M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年11月13日公開事業承継
ガス会社の事業承継とは?承継方法や流れ・成功のポイントを徹底解説!
LPガス業界では、少子高齢化による利用者減少や、都市ガスの普及によりLPガスの需要の減少が続いており、事業承継が難しいと感じている経営者も増えているのが現状です。この記事では、LPガス業界での事業承継成功のための注意ポイントなどを解説します。
LPガス業界の事業承継動向
LPガス業界では、都市ガスやオール電化の普及の影響や、少子高齢化での人口減少、世帯減少の影響などで需要の減少が続いており、経営面で厳しい状況に陥る会社が増加しています。
事業の悪化に加えて後継者問題などで経営が難しくなった会社が、M&Aで他社へ会社を売却することで事業承継を行う事例もみられます。
LPガス会社を譲受する側としては、商圏拡大と顧客獲得でスケールメリットを得ることでの売上増加を目的とする事業承継の実施が多いようです。
LPガス会社の事業承継が重要な理由
LPガス会社で事業承継を行うべき理由を解説します。
後継者問題の解決策となる
LPガス会社は地域密着で、事業を展開している地域でのガス供給を担っています。都市ガスが普及していない地域では、LPガスは生活を守るためのインフラであり、LPガス会社には社会的インフラを支えるという使命もあるでしょう。
しかし近年、経営者の後継者がいなく、会社の存続が危ぶまれるLPガス会社が増加しています。事業承継の方法には、親族以外に承継させる方法もあるので、複数の事業承継方法を検討することで、後継者問題による廃業の危機を免れることができます。
経営者の交代でさらなる成長を見込める
全国的にLPガスの需要の減少が続く中で、LPガス事業だけでは売上が先細りになっていくことは確実でしょう。しかし、今までLPガスの販売だけで何代も続いてきた会社では、売上アップにつながるアイデアを実行しにくいのも事実です。
事業承継で新しいアイデアを持つ若い人に経営を任せたり、他社に経営を委ねたりすることで、今までにはなかった新しい事業展開が可能になるでしょう。
LPガス会社のさらなる成長を図るためにも、事業承継による経営者の交代はとても大切です。
倒産や廃業による費用を削減できる
後継者問題や事業の悪化を理由に、倒産や廃業すると、従業員への退職金の支払いや、設備の処分費用などのさまざまなコストが掛かります。
経営者が会社の連帯保証人である場合には、廃業時に債務が残ってしまうと、担保として設定してあった自宅を差し押さえられたり、廃業後も返済が続く可能性もあるでしょう。
事業承継に成功すれば、従業員や設備、債務はすべて承継者に引き継いでもらえるので、廃業時のコストは必要ありません。経営者は債務の個人保証からも解放されます。
LPガス会社の事業承継の方法と流れ
LPガス会社を事業承継する方法は、経営者の子や孫などの親族を後継者にする親族承継、会社の役員や従業員から後継者を選ぶ従業員承継、親族や社員以外の第三者に会社を売却するM&Aの3つの方法があります。
それぞれの事業承継方法の流れについてみていきましょう。
親族・従業員へ事業承継をする場合
親族承継と従業員承継は、社内で後継者育成を進めるので同じ流れで実施します。この2つの事業承継方法の流れは次のとおりです。
- 事業承継の必要性の認識
- 会社の状況把握
- 事業承継計画の策定
- 事業承継計画の実行(後継者の選定と育成・経営改善など)
- 事業承継完了
事業承継を行うためには、まず、経営者自身がいずれ身を退く時が来ることを理解し、事業承継に向けた準備の必要性を認識する必要があります。
その後、承継するものに引き継いでもらえる会社かどうか、会社の現状を把握した上で、事業承継計画を立てます。事業承継計画策定では、いつ、誰に、何を、どのように承継するのかを考えましょう。
その後、後継者の育成を始めて、時期を見て経営権や資産を徐々に移行させていきます。
第三者に事業承継をする場合
M&Aで事業承継を行う場合の流れです。
- M&Aの専門家への相談
- トップ面談
- 条件交渉
- 基本合意書締結
- デューデリジェンス(買収側による売却側の会社のリスク調査)
- 最終交渉と最終契約書締結
- クロージング(経営権の引き渡し)
M&Aには相手探しやデューデリジェンスへの対応など、専門家ではないと対処が難しい点がいくつもあります。必ず最初にM&Aの専門家に相談しましょう。
LPガス会社の事業承継を成功させるポイント
LPガス会社で事業承継を成功させるための注意ポイントについてみておきましょう。
どの手法で事業承継を行うか慎重に検討する
事業承継の方法には、親族承継と従業員承継、M&Aの3つの方法があり、どの方法を選択するのか注意深く検討する必要があります。どの手法が最適なのかは、会社の状況によって異なります。
親族や社内に適切な後継者がいない場合にはM&Aを選択することになりますが、M&Aには9つのスキーム(手法)があり、スキームの選択によって、M&A後の会社のあり方や税額などが大きく異なるので、慎重に検討しましょう。
計画を立て事前準備をしっかりと行う
事業承継には長い時間が必要です。計画を立てて事前の準備をしっかりと行うように注意しましょう。
事業承継に必要な時間は、社内で後継者育成を行う親族承継と従業員承継では、育成に5年から10年程度必要になることが一般的です。
M&Aはそれほど長い期間は必要ありませんが、M&Aの検討からクロージングまで1年以上かかることが一般的です。数年間の準備期間は設けたほうがいいでしょう。
経営者の年齢を考えて、引退時期から逆算して、計画的に事業承継の準備を進めることをおすすめします。
事業承継先の選定を行う
事業承継では誰に引き継がせるのか、という点も慎重に検討することが重要です。
親族承継と従業員承継では、従業員や取引先から人格的にも仕事の面でも納得してもらえる人物を後継者として選び、時間をかけて育成しましょう。
M&Aでは、売却側の会社が買収側の会社に利益をもたらし、お互いの会社が共に成長を遂げられるような相手を選ぶことが重要です。お互いの事業内容の相性などをよく検討して、シナジー効果を発揮できる会社を売却先として選びましょう。
事業承継完了前に情報が漏えいしないよう注意を払う
特に、M&Aでの事業承継ではM&Aの実施を公表できる段階に入る前に、会社売却の情報が漏洩しないように注意しましょう。
事前に会社売却の噂が広がってしまうと、不安になった従業員の退職や、取引先からの取引停止を招く恐れがあります。
M&Aの実施は最終契約書締結後に公表するのが一般的です。それまでは、情報を厳格に管理しましょう。
M&Aの専門家に相談を行う
事業承継の必要性を考え始めたら、まずは事業承継全般に詳しいM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aは事業承継の一分野なので、M&Aの専門家であれば、親族承継や従業員承継についても専門的な知識を持っています。
社内での承継で必要な事業承継計画の策定や、M&Aでの相手探し、デューデリジェンスへの対応など、ガス会社の経営者だけでは対処が難しい点を、専門家は親身になってサポートしてくれるでしょう。
事業承継をどうしたらいいのか迷い始めたら、まずは専門家への問い合わせから始めてください。
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LPガス業界の事業承継事例5選
ガス業界で実施された事業承継の事例を紹介します。
東京ガスが米国企業から系統用蓄電池事業を事業承継した事例
2023年12月22日に、東京を中心に首都圏一都六県に都市ガスを供給している東京瓦斯株式会社が、アメリカに子会社を設立して、Clean Capital Partners, LLC社が開発を進めている最大出力174MWの系統用蓄電池事業を取得することを発表しました。
テキサス州ヒューストンの調整電源の需要が高いエリアでの、電力供給に寄与することで、東京ガスで掲げている「Compass2030」での0海外事業500億円の利益目標達成に向けて取り組むとのことです。
東京ガスがシェールガス開発・生産の米国企業を事業承継した事例
2023年12月16日に、東京瓦斯株式会社が、同社のアメリカ子会社が出資するガス開発・生産事業会社が、アメリカ・テキサス州にてガス開発・生産事業を行なう会社Rockcliff Energy Ⅱ LLCの全株式を取得して子会社化することを発表しました。
東京ガスでは北米でのシェールガス事業の拡大に取り組んでおり、この事業承継で安定した収益基盤の構築が見込まれるとのことです。
東京高圧山崎が産業ガス・溶材機材販売のオガワ産業を事業承継した事例
2023年11月17日に、産業ガスや溶接材料機器、化学品などの製造販売を行う東京高圧山崎株式会社が、持分法適用関連会社である千葉県市原市の産業ガスなどの仕入れ販売を行うオガワ産業株式会社の株式を追加取得して、連結子会社化することを発表しました。
この事業承継により、東京高圧山崎としては、京葉地域での営業力強化を図ることができて、さらなる業容拡大を期待できるとのことです。
日本特殊陶業がスパークプラグ・排ガス用酸素センサー事業を事業承継した事例
2023年7月10日に、スパークプラグやセラミックスを製造するメーカーの日本特殊陶業株式会社が、株式会社デンソーが運用するスパークプラグ事業と排ガス用酸素センサに関係する事業の譲受に向けての基本合意書を締結したことを発表しました。
この事業承継が実現すれば、日本特殊陶業としては、内燃機関製品の生産体制が最適化されて安定的な供給が可能になり、スケールメリットが生まれることで、業界全体での環境負荷低減などが期待できるとのことです。
ポートが電力・ガス事業者向け成約支援サービスのFive Lineを事業承継した事例
2023年5月12日に、人材採用と販促での制約支援事業を展開するポート株式会社が、電力・ガス事業者向けの制約支援サービスと業務支援サービスを運営している株式会社Five Lineの発行済株式の一部を取得して、子会社化することを発表しました。
この事業承継により、ポートとしては、エネルギー領域における存在感を高めることができ、価格交渉力などでの優位性を得られることでの、ユーザー集客数の増加を見込むことができるとしています。
LPガス業界の事業承継まとめ
LPガス会社では、需要の減少や後継者不足などで、今後の会社の行方に不安を感じている経営者も少なくないようです。
しかし、都市ガスが普及していない地域では、LPガス会社は社会的なインフラとも呼べる存在なので、できる限り廃業ではなく事業承継の道を探ったほうがいいのはいうまでもありません。
会社の将来が不安であれば、まずは事業承継の可能性について、事業承継全般に詳しいM&Aの専門家に相談してみるといいでしょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。