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2021年6月1日更新会社・事業を売る
株式分割のメリット・デメリットまとめ【会社・企業、株主・投資家】
株式分割とは会社の発行可能株式総数を増加させる手続きのことで会社にとってはメリットだけでなく、デメリットも生じます。株式分割を実施する際にはメリットとデメリットを理解する必要があるからこの記事では手続き方法や会社・株主に与えるメリットとデメリットを紹介します。
株式分割とは
株式分割とは
株式分割とは、自社の発行済株式総数を引き上げる手続きのことをいいます。株主側から見ると出資額を変えずに保有できる株式が増加することになります。その際、発行済株式総数が増加する分だけ株価が下落することからこの一連の流れの手続きのことを株式分割と呼んでいます。
では、なぜ企業は株式分割を行うのでしょうか?そこでこの記事では株式分割を行うメリットやデメリットについて紹介します。まずは株式分割を行う理由や頻繁に行えない理由について紹介します。
株式分割を行う理由
株式分割を行う理由は株式の流動化です。株式会社は市場に対して株式を発行することで幅広く資金調達が可能になるというメリットがあります。今まで人気の株式については株価が高く、一定の株主しか株式を保有できないというデメリットが生じていました。
このデメリットを解消する方法として株式分割が認められるようになりました。株式分割は資本は変わらないが、発行可能株式総数が増加するため、株価が下がります。株価が下がると株主は株式を売却しやすくなり、買い手側としては株式を購入しやすくなります。
また、株式を保有している側としても高額で売却しにくいというデメリットが解消されて、売り手を見つけやすくなります。このように株式の流動化を高めることでより広いところから資金調達が可能になります。
株式分割は頻繁に行えない理由・頻繁に行うデメリット
株主分割が頻繁に行えない理由は株式分割バブルが生じる恐れがあるからです。これは株式分割を行う上で考慮するべきデメリットです。株式分割バブルとは株式分割に伴って株価が上昇する現象のことをいいます。
日本での事例は1997年ごろからヤフーの株式で見られました。この事例では株式の流動性の上昇とITバブルでのIT企業に対する業績向上の期待から株式分割のたびに株式分割バブルという現象が見られました。株式分割バブルが生じる理由は現在でもわかっていません。
ヤフーの事例以外にも株式分割バブルが見られたことから2007年には証券取引所からの通達で株式分割は5倍までとする通達が出されました。さらに株券電子化に伴って取引単位を100株と制限されたこともあって株式分割を頻繁に行う企業は大幅に減少しました。
株式分割の回数制限はありませんが、株式分割が業績を上げるためのごまかしととらえられるというデメリットもあるので事実上頻繁に株式分割を行えないことになっています。
株式分割のメリット・デメリット
株式分割のメリット・デメリット
次は株式分割を行うメリットとデメリットについて紹介します。
株式分割のメリット
まずは株式分割を行うメリットを会社・企業側からのメリットと株主・投資家側からのメリットに分けて解説します。
会社・企業のメリット
株式分割の会社・企業のメリット1つ目は幅広く資金調達ができることです。株式会社は株主から資金を出資してもらうことで資金調達を行っています。また、株式会社の所有者は株主であるため、株主の利益が短期的に出るような経営を行う必要があります。
株価が高いと株主を購入できる人が限定されるため、株主総会でその株主の意見を重視した提案が決議される可能性があります。企業側としては株式分割で所有の分散を図り、株主の利益を重視しない経営ができるというメリットがあります。
株式分割の会社・企業のメリット2つ目は株価が下落することで注目を集められる可能性があることです。これは将来的に成長が見込まれる企業に当てはまるメリットです。いくら将来的に成長が見込まれる企業であっても株価が高いとほとんどの人は株式を買えないため、注目度は低くなります。
しかし、株式分割を行って、株価を下げておき、かつ将来的に成長が見込まれる企業になるとその株式は一気に注目され、場合によっては当該企業の認知度を一気に高めることができます。また、これにより株価が上昇するため、企業価値を高めることができます。
株主・投資家のメリット
株式分割の株主・投資家のメリット1つ目は株式の売買がしやすくなることです。株式を購入する際、株価が高すぎると成長見込みがあっても株式を購入することができません。しかし、株式分割を行い、株価が下がることで株式を購入しやすくなり、利益を獲得できる可能性を高めることができます。
株式の売却に関してもメリットがあります。株価が高すぎると株式の売却先を見つけられないというデメリットが生じますが、株式分割により株価が下がると売却先を容易に見つけることができます。株式分割の株主・投資家のメリット2つ目は資産の増加につながる可能性があることです。
株式分割を行うと流動性が高まり、株式の売買数が増加するため、短期的に株価が上昇します。デイトレーダーであれば、この現象で資産を増やすことができます。
株式分割のデメリット
続いては株式分割を行うデメリットを紹介します。デメリットについても会社・企業側からのデメリットと株主・投資家側からのデメリットに分けて解説します。
会社・企業のデメリット
株式分割の会社・企業のデメリット1つ目は質の悪い株主が増える可能性があることです。質の悪い株主とは自身の利益を求めるために株式を保有している株主のことです。株式の流動性が高まると株価が下がるため、誰でもその会社の株主になることができます。
その一方で、先ほど紹介したメリットの裏返しで、資金を広く調達すると、このような質の悪い株主が増える可能性があるというデメリットがあります。資金調達方法として株式分割を行うだけでなく、新規株式発行も行って質の悪い株主を減らすような対策をとる必要があります。
株式分割の会社・企業のデメリット2つ目はコストが増加する可能性があることです。株主が増えると株主総会への招集通知など管理コストが増加します。また、株式の配当金に関するコストも増加する恐れがあります。
株式分割を行う際にはこれらのようなデメリットも考慮する必要があります。
株主・投資家のデメリット
株式分割の株主・投資家のデメリット1つ目はデイトレーダーの影響で株価が下落する可能性があることです。先ほどのメリットで紹介したように株式分割を行うことで取引数が増加するため、短期的には株価が上昇します。
それを狙ってデイトレーダーがこの取引にかかわる可能性があります。そのデイトレーダーの数が多すぎると、一気に株式が売却されることになるので株価が逆に下落する可能性があります。この下落が呼び水になって、売却する株主が増加し、さらに株価が下落する可能性があります。
このような短期的な取引については市場などの動向を見て判断してデメリットを回避するようにしましょう。株式分割の株主・投資家のデメリット2つ目は株価が安定しなくなることです。これは中長期的な視点でのデメリットです。
株式分割バブルのように株価が上昇し、保有資産が増加する可能性があります。その一方で、株式が売却しやすくなり、株価が下落する可能性もあります。このように株式分割を行うことで今までのように株価が安定しなくなるというデメリットが生じる可能性が高くなります。
それに関する対策についても先ほどと同様に市場などの動向を見て判断してデメリットを回避するようにしましょう。
株式分割を行う手順
株式分割を行う手順
最後に株式分割を行う手順を紹介します。一般的な株式分割を行うための手順は以下のようなステップを踏みます。
- 株式分割の決議を行う
- 定款の変更を行う
- 基準日の公告を行う
- 効力発生と端数の処理
- 登記を行う
1.株式分割の決議を行う
1番目の手順は株式分割の決議を行って株主から賛同を得ることです。株式分割の決議はその会社に取締役会を設置しているか設置していないかで異なります。取締役会を設置している場合、株式分割の決議を行う会社の機関は取締役会です。
通常は株式総会で普通決議を得る必要がありますが、株主へのデメリットが生じないため、取締役会で決議をしてもよいことになっています。なお、株式分割の反対で株式併合を行う場合は取締役会を設置していたとしても株主総会で決議する必要があります。
一方、取締役会を設置していない場合は株主総会で決議する必要があります。
2.定款の変更を行う
2番目の手順は定款の変更を行うことです。発行可能株式総数は会社の定款に定める必要があります。株式分割は資本、つまり出資額を変えずに発行可能株式総数を増加させることができる手続きになるので、当然ですが定款を変更させる必要があります。
定款を変更するためには手数料が発生しますが、これは株式分割のデメリットの1つであるといえます。なお、定款の変更は一般的には株主総会で特別決議を得る必要があります。しかし、株式分割にかかる発行可能株式総数の変更に伴う定款の変更であれば、取締役会の決議だけで変更することができます。
3.基準日の公告を行う
3番目の手順は基準日の公告を行います。株式分割の基準日を迎えることで各株主が保有する株数が当企業が設定した比率に応じて増加することになります。そのため、株主に対してその株式がいつから増加するか伝える必要があります。その手続きが基準日の公告です。
基準日の公告の具体的な内容は基準日がいつなのか、どのくらいの割合で株式が増加するのか公告する必要があります。この公告には官報で公告する必要があり、株式分割を行う際のデメリットであるといえます。
なお、会社法では基準日の2週間前までにこのような公告を行う必要があると定めています。スケジュール管理については計画的に実行する必要があります。そうでないと株式分割が予定通り実施できない可能性があります。
4.効力発生と端数の処理
4番目の手順は効力発生と端数の処理です。官報で基準日の公告を行い、株式分割の効力が発生する日が来ると株主の株数が増加することになります。つまり、株主が保有する株式数が増加し、会社の発行可能株式総数も増加することになります。
ここで問題になるのが株式の端数です。株式数は整数でしか存在しません。0.5株のような端数の形では株式は存在しません。しかし、株式分割では2倍や3倍のような整数の倍数で分割が行われるとは限りません。
会社の戦略によって2.5倍や3.4倍のように端数が出るような株式分割が行われる場合があります。2.5倍や3.4倍のように端数が出るような株式分割を行った場合は、端数処理をする必要があります。端数処理では一般的に1株に満たない部分を会社が買い取って、その対価分を株主に返還します。
端数処理が生じるような株式分割はコストや負担がかかるなどのデメリットがあるため、ほとんどの株式分割では整数倍の分割になります。
5.登記を行う
最後の手順は登記を行うことです。株式分割に伴う登記は基準日から2週間以内に行う必要があります。なお、登記を行う法務局は会社の本社を管轄している法務局です。登記の申請を行ってから約1~2週間で登記が完了します。
ここまで紹介した5つのステップを経て株式分割が完了します。戦略等を考慮して株式分割を行う必要があるため、専門家への相談は必須であると考えられます。
株式分割を行う際には専門家に相談を
株式分割を行う際には専門家に相談を
株式分割は株式数を増やす手続きであり、株式数増加後のコントロールが重要であり、それに伴うメリット・デメリットを理解する必要があります。そのため、株式分割を行う際には専門家に相談しておく必要があります。
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まとめ
株式分割 まとめ
今回は株式分割について紹介しました。株式分割は株主に対して重大なデメリットが生じないため、決議は株式併合に比べて簡素なものになっています。だからこそ株式分割を行う際にはそのメリットとデメリットを十分に理解した上で実施する必要があります。
株式分割を実施する際には専門家に相談してみましょう。
【株式分割を行うメリット(会社・企業側)】
- 幅広く資金調達ができること
- 株価が下落することで注目を集められる可能性があること
- 株式の売買がしやすくなること
- 資産の増加につながる可能性があること
【株式分割を行うデメリット(会社・企業側)】
- 質の悪い株主が増える可能性があること
- コストが増加する可能性があること
- デイトレーダーの影響で株価が下落する可能性があること
- 株価が安定しなくなること
【株式分割を行う手順】
- 株式分割の決議を行う
- 定款の変更を行う
- 基準日の公告を行う
- 効力発生と端数の処理
- 登記を行う
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。