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2019年11月27日更新
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のれん償却とは?会計処理や期間、メリット・デメリットを解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

M&Aで発生した「のれん代」は、一定期間内にのれん償却する必要があります。のれん償却の期間は、投資回収を考慮し最長20年以内で設定しましょう。会計基準としてIFRSを採用し、のれん償却を実行しない選択肢も一つの手です。のれん償却と非償却にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

目次
  1. のれん償却
  2. のれんとは
  3. のれん償却とは
  4. のれん償却における仕訳と会計処理
  5. キャッシュフロー計算書におけるのれん
  6. のれん償却・非償却のメリット・デメリット
  7. のれん償却期間
  8. のれんの税務上の取り扱いについて
  9. IFRS基準でののれんの処理方法
  10. まとめ

のれん償却

のれん償却

M&Aによって会社を買収(売却)する際、のれんの存在は無視できません。将来性の高い企業やシナジー効果が期待できる場合、買収価格にのれん代が上乗せされます。


M&Aで生じたのれんは、M&A後に償却する必要があります。M&A経験がない方にとって、のれん償却は馴染みがないでしょう。


M&Aを検討している方にとっては今後役立つ知識になります。
今回はのれん償却に関して解説します。

のれんとは

そもそも「のれん」とは一体何でしょうか?
M&Aで発生するのれんとは、売り手会社の超過収益力を表す概念であり、営業権とも呼ばれます。


売り手会社の純資産(資産−負債)と買収価格の差額分がのれんに該当します。差額がマイナスとなる場合、「負ののれん」と呼ばれます。


では、どうしてM&Aでは「のれん」が計上されるのでしょうか?
貸借対照表には現金や土地等の有形固定資産のみが原則記載されますが、M&Aではブランド力や顧客情報、無形固定資産も評価した上で買収価格を決定します。


ブランド力や顧客情報には決まった価値がなく、貸借対照表には記載されていません。そこでM&Aでは、買い手側の判断に基づいてのれん代として、買収価格に上乗せします。


ブランド力や顧客情報といったのれんは、買収後に企業を成長させる収益源となるので、将来的な超過収益力とも言われています。


もちろんのれんを決めるのは売り手の会社の状態です。もし理想的な売り手を見つけたいのであれば、M&A総合研究所のM&Aプラットフォームを活用してみましょう。


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M&Aにて発生するのれんは、特許権やソフトウェアと同様に、無形固定資産として計上する決まりとなります。


ただ、のれんはやや抽象的なものでもあるため、実際に算定する際には専門家の協力が不可欠です。
その際にはぜひM&A総合研究所にご相談ください。


M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。
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規模の小さい企業がM&Aを実施することが考えられますが、そのような案件にも対応しています。

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M&Aにおけるのれん

のれん償却とは

のれん償却とは

「のれん」の基本的な知識は理解して頂けたでしょうか?次は、のれん償却について基本的なことを解説します。


M&Aで計上するのれんは、他の無形固定資産と同様に減価償却し、毎期に渡り費用を計上する必要があります。


減価償却とは、時間が経つに連れて価値が目減りする資産について、価値の減少分を毎期費用として計上する会計処理です。


価値を減少させる事で、帳簿上の資産価値に妥当性を持たせる目的です。では、のれん償却はどの様な意味合いを持つのでしょうか?


固定資産とは違ってのれんは基本的に価値が減少せず、固定資産とは考え方が異なります。
ブランド力や顧客情報といった「のれん」は、消費する(使用する)事で利益増大やシナジー効果の獲得に繋がります。


のれん償却は、利益獲得の目標に費やした付加価値を表します。
のれん償却となっていますが、通常の減価償却とは根本的な部分が少々異なります。
通常の減価償却同様に、のれん償却ではのれんの価値を毎期費用計上します。
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法人税と減価償却

のれん償却における仕訳と会計処理

のれん償却における仕訳と会計処理

この項ではのれん償却の仕訳や、日本と諸外国間での会計処理の違いを解説します。
実務的な内容ですので、M&Aの場面で役立ちます。

のれん償却の仕訳

ここでは、のれん償却の仕訳を順を追って解説します。

①のれん計上

大前提ですが、のれんを計上するのは買い手側企業であることに留意ください。
M&Aを実行する際、純資産額と買収金額の差額を「のれん」として資産の部に計上します。


例えば資産が500,000円、負債が100,000円、買収金額が1,000,000円の場合、下記の通りのれんが計算されます。

  • のれん=1,000,000円−(500,000円−100,000円)=600,000円

このケースでは、600,000円をのれんとして資産に計上します。

②のれん償却費の算出

資産計上したのれんは、一定期間内に減価償却を完了する必要があります。


例えば前述の例において、10年間でのれん償却を完了する場合、下記の通り毎期の「のれん償却費」が算出されます。

  • のれん償却費=600,000円÷10年=60,000円

つまり10年間に渡って、毎期60,000円ずつのれん償却費を計上します。のれん償却費は「営業費用」として計上します。


のれん償却の会計処理における日本会計基準とIFRSの違い
これまで解説したのれん償却は、日本会計基準に基づく会計処理となります。


「国際財務報告基準」として世界各地で用いられているIFRSでは、のれん償却は発生しません。
つまり一度計上された「のれん」の価値は減少せずに残り続け、毎期に渡る費用計上はありません。


のれん償却が無い代わりに、毎期のれんがキャッシュフロー獲得に貢献しているか厳密にチェックします。チェックの結果貢献していないと判断されれば、のれんの価値を一気に減少させる会計処理を行います。


この会計処理によって生じる費用は「減損損失」と呼ばれ、減損損失は日本会計基準でも発生します。
営業権の償却

キャッシュフロー計算書におけるのれん

損益計算書に計上されているのれん償却費は、税金等調整前当期純利益に費用として含まれます
 

キャッシュフローを伴わない費用であるため、非資金損益項目として営業活動によるキャッシュフローの区分で税金等調整前当期純利益に含まれている分を戻す処理を行います。
 

気をつけるポイントとしては、のれんの償却分だけ、貸借対照表ののれん(資産)が減少していて、のれん償却費(余剰金の減少)とのれんの減少(資産の減少)の組み合わせ取引であるため、現金に影響はありません。
 

当期P/L:のれん償却費150(費用の発生(資本の減少))
→現金支出-150


 

のれん償却・非償却のメリット・デメリット

のれん償却・非償却のメリット・デメリット

日本会計基準ではのれん償却、IFRSではのれん非償却を採用していますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。


この項では、のれん償却と非償却のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

のれん償却におけるメリット・デメリット

最近では、日本企業での大型M&Aも増えてきている中、会計ルールを日本基準からIFRS(下部で詳しく説明しています)へ移行する会社も増えつつあります。
 

IFRSでものれんの償却の検討は進んでいて、今後も会計処理当たっては、変化がありそうです。
 

今回はその中でも一般的に言われる、のれんの償却のメリット・デメリットについて説明していきます。

①のれん償却のメリット

のれん償却を実施することで、のれんの非永続性を反映できます。
ブランド力といったのれんは原則価値が下がりにくいものの、何かのきっかけで価値が減少する可能性があります。


非永続性を反映できる点は、のれん償却におけるメリットの一つです。二つ目のメリットは、減損時の影響を抑制できる点です。
 

さらに、償却する場合は事務処理だけなので、減損テストはしなくて良いので、手間がかからないのもメリットの1つです。
 

現在の日本の会計ルールでは、のれんの減損は特別損失として扱われますが、今後のルールの改正のよってIFRS基準同様に、営業費用として処理されることになる可能性もあります。
 

目先のP/L値を重視するなら、のれんは非償却、将来、突然の巨額な損失を回避するなら、のれんは償却する方が良いかもしれません。


のれん償却は毎期に渡って資産価値を少しずつ減少させるため、仮に減損処理が発生しても下げ幅を小さく抑えることが出来ます。
 

 

②のれん償却のデメリット

のれん償却最大のデメリットは、のれん償却期間は利益が圧迫される点です。
毎期償却費用分だけ利益が減少することを理由に、M&A実行に消極的になる企業は少なくありません。


利益圧迫だけでなく、のれん償却の会計処理に恣意性が入りやすいデメリットもあります。一定期間以内であれば、のれん償却の期間は任意に設定できます。
 

大型M&Aを進める日本企業がIFRSへ行こうする理由の1つとしては、のれんの償却と言うよりかは、単純に買収金額が高いから、買収時に計画していて、シナジー効果がうまく発揮されなかったことが原因でしょう。


設定期間次第で利益が大きく変動する為、資金繰りを理由に恣意的な設定を図る企業も出てきてます。

のれん非償却におけるメリット・デメリット

①のれん非償却のメリット

のれん非償却最大のメリットは、M&Aの活発化です。のれん償却を実行しない為、利益圧迫の心配が不要となります。


利益が圧迫されない為、M&Aを積極的に実施できます。現にM&Aを活発に活用している企業の多くは、日本会計基準ではなくIFRSを適用しています。

のれん償却が発生しない為、会計処理が簡素化するメリットもあります。

②のれん非償却のデメリット

のれん非償却では、仮に減損処理が発生した際のダメージが非常に大きいです。
のれん償却していない分も減少する為、減損発生時のダメージがより大きくなってしまいます。


買収後に発生した自社の無形固定資産と区別できない点も、のれん非償却のデメリットの一つです。
買収後にのれん価値が減少しないとしても、それには買収後に自社の力で構築した新たなのれんが加わった事が背景にあるかもしれません。


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減価償却のメリット

のれん償却期間

最後に、のれん償却の期間をお伝えします。M&Aで発生したのれんは、最長20年以内で自由に償却期間を決めます。


つまり20年以内であれば、何年間かけてのれん償却しても問題ありません。基本的には自由に設定可能ですが、適当に決めると営業利益に悪影響が及びます。


のれん償却費は販売費・一般管理費として計上し、計上した金額が利益を圧縮します。償却期間を1年や2年にしてしまうと、多額の費用が一気に計上されてしまい、資金繰りが大幅に悪化する恐れがあります。


のれん償却の期間は一度決定すると後から変更することは出来ないため、慎重に決定しなくてはいけません。
のれん償却期間は、「M&Aに費やした費用を何年間で回収可能か?」という視点から決定する事が重要です。


例えば5年間でM&Aへの投資金額を回収できると見込まれる場合、のれん償却期間も5年間に設定します。


つまり、M&A費用の投資回収期間の予想が重要となります。
予想を大幅に外してしまうと、のれん償却に大きな悪影響が及びます。
M&Aを実行する際には、のれん償却と投資回収を同時に考えましょう。


※関連記事
事業買収とは?事業買収の方法と注意点
のれん償却期間とは?会計基準と税務

のれんの税務上の取り扱いについて

のれんの税務上の取り扱いについて

税務上では、のれんは「資産調整勘定」、負ののれんは「差額負債調整勘定」と呼ばれています。
 

基本的に、のれんと資産調整勘定と負ののれん、差額調整勘定は対応しあってるのですが、会計上と税務上の資産や負債には違いがあるので、その分のずれが生じます。

税務上ののれんは償却されるの?

税務上の資産調整勘定や差額負債調整勘定は5年間で償却されます
なので、5年間にわたって、法人の換金を算入することは可能です。


ただ先ほど説明した通り、会計上とは差異が生じます。
 

従来では5年間の均等償却でしたが、平成29年度税制改正のよって、2017年4月以降は月割での計算です。

※関連記事
M&Aの税務
M&Aにおける税理士の役割

 

IFRS基準でののれんの処理方法

IFRS基準でののれんの処理方法

日本の基準でのれんを償却するのと、IFRS(International Financial Reporting Standards)とでは処理が異なります。
 

そもそもIFRSとは、国財財務報告基準のことをいい、会計基準の国際的なルールのようなものです。

海外の会社とのM&Aの場合はIFRSが適用されることもありますので、気をつけてください。
 

IFRSと日本基準ののれんの主な違いは、会計処理です。
 

IFRS基準ではのれんの償却を行いません。ただ、それではのれんが貸借対照表に計上されたままなので、のれんの価値が著しく低下した時に、減損処理を行うことになっています。
 

なので、毎年減損テストを行ってのれんの価値を評価するような手続きをしなければなりません。
 

日本基準ののれんの償却は投資が思っていたような効果を産んでも、のれんが費用として収益を圧迫することも考えられます。
 

収益が悪化すると、この先のM&Aの戦略にも影響を及ぼすこともあります。近年ではM&Aを積極的に行う会社は、IFRS基準でのれんを規則的に償却しない方法の方が多く採用されているとも聞きます。

 

※関連記事

企業結合とは?種類や独占禁止法の規制やM&Aの会計処理をわかりやすく解説

IFRS基準で処理の例①

3億円ののれんを計上した場合、決算の時点でその、のれんの価値を5千万と評価すると、考えられる場合は、2億5千万減損処理を行います。
 

貸借対照表に計上されるのれんは5千万となるのです。

減損テストについて

先ほど、IFRSの説明で減損テストと言いましたが、減損テストが一体、何をするのか、具体的に説明していきます。
 

M&A時にはのれんは資産として計上されるが、計上されているのれんに価値が残っているのかを定期的に審議し、もしそこで価値が下がっていると判断すれば、減損処理といい、資産の評価を下げる処理を行います。

このことを「減損テスト」と言います。
 

 

IFRS基準の見直しについて

先ほど話したように、償却を行わないIFRS基準ですが、のれんの費用を計上を義務付けを検討している方向です。
 

2021年ぐらいを目標に結論を出していくようです。
 

IFRSの基準が変われば、もちろんM&A戦略やIFRS基準を採用している企業に大きな影響を与えます。
 

IFRS基準の情報はこまめにチェックするといいでしょう。
 

最後に、近年近年のIFRSの動向について少し解説します。

2019年3月12日 IFRS財団の評議会で新しい理事を指名

国際会計基準審議会(IASB)のガバナンスおよび、監修について責任を負う、IFRS財団の評議会は、Tadeu Ferreiraと鈴木理加氏をIASB理事に指名されました。
 

今後のIFRS基準も少しずつ決まっていきそうなので、チェックしておきましょう〜!

まとめ

まとめ

今回は、のれん償却に関して解説しました。M&Aで発生した「のれん代」は、一定期間内にのれん償却する必要があります。


のれん償却の期間は、投資回収を考慮し最長20年以内で設定しましょう。会計基準としてIFRSを採用し、のれん償却を実行しない選択肢も一つの手です。


のれん償却と非償却にはそれぞれメリットとデメリットがあり、一長一短の関係にあります。
どちらを採用するかによって、M&A後における「のれん」の扱いが大幅に変わります。


いずれにせよ長期的な視野を持って、のれん償却を実施する事が大切です。
要点をまとめると下記になります。

  • のれんとは

→売り手会社の超過収益力を表す概念

  • のれん償却とは

→のれんの一部を毎期費用計上し、その分のれん代の金額を目減りさせる会計処理

  • のれん償却の仕訳

→毎期均等ののれん償却費を営業費用として計上する

  • のれん償却の会計処理における日本会計基準とIFRSの違い

→日本会計基準とは違い、IFRSではのれん償却は実行されない

  • のれん償却のメリット

→のれんの非永続性を反映、減損時のダメージを抑制できる

  • のれん償却のデメリット

→のれん償却期間は利益が圧迫される、M&Aの実行に消極的になる、会計処理に恣意性が介入する

  • のれん非償却のメリット

→M&Aが活発化する、会計処理が簡単

  • のれん非償却のデメリット

→買収後に発生した自社の無形固定資産と区別できない、減損が生じた際の影響が大きい

  • のれんの償却期間

→最長20年以内

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