽に買い増しできる点などは、大きなメリットです。なお、スポット購入の1種として月間スポット積立購入があり、スポット購入とドルコスト平均法それぞれの利点を生かせます。

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純金積立のデメリットとは?

純金積立を検討する場合、メリットだけでなくデメリットも把握して総合的に判断しなければなりません。ここからは、純金積立のデメリットについて取り上げます。

短期間で利益を出しにくい

純金積立に採用されているドルコスト平均法は、価格変動リスクを抑えるなどのメリットがある反面で、短期間で利益が出る方法とはいえません。その性質上、コツコツ積み立てていくため、短期的に利益を出したい場合は他の投資手法も検討する必要があります。

手数料に注意する必要がある

純金積立では、年会費や購入手数料などの手数料が発生します。例えば、1,000円の年会費が発生したり、毎月購入時に2%程度の手数料が発生したりなど、会社ごとに金額や割合が設定されているのです。

ただし、取り扱う会社によっては年会費および購入手数料がかからないケースもあります。特にネット証券の場合は、年会費無料で利用できるサービスも多いです。純金積み立てを利用する場合は、手数料の有無を事前に確認しましょう。

価格変動に影響を受ける

ドルコスト平均法により購入金額を一定に調整できますが、金の価格は日々変化するため価格変動のリスクがないわけではありません。なぜなら、売却時の金額が投資金額を下回れば損失が発生するからです。

金は実物自体に価値があるため価値はなくなりませんが、価格変動のリスクについて最低限考慮する必要があります。的確なタイミングで売却して利益をあげるためにも、市場動向をこまめにチェックしましょう。

100%返還されない場合もある

純金積立の純金の預かり形式は、2種類に分かれます。具体的にいうと、所有権を契約者に帰属させたまま純金を管理する「混蔵寄託方式」と、純金の所有権が運営会社に移転する「消費寄託方式」です。このうち消費寄託方式のケースでは、運営会社の倒産時に積み立てた金額が100%返還されないおそれがあります。

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純金積立を扱う会社を比較

本章では、純金積立を扱っている主な会社について比較します。

ネット証券

ネット証券では年会費が無料に設定されているケースが多く、メリットが大きい傾向にあります。主なネット証券の手数料などを以下の表で比較しました。

  積立額 購入手数料 年会費 預かりタイプ
楽天証券 毎月1,000円から(1,000円単位) 売買代金の2.7%(税込)・売却時0円 無料 消費寄託
SBI証券 毎月1,000円から(1,000円単位) 売買代金の2.16%(税込)・売却時0円 無料 特定保管
マネックス証券 毎月1,000円から(1,000円単位) 売買代金の2.7%(税込)・売却時0円 無料 消費寄託

参考:純金積立って儲かる?メリット・デメリットと会社比較をまとめて解説(株式会社想研)

いずれのネット証券でも、積立額は毎月1,000円から対応しています。また、3社とも売買手数料は購入時のみ必要であり、売却時には発生しません。購入手数料については、SBI証券が2.16%で最も低いです。3社とも年会費が発生しない点も特徴だといえます。

その他

次に、ネット証券以外の会社について比較します。主な会社の手数料などは、以下のとおりです。

  積立額 購入手数料 年会費
三菱マテリアル
(三菱ゴールドパーク)
毎月3,000円から 月額積立購入金額1万円以上:1,000円につき25円
月額積立購入金額1万円未満:1,000円につき30円
(いずれも税込)

864円(税込)

田中貴金属工業
(田中貴金属の純金積立
〔旧商品名:金定額総合口座、プラチナ定額口座〕)
毎月3,000円から <積立手数料率>
1カ月の積立金額合計3,000円~2万9,000円:2.5%
1カ月の積立金額合計3万円~4万9,000円:2.0%
1カ月の積立金額合計5万円以上:1.5%
 
1,080円(税込)
住信SBIネット銀行 毎月1,000円から 購入代金1,000円につき月額25円(税込) 無料
KOYO証券 毎月3,000円から 無料 1,500円(税込)

参考:純金積立って儲かる?メリット・デメリットと会社比較をまとめて解説(株式会社想研)

上記の表を見ると、積立額・購入手数料・年会費がそれぞれ異なっていることがわかります。例えば、KOYO証券では、年会費がかかるものの購入手数料は無料です。住信SBIネット銀行では、毎月1,000円から積立可能なうえに年会費も無料であり、ネット証券との共通点が見られます。

その一方、上記で挙げたうち3社のサービスでは、積立額はいずれも月3,000円からと設定されています。また、いずれの会社でも年会費がかかる点は、ネット証券との大きな違いです。自身の資金状況に応じて会社を選び分けると良いでしょう。

純金積立の主な手数料

純金積立の代表的な手数料には、購入手数料と年会費の2つが挙げられます。購入手数料とは、毎月純金を購入する際に発生する手数料のことです。購入手数料には、売買代金に一定割合を乗じて計算されるケースや、金額ごとに手数料が決まっているケースがあります。

例えば、「取引手数料:売買代金の2.5%」「購入(買付)時のみに手数料が発生する」と規定されていれば、代金の2.5%が手数料として発生します。また、「購入手数料:購入金額○円までは購入金額1,000円につき30円」のように、金額ごとに手数料が定められているケースも少なくありません。

次に、年会費とは、毎年発生する会費のことです。ただし、会社によっては年会費が無料に設定されているケースもあります。

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純金積立に向いている人とは?

純金積立のメリットやデメリットを把握したところで、本章ではどのような人が純金積立に向いているのか具体的にまとめました。

少額で投資を開始したい人

そもそも投資は、資金を用意できず断念してしまう事例も少なくありません。例えば、金地金を購入する場合は一般的に数百万円程度かかります。しかし、純金積立であれば毎月1,000円〜3,000円程度の金額で投資を進められるため、少額で投資を開始したいと考えている人におすすめです。

ある程度長期的な視点で投資をしたい人

性質上、純金積立は短期的に利益が得られる仕組みではないため、結果を急ぐ人にはおすすめできない商品です。毎月コツコツ積み立てながら投資を進めて、適切なタイミングを慎重に見極めて利益につなげることが大切であるため、長期的に投資を継続できる人に適しています。

初心者の人

投資に関する知識がそれほどない状態で、リスクの高い投資を行うことは適切ではありません。初心者であれば、リスクが比較的少なく安定している分野で投資を行うのが無難です。そこで、純金積立は、投資初心者にも向いています

なぜなら、資産そのものが安定していることに加えて、少額で投資を開始できるためです。とはいえ、価格変動による影響が少なからずある点や、利益を得るまでに時間がかかる点などのデメリットは事前に把握しておきましょう。

分散投資を考えている人

いかなる投資方法にも、ある程度のリスクは発生するため、リスクをどのように分散するかが重要です。リスクの分散方法のひとつに、分散投資があります。分散投資とは、複数の投資先に投資を分散させることです。例えば、株式と債券の2つに投資するケースが該当します。

もしも株式のみに投資している場合、株価が下落すれば投資自体が失敗して損失を被ります。しかし、債券にも投資していれば、利子で損失をカバーできる可能性があるのです。このように分散投資では、ひとつの投資先で大きな損失が発生しても、他の投資先で出た利益が大きければ損失を補填できます。

金投資は、分散投資の一環として活用できます。世界経済が不安定な状況で株式や国債のいずれかに偏った投資を行っていると、大きな損失を被る可能性が高いです。その一方で、株式・国債・金に投資を分散させれば不測の事態に備えられるため、分散投資を考えている人にも純金積立は向いています。

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積立投資の始め方

最後に、積立投資の始め方として、以下の4ステップに分けて取り上げます。

  1. サービス会社を選定
  2. 総合口座の開設
  3. 専用口座の開設
  4. 入金・取引の開始

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①サービス会社を選定

まずは、純金積立を取り扱うサービス会社を選定します。サービス会社により商品内容や手数料は多種多様であるため、自身の資金状況に応じたサービス会社を選びましょう。とはいえ、最も大切なポイントは、自身が信頼できる会社を選ぶことです。

純金積立を通じて大切な資産を預ける会社を選ぶ重要なプロセスであるため、HPや資料請求などを閲覧して商品内容をよく確認したうえで納得できる会社を選ぶことがおすすめです。

②総合口座の開設

地金商・金属メーカーをとおして純金積立を行う場合、専用の預金口座の開設は求められず、総合口座の開設のみで足りるケースが多いです。

③専用口座の開設

証券会社で純金積立を行う場合、一般口座(総合取引口座)の開設後に専用口座の開設が求められるケースがあります。

なお、専用口座を解説する代わりとして、オンラインサービスなどで純金積立の設定変更を行えば済む場合もあるため、詳細はサービス会社に確認しましょう。

④入金・取引の開始

純金積立では、毎月自身が指定した金融機関の預金口座から引落とされるため、申込時に引落口座と月々の積立金額を設定しておくと良いでしょう。

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純金積立のまとめ

純金積立とは、毎月一定の金額を積み立てて純金を購入する投資です。毎月1,000円から積み立て可能のサービスもあり、少額で投資を開始できる点が大きなメリットです。

近年ではネット証券でも純金積立が取り扱われており、年会費無料のお得なサービスも見られます。

純金積立は、実物自体に価値がある金に投資します。そのため、株式や債券などと比較すると景気の影響を受けにくく、リスクも比較的低い傾向です。また、分散投資として活用できる点もメリットといえます。

そして純金積立はコツコツ積み立てる投資手法であり、毎月一定の金額を投資するドルコスト平均法を採用しています。短期的に利益が得られる投資ではないため、長期的に投資を継続できる人におすすめです。

購入手数料や年会費などの手数料が発生するため、会社ごとの料金体系を確認しなければなりません。純金積立を検討する際は、メリット・デメリットをはじめ向いている人の特徴や各社のサービス内容を踏まえたうえで、総合的に判断しましょう。本記事の要点は、以下のとおりです。

・純金積立のメリットとは?
→少額で投資を開始可能、ドルコスト平均法による積立購入となる、スポット購入が可能な場合も

・純金積立のデメリットとは?
→短期間で利益を出しにくい、手数料に注意する必要がある、価格変動に影響を受ける、100%返還されない場合もある

・純金積立の主な手数料
→購入手数料と年会費

・純金積立に向いている人とは?
→少額で投資を開始したい人、ある程度長期的な視点で投資をしたい人、初心者の人、分散投資を考えている人

・積立投資の始め方
→サービス会社を選定、総合講座の開設、専用口座の開設、入金・取引の開始

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