2020年3月4日更新業種別M&A

塗料・塗料卸売業界のM&Aの現状は?費用や相場、M&Aの事例を解説

塗料・塗料卸売業界は国内市場の低迷もあり今後は海外進出や大手の規模拡大、組織再編のM&Aが重要になります。そのため、塗料・塗料卸売業界の企業は、海外進出を想定した経営戦略が求められます。新規参入が困難な業界でもあるため、この傾向はしばらく続くでしょう。

目次
  1. 塗料・塗料卸売業界のM&A
  2. 塗料・塗料卸売業界のM&Aの動向
  3. 塗料・塗料卸売業界のM&Aの費用と相場
  4. 塗料・塗料卸売業界のM&Aで買い手が得られるメリット
  5. 塗料・塗料卸売業界のM&Aで売り手が得られるメリット
  6. 塗料・塗料卸売業界のM&Aの事例
  7. まとめ
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塗料 塗料卸売のM&A・事業承継

塗料・塗料卸売業界のM&A

M&Aは業界を問わず行われており、今では大企業、中小企業、ベンチャー企業など規模を問わずにM&Aを行うケースが増えています。しかし、M&Aは業界の状況により傾向や行われる目的が異なります。

今回は塗料・塗料卸売業界のM&Aについてお伝えしていきます。塗料・塗料卸売業界の現状をぜひ参考にしてみてください。

塗料・塗料卸売業界の現状

塗料・塗料卸売業界では、塗料や顔料の製造・販売を行っています。塗料・塗料卸売業の業態は、塗料・顔料の製造メーカー、販売を行う卸売店、代理店に分かれます。

塗料・顔料は自動車用、家庭用、建築用、印刷用など、様々な種類があります。メーカーの中でもあらゆる塗料・顔料を扱う総合メーカーと特定の塗料・顔料を扱うメーカーに分かれます。

塗料・塗料卸売業界の現状は、決して芳しくありません。塗料・塗料卸売業界の市場はすでに成熟しており、それ以上の発展は見込めない状況です。そのため、1990年以降の塗料・塗料卸売業界の売上は低下しています。

また、それに拍車をかけるように、少子化による人口減少の影響を受けて国内市場も縮小しています。そのため、何らかの施策を打たなければ塗料・塗料卸売業界はますます低迷していくでしょう。

塗料・塗料卸売業界は石油の価格に左右されやすいという特徴があります。塗料・顔料の原料は石油だからです。石油価格は変動しやすく、変動次第では塗料・顔料の生産量に大きな影響を及ぼします。

さらに、塗料・顔料は顧客のニーズに合わせていろいろな製品があり、それぞれの製品をバランスよく生産しなければならないため、利益率も高くありません。

その結果、塗料・塗料卸売業界は海外に進出できる余裕を持つ大手の企業が市場を寡占する状態になっており、新しい企業の設立や異業種の参入が難しい状況になっています。

塗料・塗料卸売業界のM&Aの動向

塗料・塗料卸売業界は業界全体が伸び悩んでおり、市場も徐々に縮小しつつあります。その状況を打開するうえで用いられるのがM&Aです。塗料・塗料卸売業界の場合、M&Aによる海外進出が積極的に行われています。

塗料・塗料卸売業界はすでに国内市場が成熟しており、これ以上の進展が望めない状況です。そのため、海外の市場を獲得するケースが増えているのです。しかし、海外の市場への進出は決して簡単ではありません。

海外進出を実現するには現地に拠点を設置し、人材を集める必要がありますが、それには時間もコストもかかります。加えて現地で取引先の確保をする必要がありますが、現地に人脈やネットワークを有していなければそれも簡単ではありません。何より、進出する国や地域の知識も必要となります。

海外では言語はもちろん、法律、税制、規制、文化、商慣習などが日本と異なっており、拠点の経営方法も変えなければなりません。そこで用いられるのがM&Aです。M&Aであれば、現地の既存の企業を買収することで、拠点をゼロから構築する手間やコストが省けます

また、その企業が持つ人材や取引先、ネットワーク、顧客なども引き継げるため、海外の市場への参入がよりスムーズに進みます。実際、塗料・塗料卸売業界の大手は続々と海外進出を果たしており、海外市場のニーズを取り込むことで利益を挙げています。

大手企業によるM&A

とりわけ海外進出でM&Aが行われるのは新興国です。世界的に見ると、どの先進国も塗料・塗料卸売業界は頭打ちになっており伸び悩んでいる状況です。そのため、新しいシェアを獲得するには新興国への進出を重視する必要があります。

しかし、すでに塗料・塗料卸売業界の大手が次々と新興国へ進出しているため、その競争は激化しています。この動きは世界規模で、塗料・塗料卸売業界の業界再編が進んでいるといっても過言ではありません。

また、塗料・塗料卸売業界の大手同士がM&Aによって経営統合を行い、さらにシェアを拡大する動きも見られています。塗料・塗料卸売業界で世界トップのオランダのアクゾ・ノーベルや、アメリカのシャーウィン・ウィリアムズなどは、同業を次々と買収することで規模を拡大しています。

さらにトップクラスの企業同士でM&Aの話が持ち上がるなど、M&Aに対して積極的な姿勢はどの企業にも見られます。いずれ塗料・塗料卸売業界は、世界的な市場でシェアを維持できる大手に占められる形になると予想されます。

日本の塗料・塗料卸売業界は更なる海外進出と、グローバル化を見据えた経営戦略が求められます。

※関連記事
海外進出の課題とは?方法や手順、クロスボーダーM&Aを活用した海外進出

塗料・塗料卸売業界のM&Aの費用と相場

塗料・塗料卸売業も一般的な企業と同様に、企業の規模や設備、売上などで取引価格が決定されるため、一概に平均的な相場を設定することは難しくなっています

ただ、塗料・塗料卸売業界のM&Aは海外進出を目的としたものが多く、海外企業の買収ではかなり高額な取引価格が設定されるケースが多いです。数十億円以上は当然で、塗料・塗料卸売業界トップクラスの大手同士のM&Aでは数兆円単位の取引価格が設定されることも珍しくありません。

さらに、塗料・塗料卸売業界のM&Aでは大手同士の経営統合を目的としたケースも増えており、費用や相場はかなり高額になることがあり得るでしょう。

※関連記事
会社売却の手数料の相場やかかる費用を徹底解説!

塗料・塗料卸売業界のM&Aで買い手が得られるメリット

塗料 塗料卸売のM&A・事業承継
塗料 塗料卸売のM&A・事業承継

塗料・塗料卸売業界のM&Aで買い手が得られるメリットは、その目的によって分かれます。代表的なメリットを2つ紹介します。

海外進出を目的としたM&Aの場合

海外進出を目的としたM&Aの場合、得られるメリットは海外進出の効率化だといえるでしょう。海外進出は手間やコストがかかるため、ゼロから顧客や取引先を開拓することは簡単ではありません。

しかし、M&Aであれば海外進出にかかる手間やコストを省くことができ、スムーズに海外進出を実現できます。塗料・塗料卸売業界は新興国に進出することが多いですが、その国の市場のシェアを独占できれば、多大な利益を獲得できます。

また、世界的に見て塗料・塗料卸売業界はグローバル化が進んでおり、M&Aを用いて各国のシェアを次々と獲得していくことが今の主流です。そのため、海外進出を目的としたM&Aのノウハウや知識は、塗料・塗料卸売業界にとって必要不可欠なものになりつつあります。

企業の規模拡大を目的としたM&Aの場合

塗料・塗料卸売業界の大手同士が行う更なる規模拡大を目的としたM&Aの場合にも、買い手には様々なメリットがあります。大手企業同士のM&Aであれば、互いの顧客や販路を使用できるだけでなく、優れたノウハウや従業員を合わせることで新たな事業の立ち上げも可能になります。

また、企業の規模を拡大することは、海外進出するうえで重要なポイントです。元々塗料・塗料卸売業界は石油価格の変動の影響を受けやすく、海外進出を実現すれば各国の政治情勢や金融情勢により、経営に支障が生じる可能性もあるでしょう。

しかし、規模を拡大した企業であれば企業としての体力がつくため、石油価格の変動や政治情勢、金融情勢の影響にそこまで振り回されなくなります

また、塗料・塗料卸売業界は特定用途の塗料・顔料に特化したメーカーも多くあります。新たな種類の塗料・顔料を扱いたい企業がそのメーカーを買収すれば、手軽に事業の幅を広げることができます。

塗料・塗料卸売業界のM&Aで売り手が得られるメリット

塗料・塗料卸売業界のM&Aで売り手が得られるメリットは、買い手のメリットと一部重なります。中小企業の場合、海外進出がしたくても資金や人材に限界があり実現できないケースは少なくありません。

しかし、塗料・塗料卸売業界の大手に買収されれば、豊富な資金や人材を取り入れられるため、経営基盤が強化されて海外進出が実現する可能性が高まります。また経営不振に陥っていても、大手のノウハウを得れば経営の立て直しもスムーズに進むでしょう。

さらに、様々な中小企業が抱える事業承継の問題もM&Aで解決できます。昨今は中小企業を中心に後継者不在の企業が増えており、高齢化で経営者が引退した際に廃業するケースも少なくありません。

しかし、後継者不在で事業承継ができない企業でも、M&Aによって第三者に経営を委託できれば、経営者が引退した後も企業が存続できます。もし後継者がいなくてお悩みの場合や事業承継やM&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

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※関連リンク
M&Aのメリットとは?買い手・売り手のメリットやM&A戦略策定・手法別のメリットを紹介

塗料・塗料卸売業界のM&Aの事例

ここでは塗料・塗料卸売業界のM&Aの事例をお伝えしていきます。

日本ペイントHD×DuluxGroup 

2019年に、日本ペイントHDは、主に豪州・ニュージーランドでハイブランドの塗料・DIY用品の製造販売事業を行う豪州証券取引所に上場するDuluxGroup Limitedの発行済株式100%を取得し、Duluxを子会社化すると決めました。取得総額は、約3,005億円です。

日本ペイントHDは、2018年度から開始した中期経営計画で、「アジアでの圧倒的ポジションを確立し、グローバルに成長を加速する」ことを掲げ、新しい価値の創造を続けるリーディングカンパニーとなることを図っています。

日本ペイントHDはこの買収により、建築用塗料事業で強固なポジションを確保しつつ、地域ポートフォリオを成長が著しい地域と安定成長が期待できる地域のバランスが取れたものにすることで、事業基盤をさらに頑強にし、中期経営計画の進捗に大いに貢献することを目指しています。

アクゾ・ノーベル×GIC+カーライル・グループ

オランダの塗料・塗料卸売業界のトップであり、同時に世界トップの大手でもあるアクゾ・ノーベルは、これまで何度もM&Aを行いその規模を拡大してきました。

アクゾ・ノーベルは特殊化学薬品部門を持つなど事業を多角化していましたが、2018年にシンガポールの政府系投資会社のGICとアメリカの投資会社カーライル・グループに特殊化学薬品部門を売却しました。アクゾ・ノーベルは株主価値を高めるために特殊化学薬品部門の独立を画策しており、このM&Aもその一環のようです。

また、このM&Aによってアクゾ・ノーベルは、塗料事業に特化した組織体制を持つようになりました。世界トップクラスのアクゾ・ノーベルのM&Aは、塗料・塗料卸売業界や化学品業界の組織再編につながる影響力を持っています。

さらに、アクゾ・ノーベルは日本ペイントが買収しようとしていたアクサルタとのM&Aの交渉を行うなど、M&Aに積極的な姿勢を見せています。

日本ペイント×アクサルタ

これはM&Aに失敗した事例です。2017年に、日本の塗料・塗料卸売業界でトップクラスのシェアを誇る日本ペイントは、世界第7位アメリカのアクサルタを買収しようとしましたが失敗に終わりました。

アクサルタとのM&Aが実現しなかった理由は、デューデリジェンスの際に提供する情報の不足や、各国でのシェアの重複、アクサルタが抱える有利子負債などいろいろな問題があります。また、アクサルタがアクゾ・ノーベルとのM&Aも検討していたことも失敗の大きな理由だといえるでしょう。

日本ペイントはアクサルタの買収を断念しましたが、今後もM&Aによる規模拡大の道を模索していくようです。この買収が失敗に終わったとはいえ、世界トップクラスの大手がM&Aに積極的であることを如実に示しています。

シャーウィン・ウィリアムズ×バルスパー

アメリカ大手のシャーウィン・ウィリアムズは、2016年にアメリカの同業他社であるバルスパーを買収しました。これにより、シャーウィン・ウィリアムズは自社が専門としている建築用塗料の分野と、バルスパーが専門としている商品容器塗料の分野を合わせることで、高い製品補完性を獲得しました。

また、バルスパーが持つ販売網、欧州事業やアジア事業を獲得することにより、海外進出の道を切り開きました。シャーウィン・ウィリアムズのM&Aは海外進出や販路拡大など、塗料・塗料卸売業界で行われるM&Aの模範的な事例だといえます。

この買収でシャーウィン・ウィリアムズは、翌年の2017年に世界第三位から世界第二位に浮上するなど、シェアの拡大に成功しています。

まとめ

塗料・塗料卸売業界は国内市場の低迷もあり、今後は海外進出や大手企業の規模拡大、組織再編のM&Aが重要になってきます。そのため、塗料・塗料卸売業界に身を置く企業は、海外進出を想定した経営戦略が求められるでしょう。

元々塗料・塗料卸売業界は新規の参入が難しい業界であるため、この傾向はしばらく続く可能性が高いです。とりわけ世界規模の大手企業の動きは、今後も注視すべきものです。

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