M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年5月8日更新会社・事業を売る
アメリカのM&Aとは?アメリカのM&A市場やM&A件数・金額が伸び続ける理由を解説
近年、日本でもM&Aが経営戦略の手法として一般化されていますが、アメリカと比較すると市場規模が小さい傾向です。数多くのM&A事例が存在するアメリカから学ぶことが多くあります。そこで、今回は、アメリカにおけるM&Aの市場について解説します。
はじめに
近年、アメリカのM&A市場は特に活発化しています。2014年から2019年まで、アメリカのM&Aは6年連続で1兆ドルを超えており、100兆円を超える市場規模で推移しています。今後もさらなるM&Aの活発化が予想され、市場は堅調に推移するものと思われます。
一方で、日本でもM&Aの活発化がしばしば話題になりますが、アメリカのM&A市場ほどの規模ではありません。アメリカと比較すると、日本企業のM&Aはどうしても遅れているという印象もあります。
M&Aは、中小企業から大手企業までさまざまなメリットがあります。日本国内でM&Aが活発化することで、それぞれの企業がメリットを活かし、経済の発展につなげられます。
よって、日本国内におけるM&Aの発展のためには、アメリカのM&A市場の研究を進めることが重要になるでしょう。今回の記事では、アメリカのM&Aが伸び続けている理由や、アメリカでM&Aを実施するメリットなどについて具体的にご紹介します。
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アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由
アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける5つのポイントについて解説していきます。
- 経済の低成長や不景気への対応
- スピード重視の姿勢
- 歴史的な背景
- 教育制度の充実
- 中国企業からの買収について
①経済の低成長や不景気への対応
FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和政策や好景気などが要因となり、アメリカのM&A市場は一気に活発化しました。また、M&Aの件数が増加し、競争が激化した結果、M&Aの買収価格も高騰しています。
一方、近年の動向を見ると、FRBは数回の利上げを実施しています。今後は、慎重な利上げになる見通しであるうえに、さらなる利上げが必要となる見方もあります。利上げが実施されると、市場に流通するお金が減り、企業がM&Aにあてる資金が減少する可能性も否定できません。
さらに、世界経済が低成長状態であることも踏まえると、企業がM&Aを実施するために活用できる資金が不明瞭といえます。
ただし、2020年に利上げが数回実施されたとしても、アメリカ内でM&Aが減るとは考えにくいでしょう。なぜなら、経済が低成長で推移している状況では、むしろM&Aによって自社の成長を図る企業が多いからです。
例えば、M&Aによって競争力を強化すること、事業領域を拡大することなど、企業を成長させるためにM&Aを活用するケースは今後も増加するでしょう。また、企業の力を強化することで、不景気に対応するメリットもあります。
このように、アメリカでは、経済の低成長や不景気への対応として、M&Aを活用する事例が今後も増えていくと予想されます。
②スピード重視の姿勢
M&Aは、比較的短期間で新規事業を開始できるというメリットがあります。新規事業を一から開始するためには、膨大な手間と時間がかかりますが、その事業をすでに展開している企業をM&Aによって買収すれば、スムーズに新規事業を開始できます。
この事例は日本だけでなく、アメリカでも多く見られます。アメリカの企業は、基本的にスピード重視の姿勢が強く、新規事業を開始する場合も、M&Aによって短期間で開始するケースがほとんどです。このような企業の姿勢がアメリカのM&A市場の活発化につながっているといえるでしょう。
③歴史的な背景
アメリカにおけるM&Aの歴史は古く、日本よりも慣習化した手法となっています。そのため、アメリカではM&Aに抵抗を感じる企業はほとんどありません。このことも、アメリカでM&Aが伸び続ける理由であるといえます。
アメリカにおいてM&Aの歴史は、1900年代前半から始まっており、1970年代になって本格化しました。歴史が長く、M&Aに対する抵抗もなかったため、一度M&Aが本格化すると一気にM&A事例が急増することになりました。
M&Aが活発化した1970年代は、異業種の企業も含めてM&Aによる買収が活発化した時期でもあります。そのため、大企業の肥大化が特に目立ちました。
しかし、企業が肥大化しすぎると、多くの事業を効率的に展開することが困難になります。1980年代になると、M&Aによって売却を進める事例が多く発生しています。結果、アメリカでは、M&Aによる買収と売却が短期間で多発したことで、より一般的な手法になりました。
また、M&Aの発展がもたらしたものは、手法の多様化だけではありません。企業価値や株主の利益を守るなど、モラル的な側面も重視されるようになりました。これは、敵対的買収の増加やそれに対する対抗など、企業同士の戦いが激化したことも要因になっています。
このように、アメリカでは、M&Aの手法だけが発達したのではなく、M&Aの倫理的な部分に対する考え方も進んでいます。
④教育制度の充実
アメリカでは、M&Aの歴史が長い分、M&Aに関する教育制度も充実しています。日本と比べてアメリカではビジネススクールが浸透しています。M&Aの基礎知識から専門知識まで、レベルごとに効率的な学習が可能です。
また、ビジネススクールでは、企業の経営者をはじめ、主要人物がM&Aに関する知識を得ることで、M&Aはさらに身近な存在となります。選択肢の一つとしてM&Aを検討しやすくなるため、結果的にM&Aの増加にもつながります。
⑤中国企業からの買収について
もっと世界情勢に踏み込んだ理由としては、中国企業からの買収も挙げられます。近年の中国企業は、海外へのM&Aも積極的に進めています。日本の身近な例でいえば、中国家電大手のマイディアグループによる東芝ライフスタイルの買収など、中国企業の海外M&Aの事例は増加しています。
一方、リスクをあまり考慮しない海外M&Aの事例も増加しているため、中国経済への影響を懸念した中国政府は、対外投資規制を実行することになりました。ただし、中国政府は、国益につながるような海外M&Aについては推奨するとの立場を表明しています。
また、アメリカ政府も、アメリカ企業の利益になるのであれば、中国企業からのM&Aに前向きな姿勢を示しています。そのため、中国経済の成長に合わせ、中国企業からのM&A事例が今後伸びることも考えられます。
アメリカでM&Aを実施するメリット
アメリカのM&A市場は、規模としては大きいですが、それぞれの事例を見ると小規模のM&Aが多い傾向があります。個人が小規模な企業を買収する事例も多く、小規模な会社でも効率的なM&Aを実現するチャンスが広がっています。
そのため、M&Aを実行することで、後継者不足問題の解決や事業領域の拡大のほか、セミリタイアの実現など、さまざまなメリットを得られるでしょう。ここでは、以下のメリットについて説明していきます。
- 法律やルールが徹底的に整備されている
- M&Aについての知識・理解が深い
- M&A仲介会社による良質なサービスを受けられる
①法律やルールが徹底的に整備されている
アメリカでは、M&Aに関する法律やルールなど、細かい部分まで徹底的に整備されています。また、買収額の分割払いが可能になるなど、効率的なシステムも多く導入されています。アメリカには、小規模なM&Aを気軽に進められる環境が整っているため、安心して実行できるのです。
②M&Aについての知識・理解が深い
M&Aの歴史が長いこともあり、M&Aに関する知識を持つ人が多く、積極的に情報を交換できます。M&Aの動向やノウハウにも詳しいため、入手した情報をもとに、自社にとって最適なM&Aの手法は何か、さまざまな観点から検討できます。
③M&A仲介会社による良質なサービスを受けられる
M&A仲介会社による良質なサービスにも特徴があります。M&Aの歴史が長いアメリカでは、それぞれの仲介会社が確かなノウハウを持っています。そのため、それぞれのサービスの質が高く、扱うM&A案件も豊富です。
日本企業のM&Aが遅れている理由
アメリカと比較すると、日本企業のM&Aはやはり遅れているという状況です。その理由は以下のとおりです。
- M&Aに対する印象
- M&Aに精通した人材の少なさ
①M&Aに対する印象
M&Aに対する印象が、日本とアメリカでは大きく異なります。最近では、買収も一般的になり、日本の新聞やニュース記事でも「買収」「M&A」という表現がしばしば見られるようになりました。しかし、敵対的買収のイメージが強く、買収に対してネガティブな印象を抱く人も中にはいます。
また、M&Aに対する印象があまり良くない場合、M&Aによって新規事業に参入することに抵抗を覚える人もいます。そのため、日本では、一から創業することを正しい選択だと考える人の方が多い傾向にあります。
一から事業を始めて軌道に載せることは、もちろん評価されるべきことです。ただし、企業間の競争がますます激化する世の中では、少しでも後れをとらないようスムーズな事業の開始が必須でしょう。そのため、M&Aによって新規事業を開始することは非常に効率的な方法となります。
本来、M&Aは、それぞれの当事者が高い経済効果を期待できる手法です。特に後継者不足問題などを抱える企業にとっては、M&Aによって買収されることで、事業継続が可能になります。
しかし、買収されることにネガティブな印象を抱く経営者にとって、M&Aは非常にハードルが高いものです。近年、M&Aの活発化や成功事例により、ネガティブな印象は急速に変わりつつありますが、アメリカのように一般化するためには膨大な時間が必要です。
②M&Aに精通した人材の少なさ
次に挙げられる理由は、やはりM&Aに精通した人材の少なさが挙げられるでしょう。アメリカには、M&Aに詳しい人が多く存在するため、積極的に情報交換ができる環境が整っています。しかし、日本では、M&Aに精通した人材が少ないため、M&Aが途中で失敗するおそれがあります。
たとえM&Aを実行できたとしても、その後の事業展開がうまく進まず、最終的に失敗する場合もあります。
このような状態を防ぐためにも、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーをはじめ、M&Aに関する専門家へ相談することをおすすめします。
M&Aをご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしてM&Aをフルサポートいたします。
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アメリカでM&Aを成功させるためには
ここでは、アメリカでM&Aを成功させるために必要な2つのポイントについて解説していきます。
- ロジカルさとスピード
- 専門家のサポートを受ける
①ロジカルさとスピード
アメリカのビジネスシーンは、基本的にロジカルさが重視されます。企業の風土や経営者の性格ではなく、ビジネス的なメリットに重点を置いて話を進めるケースがほとんどです。
また、アメリカのビジネスシーンではスピード性も重視されます。アメリカでは、M&Aによって新規事業を開始するケースが多いため、スピード性を重視する企業の姿勢が見られます。
このような傾向は、M&Aの際だけでなく、日常的な交渉においても見られます。基本的に競争が激しいアメリカのビジネスシーンでは、決断の早さも重要なビジネススキルです。
また、アメリカでM&Aを成功させるためには、このような感覚の違いを考慮する必要があります。具体的には、スピードを意識してロジカルに交渉を進めることが大切です。
②専門家のサポートを受ける
国同士の感覚的な違いが多いため、個人的な判断だけでM&Aを進めることは危険です。そのため、アメリカでM&Aを成功させるには、アメリカのM&Aに精通した専門家のサポートを受けることが必須です。
M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーを選ぶ際は、アメリカでのM&A案件の実績があるか、事前にチェックする必要があるでしょう。
まとめ
アメリカのM&Aの歴史は古く、これまでに数多くのM&A事例が存在します。また、世界経済の動向を踏まえると、今後もさらにM&Aが増加することが予想され、その市場動向に注目が集まっています。また、M&Aに精通した人材が多く、M&A仲介会社のサービスも良質なため、アメリカでM&Aを実施するメリットも多いでしょう。
一方で、日本とアメリカではM&Aに関する捉え方をはじめ、ビジネスシーンにおける感覚的な違いが見られます。アメリカでM&Aを実施する際には、これらの点も考慮し、専門家のサポートを受けつつ、M&Aを進める必要があります。
要点をまとめると下記のとおりです。
・アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由
→経済の低成長や不景気への対応、スピード重視の姿勢、歴史的な背景、教育制度の充実、中国企業からの買収について
・アメリカでM&Aを実施するメリット
→法律やルールが徹底的に整備されている、M&Aについての知識・理解が深い、M&A仲介会社による良質なサービスを受けられる
・日本企業のM&Aが遅れている理由
→M&Aに対する印象、M&Aに精通した人材の少なさ
・アメリカでM&Aを成功させるためには
→ロジカルさとスピード、専門家のサポートを受ける
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。