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2019年11月14日更新

会社分割における債権者保護手続

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

会社分割では、債権者保護手続きが必要です。債権者保護手続の内容、会社分割における債権者保護手続きの対象者、会社分割における債権者保護手続きの期間、債権者保護手続きが不要となる条件を解説します。

目次
  1. 会社分割における債権者保護手続
  2. 会社分割とは
  3. 会社分割における債権者保護手続の内容
  4. 会社分割の債権者保護手続きの対象者と期間
  5. 債権者保護手続きが不要となる条件
  6. まとめ

会社分割における債権者保護手続

M&Aと言えば株式譲渡や吸収合併が一般的ですが、会社分割もM&A手法の一つです。株式譲渡や吸収合併と比べると、会社分割の知名度は低く、どの様な手法であるかは意外と知られていません。

会社分割には、株式譲渡のようなシンプルなM&Aの手法に比べて注意しなければならない点があり、特筆すべきなのは債権者保護手続きです。

会社分割で行う債権者保護手続きとは、一体どの様なものでしょうか?

今回は、会社分割における債権者保護手続きについてご説明し、債権者保護手続きの期間や対象者、不要となる条件、議論される話題を中心的に取り扱います。

会社分割を用いてM&Aを実行しようとお考えの方は必見です。

会社分割とは

まず初めに、会社分割に関して基礎的な知識をお伝えします。

組織再編手法に分類される会社分割は、株式譲渡や事業譲渡とは大きく異なります。M&Aについて詳しい方も、今一度ご確認ください。

⑴会社分割の概要

会社分割とは、ある事業に関して保有する権利・義務を、他の会社に包括的に移転するM&A手法の一つです。

つまりある事業を会社内から分離して、それを他の企業に受け渡す方法です。分離した事業を既存企業に移転する場合は「吸収分割」と呼び、新しく設立する会社に移転するケースは「新設分割」と呼びます。

会社分割では、対価として株式が交付されるケースが一般的ですが、勿論、現金等を対価として交付する事も可能です。

また交付される株式を誰が保有するかによって、会社分割は2通りに分類されます。分割会社自身(=分割により事業を切り出す方の会社)が保有する会社分割は、「分社型分割」と言う一方で、分割会社の株主が保有する際は、「分割型分割」と言います。

前述した「吸収分割」と「新設分割」と組み合わせると、会社分割には4パターンの方法が存在します。

類似する手法に事業譲渡が存在しますが、会社分割とはいくつかの点で異なりますが、特に相違する点は、契約等の引き継ぎです。

事業譲渡では、雇用契約や債権・債務契約はそれぞれ個別に再度契約する必要がありますが、会社分割であれば、雇用契約等各種契約を包括的に承継可能です。

ただ、会社分割は煩雑な手続きが必要です。

そのため会社分割を検討される際にはM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。

相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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⑵会社分割を用いる目的

会社分割は、主に下記三つの目的で実施されます。

①グループ内再編

会社分割を利用する上で、最も主要な目的は「グループ内再編」です。

グループ内再編とは、グループ内の経営資源を効率的に再配分する行為であり、会社分割を利用すれば、重点事業や不採算事業を分社化し、効率的な経営を実現できます。

会社分割では、子会社同士による事業の入れ替えや、親会社から子会社への事業移転を実施でき、株式を対価として交付することで、円滑にグループ内再編を実行できます。

なお税務上の問題にも言及すると、グループ内再編が目的である場合には、適格会社分割になる様に設計する必要があります。

本来、事業を買ったり、売ったりした場合は、モノの売買と同様、利益や損失を確定させて税金を計算しなければなりませんが、適格会社分割の要件を満たせばM&Aに係る税金が非課税となるのです。

②合弁企業の設立

会社分割を用いて、合弁企業を設立するケースも存在します。合弁企業設立が目的であれば、会社分割の中でも、新設分割を選択しなくてはいけません。

複数企業が新設分割により事業を切り離し、それを新設会社に集約すれば、合弁企業を設立できます。各企業の良い面を集める事ができる為、大きなシナジー効果が期待できます。

③事業の売買

会社分割は、通常はグループ内再編を目的に活用されることが多いですが、実質的に事業売買の目的で利用されるケースも見受けられます。

事業譲渡とは違い、会社分割ではまとまった現金が不要である上に、すでに述べたように雇用契約や取引先との各種契約を包括的に承継できるということが最大のメリットです。会社分割を事業譲渡の代替手段として積極的に活用していきましょう。

ちなみに会社分割は認知度が低いためか、M&Aにおいてそもそも検討していないケースをよく見受けます。株式譲渡や事業譲渡だけの検討では、売り手と買い手の両者の希望を満たせずに交渉が中断してしまったという残念なケースもあります。

日本のM&A市場は業界によっては売り手市場になりがちで、最初から条件の合った良い相手と巡り合うことはなかなかありません。しかし、買い手がM&Aの手法の幅を広げることで、買収可能な売り手を増やすこともできるのです。

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※関連記事

会社分割とは?手続きやメリット・デメリット、事業譲渡との違いを解説

会社分割における適格要件

会社分割における債権者保護手続の内容

次に、会社分割における債権者保護手続きの内容を、分かりやすくご説明します。

会社分割では、原則債権者保護手続きが必須ですので、この項では、必要となる具体的な手続きをお伝えします。

⑴官報による公告

官報による公告とは、取引相手や債権者に重大な影響を与え得る事項を決定した際に、その旨を官報(国の機関紙)を用いて知らせる行為です。基本的には法律上の義務によって、官報公告を実行します。

会社分割を行う際は、官報広告に下記内容を記載します。

  1. 会社分割に関する基本事項
  2. 会社分割を行う企業の商号と住所
  3. 会社分割を行う企業の計算書類
  4. 資本金・負債の変動金額
  5. 会社分割に対して異議を申し立て出来る旨

上記項目の中でも、特に5が重要です。自身に不利益が生ずると判断すれば、債権者は会社分割に異議を申し立てる事が可能で、異議を申し立てた場合、債権を弁済してもらう等の対応を求めることができます。

⑵知れたる債権者への個別催告

官報による公告が完了したら、知れたる債権者への個別催告を実施します。

「知れたる債権者」とは、会社分割の影響で債務者が変わる債権者です。つまり会社分割により債権回収が危うくなる債権者に対して、個別催告を実行します。

個別催告の方法は決められていないので、自由に催告方法を決定でき、個別催告の内容に関しては、官報公告と同一の内容で問題ありません。

⑶異議を申し立てられた際の対応

債権者保護手続きを行なった結果、異議を申し立てられる場合があります。

その際には、債権者に対して弁済を実行するか、もしくは弁済に値する担保提供や財産信託を実施する必要がありますが、債権金額が少額である等、債権者への弁済に対する影響が小さいケースでは、会社分割を続行可能です。

※関連記事

会社分割の手続きとは?吸収分割・新設分割の手続きを解説

会社分割の債権者保護手続きの対象者と期間

この項では、債権者保護手続の対象者と期間をお伝えします。

権者保護手続の中でも、対象者と期間は特に重要なポイントです。会社分割を活用する際は、ここでご紹介するポイントを抑えてください。

⑴債権者保護手続きの対象者

会社分割の債権者保護手続では、原則、会社分割の影響によって債務履行請求を行えない債権者を対象とします。債務履行を請求できる(会社分割による影響が無い)債権者に対しては、わざわざ保護する必要が無いと考えられます。

吸収分割の承継会社に限っては、全員が会社分割に対して異議を申し立てる事が可能です。

⑵債権者保護手続きの期間

会社分割の債権者保護手続では、債権者に対して最低1ヶ月の異議申し立て期間を設定しなくてはならず、また会社法の定めにより、債権者保護手続が完了していなければ、会社分割の効力は発生しません。

つまり会社分割の効力発生日から数えて、最低でも1ヶ月以上前から債権者保護手続を開始する事が求められます。会社分割を用いると、M&Aのクロージングまでに1ヶ月以上もの時間がかかりますので、会社分割の際には、スケジュール設定には余裕を持ちましょう。

※関連記事

M&Aのプロセスとは?買収・売却におけるプロセスや注意点を解説

債権者保護手続きが不要となる条件

最後に、会社分割において債権者保護手続が不要となる条件をご紹介します。原則会社分割では、債権者保護手続が必須であるものの、一定条件を満たす際には不要となります。

結論から述べると、会社分割後も債権者は債権回収の可能性が低減しない場合には、債権者保護手続は不要です。具体的に下記二つのパターンに該当すれば、債権者保護手続は不要となります。

⑴会社分割によって債務移転が生じないケース

会社分割により、債務が全く移転しないのであれば、債権者保護手続は不要です。

債務が移転しなければ、債務者の資産状況は変化しない為、全く損害は発生しません。

⑵重畳的債務引受設定のケース

基本的に会社分割を実行すると、承継会社が債務を負います。

例外的に引き続き分割会社が債務を保証する場合には、債権者は従来通り債務者に請求可能です。つまり会社分割前後で、債権回収の可能性に変動がない為、債権者保護手続は不要となります。

会社分割契約にて、「重畳的債務引受」を設定する場合も、債権者保護手続は不要です。重畳的債務引受とは、債務を貰い受けた承継会社が債務を支払えなくなった際に、分割会社が債権者に対して支払う事で、これはつまり会社分割における「連帯保証」です。

重畳的債務引受を設定すれば、債権者は従来通り債務を請求可能である為、債権者保護手続は不要です。

まとめ

今回は、会社分割の債権者保護手続きについて解説しました。

会社分割では、少なからず債権者に影響を与えますので、会社分割を実施する際は、会社法に則って債権者保護手続を遂行する必要があります。

債権者保護手続には最低1ヶ月の時間を要する為、会社分割は計画的に実行する事が重要です。

債権に変動が無い場合や引き続き債権者に請求できるケースでは、例外的に債権者保護手続が不要となります。

会社分割を実行する際は、債権者保護手続の有無を事前に確認しておきましょう。事前に確認しておけば、スムーズに会社分割を実施出来ます。

要点をまとめると下記になります。

  • 会社分割とは

→ある事業に関して保有する権利・義務等を、他の会社に移転するM&A手法

  • 会社分割の種類

→「分社型新設分割」、「分割型新設分割」、「分社型吸収分割」、「分割型吸収分割」の計4パターン存在

  • 会社分割を用いる目的

→グループ内再編、合弁企業の設立、事業の売買

  • 会社分割の債権者保護手続の内容

→官報による公告、知れたる債権者への個別催告、異議を申し立てられた際の対応

  • 会社分割の債権者保護手続きの対象者

→原則は債務履行請求を行えない債権者。吸収分割の承継会社に限っては、全員が会社分割に対して異議を申し立てる事が可能

  • 会社分割の債権者保護手続きの期間

→債権者に対して最低1ヶ月の異議申し立て期間を設定する

  • 債権者保護手続きが不要となる条件

→会社分割によって債務の移転が生じない、引き続き従来の債務者へ請求可能(重畳的債務引受を設定するケース)

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