M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月19日公開業種別M&A
家事代行サービス業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
家事代行サービスとは、ハウスクリーニングを中心とした家庭内での作業を代行するサービスです。今回は、家事代行サービス業界の最近の動向と、M&Aを行う場合の売却・買収側のそれぞれのメリット、実際の事例やM&A上の注意点を解説します。
目次
家事代行サービス業界の動向
近年、コロナ禍による影響で家事代行の需要が拡大してきました。家事支援サービスを行う主要10社の売上高も、前年度比で増加傾向です。
また、人々の働き方やライフスタイルが多様化し、時間有効化のために家事代行サービスを積極的に利用するユーザーも拡大しています。ニーズは柔軟性を帯びながら、右肩上がりの傾向といえるでしょう。
家事代行サービス会社のM&Aのメリット
家事を代わりに引き受ける家事代行サービスは、共働き世帯・高齢者世帯の増加に伴って、ユーザー拡大が著しい分野です。近年では、外国人を正社員に雇い人材育成をスタートさせた企業もあります。
将来は6000億円規模の市場に発展すると予想されています。そのため、M&Aの対象としてのメリットも目立ってきました。
売却側のメリット
M&Aを通じることで、売却(譲渡)側には、以下のようなメリットが生まれます。
- 後継者問題の解消
- 既存の雇用維持が可能
- 経営の責任からの解放
- 将来的不安を払拭
まず、後継者の不在問題を解決し、安心したリタイアができます。中小企業の場合、経営者当人とその家族が連帯保証や個人資産を担保にしていることも珍しくありません。
M&Aで成約すれば、経営権が移動するため連帯保証や担保提供などの重責が解除されます。とくに高齢でありながら家事代行サービスを展開する経営者にとっては都合の良い流れになるでしょう。
そして、複数の従業員を雇う企業なら、そのまま雇用維持ができるので、スタッフが再就職などの手間や不安を抱える必要がありません。事業者の多くが考える将来的な不安は、M&Aによって解決の糸口をつかめます。
買収側のメリット
一方で、企業を譲り受ける買収側にとっても大きなメリットが生じます。
- 事業規模の拡大
- 新規顧客の獲得
- 新規ノウハウの獲得
- 優秀な人材の確保
M&Aで買収する大きなメリットは、規模拡大の恩恵を享受できることです。原価低減、間接コスト低減などの副産物も生まれることでしょう。
また、新規顧客をそのまま獲得できることや、今までの自社にはなかった新しいノウハウ、人材を獲得できるのもメリットです。自社の経営を飛躍的に向上させる要素を譲り受けることになります。
家事代行サービス業界のM&A・売却・買収事例6選
家事代行サービス業界では、実際にどのようなM&Aでの売却・買収が行われているのでしょうか。過去に行われた家事代行サービス業界でのM&Aを介する売却と買収の事例を6つ紹介します。
フルキャストホールディングスがミニメイド・サービスをM&Aした事例
2018年6月29日、株式会社フルキャストホールディングスは取締役会にて、ミニメイド・サービス株式会社の全株式を取得して子会社化に成功したことを報告しています。
ミニメイド・サービスは、国内家事代行サービスのパイオニアとして約30年の実績を積み、日本初の家事代行サービス認証を受けている顧客満足度の高いノウハウを築いてきました。
人材サービスを主力としたフルキャストホールディングスは、軽作業分野の人材サービスと接点があるため、ミニメイド・サービスの行き届いた家事代行ノウハウによって、さらなる相乗効果が生み出せると判断し、M&Aによる参入を決定させたのが理由です。
参考:ミニメイド・サービス株式会社の株式取得に関するお知らせ
ニチイ学館が西安海鑫家政清潔工程有限公司をM&Aした事例
2016年12月31日、ニチイ学館は、中国にて清掃・家事代行サービスの西安海鑫家政清潔工程有限公司をM&Aにて傘下に収めました。
西安海鑫家政清潔工程有限公司は、中国にて清掃や家事代行サービスで知られています。職業訓練学校も運営していることで人材養成のノウハウを得ている企業です。
よって、生活支援サービスでの人材養成機能と、西安市の事業基盤強化という大きなメリットを取得することができました。
参考:西安海鑫家政清潔工程有限公司をグループ会社化
ニチイ学館が大連九鼎互聯科技発展有限公司をM&Aした事例
2015年8月31日に、ニチイ学館は大連九鼎互聯をグループ会社化するM&Aに成功しています。大連九鼎互聯は、中国の遼寧省大連市にて、高齢者宅向け家政サービスの提供や、介護サービス・養老介護員の管理業務を行う企業です。
理由は先述した西安海鑫家政清潔工程有限公司と同様で、中国本土への進出と基盤固めを目標としたものでした。これにより、大連市を中心とした都市での、介護業務の拡大とノウハウを得ています。
参考:大連九鼎互聯科技発展有限公司をグループ会社化
ニチイ学館が安徽賽菲家庭服務管理有限公司をM&Aした事例
2015年4月28日、ニチイ学館は、中国にて家事代行および産前産後ケアサービスをメイン業務とした安徽賽菲家庭服務管理有限公司とのM&Aを成功させ、子会社化させています。安徽賽菲家庭服務管理有限公司は、2010年9月より家事代行の派遣事業を開始し、職業訓練校も運営していました。
産前産後ケアに特化した家政婦やベビーシッターの養成に強い企業のため、ニチイ学館は、そのノウハウと事業基盤に魅力を感じて、中国でさらなる事業強化をもくろんだことがきっかけです。
参考:安徽賽菲家庭服務管理有限公司をグループ会社化
ニチイ学館が武漢尓邦家政有限公司をM&Aした事例
2015年4月20日、ニチイ学館は武漢尓邦家政有限公司とのM&Aの合意に達しています。武漢尓邦家政有限公司は、湖北省武漢市にて不動産管理事業を展開している「武漢克林物業管理顧問有限責任公司」が出資する法人でした。
武漢市内にて家政サービスを業務としていて、家政婦のスペシャリスト養成にも力を注いでいます。ニチイ学館は、そのノウハウを生かしながら中国での事業展開の足掛かりとしました。
参考:武漢尓邦家政有限公司をグループ会社化
イオンディライトがカジタクをM&Aした事例
2019年11月29日、国内ファシリティマネジメントの大手であるイオンディライト株式会社は、株式会社カジタクの家事支援事業を新設会社に承継させ、100%子会社とする決議を公表しました。
元々カジタクは家事代行サービスとマルチコピー機・写真プリントなどの端末機を通じた店頭支援事業や、店舗やマンション管理ビジネスにも着手していた企業です。
ところが、複数年にわたる不正会計処理問題が発覚してしまいました。そこで、イオンディライトは今後の家事代行サービス事業の拡大を見込み、経営リソースの集中のためにM&Aを行いました。
参考:イオンディライトがカジタクを子会社化
家事代行サービス会社のM&Aをする流れ
家事代行サービスでのM&Aを実施する場合の流れは、以下のような順序で進行します。
- 専門家に相談
- 自社情報の整理と売却先の選定
- デューデリジェンスの実施
- 最終合意契約書の締結
- 従業員・利用者や取引先への説明
専門家に相談
M&Aを検討する際は、専門家への相談からスタートするのが一般的です。M&Aの細かいルールについては、知識を持った専門家からのサポートを受けたほうが成約率がを高まるでしょう。
さらには、M&Aの専門家の中から、家事代行サービス業に精通した業者や、過去の経験実績がある会社、規模などを比較し、できるだけ信頼できる専門家を選ぶことです。
家事代行サービス業界で事業譲渡を適切に行うには、家事代行サービス業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&A支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、小売業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
自社情報の整理と売却先の選定
ある程度のM&A専門業者の厳選ができたら、自社の資産・負債などの情報を整理しておきましょう。それらに基づいた希望条件を決めつつ、譲渡する企業への提示資料を作成していきます。
また、候補先について専門家を通じて交渉フェーズへの検討を重ね、売却側・買収側双方の経営トップによる面談を行います。基本的な方向性や具体的な交渉を重ね、大筋で合意したら「基本合意契約書」の締結へと進めていく流れです。
デューデリジェンスの実施
譲渡先が決定し情報整理ができたら、デューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、「調査・監査」という意味です。
売却側の価値・リスクを評価して本契約に進んでよいかの判断材料にします。その上で、双方の売買条件の最終調整を行って合意へと至ります。
最終合意契約書の締結
デューデリジェンスを行って問題点などの指摘や改善がなければ、最終合意契約書の締結へと進みます。最終契約書の詳細には、譲渡金額・対象や表明保証、クロージングの前提条件などが書かれているはずです。
また、全項目について法的拘束力が生じていきます。もし意図的な契約破棄をした場合、内容によっては損害賠償にもかかわるものなので、とても重要な場面となっていくことでしょう。
従業員・利用者や取引先への説明
クロージングとして欠かせないのが、自社スタッフや顧客・取引先へのM&Aに関することの説明です。経営者が抜けた後でも、従業員や顧客を売却先の企業に継承することが最も重要なため、説明の機会を設け、慎重に伝えるようにしましょう。
家事代行サービス会社をM&Aする注意点
家事代行サービス業界でのM&Aには、まだまだ問題点や課題があります。中でも注意を払っておきたい点は「引き継ぎ方」と「情報管理」です。
会社をそのまま引き継いでもらうのか、あるいは事業の一部分だけにしたいのかなど、経営者自身の考えを明確に示すことが重要です。スタッフ雇用の処遇、社名の存続をするのかなどの条件を、事前に取りまとめる必要があるでしょう。
また、既存の顧客の個人データを移行することも考えられます。個人情報の漏洩などが生じないよう、セキュリティに関する取り決めと実施も不可欠です。
家事代行サービス会社のM&A・事業譲渡まとめ
昔から日本では「お手伝いさん」として家事を手伝う風習がありましたが、家事代行サービスとして企業が斡旋するようになったのは最近のことです。
そのため、法人として未来へ展開させるための基盤が未熟なところに課題があり、大きなやりがいになることでしょう。M&Aでの将来性もこれからの分野といえます。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均7.0ヶ月のスピード成約(2024年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事
M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...
現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...
株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説
株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...
赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...
関連する記事
家事代行サービス業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
家事代行サービスとは、ハウスクリーニングを中心とした家庭内での作業を代行するサービスです。今回は、家事代行サービス業界の最近の動向と、M&Aを行う場合の売却・買収側のそれぞれのメリット、...

食品小売業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
本記事では食品小売業界の動向とM&Aのメリットについて解説します。食品小売業界は経営者の高齢化や大手企業による地場企業のM&Aが行われている業界です。M&Aを通じて売却・...

防水工事業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
本記事では防水工事業界の動向とM&Aのメリットを解説します。売上規模の拡大を目指して、防水工事業界では業界の再編が行われています。M&Aを通じた売却・買収事例や流れ、注意点につい...

鉄筋工事業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
発注量は増えているものの価格競争の波に飲まれて厳しい状況が続いている建設業界において、鉄筋工事業界も厳しい会社が多く、M&Aを検討しているところも少なくありません。この記事では、鉄筋工事...

屋根工事業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
屋根工事は建築物の屋根の修理や新築を行う仕事です。しかし、建設業界での競争激化の波に飲まれて厳しい状況の会社も多くM&Aを検討した方がいい会社も多いのが現状です。この記事では、屋根工事業...

水道業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
水道業界では、後継者問題の解決や事業規模を拡大する目的でのM&Aが活発に行われています。この記事では、水道業界で実際にM&Aを行った事例や、M&Aで会社の売却や買収を行う...

とび工事業界の動向とM&Aのメリット!売却の流れや成功のポイントと注意点も解説!
とび工事は建築において高所作業を担当する危険が伴う仕事です。そのために、人手不足などの問題がありM&Aでの解決を図る動きがあるようです。この記事では、とび工事業界の近年の動向と、M&am...

左官工事業界の動向とM&Aのメリット!売却の流れや成功のポイントと注意点も解説!
本記事では左官工事業界の動向とM&Aのメリットを解説します。左官工事業界ではM&Aを活用した業界再編が進んでいます。売却の流れや成功のポイント、注意点も解説するので、左官工事業界...

大工工事(型枠大工工事業を除く)業界の動向とM&Aのメリット!売却の流れや成功のポイントと注意点も解説!
本記事では、大工工事業界の動向とM&Aのメリットを紹介します。大工工事業界において、M&Aは事業規模の拡大や技術の継承のために積極的に活用されています。実際のM&A・売却...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。