M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年11月14日更新業種別M&A
塗料・塗料卸売業界のM&Aの現状は?動向や費用の相場から事例まで解説!
本記事では、塗料・塗料卸売業界のM&Aの現状を分析するとともに、M&Aの費用と相場、M&Aのメリットや成功させるポイント、具体事例の解説などを行っています。塗料・塗料卸売業界は、国内外においてM&Aが盛んな業界です。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
塗料・塗料卸売業界のM&Aについて
塗料・塗料卸売業界では、国内外を問わずM&Aが多く行われています。塗料・塗料卸売業界の定義と現状の確認をしましょう。
塗料・塗料卸売業界とは
塗料・塗料卸売業界は、以下のような会社で構成されています。
- 塗料メーカー(塗料の製造・販売)
- 塗料の主原料である樹脂の製造メーカー
- 着色用の顔料の製造メーカー
- 塗料の卸売会社
- 塗料の販売代理店
また、塗料メーカーの中には、塗料全般を扱う総合塗料メーカーもあれば、以下のような分野に特化した塗料メーカーもあります。
- 建築用塗料
- バイク・自動車用塗料
- その他乗物用塗料
- 印刷用塗料
- 家庭用塗料
塗料・塗料卸売業界の現状
塗料・塗料卸売業界の現状は、決して芳しくありません。塗料・塗料卸売業界の市場はすでに成熟しており、これ以上の発展は見込めない状況です。そのため、1990(平成2)年以降の塗料・塗料卸売業界の市場規模は低下しています。
したがって、何らかの施策を打たなければ塗料・塗料卸売業界はますます低迷していってしまうでしょう。また、塗料・塗料卸売業界は、石油価格に左右されやすいという特徴があります。塗料・顔料の原料は石油だからです。
石油価格は変動しやすく、変動次第では塗料・顔料の生産量に大きな影響を及ぼします。さらに、塗料・顔料は顧客のニーズに合わせてさまざまな製品があり、それぞれの製品をバランスよく生産しなければならないため、利益率も高くありません。
その結果、塗料・塗料卸売業界は、海外に進出できる余裕を持つ大手企業が、市場を寡占する状態になっており、新しい企業の設立や異業種の参入が難しい状況になっています。
印刷会社のM&A・売却・買収事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
塗料・塗料卸売業界のM&Aの動向
塗料・塗料卸売業界は業界全体が伸び悩んでおり、市場も徐々に縮小しつつあります。その状況を打開するために用いられているのがM&Aです。塗料・塗料卸売業界の場合、M&Aによる海外進出が積極的に行われています。
塗料・塗料卸売業界はすでに国内市場が成熟しており、これ以上の拡大は望めない状況です。そのため、海外市場に進出するケースは増えているのですが、海外市場への進出は決して簡単ではありません。
海外進出を実現するには現地に拠点を設置し、人材を集める必要があります。ただし、それには時間もコストも割かなければなりません。それらに加えて、現地での取引先を確保する必要もあります。しかし、現地に人脈を築くのも容易ではありません。
そして何よりも、進出する国や地域の知識も必須です。海外では言語はもちろん、法律、税制、文化、商慣習などが日本と異なっており、拠点の経営方法も変えなければなりません。そこで用いられるのがM&Aです。
M&Aであれば、現地の既存企業を買収することで、拠点をゼロから構築する手間やコストが省けます。また、その企業が持つ人材や取引先、ネットワーク、顧客なども引き継げるため、海外市場への参入がよりスムーズに進むのです。
実際、塗料・塗料卸売業界の大手は続々と海外進出を果たしており、海外市場のニーズを取り込むことで利益を上げています。
大手企業によるM&A
M&Aでの海外進出先で特に多いのは新興国です。世界的に見ると、どの先進国も塗料・塗料卸売業界は頭打ちになっており伸び悩んでいます。そのため、新しいシェアを獲得するには、新興国への進出を重視する必要があるのです。
しかし、すでに塗料・塗料卸売業界の大手が次々と新興国へ進出しているため、その競争は激化しています。この動きは、世界規模で塗料・塗料卸売業界の再編が進んでいるとも言えるでしょう。
また、塗料・塗料卸売業界の大手同士がM&Aによって経営統合を行い、さらにシェアを拡大する動きも見られます。塗料・塗料卸売業界で世界トップのオランダのアクゾ・ノーベルや、アメリカのシャーウィン・ウィリアムズなどは、同業を次々と買収して規模を拡大中です。
将来、あるいは塗料・塗料卸売業界は、世界的な市場でシェアを維持できる大手に占められる形になるかもしれません。日本の塗料・塗料卸売業界においては、さらなる海外進出など、グローバル化を見据えた経営戦略が求められます。
海外進出の課題については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
塗料・塗料卸売業界のM&Aの相場と費用
塗料・塗料卸売業界のM&Aで気になる金額面のことといえば、売買価額の相場と費用(仲介手数料)でしょう。ここでは、それぞれの概要を説明します。
塗料・塗料卸売業界のM&Aの相場
塗料・塗料卸売業のM&A相場は、一般的な企業と同様に企業の規模や設備、売上などで取引価額が決定されるため、一概に平均的な相場を設定するのは難しいものがあります。
ただし、塗料・塗料卸売業界のM&Aは海外進出を目的としたものが多く、海外企業の買収ではかなり高額な取引価額となるケースが多いのが現実です。
たとえば、数十億円以上は当然で、塗料・塗料卸売業界トップクラスの大手同士のM&Aでは数千億円単位の取引価額が設定されることも珍しくありません。
また、塗料・塗料卸売業界のM&Aでは大手同士の経営統合を目的としたケースも増えており、その場合も相場はかなり高額になるでしょう。
塗料・塗料卸売業界のM&Aの費用
M&A仲介会社によって料金体系は異なりますが、発生する可能性のある仲介手数料には以下のようなものがあります。
- 相談料:正式依頼前の相談時に発生する費用。無料の会社が多い。
- 着手金:業務委託契約締結時に発生する費用。完全成功報酬制の会社では発生しない。
- 月額報酬:契約締結後、M&Aが成約するまでの間、毎月発生する顧問・アドバイス料。発生しない会社が多い。リテイナーフィーとも言う。
- 中間金:基本合意書締結時に発生する費用。成功報酬額の一部を前払い扱いとする方式の会社が多い。完全成功報酬制の会社では発生しない。
- 成功報酬:M&A成約時に発生する費用。成約額などを基準額として一定の手数料率を掛け合わせて算出するレーマン方式で金額計算する会社が多い。基準額の設定は各社違うため要事前確認。
- デューデリジェンス料:買収側が行う売却企業への精密監査時には、士業の専門家を起用する必要があるため、仲介手数料とは別枠で発生する費用。買収側のみが支払う。
注意が必要な点は、成功報酬以外の費用は、仮にM&Aが破談した場合、返却はされません。M&A仲介会社の選定時には、料金体系も十分に確認しましょう。
なお、用いるM&Aスキーム(手法)によっては、各種税金も発生します。こちらも、M&A仲介会社から説明を受けておくと安心です。
M&Aの譲渡価格の相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
塗料・塗料卸売業界のM&Aの事例14選
ここでは、塗料・塗料卸売業界で実際に行われたM&A事例を紹介します。国内企業だけでなく、海外企業同士のM&Aや、M&Aに失敗した事例も取り上げました。
- 日本ペイントホールディングス×Cromology Holding SAS
- Sun Chemical Group S.p.A×SAPICI S.p.A.
- 日本ペイントホールディングス×日本ペイントコーポレート ソリューションズ
- 日本ペイント・オートモーティブコーティングス×Tong Yang Holding Corporation
- DuluxGroup Limited×DP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.
- Evermore Chemical Industry Co., Ltd.×Covestro Resins (Taiwan) Ltd.
- Nippon Paint (M) Sdn. Bhd.×Vital Technical Sdn. Bhd.
- 東京インキ×荒川塗料工業
- Sun Chemical Corporation×Sensient Imaging Technologies
- 日本ペイントホールディングス×DuluxGroup
- 日本ペイントホールディングス×Betek Boya ve Kimya Sanayi Anonim Şirketi
- アクゾ・ノーベル×GIC、カーライル・グループ
- 日本ペイントホールディングス×アクサルタ
- シャーウィン・ウィリアムズ×バルスパー
日本ペイントホールディングス×Cromology Holding SAS
2022(令和4)年1月、日本ペイントホールディングスは、フランスのCromology Holding SASの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は約1,478億6,600万円です。また後日、イギリスの孫会社DGL International (UK) Ltdに、この株式を譲渡する予定となっています。
日本ペイントホールディングスは、家庭用・建築構造物用・自動車用・工業用・船舶用・表面処理塗装の開発・製造・販売を行うグループの持株会社です。Cromology Holding SASは、塗料および塗料周辺製品の製造・販売を行っています。
日本ペイントホールディングスとしては、ヨーロッパで第4位の建築用塗料メーカーであるCromology Holding SASを傘下に加えることで、ヨーロッパの汎用塗料事業への地盤構築の足掛かりとする所存です。
Sun Chemical Group S.p.A×SAPICI S.p.A.
2022年1月、イタリアのSun Chemical Group S.p.Aは、同じくイタリアのSAPICI S.p.A.とその持株会社であるFINAPE S.r.L.の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。
Sun Chemical Group S.p.Aは、日本のDICの完全子会社です。DICは、印刷インキ・有機顔料・合成樹脂などの製造・販売を行っています。SAPICI S.p.A.は、イタリアの接着剤・ポリマメーカーです。
DICとしては、グローバル市場での接着剤事業の売上増を狙っています。
日本ペイントホールディングス×日本ペイントコーポレート ソリューションズ
2022年1月、日本ペイントホールディングスは、2021(令和3)年10月に新設した子会社の日本ペイントコーポレート ソリューションズとの間で会社分割を実施しました。分割した事業は、上場機能と純粋持株会社機能に関する事業以外の全ての事業です。
この会社分割により、グループの日本国内における塗料事業のオペレーションは日本ペイントコーポレート ソリューションズが担い、日本ペイントホールディングスは真の意味で純粋持株会社として、グループの経営管理に当たります。
日本ペイント・オートモーティブコーティングス×Tong Yang Holding Corporation
2021年11月、日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、連結子会社5社の株式をケイマン諸島のTong Yang Holding Corporationから追加取得して完全子会社化すると発表しました。取得予定日は2022年第1四半期中で取得価額は公表されていません。
日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、日本ペイントホールディングスの連結子会社で自動車用塗料の製造・販売を行っている企業です。完全子会社化する5社は、いずれも中国で自動車用プラスチック塗料の製造・販売を行っています。
日本ペイントホールディングスとしては、中国における自動車塗料事業を統合し一体運営することでシェアを向上させるため、完全子会社化に踏み切りました。
DuluxGroup Limited×DP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.
2021年10月、イギリスのDuluxGroup Limitedは、スロベニアのDP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.の99.8%の株式を取得して子会社化すると発表しました。取得予定日は2022年上期中で、取得額は254億8,900万円です。
DuluxGroup Limitedは、日本ペイントホールディングスの孫会社でグループ内企業の中間持株会社になります。DP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.は、塗料・塗料周辺製品の製造・販売を行っているグループの持株会社です。
日本ペイントホールディングスとしては、中央・東ヨーロッパ市場での塗料事業地盤を構築し、業績拡大を目指します。
Evermore Chemical Industry Co., Ltd.×Covestro Resins (Taiwan) Ltd.
2021年7月、台湾のEvermore Chemical Industry Co., Ltd.は、同じく台湾のCovestro Resins (Taiwan) Ltd.からオーバープリントワニス用UV硬化型コーティング剤事業を譲受しました。譲渡価額は約15億1千万円です。
Evermore Chemical Industry Co., Ltd.は、日本のアイカ工業の連結子会社で靴・繊維・日用品用途のウレタン樹脂やアクリル系モノマー・オリゴマーおよび光学用途のUV(紫外線)硬化樹脂などを製造・販売しています。
アイカ工業は、化成品事業、建装建材事業を行っている企業です。Covestro Resins (Taiwan) Ltd.は、化学工業用原料・塗料・顔料用途樹脂の製造・販売を行っています。アイカ工業としては、海外事業の推進のためにこのM&Aを実施しました。
Nippon Paint (M) Sdn. Bhd.×Vital Technical Sdn. Bhd.
2021年3月、マレーシアのNippon Paint (M) Sdn. Bhd.は、同じくマレーシアのVital Technical Sdn. Bhd. の株式75%を取得して子会社化しました。取得価額は公表されていません。
Nippon Paint (M) Sdn. Bhd.は、日本ペイントホールディングスの完全子会社です。Vital Technical Sdn. Bhd. は、シーラント・接着剤の製造・販売を行っています。
日本ペイントホールディングスとしては、東南アジア地域におけるグループの塗料事業の成長を加速させるために実施したM&Aです。
東京インキ×荒川塗料工業
2021年1月、東京インキは、荒川塗料工業の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。荒川塗料工業は、紙加工用塗料や建築用塗料などの製造・販売を行っている企業です。
東京インキは、オフセットインキ・グラビアインキ・インクジェットインク・マスターバッチ・樹脂コンパウンド・工業材料・包装材料の製造・販売、印刷用材料・印刷機械・仕入商品の販売などを行っています。
東京インキとしては、販売・生産・技術面での高いシナジー効果に期待してM&Aを実施しました。
Sun Chemical Corporation×Sensient Imaging Technologies
2020(令和2)年6月、アメリカのSun Chemical Corporationは、同じくアメリカのSensient Imaging Technologiesの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。Sun Chemical Corporationは、日本のDICの完全子会社です。
DICは、印刷インキ・有機顔料・合成樹脂などの製造・販売を行っています。Sensient Imaging Technologiesは、テキスタイル用途(布地を染める用途)のジェットインキ事業が中心の企業です。
DICとしては、グループとしてこれまで取り扱いのなかったテキスタイル用ジェットインキを、新たに製品ポートフォリ オに加えることで企業価値向上を図ります。
日本ペイントホールディングス×DuluxGroup
2019(令和元)年8月、日本ペイントホールディングスは、主に豪州・ニュージーランドでハイブランドの塗料・DIY用品の製造販売事業を行うDuluxGroup Limitedの全株式を取得し完全子会社化しました。取得総額は、約3,005億円です。
日本ペイントホールディングスは、2018(平成30)年度から開始した中期経営計画で、「アジアでの圧倒的ポジションを確立しグローバルに成長を加速する」ことを掲げ、新しい価値の創造を続けるリーディングカンパニーとなることを図っています。
日本ペイントホールディングスはこの買収により、建築用塗料事業で強固なポジションを確保しつつ、地域ポートフォリオを成長が著しい地域と安定成長が期待できる地域のバランスが取れたものにすることで、事業基盤をさらに頑強にする計画です。
日本ペイントホールディングス×Betek Boya ve Kimya Sanayi Anonim Şirketi
2019年7月、日本ペイントホールディングスは、トルコのBetek Boya ve Kimya Sanayi Anonim Şirketiの株式95.915%を取得して子会社化しました。取得価額は約281億4千万円です。
Betek Boya ve Kimya Sanayi Anonim Şirketiは、グループ会社9社の体制で建築用塗料・建設用材料の製造・販売を行っています。日本ペイントホールディングスとしては、トルコでトップシェアの企業グループを傘下に加えることによって、アジア市場の業績拡大が狙いです。
アクゾ・ノーベル×GIC、カーライル・グループ
アクゾ・ノーベルは、オランダの塗料・塗料卸売業界のトップでると同時に世界トップの大手です。これまで何度もM&Aを行いその規模を拡大し、特殊化学薬品部門を持つなど事業の多角化も行ってきています。
しかし、2018年3月、アクゾ・ノーベルは、シンガポールの政府系投資会社GICとアメリカの投資会社カーライル・グループに特殊化学薬品部門を売却すると発表しました。アクゾ・ノーベルとしては、多角化した事業の選択と集中を行った模様です。
日本ペイントホールディングス×アクサルタ
これはM&Aに失敗した事例です。2017(平成29)年12月、日本の塗料・塗料卸売業界でトップクラスのシェアを誇る日本ペイントホールディングスは、世界第7位でアメリカのアクサルタを買収しようとしましたが失敗に終わりました。
アクサルタとのM&Aが実現しなかった理由は、デューデリジェンスの際に提供する情報の不足や、各国でのシェアの重複、アクサルタが抱える有利子負債などです。また、アクサルタがアクゾ・ノーベルとのM&Aも検討していたことも失敗の大きな理由だといえるでしょう。
シャーウィン・ウィリアムズ×バルスパー
2017年6月、アメリカ塗料業界大手のシャーウィン・ウィリアムズは、アメリカの同業バルスパーを買収しました。
これによりシャーウィン・ウィリアムズは、自社が専門としている建築用塗料の分野と、バルスパーが専門としている商品容器塗料の分野を合わせることで、高い製品補完性を獲得したことになります。
また、バルスパーが持つ販売網、欧州事業やアジア事業を獲得することにより、海外進出の道を切り開きました。シャーウィン・ウィリアムズのM&Aは海外進出や販路拡大など、塗料・塗料卸売業界で行われるM&Aの模範的な事例だといえます。
この買収でシャーウィン・ウィリアムズは、世界第3位から2位に浮上するなど、シェアの拡大に成功しました。
塗料・塗料卸売業界のM&Aにおけるメリット
塗料・塗料卸売業界でM&Aを実施した場合に得られるメリットについて、買い手・売り手に分けて解説します。
塗料・塗料卸売業界のM&Aで買い手が得られるメリット
塗料・塗料卸売業界のM&Aで買い手が得られるメリットは、その目的によって分かれます。代表的な2つのケースで見てみましょう。
海外進出を目的としたM&Aの場合
海外進出を目的としたM&Aの場合、得られるメリットは海外進出の効率化だといえるでしょう。海外進出は手間やコストがかかるため、ゼロから顧客や取引先を開拓するのは簡単ではありません。
しかし、M&Aであれば海外進出にかかる手間やコストを省け、スムーズに海外進出を実現できます。塗料・塗料卸売業界は新興国への進出が多いですが、その国の市場シェアを大きく獲得できれば、多大な利益を上げられるのです。
また、世界的に見て塗料・塗料卸売業界はグローバル化が進んでおり、M&Aを用いて各国のシェアを獲得するのが今の主流となっています。そのため、海外進出を目的としたM&Aのノウハウや知識は、塗料・塗料卸売業界にとって必要不可欠な位置付けとなりました。
企業の規模拡大を目的としたM&Aの場合
塗料・塗料卸売業界の大手企業同士が行う、事業規模拡大を目的としたM&Aの場合も、買い手にはさまざまなメリットがあります。大手企業同士のM&Aであれば、互いの顧客や販路を使用できるだけでなく、ノウハウや技術を合わせることで新たな事業の立ち上げも可能です。
また、企業の規模を拡大することは、海外進出するうえでも重要なポイントになります。元来、塗料・塗料卸売業界は石油価格の変動の影響を受けやすく、海外進出を実現すれば各国の政治情勢や金融情勢により、経営に支障が生じるかもしれません。
しかし、規模を拡大した企業であれば財務基盤が強まるため、石油価格の変動や政治情勢、金融情勢の影響に振り回される度合いは低くなります。
さらに、塗料・塗料卸売業界は、特定用途の塗料・顔料に特化したメーカーも多くありますが、新たな種類の塗料・顔料を扱いたい企業が、それを手掛けているメーカーを買収すれば、手軽に事業の幅を広げられるのです。
塗料・塗料卸売業界のM&Aで売り手が得られるメリット
塗料・塗料卸売業界の中小企業の場合、大手企業に買収されれば、豊富な資金や人材を取り入れられるため、経営基盤が強化されます。仮に経営不振に陥っていたとしても、親会社のノウハウやリソースを得れば、経営の立て直しもスムーズに進むでしょう。
さらに、中小企業が抱える事業承継問題もM&Aで解決できます。現在、中小企業では後継者不在の会社が増えており、経営者の引退時に廃業するケースも少なくありません。そこで、M&Aで会社を売却し第三者に経営を委託できれば、経営者の引退後も会社は存続できます。
従業員の雇用は守られ、売り手は売却益を獲得できるのです。
そのような後継者不在でお悩みの場合やM&Aによる事業承継を検討されている場合には、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしてM&A・事業承継をサポートいたします。
また、通常、M&Aでは半年〜1年程度の期間が必要ですが、最短3カ月で成約した実績を有する機動力もM&A総合研究所の強みです。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」となっています(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
随時、無料相談をお受けしておりますので、塗料・塗料卸売業界でのM&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。
塗料・塗料卸売業界のM&Aを成功させる5つのコツ
塗料・塗料卸売業界のM&Aを成功させるコツとして、以下の5項目を説明します。
- 海外進出を目指したM&A
- 新興国の塗料・塗料卸売会社を買収する
- 国内需要喚起のための統合・合併
- 大手企業の傘下入り
- 専門家への相談
海外進出を目指したM&A
塗料・塗料卸売業界で買収側の立場であるならば、国内企業とのM&Aよりも海外企業とのM&Aに目を向ける法がいいでしょう。その理由は、塗料・塗料卸売業界の国内市場はシュリンク状態にあるためです。
M&Aは、買収資金を用意し、交渉や手続きに時間をかけて行わなければなりません。そのような労力やコストをかけるのですから、M&A実施後、より業績が拡大できる可能性の高いM&Aを実施すべきです。
新興国の塗料・塗料卸売会社を買収する
塗料・塗料卸売企業が海外進出を図る場合、新興国の塗料・塗料卸売会社の買収も得策です。先進国の欧米市場の場合、すでに大手企業が市場シェアを占めており、中小規模の塗料・塗料卸売会社を買収したとしても進出は難しいと言わざるを得ません。
一方、これから市場拡大も見込める新興国の塗料・塗料卸売業界であれば、現地企業を買収し、いち早く経営基盤を確立することで、業績を上げることが可能になります。
国内需要喚起のための統合・合併
塗料・塗料卸売業界で一定の規模を持つ会社同士であれば、M&Aでの合併や経営統合を実施することによって、事業規模拡大によるスケールメリットが得られ、市場シェアも上がることから有利な立場になれます。
また、塗料・塗料卸売業界の中小企業の場合でも、3社以上でなるべく多くのの会社がM&Aで合併や経営統合できれば、大手企業と対抗し得る勢力となれるでしょう。特に異なったタイプの塗料を扱う会社が集まった場合に、その効力は増します。
以上2つの観点であれば、塗料・塗料卸売業界における国内企業同士のM&Aも有望です。
大手企業の傘下入り
塗料・塗料卸売業界の中小企業において、現実的なM&A戦略としては、同業の大手企業グループ入りすることでしょう。自社が培ってきた技術やノウハウ、従業員の持つ経験などを無駄にせず、また、業績向上を目指す手段としてM&Aは最適です。
特に、経営者が高齢で後継者不在状態であれば、会社の存続のためにもM&Aの検討は急務と言えます。
専門家への相談
M&Aの各プロセスでは、専門的な知識と経験が欠かせません。取引相手探しから始まり、売却側に対する企業価値評価やデューデリジェンス、シビアな条件交渉、各種契約書の作成とチェック、M&A後のPMI(経営統合プロセス)など、難しいプロセスが目白押しです。
それらを円滑に進めるためのサポートや、決断が必要な場面での的確なアドバイスを得るために、M&A仲介会社などの専門家の存在は大変、重要です。M&Aの検討初期段階から、専門家への相談をおすすめします。
M&Aを成功させるノウハウについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
塗料・塗料卸売業界のM&Aのまとめ
塗料・塗料卸売業界は国内市場の低迷もあり、今後は海外進出や大手企業の規模拡大、組織再編のM&Aが重要になってきます。そのため、塗料・塗料卸売業界の企業は、海外進出を想定した経営戦略が求められるでしょう。
塗料・塗料卸売業界は新規参入が難しい業界であるため、この傾向はしばらく続く可能性が高いと予測されています。いずれにしろ、M&Aの検討・実施にあたっては、M&A仲介会社などの専門家に相談するのが得策です。
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