M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年4月12日更新会社・事業を売る
M&Aに成功した企業の戦略・事例6選!成功のポイントを徹底解説!
M&A成功企業の事例を見ることで、実際に成功させた企業の戦略や考え方からM&Aを成功させるヒントが得られます。この記事ではソフトバンク、楽天、日本電産、ガーデングループ、日本たばこ産業(JT)の6社を取り上げて解説します。
M&A成功企業
これまでに多くの企業がM&Aを実施していますが、M&Aは成功率が3割~5割程度と低く、成功企業は確かに存在するものの、残念ながら失敗する企業のほうが過半数以上となっているのが現状です。
このような中で、M&Aを成功させた企業の戦略や考え方は有益な情報です。そこで本記事では、M&Aの成否の判断基準とともに、M&A戦略を活用して成功している国内企業の事例をご紹介します。
M&Aの成功とは
そもそもM&Aの成功はどのように判断するのかについてですが、それには明確な正解はありません。M&Aの成功・不成功の判断は企業がM&Aを行う目的によって異なり、予想していた効果やそれ以上の効果が目に見えてきたときに成功したと言えます。
目的・目標の達成
M&Aを実施するほぼすべての企業は、それぞれがさまざまな目標を持っています。例えば、売り手となる企業は主力事業への集中や会社を存続させて従業員の雇用維持を目的にしているケースが多いです。
一方で、買い手となる企業は、事業規模の拡大や多角化を目的にM&Aを実施しています。その目的の達成を測る尺度として、売上高や販売数の目標も同時に設定し、M&Aの実施によってその目的・目標を達成できればM&Aは成功したと言えるでしょう。
シナジー効果の獲得
M&Aの成功を測る尺度としては、シナジー効果も重要な指標の一つです。相乗効果とも呼ばれるシナジー効果とは、ある事業をそれぞれ個別に実施しているときよりも、一つの事業者が運営した方がその効果が大きくなる効果のことをいいます。
例えば、A社とB社がそれぞれ1億円ずつ売上をあげていたとします。M&A後に2億円以上の売上高を獲得するようになればシナジー効果が生じたと考えられ、M&Aは成功したと言えるでしょう。
また、M&Aのシナジー効果には技術獲得や財務、コスト面でのシナジー効果もあります。シナジー効果は自社の既存事業と関連性が高い企業(事業)がM&Aの相手であるほど効果を得られやすく、その意味ではいかに条件がマッチした売り手を、買い手が探しだせるかが重要です。
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ソフトバンクの事例
通信業界最大手のソフトバンクは、株式公開当初はソフトウエア流通事業を運営していましたが、2001年に通信事業へと参入して2004年には通信事業を軌道に乗せるために、日本テレコムとM&Aを実施しました。
このM&Aにより、国内での通信事業の規模拡大を実現すると同時に、組織能率の向上やインフラ統合による費用節減を達成。その後、イギリスのボーダフォンを1兆円以上かけて買収するなど、M&Aにより通信事業の規模を急速に拡大させました。
他にも、イーアクセスやスプリント社などとM&Aを実施して圧倒的なシナジー効果を生み出すことに成功し、株式公開から20年で約86倍も売上高を伸ばし、売上高の成長度合いだけで見ると日本国内ではトップクラスの成功企業です。
確実に目標を達成してきた
M&Aには巨額な出資が必要であるため、大企業一社を買収することはハイリスクです。しかし、その大きなリスクを背負ってでも確実に目標を達成させたソフトバンクは、国内でM&Aを活用して成功した企業の代表例です。
経営者の卓越したリーダーシップと将来のトレンドを見極める力があるからこそ、ここまでの企業に成長できたと言えます。
楽天の事例
楽天といえば、旅行や銀行、ショップなどのあらゆるサービスをインターネット上で提供している企業ですが、その土台はM&Aによって作られました。インターネットがまだ発展途上であった2000年代初頭から、楽天は他社に先駆けて自社に必要なサービスを取得する目的でM&Aを積極的に活用しました。
まずは、IT分野企業とのM&Aを進めて「楽天経済圏」の基盤を確立し、その後2003年には楽天トラベルの前身である「マイトリップネット」を、楽天証券の前身である「DLJディレクトSFG証券」をそれぞれ買収して、さらにアパレル系ECサイトなどの異業種企業を次々と買収して事業を拡大させています。
大きなシナジー効果を得ることに成功
楽天は、最初に確立したインターネットの基盤と証券やアパレルなどの各分野を結びつけることで、売り上げやコスト面で大きなシナジーを生み出すことに成功し、楽天は名実共にM&Aの成功企業となりました。また、2000年代半ばからはクロスボーダーM&Aにも着手しており、海外市場へも販路を拡大し続けています。
M&Aを実施する目標とシナジー効果のいずれも達成させており、教科書通りのM&A成功企業と言えるでしょう。
日本電産の事例
「世界No.1の総合モーターメーカー」というキャッチフレーズを掲げる日本電産も、M&Aの成功企業の代表例です。M&Aの性質を活かして自社事業であるモーターに関連する事業(企業)を集中的に買収することで、スピーディーに事業規模を拡大しています。
同業種をターゲットに国内・国外問わず560社以上ものモーターメーカーをM&Aにより買収し、研究開発・売り上げ・コストなどあらゆる面で高いレベルのシナジー効果を生み出しています。
売り手企業に配慮した経営
成功企業として名高い日本電産ですが、そのM&A戦略にも成功企業たる所以(ゆえん)が見受けられます。通常、M&Aを実施した後は買収した側が経営権を掌握して自社の考え方や戦略に基づいて事業を運営するのですが、これに対して日本電産は、M&A後も売り手企業に配慮した経営を実施する傾向が強いです。
経営陣や従業員を引き続き起用するだけでなく、相手企業のブランドを残してモチベーションや安心感を向上させてM&Aの効果が最大限発揮されるよう配慮しています。M&Aが失敗する最たる要因と言われる従業員のモチベーション低下や離職を防止する戦略が、日本電産を成功企業にした大きな理由だと言えるでしょう。
ガーデングループの事例
これまでは、ソフトバンクや楽天といった有名な大企業をM&A成功企業として取り上げましたが、比較的規模が小さくてもM&Aの成功企業は存在します。その一つがカラオケ店「サウンドジョイ」などを運営するガーデングループです。
ガーデングループは、カラオケ以外にも家系ラーメンの系列店「壱角家」やステーキの系列店「鉄板王国」も運営しており、業種に関係なく業績不振に陥っている企業をM&Aにより買収して事業を再生させる形で事業規模を拡大させる戦略を取っています。
従業員教育など現場から事業再生を図る
ガーデングループは、経営面だけでなく従業員教育などを通じて現場から事業再生を図る戦略を取り、数々の再生型M&Aを成功させています。
業績不振の企業を割安な価格で買収して、自社の事業再生ノウハウにより業績回復を図る高難度の戦略が、ガーデングループがM&Aの成功企業となった秘訣です。
日本たばこ産業(JT)の事例
最後にご紹介するのは、日本タバコ産業(JT)です。意外と知られていませんが、JTもM&A成功企業の一つであり、1999年にRJRナビスコ社から米国外たばこ事業を買収して販売本数を約10倍まで拡大させるなど、クロスボーダーM&Aでは国内トップクラスの成功企業だと言えます。
クロスボーダーM&Aで多くの売上シナジーを生み出した
クロスボーダーM&Aにおいて、JTほど売上シナジーを生み出した企業は少ないです。1999年のM&Aが成功した背景には、マーケティングの強化より世界的な知名度を向上させることができたことにあります。
この買収により自他共に認めるM&A成功企業となったJTは、培ったノウハウを以後のM&Aで最大限に発揮し、2007年にGallaher社とM&Aを実施した際には、わずか100日程度で統合作業(PMI)を完了させて素早く事業を軌道に乗せることに成功しています。
この他にも数々のクロスボーダーM&Aを実施し、JTはグローバル規模でタバコの主要メーカとしての地位を確立しました。
ニデック(日本電産)の事例
ニデックは精密小型から超大型までの幅広いラインナップを誇るモーターの世界大手メーカーです。
企業の持続的な成長の原動力として、早い時期からM&Aを戦略的に行っています。「回るもの、動くもの」に特化しており、技術・販路を拡大するために「時間を買う」といった考えのもと、M&Aを実施しているのです。
ニデックは、中堅・中小企業とのM&Aを数多く実施しているのが特徴です。
数多くの中小企業とのM&Aで急成長
ニデックは、2023年までにM&Aを行った企業は73社です。2023年11月、岡山の工作機械メーカーのTAKISAWAに対して、同意無き買収提案を公表するとともに行ったTOBは大きな話題となりました。本案件は、同意無き買収提案の成功事例といえるでしょう。
M&A成功事例まとめ
今回は、M&Aの成功企業を6つ取り上げて、それぞれの企業のM&A戦略を見ていきました。M&Aの成功は決まった答えがなく、当初の目標・目的を達成した場合やシナジー効果を生み出した場合に成功と呼べ、成功の定義はM&Aを実施する企業によって異なります。
今回ご紹介したソフトバンク、楽天、日本電産、ガーデングループ、日本たばこ産業(JT)の5社を見ても成功した理由や戦略がそれぞれ違うように、成功したポイントを参考に戦略を学んでM&Aを実施しましょう。
また、M&A実施の際は専門家のサポートを得ることをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。