事業ポートフォリオとは?作り方やM&Aでの活用、評価方法や分析を解説

経営資源を有効的に活用するために、事業ポートフォリオが重要になります。M&Aは、事業ポートフォリオの最適化を行うためのプロセスであり、業界・市場の動向、内部事情に合わせて組織再編や事業強化、事業撤退を行っていきます。事業ポートフォリオの作り方を身につけ、有効活用しましょう。

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2020年3月25日更新

目次
  1. 事業ポートフォリオ
  2. 事業ポートフォリオとは?その意味について
  3. 事業ポートフォリオの作り方
  4. 事業ポートフォリオの評価方法と分析
  5. 事業ポートフォリオのマネジメントにおける課題
  6. 事例で見る事業ポートフォリオ
  7. 事業ポートフォリオの最適化
  8. まとめ

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事業ポートフォリオ

事業ポートフォリオ

「事業ポートフォリオ」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?


事業ポートフォリオのポートフォリオとは「事業の組み合わせ」を意味しており、他にも「資産の構成」「製品の組み合わせ」という意味で使われることがあります。


今回は事業ポートフォリオの意味や作り方、分析の方法や最適化の方法などについてお伝えします。

事業ポートフォリオとは?その意味について

事業ポートフォリオとは?その意味について

次に、事業のポートフォリオの意味をさらに詳しく説明していきます。
 

さらに、事業ポートフォリオが使われるM&Aの場面や、事業ポートフォリオの作り方まで説明していきます。

事業ポートフォリオの意味

まずは事業ポートフォリオの意味についてお伝えします。
事業ポートフォリオを一言で言ってしまうと「その会社の事業の一覧」です。


対象の会社が利益を生み出している事業を一覧化すれば、それが事業ポートフォリオになります。


事業ポートフォリオは対象の会社の収益性や安全性、成長性を確認することができるものであり、さらに事業の一覧をチェックすることで限られた経営資源を有効的に活用するために、どこに投入していくかを決めていきます。


この「事業ポートフォリオの最適化」(詳しくは後述します)を行うために事業ポートフォリオは作成されるわけです。

事業ポートフォリオとM&A

事業ポートフォリオが使われる場面として代表的なものがM&Aです。


M&Aはまさに事業ポートフォリオの最適化を行うためのプロセスであり、事業ポートフォリオを作成することで、その会社が経済状況や業界・市場の動向、内部事情に合わせてより効率的な体制になるように組織再編や事業強化を行っていくというわけです。


ただ、M&Aは複雑なスキームになっているものもあり、専門的な知識が不可欠です。
だからM&Aを行う際には、ぜひM&A総合研究所にご相談ください


M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

事業ポートフォリオの作り方

事業ポートフォリオの作り方

ここでは事業ポートフォリオの作り方をご紹介します。


事業ポートフォリオを作成する際は様々な視点を用いる必要があり、基本的には3つの視点が使われます。
3つの視点はそれぞれ以下の通りです。
 

  1. ①PPM
  2. ②事業ドメイン
  3. ③コア・コンピタンス
 

の3つです。次に詳しく説明していきます。

①PPM

PPMとは「プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント」と呼ばれるものであり、フレームワーク分析の一種です。


PPMは1970年代にボストン・コンサルティング・グループが提唱したマネジメント方法であり、非常に実践的な理論の一つです。


PPMは相対シェアと市場成長率の2点を軸に会社を分析し、それを「問題児」「負け犬」「花形」「金のなる木」という4つの項目に分類できます。
 

次は、相対シェア(市場シェア)と市場成長率(市場の成長性)の2軸を説明して、そのあとに、4つの象限を具体的な特徴まで、紹介していきます。
 

PPMの縦軸「市場の成長性」について

プロダクトポートフォリオマネジメントでは、2つの軸があると、先ほど説明しましたが、プロダクトポートフォリオマネジメントの縦軸は、「市場の成長性」です。
 

成長性が高い市場は、魅力的な事業ドメインがあります。それに伴って、新規参入も多く、競争が激しくなることを指します。このような、市場には、積極的に投資する手段を取ることが多いでしょう。
 

逆に、成長性が低い市場とは、どういったものでしょうか?
 

成長性が低い市場は、簡単に言うと、動きが少ない市場です。市場のシェアが固定される傾向が生まれます。なので、このような市場への投資は少ないでしょう。

プロダクトポートフォリオマネジメントの縦軸からは、市場の成長性を読み取ることができるのです。

PPMの横軸「市場シェア」について

プロダクトポートフォリオの横軸は「市場シェア」です。
 

製品を作れば、作るほど、生産コストを下げることができると言う、考え方です。
 

市場シェアが高くなればなるほど、同じ製品を売る場合、コストが低い方が有利になります。
 

つまり、市場シェアが高いほど、利益を確保しやすいのです。

PPMにおける象限の特徴

PPMは相対シェアと市場成長率の2点を基準として、「問題児」「負け犬」「花形」「金のなる木」という4つの項目に分類します。
 

PPMにおける「問題児」

「問題児」は製品ライフサイクルの導入期~成長期のことで、市場成長率は高いものの市場シェアを拡大しなければならないため、利益が上がりにくいです


そのため問題児への投資は未来への投資と同等になるので、将来的な成長を見越した上で投資を行わなければなりません。
 

PPMにおける「負け犬」

負け犬は製品ライフサイクルの成熟期から衰退期のことで、その呼び方の通り成熟しているため成長の余地が少なく、市場のシェアも小さいので利益も少なくなります。


負け犬は設備投資や販売促進の成果によって利益が発生する場合がありますが、市場が縮小傾向であれば撤退すべきです。

PPMにおける「花形」

花形は製品ライフサイクルの導入期~成長期を示しており、市場シェアが大きいために売り上げが大きくなる傾向があります。


花形は市場シェアが大きい分、成長し続ける必要があり利益が上がりにくいです。

そのため花形は市場シェアを維持することが優先課題となります。

PPMにおける「金のなる木」

「金のなる木」は製品ライフサイクルの成熟期~衰退期を示しており、市場シェアでNo.1を取っている状態です。


金のなる木になれば市場シェアが最大になり、加えて成長率が下がるため利益が最大化されます。
金のなる木に該当した場合はあくまで利益の最大化を念頭に置いておく必要があります。


もちろん投資は継続しますが、それも利益の最大化を維持するためだけに行う程度に留めておくようにしましょう。


これらのようにPPMでは対象の会社のキャッシュバランスを占うことができます。

プロダクトライフサイクルについて

プロダクトライフサイクリとは、新しい製品を市場投入してから衰退するまでの売り上げのすい推移を理解しやすくするためのものです。
 

各事業は、市場の成長性、プロダクトライフサイクル、市場のシェアによって、時間を経て、プロダクトポートフォリオの各象限を移動していきます。

②事業ドメイン

事業ドメインとは会社の事業領域や主力となる事業を指します。
事業ドメインは、顧客・技術・機能の3つで解析を行うCTMフレームワーク分析を使い、その会社にとって最適な事業領域を設定するのです。

事業ドメインは限られた経営資源を効率的に投入し、無駄な多角化を避けるために適切な設定を行う必要があります。
 

そのためにも。次に、説明する「コア・コンピタンス」「ケイパビリティ」の理解をはじめ、KSF(Key Success Factor:成功の鍵)を意識することが大切です。
 

ただ、事業ドメインの設定にあたって大切なことは、市場の中ですでに、顕在化している、消費者のニーズを選別的に捉え、それに対応できる商品、マーケティング手法、を組み合わせることです。

事業ドメインと企業ドメインの違いとは?

事業ポートフォリオを作成するに当たって、事業ドメインの説明をしましたが、企業ドメインという言葉を目にすることはありませんか?
 

事業ドメインと企業ドメインの区別がつかなくなってしまっているかもしれませんので、ついでに説明しておきます。
 

結論からいうと、事業ドメインは、事業ごとに設定するのに対して、企業ドメインは、複数の事業範囲が対象です。
 

なので、多角化していない場合ですと、単一事業と言うことになりますので、企業ドメイン・事業ドメインが同じ、範囲を指していることになります。

【関連】事業の多角化

CTMフレームワークとは?

事業ドメインを設定する時CTMフレームワーク分析はとても大切なので説明していきます。

 

CTMフレームワーク分析とは、米ハーバードビジネススクール教授で経営学者である、デレック・エイブル氏によって、提唱された方法です。
 

先ほども書いた通り、CTMフレームワーク分析には、「顧客」、「技術」、「製品」の3軸から分析します。

1つずつ詳しく説明していきます。

 

CTMフレームワーク分析の「顧客軸」

CTMフレームワーク分析における、顧客軸の決定方法としては、顧客の年齢、性別、地域、志向性などを、それぞれに分類し、誰に対して、自社の製品やサービスが価値を発揮しているのかを特定することができます。
 

CTMフレームワーク分析の「技術軸」

CTMフレームワーク分析における、技術軸は、競合他者にない技術の特定に役立たせることができます。自社が持っていて、他者にはない、技術は、どのような技術なのかを特定することで、将来の主力事業立ち上げの大きな武器になります。
 

CTMフレームワークの「技術軸」は次に話す、コア・コンピタンスに近いものなので、そちらも見ておくといいでしょう。

CTMフレームワーク分析の「機能軸」

CTMフレームワーク分析における機能軸は、自社の製品やサービスは顧客にどのような価値を提供できているのかを特定することができます。
 

機能軸を強めることで、高機能・高価格の製品やサービスを実現し、優良顧客の獲得にも繋げ、事業ドメインにいい影響を当てることができる軸です。
 

③コア・コンピタンス

事業ドメインの設定にはコア・コンピタンスが使用され、その会社の核や特色を意味しています。


事業の集中や拡大を図るときは、自社のコア・コンピタンスを明確に意識し、それを活かせる展開を行うことが何より大切になってきます。


コア・コンピタンスは「クライアントに利益を与える」「競合が真似しづらい」「いくつかの市場や商品に推進できる」という3つの自社能力のことです。


コア・コンピタンスはその会社の事業を模倣可能性、移動可能性、代替可能性、希少性、耐久性の5点から評価します。


さらにSWOT分析などを用いてもよいでしょう。

SWOT分析とは

SWOT分析(スウォット分析)とは「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の頭文字から作られた、フレームワークです。
 

SWOT分析を使うことによって、市場機会や事業課題を発見します。
 

事業ポートフォリオの評価方法と分析

事業ポートフォリオの評価方法と分析

ここでは事業ポートフォリオの評価方法と分析についてお伝えします。


作成した事業ポートフォリオは入念に分析し、適切な評価をする必要があります。
評価の際に重視するポイントとして代表的なものは「成長性」「収益性」「リスク」「シナジー」「リスク分散」の組み合わせといったものがあります。


事業ポートフォリオから読み取れる要素を調査して、効率的な経営資源の投入方法を決めて、企業価値の上昇を狙うのです。


この一連の作業は「事業ポートフォリオマネジメント」と呼ばれており、事業の多角化やグローバル化が進んでいる昨今の経営環境において、非常に重要なものとして認知されつつあります。


そもそも日本の会社は海外の会社と比べて多角化を好む傾向にあり、リスク分散の一環として積極的に多角化を行っています。
多角化によるリスク分散は一定の評価を得ており、実際に多角化によるリスク分散を行うことで資本コストの低減に成功している事例も多いです。

事業ポートフォリオのマネジメントにおける課題

事業ポートフォリオのマネジメントにおける課題

事業ポートフォリオマネジメントにおいて意識しておきたい課題はいくつかあります。


まず、事業ポートフォリオマネジメントを行うことは、効率的な経営資源の投入方法を探るだけでなく、「優先度の高い投資先の事業はどれか」について考慮しておく必要があります。


資本コストを重視して経営資源の投入をより効率化し、無駄なコストの発生は抑えるべきと言えるでしょう。

しかし、PPMで分類する項目にあったように、事業の製品ライフサイクルのどの段階にいるかによっては、さらなる投資が必要となることがあります。

そのため、経営資源を渋るだけではなく、事業にどれだけ投資を行えるかも考えねばなりません。


事業ポートフォリオマネジメントを通じて戦略を策定しても、実行にはトップマネジメントの手腕が問われるからです


しかしリスクを踏まえたうえでの舵取りは決して簡単なものではなく、躊躇いや迷いが意思決定に大きな支障をきたす可能性はあります。

そんな事態を回避するためにもガバナンスやインセンティブといった制度を整えることによってトップマネジメントが意思決定をしやすいようにしておく必要があります。


そうすることで、重要な経営戦略を策定する状況でも円滑な意思決定ができるようになるでしょう。

【関連】事業リスクの種類とリスクマネジメント方法

ガバナンスとは?ガバナンスを効かせるには?

ガバナンスは、コーポレート・ガバナンスと同じで、企業経営を統制して、監視する役割を持たせる機能を意味します。
 

ガバナンスは、株主であったり、顧客、取引先、従業員といった、企業に関わるステークホルダーの保護と利益の工場を目的としています。
 

ガバナンスを効かせるために大切なポイントは、一般的に言われるのが、ポリシーとプロセスです。
 

事業ごとの評価方法、オペレーション、投資の考え方は違ったりしますの
で、それを共通のプラットフォームを持つことが大切です。
 

共通のプラットフォームを持つことが、ガバナンスの強みに繋がります。
 

事例で見る事業ポートフォリオ

事例で見る事業ポートフォリオ

ここでは様々な事例をもとに事業ポートフォリオの分析のパターンをお伝えしていきます。

①「花形」の事業がない会社A

以下のような事業ポートフォリオを持つ会社Aがあったとします。

問題児:スマートフォン
負け犬:計測機器
花形:なし
金のなる木:コンピューター

最も利益を生み出す金のなる木がある以上、そちらに投資したくなることがあるかもしれませんが、金のなる木は成長性がないものであり、いずれ衰退期を迎えて先細りになる可能性が高いものです。


そのため今後の成長が期待できる問題児に適切な投資を行う必要があります。

②「負け犬」が多い会社B

以下のような事業ポートフォリオを持つ会社Bがあったとします。

問題児:冷凍食品
負け犬:レトルト食品、製菓、調味料
花形:インスタントラーメン
金のなる木:スナック

こちらは負け犬となっている事業が多くあるケースです。
この場合はいかに速やかに撤退すべきか判断することが重要になります。


日本では事業の撤退=失敗というイメージが強いため、事業の撤退を避ける傾向がありますが、成長性や利益のない事業の速やかな撤退は新たな事業の立ち上げや他の事業への投資をスムーズに行えるために必要な判断でもあるため、いざという時はスピーディに行うようにしましょう。

③新事業の立ち上げが必要な会社C

以下のような事業ポートフォリオを持つ会社Cがあったとします。

問題児:なし
負け犬:文房具
花形:なし
金のなる木:家具、キッチン用具、生活雑貨

金のなる木に分類される事業が多いため現時点では安定していますが、いずれも成長性がなく、遅かれ早かれ成長が停止するリスクが高くなっています。


そのため新規事業を立ち上げ、積極的な投資を行っていく必要性があります。

④利益が少なくなりがちな会社D

以下のような事業ポートフォリオを持つ会社Dがあったとします。

問題児:医療機器、製薬
負け犬:なし
花形:病院・クリニックのための予約サイト運営
金のなる木:なし

こちらのケースはいずれも成長の余地がある事業が揃っていますが、いずれも事業の成長のために一定以上の投資を行う必要があるため、利益がどうしても少なくなりがちです。
そのため会社にストックされる資金が少なくなるため、資金繰りは注意しておくべきでしょう。

事業ポートフォリオの最適化

事業ポートフォリオの最適化

ここでは事業ポートフォリオの最適化についてお伝えします。


「事業ポートフォリオの最適化」とはいうなれば「選択と集中」であり、事業ポートフォリオマネジメントを行った結果、どの事業を投資し、またどの事業を撤退するかなどを決めていく作業のことをいいます。


事業ポートフォリオは事業単体の状態だけでなく、それぞれの事業の組み合わせによって発生するシナジーやリスク分散も考慮する必要があります。


つまり事業ポートフォリオから導き出される事業の組み合わせが、どれほど業績向上に繋がるのか、資本コストを減少させられるのかが事業ポートフォリオの最適化における重要なポイントだといえるでしょう。


もしM&Aを行って事業の多角化を考えるのであれば、どのような事業を買収するかが重要になります。
当然条件が合っていなければM&Aによるシナジー効果は期待できません。


適切な買収対象を選びたければ、ぜひM&A総合研究所のM&Aポータルサイトを活用してください。


そこでは独自のAIを用いることで、買収ニーズを登録するだけで条件の合う買収対象のマッチングを受けることができます。


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ただ、ご紹介した事例にもありましたが、そのためには時に事業の大胆な転換や撤退などを考えておかなければなりません。


日本は事業の撤退に対してネガティブなイメージを抱く傾向があり、経営者が失敗という烙印を押されることを嫌って躊躇うことは珍しくありません。


しかし事業の撤退は決して失敗ではなく、新たな投資や新事業の立ち上げを行ううえでの重要な布石でもあります。


そのため時には迅速に事業の撤退を判断し、投資すべき事業に経営資源を投資していった方が会社全体の業績向上につながるでしょう。

まとめ

まとめ

経営資源を有効的に活用するために、事業ポートフォリオが重要になります。


そのためにも、様々な、フレームワークを利用することによって、意思決定をしやすくなるので、少しでも実践に移すことが大切です。

M&Aは、事業ポートフォリオの最適化を行うためのプロセスであり、業界・市場の動向、内部事情に合わせて組織再編や事業強化、事業撤退を行っていきます。


具体的には、「事業ポートフォリオの最適化」によって、「選択と集中」を実践し、作成した事業ポートフォリオをもとに投資の優先順位を決定していきます。

【関連】起業家の悩みとは?5つの悩みと解決方法

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