2020年10月28日更新会社・事業を売る

事業譲渡とは?意味や方法、M&Aにおける活用​を解説

事業譲渡とは、会社の一部または全部を売買するM&A手法です。事業譲渡には簿外債務を引き継がないなどのメリットがあり、他のM&A手法とは異なる特徴があります。この記事では、事情譲渡とはどのような手法なのか、実際の方法などについてわかりやすく解説していきます。

目次
  1. 事業譲渡とは?事業譲渡の意味
  2. 事業譲渡の方法とM&Aにおける活用
  3. 事業譲渡の場合のバリュエーション(企業評価)
  4. 事業譲渡のメリット・デメリット
  5. 事業譲渡の手続き
  6. 事業譲渡と会社分割の違い
  7. 事業譲渡で課税される税金
  8. 事業譲渡の際の注意点とは?
  9. 事業譲渡は専門家へ相談しよう
  10. まとめ
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事業譲渡とは?事業譲渡の意味

事業譲渡とは?事業譲渡の意味

事業譲渡とは、会社を事業単位で切り分けて、その一部または全部を売買するM&A手法です。事業譲渡は他のM&A手法と比べて、工場や店株式譲渡舗、取引先などの単位に切り分けて個別に売買できるのが特徴となっています。

また、その事業に携わる従業員についても引き継ぐこともできるでしょう。

中小企業のM&Aでは、株式譲渡に次いで多く用いられる手法が事業譲渡です。 経営戦略として「選択と集中」を進めたい場合や、事業の売却・換金を通じて企業再生をしたい場合にも事業譲渡は活用されています。

これは、事業譲渡を行えば一部の事業だけを譲ることができるので、必要な事業にコストを回すことができるようになるためです。事業譲渡の基本的な意味がわかったところで、ここからは、事業譲渡の方法とM&Aにおける活用方法を見ていきましょう。

なお、事業譲渡を含むM&Aの手法には専門的な知識が必要となり、スムーズに進めていくためにはアドバイザーの存在が不可欠です。M&Aの際には、その都度M&A仲介会社、アドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがベストです。

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事業譲渡の方法とM&Aにおける活用

事業譲渡の方法とM&Aにおける活用

ここでは、事業譲渡を実施する方法とM&Aにおける活用に関して、以下の2点について説明していきます。

  1. 事業譲渡を行う方法
  2. M&Aにおける事業譲渡の活用方法

それぞれ見ていきましょう。

(1)事業譲渡を行う方法

事業譲渡を実行する方法を、順を追って解説します。事業譲渡は、以下のような手順で進めていきますので、まずは確認してください。

  1. 相手企業探し
  2. 相手企業との交渉
  3. 契約締結とクロージング
事業譲渡は、この3ステップで行われます。それぞれの手順について、詳しく見ておきましょう。

ステップ1.相手企業探し

はじめに、事業譲渡を実施する相手を探します。事業譲渡の相手選びは非常に重要です。シナジー効果が生み出されやすい会社や、譲渡対象事業との関連性が高い会社を事業譲渡相手として選定します。

この際、大半は仲介会社やアドバイザリーに相手探しを依頼するのです。

M&A仲介会社に相手探しを依頼すれば、クロージングまで一括支援してくれます。実績のあるM&A仲介会社に事業譲渡の相手を探してもらうことで、最適な相手が見つけられるでしょう。もしもM&A仲介会社に心当たりがなければ、M&A総合研究所にお任せください。

M&A総合研究所ではM&Aや財務の知識が豊富なアドバイザーがフルサポートをお約束します。また、M&A総合研究所はスピーディーなサポートを実践しており、最短3ヶ月という期間で成約を実現することが可能です。

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ステップ2.相手企業との交渉

事業譲渡の相手が見つかったら、その相手企業との交渉を開始します。従業員の処遇や譲渡価格、M&Aのスケジュールなどを決定するステップです。譲渡価格の決定に際しては、専門家によるバリュエーションやデューデリジェンスの結果を参照します。

相手企業との交渉について不安なら、M&A仲介会社にサポートしてもらうことも可能です。相手企業との交渉によって、細かな条件は決まります。交渉力のあるM&A仲介会社であれば、譲渡条件が理想通りになるように相手との間に入ってくれるでしょう。

ステップ3.契約締結とクロージング

売り手と買い手が互いに条件に合意したら、事業譲渡契約を締結します。事業譲渡契約に際しては、契約書を作成する方法が一般的です。契約書の内容に沿って、対価の交付や資産や権利等の移転(クロージング)を実施します。事業譲渡契約の締結は、何か不備があると後々大きなトラブルになりかねません。

したがって、専門家のもとでミスなく行うべきです。以上の流れが、事業譲渡の一般的な方法です。大まかな流れがわかったところで、ここからはM&Aにおける事業譲渡の活用方法についても見ていきましょう。

(2)M&Aにおける事業譲渡の活用方法

M&Aにおいて、事業譲渡はさまざまな場面で活用されています。買い手は、自社に不足している要素を補う目的で事業譲渡によるM&Aを実施することが多いです。事業譲渡を用いたM&Aにより、スピーディーな事業展開が可能となります。

一方でM&Aにおける売り手は、主力事業への集中や経営再建を目的に、事業譲渡を活用するのです。

事業譲渡により事業ドメインを狭めることで、主力事業への集中や経営再建が可能となります。このように、事業譲渡は買い手にも売り手にもメリットがあるといえるでしょう

したがって、相手にもメリットのある事業譲渡を意識することが成功のポイントと言えます。自社のメリットだけを考えて事業譲渡の条件交渉をしても、うまくいかずに時間だけが経ってしまうということは珍しくありません。

また、事業譲渡を成功させるためには、バリュエーションと呼ばれる企業評価も知っておきましょう。次の章では、事業譲渡の場合のバリュエーションについて解説していきます。

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デューデリジェンス(買収監査)とは?意味やM&Aでの活用、必要書類を解説

事業譲渡の場合のバリュエーション(企業評価)

事業譲渡の場合のバリュエーション(企業評価)

事業譲渡を行う際には、バリュエーション(企業評価)についても知っておくことが大切です。バリュエーションは、基本的には株式譲渡と同様に、「コストアプローチ」や「インカムアプローチ」といった方法を用いて算出します。

株式譲渡とは違い、事業譲渡では一部の事業のみ売却するため、会社全体ではなく譲渡対象事業のみのバリュエーション(企業評価)を実施するのです。。中小企業の事業譲渡では、下記のバリュエーション(企業評価)手法が活用されます。

  • 事業価値=譲渡事業の時価資産+営業利益の3〜5年分

事業譲渡の時価資産とは

事業譲渡の時価資産とは、譲渡する事業に関係する(移転する)資産の時価を意味します。事業譲渡により引き継ぐ機械や建物などの金額を参照し、それを時価評価したものを用いるのです。また、負債なども引き継ぐ場合は、時価資産額から差し引くケースもあります。

事業譲渡によるM&Aでは、将来的な収益性も考慮したうえでバリュエーションする必要がでてくるはずです。事業譲渡のバリュエーションでは、営業利益の3〜5年分を将来的な収益力(のれん代)として加算することも押さえておきましょう。

例えば、譲渡事業の時価資産合計が1億円、営業利益が1,000万円の場合、事業価値は1億3,000万円〜1億5,000万円になります。

売買価格は買い手との交渉によって決まる

仮に自社のバリュエーションが1億円と計算されたとしても、必ず事業譲渡で1億円の売却価格になるとは限りません。M&Aの売却価格は、あくまでも買い手と売り手の交渉によって決まります

したがって、買い手が1億円という金額で納得しなかった場合、金額が下回るケースもゼロではありません。

逆に、交渉次第ではバリュエーションである1億円を超える金額で事業譲渡ができることもあります。バリュエーションは専門家でなければ、正確に行うのは難しいです。トラブルなくスムーズに事業譲渡を行うためにも、バリュエーションは専門家に依頼するのが良いでしょう。

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事業譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡のメリット・デメリット

会社分割をはじめとした他のM&A手法と同様に、事業譲渡も一長一短の手法です。さまざまなメリットやデメリットを理解したうえで、自社が実施するかどうかを決めなければなりません。事業譲渡のメリットとデメリットを順番に確認しておきましょう。

(1)メリット

事業譲渡の大きなメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 一部の事業のみを売買できる
  2. 買い手側が簿外債務などの問題点を引き継ぐリスクがない
  3. 買い手側が節税をしやすい
それぞれのメリットについて、順番に見ていきましょう。

メリット1.一部の事業のみを売買できる

会社の一部のみを売買できるため、事業譲渡は売り手と買い手の双方に大きなメリットがあります。売り手側は、優先度の低い事業を譲渡すれば、その譲渡益や非主力事業に投入していた経営資源を主力事業に集中でき、全社的な収益性の向上が実現可能です。 

また、株式譲渡とは異なり、株式を買い手側に売却するわけではありません。株式譲渡では売り手側は買い手側の子会社となるのですが、事業譲渡の場合は基本的に子会社となることはないのです。

一方で買い手側には、自社にとって必要な経営資源のみ買収できるメリットがあります。したがって、不必要なものにまでコストをかけて手に入れる必要がありません。これが事業譲渡特有のメリットであり、売り手だけでなく買い手にも有益な手法です。

メリット2.買い手側が簿外債務などの問題点を引き継ぐリスクがない

事業譲渡を実施すれば、交渉によって資産や契約のみを承継できるので、買い手は簿外債務などを引き継ぐリスクがありません。したがって、仮に簿外債務が自社にあったとしても、事業譲渡の買い手は見つかる可能性が高いです。

その他のM&A手法はすべて、会社の全部または一部がそのまま移転する形をとります。つまり、問題点を引き継ぐリスクは基本的に遮断することができません。 ですので、面倒な手続きが必要であるのを承知のうえで、事業譲渡をあえて選択するケースもあります。

メリット3.買い手側が節税をしやすい

事業譲渡であれば、事業譲渡によって手に入れたのれんや償却資産を償却すれば、損失が計上されます。この損失は資金流失がないものなので、買い手側は節税しやすいのです。できるだけ節税をしながら、事業を買収したいという買い手は少なくありません。

また、節税は経営者の関心も高いことですので、事業譲渡なら買い手が見つかりやすいことから、結果的に売り手にもメリットが出てきます。このように、さまざまなメリットがある事業譲渡ですが、当然のことながらデメリットもあるので確認しておきましょう。

(2)デメリット

事業譲渡には、以下のようなデメリットもあるので気をつけなければなりません。

  1. 事務手続きが極めて面倒である
  2. 顧客や従業員をすべて承継できないリスクがある

これらのデメリットを知ったうえで、事業譲渡を選択するべきです。それでは、それぞれのデメリットについて、順番に見ていきましょう。

デメリット1.事務手続きが極めて面倒である

前述しましたが、事業譲渡では資産・負債を個別に譲渡する形式をとります。よって、取引先との契約や不動産登記、許認可、労務関係などがすべて白紙になるのです。その結果、M&A成立後はすぐに買収した事業を開始することが難しくなるでしょう。

また、不動産登記や取引先との契約を再度締結する必要があるので、莫大な時間やコストがかかってしまいます。営業の全部譲渡を実施する場合や重要な一部分の譲渡を実行する場合には、株主総会の特別決議が必要となることにも気をつけなければなりません。

事業譲渡には多くの手続きがあることを理解したうえで、綿密なスケジュールを組んだほうが良いでしょう。

デメリット2.顧客や従業員をすべて承継できないリスクがある

前述したとおり、事業譲渡を用いる場合には、不動産登記をはじめとした全ての契約関係を買い手側が再締結する必要があります。不動産登記などは手間やコストがかかりはするものの、確実に契約を締結できるのです。しかし、従業員や顧客との契約に関しては確実とは限りません。 

買い手企業に対して良い印象を持っていない場合は、従業員が雇用契約の締結を拒否したり、顧客が新規契約を躊躇(ちゅうちょ)するなどの事態が起こる可能性が高くなります。 このように、顧客や従業員をそのまま引き継ぎたいなら、買い手が十分な待遇を用意する必要があるでしょう。

また、売り手が納得いく説明をすることが重要です。以上が、事業譲渡のメリットとデメリットでした。デメリットを理解したうえで行えば、事業譲渡は会社経営の役に立つはずです。

事業譲渡の手続き

事業譲渡の手続き

事業譲渡は、会社分割のような他のM&Aと比べて手続きが煩雑です。「事業譲渡の方法」のところでもお伝えしましたが、ここではさらに細かく説明していきます。

  1. 取締役会の決議
  2. 事業譲渡契約締結
  3. 各種書類の提出
  4. 株主に対する通知・公告
  5. 株主総会の特別決議
  6. 名義変更手続き・許認可手続き
上記を見てもわかりますように、事業譲渡ではさまざまな手続きを行わなければならず、手続きに不備があると事業譲渡が失敗するおそれもあります。それでは、それぞれの手続きについて、順番に確認していきましょう。

手続き1.取締役会の決議

取締役会設置会社の場合、取締役会の決議を経たうえで事業譲渡を実施する必要があります。決議を終えてから、デューデリジェンスや基本合意書の締結といった手続きを実行していくのです。

事業譲渡について納得してもらえるように資料を準備し、誠実な説明を行いましょう。

手続き2.事業譲渡契約締結

買い手と売り手の互いが事業譲渡に合意したら、事業譲渡契約書を締結します。事業譲渡契約書の内容については、細かな部分まで確認しておくべきです。もしも内容に不備があった場合、大きなトラブルになりかねません。

ちなみに、契約書の効力は最後まで手続きを完了した後に発生するように契約することがほとんどなので覚えておきましょう。

手続き3.各種書類の提出

事業譲渡契約書を締結したら、各種書類を提出する手続きへと進みます。一定の条件に当てはまる場合には、公正取引委員会への届け出や臨時報告書の提出が必要です。どのような書類を提出しなければならないのかは、状況によって大きく異なります。

自分のケースでどの書類が必要かがわからなければ、専門家に相談しましょう。

手続き4.株主に対する通知・公告

事業譲渡を実施する会社は、契約書の効力が発生する20日前までに、株主への通告手続きを行う必要があります。ただし、株主総会の決議で事業譲渡が承認された際は、公告手続きのみ行えば問題ありません。

手続き5.株主総会の特別決議

以下のケースでは、株主総会の特別決議を実行する必要があります。

  • 買い手側→事業の全部譲渡を実施する場合 
  • 売り手側→全部譲渡、一部の重要事業を譲渡する場合

ただし、簡易事業譲渡や略式事業譲渡では、無条件で株主総会の特別決議は不要となります。また、事業譲渡に反対する株主から株式の買取請求があった場合には、支払い手続きに応じなければなりません。

手続き6.名義変更手続き・許認可手続き

事業譲渡で引き継いだ資産については、買い手企業が再度登録・登記手続きを実行しなければなりません。 また、許認可が必要となる事業を引き継いだ場合、こちらも許認可を再取得する必要がありますので、事前に必要な許認可を確認しておきましょう。

なお、さらに詳しく事業譲渡の手続きについて知りたい場合は、下記の記事をご覧ください。

※関連記事

事業譲渡の手続きとは?全体のスケジュールや手続きの注意点を解説

事業譲渡と会社分割の違い

事業譲渡と会社分割の違い

会社の一部のみを売買できる点で、事業譲渡と会社分割は類似していると感じるかもしれません。しかし、事業譲渡と会社分割には、以下のような点が異なります。

  1. 実施する目的
  2. 簿外債務や不要資産の引き継ぎリスク
  3. 売買の対価
  4. 消費税の課税
  5. 契約の移転手続き
これら5つの相違点について、これから簡単に解説していきます。

違い1.実施する目的

会社分割と事業譲渡とでは、以下のように実施する目的が異なります。

  • 会社分割→組織の再編 
  • 事業譲渡→単純な事業売買

会社分割は、組織再編のために行われるケースがほとんどです。一方で事業譲渡は、上述しましたようなさまざまな目的を持って事業を売買します。

違い2.簿外債務や不要資産の引き継ぎリスク

会社分割と事業譲渡は、以下のように実施した際の簿外債務や不要資産の引き継ぎリスクが異なります。

  • 会社分割→リスクあり 
  • 事業譲渡→リスクなし

このため、引き継ぎリスクのない事業譲渡を行いたいと考える買い手は少なくありません。

違い3.売買の対価

会社分割と事業譲渡は、以下のように売買の対価が異なります。

  • 会社分割→株式または現金 
  • 事業譲渡→現金のみ可 

会社分割は、株式も売買の際の対価として選べる点では、事業譲渡よりも行いやすいと考えることができます。

違い4.消費税の課税

会社分割と事業譲渡は、以下のように消費税の課税の有無が異なります。

  • 会社分割→消費税は課税されない 
  • 事業譲渡→消費税が課税される 

事業譲渡の場合は、譲渡する事業に関わる資産や負債すべてを含めて譲り渡す(契約書の内容によっても異なりますが)ので、課税資産と非課税資産を区分したうえで消費税が課税されることになるのです。

違い5.契約の移転手続き

会社分割と事業譲渡は、以下のように契約の移転手続きが異なります。

  • 会社分割→比較的簡単
  • 事業譲渡→複雑で面倒

事業譲渡は債権や債務の移転は個別に行わなければならず、債権譲渡手続きや債権者の承諾が求められます。以上のように、会社分割と事業譲渡は異なるのです。必ずしもどちらの手法が優れているというわけではなく、ケースに応じて適切な手法を選ぶようにしましょう。

なお、会社分割についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

※関連記事

会社分割とは?手続きやメリット・デメリット、事業譲渡との違いを解説

事業譲渡で課税される税金

事業譲渡で課税される税金

前述しましたとおり、事業譲渡は会社分割とは違い、事業譲渡を実施すると消費税が課税されます。また、消費税に加えて法人税も課税されるので気をつけなければなりません。税務面に関しての詳細事項は国税庁のホームページをご覧になったり、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

しかし、その前に簡単な概要を押さえておきたいとお考えの人は多いはずです。そこで、法人税と消費税についての基礎的な内容を確認しておきましょう。

税金1.法人税

譲り渡す事業資産と負債の差額を超えた売却金額が、譲渡益となって課税対象となります。法人税の税率は状況によってさまざまですが、約30%程度であり、 式にすると下記の通りです。

  • 売却金額−(資産−負債)=譲渡益
  • 法人税額=譲渡益×法人税(約30%)

なお、法人税は決算年度における会社全体の利益に対して課税されます。したがって、譲渡益があったとしても会社全体としての利益が少なければ、上記の計算式で算出した法人税額よりも少ない納税で済むこともあるでしょう。

逆に、会社全体としても利益が出ていれば、それによってさらに多くの法人税の納税義務が発生することもあります。つまり、譲渡益については必ずしも譲渡によって得た利益の分だけ法人税が発生するわけではないということです。

税金2.消費税

会社分割と違って、事業譲渡では売り手側の企業に対して、消費税も課税されます。売却金額から非課税資産の分を差し引いた額に対して消費税(10%)が課されるのです。

事業譲渡は決して低い価格で売買されるわけではなく、売却金額が大きくなればなるほど消費税の負担が重くなります。 

しかし、すべての資産について消費税が課税されるわけではありません。先述しましたとおり、譲渡する資産によって消費税の課税対象となるのか、それとも非課税となるのかが変わります。消費税の課税・非課税となる資産は、以下の通りです。

課税資産 有形固定資産(土地は除く)、無形固定資産、棚卸資産、営業権など
非課税資産 土地、有価証券、売掛等の債権

具体的に、どのくらいの消費税が発生するのかというのを、「売却金額10億円、非課税資産3億円」というケースで計算していきます。

  • 消費税額=(10億円-3億円)×10%(0.1)=7,000万円

このケースでは消費税課税の対象となる資産が7億円ということもあり、消費税だけで7,000万円も発生することになります。これに加えて、譲渡益によって会社全体の利益が多くなると法人税も発生しますので、納税負担は決して軽いとは言えません。

消費税を考える際の注意点

事業譲渡における消費税を考える際には、以下のことに注意しなければなりません。

  1. 消費税率の変動
  2. のれん代の金額が大きい場合には注意 
  3. 棚卸資産の不確実性
それぞれの注意点について、順番に見ていきましょう。

注意点1.消費税率の変動

2019年10月に消費税率が8%から10%へと変わりましたように、今後も消費税率の変動が起こるかもしれません。消費税率の変動は、たとえ1%でも課税額に大きな影響を与えます。先ほどのケースで見てみますと、消費税率が8%であったときは、消費税は5,600万円でした。

しかし、現在では消費税が7,000万円となっており、その差額は1,400万円にもなります。同じ事業譲渡でも、消費税率が異なればそれだけ負担の差にもなるのです。もちろん、消費税率が今よりも低くなれば、それだけ負担も少なくなります。

消費税率の変動についてはニュースなどでも報道されますので、常に情報収集をして適切なタイミングで事業譲渡するようにしましょう。

注意点2.のれん代の金額が大きい場合には注意 

前述のとおり、のれん代は課税資産です。したがって、のれん代が売却価格の多くを占める場合、消費税の支払いにより、手元に残る現金が少なくなる可能性が高いと言えます。

のれん代については忘れがちですが、しっかり確認しておきましょう。

注意点3.棚卸資産の不確実性

棚卸資産は、最終日までその価格が確定しません。したがって、最終日まで消費税の納税額も確定しない点には気をつけなければならなのです。

概算の棚卸資産額が出ているはずですので、それに対する消費税額はしっかりと把握しておくようにしましょう。

以上、事業譲渡の消費税について簡単にご説明しましたが、もっと詳しく知りたい場合は以下の関連記事を参考にしてください。

※関連記事

事業譲渡における消費税

事業譲渡の際の注意点とは?

事業譲渡の際の注意点とは?

この項では、事業譲渡の際の注意点を説明します。事業譲渡を行う際、下記4つの注意点があるので気をつけなければなりません。

  1. 譲渡相手には嘘をつかない
  2. 事業譲渡の準備は早めにする
  3. 従業員への影響を考える
  4. 競業避止義務
これら4つの注意点を知っておくことが、事業譲渡では大切です。注意点を知らないまま事業譲渡に着手しても、失敗してしまう可能性が高くなります。それぞれについて、順番に確認していきましょう。

注意点1.譲渡相手には嘘をつかない

事業譲渡の相手には嘘をつかないようにしましょう。事業譲渡では提供した情報をもとに、買い手側がバリュエーションの実施やM&Aの実行可否決定を行います。高値で売却するために、利益や債務などに関して虚偽の情報を伝えると、後々大きなトラブルに発展する可能性があるのです。

後々虚偽が発覚し、裁判沙汰になって詐欺罪に問われたり、多額の損害賠償を請求されることもあるでしょう。

小さな虚偽だとしても、発覚した際の代償は大きいので、相手には真実のみを伝えてみてください。できるだけ希望とおりの事業譲渡を行いたいのであれば、嘘をつくのは得策ではありません。

嘘をつくのではなく、相手にとっても良い条件を提示することや、交渉力のあるM&A仲介会社にサポートを依頼するべきです。

注意点2.事業譲渡の準備は早めにする

事業譲渡の準備は、とにかく準備には早めに取り掛かったほうが良いです。相手探しや交渉など、事業譲渡には多大な時間がかかります。事業譲渡には最短でも1〜2ヶ月、長いと1年以上かかることも珍しくありません

経営再建などの切迫した事情がある場合は、早めに事業譲渡の準備を開始しましょう。

また、事業譲渡の相手探しや手続きのスピーディーさを売りにしているM&A仲介会社も存在しています。急いで事業譲渡を完了したいなら、適切な専門家のサポートを得るのが良いでしょう。

注意点3.従業員への影響を考える

従業員への影響が大きい点も、事業譲渡の注意点です。

事業譲渡を実行すると、経営者や職場環境が変わることになります。今までとは全く異なる環境となるため、従業員の間にストレスが生じる恐れが大きいのです。

ストレスにより離職や生産性低下を招くと、買い手側に迷惑をかけてしまいます。従業員への影響を最小限に抑えるためには、あらかじめ処遇面を変えないように確約を取り付けるなどの施策を講じましょう。また、事業譲渡の噂を聞いた従業員が不安に思って、事業譲渡前にやめてしまうことも考えられます。

もしも従業員が事業譲渡によって大量辞職をしてしまうと、買い手側と大きなトラブルになってしまうかもしれません。事業譲渡については慎重に手続きを進め、従業員にも納得してもらえるような説明や契約を心がけてください。

注意点4.競業避止義務

事業譲渡を行った場合、それ以降は同じ事業を行うことが競業避止義務によって制限される点に注意しなければなりません。事前に契約内容を詳しく確認し、納得できる制限内容にすることが重要です。

事業譲渡は、M&Aで比較的多く活用されています。

その一方で、詳しい活用方法を理解していない経営者は少なくありません。事業譲渡という手法自体は非常に使いやすくてメリットもあるのですが、肝心の経営者がきちんと理解していなければ意味がないのです。

トラブルを回避することは事業譲渡に限らず、M&A全体でも言えます。

それに加えて、事業譲渡では競業避止義務もあることを認識しておき、あとになってからあまり効果のない事業譲渡だったとはならないようにしなくてはなりません。

事業譲渡は専門家へ相談しよう

事業譲渡は専門家へ相談しよう

事業譲渡については、早めに専門家へ相談することをおすすめします。事業譲渡によるM&Aを実施するためには、詳しい専門知識が必要です。加えて、特別決議などの複雑な手続きも必要となるため、経営者が独力で実行することは難しいでしょう。

事業譲渡を円滑に進めたいのであれば、経験豊富な専門家へ相談し、事業譲渡を円滑に実施できるようにサポートを受けるようにしましょう。事業譲渡に関しては、公認会計士や税理士等の士業や、M&Aアドバイザリーなど、さまざまなところで相談できます。

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まとめ

まとめ

今回、事業譲渡の意味や活用方法について解説しました。

ケースに応じて事業譲渡を選択する必要がありますが、事業譲渡には他の手法にはないメリットも存在していますので、専門家に相談のうえ有効性の高い事業譲渡を行うようにしましょう。

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株式譲渡は幅広く活用されているM&A手法の一つですが、いくつかの留意点もあります。トラブルに巻き込まれることもあるため、留意点を抑えて事前に対策を立てておくことが大切です。本記事では、株式譲渡で...

M&Aでの中間金とは?相場、税務上の取り扱いを紹介

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M&A仲介会社を利用するとさまざまな手数料が発生しますが、中でも中間金は発生のタイミングや料金体系が分かりづらく、仲介会社に相談する際のネックとなることがあります。そこで本記事では、M&Aの中間...

デューデリジェンスとは?M&Aでの流れや進め方、必要な資料・期間・費用をわかりやすく解説

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デューデリジェンスとは、投資対象の価値やリスクを調査する活動のことを指します。M&Aにおいては、最終契約書の締結前に対象企業を調査することで不確定要素を減らすことができます。本記事では、デューデ...

M&Aで子会社化する方法とは?メリット・デメリット、子会社とグループ会社の違いを解説

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M&Aが活発に行われている中で、他社を子会社化したり、逆に規模の大きな会社の子会社になることは、会社経営の選択肢のひとつになっています。本記事では、M&Aで子会社化するメリット・デメリットなどを...

商法と会社法の違い、問題点と会社法改正をわかりやすく解説

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商法・会社法とは、営利を目的とする個人・企業の活動や手続に関してルールを定めた法律です。商法・会社法はビジネスシーンでかかわる機会が多いので、事業活動を行う上で欠かすことができません。今回は、商...

MBIとは?意味やMBOとの違いを解説

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株式を買い上げて経営者を送りこみ経営の立て直しによって資産価値を高めるのがMBIです。当記事はMBIの大まかな解説をはじめ、MBIの意味や、比較されるMBO・TOB・LBOとの違い、MBIに見ら...

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