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2019年12月1日更新
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ストックオプション制度とは?導入の手続きとメリット・デメリット

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

ストックオプション制度はインセンティブとして機能する可能性がある反面、扱い方を間違えると役員と従業員の不平不満を招き、さらには経営に悪影響を与える恐れがあります。ストックオプションの種類、ストックオプション制度のメリット・デメリット、ストックオプション制度導入の手続きと注意点について解説します。

目次
  1. ストックオプション制度について
  2. ストックオプションとは
  3. ストックオプションの種類
  4. ストックオプション制度導入の際の手続き
  5. ストックオプション制度のメリットとデメリット
  6. ストックオプション制度導入の注意点
  7. まとめ

ストックオプション制度について

ストックオプション制度は様々な会社で導入されているものであり、有効的なインセンティブとして注目されています。
ストックオプション制度には従業員の意識を向上させる効果が期待されており、有効的に活用できれば業績を向上させることができます。
ただし、その効果を得るにはストックオプション制度のメリット・デメリットや注意点を踏まえる必要があります。
今回はストックオプション制度について網羅的にお伝えしていきます。

ストックオプションとは

ストックオプション制度の概要

そもそもストックオプション制度の「ストックオプション」とは一体なんでしょうか?
ストックオプションとは一般的に会社の役員や従業員が権利行使価格(あらかじめ定められている価格)で株式を購入できる権利のことを指します。
そしてそのストックオプションを会社の制度化したものがストックオプション制度です。
ストックオプションを使った場合、役員や従業員は権利行使価格で取得した株式を株価が上昇したタイミングで売却したり、取得することによって上昇した分の利益を獲得できます。
取得時の株価と上昇した後の価格の差額が利益として手に入る点を見ると、ストックオプション制度はある種のインセンティブ制度とみることができます。
ちなみにM&Aの際、ストックオプション制度の扱いに苦慮することがあります。
M&Aの際のストックオプション制度の扱いについてお悩みであれば、M&A総合研究所にご相談ください。
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ストックオプション制度導入事例

ストックオプション制度はその性質上、自由に売買ができる上場企業、あるいは上場を目指している企業で導入されることが多いものです。
現在のストックオプション制度の導入率は10年前の2倍近くあり、今後もますます増えていくと見込まれています。
中には上場企業より規模が小さい中小企業やベンチャー企業でも導入された例があります。
ちなみにアメリカでいうストックオプションは個別銘柄の株式を売買できる株式オプションのことを指し、こちらは一般投資家が使うものなので意味合いが異なっています。
また、ストックオプションは新株予約権の1つとして扱われていますが、厳密にいうと新株予約権と同一ではありません。
新株予約権には所有者が株式に転換することによって株価が上昇した分の利益を得ることができる転換社債や、株式を一定の価格や数量で購入できるようになる権利が付加されているワラント債などといったものがあるため、ストックオプションとは違うものとなっています。
また新株予約権は経営コンサルティング会社など外部の企業にも提供することができますが、ストックオプションはあくまでその企業の従業員・役員に付与されるものを指します。

ストックオプションの種類

ストックオプション制度に用いられるストックオプションは3種類あり、それぞれ仕組みが異なっています。
実際に企業が導入する際にはいずれのストックオプションが適しているかを判断したうえで導入するものです。
ここでは3種類のストックオプションそれぞれについてお伝えしていきます。

①業務連動型ストックオプション

業務連動型は通常型と呼ばれるストックオプションであり、最初にお伝えした業績に比例して株価が向上した際にその差額を利益にできるというものです。
業務連動型は従業員の努力を反映させられるものであり、従業員が頑張って業績を上げればその分を利益として還元させることができるため、従業員の士気向上につながります。

②有償ストックオプション

有償ストックオプションは新株予約権を利用するタイプのストックオプションです。
有償ストックオプションは権利付与時の価格でストックオプションを取得し、権利行使のタイミングで株価が取得した時より上昇していれば、上昇した分が利益になるというものです。
一見業務連動型ストックオプションと似ていますが、権利付与の段階でストックオプションを取得するという点や一般的に一定以上の業績達成が行使条件になっている点が異なっています。

③株式報酬型ストックオプション

株式報酬型ストックオプションは権利行使価格を一円という体額に設定したうえで権利を行使した際に利益を得られるようにしておくというものです。
ほぼ確実に利益を得られるようなストックオプションであり、退職金代わりに使われるケースが多いものです。

ストックオプション制度導入の際の手続き

もしストックオプション制度を導入したいのなら、決まった手続きを踏む必要があります。
ストックオプション制度導入の際の手続きは以下の通りです。

  • 権利行使の条件を取締役会で決議する。
  • ストックオプションの募集要項について株主総会で特別決議を得る。
  • 株主総会で決議を得た日から1年以内に取締役会で付与対象者や発行価額などを決議する。
  • 付与対象者は新株予約権申込証で申込み、新株予約権割当契約書を締結する。
  • 取締役は遅滞なく新株予約権原簿を作成し、これを会社に据え置く。同時に新株予約権に関する登記を本店所在地でストックオプション発行の日から2週間以内に登記申請する。
  • 権利付与を行った年の翌年1月31日までに新株予約権に関する調書を税務署に提出。

ストックオプション制度の導入自体はお伝えした手続きをクリアすれば比較的容易にできるものです。
しかしストックオプション制度の導入の際には発行価額や行使価額が会社の経営にも影響するものであることを踏まえ、会計や税務などの観点から慎重に検討する必要があります。
そのため安易にストックオプション制度を導入することは避け、実際的な利益を十分に吟味したうえで導入するようにしておきましょう。

ストックオプション制度のメリットとデメリット

ストックオプション制度にはメリットとデメリットがあり、導入の際にはそれらを十分に吟味しておくことが必要です。
ここではストックオプション制度のメリットとデメリットをそれぞれお伝えしていきます。

ストックオプション制度のメリット

ストックオプション制度のメリットは下記のようなものが挙げられます。

①成果報酬型のインセンティブ

ストックオプション制度は役員や従業員が努力して業績を向上させた際、それに応じて上昇した株価の分だけ利益を獲得できるものであり、成功報酬型のインセンティブという一面があります。
つまり企業への貢献がそのまま反映されるタイプのインセンティブであるため、役員や従業員の努力が正当に評価されているものといえます。
そのため役員や従業員の士気を向上させ、より業務に集中させられる効果が期待できます。

②経営参画意識の向上

ストックオプション制度で利益を選られる以上、役員や従業員は株価の変動に意識を向けるようになり、それが経営参画意識の向上につながります。
株価は株主や市場の影響を受けるものであり、その株価の変動から利益を得ている以上、役員や従業員は業務だけでなく経営の動向も重視するようになります。
そのため経営陣の方から何かしらの教育を施さなくても、株主や市場、経営のことを考えた行動がとれるようになります。

③優秀な人材の確保と流出防止

ストックオプション制度は優秀な人材の確保と流出防止に役立つ一面もあります。
そもそもストックオプション制度は権利行使するタイミングが決まっている、あるいは株価の上昇がなければ利益を得られないものであるため、役員や従業員は権利行使する時を必然的に待つようになります。
そのため権利行使ができる時や株価が上昇するまでの間は離職を思いとどまるようになります。
またストックオプション制度というインセンティブに魅力を感じて優秀な人材が集まる可能性もあります。
ストックオプション制度を利用して大企業で勤務する際と同じくらいの報酬を確約することにより、優秀な人材の採用に役立てている企業も少なくありません。

④ローリスクな自己資本の充実

ストックオプション制度を通じて株式を取得する役員・従業員にとって、ストックオプション制度は自己資本の充実をローリスクで行えるものです。
一般的な企業の株式を直接取得する方法だと株価の下落の際に損失を被ってしまうリスクがありますが、ストックオプション制度であれば権利行使する時以外は株価が下落しても損失を被ることはありません。
そのため一般的な株式の取得よりローリスクで自己資本を充実させられるようになっています。

ストックオプション制度のデメリット

ここまでお伝えしてきたことだけを聴くとストックオプション制度は優秀なインセンティブに見えますが、検討すべきデメリットも内包しています。
ストックオプション制度のデメリットは以下の通りです。

①株価が下がれば利益が減る

株価の変動が報酬として得られる利益に影響するストックオプション制度ですが、考慮しなければならないのは不明瞭な原因で株価が下がれば利益が減るということです。
株価の低下は業績の悪化や成長の停滞だけが原因ではなく、経営陣がどれだけ努力してもどうにもならない原因で発生することがあります。
つまり役員や従業員の努力とは関係ない原因で得られる利益が減ってしまうわけです。
とりわけ経済の悪化でどれだけ努力しても利益が上がらないという状況に陥れば、役員や従業員の大幅な士気低下を招く恐れがあります。

②不明確な基準のストックオプション制度は逆効果

ストックオプション制度を不明確な基準で導入してしまうと逆効果になってしまう可能性があります。
ストックオプション制度はインセンティブとして使われるものであるため、不明確な基準だと従業員の不平不満を誘発する恐れがあります。
加えて不明確な基準のストックオプション制度はかえって企業の経営を悪化させるリスクも孕んでいます。

③株価上昇が離職のきっかけになる

ストックオプション制度が優秀な人材の確保や流出防止になるとお伝えしましたが、これはあくまで株価上昇までの期間のことであり、株価が上昇した後は離職が増える可能性もあります。
離職懸念がある従業員にとってストックオプション制度を利用して利益を確保できれば、その企業に留まる理由はなくなるからです。
この点を踏まえると、ストックオプション制度のみで人材の流出防止を行うのは難しいといえるでしょう。

ストックオプション制度導入の注意点

ストックオプション制度を実際に導入する場合、いくつかの注意点を踏まえておく必要があります。
お伝えする注意点を踏まえておかないとストックオプション制度が企業の経営や成長にとって逆効果になってしまう恐れがあります。

①上場を目指さない企業にストックオプション制度

上場を目指していない企業にとってストックオプション制度は意味がないものです。
ストックオプション制度は株価が上昇すること以外にも株式を自由に売買できることが利益を得られる前提条件です。
つまり株式の売買が自由にできず、譲渡の際にはその都度承認を得る必要がある非上場企業にストックオプション制度は不向きな制度だといえます。
上場を目指していないにも関わらず、単純にインセンティブが欲しいと言う理由でストックオプション制度を導入することは意味がありません。

②ストックオプションの発行部数の枠に注意

これは上場を目指している企業にいえることですが、ストックオプションの発行部数の枠には注意しておきましょう。
ストックオプションの発行部数は企業によって自由に設定することができますが、上場する際の審査では発行部数の枠が設けられており、一定以上の割合のストックオプションの発行部数があると審査を通過できなくなります。
上場の審査でストックオプションの発行部数の枠は具体的に明示されていませんが、全体の10%がラインだと言われています。

③ストックオプションを割り当てる人と数は慎重に調整

ストックオプションを割り当てる人と数は慎重に調整する必要があります。
ストックオプションはインセンティブでもあるため、割り当てる人と数のバランスはとても重要です。
利益を与え過ぎれば離職を誘発する可能性がありますし、かといって与えなさ過ぎると不公平感や不満の温床になります。
とりわけベンチャー企業のように成長につれて人材の質が変化しやすいような企業は将来のことを見据えてストックオプションを設定する必要があります。

まとめ

ストックオプション制度はインセンティブとして機能する可能性がある反面、扱い方を間違えると役員と従業員の不平不満を招き、さらには経営に悪影響を与える恐れがあります。
ストックオプション制度を実際に導入する際には役員や従業員にどれだけ利益を与えられるか、経営にどれだけの影響力を持つかを踏まえ、慎重に検討することがおすすめです。

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