M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!【図解あり】
2020年6月22日更新業種別M&A
不動産仲介業界のM&A、売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説
不動産仲介業界のM&Aは買い手、売り手によってM&Aを選択する目的は異なります。それぞれのメリット・デメリットを見極めたうえで決断をしましょう。そのためには不動産仲介業界M&Aの注意点を熟知している専門家の活用が肝要です。
目次
不動産仲介業界のM&Aとは
近年、M&Aは活発化の様相を呈してきています。ほとんど全ての業種でM&Aが行われていますが、本記事では、その中から不動産仲介業界のM&Aについてピックアップします。まず、不動産仲介業界の定義について、あらためて考えてみましょう。
不動産仲介業界は、しばしば短縮化され不動産業と呼ばれます。しかし、不動産業という言葉は広義・総称であり、大きく分けると3つに分類されます。それは、土地や建物の売買を直接、あるいは代理で行う仲介不動産取引業と不動産管理業、不動産賃貸業の3つです。
不動産業界では、デベロッパーと呼ばれる土地の開発と分譲といった大規模な宅地造成や再開発事業、マンション分譲からオフィスビルの建設、リゾート地の開発まで幅広く手がける企業と、賃貸物件の取り扱いや管理、流通を主に担う仲介業者があるのです。
そして、不動産仲介業界におけるM&Aには、他の一般的なM&Aとは違う特徴があります。それは、法人の所有する土地や建物といった不動産を、その法人の株式を取得することによって、買主側に移動させることを目指してM&Aが実施される点です。
つまり、買主側の目的は事業の取得などではなく、あくまでも売主側の法人が所有する土地や建物などの取得に主眼が置かれています。この特性ゆえに、不動産仲介業界のM&Aについては、特別に「不動産M&A」とも呼称されているほどです。
不動産仲介業界の変遷
一般のM&Aとは趣が異なる不動産仲介業界のM&Aについて考察する前に、不動産仲介業界の過去から現在までの経緯を、ざっと振り返ってみましょう。特に注視すべき点として、首都圏における不動産仲介業界に特徴があるようです。
戦後の日本において高度経済成長期にさしかかった当初は、東京都心でもまだ数多くの町工場や商店、問屋などが存在していました。それらの事業者は法人を組織し、従業員も多数在籍した企業も少なくありません。
しかし、高度経済成長が加速したことによる円高の影響や、交通インフラの整備が進み、工場は地方や海外に移転していきました。その跡地に大型デパートなどが建設されてくるようになり、東京都心の産業構造は大きく変化しました。
このような時代背景の中で、都心において効率よく収益が見込め、銀行も積極的に融資したい事業として、不動産賃貸業が台頭してきたのです。また、高度経済成長期には東京都心の不動産価格が高騰し、別事業者が不動産賃貸業に新たに参入してくるケースも多くありました。
以上のような事情により、都心の不動産を所有するオーナーは、かつては他の事業を行っていたものの、途中から不動産業界に参入し事業転換を行ったため、法人名義で不動産を所有しているケースが多いのです。
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不動産業界におけるM&Aの特徴
不動産業を経営するにあたっては、日々変動のある有価証券などの動産とは異なり、損益を日々確定するような意思決定は求められませんが、建物の管理や修繕、建て替えの時期などについての検討をする際に重要な意思決定を下しています。
修繕や建て替えを実施する場合、銀行などから多額の借入をすることが考えられます。外部環境の変化も多く、その不動産の将来性が明確でない中、多額の借入を行うかどうかは、大きな意思決定ですが、その判断は、数十年後に大きな影響を及ぼします。
代表者が個人保証して多額の借入をした所有不動産が、子供や孫の世代になって正の財産となるか、負の財産になってしまうか、不動産価格が将来どのように変動するのか明確に見通しにくいという、この特性が不動産仲介業界の課題である特徴であるといえます。
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不動産業界におけるM&Aに対する株主の視点
不動産仲介企業がM&Aを実施する際に、意思決定に際して、企業とその株主が念頭に置いておくべき事項とし、不動産売却益に課される税額があります。以前、複数の株主が存在しかつ業績好調である不動産仲介企業がM&Aを実施する際に、頻発した問題を紹介しておきます。
まず、分散した株式の株主たちは、会社が好調なうちに利益の分配を要求しようと考えます。そして、会社が保有している不動産について、継続保有は大きなリスクとなるから不動産自体を売却し、その売却益を株主たちで分配しようという意見に至るのです。
ところが、実行に移すにあたって会社の顧問税理士に相談すると、過去に取得した不動産を売却する際には、高額な含み益に法人税が課されることを知らされます。つまり、法人税額も高額なものになるということです。
それでも不動産の売却を進め、高額な法人税の納付後に会社を清算し、株主各々に財産を分配したとします。その分配財産による収入は通常の所得と同等に見なされることから、所得税は累進課税が適用され、住民税も含めると最高で税率55%が課されることになります。
結果的に株主の手元に残る資産は、不動産売却価格の3分の1にも満たないということが判明し、皆一様に不動産売却を断念することになります。その結果、このような立場の不動産仲介業界の株主は、M&Aで株式を買い取ってもらったほうが得であるという考えに至ることになりました。
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不動産仲介業界でM&Aを行うメリットとデメリット
不動産仲介業界で各社が持つ事業資産である不動産が、どういう存在であるか見えてきました。そこで、ここからは、不動産仲介業界でM&Aを行う場合の、メリットとデメリットについて考えてみましょう。
不動産仲介業界のM&Aのメリット
不動産仲介業界におけるM&Aは、当然ながら譲渡側と譲受側、それぞれの立場の会社があります。不動産仲介業界のM&Aにおける譲渡側、譲受側のメリットについて、個別に説明します。
譲渡側のメリット
不動産仲介業界のM&Aにおける譲渡側のメリットは、以下の3点です。
- 大手企業の営業力を利用して利益を改善できる
- 社員の雇用を守れる
- 後継者問題が解決し事業承継ができる
業界の不況や競争の激化で中小の不動産仲介会社の中には厳しい経営を迫られているところも増えています。会社が倒産してしまうと、社員の雇用を守ることができません。M&Aを実施することで倒産を免れ、社員の雇用を確保できます。
また、M&Aで大手企業の傘下になれば、大手企業の営業力と顧客基盤を利用して、自社の売上・利益増加が見込めるはずです。さらに、中小の不動産仲介会社が陥る後継者不足問題も、M&Aで解決できます。
後継者がいないことで会社を廃業したり、高齢でもなかなか引退できない場合がありますが、M&Aをすれば事業承継問題が解決できるというメリットがあるのです。
譲受側のメリット
不動産仲介業界のM&Aにおける譲受側のメリットは、以下の3点です。
- 管理戸数の増加
- 新たな顧客やネットワークの確保
- 有資格者の確保
不動産仲介会社を買収することで、譲受側は新たな顧客や情報ネットワークが得られます。また、M&Aによって管理戸数を一挙に大きく増やすことも可能です。不動産管理業務も行なっている企業であれば、管理戸数が増えるほど手数料収入も増加させられます。
さらに、M&Aを実施することで、「賃貸不動産経営管理士」や「宅地建物取引士」といった不動産仲介業界には欠かせない、不動産業務に関する資格を持つ人材を確保することができるのです。
不動産仲介業界のM&Aのデメリット
いくつものメリットがある不動産仲介業界のM&Aですが、果たしてデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。不動産仲介業界のM&Aのデメリットについても、M&Aの譲渡側と譲受側とに分けて掲示します。
譲渡側のデメリット
不動産仲介業界のM&Aにおける譲渡側のデメリットは、以下の3つです。これは、不動産仲介業界のM&Aに限ったものではなく、M&A全般におけるデメリットとも言えます。
- 企業文化の違いで両社が融合できない
- 雇用条件の変更による従業員の退職
- 買い手が現れない
M&Aでの譲渡側のデメリットは、企業文化の違いにより、想定していたシナジー効果が発揮できないことがあります。大手企業の傘下に入り、営業力やネットワークを活かして、自社の売り上げや顧客増加を狙っていたものの、会社同士が噛み合わずに結果が出ないことがあるのです。
また、譲渡側の従業員は労働環境や雇用条件が変化するので、その変化に不満を感じる人もいます。その結果、退職を選択する従業員も出てくるのです。そして、条件に見合った買い手がなかなか見つからないという問題もあります。
仮に買い手候補が見つかったとしても、売却価格の思惑の相違など条件面が合わなければ、交渉が上手くいかず、M&Aが不成立となる可能性も考えられます。譲受側のデメリット
不動産仲介業界のM&Aにおける譲受側のデメリットは、以下の3つです。
- 期待していたシナジー効果が生まれない
- 優秀な人材が流出する
- 簿外債務やキャピタルゲイン課税の発生
譲渡側のデメリットと同じ内容として、M&Aによって期待していた相乗効果が生まれないというデメリットがあります。相乗効果が生まれない原因の1つが、M&Aによって労働環境が変わったことによって退職者が現れ、その退職者が優秀であった場合です。
したがって、M&Aの際には従業員へのケアを可能な限り手厚く行う必要があります。そして、不動産仲介業界のM&Aで発生しやすい特徴的なデメリットが、簿外債務やキャピタルゲイン課税です。
簿外債務とは、賃借対照表に計上されていない債務で、訴訟案件や未払いの給与・退職金などが該当します。想定外の簿外債務は、はなはだ困りものです。
また、M&Aでは、譲渡側の会社の帳簿価格をそのまま承継するため、譲渡側が持っていた土地や不動産を売却した際に売却利益が発生し、買収側が課税を強いられるキャピタルゲイン課税問題もあります。
帳簿上の問題が発生する可能性を理解したうえで、M&A仲介会社にはデューデリジェンスを依頼して、譲渡側の会社を調査するべきでしょう。
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不動産仲介業界のM&Aにおける注意点
不動産仲介業界で行われるM&Aの動機が、高額な税金の回避であることを考慮すれば、M&Aの対象会社である買い手、または売り手は、税務に精通していることが不可欠です。しかし、M&Aの契約内容は宅地建物取引業法などとは別物であり、実務的なM&A専門家の能力も欠かせません。
したがって、不動産のプロであり税務にも精通しているからといって、M&A専門家不在のままでM&Aの交渉を成立させようとしても、うまく成約させるのは難しいでしょう。M&AにはM&A特有のセオリーがあり、それは経験者でないと知り得ないことです。
不動産売買など全般的な取引業務、M&Aの実務及び税務に卓越した人材を選出し、彼らの経験や取り扱う生の情報、各種の煩雑な手続きを踏まえながら、売り手と買い手双方の利害関係をうまく合致させなければ、成功はおぼつきません。
専門分野が多岐に渡る不動産仲介業界のM&Aについては、高度な知識と実務能力が要求される極めて専門性の高い案件になります。実際に不動産仲介業界M&Aを行うのであれば、多種多様なM&Aに精通したM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所は全国のM&A案件の取り扱いをしており、数多くの中小企業のM&Aを実現させてきました。不動産業界のM&Aを含む実績に裏打ちされた豊富な知識と、経験を持つ公認会計士がサポートいたします。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
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不動産仲介業界における資産売却と株式譲渡との比較
ここまで断片的に述べてきた、不動産仲介業界における不動産売却時の売却益と、M&Aにより株式譲渡した際の譲渡益について、はっきり比較しておきましょう。なお、この場合の比較とは単なる売却額についてではなく、納税を経て手元に残る金額のことです。
法人が、含み益のある不動産を譲渡する場合は、譲渡益に対して事業税・住民税・法人税などの税金が課税されます。仮に、含み損のある不動産を所有していれば、それを同一事業年度内に売却して譲渡損を実現させることにより、法人税などを軽減できる譲渡損益通算が適応可能です。
また、譲渡益に見合う損金として固定資産除却損や役員退職金の支払などができる場合も、同様に法人税などの税金を軽減することができます。しかし、譲渡益に見合う損金の計上ができない場合には、約50%の課税率にもなる法人税などの負担は避けられません。
また、商業系建物の譲渡であれば、消費税の負担も加わります。そこから株主に利益還元するには、株主配当することになりますが、株主の配当所得は総合所得として累進課税が適用されます。最高で約55%の税率であり、最終的な株主の利益は不動産売却額の30%ほどにしかなりません。不動産仲介業界でのM&Aの優位性
一方、M&Aで株式譲渡した場合、その譲渡所得は申告分離課税となるため、約20%の課税率です。また、株式譲渡であれば、消費税も法人税も適用されません。不動産の売却額と、株式譲渡の譲渡価額は必ずしも同額ではありませんが、税率の差は歴然です。
以上のように、株主にとっては、M&Aでその会社の株式を譲渡する方がはるかに有益性が高いと言えます。また、買収側にとってもM&Aであれば出費を抑えられます。不動産を現物で購入すると課税される不動産取得税と登録免許税が、M&Aなら対象外なのです。
費用という点では、M&Aで仲介会社に支払う費用の吟味も忘れてはなりません。各会社によって料金体系はまちまちです。仲介会社への手数料などは具体的な結果を対価として支払いたい、とお考えの方には、完全成功報酬制のM&A仲介会社は有力な一つの選択肢となります。
その代表格がM&A総合研究所です。M&Aに豊富な知識と経験を持つ公認会計士がM&Aをサポートし、M&A業務委託を契約しても手数料などは一切ないのです。M&Aが成約するまで費用は発生せず、成功報酬についても国内最安値水準でご好評をいただいています。
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不動産仲介業界のM&Aに向けた準備~買収編
不動産仲介業界のM&Aでの買い手として、準備することについて考えてみましょう。まず、単純な不動産の取得とは異なる会社の買収となるため、専門的な外部機関に依頼する必要が出てきます。会社の内容を調査するために、買収にはそれなりに時間と手間がかかるのです。
また、会社買収の特性上、取得を望んでいる不動産とは直接関係のない潜在債務、簿外債務といった負債を引き継ぐ可能性があることを頭に入れておきましょう。負債だけではなく、不動産含み益に対して課税された税金を引き継ぐ場合もあります。
不動産の売買の場合、その契約書は印紙税の課税文書になりますが、株式売買契約は非課税文書です。印紙を用意する必要はありません。そして、買い手である以上、理想的な売り手を確実に見つけたいものです。
その際におすすめなのがM&A総合研究所のM&Aプラットフォームです。日本最大規模のM&Aプラットフォームは、M&A案件が豊富に集まっています。M&A総合研究所独自のAIが行うマッチングによって、買収ニーズの登録だけで条件の合う売り手が見つけられるのです。
不動産仲介業界のM&Aに向けた準備~売却編
不動産仲介業界のM&Aは、売り手が株式を譲渡した後も会社は存続しているため、売主にとってメリットの大きい取引形態です。現在の会社の人員整理や、締結している既存の契約の変更などを行う必要はありません。
買い手企業の子会社になるということに対して、違和感がないのであれば、必要があるのは従業員への説明のみと言ってもいいぐらいです。
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不動産仲介業界のM&Aを成功させるポイント
不動産仲介業界のM&Aの実態が明らかになったところで、実際に不動産仲介業界でのM&Aを成功させるポイントを取り上げます。以下の5つのポイントについて順を追って見ていきましょう。
- 売却のタイミングを誤らないこと
- 自社管理の物件を持っていること
- 地域性を活かす運営を行っていること
- 社員の平均年齢が高齢でないこと
- M&Aの専門家や仲介会社に相談をすること
売却のタイミングを誤らないこと
不動産仲介業界が下降気味になったときに会社の売却をするのは良いタイミングとは言えません。タイミングを逃す前に、最適な時期を見極めてM&Aの検討をされることをおすすめします。
自社管理の物件を持っていること
中小の不動産仲介会社の強みは、独自ルートによる管理物件を所有していることです。大手企業が持たず、ネットの検索で見つからないような管理物件はM&Aの際に大きな強みになります。
地域性を活かす運営を行っていること
中小の不動産仲介会社の強みは、地域性に特化している点です。地域性の強さを発揮して、大手ではカバーしきれない不動産管理ができる強みはM&Aの際に有利に働きます。
社員の平均年齢が高齢でないこと
中小の不動産仲介会社は、社員が以前より顔なじみということもあり、M&Aの成立とともに退職を決める可能性もあります。退職をされる可能性がある中で、現役世代が社員として在籍していることは、M&Aの際にアピールできるポイントになるのです。
M&Aの専門家や仲介会社に相談をすること
最後のポイントは、M&Aの相談は専門家や仲介会社に相談することです。不動産仲介業界の場合、不動産取引の延長的な感覚で、ついつい自分たちでM&Aを進めてしまう衝動があるかもしれません。
しかし、それでは必ず問題が出てしまうでしょう。M&Aの専門家に任せることで素人には解決が難しい問題もクリアできます。
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不動産仲介業界のM&Aの成功・失敗事例
本記事の最終項として、不動産仲介業界のM&Aの成功事例と失敗事例について掲示します。どちらについても学びとして、よく吟味してみてください。
不動産仲介業界のM&Aの成功事例
不動産仲介業界M&Aの成功事例としては、具体企業を挙げて説明します。「飯田グループホールディングス」のM&Aについて振り返ってみましょう。飯田グループホールディングスは、不動産仲介業界で戸建て分譲住宅を手がける6社が経営統合して誕生しました。
6社とは、「タクトホーム」「アイディホーム」「東栄住宅」「アーネストワン」「一建設」「飯田産業」です。その結果、売上高は、業界最王手の「積水ハウス」の約50%にまで達し、年間販売戸数では積水ハウスを大きく上回ることとなりました。
経営統合後は、既存事業である分譲マンションや戸建、土地の分譲、注文住宅などを展開しつつ、スケールアップしたメリットを大きく生かし、仕入れなどのコスト引き下げを図ったり、より優秀な技術者の育成に取り組むことにも成功したのです。
このように急速な業界再編などに危機感を抱く経営者らは、M&Aで企業規模を拡大することによって周辺業界への参入や海外展開、より多角化した企業展開などを進める企業が増えています。
不動産仲介業界のM&Aの失敗事例
不動産仲介業界のM&Aでは、時おり目にする失敗パターンがあります。それは、過去にM&Aを実行したものの、数年の経過後、買収した会社を再度、他社に譲渡するケースです。この場合のほとんどは、経営者のみの直接交渉で最初のM&Aを実施してしまったことに起因すると考えられます。
不動産仲介業界の日常業務として行っている不動産取引の延長線上で、M&Aの交渉だけなら当事者同士でも協議・合意は可能でしょう。しかし、M&Aに必要な買収監査を十分に行うことがなされなかったため、潜在債務や簿外債務といった負債リスクに気づけなかったのです。
また、M&Aアドバイザーがいれば見落とすはずのない、M&A後の組織・人員の体制などについても、十分な吟味や検討が行われないままのM&Aとなり、事業に好影響を生みませんでした。M&A実施にあたっては、専門家の助力が必要であることを示す事例と言えるでしょう。
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まとめ
不動産仲介業界のM&Aには、他の業種とは違った特徴があることが理解いただけたと思います。
特にM&Aに対しては、他の業種と比較して、業界内で理解や親近感があります。というのも、日常的に高額な不動産を取り扱っていたり、不動産の取得を目的として不動産保有企業自体を取得する、ということが比較的自然な発想であるからといえます。
しかしながら、それゆえに、他の業種よりもM&Aへの抵抗感は低く、M&Aを拙速に当事者のみで行ってしまうきらいがあります。M&Aによるメリットを最大化するためには、M&A専門家の起用を忘れてはなりません。
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