2020年9月11日更新会社・事業を売る

のれんの減損とは?減損する理由や事例、兆候を解説【コロナへの対応も】

のれんの減損が起きると、株価低下や配当金の減少などのリスクが発生します。近年は頻繁にM&Aが行われるようになったこともあり、のれんの減損処理の事例が増加しています。本記事では、のれんの減損が起こる理由や事例、兆候を解説します。

目次
  1. のれんの減損とは
  2. のれんの減損が起こる理由
  3. のれんの減損事例
  4. のれんの減損が起こる兆候とは
  5. のれんの減損を避けるには
  6. 新型コロナによるのれんの減損の対応について
  7. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談
【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

のれんの減損とは

のれんの減損とは

のれんの減損とは

のれんの減損とは、のれん(将来的に見込まれた収益価値)を下方修正することです。のれんの減損処理で想定されるリスクは、株価低下や配当金減少などが挙げられます。

これらのリスクは企業価値の低下を意味するので、経営者としてはできる限り避けなくてはなりません。のれんやのれんの減損の概要について確認していきましょう。

そもそも、のれんとは何

のれんとは、M&Aにおける買収価格と買収対象企業の純資産額との差額を計上するものです。M&Aの際の企業価値評価は時価評価を行うことになるため、貸借対照表に記載される簿価との差額が発生してのれんの計上が必要になります。

技術・ノウハウや商標権・特許など、形にすることができない無形資産を評価する際に評価額と純資産額の間で際が発生します。この差異の帳尻を合わせるのがのれんです。

高い評価がされることで発生するのれんは、企業にとって将来的な収益価値であることを意味しています。将来的に回収できると見込まれたものであるため、買い手側のM&A買収に対する期待値と言い換えることもできます。

【関連】M&Aにおけるのれん

のれんの価値を修正すること

のれんの減損は、のれんの価値を修正することです。M&A買収の際に計上したのれんが実際に回収することが難しいと判断された時に、のれんの減損処理で本来の価値評価を行います。

会計処理においては、当期の特別損失として計上します。会計上は特別損失として扱うことができますが、税務上は損失扱いにできない場合も多いため、のれんの減損が企業に与えるダメージはとても大きいです。

【関連】減損処理とは?メリット・デメリットや計算方法をわかりやすく解説

のれんの減損が起こる理由

のれんの減損が起こる理由

のれんの減損が起こる理由

のれんの減損が起こる主な理由は、「買収価格が高すぎた」あるいは「想定してた利益が生み出せていない」の二点です。

買い手側の無形資産に対する期待値が高すぎたことで原因になり、本来の帳簿価格にするために減損処理を行わなくてはならない状況になっています。

買収後の要因で価値減少やキャッシュ・フローの減少などが発生することもあります。経営者によるM&A判断の際に見極めることができないものもあるため、完全にコントロールすることは難しいとされています。

のれんの減損事例

のれんの減損事例

のれんの減損事例

過去に行われたM&Aの中には、のれんの減損が行われた事例がいくつもあります。この章では、特に話題になったのれんの減損事例をピックアップしてご紹介します。

【のれんの減損事例】

  1. キリンによるブラジルのビール会社ののれん減損
  2. 日本郵政による豪の物流事業ののれん減損

1.キリンによるブラジルのビール会社ののれん減損

1.キリンによるブラジルのビール会社ののれん減損

1.キリンによるブラジルのビール会社ののれん減損

出典:https://www.kirinholdings.co.jp/

2011年8月、キリンホールディングスはブラジルのビール会社「スキンカリオール」を3000億円で買収しました。

買収当時、スキンカリルールは年率10%前後の売上増加が期待される優良企業でしたが、買収後のブラジル国内経済の変化による消費落ち込みや同業他社との競争激化の影響で想定していたのれんが失われてしまいます。

本件が直接的な原因となり、2015年12月期にのれんの減損を行い、1949年の株式上場以来の初赤字を計上する結果となりました。

2.日本郵政による豪の物流事業ののれん減損

2.日本郵政による豪の物流事業ののれん減損

2.日本郵政による豪の物流事業ののれん減損

出典:https://www.japanpost.jp/

2015年5月、日本郵政はオーストラリアの物流大手会社トール・ホールディングスを6200億円で買収しました。

日本郵政は国際物流事業への足掛かりとしていましたが、オーストラリアの経済悪化や単純な経営失敗による影響で失敗に終わってしまいます。

業績が回復することはなく、結果的に17年3月期に約4000億円ののれんの減損を計上することとなりました。さらに2020年8月、日本郵政はトール・ホールディングスの売却とともに国際物流事業から撤退することを公表しました。

のれんの減損が起こる兆候とは

のれんの減損が起こる兆候とは

のれんの減損が起こる兆候とは

のれんの減損には、減損が生じている可能性を示す「減損の兆候」が見られる場合があります。企業にとって大きなリスクである減損リスクを早期に認識することで、対抗策を検討することができるようになります。

のれんの減損の兆候は、減損会計基準において以下のように定義されています。いずれもM&A後の変化によりみられる可能性があるものなので、順番に確認していきましょう。

【のれんの減損が起こる兆候】

  1. 営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合
  2. 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
  3. 経営環境の著しい悪化がある場合
  4. 市場価格の著しい下落がある場合

1.営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合

営業活動から生ずる損益とは、減価償却費や本社共通費(本社修繕費や社長の人件費)などが含まれます。

継続してマイナスについては具体的な年数は記載されていませんが、当期マイナス翌期プラスが見込まれるような状況においても、考慮する必要があると考えられます。

ただし、事業の立ち上げ時など、初期投資の影響で一時的なマイナスになることが見込まれている場合は兆候として認められません。損失が出ていたとしても、合理的な事業計画のもとで行われているものであれば、減損処理を行う必要はないです。

2.使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合

M&Aで取得した資産について、回収可能価額が低下する事態が発生した場合も兆候として認められます。

具体的には、M&Aで取得した無形資産を本来予定していた使用方法以外への使用や遊休状態、再稼働の見通しが立たない状況などが挙げられます。

このような状況が続くと、M&Aの際に見込まれていた収益価値が回収できなくなるリスクが非常に高いため、危険度は高いとみられています。

3.経営環境の著しい悪化がある場合

経営環境の著しい悪化は個々の企業や業種によって基準が変化するため、下記の例示を示す範囲にとどめられています。

【経営環境の悪化として認められる例示】

  1. 原材料の高騰やサービス料金・賃料の低下、売上高の減少が続いている状態
  2. 技術革新による既存技術の陳腐化や関連技術の流出・拡散による技術環境の悪化
  3. 法律改正による法律的環境の著しい悪化

過去には、日本化成が原材料価格の高騰により特別損失に計上した事例があります。硝安製造を行う工場の設備について、帳簿価額を回収可能額に修正するために8億円の減損処理を行っています。

4.市場価格の著しい下落がある場合

市場価格の著しい下落とは、「50%程度以上の下落」が該当します。M&Aで取得した資産について、何かしらの要因で50%前後下落した場合も減損の兆候として判断されます。

通常、需要量と供給量の相対的変化に対応して価格が変動するものですが、新型コロナウイルスなどのように大きな外的要因がある場合は、短期間で著しく下落することも珍しくありません。

のれんの減損を避けるには

のれんの減損を避けるには

のれんの減損を避けるには

のれんの減損を避けるためには、M&Aの段階でリスクを正しく認識しておくことが大切です。具体的な方法としては、M&A戦略策定とデューデリジェンスの実施が挙げられます。

この二点を徹底しておこなうと、M&Aで得られるシナジー効果を最大限に発揮させやすくなります。のれんとして計上される収益価値も回収しやすくなりますので、結果的にM&Aが成功する可能性を高める効果が期待できます。

【関連】デューデリジェンスとは?目的・方法・種類

M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

M&A総合研究所は、中堅・中小規模のM&A仲介を得意としており、豊富な実績を保有しています。

直接サポートを担当するスタッフは、M&A経験豊富なアドバイザーです。リスクを正しく把握した上で万全の体制でM&Aに臨みます。

無料相談は24時間体制でお受けしています。M&Aやのれんの減損についてお悩みの際は、お気軽にご連絡ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

新型コロナによるのれんの減損の対応について

新型コロナによるのれんの減損の対応について

新型コロナによるのれんの減損の対応について

新型コロナの影響で特に飲食業は大打撃を受けています。営業自粛が解除されてからも客足の戻りは悪く、業績が悪化し続ける企業が増加しており、大手チェーン店を全国展開する飲食大手はのれんの減損が危惧されています。

M&Aを繰り返して自己資本を上回るのれんを計上している企業が減損処理を行うと、一転して債務超過に陥る可能性があります。

デリバリーやテイクアウトに注力するなど、のれんの回収が不可能な状態にならないために、のれんの減損への対応が急務とされています。

まとめ

まとめ

まとめ

本記事では、のれんの減損についてみてきました。のれんはM&A買収における将来的な価値ですが、見通しの甘さや買収後の外的要因による影響で企業のリスクになることもあります。

これらのリスクを避けるためにもM&Aの判断は慎重に行わなくてはなりません。M&Aの専門家に相談することで、万全の体制で臨むことができるでしょう。

【のれんの減損まとめ】

  • のれんとはM&Aにおける買収価格と買収対象企業の純資産額との差額を計上するもの
  • のれんの減損とはのれんの価値を下方修正すること

【のれんの減損が起こる理由】
  1. 買収価格が高すぎた
  2. 想定してた利益が生み出せていない

【のれんの減損事例】
  1. キリンによるブラジルのビール会社ののれん減損
  2. 日本郵政による豪の物流事業ののれん減損

M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談は完全成功報酬制(成約まで完全無料)のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
  3. 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

Documents
【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

あなたにおすすめの記事

M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!【図解あり】

M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!【図解あり】

M&Aとは合併と買収という意味の言葉です。M&Aは経営戦略として人気で、年々行われる件数が増加しています。経営課題解決のために前向きにM&Aを考えてみてください。M&A仲介会社と相談しながら、自...

買収とは?意味やメリット・デメリット、M&A手法や買収防衛策を解説します

買収とは?意味やメリット・デメリット、M&A手法や買収防衛策を解説します

買収には、友好的買収と敵対的買収があります。また、買収には「株式を買収する場合」「事業を買収する場合」の2種類があります。メリット・デメリットをしっかり把握し、知識を得て実施・検討しましょう。

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

M&Aや投資の意思決定をする上で、現在価値の理解は欠かせません。現在価値は、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標であり、将来の利益を期待して行う取引や契約、投資では重要な概念です。

株価算定方法を解説します

株価算定方法を解説します

株価算定方法は、多種多様でそれぞれ活用する場面や特徴が異なります。マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセスについて詳細に解説します...

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。会社は赤字だからといって、倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリットを踏まえ経営...

関連する記事

会計の「のれん」とは?意味や計算方法、会計基準(日本・IFRS)ごとの会計処理

会計の「のれん」とは?意味や計算方法、会計基準(日本・IFRS)ごとの会計処理

買収額と純資産の差額である無形の固定資産が会計の「のれん」です。当記事では、会計の「のれん」の意味をはじめ、会計の「のれん」計算法・計算例や、会計基準ごとの処理、のれんの償却・減損、のれんが大き...

DCF法とは?メリット・デメリット、エクセルでの計算式や割引率を解説【例題あり】

DCF法とは?メリット・デメリット、エクセルでの計算式や割引率を解説【例題あり】

DCF法とは割引率を使って現在の事業価値を調べる計算法です。DCFとはとの疑問に応えて、DCF法の計算式や、計算で使う割引率・永久成長率、エクセルを取り入れたDCF法の計算式、例題、メリット・デ...

のれんの減損とは?減損する理由や事例、兆候を解説【コロナへの対応も】

のれんの減損とは?減損する理由や事例、兆候を解説【コロナへの対応も】

のれんの減損が起きると、株価低下や配当金の減少などのリスクが発生します。近年は頻繁にM&Aが行われるようになったこともあり、のれんの減損処理の事例が増加しています。本記事では、のれんの減損が起こ...

廃業でも従業員は退職金を受け取れる?給料や有給休暇の取り扱いも解説

廃業でも従業員は退職金を受け取れる?給料や有給休暇の取り扱いも解説

経営状態の悪化などの影響で会社を廃業せざる得ない状況になることがありますが、従業員の退職金や給料、有給休暇はどのような扱いになるのでしょうか。本記事では、会社の廃業の際の退職金や給料、有給休暇の...

民事再生法とは?条文、手続きや費用、JALとレナウンの事例も解説

民事再生法とは?条文、手続きや費用、JALとレナウンの事例も解説

民事再生法とは法律の1つで会社を再建するためには非常に有効な手段となっていますがメリット・デメリットが存在します。今回は民事再生法による詳細な内容と民事再生法の手続きや費用などを解説するとともに...

有料老人ホームのM&A・買収の最新動向/相場/メリットを解説【事例あり】

有料老人ホームのM&A・買収の最新動向/相場/メリットを解説【事例あり】

入所する高齢者に介護などの支援を提供するのが有料老人ホームの事業です。当記事では、有料老人ホーム業が抱える問題をはじめ、M&Aの動き、M&Aの手法、買収の相場、関係者が享受できるメリット、スケー...

中小企業の廃業理由とは?廃業数・廃業率の推移と相談窓口も紹介

中小企業の廃業理由とは?廃業数・廃業率の推移と相談窓口も紹介

民間調査会社のデータによると中小企業の廃業件数は増加しています。また、近年は廃業を視野に入れている中小企業の経営者も増加しています。そこでこの記事では中小企業の廃業に関する現状や廃業理由、また、...

廃業による従業員の処遇は?解雇にせずM&Aで雇用を守る方法も解説

廃業による従業員の処遇は?解雇にせずM&Aで雇用を守る方法も解説

廃業を行うと従業員の処遇で困ることやさまざまなリスクがあるため、できる限り行いたくはありません。そのような場合においてM&Aは従業員を解雇せずに守ることができます。今回は廃業による従業員の処遇と...

M&A、事業承継における内部監査の役割とは?不正リスク低減と係争回避

M&A、事業承継における内部監査の役割とは?不正リスク低減と係争回避

内部統制・内部監査とは、会社が組織的に機能するために必要なルールや仕組みのことです。日常的な経営はもちろんのこと、M&Aの実行の際も組織としての地盤がとても重要になります。本記事では、M&A・事...

記事検索
M&Aコラム
人気の記事
最新の記事
セミナー・イベント
【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。
ご相談はこちら
(秘密厳守)