2024年8月31日更新業種別M&A

グループホームは廃業するより売却するべき?売り手と買い手のメリットを比較!

グループホームは、認知症高齢者に排泄・入浴などの介護や支援を行う介護施設です。高齢化で需要が増す一方、人材不足が課題であり、廃業危機にある事業者も多いです。本記事ではグループホームは廃業するよりM&Aを選択べきか、売り手と買い手のメリットを比較します。

目次
  1. グループホームとは
  2. グループホームの動向
  3. グループホームのM&A動向
  4. グループホームのM&Aにおける売り手メリット
  5. グループホームのM&Aにおける買い手メリット
  6. グループホームのM&Aスキーム
  7. グループホームのM&Aの流れ
  8. グループホームにおけるM&Aの相場価格
  9. グループホームにおけるM&Aでの注意点
  10. グループホームのM&Aの成功事例
  11. M&A総合研究所のグループホームのM&Aの成功事例
  12. グループホームの廃業を回避するための相談先
  13. グループホームによるM&Aまとめ
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グループホームとは

高齢化が進む日本でグループホームはなくてはならない存在ですが、近年は経営悪化などの理由により休廃業や倒産が増加中です。グループホームM&Aについて説明する前に、グループホームの定義について確認しておきましょう。

グループホームの定義

グループホームとは認知症対応型共同生活介護を指し、急性認知症を除く認知症高齢者日常生活で必要な食事・入浴・排泄などの介護を受けながら共同生活を送る介護事業所のことです。

事業所の定員数は9~18名と小規模であり、入居者は介護サービスを受けながら家庭的な環境下で生活します。グループホームでは5~9名を1つの「ユニット」とし、1事業所につき2ユニットまでが原則です。ユニットとはホーム内の生活空間を指し、個室(複数)と居間・台所・食堂、などで構成されます。

グループホームは人員配置に基準が定められており、入居者3人につき介護職員を1人以上配置する必要があり、そのうち1人は常勤であることが条件です。また、入居者の条件は以下となっています。

  • 65歳以上の認知症患者(初老期認知症および若年性認知症の場合は65歳未満でも可)
  • 介護度:要支援2あるいは要介護1以上
  • 医師から認知症の診断を受けていること
  • グループホームと同地区に住民票があること
  • 集団生活が可能であること
なお、グループホームには看護師配置が義務付けられていないため、思い持病があったり認知症がが進んだりなどで医療行為が必要な場合は、利用ができないケースや退所せざるを得ないケースもあります。

グループホームの動向

2019(令和元)年の厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査の概況」では、グループホーム業界を取り巻く現状について、収支が悪化し経営環境はより厳しくなっているとの見解が公表されています。

そのような厳しい現状に輪をかけて、新型コロナウイルス感染症の影響により、グループホームを含めた介護業界は、経営悪化により事業所の存続が危ぶまれるケースが増加しています

グループホームの市場規模

厚生労働省によれば、2021年度の介護保険給付に係る総費用額は10兆7494億400万円であり、請求事業者数は259,103者(延べ数)となりました。

総費用の提供サービス内訳をみると、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)を含む地域密着型の費用額は1兆8987億9500万円(請求事業者数47,374)であり、そのうちグループホームの費用額は7340億3000万円(請求事業者数14,328)です。

2020年度におけるグループホームの費用額は7213億5400万円(請求事務所数14,177)だったため、前年度から126億7600万円、請求事業者数は151増加しています。

2018年以降、介護保険給付に係る総費用額は年々増加しており、高齢化の加速により今後はさらに介護サービスの利用者割合が高くなると考えられます。

参考:厚生労働省「介護分野の最近の動向について 」

要介護者の増加

厚生労働省 第98回社会保障審議会介護保険部会 資料

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000992873.pdf

厚生労働省の資料によれば、2022年度における国内の介護サービスおよび介護予防サービスの年間受給者は約652万人前年度の約622万人から約30万人の増加しています。

国内の介護サービスおよび介護予防サービスの年間受給者は、介護保険制度が開始された2000年の約218万人と比べ、20年間で約3倍にまで増加しました。

2025年には団塊世代が約800万人が後期高齢者となるため、介護保険の対象となる要介護(要支援)者数がさらに増加すると予想されています。

参考:厚生労働省「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況」

グループホームの廃業推移

出典:https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198300_1527.html

出典:https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198300_1527.html

グループホーム単体の廃業件数に関する公表データではありませんが、東京商工リサーチがの「2023年老人福祉・介護事業の休廃業・解散調査」「2023年老人福祉・介護事業の倒産状況」によれば、下表のように推移しています。

休廃業・解散件数および倒産件数ともに年々増加の傾向にあります。
 

休廃業・解散件数 倒産件数 合計
2019 395 111 506
2020 455 118 573
2021 428 81 509
2022 495 143 638
2023 510 122 632

人手不足

介護業界では、慢性的な人手不足解消が大きな課題です。高齢化に伴い介護サービスの需要は年々高まっており、介護従事者数も増加していますが、グループホームなど介護施設・サービスには要資格者の配置などが義務付けられていることもあり、人材確保が難しい事業者も多くなっています。

介護従事者の仕事は、心身への負担が大きいものの他業種に比べると賃金が低いことなどが人材不足の理由です。2025年には介護職員が約243万人不足するとの予測もあり、国や各事業者はICT導入による効率向上や採用強化などの対策を行っています。

介護報酬の改定

介護報酬とは、介護サービスの対価として介護事業者が受け取る報酬で、保険者である市区町村から支払われます。介護報酬の7割~9割は介護給付費として市区町村から支払われ、1割~3割がサービス利用者から受け取る仕組みです。

介護報酬は、サービスの種類・時間数・サービスを行う者の資格などによって変わり、金額は介護保険制度に基づいて決められています。

介護報酬の改定は3年ごとに行われますが、プラス改定となるかマイナスとなるかは、訪問介護サービスやグループホームなど種類ごとによって異なり、マイナスとなれば事業者や介護職員の賃金に影響するため、経営悪化につながることもあるのが実状です。

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グループホームのM&A動向

人手不足によるM&A

グループホームを含む介護業界の人手不足は慢性的に続いており、高齢化による需要増加に対応するためには人材確保が大きな課題です。なかでも有資格者の確保が重要であり、配置人員の基準を満たせなければサービス提供ができなくなります。

事業者間での人材獲得競争は厳しく、新規採用では十分な確保が難しいのが現状です。そのため、グループホームのM&Aは人材獲得を目的に行われるケースも多く、買い手側は採用や人材育成にかかる時間・コストを削減して、有資格者や経験ある介護職員を一度に確保することができます。

関連業種からのM&A

グループホームのM&Aは関連業種と行われるケースも多いです。たとえば、介護用品や福祉用具のレンタルを行う企業とのM&Aや、グループホームと訪問介護サービスとのM&Aなどがみられ、事業領域の拡大やサービスの向上を図るケースがみられます。

異業種からの参入

介護業界は後継者が進むため今後も需要拡大が確実視されています。そのため、異業種から新規参入するケースも多くなってきました。

新規事業への参入にはリスクが伴い、グループホームの場合はノウハウや人材のほかに、入居者の確保も重要です。

M&Aを活用すれば売り手側のリソースを獲得でき、事業成長にかかる時間やコストを削減できるので、グループホームのM&Aでは新規参入目的のケースも多くみられます。

グループホームのM&Aにおける売り手メリット

グループホームが廃業するとなれば、従業員は解雇となり、利用者・入居者には退去をお願いしなければなりません。グループホームは廃業を選択するよりも売却したほうがメリットも多いです。この章では、グループホームが廃業よりも売却がおすすめである理由を解説します。

後継者問題の解決が可能

後継者不在が理由でグループホームの廃業を検討している場合は、第三者へグループホーム事業を売却して事業承継することで解決が可能です。

経営者自身で後継者を探して必要な教育を行うためには、時間やネットワークも必要になりますが、M&Aによる売却であればM&A仲介会社を介して相手を探せるので、効率的かつ条件のよい承継先を探せます

人材不足の解決が可能

グループホームなどの介護業界では、慢性的な人材不足が問題になっています。介護業界は離職率が高めでもあるので、人材確保に頭を悩ませている経営者は少なくないでしょう。

人材不足が深刻になれば廃業という選択も検討することになりますが、業界全体が人手不足であるため、M&Aでグループホームを買収して人材確保をしたいと考えている買い手も多いです。

M&Aによってグループホームを売却すれば、売り手は人材不足の問題から解放され、買い手は従業員を確保できます。従業員の雇用も維持されるので、売り手・買い手双方にとってメリットは大きいです。

大手グループの傘下入りで競争力がつく

グループホームは、競合会社との事業エリア内競争が常に厳しい状態にあり、中小規模の事業者にとっては、経営の安定性を図るための競争力をつけることが必須です。しかし、資金面の問題などで思い切った経営戦略を採れない場合もあるでしょう。

そのようなケースでは、M&Aでグループホームを売却する方法もあります。大手グループの傘下に入れば、買い手の経営資源などを活用して競争力を一気につけられるからです。

創業者利益の獲得

M&Aによって売却益を獲得することができる点は大きなメリットと言えます。例え赤字の企業であっても、不動産や利用者、従業員などの評価によっては価値がつきます。

M&Aによって得た現金は、リタイア時の生活費に充てたり、新規事業への資金としたり自由に使うことができます。

不動産収入を得ることが可能

グループホームの事業売却では、不動産譲渡を伴わないケースもあります。グループホームの事業だけを譲渡して、グループホームの土地や建物などの不動産を売り手の手元に残すことも可能です。

このような場合、M&A後は買い手がグループホーム事業を継続し、不動産に関する賃料が売り手(不動産所有者)に支払われるため、不動産収入を得られます。

利用者へのサービス向上

グループホームの運営を安定させるためには、入居率の維持していくことが重要です。サービスの介護業界は新規参入する企業も多く、入居者の獲得競争も厳しくなってきているため、入居率を維持していくためにはサービス内容や質向上によって差別化を図る必要もありますす。

中小規模事業者の場合、サービス内容や質向上を目指すための資金や人材などが足りないケースもありますが、大手事業者とM&Aを行えれば買い手側のリソースを活用してサービス内容や質向上の実現し、入居率のが可能です。

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グループホームのM&Aにおける買い手メリット

グループホームのM&Aには多くのメリットがありますが、具体的に売り手と買い手にはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、グループホームM&Aにおける売り手と買い手のメリットを比較します。

事業エリアや事業規模の拡大

グループホーム事業で事業エリアや規模拡大を図る場合、施設を確保し入居者を獲得しなければなりません。

グループホームは入居者が施設と同じ地区に住民票があることが条件となるため、自社のみで進めていくよりもM&Aで売り手側のグループホームを取得するほうが効率的に事業エリアや規模の拡大を図ることができます。

既存事業とのシナジー効果

シナジー効果はM&Aの大きなメリットであり、最大限に発揮されれば事業拡大や売上向上などを見込むことができます。グループホームのM&Aの場合、たとえば買い手側の既存施設と取得する施設が同エリアにあれば人材を相互活用することで業務効率の向上などを測ることも可能です。

また買い手がグループホーム運営に新規参入する場合は、既存事業のノウハウを活用することでサービス内容の充実や質向上を図ることもできます。

人材不足問題の解決

介護業界は慢性的な人材不足であり、離職率も他業種より高くなっています。グループホームの入居者に安定したサービスを提供し、事業運営を安定させるためには人材確保が不可欠です。

M&Aで売り手側の人材を獲得できることは買い手にとって大きなメリットであり、特に有資格者や経験のある職員の確保できればサービスの質向上にもつながります。

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グループホームのM&Aスキーム

グループホームを売る際の主なM&A手法には、事業譲渡株式譲渡があります。事業譲渡と株式譲渡では、取引主体や譲渡対象などが異なるため、違いを理解しておくことが必要です。

事業譲渡

事業譲渡とは、事業および関連する資産や権利義務を選別して売買することです。事業譲渡の対象は売り手と買い手で協議して決定でき、譲渡対価は事業の売り手である企業または個人事業主が受け取ります。

譲渡対象を選べて法人格はそのまま残るので、売り手は採算事業を残して不採算事業から撤退するなど事業の選択と集中を図ったり、売却資金で別の事業を開始することも可能です。また、買い手は、不要な事業や負債を引き継がずにすむメリットがあります。

ただし、事業譲渡は個別承継であるため、従業員との労働契約や取引先・顧客との契約など全て個別に同意を得て、新たに契約し直さなければなりません。このように手続きが煩雑となるため、株式譲渡と比べると手間と時間が必要になります。

株式譲渡

株式譲渡とは、自社の発行済み株式を譲渡することによって経営権を買い手へ移す手法です。経営権を掌握するためには過半数の株式取得が必要であり、全株式を取得すれば完全子会社にできます。株式譲渡は、権利義務などの全てが買い手へ包括的に引き継がれる包括承継です。

株式名義書換手続きと代金の授受を行えば手続きが完了するので、事業譲渡と比べると短期間で終えることが可能ですが、買い手は不要な事業や負債も引き継がなければならないデメリットもあります。

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グループホームのM&Aの流れ

グループホームの売却を実施する際は、あらかじめM&Aの流れを把握しておくと、慌てずに準備を進められるでしょう。この章では、グループホームのM&Aの流れを順番に確認していきます。

①M&A仲介会社・M&Aの専門家に相談

グループホームを売却することを決めたら、まずはM&A仲介会社やM&Aの専門家に相談するところから始めます。M&Aを進めるうえでは、希望に合った相手先を探して交渉を進めていかなければなりませんが、そのためにはネットワークや専門知識が必要です。

M&A仲介会社などの専門家は、知識とノウハウを持ち合わせているので、状況に適したアドバイス・サポートを受けられます。

②M&A先の選定・交渉

サポートを依頼するM&Aの専門家が決まって業務委託契約を締結したら、実際に交渉を進める相手先を選定していきます。M&A仲介会社の場合は、アドバイザーに希望条件を伝えれば、見合った企業が数社リストアップされるでしょう。

そのなかから交渉に移りたい相手を選んだら、M&A仲介会社を通して交渉についての打診をします。相手先が同意すれば、秘密保持契約を締結して情報を開示し、具体的な交渉開始です。なお、交渉は、M&A仲介会社が代行します。

③トップ同士の面談

売り手・買い手双方のトップ同士による面談では、互いの人柄や経営理念、売却後の経営方針などを確認します。これまで開示された情報だけではわからない部分を直接会って確認できる機会なので、質問事項があればまとめておくのもよいでしょう。

相手から質問を受けた場合、必ずしもその場で解答しなければならないというわけではなく、持ち帰ってから回答するかたちでも大丈夫です。

④基本合意書の締結

トップ同士の面談がすみ、売り手・買い手双方のM&A成立に向けて前向きである場合、ここまでの交渉で取り決めた内容を基本合意書として締結します。基本合意書の締結はM&Aの流れでは中間地点にあたり、基本的な諸条件の合意後、最終契約に先立って取り交わす書面です。

M&A手法などの取引形態や譲渡価額、デューデリジェンス(買収監査)に関する売り手側の協力義務、独占交渉権の付与などが、基本合意書の主な内容ですが、デューデリジェンスへの協力義務、独占交渉権、秘密保持以外の条項には法的拘束力がありません

⑤買収側によるデューデリジェンスの実施

基本合意書締結後、買収側によるデューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスとは、買収側による譲渡対象の調査です。

譲渡価額が適正かどうかを判断するため、財務・法務などの面からリスクや問題の有無を士業などの専門家が調査します。売り手側は、資料などが求められた際は速やかに提出するなど、デューディリジェンスに協力しなければなりません。

⑥最終契約書の締結

デューデリジェンス完了後、買い手がM&A実行に問題ないと判断すれば、最終交渉が行われます。最終交渉で条件が合意に至れば、最終契約書の締結です。

最終契約書は基本合意書の内容を基に作成するのが一般的ですが、デューデリジェンスの結果が加味されるため、対価や条件が変更される場合もあります。

最終契約書では、譲渡実行日や譲渡対価の授受方法、譲渡対象や引き継ぎ方法、各種資産や契約、権利などの承継に関する事項、表明保証など各種契約上の責任などが主な記載事項です。

⑦クロージング

M&Aにおけるクロージングとは、契約内容の履行のことです。譲渡代金の支払い、株式や資産の引き渡し手続きがなされ、経営権の移転が完了します。

クロージングを迎えるためには、クロージング条件(前提条件)を満たしていなければなりません。そのため、最終契約を締結してからクロージングまでは一定期間空けるのが一般的です。

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グループホームにおけるM&Aの相場価格

M&Aの場合、各案件ごとに売り手の経営状況が異なるため、画一的な相場というものはありません。案件ごとに売り手の企業価値評価、あるいは事業価値評価が実施され、それをベースに売り手・買い手の交渉によって対価が決定するものです。

その企業価値評価・事業価値評価を簡易的に計算する方法がありますので、ここではそれを紹介します。

  • 企業価値=時価純資産額+営業利益×2~5年
  • 事業価値=時価純事業資産額+事業利益×2~5年

時価純資産額とは、貸借対照表に記載されている資産と負債を時価に換算し、その資産総額から負債総額を差し引いた金額です。事業価値の場合(時価純事業資産額)は、該当事業に関連する資産と負債のみにしぼって、同様の計算をします。

営業利益・事業利益に掛け合わせる年数が変数となっているのは、対象のグループホーム事業の特殊性(希少性・立地・有資格者の人数・設備状況など)により、無形資産の評価を変えて算出するためです。

いずれにしろ、企業価値評価・事業価値評価は、M&A仲介会社など専門家に相談しましょう。

グループホームにおけるM&Aでの注意点

最後に、グループホームを売却する際のポイントを紹介します。グループホームの廃業ではなく売却を検討している場合は、以下6つのポイントを意識して進めるとよいでしょう。

業績が好調なときに検討する

グループホームの売却は、業績が好調なときに検討すると買い手候補がみつかりやすく、譲渡価額など売却条件もより希望に近づけることが可能です。業績が悪くなってから焦って売却しようとしても、条件が悪くなるだけでなく、買い手候補がみつからない可能性もあります。

グループホームの売却・M&Aを検討するなら、業績が好調なときから検討して準備をしっかりと進めておけば、タイミングを逃さず戦略的にM&Aを行うことが可能です。

グループホームを売る際に必要な資料をまとめる

グループホームを売る際は、事前に必要な資料をまとめておくことも大切です。必要な資料を準備しておけば、買い手に自社の情報を正しく伝えられ、M&Aアドバイザーも適切なサポートを行えます

グループホーム売却に必要な情報の整理や書類の準備は、意外と時間がかかるものです。必要な資料をM&Aアドバイザーに確認しておき、なるべく早い時期から準備をしておくとよいでしょう。

改善点を見つけ直していく

グループホームのM&Aの検討を開始したら、自社の状況を客観的に見つめて把握し、改善点を見つけて直すことも必要です。

あらかじめ問題点を改善できれば、売却の相手先探しや交渉面で有利になります。慢性的な人材不足など解決が容易でないものもありますが、職場環境の整備などできるところから始めていきましょう。

施設修繕について調べる

事業の改善点を見つけ出すことと同時に、グループホームの施設修繕についても調査しておきましょう。施設に関する過去の修繕履歴などは買い手側にヒアリングされる可能性が高いため、現状と併せて事前にチェックしておく必要があります。

あまり費用をかけずに修繕が可能な箇所については、売却前に修繕を完了しておくことも重要です。

人材が適切に配置されているかを調べる

グループホームには人員配置基準があるので、売却前に適切に人材が配置されているかをよく確認しておくことが大切です。

買い手は事業規模の拡大や新規参入以外に、人員確保をM&Aの目的の1つとしていることが多いため、厚生労働省の基準を満たしているか、再確認しておきましょう。

M&Aの専門家に相談する

グループホームの売却を成功させるためには、しっかりとした戦略を立てたうえで、タイミングを逃さず実行することが大切です。専門的な知識や見解が必要になる場面も多いため、専門家に相談しそのサポート下で進めていくと、成功する可能性が高まります。

ほとんどのグループホーム経営者にとってM&Aは経験がない場合が多いため、相談からクロージングまでのサポートが受けられる一貫支援を行っているM&A仲介会社に相談するとよいでしょう。

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グループホームのM&Aの成功事例

代表取締によるICS 名古屋のM&A

2024年4月、アイビスホールディングスの子会社であるICS 名古屋の全株式を代表取締役の濱田仁氏へ譲渡することを発表しました。

ICS名古屋では、障害者総合支援法に基づくグループホーム事業を展開し、個別支援計画に基づく居住空間の提供や生活支援を行っております。また、短期入所の認可も取得し、利用者のニーズに合わせた施設運営をしております。

今回のM&Aは濱田氏がグループホーム事業のほかに、居宅介護事業等を展開していく構想を持っておりその意向に沿う形で譲渡が行われました。

参考:連結子会社の異動(株式譲渡)について

リビングプラットフォームによるシニアケアが運営する高齢者グループホーム事業のM&A

2023年12月、リビングプラットフォームはシニアケアが運営する高齢者グループホーム事業を譲り受けることを発表しました。

リビングプラットフォームは「持続可能な社会保障制度を構築する」をコーポレートビジョンとし、「安心を育て、挑戦を創る」をミッションとしています。介護事業分野では、連結子会社を含む4社が全国で85施設を運営し、出店エリアの拡大と地域密着型のサービス提供に努めております。

シニアケアは兵庫県尼崎市で1998年に創業し、介護人材養成事業を開始しました。その後、2001年に1施設目、2003年に2施設目の高齢者グループホームを開設・運営している、長い業歴を持つ介護事業者です。

今回のM&Aにより、阪神南地域のシェア拡大を図る基盤とし、ドミナント戦略を進めていくとしています。

参考;当社連結子会社における事業譲受に関するお知らせ

QLSホールディングスによるAK運営の障がい者グ ループホーム事業のM&A

2023年11月、QLSホールディングスの子会社であるエルサーブはAKが運営していた事業のうち障がい者グループホーム事業「g-port」を譲受けることを発表しました。

株式会社AKが破産手続開始決定を受け、裁判所の許可を得て、破産管財人である弁護士宮里猛との間で障害者グループホーム事業の譲渡契約を締結しました。

QLSホールディングスは「Quality of Life 全ての人に質の高い生活を‼」を企業理念とし、保育事業、介護福祉事業、人材派遣事業を展開しています。現在は保育事業を主軸としていますが、今後は介護福祉事業と人材派遣事業を拡大し、保育事業に依存しない強固な経営体制を目指す方針です。

今回のM&Aにより沖縄県におけるサービス提供エリアを拡大し、障がい者グループホーム運営で県内No.1を目指します。また、九州・沖縄エリアでもトップクラスの運営施設数を誇り、人的資源の相互流入や運営ノウハウの提供により、サービス品質の向上と事業連携が可能となります。これにより、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現するとしています。

参考:一部事業譲受に関するお知らせ

M&A総合研究所のグループホームのM&Aの成功事例

弊社のグループホームのM&Aの成功事例を紹介します。

介護福祉事業K社と、J.Canvas株式会社のM&Aが成立しました。介護福祉事業K社は、認知症高齢者グループホームの運営を行い、訪問介護を手掛けていました。J.Canvas株式会社は、東京に拠点を置く会社で、全国で認知症グループホーム運営を中心に、介護保険事業を行っています。

今回は、K社の後継者不在、事業継続難によりM&Aを行いました。J.Canvas株式会社はこれまで9つの企業とのM&Aを実施しており、拠点の増加に伴いグループの事業所を横断したやりとりができる仕組みづくり、PMIの効率化を目指します。

参考:https://masouken.com/interviews/66

グループホームの廃業を回避するための相談先

グループホームの売却をご検討の際は、M&A総合研究所へぜひご相談ください。M&A総合研究所は、多数の支援実績を有するM&A仲介会社です。

支援実績・知識ともに豊富なM&Aアドバイザーが専任となり、グループホームの売却を相談時から交渉・クロージングまでしっかりサポートいたします。

料金体系は完全成功報酬制となっており(買い手企業様からのみ中間金を頂戴しております)、着手金は売り手・買い手企業様とも完全無料です。

お電話・Webからの無料相談は随時、承っておりますので、グループホームの売却・M&Aをご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

介護事業のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

グループホームによるM&Aまとめ

近年、さまざまな理由により、グループホームの休廃業・解散・倒産が増加しており、事業継続に悩んでいるケースも多いのが実状です。もし、グループホームの廃業を考えているのであれば、まずは売却を検討してみることをおすすめします。

売却には従業員の雇用継続などメリットも多いので、M&Aの専門家に相談するのが得策です。本記事の概要は以下のようになります。

・グループホームは廃業するより売るべき理由
→後継者問題の解決が可能
→人材不足の解決が可能
→大手グループの傘下入りで競争力がつく
→将来性の不安を解決できる
→不動産収入を得ることが可能

・グループホームの売り手のメリット
→事業承継問題の解決、経営改善が可能、創業者利益の確保、雇用継続が可能

・グループホームの買い手のメリット
→事業エリア・事業規模の拡大、既存事業とのシナジー効果、人材不足問題の解決

・グループホームの廃業を選択するより事業売却を選択する際のポイント
→業績が好調なときに検討する
→グループホームを売る際に必要な資料をまとめる
→改善点を見つけ直していく
→施設修繕について調べる
→人材が適切に配置されているかを調べる
→M&Aの専門家に相談する

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