M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年4月29日公開会社・事業を売る
ディスクロージャーとは?M&Aにおける意味やメリット・デメリットまで解説!
ディスクロージャーは、自社イメージの向上や株価の上昇を実現する目的として実施されることが多いです。
本記事では、そんなディスクロージャーの意味や種類、メリットとデメリット、実施のタイミングなどについて紹介します。
目次
ディスクロージャーは、自社イメージの向上や株価の上昇を実現する目的として実施されることが多いです。
本記事では、そんなディスクロージャーの意味や種類、メリットとデメリット、実施のタイミングなどについて紹介します。
ディスクロージャーの意味
ディスクロージャー(Disclousure)は、「情報公開」や「情報開示」といった意味を持つ言葉です。
元々は、IT関連の企業でPCのシステムやソフトウェアなどに不具合があったときにユーザーに情報開示するといった意味のセキュリティ用語として生まれた言葉です。
ビジネスの場面で使用されるディスクロージャーは、主に以下の2つの意味で使われることが多いです。
企業が投資家や株主・債権者などに対し経営内容などを開示すること
一般的に、企業が投資家や株主・債権者などに対し経営内容などを開示することを意味してディスクロージャーが使われます。
企業が、投資家や株主・債権者などの利害関係者に対して、自社の財務情報や非財務情報の開示をすることを意味します。これは、企業が公正な運営を行えているかどうかを明らかにする方法として有効な手段となっています。
ディスクロージャーを行うことで、投資家や株主・債権者は、企業の実態をありのまま開示してもらえるため、安心して企業評価を行うことができるといった重要な意味を持ちます。
また、企業側も、ディスクロージャーによって透明性をアピールすることができるため、企業のイメージアップにもつながります。そのため、ディスクロージャーは、企業戦略上でも重要な意味を持ちます。
M&Aにかかわる社員に開示されることもある
M&Aにおけるディスクロージャーの意味は、社員や取引先といったM&Aにかかわるステークホルダーに対して、M&Aの実行に関する情報開示をすることを意味します。
一般的にM&Aの際に行われるディスクロージャーのタイミングは、機密保持の観点からM&Aが実行された直後に実施されることがほとんどです。
自社のM&A関連情報は、混乱を回避するために社員には伏せられることが多いです。ただし、必要に応じてM&Aに大きく関係する経理担当者などの社員や幹部社員、重要取引先などには事前に開示されることもあります。
また、M&Aのクロージング条件に、幹部社員や重要取引先へ事前のディスクロージャーやM&Aの賛同が含まれることもあります。
ディスクロージャーの種類
ディスクロージャーの種類は、「法律によって定められているもの」と「企業の判断にまかされているもの」の2つの種類があります。
以下では、それぞれの種類について紹介します。
法律によって定められているもの
ディスクロージャーの一つ目の種類は、法律によって定められているものです。
これは、証券取引法や金融商品取引法、商法などにより上場企業に対して開示時期やその内容が定められています。
法律によって定められている種類のディスクロージャーは、義務として課されているため、企業は必ず実施しなければなりません。
企業の判断に任されているもの
ディスクロージャーの二つ目の種類は、企業の判断に任されているものです。
(一つ目の種類は企業に対する義務となっているため必ず実施する必要がありますが、二つ目の種類に関しては、実施しなくても問題のないものとなります。)
これは、決算説明会や年次報告書、広報誌の発行といった形式で開示される種類のディスクロージャーです。
投資家向けの広報活動の一環として行われる種類のディスクロージャーで、工場見学など製品製造工程を見学する機会を設けるなどのその種類の一つになります。こういった広報活動は「IR(Incestor Relations)」とも呼ばれます。
自社の経営状況や財務状況、今後の見通しといった情報を開示することによって、投資家に対する更なる出資を促すことが可能です。
ディスクロージャーのメリット
ディスクロージャーを行うメリットは、企業と投資家や株主・債権者などといった関係者双方にとってメリットがあります。
それぞれのメリットについて、企業側のメリットと投資家や株主・債権者側のメリットに分けて紹介します。
企業は透明性をアピールし信頼を得るため
企業側のメリットとして、ディスクロージャーは自社の透明性をアピールすることにより信頼を得ることができるといったメリットがあげられます。
ディスクロージャーでは、企業がどのような経営を行なっているのかといった実態を公開します。経営状況が公開されている企業は、クリーンなイメージを与えることができるため、投資家や株主・債権者などからの信頼を得ることにつながります。企業にとって、プラスのイメージを持ってもらえることは大きなメリットと言えるでしょう。
投資家が起業を等身大に評価できるようにするため
投資家側のメリットとしては、ディスクロージャーを通じて、等身大の企業を行化することができる点がメリットとしてあげられます。
投資家は、企業からのディスクロージャーによって経営状況や財務状況、今後の見通しといったありのままの情報を得ることができます。
ディスクロージャーによって、正しく企業の評価をすることができるため、投資を安心して行うことができるのです。
ディスクロージャーのデメリット
メリットとは逆に、ディスクロージャーによるデメリットとはどういったものがあるのでしょうか。
想定される以下の2つのデメリットについて紹介します。
コストがかかる
一つ目のデメリットはディスクロージャーにはコストがかかる点です。
ディスクロージャーは、ただ自社の情報を公開すればいいというものではありません。それは、開示した内容によってはデメリットと捉えられて、企業イメージが低下してしまう恐れもあるからです。
そのため、ディスクロージャーによって自社の情報を公開する場合は、情報を管理する人材や動員する人材に多くの人的リソースを割く必要があります。実際、大企業では専門の部署を設けていることもあるほどです。
ディスクロージャーを実施するにはコストがかかるといったデメリットがあることを知っておきましょう。
透明性の高い企業に限られる
二つ目のデメリットは、ディスクロージャーが企業に良い影響をもたらすのは、その企業の透明性が高い場合に限られるといった点です。
一つ目のデメリットで少しお話ししましたが、ディスクロージャーは開示の内容によっては、企業のデメリットと捉えられ、イメージダウンに繋がってしまう恐れがあります。
正確な情報を公表しなかったり、開示した内容が事実に即していなかったりした場合は、大きな問題となることも少なくありません。このような場合、メディアに報道されて不特定多数に企業のマイナスイメージを与える結果となったり、訴訟に発展するリスクもあります。
そのため、ディスクロージャーは透明性の高い経営を行なっていなければ、実施に対するデメリットも発生し得るのです。
ディスクロージャーを行う対象
ディスクロージャーを実施する主な対象は、以下の5つです。
ディスクロージャーによって開示される情報は場合によって異なることが多いです。それぞれの対象ごとに一般的なポイントについて紹介します。
従業員
ディスクロージャーの対象の中でも、「従業員」に対する情報開示は、タイミングや内容、段取りといった面を特に慎重に考えて実施することが求められます。
例えば、所属している会社がM&Aによって他社に譲渡されるといった話を、経営者から伝えられるのではなく、メディアでの報道や他社の人からの伝聞として知った場合、従業員はひどく動揺してしまうでしょう。
また、特に従業員の中でも優先するべきは、長く会社を経営者と共に支えてくれている幹部社員やベテラン社員です。このような会社の中心人物たちは、会社や経営者への思い入れも強い場合が多いです。
一般社員と同じタイミングで会社の存続に関わる重要事項を伝えられた場合、信頼関係を損なう恐れもあります。
M&A成立の直後に、幹部社員やベテラン社員への情報開示を行い、その後一般社員への発表・説明を行っていきましょう。
また、発表は譲渡側と譲受側双方の企業の役員が揃って、一緒に行うと共に、従業員からの質問にも対応するようにすると良いです。
取引先相手企業
取引相手企業との良好な関係は、事業を継続していく中で重要な要素です。
取引相手企業への情報開示の方法も、従業員に対する説明同様に譲渡側と譲受側双方の企業が揃って訪問するか、挨拶状の送付によって知らせることが一般的です。
M&Aを実行する前に、取引相手企業の一覧を作成しておき、関係に応じて情報開示のタイミングや方法を打ち合わせしておきましょう。
また、取引相手企業との契約にCOC(チェンジオブコントロール)条項が含まれている場合は、M&Aによる経営権の移動が発生する場合、通知義務が発生することもあります。事前に、取引相手企業との契約内容を確認し、対応することが大切です。
プレス
プレスへ開示するかどうかは場合により異なりますが、今後の事業戦略で市場に自社のM&Aを周知することが得策となる場合は検討すると良いでしょう。
譲渡側企業の本社の所在地にある主要な地方紙から数社を選んで開示することが一般的です。
金融機関
金融機関に対しても、今後の資金調達を円滑に行なっていくといった理由から、取引相手企業と同様に良好な関係を構築することが重要です。
一般的には、最終契約書に譲渡側企業の保証債務解除が定められていることも多いです。
融資取引のある金融機関に対しては、デリバリー後に譲渡側と譲受側双方の企業が揃って訪問して説明を実施すると良いでしょう。
証券取引所
M&Aの当事者に当たる企業のどちらかが証券取引所に上場した企業である場合、次のことについて留意する必要があります。それは、金融商品取引法上の開示規制と金融商品取引所の規則に基づいた情報開示制度である適時開示です。
適時開示とは、上場した企業に対し義務付けられている「重要な会社の情報の開示」のことを指します。
- 決算に関する情報
- 株式や(支配)株主に関する情報
- 重要な決定事項や発生事実に関する情報
そのため、M&Aの最終契約書を締結する前であっても、基本合意書の締結といったタイミングで、適時情報に該当する内容が決まった場合は、情報開示が必要となります。
ディスクロージャーを従業員に行うタイミング
従業員に対するディスクロージャーの実施タイミングは、慎重に検討する必要があります。
ここでは、ディスクロージャーを従業員に行うタイミングについて、注意すべきポイントを5つ紹介します。
M&A実行直後に行う
M&Aに関する情報を、自分が勤めている会社の経営者からではなく、外部からの伝聞として知った場合、今後の士気に多大な影響を与えることに繋がります。
M&A交渉中に情報公開を行うことはできませんが、重要な情報を外部から先に得ることがないように、M&A実行直後のタイミングで発表を行いましょう。
相手先との交渉が最終段階入った時幹部社員・株主の同意を得る
M&A成立後に行われる経営統合プロセス(PMI)において、幹部社員やベテラン社員・株主の協力は、成功のために必要不可欠です。
また、会社の重要な役割を占める人物である幹部社員やベテラン社員・株主が、一般社員と同じ段階でM&Aの情報を知らされた場合、信頼関係を損なう恐れもあります。
そのため、相手先との交渉が最終段階に入ったタイミングで幹部社員やベテラン社員・株主を優先して説明を行い、同意を得ましょう。
譲渡側と譲受側の役員をそろえ質疑応答の場を設ける
従業員に対する説明は、M&A実行当日の終業後に従業員を集めて行うことが一般的です。
その際は、譲渡側と譲受側双方の役員が揃った状態で、一方的な説明を行うのではなく、従業員の質問にも答えることのできる場を設けることが大切です。
特に、「仕事を今まで通り続けることができるのか」について不安に感じることが多いため、そのことを理解して、不安を解消できるように丁寧に説明を行いましょう。
M&Aを決意したのは社員を想ってのことである点を強調する
従業員に対する説明の際は、M&Aを決意したのは従業員を想ってのことである点を強調することが大切です。
これは、先述した「仕事を今まで通り続けることができるのか」といった不安を取り除くことにも繋がります。説明の際は極力「買収」などのネガティブな表現を用いることは避けましょう。
週前半に開示を行う
土日が休日の企業の場合、金曜日に情報開示がされると、不安感を抱えたまま休みを過ごすことになりかねません。場合によっては、不安感から転職を検討する従業員も出てくるでしょう。
もし、情報開示のタイミングをある程度選べる状況であるならば、開示後にすぐに従業員のケアを行うことができる週前半に行うと良いです。
ディスクロージャーを円滑に行い信頼関係を損なわないようにしよう
今回はディスクロージャーの意味や種類、メリットとデメリット、実施のタイミングなどについて紹介しました。
ディスクロージャーは実施のメリットは大きいですが、その分公開する情報やタイミングに注意が必要です。適切なタイミングでディスクロージャーを行い、信頼関係を損なわないように気をつけましょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。