2020年10月12日更新会社・事業を売る

事業の多角化

事業の多角化とは、既存の製品や市場とは異なる新たな市場に事業分野を展開する戦略のことです。本記事では、事業を多角化するメリットとデメリットのほか、事業の多角化を成功させるポイントや事業を多角化している企業例などについて詳しく解説していきます。

目次
  1. 事業の多角化
  2. 事業の多角化とは
  3. 事業を多角化する理由
  4. 事業を多角化すべきタイミング
  5. 事業を多角化するメリットとデメリット
  6. 事業多角化の成功条件
  7. 事業を多角化している企業例
  8. まとめ
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事業の多角化

事業の多角化

事業の多角化

経営環境の不確実性などを理由に、日本企業の多くは事業の多角化を推進しています。

中小企業からすると事業の多角化は馴染みのない戦略かもしれませんが、経営者の中には事業の多角化を重要な戦略として据えている方も多いです。事業を多角化すると、さまざまなメリットが得られます。

本記事では、事業の多角化について、成功させる条件や、実際に事業を多角化させている企業などを中心に紹介します。

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事業の多角化とは

事業の多角化とは

事業の多角化とは

はじめに、事業の多角化に関する基本的な知識を確認しておきましょう。ここでは、事業の多角化に関する基本的知識として、以下の3項目に分けて紹介します。

  1. 事業多角化の概要
  2. 多角化の種類
  3. 多角化戦略の分類

これら3項目を押さえておけば、事業の多角化について大まかに理解できます。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

(1)事業多角化の概要

事業の多角化とは、既存の製品や市場とは異なる新たな市場に事業分野を展開する戦略のことです。すでに複数の事業を運営している企業は、多角化企業と呼ばれます。

なお、多角化戦略以外には、市場浸透戦略・新製品開発戦略・新市場開拓戦略などの成長戦略が採用されるケースが多いです。まずは、多角化戦略以外の成長戦略の概要について確認しておきましょう。

名称 概要
市場浸透戦略 ・売上高・市場シェアの拡大を目的に既存市場における既存製品の売り込みを強化し、購入量・購入頻度を増大させる
・製品の認知度や購入意欲を高める方法の検討および実行が主な課題
新製品開発戦略 ・売上高の拡大を目的に既存市場に新製品を投入する
・顧客ニーズの発掘・差別化の図り方の検討および実行が主な課題
・新製品を開発する際には、入念な市場リサーチがカギとなる
新市場開拓戦略 ・売上高の拡大・大量生産による「規模の経済性」の獲得を目的に既存製品を新規市場で展開する
・営業や販売、顧客管理などの業務が成功のカギを握る
・消費需要との間にズレが生じているとまったく成果を上げられないおそれもある

事業の多角化は、上記の戦略よりもハイリスクだとされています。なぜなら、事業の多角化に伴う新規市場への参入を成功させるには、マーケティングを念入りに行う必要があるためです。

加えて、新製品の開発も求められることから、戦略の綿密な検討のほか技術開発力・営業力・資金力などの総合力が必要不可欠となる戦略となります。このように他の戦略よりも求められる行動・能力が多いために、事業の多角化はハイリスクの戦略だとされているのです。

(2)多角化の種類

多角化には、大きく分けて2種類の方法があります。本業分野で用いる技術・ノウハウと関連性がある事業の多角化は、関連多角化です。その一方で、まったくの異業種である場合には、非関連多角化と呼ばれます。一般的には、関連多角化の方が事業が成功する可能性は高いです。

なお、詳しくは後述しますが、最近ではM&Aにより事業の多角化を実施するケースも増えています。もしもM&Aによる事業の多角化を検討しているならば、M&A総合研究所にご相談ください。

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(3)多角化戦略の分類

多角化戦略の魅力は、企業の持つ経営資源や技術を分析したうえで、それぞれに適した戦略を取れる点です。事業を多角化するにあたって実施される具体的な戦略には、以下の4種類があります。

  1. 水平型多角化戦略
  2. 垂直型多角化戦略
  3. 集中型多角化戦略
  4. 集成型多角化戦略

これら4種類の特徴を押さえておけば、自社にとって最適な多角化戦略を検討できます。それでは、それぞれの多角化戦略を順番に見ていきましょう。

①水平型多角化戦略

1つ目の多角化戦略は、水平型多角化戦略です。水平型多角化戦略とは、企業がすでに有している技術を活用したうえで、類似する市場をターゲットに据えて製品を開発・提供する戦略をさします。

具体例としては、一般家庭向きのベッドを製造する会社が、2段ベッド・折りたたみベッド・ハンモックなどの製造に着手するといった多角化戦略が挙げられます。

②垂直型多角化戦略

2つ目の多角化戦略は、垂直型多角化戦略です。垂直型多角化戦略とは、これまで共通の利益を獲得していた企業が担ってきた上流・下流工程の分野を、1つの企業にすべて集約させる戦略をさします。

具体例としては、外食チェーン店が、食品の生産・流通・販売すべてを担うといった多角化戦略が挙げられます。製造業やメーカーなどが採用しやすく、馴染みのある多角化戦略です。

③集中型多角化戦略

3つ目の多角化戦略は、集中型多角化戦略です。集中型多角化戦略とは、自社が有している差別化・特定化された技術を活用したうえで、関連性の高い新分野への進出を果たす戦略をさします。

具体例としては、富士フィルムによる、デジカメに搭載するレンズの医療機器分野への転用といった戦略が挙げられます。

④集成型多角化戦略

4つ目の多角化戦略は、集成型多角化戦略です。集成型多角化戦略とは、企業が手掛けている事業に直接的には関連しない分野に進出する戦略をさします。

具体例としては、コンビニエンスストアがATMを設置し、銀行業務代行手数料を得る戦略が該当します。

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事業を多角化する理由

事業を多角化する理由

事業を多角化する理由

実際に事業多角化を実施している企業は、どのような目的を持って行ったのでしょうか。ここでは、事業の多角化を推進する理由を3つ紹介します。

(1)新しい事業分野への進出

近年、日本企業を取り巻く環境は、激しく移り変わり続けています。テクノロジーの発展により、新たな事業分野が頻繁に生み出されている状況です。

上記のようなテクノロジーの発展により生まれた新しい事業分野に魅力を感じて、多角化に乗り出す企業は少なくありません。これは、比較的ポジティブな理由による事業多角化です。

(2)主力事業の停滞

従来とは異なり、現在における日本経済の成長率は衰退しつつあります。市場の衰退にプロダクトライフサイクルの短縮化も相まって、ひとつの本業での生き残りは非常に難しい状況です。

多くの中小企業では、本業の収益力悪化によって会社経営の続行が困難となっています。主力事業で十分な利益を生み出せずに、やむを得ず多角化を図るといったケース珍しくありません。ネガティブな理由による事業多角化ですが、現状を打破するうえで非常に合理的な戦略です。

(3)余裕資源の活用

長年にわたり経営を続けていると、会社内に余裕資源(使っていない経営資源)が蓄積されます。特に日本企業は、こうした内部留保を多く溜め込む傾向があるのです。そのため、内部留保の余裕資産を活用手段としつつ、事業の多角化を推進するケースも多く見受けられます。

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事業を多角化すべきタイミング

事業を多角化すべきタイミング

事業を多角化すべきタイミング

事業を多角化すべきタイミングは、会社の経営が順調であるときだとされています。なぜなら、ポジティブな事業多角化への挑戦は、経営体力のあるタイミングでしか実現できないためです。そのため、事業の多角化を検討する際には、まず自社の経営状況の確認から始めると良いでしょう。

そして、もしも自社の経営が順調であるならば、事業を多角化すべき最適なタイミングといえます。失敗する可能性もありますが、成功させられればM&Aのようにさまざまなメリットを得ることが可能です。

なお、M&Aによる事業の多角化を検討しているならば、まずはM&Aの専門家に相談すると良いでしょう。数ある専門家の中でも、実績面・手数料面で相談しやすい機関はM&A総合研究所です。

M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまでに培ったノウハウを活かしながらM&Aを手厚くサポートいたします。

また、M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、最短3ヶ月という期間での成約を目指せます。相談料は無料となっておりますので、M&Aによる事業の多角化を検討している場合にはお気軽にお問い合わせください。

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事業を多角化するメリットとデメリット

事業を多角化するメリットとデメリット

事業を多角化するメリットとデメリット

事業の多角化にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在するので知っておかなければなりません。ここからは、事業を多角化するメリットとデメリットを紹介します。

事業多角化のメリット

事業を多角化するメリットは、以下の4つです。

  1. リスクを分散できる
  2. シナジー効果を発揮できる
  3. 範囲の経済性を発揮できる
  4. スピーディーに企業を成長させられる

これら4つのメリットを押さえておけば、自社にとって事業の多角化がどれほどの利点となるのか確認できます。吟味したうえで、必要であれば事業の多角化を検討すると良いです。それでは、それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

①リスクを分散できる

事業を多角化する最大のメリットは、リスクを分散できる点です。時代背景や社会全体の影響により、消費者の趣向・ニーズなどは頻繁に変化します。たとえ過去に大ヒットした製品でも、永遠にヒットを続けることはあり得ません。

ひとつの事業のみ運営する企業では、消費者の趣向・ニーズが変化すると、収益源を失い経営が悪化します。そこで多角化経営を遂行すれば、特定事業の収益力が落ちても他の事業で収益を補完できるため、全体の収益力を下げずに済むのです。

これは株式の分散投資のイメージに近く、さまざまな事業を展開するほど、特定の事業が落ち込んだときの悪影響を抑制できます。このようなリスクの分散は、会社を経営するうえで非常に大きなメリットです。

②シナジー効果を発揮できる

とりわけ関連多角化を実施すると、シナジー効果の発揮が期待できます。シナジー効果とは、複数事業の間で相互に良い影響をもたらす効果のことです。

関連多角化の場合、本業で蓄積した技術力・ノウハウなどを活用できます。これにより、ゼロの状態から事業を開始するよりも費用を抑えたうえで効率的な経営を行えるようになるのです。

関連多角化により発揮が期待されるシナジー効果の種類には、以下のようなものがあります。

販売シナジー 流通経路、販売組織、広告、商標、倉庫の共有などがもたらすシナジー
操業シナジー 施設や人員の稼働率の向上、間接費の分散、学習曲線の共有、一括仕入れの実現などがもたらすシナジー
投資シナジー ・技術基盤および資材調達の共同化がもたらすシナジー
・より良い製品を提供するための研究、開発の促進が期待できる
マネジメントシナジー 経営陣の能力や経験、事業運営、現場管理などのノウハウの共有がもたらすシナジー

③範囲の経済性を発揮できる

関連多角化では、範囲の経済性の発揮も期待できます。範囲の経済性(組み合わせの経済)とは、複数事業を1社で手掛けることにより得られる、費用軽減効果のことです。シナジー効果の経済性の面をさした言葉でもあります。

同一企業が異なる複数事業を経営すると、別々の企業が独立して手掛けるよりもコスト上で有利となります。範囲の経済が生じる理由としては、複数事業間における経営資源の共有がもたらす固定費の分散が代表的です。そもそも共有できる経営資源は、以下のような理由で発生します。

  • 資源分割が行えない
  • 副産物が発生する
  • ブランドが確立される

1つ目の理由に、「資産分割が行えない」点が挙げられます。会社内の総務・人事といった機能・土地や建物などの不動産・製造機械やエネルギー供給などは、細かく分割できずに過剰に投入されるケースが多いです。そのため、これらの資産を共有できると効率化につながります。

また、2つ目の理由に、「副産物が発生する」点が挙げられます。簡単にいうと、特定事業で生じる副産物が、他の事業で活用できるといったケースのことです。例えば、製造するコーヒーのかすを利用した「凍霜害防止剤」の開発などが挙げられます。

そして、3つ目の理由に、「ブランドが確立される」点が挙げられます。特定事業において確立したブランドは、他事業の新製品において名称利用などがしやすくなるのです。こうした経営戦略は「ブランドの拡張」などと呼ばれており、有効なマーケティング手法のひとつとされています。

④スピーディーに企業を成長させられる

事業の多角化に成功すると、企業の成長速度が大幅に早まります。昨今の市場は、革新的な技術が次々と登場しており、顧客ニーズも多様化している点が特徴的です。目まぐるしい市場経済の変化に対応するためにも、企業は迅速戦略を決定しつつ新規事業を立ち上げなくてはなりません。

そこで多角化戦略を活用すると、企業買収・事業提携による迅速な新市場開拓が可能です。圧倒的なスピードで市場の開拓・拡大を図るうえでも、事業の多角化は欠かせない成長戦略だといえます。

事業多角化のデメリット

事業の多角化では、以下のようなデメリットも存在します。

  1. コストがかかる
  2. 経営が非効率になる

これら2つのデメリットを押さえておくことで、自社で慎重に事業の多角化戦略を検討できます。それでは、それぞれのデメリットを順番に見ていきましょう。

①コストがかかる

シナジー効果や範囲の経済性を得ると、長期的には費用低減や利益獲得を目指せます。しかし、短期的な目線で見れば、事業の多角化にはコストがかかってしまうのです。具体的には、新規事業を開始するための投資費用やマーケティング費用など、多角化には多大なコストが発生します。

多くの初期費用がかかるため、資金力に乏しい中小企業が事業多角化を図ることは非常に困難です。中小企業が多角化する際は、小さい範囲から着手していくと良いでしょう。この点については、後ほど詳しくご説明します。

②経営が非効率になる

事業を多角化すればするほど、経営管理が非効率的になります。特定事業のみを実行していれば大量発注によるコスト削減を実現できますが、事業を多角化した場合には別々に発注作業を行うため、その分多くのコストがかかってしまうのです。

ここでは、コストのみならず事業間ごとに重複する部門も発生してしまいます。事業多角化を遂行する際は、こうしたデメリットを避けてとおることは非常に困難です。

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事業多角化の成功条件

事業多角化の成功条件

事業多角化の成功条件

事業の多角化には、多種多様なデメリットやリスクが伴います。確実にメリットを獲得するためにも、事業多角化の成功確率を高めなければなりません。ここでは、事業多角化の成功条件を5つ紹介します。

  1. 小さい所から始める
  2. 関連多角化を実施する
  3. シナジー効果が期待できない多角化は控える
  4. 役員や幹部を巻き込んで事業多角化を進める
  5. M&Aを利用する
これら5つの成功条件を押さえて実践すれば、自社の事業多角化の成功確率を高められます。それでは、それぞれの成功条件を順番に見ていきましょう。

(1)小さい所から始める

どれほど入念に計画しても、事業多角化には必ずリスクが伴います。事業多角化に失敗すれば、事業展開に要した経営資源や費用・時間がすべて水の泡となるおそれがあるのです。経営資源に乏しい中小企業にとって、事業の多角化に一度でも失敗すれば、致命傷となりかねません。

事業の多角化を実施する際は、まず小さい所から始めることをオススメします。例えば、少額の事業投資から始めて、軌道に乗ってきた段階で本格的に経営資源を投入すると良いでしょう。

(2)関連多角化を実施する

事業多角化の成功可能性を高めたいのであれば、関連多角化の実施をオススメします。非関連多角化と比べて関連多角化の方が、事業が軌道に乗る可能性が高いです。関連多角化では、すでに蓄積されている経営資源を利用できるため、事業展開を円滑に進められます。

その一方で、非関連多角化の場合、何もかも知らないゼロの状態から事業を始めるため、成功する可能性が低いです。つまり、慣れていることを実施する方が、成功可能性は高まります。

(3)シナジー効果が期待できない多角化は控える

事業を多角化する際、目指すべきなのはシナジー効果の獲得です。ただし、既存の事業と接点のない多角化では、たとえ新規事業が上手くいったとしても成長スピードは向上しません。

例えば、責任者を他部署から連れてきて新規事業を任せきりにしてしまえば、既存事業との協力関係が築けずに、シナジー効果は望めないでしょう。とはいえ、社長が1人ですべての事業を担当するのも不適切です。これでは、先を見据えて戦略を考えるという経営者本来の役割が全うできません。

以上の理由から、従業員レベルで処理できる範囲においてシナジー効果が望めないのであれば、事業の多角化は控えておくべきだといえます。

(4)役員や幹部を巻き込んで事業多角化を進める

事業の多角化は、社長1人で何とか対処しようとしてはいけません。必ず役員や幹部・従業員を巻き込んで進めていきましょう。社長が1人で行えば、社員には他人事にしか映らないため協力してもらえず、事業の多角化は上手くいかないのです。

新規事業を成功させるには、社内の協力が欠かせない点を覚えておきましょう。

(5)M&Aを利用する

関連多角化の方が成功可能性は高いとはいえ、状況次第では非関連多角化を実施したいケースもあります。そこで、M&Aの活用について検討してみましょう。

たとえ成功可能性の低い非関連多角化であっても、M&Aを利用すれば成功可能性を高めることが可能です。多角化したい事業分野をすでに手掛ける企業を買収すれば、非関連多角化をスピーディーかつ低リスクで遂行できます。

ゼロから始める必要がないうえに、失敗するリスクも遥かに低いです。ただし、M&Aによる多角化には、買収費用が必要となるデメリットもあるため注意してください。

そうはいってもデメリットを上回るほどのメリットがあるため、事業の多角化を検討中の方にはM&Aの利用をオススメします。M&Aを行う際は、条件の合う売り手をしっかりと見つけられるかどうかが重要です。

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事業を多角化している企業例

事業を多角化している企業例

事業を多角化している企業例

この記事の最後に、実際に事業の多角化に成功している企業の事例を紹介します。

  1. Google
  2. 株式会社すかいらーく
  3. NTTドコモ
  4. 富士フィルム株式会社
  5. ソニー株式会社
  6. ヤマハ株式会社
  7. 株式会社ヤクルト

これら7つの企業の事例からポイントを押さえておけば、自社における事業の多角化戦略を練る参考となります。それでは、それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

(1)Google

いわずと知れたグローバル企業のGoogleですが、実は動画共有サイト「YouTube」も運営しています。

Googleは、YouTubeの将来性を期待して、2006年にM&Aを用いて買収しました。GoogleによるYouTubeの買収は、M&Aを利用した事業の多角化の最たる成功例です。

(2)株式会社すかいらーく

株式会社すかいらーくは、外食業界において関連多角化を展開している企業です。洋食ファミレスのガストに始まり、中華のバーミヤン・和食の夢庵などあらゆる分野に展開しています。関連多角化として、完璧な事業展開です。

(3)NTTドコモ

次に紹介する事例は、NTTドコモの事業多角化です。

NTTドコモと聞くとKDDI・ソフトバンクなどと並ぶ最大手通信キャリア会社のイメージが強い経営者の方も多いはずですが、NTTドコモはタワーレコードの親会社でもあります。

2012年にM&Aによって発行済株式の約半数を取得して、実質的な経営権を掌握しました。事業展開というよりも、経営支配を目的とした子会社化であると考えられています。

(4)富士フィルム株式会社

富士フィルム株式会社と聞くと真っ先に思う浮かぶのは、写真フィルム事業かもしれません。ところが、富士フィルムには、デジタルカメラや小型カメラが内蔵された携帯電話の登場により、売上規模が減少してしまったという過去があります。

しかし、市場変化による困難を、事業の多角化により切り抜けています。具体策として実施したのは、化粧品・液晶フィルムを主力とするインフォメーション事業・各種出力機器を取り扱うドキュメント事業・デジタルカメラの開発と販売を手掛けるイメージング事業を中心とする多角化です。

このような多角化により、主力事業がイメージング事業からドキュメント事業に入れ替わるほどの変化を起こし、市場変化に柔軟に対応した事業多角化の成功事例として現在でも語り継がれています。

(5)ソニー株式会社

5つ目に紹介するのは、日本に本社を置くグローバル企業の代表格であるソニー株式会社の事例です。

ソニーは、豊富な資本と経営資源により音楽・映画・テレビ&ビデオ・ロボット・ゲーム事業など、幅広い分野で多角化に成功してきました。これらは、世界中に存在感を示す成功事例ばかりです。

多角化した事業でシナジーを働かせて、一定の成果を示してきた企業として大きく知られています。その一方で、製品開発戦略により業績悪化を招いたと指摘する声も上がっており、結果的に成功事例となるか失敗事例となるかは、今後の動向にもかかっているのです。

(6)ヤマハ株式会社

6つ目に紹介するのは、ヤマハ株式会社の事例です。楽器製造・販売事業以外にも、AV機器開発・英語教室・ICT機器・リゾート開発・半導体事業といった幅広い事業を展開する多角化企業として知られています。

その一方で、2014年以降は、過去の多角化経営における反省を活かして海外企業と積極的にM&Aを行っており、不採算事業の整理・構造改革などにも取り組んでいる点が特徴的です。

(7)株式会社ヤクルト

最後に紹介するのは、株式会社ヤクルトの事例です。

乳酸菌飲料の製造・販売を主軸に、化粧品事業・医薬品事業を立ち上げるなど多角化経営を推進しています。なお、新市場開拓のための海外進出を積極的に実施している点も特徴的です。

まだまだ業績の内訳は飲料事業に依存している傾向にあるとはいえ、今後表れる事業の多角化戦略の結果に注目が集まっている企業だといえます。

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まとめ

今回は、事業の多角化について解説しました。周囲を取り囲む環境が不確実となっている昨今、多角化による事業展開は効果的な経営戦略です。リスクやデメリットがあるものの、事業を多角化して得られるメリットは非常に大きいといえます。

また、M&Aを活用すれば、効率的に事業を多角化できます。事業を多角化する際は、本記事で紹介した成功ポイントを参考にしてください。本記事の要点をまとめると、以下のとおりです。

・事業の多角化とは
→既存の製品や市場とは異なる新たな市場に事業分野を展開する戦略

・多角化の種類
→関連多角化と非関連多角化

・多角化戦略の分類
→水平型多角化戦略、垂直型多角化戦略、集中型多角化戦略、集成型多角化戦略

・事業を多角化する理由
→新しい事業分野への進出、主力事業の停滞、余裕資源の活用

・事業を多角化するメリット
→リスクを分散できる、シナジー効果を発揮できる、範囲の経済性を発揮できる、スピーディーに企業を成長させられる

・事業を多角化するデメリット
→コストがかかる、経営が非効率になる

・事業多角化の成功条件
→小さい所から始める、関連多角化を実施する、シナジー効果が期待できない多角化は控える、役員や幹部を巻き込んで事業多角化を進める、M&Aを利用する

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