2024年4月23日更新業種別M&A

人材派遣業界の動向とM&Aのメリット!流れや注意点と売却・買収事例26選を解説【2024年最新】

本記事では、人材派遣会社のM&Aについて、業界の現状やM&A動向、費用の相場、買収側・売却側のメリット、M&Aの注意点などを解説しています。そのほか、最近の人材派遣会社のM&A事例も紹介しています。人材派遣会社のM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 人材派遣会社とは
  2. 人材派遣業界のM&A動向
  3. 人材派遣業界のM&A相場と費用
  4. 人材派遣業界のM&Aで相場より高く評価されるポイント
  5. 人材派遣会社のM&A譲渡側のメリット
  6. 人材派遣会社のM&A譲受側のメリット
  7. 人材派遣業界のM&Aの流れ
  8. 人材派遣会社のM&Aの成功ポイント
  9. 人材派遣会社のM&Aでの注意点
  10. 人材派遣業界のM&A事例
  11. 人材派遣会社のM&A専門家のコメント
  12. 人材派遣のM&Aのまとめ
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人材派遣 人材紹介のM&A・事業承継

人材派遣会社とは

近年、人材派遣業界では再編に向けての動きが加速しています。なかでも人材派遣企業は、「労働者派遣法改正」により、グループ内での派遣に規制がかけられました。

リスクを負わないためにも、M&Aの専門家の協力を得たり、事業独自のルールや動向を事前に把握したりしておくことが大切です。

人材派遣業界の定義

人材派遣業とは、派遣側企業が自社で雇用(登録)している労働者を、求人側企業に派遣して報酬を得る事業です。人材派遣業の特徴は派遣された労働者は、求人側企業の指揮命令に従って業務を行うことです。
なお、法律上の正式名称では「労働者派遣事業」となりますが、今回は「人材派遣業」を使い説明します。

派遣事業許可が必要

2015年9月に派遣法が改正されるまでは、人材派遣業界では許可制と届出制の2つの制度が混在していました。派遣法改正後、2018年9月までは、移行までの特別措置として届出制の事業所も存続できました。現在は厚生労働大臣の許可が必須です。

人材派遣と人材紹介の違い

人材サービスの中には人材派遣、人材紹介などの業態があります。似たイメージを持っているかもしれませんが、仕組みやサービスに違いがあります。
人材派遣の場合は契約を結ぶ企業は人材派遣会社ですが、仕事を行う企業は派遣先です。一方人材紹介は仕事を探す求職者と人材を探す企業をマッチングサービスになります。そのため求職者は紹介先の企業と契約を結びます。
 

人材派遣業界の市場

出典:一般社団法人 日本人材派遣協会「市場規模」

出典:一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣会社数」

出典:https://www.jassa.or.jp/know/data/

厚生労働省の令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果によると、人材派遣業は、市場規模が8兆6,209億円(対前年度比:9.6%増)と巨大産業の一つです。また、労働者派遣事業所数は42,448ヶ所(対前年度比:1.1%増)と増加傾向にあります。

リーマン・ショックの影響を受け、一方的に企業側が契約解除を行う「派遣切り」が社会問題になったこともありました。一時は減少傾向でしたが2015年9月の派遣法改正によって派遣労働者の処遇改善、2020年の法改正では同一労働同一賃金が適用され市場は拡大しました。新型コロナウィルスの拡大により製造派遣や工場操業停止、サービス業の縮小の影響は受けつつも医療や物流、IT分野の需要が広がり需要拡大に繋がっています。

人材派遣業界のM&A動向

大手の独立系人材派遣企業が、外販需要の見込めない資本系人材派遣企業を買収する事例が数多く見られます。そのほかにも、大手企業による海外企業の買収やエンジニアなどのBPO・受託・請負系の専門分野を獲得するための買収も目立つようになりました。
ここでは、人材派遣業界のM&Aが活発になっている理由をご紹介します。

事業拡大を目指した同業者のM&A

業界の再編M&Aを行なう大手人材派遣会社は、中小規模の人材派遣会社を中心に買収を行っています。また、中小規模の人材派遣会社が残りのシェアを争うため競争が激化している状況です。今後、人材派遣業界で残っていくためには事業拡大・強化のためにM&Aは有効な手段となります。

多角化のためのM&A

大手人材派遣会社のM&A事例を見みると、大半は人材関連サービスです。しかし、人材派遣会社以外にも警備業や工事業などによる譲り受け事例が散見されます。周辺事業への多角化を進めていくことは、今後の景気変動の影響を少なくし、より経営を安定化させる狙いがあります。

事業承継問題の解決

中小企業の多くは後継者不足が問題となっています。
この問題の解決のためにM&Aによる事業承継を行う企業が増加しています。M&Aによる事業承継であれば自社を存続させ、従業員の雇用を引き継ぐことが可能です。また、ほかの業種に比べると高額なM&A取引になるケースも多く見受けられます。

人材派遣業界のM&A相場と費用

ここでは、人材派遣会社のM&Aの相場と費用を掲示します。

人材派遣のM&Aの相場

人材派遣会社のM&A需要は、ますます高くなっています。譲渡価額の相場は300万円から1億程度です。許可有効年数・連絡が取れる登録者がいる場合などは、譲渡価額が大幅に上がるケースが多く見られます。

どの業界においても、M&Aの相場は規模によって異なるため、自社の状況に似た企業のM&A事例を参考にしましょう。事例を見ることで、相場の分析ができたりM&Aを成功させるポイントも見えてきたりします。

M&A相場の算出方法(簡易的)

M&Aの現場では、会社の売買価額を簡易的に算出する計算式が確立されています。

  • M&A相場価額=純資産額+営業利益2~5年分

あくまでも簡易的手法ですが、細かな企業価値評価(バリュエーション)を実施する前に、おおよその売り手企業の相場を判断するために、上記の計算式が用いられています。ポイントは、営業利益に掛け合わせる年数に幅があることです。

ビジネスモデルやノウハウ、顧客数、大口顧客の存在など、売り手企業が他社よりも優位性を誇る点が多ければ多いほど、高い年数で計算できます。一般的には2~3年で計算されるのがほとんどです。

また、M&Aスキームによって相場が変わる考え方もあります。
株式譲渡の場合は
人材派遣業の売却相場=時価純資産+(営業利益+役員報酬)×2~5年分

事業譲渡の場合は
人材派遣業の売却相場=事業資産+事業利益×2~5年分
と求めることができます。
 

企業価値の評価方法

企業価値評価を綿密に行う際は、専用の算定方法が用いられます。算定方法は数多く確立されており、以下の3つの系統に分けられます。

  • コストアプローチ:貸借対照表の純資産額をベースに算定する
  • インカムアプローチ:事業計画を参照し、将来の収益力を加味して算定する
  • マーケットアプローチ:業種や企業規模など過去の類似するM&A事例を参照して算定する

一つの算定方法だけが用いられるわけではなく、妥当と思われる複数の算定方法を複合的に用いて企業価値評価を導き出します。

人材派遣会社のM&Aの費用

M&A実施の費用はケースによって異なります。M&A仲介会社を利用する場合は、着手金・月額報酬・中間報酬・成功報酬などがかかります。着手金・月額報酬などはM&A交渉が失敗しても戻ってこない費用なので、事前確認が必要です。

M&A仲介業者に依頼すれば費用はかかりますが、短期間の売却やスムーズなM&A交渉が可能になります。着手金・月額報酬・中間報酬が無料のM&A仲介業者も多いので、費用を抑えたい場合はそのような仲介業者を選ぶのが良いでしょう。

成功報酬の相場は取引金額の数パーセント程度です。この場合の取引額は譲渡金額・企業価値・移動総資産のいずれかを用いて計算するため、譲渡金額を用いた場合の成功報酬額が最も安くなります。業者ごとの基準額の違いもよく確認しましょう。

M&A仲介会社は急増しており、どの業者にするか迷ってしまう場合もあるかもしれません。その際には、ぜひ、全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所では、M&Aの実績豊富なアドバイザーが案件ごとに専任となり、相談時からクロージングまでM&Aを徹底サポートいたします。通常は10ヶ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3ヶ月でスピード成約する機動力もM&A総合研究所の強みです。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」となっています(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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人材派遣業界のM&Aで相場より高く評価されるポイント

人材派遣 人材紹介のM&A・事業承継
人材派遣 人材紹介のM&A・事業承継

相場よりも高い価格で評価される人材派遣会社には特徴があります。

ニーズのある経営資源を有している

純資産が少なかったり、赤字や債務超過に陥っていたりすると先述した計算方法では相場は低くなります。しかし買い手は、事業規模や収支・財務の状況だけでなく、優秀な従業員や取引先、事業の将来性、ブランド力なども評価します。

そのため、買い手から求められている経営資源を持っていれば相場よりも高い評価をもらうことができます。人材派遣業界であれば専門性なども評価のポイントに入ります。

複数の候補と交渉

売却価格は買い手との交渉によって決まります。買い手が評価するものは無形資産や、買い手企業とのシナジー効果もあります。そのため買い手によって高く評価される無形資産やシナジー効果は異なります。

買い手によって評価が異なるため、なるべく複数の買い手候補と交渉することで自社を高く評価してくれる相手を見つけることが大切になります。

人材派遣会社のM&A譲渡側のメリット

人材派遣会社をM&Aで譲渡することで得られる主なメリットには以下のものが考えられます

後継者問題の解消

人材派遣業界では経営者が高齢化した中小企業も多く見られます。その中には後継者不在の問題を抱えている企業も少なくありません。後継者問題の解消を目的としたM&Aはほかの業界でも行われています。M&A実施による譲渡側のメリットといえるでしょう。

従業員の雇用維持

経営不振、あるいは後継者不在などで会社を廃業すれば従業員は職を失います。M&Aを行うことにより、従業員の雇用を維持できるメリットもあるのです。さらに、大手有力企業とM&Aを行うことにより、従業員の待遇がよくなる可能性も期待できます。

大手グループへの傘下入り

M&Aの実施により、大手有力企業グループの傘下に入れることも大きなメリットといえます。大手の人材派遣会社へ株式譲渡し、大手グループ傘下企業になれば、グループが持つブランド力・営業力・経営資源などを使って自社の売上増加を図れます

譲渡利益の獲得

株式譲渡であれば、株主であるオーナー経営者は対価を受け取れます。経営者個人が譲渡利益を獲得できれば、老後の生活資金や新たな事業資金など、自由に使うことが可能です。

事業譲渡であれば、会社が対価を受け取ります。これを運転資金とできるので、財務的に安定した経営ができるでしょう。

個人保証・債務からの解放

株式譲渡を実施した場合、会社の債務も買い手に引継がれます。中小企業では、金融機関から融資を得る際に、経営者が個人保証や担保差し入れすることがほとんどです。株式譲渡で債務が引き継がれれば、債務から解放され、個人保証なども解消されます。

主軸事業への注力

中小企業では潤沢な運転資金を確保するのが難しく、多角化を図っても事業がうまく軌道に乗らないこともままあります。そのような際には、不採算事業など主軸事業以外のものを事業譲渡することによって、主軸事業へ経営資源を集中させ、注力して取り組めるようになります。

人材派遣会社のM&A譲受側のメリット

人材派遣会社は近年、需要が高まる傾向にあります。大手企業が中小規模の人材派遣会社を買収するなどM&Aも活発です。M&Aによる買収でどのようなメリットが得られるのか見ていきましょう

優秀な人材の獲得

人材派遣会社を買収することで経験豊富な従業員をまとめて自社に取り込むことができます。

人材派遣業界は優秀な人材の確保が重要なポイントです。人手不足は深刻な課題の一つであり、まとめて優秀な人材の確保ができることは大きなメリットです。

求人側企業と求職者のマッチング率上昇

M&Aを実施して人材派遣会社を買収し、譲渡側の従業員を自社に取り込むことで、ノウハウを持つ人材を獲得できます。人材サービス業の経験を持つ従業員が増えることは、求人側企業と求職者のマッチング率上昇に直結するものです。

新たな取引先の獲得

人材派遣会社のM&Aによって獲得できるのは人材だけではなく、譲渡側の取引先も新たに獲得できます。求職者に紹介できる企業の増加がよりよいサービスの提供につながります。マッチング率がさらに上昇して事業の拡大も期待できるでしょう。
 

人材派遣業界の事業譲渡・株式譲渡のメリットについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】人材派遣・人材紹介の事業譲渡・株式譲渡のメリットとは?【事例あり】

人材派遣業界のM&Aの流れ

M&A仲介会社の選定

人材派遣業界に強いM&A仲介会社を選定します。M&Aを自力で全て行うのは非常に困難です。M&A仲介会社に依頼すれば、買い手探しや条件交渉、契約書の作成といった多くのことを委託できるでしょう。

中小規模の人材派遣会社は、社内にM&A経験者がいないことも珍しくありません。そのような場合も、M&A仲介会社のサポートがあれば、問題なくM&Aを成約まで進められます。

M&A仲介会社を選ぶポイントは、人材派遣業界に関する知識や経験が豊富かどうかと、報酬体系が明確かどうかです。M&A仲介会社によっては、人材派遣業界におけるM&Aの経験がない場合もあるので、事前に過去の実績を確認しましょう。

人材派遣・紹介業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。人材派遣業界におけるM&Aの経験が豊富なM&Aアドバイザーが、相談時からクロージングまで案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相手先を探す

M&A仲介会社を選定したら、相手探しの手続きに移ります。候補先が複数出てくることも多いので、どの買い手を選ぶのか慎重に検討する必要があります。相手先を選ぶポイントとしては、自社にとっての条件とM&A後も事業が発展するか考えましょう。

人材派遣業界のM&Aは、同業他社が候補となる事例がよくあります。同業他社が候補先の場合は、事業内容、事業規模、事業エリアを冷静に分析し、自社の成長に役立つかを考えましょう。

異業種の候補先の場合は、人材派遣業界と組み合わさることで収益性が高まるか考えましょう。M&Aが成約によって必ずしも自社の関係者が喜ぶ結末を迎えられるとは限りません。M&A仲介会社の意見も聞きながら、自社に最も良い買い手を選びましょう。

トップ面談

買い手先が見つかったら秘密保持契約を締結し、具体的な条件を決めるトップ面談に入ります。売却価額やスケジュール、従業員の処遇など、さまざまな観点から条件を決める必要があります。

買い手企業、売り手企業双方が自社のことを考えて条件を決めようとすると、折り合いがつかず破談になってしまうこともあります。なるべく冷静に話し合いを進めるために、M&A仲介会社に任せることがおすすめです。

また、高く売ろうと考えるのではなく、従業員や取引先などの関係者も笑顔になれる条件にするように心がけましょう。

基本合意書

条件が決まった後に、基本合意書を締結します。基本合意書とは、M&Aを行う際の条件について、合意した内容を明確にした契約書です。基本合意書には法的拘束力はないため、その後の交渉でM&Aが不成立となるケースもあります。

しかし、基本合意書によって話し合った条件を明確にすることで、M&Aに対して積極的な気持ちになるだけでなく条件の勘違いやお互いのすれ違いを防ぎます。例外的に独占交渉権やデューデリジェンスへの協力義務、秘密保持の事項には法的拘束力を持たせます。

デューデリジェンス

買い手がデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスとは、M&A成立後に予想外のリスクを抱えないようするために売り手企業を精密に調査することです。

最終交渉での売却価格を決める際の企業価値評価に必要な情報も精査されます。売り手側はデューデリジェンスに誠実に協力することが大切です。

最終契約、クロージング

最終交渉によって全ての条件が正式に決まったのちに、最終契約を締結します。ここには交渉で決まった条件以外にも多数の条項があります。

クロージングは契約内容の履行になります。株式の引き渡しや対価の支払いなどが含まれます。

人材派遣会社のM&Aの成功ポイント

優秀な人材の離脱を防ぐ

人材派遣会社にとって、登録のスタッフや派遣先を確保するための営業担当は経営資源です。
M&Aによって優秀な従業員が会社を辞めないようにすることはM&Aを成功させるための重要なポイントです。

譲受側は譲渡側企業の持つサービスや人材数や人材の質を踏まえ企業価値算定を行います。M&Aによって人材が辞めてしまうことは、譲受側企業にとってはメリットが小さくなるため譲渡金額が減少するだけではなく、最悪の場合は破談になることもあります。

人材派遣会社の売却を行う場合は、登録スタッフや営業担当といった従業員の離脱を防ぐよう対応することが大切です。

企業価値を高めておく

より高い金額での売却をするには、企業価値を高めることが重要になります。企業価値を高めるには、自社の強みの把握や資産・負債の状況といった財務状況の分析を行っていおくことがよいでしょう。

譲受側企業は対象企業の登録スタッフの質や技術力、取引先の質、知名度やブランド力、将来の収益性といった無形資産を考慮し企業価値を算定します。業績が悪い場合でも譲受側企業の条件を満たしていれば相場よりも高い金額で取引されることもあります。

複数の買い手候補と交渉

譲渡価格に高値がつくには、譲渡企業とのシナジー効果が高いことが大切です。
譲受側企業は自社の強みをより強くできたり、弱みをおきなうことができる企業の買収を検討しています。そのため、譲渡企業の持つ資産価値の評価は交渉相手によって変わっています。

お互いのシナジー効果を発揮し、高く評価してもらえる企業を見つけることが重要です。そのため、複数の買い手候補と交渉するようにしましょう。

人材派遣会社のM&Aでの注意点

ここでは、人材派遣会社のM&Aにおいて、譲受側と譲渡側、それぞれの注意点とリスクを避ける方法について掲示します。

譲受側の注意点

M&Aを実施して人材派遣会社の買収を進めるうえでチェックすべき点は、譲渡側企業の取引先や各売上比率が挙げられます。譲渡側の企業が持っている取引先にはどのような会社があるのか、安定した受注を確保できているかを調査しておくことが重要です。

保険加入の有無も忘れずにチェックしておきましょう。もし譲渡側企業が社会保険に未加入であった場合、知らずにM&Aの手続きを進めてしまうと、M&A完了後に社会保険料が遡及請求されて問題になるケースもあります。

社会保険の遡及請求期間は2年間です。もし譲渡側企業が社会保険に未加入だった場合、従業員数によっては高額請求されることも考えられます。そのようなトラブルを避けるためにも、M&Aにより人材派遣会社を買収する際は事前調査をしっかり行うことが大切です。

事業譲渡によって買収する場合の注意点として、許認可問題があります。基本的に許認可は会社に対して与えられるものです。事業譲渡の譲渡対象にはできません。したがって、買い手が人材派遣事業に新規参入するのであれば、許認可の取得が必須です。

譲渡側の注意点

人材派遣会社の譲渡を進めるうえでは、これまでの費用と内訳をチェックしておくことも大切です。どの費用をどれだけ使っているかを把握しておけば、M&A成立後に経営体制の改善を迅速に行えます。

事業譲渡を実施する売り手側には、法令による競業避止義務が注意点です。売り手は、譲渡した事業と同一の事業を、同一区市町村および隣接区市町村において20年間行えません。ただし、買い手との交渉次第では、契約時に取り決めできます。

このように、M&Aでの株式譲渡・事業譲渡の手続きや準備には、法律や会計など専門知識が必要なものが多いため、自力で進めるのは困難です。M&Aコンサルタントや仲介業者にサポートしてもらうといいでしょう。

リスクを避ける方法

M&Aを実施するにあたり、譲受側も譲渡側もリスクを避けるためには、事前準備と事前調査をしっかり行うことが欠かせません。条件が合って信頼関係を築ける交渉相手を見つけることも、M&Aにおいて重要なポイントです。

いずれにしても、専門知識が求められる場面も多いため、専門の仲介業者のサポートを受けたほうがトラブルを避けられます。

人材派遣業界のM&A事例

人材派遣業界におけるM&Aの成功事例をみていきましょう。

桜十字による東京建物スタッフィングの株式取得

2023年8月、桜十字は東京建物スタッフィングの株式取得を行うことを発表しました。

桜十字社は高齢者向け住宅やフィットネス施設の運営など、シニア関連分野で多岐にわたる事業を展開し、医療分野にも注力しています。

東京建物スタッフィングは高齢者向け施設の開発・運営事業を行っており、2017年4月に株式会社ケアライク(現在は東京建物スタッフィング株式会社)を買収し、首都圏を中心に全国主要都市で介護士の派遣を中心とする人材派遣事業を展開しています。

東京建物スタッフィング社が介護士を派遣している取引先であることから、両社の事業に高いシナジーがあると評価しています。

参考:連結子会社の異動(株式譲渡)

網屋によるグローブテック・ジャパンの子会社化

2023年8月、網屋はグローブテック・ジャパンの株式を取得し子会社化することを発表しました。

網屋はセキュリティの総合プロバイダで、サイバー攻撃に対抗し、セキュリティを自動化することで、高水準のセキュリティを誰もが利用できる社会を目指す会社です。

グローブテック・ジャパンはIT技術者の派遣を軸にサイバーセキュリティや開発、製品販売を行う会社です。

今回の取引により網屋はサイバーセキュリティ人材の育成と高付加価値のサイバーセキュリティエンジニアの派遣事業を開始するとしています。

参考:グローブテック・ジャパンの株式の取得(子会社化)

ALSOKによるインドネシア人材派遣会社の株式取得

2023年6月、ALSOKはインドネシアの人材派遣・警備事業者PT. Shield-On Service Tbk(SOS)の株式を取得することを発表しました。

ALSOKはて日系企業を中心にセキュリティニーズに応えててきています。

SOSは人材派遣、警備、清掃、駐車場管理などのアウトソーシング企業で、現地財閥Sinarmasグループを大口顧客に持つインドネシア証券取引所上場の企業です。

この取引により、ALSOKは日本とインドネシアの協力を通じて、人材育成と安全安心サービスの向上に貢献し、ASEAN地域での事業展開を強化するとしています。

参考:株式の取得契約締結

ワールドホールディングスによる日本技術センターの株式取得(子会社化)

2023年4月、ワールドホールディングスは日本技術センターの株式取得(子会社化)を発表しました。

ワールドホールディングスは創業以来、広範な人材サービスを提供し、ものづくり産業を支えるとともに、人々に活躍の場を提供し、多くの「人が活きるカタチ」を創造しています。

日本技術センターは55年の歴史を誇り、高度な機械設計技術者を多数擁し、大手メーカーに対する製造・技術者派遣事業や技術請負事業を展開しています。特に関西地区での強みを持つ企業です。

今回の取引により、ネットワーク・ノウハウが、同社の更なる業容拡大に繋がるのと同時に、当社の基幹ビジネスである人材教育ビジネス、特にプロダクツHR事業の技術分野の強化と西日本エリアの強化に寄与し、双方の成長を促進するとしています。

参考:日本技術センターの株式取得(子会社化)

ハイブリッドテクノロジーズとキャスレーコンサルティングのM&A

2023年4月、ハイブリッドテクノロジーズはキャスレーコンサルティング株式会社の株式を取得し、子会社化しました。

ハイブリッドテクノロジーズは、日本とベトナムのリソースを活用したハイブリッドなシステム開発や労働者派遣事業を行っております。

キャスレーホールディングスは、経験豊富なPM/コンサルティング人材の在籍や、PM人材育成のノウハウを持っている企業です。

今回のM&Aにより、ハイブリッドテクノロジーズは顧客に提供するハイブリッド型サービスの安定性、品質の向上、現在の対象会社の顧客に対して、労働者派遣サービスだけでなく、「ハイブリッド型サービス」の提供が可能となるとしています。

参考:キャスレーコンサルティング株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

FreeeksによるNEXTの吸収分割

2023年2月、FreeeksはITbook ホールディングスの連結子会社であるNEXTを吸収分割したと発表しました。

NEXTは、お客様の課題や悩みを解決するために、SE等の技術者を派遣し、ICTサービスやシステムエンジニアリングサービスを提供しています。

今回の取引によりFreeeksは事業および雇用を拡大することでDXを総合的かつ包括的にサポートする体制を整備するとしています。

参考:吸収分割による事業承継

メイホーホールディングスとエムアンドエムのM&A

2023年1月、メイホーホールディングスは孫会社である株式会社スタッフアドバンス(以下、 スタッフアドバンス)が、業務請負事業、人材派遣事業等を営む株式会社エムアンドエムより同社の人材派遣事業を事業譲受しました。

スタッフアドバンスは福島県を中心に人材派遣事業を行っています。

今回のM&Aにより、岩手県にも派遣先を拡げること で、東北エリアにおける更なるシェア拡大を図っていくとしています。

参考:当社連結子会社における事業譲受に関するお知らせ
 

アピリッツとY’sのM&A

2022年7月、アピリッツは株式会社Y’sの株式を取得し、 完全子会社化しました。

アピリッツは2000 年の創 業より企業のデジタルビジネスの変革をご支援しています。

Y’sはIT 人材派遣事業を展開している企業です。

このM&Aにより、アピリッツはY’s社の人材育成・教育のノ ウハウを活用することで、人材派遣事業の更なる拡大に努めていくとしています。

参考:株式会社Y’sの株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

エクシオグループとアイティ・イットのM&A


2021年12月、エクシオグループは、ICT保守運用やヘルプデスク業務などを展開するアイティ・イットを株式交換により完全子会社化しました。

エクシオグループは、通信キャリアや都市インフラなどのエンジニアリングソリューションやシステムソリューション事業を展開しており、中期経営期計画「リカーリングビジネスの拡充」を掲げています。

アイティ・イットはICT 保守運用・ヘルプデスク事業を主軸とし、独自の採用および育成システムを構築しており、安定した事業基盤を持っている企業です。

このM&Aにより、エクシオグループは、グループ内のリソースの融合を図ることで中期経営期計画にを推進し、事業規模拡大と企業価値向上を目指します。

参考:株式会社アイティ・イットの簡易株式交換による完全子会社化のお知らせ

コプロHDとバリューアークコンサルティングのM&A

2021年9月、コプロ・ホールディングスは、主にシステムエンジニアリングサービスを提供するバリューアークコンサルティングの発行済株式を全て取得し、子会社化しました。取得価額は非公表です。

コプロホールディングスは、建設・プラント業界向けの人材派遣・紹介事業などを手掛けており、このM&Aによってグループ全体のさらなる事業拡大と収益の安定性向上が期待できるとし、業容拡大と経営基盤強化に邁進するとしています。

参考:バリューアークコンサルティング株式会社の 株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ツナググループHDとツナグ・スタッフィングのM&A

2021年6月、ツナググループ・ホールディングスは、連結子会社であるツナグ・スタッフィングの全株式譲渡を決議しました。譲渡価額は非公開です。

ツナググループHDは、採用コンサルティング、採用代行をはじめとし、短期雇用やDXリクルーティングなどの新たな採用手法を提供するグループ企業です。

サービスの充実と他事業とのシナジー効果を発揮するため、2018年1月、東北地方の人材派遣に強みをもつスタープランニング(現ツナグ・スタッフィング)の株式を取得していました。

しかし、新型コロナ感染拡大の影響により案件数が減少し、抜本的な構造改革が必要になりました。収益改善・コロナ後を見据えた事業の選択と集中を考慮し、相乗効果が得られるまでには時間を要すると判断したことが譲渡に至った理由です。

ツナググループHDは、アルバイト・パートに特化した採用代行サービスに経営資源を集中させ、採用メディア事業の派生サービスを再構築してスタートする予定です。

このM&Aにより、経営効率の向上、経営資源の集中が図られ、グループ全体の企業価値向上が期待できるとしています。

参考:連結子会社の異動(子会社株式の譲渡)に関するお知らせ

UTグループとプログレスグループのM&A


2021年5月、UTグループは、プログレスグループの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は、30億9,500万円です。UTグループは、製造・設計・開発・建設分野などの企業への人材派遣や、製造業の業務請負・開発受託を行っています。

プログレスグループは、岐阜県、三重県、長野県、茨城県を中心に、製造業向けの人材派遣事業を行っている子会社プログレスを持つ企業です。UTグループとしては、製造業向けの人材派遣事業市場で、シェアを拡大することを目的にM&Aを実施しました。

株式会社プログレスグループの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

パソナグループとMore-SelectionsのM&A

2021年4月、パソナグループは、More-Selectionsの株式を取得し子会社化しました。取得価額は公表されていません。

パソナグループは、人材関連サービス事業を幅広く手掛けている企業です。具体的には、人材派遣や紹介、BPO、再就職支援、人事コンサルティングなどを手掛けています。それ以外にも保育関連施設の運営など各種支援事業なども行っています。

More-Selectionsは、企業法務に特化した人材派遣、就職支援、転職支援、スカウトサイトの運営、研修・セミナー開催などを行っている会社です。

パソナグループは、各企業がコンプライアンス順守を厳しく求められるようになった社会情勢の中、法務部門への人材派遣需要が高まると判断しました。

参考:パソナグループ ビジネスのグローバル化による法務人材の需要拡大に向けて体制強化 株式会社More-Selectionsを子会社化

廣済堂とエヌティおよびNeoのM&A


2021年4月、廣済堂は、エヌティおよびNeoの2社のそれぞれ全ての株式を取得し、完全子会社化しました。エヌティとNeoの代表者は同じ人物です。エヌティの取得価額は3億6,900万円、Neoの取得価額は5,000万円です。

廣済堂は、情報ソリューション事業(印刷関連)、人材サービス事業、葬祭事業が主要事業です。埼玉県のエヌティとNeoは、人材派遣事業とともに、中国に自社工場を有して輸入事業(製造・販売)を行っています。

廣済堂としては、物流分野に特化した人材派遣事業を行っているエヌティとNeoを傘下に加えることで、同分野におけるシェア拡大、サービス内容の拡張を図る考えです。

参考:人材派遣事業を手掛ける株式会社エヌティおよび株式会社Neoの全株式を取得

UTグループとスリーエムのM&A

UTグループは、2021年2月と5月の2回にわたってスリーエムの自己株式を除く全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は30億5,300万円です。

UTグループは、建築・製造系企業への人材派遣や製造業の業務請負・開発受託を行っています。愛知県のスリーエムは、子会社3社において製造業および外国人労働者の請負・人材派遣事業を行っている企業グループです。

UTグループとしては、愛知県エリアでのシェア拡大と、製造業分野における競争力強化が図れると判断しています。

参考:株式会社スリーエムの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

アウトソーシングとエス・エス産業のM&A

2021年2月、アウトソーシングは、エス・エス産業の全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。

アウトソーシングは、国内では技術系・製造系・サービス系アウトソーシング事業、海外では技術系・製造系・サービス系事業を行っています。

愛知県のエス・エス産業は、製造業に特化して労働者派遣事業、業務請負事業、有料職業紹介事業を展開する会社です。鹿児島県にも事業所・営業所を所有しています。長期にわたり、外国人雇用の実績を構築してきました。

アウトソーシングとしては、業界内でのシェア拡大、愛知県・鹿児島県エリアでの新規顧客獲得・業容拡張など、総合的に底上げが図れると判断しM&Aを実施しました。

参考:株式会社エス・エス産業の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ディア・ライフとDLXホールディングスのM&A


2021年1月、ディア・ライフは、DLXホールディングスの株式51.22%を取得し、子会社化しました。取得価額は非公表です。ディア・ライフは、不動産事業や不動産投資事業、人材サービス事業などを行っています。

DLXホールディングスは、本件M&AのためにNFCホールディングスによって設立された会社です。設立時に、NFCホールディングスの子会社N-STAFFを、DLXホールディングスが完全子会社化しています。

N-STAFFは、コールセンターによる保険契約の取次業務の派遣に特化した事業を行っている会社です。ディア・ライフとしては、コールセンターの保険取次人員派遣事業への進出を目論んでいます。

DLXホールディングスとしては、不動産部門への派遣事業進出を狙う考えです。両社とも、相互にリソースを共用・活用することで、業績拡大を図る意図が一致しました。

参考:株式取得による子会社化に関するお知らせ

アウトソーシングとマークスファクトリーのM&A

2020年12月、アウトソーシングは、マークスファクトリーの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は非公表です。マークスファクトリーは、幅広い業種に向けた総合人材サービス事業を行っている会社です。

アウトソーシングの目論見は、グループとして、兵庫県エリアの対応力強化や製造系以外の顧客獲得を図ることです。マークスファクトリーはグループのリソース活用により、まだまだ業績が伸ばせると判断しました。

参考:株式会社マークスファクトリーの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ウイルテックとパートナーのM&A


2020年12月、ウイルテックは、パートナーの全株式を取得し、完全子会社化しました。

ウイルテックは、製造・建設業向け技術者の人材派遣事業や製造関連事業を行っています。パートナーは、主にIT技術者派遣事業を行っている会社です。

ウイルテックとしては、IT部門派遣事業への新たな進出で事業の多様化を実現し、パートナーとの経営資源共用や人材交流などにより、シナジー効果も創出できると踏んでいます。

参考:株式会社パートナーの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

UTグループとシーケルホールディングスのM&A

2020年11月、UTグループは、シーケルホールディングスの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は17億円です。

UTグループは、製造・設計・開発・建設分野などの企業への人材派遣や、製造業の業務請負・開発受託を営む企業グループです。シーケルHDは、その子会社シーケルが人材派遣事業、請負事業を行っています。

UTグループには、茨城県で日立製作所を顧客に持つ子会社が2社あります。そこにシーケルが加わることによって、地域内でのシェア拡大と事業基盤拡充が見込めると判断しました。

参考:株式会社シーケルホールディングスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

アウトソーシングとアバンセホールディングスのM&A

2020年11月、アウトソーシングは、8%の株式を所有していたアバンセホールディングスの株式43%を追加取得し、子会社化しました(合計で51%の株式を取得)。取得価額は45億円です。

アバンセホールディングスは、子会社3社の体制で海外人材を活用する事業を行っているグループです。主要子会社であるアバンセコーポレーションは、30年以上もブラジルなどの日系人人材派遣事業を行ってきた実績があります。

アウトソーシングとしては、世界規模での人材流動化ネットワークの基盤を整え、業績拡大を図る考えです。

参考:株式会社アバンセホールディングスの株式追加取得(子会社化)に関するお知らせ

日本調剤とWORKERS DOCTORSのM&A

2020年11月、日本調剤の連結子会社メディカルリソースは、WORKERS DOCTORSの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は非公表です。日本調剤は、全国で682店(2021年8月2日現在)の調剤薬局を運営している企業です。

メディカルリソースは医療従事者の派遣・紹介事業を行っています。一方、東京のWORKERS DOCTORSは、産業医業務提供事業を営む会社です。

日本調剤としては、WORKERS DOCTORSとのノウハウ・営業体制・ネットワークなどの融合により、全国規模で産業医業務提供事業で展開することを企図しています。

三栄建築設計と日本ベストサポートのM&A

2020年9月、三栄建築設計の完全子会社メルディアホテルズ・マネジメントは、日本ベストサポートの株式68.8%を取得し、子会社化しました。取得価額は公表されていません。

三栄建築設計は、戸建分譲事業、注文住宅・請負事業、賃貸収入事業などを行っています。メルディアホテルズ・マネジメントは、宿泊施設・各種リゾート・レジャー施設・飲食施設の開発・運営などを行っている会社です。

日本ベストサポートは、ホテル再建などの各種コンサルティング事業、ホテル・旅行の運営受託事業、人材派遣事業、有料職業紹介事業、デューデリジェンス事業を行っています。特定技能外国人登録支援機関にも認定されています。

三栄建築設計としては、グループ内で日本ベストサポートとリソースやノウハウを共有し、ホテル事業の成長・拡大につなげることが目的です。

参考:メルディアグループ メルディアホテルズ・マネジメント株式会社、日本ベストサポート株式会社を連結子会社化のお知らせ

じげんとPCHホールディングスのM&A


2020年9月、じげんは、PCHホールディングスの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は1億8,000万円です。じげんは、ライフイベント関連メディアを企画・運営するライフサービスプラットフォーム事業を行っています。

PCHホールディングスは、その子会社HITOWAキャリアサポート(現ミラクス)が、介護従事者・福祉事業者・医療従事者の人材派遣・紹介事業、ベビーシッター事業、企業内保育施設の設置・受託・運営などを行っています。

じげんとしては、介護・保育分野への本格進出の足掛かりとし、人材領域において今後の事業基盤を整え、事業成長・企業価値向上を図る考えです。

参考:HITOWAキャリアサポート株式会社の持株会社である PCHホールディングス株式会社の株式取得について

デザインワン・ジャパンと昼jobのM&A

2020年5月、デザインワン・ジャパンは、昼jobの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。

デザインワン・ジャパンは、口コミ店舗検索サイト「エキテン」の運営、集客支援サービス、人材紹介事業などを行っています。昼jobは、ナイトビジネス出身者に特化した人材紹介サービスを行っている会社です。

デザインワン・ジャパンとしては、求職者のキャリアシフト支援という独自のビジネスモデルを獲得するとともに、エキテンの業域拡大にも効果が期待できるとしています。

参考:株式会社昼 job の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

マイナビとブレイブのM&A

2019年2月、人材領域で幅広いサービスを提供しているマイナビは、人材派遣業を行うブレイブを子会社化しました。ブレイブは全国に18拠点、約2,300人の稼働スタッフを持つ、看護師や介護士の人材派遣サービスを行う企業です。

超高齢社会である近年、介護業界では深刻な人手不足が問題となっています。介護業界では高時給などの金銭面や、勤務時間や就業日数の選択肢の多さから、直接雇用と比較して派遣雇用を選択する求職者も多いのが実態です。

このような背景から、今後、成長が見込まれる介護派遣市場へ参入を果たしたマイナビは、人材サービスのさらなる拡大や総合力の強化を目指します。ブレイブも拠点の拡大や採用力の強化につながり、シナジー効果を生み出すM&Aとなりました。

人材派遣会社のM&A専門家のコメント

人材派遣会社の大きな特徴は、必要なリソースは人材であることです。ほかの多くの業種のように設備や施設、機械類などへの投資が必要ありません。そのため、事業で得た収益は現金のまま内部留保されます。

利益の出ている人材派遣会社は、その現金を有効活用するためにM&Aの買い手となり、事業拡大を図ったり新規事業に進出したりするため、M&Aが活発なのです。このような状況下で、各社が生き残っていくための今後の課題は、以下の3点でしょう。

  1. AIやロボットが進出してくる業種における人材派遣をどのように転換するか
  2. 海外からの人材流入に対する体制作り
  3. 無期転換ルールに伴い、常時、人材探し・確保を行う施策
無期転換ルールとは、期限付き労働契約従事者が、期限が更新され通算で5年を超えた場合には、無期限労働契約に切り替えることを申し込める制度です。2018年4月から導入されました。

人材派遣のM&Aのまとめ

人材派遣会社のM&Aでは、買い手、売り手によってM&Aを選択する目的が異なります。メリット・デメリットをしっかり判断したうえでM&Aを実施しましょう。大きな意思決定であるM&Aは、専門的な知識や注意点も多いため専門家を活用すると安心です。

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