2022年6月6日更新業種別M&A

医療法人のM&A!医療業界のM&A動向や事例を解説!

多くの医療法人では、医師や看護師の減少などを受けてM&A実施の重要性が高まっています。しかし、医療法人をM&Aで売却する際は、注意すべきポイントも多いです。本記事では、医療業界のM&A最新動向・M&Aを実施するメリット・買い手が見るポイント・事例を紹介します。

目次
  1. 医療業界のM&A
  2. 医療業界のM&A最新動向
  3. 医療業界でM&Aを実施するメリット
  4. 医療業界のM&Aで買い手が見るポイント
  5. 医療業界のM&A事例10選
  6. 医療業界のM&Aを行う流れ
  7. 医療業界のM&Aで少しでも高く売る方法
  8. 医療業界のM&Aまとめ
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病院 医療法人のM&A・事業承継

医療業界のM&A

医療業界のM&A

最近の医療業界では、M&Aが広く活用されています。これまで病院・クリニックなどの医療機関では、院長の子供や親族などに跡を継がせるケースが大半でした。しかし、親族内での事業承継は決して簡単な行為ではありません。

国家資格である医師の資格が必要となるだけでなく、子供や親族が医師になる道を選択しない可能性も加味すると親族内承継の実施は非常に困難です。以上の事情を受けて、最近の医療業界ではM&Aによる事業承継の重要性が高まっています。

そこで本記事では、病院・クリニックに代表される医療業界(医療法人)のM&Aを解説します。

医療業の定義

総務省の日本標準産業分類によると、医療業は「医師・歯科医師などが患者に対して医業・医業類似行為を行う事業所および、これに直接関連するサービスを提供する事業所」であると定義付けられています。具体的な分類を見ると、病院・診療所・歯科診療所・助産/看護業などです。

このうち病院と診療所(医院・クリニック)の相違点としては、病床数が挙げられます。病院では病床数が20床以上であるのに対して、診療所の病床数は19床以下と規定されているため要注意です。なお、病院は、国立(公的)医療機関・社会保険関係機関・医療法人などの形態に分けられます。

出典:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)」

医療業界の特色

医療業界では患者の生命や身体の安全に関わる事業であることから、医療法のもとでさまざまな特色が見られます。たとえば、非営利性が求められているほか、医療法人という独自の法人格が存在する点も特徴的です。その他に見られる特色を、以下にまとめました。

  • 国立(公的)医療機関・社会保険関係機関は法人税・地方税の非課税対象
  • 病院の開設・増床には都道府県知事から許可を得る必要
  • 人員配置数・価格・設備/施設に関する規制
  • 医師・看護師などの勤務には特定資格所持の必要
  • 株式会社の医療サービス提供は許可されていない(例外的に大企業が社員の福利厚生に役立てる目的で所有・経営する病院は存在)

そのため、医療業界では上記のような特色を踏まえたうえでM&A戦略を策定する必要があります。

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医療業界のM&A最新動向

医療業界のM&A最新動向

医療業界におけるM&Aの理解を深めるには、業界の現状の把握が必要不可欠です。そこで本章では、医療業界のM&A最新動向として、以下の4項目を取り上げます。

  • 合併・出資持分譲渡・事業譲渡の実施
  • コスト増加・診療報酬引き下げによる経営難
  • 医療従事者の減少が深刻
  • 医療業界は後継者不足の問題にも悩まされている

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

合併・出資持分譲渡・事業譲渡の実施

医療業界のM&A動向を見ると、一般的な事業会社とは違い株式は発行しないことから、合併・出資持分譲渡・事業譲渡などのスキームが採用されるケースが一般的です。基本的には、その他のM&A手法は実施されないため注意しましょう。中でも、出資持分譲渡の手法が比較的多く採用される傾向にあります。

なぜなら、合併や事業譲渡などの手法では、あらかじめ行政に申請して許可を得る必要があり手続きにかかる期間が比較的長いためです。これに対して、出資持分譲渡では、理事長含む役員などの変更届出および理事長の変更登記を行えば、比較的短期間でM&Aを済ませられます。

コスト増加・診療報酬引き下げによる経営難

医療業界では、医療コスト増加・人件費の高騰・保険制度の変更による医療機関に支払われる診療報酬の引き下げなどを受けて、経営難に悩まされる医療機関が目立っています。こうした事情を受けて、経営上の諸問題を解決する目的で、M&Aを通じたグループ化を実施するケースが増加している状況です。

近年のM&A動向を見ると、医師不足・経営難・施設の老朽化などが進行しているにもかかわらず修繕費に資金を回せない問題が生じており、地域の救急ニーズに応えるべく医療事業を社団法人などに譲渡するケースが増加しています。

医療従事者の減少が深刻

現代の日本では人口減少と高齢化が進行しており、医療業界への需要が高まっています。アルツハイマー病やがんなど長期にわたる治療が求められる病気は数多くある一方で、こうした病気に対応する医師・医療機関が減少している状況です。

医療業界における最も深刻な問題は、医療従事者の減少です。国家資格が必要であるため医師になる選択肢自体が困難であるにもかかわらず、医師は定年退職しています。また、日本では医師数が厳格に制限されており、大学医学部の定員管理や資格試験の難易度上昇などを受けて医師数が年々減少している状況です。

看護師の数に関しても、同様の問題が発生しています。医師や患者をサポートする看護師は必要不可欠な存在です。特に現場では24時間体制で患者をケアする重要な役割を果たします。1日8時間労働と考えると看護師の数は医師よりも必要ですが、過酷な労働環境や薄給などの理由で看護師数も減少している状況です。

医療業界は後継者不足の問題にも悩まされている

医療業界では、後継者不足の問題も深刻化しています。経営者が子供や親族に病院を継ぐ意思がなかったり、従事者としての能力が不足していたりするケースでは、外部から後継者を探さなければなりません。しかし、医師の数が全体的に減少しているため、後継者探しが非常に困難です。

上記の問題を解決するには、労働環境の改善が必要不可欠です。採用レベルを落としてしまえば能力不足の従事者が増加するおそれがあるため、医師や看護師を目指したいと思える労働環境の創出が有効策です。これを叶える方法のひとつとして、最近ではM&Aが推奨されています。

医療業界のM&Aをイメージしにくい経営者の方も多いですが、もちろん医療業界でもM&Aは活用可能です。具体例を挙げると、内科の病院が耳鼻科や小児科などを手掛けるクリニックとM&Aを実施するケースが典型的です。このようなM&Aは、主として医療現場に結束力・ゆとりを持たせる目的で実施されています。

【関連】病院経営における赤字割合の現状と対策

医療業界でM&Aを実施するメリット

医療業界でM&Aを実施するメリット

本章では、医療業界でM&Aを実施するメリットを以下2つのケース別に取り上げます。

  • 医療業界以外からのM&A
  • 医療業界同士のM&A

それぞれの方法で得られるM&Aのメリットを順番に詳しく紹介します。

医療業界以外からのM&A

まずは、医療業界への参入を目的とする会社が売却を検討する医療機関をM&Aで買収するケースです。買い手からすると、利用患者や医療従事者を引き継いだうえで経営をスタートできる点にメリットがあります。特に医療業界の事業は専門性が高く、事業開始には多くの準備が必要です。

そこでM&Aを活用すれば、完成した状態の病院や医療環境を入手できるため、事業をスムーズに開始可能です。また、買い手だけでなく売り手にもメリットは存在します。病院・診療所などは業績悪化や後継者不足で売却を検討するケースが多く、資金・人手不足により経営が回らない状態に陥っている機関も多いです。

もしも上記の状況でM&Aを活用すれば、獲得した売却資金で経営の立て直しが期待できるだけでなく、これまでに築き上げてきた医療環境を存続させつつ引退可能です。

医療業界同士のM&A

続いて、医療業界同士でM&Aを実施するケースです。医療機関の規模拡大やグループ提携の医療環境構築などを目的に、M&Aを活用する事例が多く見られます。買い手からすると、企業規模が拡大するために受け入れ可能な患者数を増やせる点が大きなメリットです。

この影響で収入が増加すれば、最新器具の導入も実現可能です。M&Aによる企業統合では診察カードを一体化できたり同一の医療機関内で診察を完了できたりしますが、これらのメリットは患者側も享受できます。

また、売却企業側にも大きなメリットがあります。M&Aを実施すれば経営者が交代しますが、経営そのものは続行されることから、看護師・医師の職場を確保したまま経営を引退可能です。もしも地域に根ざした病院が大規模な医療機関とM&Aを行えば、介護・福祉など多岐にわたるサポート体制を構築できます。

さらに、地域の医療環境を充実化させられるため、利用患者に安心感を与えることも可能です。そのほか、地域雇用の側面でもメリットが期待できます。特に地方では病院の減少が目立っていますが、M&Aにより地方の医療機関を存続させることで、医療従事者にとって貴重な雇用先を確保可能です。

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医療業界のM&Aで買い手が見るポイント

病院 医療法人のM&A・事業承継
病院 医療法人のM&A・事業承継
医療業界のM&Aで買い手が見るポイント

医療業界でM&Aを実施する際は、さまざまなポイントに注意する必要があります。医療機関が減少しているとはいえ、まったく価値のない医療機関とM&Aを実施すればメリットの獲得は期待できません。買い手側からすると、以下のポイントを重視すべきです。

  1. 周辺の環境
  2. 収益力
  3. 医療従事者の満足度
  4. 設備

その一方で、売り手側は上記のポイントを押さえておくと売却価格の交渉を有利に進めやすくなるため、事前に把握しておくことが大切です。それぞれのポイントを順番に詳しく紹介します。

①周辺の環境

医療機関にとって、患者が足を運びやすい環境に施設が位置していることは大切な要素です。患者側からすれば、体調が優れず思うように動けない状況で、あえてアクセスの悪い病院を選択しません。もしも駅から遠い場合は、直通のバスが設けられていると好条件です。

また、競合相手となる医療機関の存在も、周辺環境の良し悪しを判断する要素です。現状では競合するおそれがなくても、将来的に成長することで患者が流れてしまう可能性はあります。そのため、競合相手が存在する(将来的な誕生が見込まれる)場合、買い手は売り手にマイナスの評価を付けるケースが多いです。

②収益力

医療事業はボランティアではないため、収益力は当然チェックされます。収益力を測る際に用いられる指標は、主に以下のとおりです。

  • 病床の稼働割合は適切かどうか
  • 目標の患者数に達しているかどうか

また、診察料に関して、適切な単価であるか・周辺の医療機関や平均単価と大きな差異がないかといった点は収益力に大きな影響を与えるため、同様に調査されます。以上のことから、医療機関を売却する際は、収益情報を正確に提示するよう心がける必要があります。

③医療従事者の満足度

医師や看護師からすると医療機関は職場であり、医療従事者の満足度が低ければ組織としての評価は当然低く見積もられます。医療従事者の満足度は、以下の指標で判断されるケースが多いです。

  • 給料は適切に支払われているかどうか
  • 能力に見合った仕事・役割が与えられているかどうか

買い手は従事者の入れ替わりも厳しくチェックしており、過度な離職が見受けられれば売り手側に説明を求めます。このときは従事者の辞職理由を詳細に説明しなければなりませんが、離職後に労働環境の改善策を構築・実施している場合は大幅に評価が低く見積もられる事態を避けることが可能です。

④設備

医療機関には清潔さ・安全性が求められているため、不衛生な箇所・危険性が認められる設備などが存在する場合はもちろん評価が下がります。そのため、売却予定の医療機関において、清潔さや安全性が十分に考慮されているかどうか、改めて見直しておくと良いです。

適切な医療体制が取られていないと判断されてしまうと、M&Aの相手先が見つからないおそれがあります。施設内の環境は入念に調査されるため、医療施設の売却を検討する際は、実施前に以下の点を改善しましょう。

  • 施設の老朽化
  • 設備の不備

以上、医療業界のM&Aで買い手が見るポイントを紹介しました。医療業界のM&Aでは買い手・売り手がそれぞれのメリットの獲得を狙って交渉を展開するため、自身のメリットを最大化させるには本章で紹介したポイントの把握・実践が必要不可欠です。

加えて、M&Aを進めるには専門的に高度な知識も求められるため、医療業界・医療法人のM&Aに不安がある場合にはM&A総合研究所にサポートをお任せください。M&A総合研究所には知識・経験を豊富に持つアドバイザーが在籍しており、培ってきたノウハウを生かしてM&A手続きをフルサポートしております。

また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、医療業界・医療法人のM&Aに関して不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。

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医療業界のM&A事例10選

医療業界のM&A事例10選

本章では、医療業界に関するM&A事例を、「大手医療法人による買収」と「異業種からの買収」の2種類に分けて取り上げます。

大手医療法人によるM&A事例5選

ここまで医療業界のM&Aに関する基本的な知識を取り上げてきましたが、実際にM&Aを進める際はあらかじめ過去の事例を把握しておくことも非常に重要です。ここでは、大手医療法人による買収事例として、以下のリストに挙げた5件のM&Aを紹介します。

  1. 医療法人沖縄徳洲会によるM&A
  2. 佐賀県杵島郡大町町によるM&A
  3. 日本郵政によるM&A
  4. JA埼玉厚生連によるM&A
  5. 日本赤十字社グループによるM&A

上記は、M&Aを検討している経営者(理事長)であれば押さえておくべき代表的な事例ばかりです。それぞれの事例からポイントをつかんで、自身の医療機関が行うM&Aの戦略策定に役立てましょう。

①医療法人沖縄徳洲会によるM&A

徳洲会グループ

徳洲会グループ

出典:https://www.tokushukai.or.jp/

2017年8月、医療法人沖縄徳洲会は、医療法人湯池会との間で経営統合を行うと発表しました。これに伴い、2018年8月には、医療法人湯池会に対する吸収合併が実施されています。本件M&Aの取引金額は非公開です。

医療法人沖縄徳洲会とは、「生命だけは平等だ」の理念のもとで「いつでも、どこでも、誰もが最善の医療を受けられる社会」を目指している「徳洲会グループ」に属する医療法人です。以前より、医療法人湯池会に属する北谷病院とは、中部圏域における良質な地域医療発展を目的に連携を実施してきました。

本件M&Aの目的は、地域医療の維持発展および雇用維持にあります。

②佐賀県杵島郡大町町によるM&A

一般社団法人 巨樹の会

一般社団法人 巨樹の会

出典:http://www.kyojunokai.jp/

2017年6月、佐賀県杵島郡大町町は、一般社団法人巨樹の会に対して杵島郡大町町立病院を譲渡しました(同年8月に「大町診療所」に変更)。本件M&Aの取引金額は約3億5,000万円です。M&A当時、杵島郡大町町立病院は、高度医療機器を保有する杵島郡唯一の公立病院でした。

対する一般社団法人巨樹の会は、「大きく根を張り、幹と枝を大きく伸ばす樹木のように日本の医療に大きく貢献する」という理念のもと、現在は関東地方でリハビリを軸とした病院を運営しており、地域のリハビリ病床不足の改善に注力しています。

本件M&Aの目的は、建物の老朽化・経営赤字などの問題解消にありました。しかし、2020年3月、地域医療の継続・確保に多大な影響を及ぼすとして存続が求められたものの、大町診療所は施設老朽化・患者数の減少による経営赤字などを理由に閉鎖されました。

以上のことから、公立病院の民営化が図られた本件M&A事例は、結果的に失敗であったと捉える意見が多いです。

③日本郵政によるM&A

日本郵政

日本郵政

出典:https://www.japanpost.jp/

2017年4月、日本郵政は、社会福祉法人恩賜財団済生会グループに対して横浜逓信病院を譲渡しました。横浜逓信病院は、神奈川県横浜市神奈川区で内科・外科・小児科・大腸肛門病専門外来を展開する病院です。日本郵政が運営する逓信病院のひとつであり、終戦直後から地域密着型の医療を提供してきました。

日本郵政とは、日本郵政株式会社法にもとづいて設立された日本郵政グループの持株会社です。子会社として日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険・日本郵政スタッフ・日本郵政インフォメーションテクノロジーなどを抱えています。公共企業体の日本郵政公社が前身であり、現在は総務省が所管する企業です。

なお、日本郵政は、横浜のほかにも、東京・愛知・京都・広島・福岡などに逓信病院を構えていた経緯があります(名古屋および福岡の逓信病院は医療法人社団への譲渡が済んでいます)。対する済生会は、医療によって生活困窮者を支援する目的のもと1911年に設立されました。

「生活困窮者支援の積極的推進」「最新の医療で地域に貢献」「医療と福祉、切れ目なく」の3点を活動目標に掲げています。本件M&Aの目的は、日本郵政における病院事業の赤字解消にありました。

④​​​​​​​JA埼玉厚生連によるM&A

熊谷総合病院

熊谷総合病院

出典:https://www.kumasou.or.jp/

2016年5月、JA埼玉厚生連は、社会医療法人北斗に対して熊谷総合病院を譲渡しました。本件M&Aの取引金額は非公開です。JA埼玉厚生連は、1934年12月に創業された医療利用組合病院が前身であり、1948年10月に農協系の病院として設立されました。

かつては熊谷総合病院と幸手総合病院の2病院を経営しており、地域の中核的な病院としての役割を果たしていましたが、2011年には幸手総合病院を閉鎖し、新たに久喜総合病院を開業しています。

熊谷総合病院は、埼玉県熊谷市にて消化器内科・整形外科を軸とした医療体制のほか、脳神経外科・リハビリテーションなどの診療科も展開している総合病院です。

対する社会医療法人北斗は、北海道の十勝管内でクリニック・介護施設などを8施設展開しているほか、ロシアのウラジオストクに画像診断センターも開設しています。本件M&Aの背景には、設備投資の負担による経営の切迫状況が深く関係していました。

実際にM&A直後の2016年7月、JA埼玉厚生連は東京地裁に破産を申請しており、同日付で破産手続き開始決定を受けています。負債額は約65億3,300万円でした。

⑤日本赤十字社グループによるM&A

日本赤十字社

日本赤十字社

出典:https://www.jrc.or.jp/

2015年2月、日本赤十字社グループは、県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合再編計画を発表しています(2019年7月に統合が実施されて「県立丹波医療センター」が設立)。日本赤十字社グループは、1952年に制定された日本赤十字社法により設立された認可法人です。

人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性の7つを基本原則に掲げながら、全国各地で赤十字病院・血液センターなどを運営しています。県立柏原病院は兵庫県丹波市に位置しており、丹波市・篠山市を合わせた丹波2次医療圏における中核病院としての役割を担っている医療機関です。

また、柏原赤十字病院は同じく兵庫県丹波市に位置する病院であり、婦人科・眼科・内視鏡センターを有しています。本件M&Aの目的は、施設の老朽化や狭隘化・医療設備などに関する問題の解消にありました。

異業種からの医療業界M&A事例5選

続いて、異業種企業が医療法人を買収したM&A事例として、以下の5件を取り上げます。

  1. 東芝によるM&A
  2. NTT東日本によるM&A
  3. 三井物産によるM&A
  4. 日立製作所によるM&A
  5. セコムによるM&A

それぞれの事例から概要・目的・ポイントなどをつかんで、自身の医療法人のM&A戦略策定に役立てましょう。

①東芝によるM&A

東芝

東芝

出典:https://www.global.toshiba/jp/top.html

2018年3月、電機メーカーの大手企業である東芝は、カマチグループに所属する神奈川県の医療法人社団緑野会に対して、東芝が運営する東芝病院が手掛けている全事業の譲渡を完了させました。譲渡価格は約285億円と発表されています。

売り手側の東芝では、緑野会が持つ医療全般の幅広い専門知識・実績・経営資源の活用によって、医療サービスを地域需要に適合させながら地域医療への貢献を目指しています。

②NTT東日本によるM&A

NTT東日本

NTT東日本

出典:https://www.ntt-east.co.jp/

2016年9月、NTT東日本は、東北医科薬科大学に対してNTT東日本東北病院を譲渡しました。本件M&Aの取引金額は非公開とされています。NTT東日本(正式名称:東日本電信電話)は、日本最大手の電気通信事業者です。旧逓信病院から引継ぐ形で、企業立病院も運営しています。

NTT東日本東北病院は、日本電信電話公社で働く社員のための職域病院として1979年に開院しました。最近では、東日本大震災の被災時に救急医療を提供した病院として知られています。

対する東北医科薬科大学(2016年に東北医科薬科大学に名称変更)は1939年に設立されており、東北・北海道地区唯一の薬学教育機関です。本件M&Aの目的は、医師不足や地域が抱える課題の解消にあります。

③三井物産によるM&A

三井物産

三井物産

出典:https://www.mitsui.com/jp/ja/

2014年8月、三井グループの大手総合商社である三井物産は、KIFMEC特定目的会社に対して第三者割当増資により6億3,000万円を出資しました。KIFMEC特定目的会社は、医療法人社団神戸国際フロンティアメディカルセンターに病院建物を賃貸するために設立された企業です。

三井物産では、2011年に出資していた民間病院グループIHHヘルスケアのネットワークを利用しつつ、アジア地域への先進的な医療技術・サービスの導入を通じて医療の高度化・医療産業の国際化を進めています。

④日立製作所によるM&A

日立製作所

日立製作所

出典:https://www.hitachi.co.jp/

2014年4月、日立製作所は、医療法人社団大坪会に対して小平記念東京日立病院を譲渡しました。本件M&Aの取引金額は非公開とされています。日立製作所は、日本の電機メーカーであり、日立グループの中核企業です。また、世界有数の総合電機メーカーとしても知られています。

小平記念東京日立病院は、1960年の創立以来、地域密着型の総合病院として医療を提供してきました。対する医療社団法人大坪会は、東京都を拠点に、介護・医療教育などを軸としながら複数の病院施設を運営しています。本件M&Aの目的は、病院事業の赤字解消にありました。

⑤セコムによるM&A

セコム

セコム

出典:https://www.secom.co.jp/

1998年9月、セコムは、倉本記念病院の土地・建物を買収しています。セコムは東京都渋谷区神宮前に本社を構える国内首位・日本初の警備サービス会社です。セコムグループは、日本国内のほか、海外21の国と地域に事業展開しています。

また、セコムグループとしては、日自社開発の防犯・防災用品販売のほか、病院経営や医療システム・情報セキュリティ分野全般のコンサルティングや各種サービス・日本初の民営刑務所(美祢社会復帰促進センター)経営など幅広い業種を手掛けています。

対する倉本記念病院は、もともと千葉県船橋市に位置する病院です。本件M&Aの目的は、切迫した病院経営の救済および病院経営への新規参入にありました。

【関連】M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

医療業界のM&Aを行う流れ

医療業界のM&Aを行う流れ

医療業界のM&Aは、一般的に以下の流れで進行します。

  1. M&A仲介会社・アドバイザリーへの相談・依頼
  2. M&A戦略の策定
  3. 相手側候補とのマッチング
  4. M&A交渉
  5. 基本合意契約の締結
  6. デューデリジェンス
  7. 最終契約締結
  8. クロージング

医療法人は、種類ごとに設立根拠法が異なります。そのため一般的な株式会社同士でのM&Aとは異なり、それぞれの設立根拠法に準拠した形でM&A手続きを実施しなければなりません。そのため、医療業界のM&A経験豊富な仲介会社・アドバイザリーに依頼すると、M&A手続きをスムーズに進めることが可能です。

【関連】会社売却の成功・失敗ポイントとは?手順や注意点を事例付きで徹底解説

医療業界のM&Aで少しでも高く売る方法

医療業界のM&Aで少しでも高く売る方法

医療業界のM&Aでは、患者からの評価も重視されます。患者からの評価は雰囲気を見れば判断可能であり、患者のために残すべきだと感じさせる医療機関であれば、希望する条件でM&Aを実施できる可能性が高いです。

また、医療法人を売却する際は専門家(M&A仲介会社・アドバイザリー)に相談すると良いでしょう。なぜなら、医療法人の売却価格を算出する際に、会計の専門知識が求められるためです。

もしも医療業界・医療法人のM&Aをご検討中であれば、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、経験豊富なアドバイザーが専任につき、少しでも会社を高く売れるようフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。相談料は無料となっておりますので、M&Aによって医療業界・医療法人の売却を検討している場合にはお気軽にご相談ください。

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医療業界のM&Aまとめ

医療業界のM&Aまとめ

医療業界は非常に専門性の高い分野であるため、M&Aを実施する際は当事者の知識のみですべてのプロセスを済ませられないケースが多いです。そのため、医療業界に特化したM&A仲介会社にサポートしてもらうと良いでしょう。

現状として医師や看護師は減少傾向にあるため、少しでも現場の環境を整えていく必要があります。後継者不足を理由に医療法人の経営を諦めてしまうのではなく、M&Aの活用を検討することが大切です。本記事の要点は、以下のとおりです。

・医療業の定義
→医師・歯科医師などが患者に対して医業・医業類似行為を行う事業所およびこれに直接関連するサービスを提供する事業所

・医療業界のM&A最新動向
→合併/出資持分譲渡/事業譲渡の実施、コスト増加/診療報酬引き下げによる経営難、医療従事者の減少が深刻、医療業界は後継者不足の問題にも悩まされている

・医療業界でM&Aを実施するメリット
→利用患者や医療従事者を引き継いだうえで経営をスタートできる(医療業界以外からのM&A)、企業規模が拡大するために受け入れ可能な患者数を増やせる(医療業界同士のM&A) など

・医療業界のM&Aで買い手が見るポイント
→周辺の環境、収益力、医療従事者の満足度、設備

・医療業界のM&Aを行う流れ
→M&A仲介会社/アドバイザリーへの相談/依頼、M&A戦略の策定、相手側候補とのマッチング、M&A交渉、基本合意契約の締結、デューデリジェンス、最終契約締結、クロージング

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