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2020年1月11日更新
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子会社の株式譲渡

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

子会社の株式譲渡は、通常の株式譲渡とは手続きや税金面で異なります。株式譲渡とは、自社株式を第三者に売却する形で実施するM&A手法です。株式譲渡のメリット、国内・海外子会社が株式譲渡で課される税金、事業譲渡類似株式、租税条約についても解説します。また取締役会決議(株主総会決議)、株主名簿の書き換えについても解説します。

目次
  1. 子会社の株式譲渡
  2. 株式譲渡とは?
  3. 子会社の株式譲渡手続き
  4. 子会社の株式譲渡で生じる税金
  5. まとめ

子会社の株式譲渡

企業規模に関係なく、M&Aの活用が一般化しています。どんな企業も、何かしらの目的を持ってM&Aを実施しており、主な目的としては、主力事業への集中、多角化、事業規模の拡大が考えられます。中には、子会社を売却する形でM&Aを実施する会社も存在します。

子会社とは、親会社に経営の決定権がある会社となり、親会社は子会社のM&Aを好きなタイミングで実施できます。子会社を売却する目的は、経営再建が考えられるでしょう。例えば最近では、東芝が子会社を売却した事例が有名です。

子会社を売却し、親会社は売却資金を用いて経営再建に注力できます。子会社の売却方法は、株式譲渡と呼ばれる手法が用いられるケースが多く、通常の手法とは手続きや税金面で異なります。

M&Aで会社の子会社の株式譲渡を検討している場合、M&A仲介会社を利用しましょう。なかでもM&A総合研究所は、公認会計士が在籍しているM&A仲介会社です。もし、M&A総合研究所にご相談頂ければ、M&Aが成功するように経験豊富な専門家が、ニーズに合った買収先企業をご提案致します。

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株式譲渡とは?

まずはじめに、通常の手法についてご紹介します。

⑴株式譲渡の概要

株式譲渡とは、自社株式を第三者に売却する形で実施するM&A手法です。売り手側は株式譲渡を行いますが、買い手側の方は対価として現金を支払うことになります。すべての株式を第三者に売却すれば、会社の経営権をすべて買い手側に移転できます。株式譲渡は他のM&A手法と比べて手続きが非常に簡便であり、M&Aによって生じる税金の負担も軽くなります

以上の理由から株式譲渡は、中小企業のM&Aで最も活用されている手法となっています。ただし事業や資産の一部のみを売却するケースでは活用できません。一部の資産や事業のみを売却する際は、事業譲渡や会社分割を実施します。

株式譲渡は、株式の移転によって経営権が移転するため、個人事業主の方は活用できません。しかし株式会社にとっては非常に使い勝手の良い手法でしょう。ただ日本のM&A市場は、業界によっては売り手市場になっており、条件の合う買い手が見つからないこともあります。

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⑵株式譲渡のメリット

株式譲渡のメリットは前述の通り、複雑な手続きがないということが挙げられます。そのため、面倒な債権者保護手続きや特別決議が原則不要です。ただし、子会社の株式譲渡では、特別決議が必要となる場合があります

また手続きが簡単なため現金化が早く、売り手側の経営者は多額の創業者利益を獲得できます。株式譲渡では、ノウハウや技術といった無形資産の価値も評価されます。そのため事業を継続して得られる利益より、多くを獲得できる可能性があります。

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子会社の株式譲渡手続き

子会社の株式譲渡に関する手続きは、通常の株式譲渡のケースとはいくつか異なる点があります。子会社を売却する場合の手続きについて、以下でご紹介します。

⑴一般的な株式譲渡手続き

自社の株式譲渡を行う際に必要な手続きをご紹介します。自社の株式売却を行う場合は、基本的に取締役会(普通決議)または株主総会による承認が必要です。原則株式の売買は、自由に実行できますが、大半の中小企業では、特定の株式に「譲渡制限」をかけています。

「譲渡制限」とは、非上場会社などの中小企業が発行する株式の中で、特定の1株を自由に譲渡できないよう制限をかけることで、これは好ましくない第三者に、議決権が渡るのを防ぐ目的で設定されています。譲渡制限がある場合、取締役会または株主総会で、M&Aの実施を承認しなくてはいけません。

取締役会が存在する場合には取締役会決議が必要となり、ない場合には株主総会による決議となります。また株式譲渡契約を締結後、株主名簿の書き換えを実施する必要があります。株主名簿を書き換えないと、M&Aの効力が正式に認められないので注意しましょう。

ただし株券を発行している場合には、名義書換えは不要です。以上が、一般企業で必要となるケースです。

⑵子会社の株式譲渡手続き

近年は、子会社を親会社が売却するケースが増加しています。子会社の売却で必要な手続きはどうでしょうか?子会社の株式譲渡でも、原則的に取締役会決議(普通決議)で事足ります。しかし、一定条件に当てはまる子会社売却の場合、特別決議が必要となります。

特別決議は、普通決議よりもさらに重要な事柄を決定するための株主総会です。議決権株式総数の過半数の出席と、出席株主の内3分の2の賛成が必要です。子会社の株式譲渡のうち、下記条件に該当する(双方を満たす)場合には特別決議が必要です。

  1. 売却する子会社株式の帳簿価額が、親会社総資産額の5分の1を超える
  2. 株式譲渡によって、親会社が子会社議決権のうち過半数を保有しなくなる

実は、数年前まではこのような取り決めはありませんでしたが、平成26年度の会社法改正によって、子会社の株式譲渡による手続きに変更が生じました。背景には、子会社売却が事業譲渡と同様の効果をもたらすという現状があります。実質的に親会社の一事業を、第三者に譲渡した場合と変わらないからです。

従来から一部の事業譲渡では、特別決議が必要となっていました。その一方で、子会社の売却には株主総会(特別決議)が不要でした。ほぼ同様の効果を得られるのにも関わらず、これでは不公平となります。

そのため、一部の子会社の株式譲渡でも株主総会(特別決議)が必要となったのです。子会社の株式譲渡を実施する際には、手続きの際に注意が必要です。

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子会社の株式譲渡で生じる税金

株式譲渡で生じる税金を解説します。

⑴一般企業が株式譲渡で課される税金

まずは一般企業が株式譲渡で課される税金についてご紹介します。通常のケースでは、売り手の株主によって課される税金が異なります。つまり、株主が個人か法人かによって、税金の種類が異なります。

①個人が株主の場合の税金

株主が個人の場合、売却によって得られる利益は、その個人の所得(譲渡所得)と見なされます。よって譲渡所得に対して、所得税や住民税が課されます。また所得税率や住民税率は、譲渡所得の金額に関係なく一定であり、譲渡所得は、M&Aによって獲得した金額から、諸々の費用を差し引いた部分になります。

ここで言う費用とは、取得費と譲渡費用を指します。取得費は、会社設立時に株式を取得するのに要した費用であり、簡単に言うと資本金に該当します。なお取得費が不明の場合には、買収価格の5%を取得費として適用します。

一方で譲渡費用とは、M&Aを実施するのに要した費用です。M&Aアドバイザリーに支払った手数料等が該当します。

課税される税金は下記の通り計算されます。

  • 税金=(売却金額−諸々の費用)×所得税等(20.315%)

②法人が株主の場合の税金

法人が株主の場合、売却によって得られる利益は、法人が得た利益と見なされます。よって、本業で稼いだ利益と合算した上で、税金が課されます。そのため、他の損失と相殺できるメリットもあります。また法人の場合は所得税や住民税ではなく、法人税(他に住民税、事業税)が課されます。

法人税率は、各企業によって様々です。株式譲渡を実施する際は、事前に税率を確認しておきましょう。

⑵国内子会社が株式譲渡で課される税金

子会社の株式譲渡を実施した際には、どの様な税金が課されるのでしょうか?法人が子会社を株式譲渡した場合、一般企業の株式譲渡と何が違うのか、税務上の仕組みをご紹介します。

親会社に法人税が発生する

子会社を売却するのは、当然ながら親会社です。法律上、親会社が子会社の株主となります。よって子会社の株式譲渡を実施する際には、親会社側に利益が発生します。つまり子会社の株式譲渡では、親会社側に法人税が発生します。

そのため、法人税を計算する中で、どのように売るかを検討する余地があります。

配当金にほとんど税金がかからない

親会社は、子会社の配当金を受け取る場合は、ほとんど無税で吸い上げることができます。100%子会社からの配当金は、税務上は益金不算入にできます。また100%でなく3分の1超保有していれば、その配当金の大半が益金不算入になります。

益金不算入とは、会計上は親会社の収益として計上されますが、税務上は益金(収益)に算入されることはなく、課税所得の計算上控除されるためその全額に税金がかからないということです。

親会社と子会社の間で組織再編ができる

親会社と子会社の間では組織再編することが可能です。「組織再編」とは、親会社と子会社間で事業や契約関係、資産、負債などを変更・移動させることです。100%グループであれば、そのグループ法人内で事業や財産の移動を、税金がかからず無税で実行することができます。

資産に含み損益がある場合、税金の発生を繰り延べることが可能です。M&Aで子会社の株式譲渡する前に、組織再編によって財産移動させるなどし、余計な税金の発生が抑えられるというメリットがあります。

 

もし支払う税金を抑えたい場合は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロが、M&Aをフルサポートいたします。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。また費用に関しても「完全成果報酬型」の料金体系となっており、M&Aが成功するまで費用は一切かかりません。成果報酬の定数量についても業界最安値水準です。

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⑶海外子会社が株式譲渡で課される税金

海外子会社の株式譲渡では、どのような税金が課されるのでしょうか?基本的には、国内子会社と同様に法人税が生じます。ただし、子会社の所在地国でも課税される可能性があります。この点は、国内子会社の株式譲渡とは大きく異なるのでご注意ください。

では、どのようなケースで現地での課税が生じるのでしょうか?海外子会社の株式譲渡のうち、下記2つの条件を両方満たす場合に、現地での課税が生じます。

  1. 事業譲渡類似株式の譲渡
  2. 現地での課税を認める「租税条約」が結ばれている国でのM&A

では、一つ一つ丁寧に解説します。

①事業譲渡類似株式とは?

事業譲渡類似株式の定義は、定められた租税条約によって様々です。ただし一般的には、下記2つの条件を満たす株式と言われています。

  • 所有株数要件→子会社株式総数のうち、25%以上の株式を所有している
  • 譲渡株数要件→子会社株式総数のうち、5%以上の株式を売却する

②租税条約とは

租税条約によって、事業譲渡類似株式の売却に関して、現地での課税を認めている国が存在します。つまりその国でM&Aを実施する場合、現地での課税が生じる恐れがあります。具体的には、シンガポールや中国などで課税が認められています。

海外子会社の株式譲渡を実施する際は、税金の発生可否に注意しましょう。

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まとめ

今回は、子会社の株式譲渡について解説しました。子会社の株式譲渡と通常のケースとでは、手続きや税金面で相違点があります。子会社の株式譲渡を実施する際には、違いをあらかじめ把握しておきましょう。特に、海外子会社の株式譲渡には注意しなくてはいけません。

仕組みも複雑なので、海外M&Aに詳しい専門家に相談するのがオススメです。要点をまとめると下記になります。

【株式譲渡の概要】
  • 自社株式を第三者に売却する形で実施するM&A手法
【株式譲渡のメリット】
  • 手続きが簡便、経営者が創業者利益を得られる
【通常の株式譲渡で必要な手続き】
  • 取締役会決議(株主総会決議)、株主名簿の書き換えが必要
【子会社の株式譲渡で必要な手続き】
  • 株主総会(特別決議)が必要となる場合がある
【通常の株式譲渡で生じる税金】
  • 個人株主の場合は所得税や住民税、法人株主ならば法人税が生じる
【国内子会社の株式譲渡で生じる税金】
  • 親会社側に法人税が発生する
【海外子会社の株式譲渡で生じる税金】
  • 親会社側に法人税が発生、現地国で別に課税される場合もある

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