2023年7月27日更新業種別M&A

ゼネコン業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

老朽化施設の建替えなどで需要が高まるゼネコン業界では、M&A増加が予測されます。ゼネコンのM&Aでは、売却側の人員構成や建設業許可の引き継ぎなどに注意が必要です。本記事では、ゼネコン業界の市場動向や売却・買収のメリット・注意点を解説します。

目次
  1. ゼネコン業界の動向
  2. ゼネコン業界のM&A動向
  3. ゼネコン会社のM&Aのメリット
  4. ゼネコン業界のM&A・売却・買収事例9選
  5. ゼネコン会社のM&Aをする流れ
  6. ゼネコン会社をM&Aする注意点
  7. 買収側の注意点
  8. ゼネコン会社のM&A・事業譲渡まとめ
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ゼネコン業界の動向

ゼネコンが属する建設業界では、人材獲得や商圏拡大を目的とする買収や事業承継目的での売却など、近年はM&Aが活発化しています。

ゼネコンのM&Aを検討する場合は、市場動向・M&A動向を把握しておくことが重要です。ますは、ゼネコンの定義や業界構造など基本的な部分を説明します。

ゼネコンとは

一般的に「ゼネコン」と呼ばれるのは「総合建設業」のことで、建設業については建設業法で定義づけされています。

建設業の定義は、要約すると「元請け・下請けなどを問わず建設工事の完成に必要な工程または業務を請け負う事業」です。

建設業界に属する工事の種類は多く、建設業法において29業種に分類されていますが、大別すると「総合建設業」「専門工事業」とに区分されます。

ゼネコンつまり総合建設業は、発注者から直接工事を請負う企業(元請け)です。年間完成工事高の規模よって「スーパーゼネコン」「準大手ゼネコン」「中堅ゼネコン」「地方ゼネコン」と呼ばれます。

現在、スーパーゼネコンに該当するのは、大林組・鹿島建設・清水建設・大成建設・竹中工務店の5社です。また、地場ゼネコンとは、特定地域(首都圏以外)で強みを持つ総合建設業者を指します。

ゼネコン業界の市場動向

建設投資、許可業者数及び就業者数の推移

出典:https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf

国内における建設投資額は、平成4年度の約84兆円から平成22年度の約41兆円まで落ち込んだものの、その後は増加に転じています。その背景にあるのは首都圏を中心とした再開発や物流施設の建設増加などです。2012年頃から建設投資額は増大が続いており、近年は民間による建設投資が増加しています。

国土交通省が公表した「令和4年度(2022年度)の建設投資見通し」によれば、2022年の建設投資額は66兆9900億円の見込みであり、2021年と比べ0.6%の増加となりました。

その内訳をみると「政府投資」は22兆5300億円(見込み額)で2021年から3.7%減となりましたが、同年の「民間投資」は44兆4600億円(見込み額)と前年比で2.9%増加しています。

また、スーパーゼネコン5社の2021~2022年の売上高は、大林組と鹿島建設が増加、清水建設・大成建設・竹中工務はほぼ横ばいで、建設業界全体では増収となりました。

近年は首都圏エリアでの再開発は特に活発に行われており、今後も丸の内・赤坂・虎ノ門・渋谷・新宿などでは、大型施設やビルが建設予定です。

建設業界全体としては工事案件数が増加している一方、ウクライナ情勢やウッドショックなどの影響で近年は建設資材費が高騰しており、建設コストが大幅に上昇しています。

それに加えて、大手デベロッパーによる値下げ圧力は強くなっており、業界の受注競争は激化している状況です。

参考:国土交通省「令和4年度(2022年度)建設投資見通し」

ゼネコン業界のM&A動向

ゼネコンが属する建設業界は、その特性により規模効果が得にくく、企業同士の統合は入札機会が減少されるデメリットもあるため、業界再編は起こりにくいとされてきました。

しかし、近年は建設業界のM&Aは増えてきており、事業エリア拡大や人材獲得を目的とする買収や、ノウハウ・技術力を獲得するためにゼネコン同士で行われるM&Aなどがみられます。

また、同業種企業同士のM&Aだけでなく、ハウスメーカーや設備工事会社によるゼネコンの買収事例などもみられるなど、ゼネコン業界は再編のタイミングに差し掛かっているともいえるでしょう。

ゼネコン会社のM&Aのメリット

ゼネコン会社のM&Aを行うメリットにはさまざまなものがあります。売却側企業・買収側企業の主だったメリットは以下のとおりです。
 

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者問題の解消と社員の雇用維持
  • 経営の安定化と成長の促進
  • 売却利益の獲得
  • 人材の獲得
  • 事業規模の拡大
  • 手間やコストの削減

売却側のメリット

ゼネコン会社のM&Aで、売却側企業が得られる主なメリットには以下が挙げられます。

後継者問題の解消と社員の雇用維持

事業承継問題の解決は国の課題のひとつですが、建設業界はほかの業種と比べ後継者不在企業の割合が高くなっています。

2022年11月に帝国データバンクが公表した調査結果によれば、同年の国内全業種約27万社の後継者不在率(平均)は57.2%でした。

業種別にみると建設業が最も高く、後継者不在企業の割合は63.4%です。建設業界の2016~20年の後継者不在率は70%超だったことを考えるとやや改善傾向にあるとはいえ依然として高い状況が続いています。

そのようななか、M&Aによる事業承継を選択する企業の割合が高くなってきており、自社の売却によって事業継続をするケースも増えてきました。

M&Aによる事業承継は後継者問題の解決だけでなく、社員の雇用維持にもつながります。廃業を選択すれば社員は職を失いますが、M&Aで自社を売却すれば買収企業へ雇用を引き継ぐことが可能です。

ただし、株式譲渡を用いる場合は自動的に雇用契約も買収側企業へ引き継がれますが、事業譲渡の場合は従業員と買収側企業とで雇用契約を巻きなおす必要があります。

参考:株式会社帝国データバンク「特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」

経営の安定化と成長の促進

売却側企業は経営安定化と事業成長の加速を目的として、ゼネコン会社のM&Aを行うケースも多いです。

M&Aによって大手企業のグループ傘下となれば、売却側企業・買収側企業は互いのリソースを相互活用できます。

それにより建築資材の仕入れルートやノウハウ・技術の共有などで業務効率向上が図れ、相互補完によって事業の拡大・成長を見込むことが可能です。

また、買収側企業のブランド力が加わることで、売却側企業は新規採用がしやすくなるというメリットもあります。

創業者利潤の獲得

創業者利潤の獲得はM&Aにおける売却側企業の大きなメリットです。
株式譲渡の場合は株主である経営者または創業者が売却の対価を獲得し、事業譲渡の場合は譲渡代金を受け取るのは企業です。

経営者または創業者が得た売却益(現金)は引退後の資金として活用することができ、事業譲渡の場合は退職金というかたちで受け取ることもできます。

買収側のメリット

ゼネコン会社のM&Aで、買収側企業が得られる主なメリットには以下があります。

人材の獲得

ゼネコンが属する建設業界は、慢性的な人材不足が大きな課題です。特に若年層人材の不足が目立っていますが、新規採用を行っても建設業の労働環境はマイナスイメージを持たれるケースが多く、確保が難しいのが現状です。

また、建設業務を行ううえでは監理技術者と主任技術者を配置しなければなりませんが、必要な資格や要件は工事規模などの諸条件によって異なり、ゼネコンなどの建設業者には建設業法で定められた管理運用・管理が求められます。

有資格者を新規採用したり自社で一人前に育て上げたりすると時間がかかりますが、M&Aでは売却側企業の人材を引き継ぐことができるので、買収側企業は有資格者を一度に獲得することが可能です。

事業規模の拡大

ゼネコン会社や土木などの関連性が高い業種を買収することで、事業規模やシェアの拡大が可能です。建設業界は関連する業種が多いためシナジーが発揮されやすいといわれています。

地方の中堅ゼネコンには「地場ゼネコン」と呼ばれる特定エリアに強みを持つ企業も多いです。そのような企業を買収すれば、売却側企業のもつ顧客やシェアをそのまま獲得することができます。

手間やコストの削減

異業種から建設業界への進出や事業エリアの拡大を目指す場合、既存企業(あるいは事業)を買収することで時間やコストを大幅に削減できます。

建設業を新たに始める場合は、許認可の取得や有資格者・従業員の確保、工事機器の用意などが必要です。

なかでも人材確保はネックになりやすいうえ、事業エリアで基盤構築しなければ安定した事業運営を見込むのは難しくなります。

また、事業エリア拡大を図る場合は、買収によって売却側のシェアをそのまま獲得できる点もM&Aの大きなメリットです。

【関連】建設業の事業譲渡・事業売却の流れや注意点を解説!許認可はどうなる?

ゼネコン業界のM&A・売却・買収事例9選

ここでは、ゼネコン会社によって行われたM&A・売却・買収事例を9つ紹介します。

清水建設による丸彦渡辺建設のM&A事例


 2023年5月、清水建設は札幌市にある丸彦渡辺建設の株式を取得し、子会社化することを発表しました。

大手ゼネコン会社の清水建設は、主軸である建設・土木業のほかにフロンティア事業やエンジニアリング事業なども手掛けています。

売却側の丸彦渡辺建設は、札幌市の総合建設会社です。1918年創業の歴史ある企業で、建設業のほかにも不動産事業や運送業も展開しています。

本買収の目的は、清水建設の建築・土木事業における基盤強化です。清水建設は丸彦渡辺建設の営業基盤やリソースと自社のノウハウを融合させシナジー発揮を図るとしています。

株式譲渡実行日は2023年5月31日、清水建設が丸彦渡辺建設の発行済み株式50%超を取得して同社を連結子会社化する予定です。

参考:清水建設株式会社「丸彦渡辺建設株式会社の株式取得(子会社化)について」

清水建設が日本道路をM&Aした事例

2022年3月、清水建設は公開買付けによって日本道路の普通株式を取得して、同社を連結子会社化しました。

建築・土木事業を主軸とする日本道路は、ほかにもエンジニアリング事業や不動産開発事業など多くの事業を展開する企業です。

大手ゼネコンの清水建設は、同社を子会社化することで受注拡大や競争力の強化を図るとともに、人材確保・育成体制の強化や研究開発体制の合理化を進めていくとしています。

参考:清水建設株式会社「日本道路株式会社株式(証券コード:1884)に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ」

飛島建設がアクシスウェアをM&Aした事例

2021年2月、飛島建設はアクシスウェアの全発行済み株式を取得し、子会社化しました。

飛島建設は土木・建築事業を主軸とする企業です。トンネル工事やダム工事に強みをもつほか、阪神淡路大震災以降は防災分野へと企業変革しています。

売却側のアクシスウェアは、業務システムアプリの設計開発および保守事業、情報システム基盤の構築、労働者派遣事業などを行う企業です。

飛島建設はアクシスウェアを子会社化することで、DX化加速により次なる世代の事業運営体制を構築し、建設分野にとどまらず事業領域のさらなる拡大を目指すとしています。

参考:飛鳥建設株式会社「株式会社アクシスウェアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

戸田建設が佐藤工業をM&Aした事例

2018年12月、戸田建設は福島県にある佐藤工業の全発行済み株式を取得して子会社化しました。
 
佐藤工業は福島エリアで事業を展開する総合建設業者。18年3月期の売上高は109億2100万円、純資産は82億1700万円だった。
 
戸田建設は建築事業を主軸としており、官公庁や大学の関連施設建築において多数の実績があり、なかでも医療・福祉関連の工事を多く行っています。

売却側の佐藤工業は福島県で総合建設業を手掛けており、同地域では最大手のの地場建設会社です。本買収により、戸田建設は東北エリアにおける事業基盤を確立し、シェア拡大を図るとしています。

参考:戸田建設株式会社「佐藤工業株式会社(本社:福島県)の完全子会社化に関するお知らせ 」

飛鳥建設がノダックとその関連会社をM&Aした事例

2018年2月、飛島建設は大阪府のノダックおよび関連会社である滋賀県のジャパンレイクアンドキャナルの株式を取得し、子会社化しました。

売却側のノダックは、潜水事業を主軸とするアクアエンジニアリング企業です。水インフラ施設における整備から維持管理まで行っており、自社で開発した水上施工機械や水中ロボットを活用した水質環境保全事業を国内外で展開しています。

本買収は、飛島建設の水インフラリニューアル事業への参入、環境負荷低減事業の拡大が目的です。

参考:飛島建設株式会社「ノダック株式会社及びその関連会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」

住友林業が熊谷組をM&Aした事例

2017年11月、住友林業と熊谷組は資本業務提携を締結しました。本提携は、第三者割当増資により株式を相互保有するかたちで行われ、住友林業が熊谷組の発行済み株式の20%、熊谷組は住友林業の発行済み株式の2.85%を取得します。

また、これにより住友林業は熊谷組の筆頭株主となりました。2023年後には売上高1500億円程度、営業利益100億円程度(ともに両社合算)のシナジーを見込むとしており、木造建築物建設や再生可能エネルギー事業などで協業するとしています。

参考:住友林業株式会社・株式会社熊谷組「住友林業株式会社と株式会社熊谷組の業務・資本提携に関するお知らせ」

飛鳥建設が杉田建設興業をM&Aした事例

2017年7月、飛島建設は千葉県にある杉田建設興業の株式を取得し、同社を子会社化しました。杉田建設興業は1963年に設立された企業であり、千葉県および小笠原におけるインフラ整備工事で多数の実績をもっています。

本買収の目的は、事業エリアの新規開拓およびリティール対応力強化です。飛島建設は自社のもつ防災・減災技術をより進化させ、安心・安全な社会づくりに貢献していくとしています。

参考:飛島建設株式会社「杉田建設興業株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

旭化成ホームズが中央ビルト工業と業務・資本提携した事例

2017年の3月に、住宅用の鉄骨材料を扱う中央ビルト工業は、住宅メーカーの旭化成ホームズと業務提携を行いました。これによって、旭化成ホームズは家づくりに使う鉄骨材料の製造を強化し、同時にコストも抑えることができるようになりました。

業務及び資本提携に関するお知らせ

徳倉建設が九州建設をM&Aした事例

2017年の2月に、徳倉建設はM&Aにより九州建設を傘下に加えたことで、九州地区でのビジネス展開をさらに強化しました。さらに、国内だけでなく海外にいる工事スタッフ間の交流が増えることが期待されています。知識や技術の共有が進み、それぞれの建設プロジェクトの質を向上させる可能性があります。

九州建設株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ゼネコン会社のM&Aをする流れ

ゼネコン会社のM&Aは、おおむね以下の流れで進めていきます。

専門家への相談

M&Aは通常の業務と並行して進めていくことになりますが、売却側ははじめてM&Aを実施するケースが大半です。

各工程を業務に支障なく進めていくには専門家のサポートは不可欠となるため、まずM&A仲介会社などの専門家に相談することから始めます。

秘密保持契約の締結

サポートを依頼するM&Aの専門家が決まったら、次は交渉先企業を選定していきます。選定段階では売却側・買収側企業の社名や詳細情報は伏せられた状態です。

そのため、具体的な交渉に進む前に秘密保持契約の締結し、互いの詳細情報を開示します。秘密保持契約は、知り得た情報を目的以外で使用しない旨を取り決めるものです。

トップ面談・基本合意の締結

交渉先が決まったら「トップ面談」と呼ばれる場が設けられ、売り手企業・買収側企業のトップが直接顔を合わせ経営理念や人物像などを確認します。

トップ面談ではM&A価額などの具体的な交渉は行わないのが一般的であり、売り手企業にとっては「自社を任せられる相手なのか」を判断する場です。

その後、互いがM&Aに前向きであれば細かな交渉を進め、条件や価額に大筋合意した段階で基本合意を締結します。

基本合意書にはその時点までに取り決めた内容を記しますが、それ自体に法的拘束力はありません。ただし、独占交渉権など一部内容には法的拘束力を持たせるケースが多いです。

デューデリジェンスや条件交渉

基本合意締結後は、買収側企業によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスは売り手企業の抱えるリスクを財務・法務・人事・ITなどさまざまな面から調査することです。

デューデリジェンス後はその結果を踏まえて最終的な条件交渉へと移りますが、その際に条件の変更や付加がされる可能性もあります。

また、大きな問題が発覚した場合はM&A自体が白紙になるケースもあるため、売り手企業はM&A前に人事体制や未払い残業代の有無などを再確認しておくことが重要です。最終条件に互いが合意したら最終契約書を締結し、M&Aが成立します。

【関連】建設業の売却額とは?売却方法や価額の上げ方を解説!

ゼネコン会社をM&Aする注意点

納得のいくM&Aを目指すには、ポイントをおさえて進めていくことが重要です。ここでは、ゼネコン会社をM&Aする注意点・ポイントを売却側・買収側それぞれ説明します。

売却側の注意点

売却側の注意点・ポイントには、以下の4点が挙げられます。

シナジー効果の大きい売却先を探す

M&Aにおいて買収側は「この企業(あるいは事業)を買収することで、どのようなシナジーが得られるか」を検討します。

売り手企業にとっては、高いシナジーが発揮されると買収側から判断されれば、よりよい条件でのM&Aでの成立を目指すことが可能です。

どのようなシナジーが見込めるかを判断するには、自社に対する客観的な分析だけでなく、買収先の事業内容もしっかり分析する必要があります。

自社の強みを明確化・アピールする

M&Aはこれまで面識のなかった企業を行うケースが多いため、自社の強みを明確化してアピールすることも必要です。

たとえ独自技術やノウハウを持っていても、買収側がそれを把握していなければよりよい条件でのM&A成立は難しくなります。

強みとなる要素には、技術・ノウハウ、受注実績、保有している有資格者などがあり、売却側企業はM&A実施前に自社の強みを資料にまとめておき、交渉時にアピールできるよう準備しておくことが重要です。

進行中の案件について買収側と協議する

ゼネコン会社が請け負う工事には、完成までに数年間かかるような長期案件も多いです。そのため、M&A実施時に進行中工事案件も抱えているケースもあります。

その場合は、着工している工事案件の対応について、売り手側・買収側とで十分に協議することが重要です。選択肢としては買収側企業が工事案件を引き継ぐか、ほかのゼネコン会社へ工事案件を引き継ぐかの2つがあります。

買収側企業へ引き継ぐ場合は工事費用の負担割合を明確にすること、他社へ引き継ぐ場合は発注元に承認を得ることが必要です。

どちらの場合もトラブルなく工事が完成できるよう、しっかり対応することが売り手企業に求められます。

専門家に相談する

ここまで述べたように、ゼネコン会社のM&Aには注意点や成功するためのポイントがあります。これらのポイントをおさえてスムーズにM&Aを進めていくためにはM&A専門家のサポートが有用です。

ゼネコン会社M&Aの実績をもつ専門家に相談することは、満足度の高いM&Aの実現にもつながります。

初めてM&Aを行う場合は、相談から交渉、クロージングまでの一括支援を行っているM&A仲介会社がおすすめです。

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買収側の注意点

買収側の注意点・ポイントには、以下の4点が挙げられます。

建設業許可の引き継ぎを確認する

建設業を行ううえでは、建設業法で定められた許可が必要です。株式譲渡を用いる場合は、許認可などの権利・義務も包括的に引き継ぐかたちとなるため、特に必要な手続きはありません。

しかし、事業譲渡によって一部事業(あるいは全部)を買収する場合は、許認可は買収側企業へ自動的に引き継がれないため注意が必要です。

必要な許認可を自社が持っていない場合、新たに建設業許可を取得しなければならないため、M&A後の事業運営がスムーズに行えるよう準備をしておく必要があります。

なお、改正建設業法(2020年10月施行)のにより、要件を満たしている場合は事業譲渡でも建設業許可の引き継ぎが可能となりました。引継ぎの手続きや要件が複雑なので専門家に相談しながら進めていくとよいでしょう。

【関連】建設業の事業承継とは?課題や注意点について解説

人員構成の確認をする

買収側企業が人材確保を目的としている場合は、売却側企業の人員構成を確認しておきましょう。特に監理技術者や主任技術者など、有資格者の確保を考えている場合は条件に合った人材の有無を確認することが重要です。

また、従業員の技術力や年齢構成も確認しておく必要もあります。売り手側企業に優れた従業員が多数在籍していても、年齢層が高ければ近い将来に人材不足になる可能性が高いため、売却側企業の人員構成を確認したうえで検討することも重要です。

財務面のデューデリジェンスを徹底して実施する

建設業界では「建設業会計」と呼ばれる他業界とは異なる会計方式が採用されています。これは建設業が手掛ける工事は完成まで年度をまたぐことが多いためです。

この方式を採用しているため、建設業界では粉飾決算が起こりやすいといわれています。

経営者が意図していなくとも結果として粉飾決算したとなれば、発覚後に追徴課税されたり企業価値が大きく下がったりするリスクが高くなるため、財務デューデリジェンスをしっかり行いリスク回避に努めることが重要です。

受注状況・取引先や受注体制を確認する

ゼネコンが属する建設業界は、多重下請け構造となっているため、受注体制によって利益の大きさが変わり、当然元請けに近いほど利益率も高くなります。

また、公共工事と民間工事など受注工事の割合によって受注の安定性も違ってくるため、高値掴みとならないためにも売却側企業の受注体制や状況をよく確認することが重要です。

【関連】建設会社の株式譲渡・会社譲渡!手法の違いを解説!どのスキームが得?

ゼネコン会社のM&A・事業譲渡まとめ

近年はゼネコン会社のM&A・事業譲渡が増えてきており、大手企業が中小ゼネコン会社を買収するケースも多くなっています。

安定した受注先や工事実績、有資格者などを保有していれば、より良い条件での売却も実現可能です。

M&Aは実施タイミングも重要となるため、ゼネコン会社の売却・譲渡を検討している場合は計画的に進めていくことをおすすめします。

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