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2019年11月19日更新
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事業ドメインとは?設定方法やフレームワーク、メリット・デメリットをご紹介

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業ドメインの設定は経営者の手腕が発揮されます。社会も市場も常に変動しており、その変化に対応するためには限られた経営資源を効率的に運用し、会社の成長に貢献する多角化を実行できるかが重要になります。事業ドメイン設定のメリット・デメリット、設定方法やフレームワークを解説していきます。

目次
  1. 事業ドメイン
  2. 事業ドメインとは?事業ドメインの意味
  3. 事業ドメイン設定のメリット・デメリット
  4. 事業ドメインの分析
  5. 事業ドメインの設定方法とフレームワーク
  6. 事業ドメインの企業事例と拡大
  7. まとめ

事業ドメイン

事業ドメインという言葉を聞いたことはありますか?

事業ドメインはその企業が最も上手く立ち回れる「舞台」を指しています。

事業ドメインとは経営学の言葉であり、企業が市場の競走で優位性を保つ上で重要な経営戦略として位置付けられています。

今回は事業ドメインの意味や設定方法、設定する上で行う分析のやり方についてお伝えします。

事業ドメインとは?事業ドメインの意味

事業ドメインとは対象の企業が経済活動を行っている事業領域を意味します。

これだけ聴くと単純な概念のように聞こえますが、事業ドメインを設定する際には事業の将来性や所有する技術や設備、顧客など様々な情報を把握、分析しておかなければなりません。

そのため事業ドメインの設定は決して簡単なものではなく、自分の企業の現状やその役割を適切に認識し、様々な知識を持った上で行わなければなりません。

事業ドメインに付随してよく聞く言葉に「市場セグメンテーション」「コア・コンピタンス」「企業ドメイン」といった言葉があります。

市場セグメンテーションは顧客の嗜好やニーズなどを詳細に分析し、市場を細分化することで同質のニーズを把握することで事業展開を行うマーケティングの用語です。

コア・コンピタンスはその企業の中核となる特徴のことを指す言葉であり、「顧客に利益をもたらす」「競合他社に真似されにくい」「複数の市場・商品に推進できる」の3つの定義を含んでいるものです。

そして企業ドメインは事業ドメインの上位概念であり、複数の事業を経営する企業の活動領域のことを指します。

企業ドメインは事業ドメインに加えてその企業の経営理念などを含めて設定されるものであり、より包括的で規模が大きい概念であることが特徴です。

事業ドメイン設定のメリット・デメリット

事業ドメインを設定する際、メリットとデメリット(注意点)を踏まえておく必要があります。

事業ドメインを設定することのメリットとデメリットには以下のようなものがあります。

事業ドメインを設定することのメリット

事業ドメインのメリットは「集中と選択を明確化できる」という点があります。

そもそも事業ドメインを設定する目的は、その会社の主力となる事業を把握・選択し、その事業に経営資源を集中できるようにするためです。

事業ドメインを適切に設定することができると、経営資源を無駄に投入したり、ノンコア事業に不必要に分散するようなことを防ぐことできます。

そのため会社にとって不要な多角化を未然に防ぐことができるようになります。

事業の多角化は一見すると企業の拡大のきっかけに見えますが、不要な多角化はいたずらに経営資源を浪費するだけでなく、投入する先が、企業が本来主力とすべき事業でなければ思ったような成長は得られません。

一方、事業ドメインを適切に設定することは企業の成長に貢献するような多角化ができるようになり、新たな顧客の獲得や新しい分野への進出のきっかけにもなります。

そのため事業ドメインを適切に設定することで、限られた経営資源を最大限生かした多角化を実現し、企業の安定的な、継続的な成長を実現するために重要なものだといえます。

事業ドメインを設定することのデメリット

事業ドメインは設定する際に気を付けなければならない注意点があります。

それは事業ドメインの設定には「狭すぎず、広すぎない範囲で強みを生かす」ということです。

事業ドメインの設定はその企業が主力となる事業を選択することによって経営資源を投入する先を決める作業です。

そのため事業ドメインを設定する際の範囲や事業の選択は適切に行わなければなりません。

まず事業ドメインを設定する範囲ですが、これは狭すぎても広すぎてもいけません。

範囲が狭すぎるとその市場の成長がすぐに止まってしまい、それ以上の発展が望めなくなります。

対して範囲が広すぎると経営資源の投入が追い付かず、すぐに枯渇してしまう可能性が発生します。

そのため事業ドメインの範囲は企業の経営資源が限られたものであることを理解し、慎重に行う必要があります。

そして事業ドメインに設定すべきものはその企業の強みとなっている事業です。

経営者の肝いりだからといって、実際的に利益を上げていないような事業を事業ドメインに設定しても何の意味もありません。

あくまで事業ドメインに設定すべき事業は経営資源を効率的に運用でき、そのうえで利益を上げられるものにするべきです。

この点も重々注意しておいた方がいいでしょう。

事業ドメインの分析

事業ドメインを設定する際にはCTMフレームワーク分析(エーベルの三次元事業定義モデルともいいます)という方法が一般的に使われます。

これはハーバード・ビジネススクールの経営会社であるフレデリック・エーベルが提唱した分析方法であり、その企業の強みが発揮される「顧客」「技術」「機能」の3本の軸を規定し、それを分析していくというものです。

「顧客」「技術」「機能」というと少し堅苦しい感じがしますが、5W1Hの「Who(誰に)」、「What(何を)」、「How(どのように)」に置き換えるとわかりやすいかと思います。

つまりCTMフレームワーク分析の目的は最終的に「顧客が何を求めていて、自分の企業はそれに何を用いてどうやって応えられるのか」を見つけ出すことなのです。

CTMフレームワーク分析は「顧客」「技術」「機能」の3本の軸はそれぞれ以下のように分析されます。

顧客

CTMフレームワーク分析における「顧客」とはその事業が提供する商品やサービスを実際に消費する人のことを指します。

CTMフレームワーク分析では顧客の年齢や性別、嗜好性、地域といった属性に細かく分類し、自分達の商品やサービスの価値を最も発揮できるターゲットを特定していきます。

これはかなり重要なプロセスですが、意外とスルーされてしまうことが多く、企業の中には明確なターゲットを設定していない、あるいはターゲットの絞り込みが甘いことが珍しくありません。

顧客を詳細に分析することは事業の拡大に役立つだけでなく、これまでターゲットにしていなかった層での新規顧客の獲得につながるものです。

技術

CTMフレームワーク分析において「技術」の分析はその企業が持っている競合他社にはない、差別化できる特定の技術を特定する際に役立ちます。

これは自社の技術を他の企業のそれと比較しながら分析することで、自分の企業にしかない特有の技術を発見していくプロセスです。

このプロセスを通じて発見された技術は主力事業を立ち上げ、発展させてい上で重要な基盤になるでしょう。

CTMフレームワーク分析における技術は先ほどお伝えしたコア・コンピタンスが掲げる3つの定義に近いニュアンスのものです。

機能

CTMフレームワーク分析における「機能」とは提供している商品やサービスが顧客に対してどのように価値を提供できるかを規定するプロセスです。

つまりその企業の商品やサービスが顧客に対してどのような価値を与えていくかを明確にすることであり、このプロセスを徹底することは顧客にとって高い価値をもたらしてくれる商品やサービスを開発することに役立ちます。

CTMフレームワーク分析における「機能」は事業ドメインの設定における商品とイコールだと考えてもいいものです。

つまり商品はただのものではなく、顧客に対して何らかの価値を与えるための機能だということ。

だからこの機能を考えるうえでは商品が顧客のどのようなニーズを充足させ、どのような価値を与えられるかをちゃんと考えておく必要があります。

事業ドメインの設定方法とフレームワーク

事業ドメインの設定方法は大きく分けて2つのプロセスがあります。

1つはさきほどご紹介したCTMフレームワーク分析を用いて「顧客が何を求めていて、自分の企業がそれに何を用いてどうやって応えられるか」を見つけ出すことです。

ただ、このプロセスを行う前にやっておかなければならないプロセスが1つあります。

それは「自社の再定義」です。

再定義とは単純に「自分の企業は何をする企業なのか」ということを改めて定義づけすることをいいます。

例えば、事業ドメインの提唱者であるセオドア・レビットは自著の中で鉄道会社を引き合いに出し、彼らの事業が停滞した理由を「自社を鉄道会社だと思っていたからだ」と語っています。

つまり鉄道会社が自社を鉄道会社だと定義したままでは、鉄道以上に効率的に、有効範囲も広く運用できる自動車や飛行機を扱う会社に競合で負けてしまいます。

このような事例に対してレビットはディズニーを例に挙げ、ディズニーは映画制作会社ではなくエンターテイメント会社として自己を再定義したために成長したと語っています。

鉄道会社が自らを鉄道会社と再定義し、頭打ちになってしまったのに対し、ディズニーはエンターテイメント会社として自らを再定義した結果、映画のみならずテーマパークやグッズ販売などでより広い顧客の獲得に成功し成長できています。

このように再定義は強みを生かせる適切な領域にその企業を定義づけし直すことで、その企業が効率的に多角化していけるようにできるわけです。

この再定義と先ほどお伝えしたCTMフレームワーク分析を行うことが事業ドメインにおいて最も重要なプロセスだといえるでしょう。

ちなみに、このような発想はM&Aにおいても重要になります。

無闇に様々な会社を買収するよりも、事業ドメインに沿ってM&Aを行った方がより効果的な事業の多角化を実現します。

もし事業ドメインを踏まえたM&Aを行いたければ、M&A総合研究所にご相談ください。

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事業ドメインの企業事例と拡大

ここでは企業が実際にどのように事業ドメインを行っていったかをお伝えしていきます。

事業ドメインが提唱されたのはアメリカですが、日本でも事業ドメインの設定を成功させて成長させた企業は多くあります。

ここでは日本の有名な企業がどのように事業ドメインを設定したのか、その代表的な事例を3つご紹介します。

セブンイレブン

大手コンビニチェーンのセブンイレブンは主力事業であるコンビニを「近くて便利」という形で再定義したうえで事業ドメインを設定しています。

実際セブンイレブンでは本やDVDの取り寄せや雑誌の取り置きサービス、「セブン銀行」の設立、宅配弁当サービスなど、コンビニを基軸とした多角的なサービスを展開し、いずれも成功しています。

これも従来のコンビニという概念に囚われず、「近くて便利」を追求した結果だといえるでしょう。

タニタ

タニタは元々体重計を中心とした計測機器メーカーでしたが、その計測機器を通じて「人々の健康を作る」というベクトルで事業ドメインを変更し、新たなサービスを展開してきました。

その成功例が「タニタ食堂」です。

タニタ食堂を通じ、タニタは健康的な食事作りの手法や実際に食堂で提供されている料理を製品化することでタニタ食堂は新たな顧客層を獲得し、事業拡大を成功させています。

もしタニタが主力事業である計測機器に固執していれば、このような結果は得られなかったことでしょう。

NEC

古い例になりますが、1970年代に通信事業とPC開発をつなげ、自らの事業ドメインを「C&C(コンピューター&コミュニケーション)」と再定義したNECも事業ドメインの設定に成功した事例だといえます。

NECは本業である通信事業に加えてコンピューターや半導体事業に進出することにより、情報社会の主軸を担う地位の獲得に成功しています。

これもタニタのように主力事業に対して過剰な固執をせず、時代の変化や自分達の強みを適切に読み取り、柔軟に事業ドメインを設定した結果だからこそです。

まとめ

事業ドメインは企業のこれからの成長を占う分水嶺になるものであり、必要に応じて再定義や拡大をしていくものです。

社会も市場も常に変動しているため、その変化にうまく対応するためには限られた経営資源を効率的に運用し、会社の成長に貢献する多角化を実行できるかにかかっているといえます。

そしてその多角化を決定づける事業ドメインの設定で経営者の手腕が一番発揮されるといっても過言ではないでしょう。

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