M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年10月22日更新業種別M&A
居酒屋のM&A・売却額の相場は?高く売るコツと成功のための注意点を徹底解説
居酒屋のM&Aを検討中ですか?本記事では、売却額の相場や高く売るための方法、成功の鍵となる注意点を専門家が解説します。後継者不在や事業拡大など、目的別のポイントもわかります。
目次
居酒屋M&Aにおける売却額の考え方
M&Aで事業あるいは会社を売却する際、どのような売却方法を用いるかや売却の注意点をどれだけ把握できるかなど重要なポイントは多くありますが、可能な限りおさえておくことで理想的な売却額に届きやすくなるでしょう。
ですが、M&Aを行う事業の業態によって押さえておくべき事柄が変わるため、今回は居酒屋のM&Aにスポットライトを当てて注意点や売却方法、相場などをお伝えしていきます。
居酒屋の売却方法
まずは、居酒屋を売却するための方法についてご紹介します。
株式譲渡
居酒屋を運営する会社が株式会社の場合に用いられる、最も一般的なM&A手法です。会社の経営権そのものである株式を売買することで、経営権を買い手に移します。
売り手企業は買い手企業の子会社となりますが、法人格は維持されます。そのため、従業員の雇用契約や許認可、取引先との契約などを個別に引き継ぐ必要がなく、手続きが比較的簡便でスピーディーに進められる点が大きなメリットです。
一方で、買い手は資産だけでなく負債や潜在的なリスク(簿外債務など)もすべて引き継ぐ「包括承継」となるため、事前のデューデリジェンス(買収監査)が極めて重要になります。
合併
M&Aの手法の中で、株式譲渡と並んで知名度が高いものが合併です。合併は株式譲渡と似ているイメージがありますが、実際は異なります。株式譲渡は売り手が買い手の子会社になりますが、合併は売り手の会社が消滅し、完全に買い手の会社の中に組み込まれます。
つまり、売り手は会社自体がなくなってしまうということです。経営者の中には会社がなくなってしまうため、合併に抵抗感を示す人もいます。しかし、合併は経営統合後の意思決定がスピーディーになりやすく連帯感も高まることから、経営統合後の会社経営がスムーズになります。
ただし、合併も包括的承継を行う手法であるため、売り手のリスクを買い手がすべて引き継ぐことになり、株式譲渡とは違い手続きが煩雑になりやすく、時間もコストもかかることから、株式譲渡と比べると使われる頻度は多くありません。
また、新しい会社に当事者の会社が経営統合される新設合併にいたっては、会社を一から作る必要があり、行われることは少ないです。
事業譲渡
会社全体ではなく、居酒屋事業のみを切り出して売買する手法です。複数の事業を展開している企業がノンコア事業を売却したい場合や、個人事業主が事業を譲渡する場合などに用いられます。
買い手は譲り受ける資産や負債を個別に選択できるため、不要な資産や簿外債務を引き継ぐリスクを避けられる点が最大のメリットです。
ただし、資産や契約などを一つひとつ移転させる必要があるため、手続きが煩雑になります。従業員との雇用契約も再度結び直す必要があり、飲食店営業許可などの許認可も買い手が新たに取得しなければなりません。また、売り手側には譲渡益に対して法人税が、買い手側には資産に対して消費税が課税される点にも注意が必要です。
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居酒屋M&Aの売却額相場と近年の動向
中小企業のM&Aは非公開で進められることが多く、居酒屋の正確な売却額相場を把握することは困難です。一般的に、個人経営の店舗であれば数百万円から数千万円、複数店舗を展開する企業であれば数千万円から数億円が目安とされています。
2024年以降の市場動向を見ると、コロナ禍からの回復やインバウンド需要の増加を背景に、飲食業界のM&Aは活発化しています。一方で、深刻な人手不足や原材料・光熱費の高騰が収益を圧迫しており、店舗の収益性や効率的な運営体制が以前にも増してシビアに評価される傾向にあります。立地やブランド力、利益率の高い居酒屋は高値がつきやすい一方、収益性の低い店舗の売却は厳しい交渉になる可能性が高いでしょう。
居酒屋の売却額(企業価値)を算定する3つの方法
居酒屋の売却額は、買い手と売り手の交渉によって最終的に決まりますが、その基準となる企業価値は専門的な手法を用いて算定されます。主に以下の3つのアプローチが用いられます。
①コストアプローチ(時価純資産法)
貸借対照表上の資産から負債を差し引いた「純資産」を基準に企業価値を評価する方法です。帳簿上の価格ではなく、不動産や在庫などを現在の市場価値(時価)で評価し直すため、客観性が高いのが特徴です。ただし、将来の収益性やブランド価値は反映されにくいという側面があります。
②インカムアプローチ(DCF法)
事業が将来生み出すと予測されるキャッシュフロー(現金収益)を、リスクを考慮した割引率で現在価値に割り戻して企業価値を算出する方法です。成長性が高い居酒屋の価値を評価するのに適していますが、将来予測の精度に結果が大きく左右されるため、客観的な事業計画が不可欠です。
③マーケットアプローチ(類似会社比較法)と営業権
上場している同業他社や、過去の類似M&A事例などと比較して企業価値を評価する方法です。市場の動向を反映しやすいメリットがありますが、比較対象となる適切な企業や事例を見つけるのが難しい場合があります。
また、居酒屋のM&Aでは、これらの計算に加えて「のれん代(営業権)」が加味されます。これは、立地、ブランド力、顧客リスト、従業員のスキルといった無形の資産価値を評価したもので、売却額を大きく左右する重要な要素です。
居酒屋を高く売却するための3つのポイント
居酒屋の売却金額を上げるにはどうしたらいいのでしょうか。具体的な方法には、以下のようなものがあります。
買い手のニーズに応える
売却時において、買い手のニーズに応えることは売却額を上げるポイントです。M&Aはあくまで会社の売買であるため、買い手は買収するメリットがあるかを重視します。つまり、買い手のニーズに応えられる会社であれば売却額を上げやすくなるということです。
居酒屋で買い手が求めているのは主に「事業エリアの拡大」と「人手不足」などです。居酒屋は店舗を増やすだけでもスケールメリットを享受できて収益を挙げられます。そのため、多くの居酒屋チェーンは既存の居酒屋を買収することで事業エリアを拡大しています。
また、人手不足の解決にM&Aを積極的に行う居酒屋も多くあります。居酒屋は過酷な労働条件や安い賃金から「ブラック企業」のレッテルが貼られやすく、新卒に不人気な事業の一つです。そのため、既存の居酒屋を買収することで少しでも多くの人員を手に入れようとする居酒屋が増えています。
売り手の居酒屋が提供しているサービスも買い手が注目しているポイントです。居酒屋はサービスも重要な商品といっても過言ではなく、独自性の高いサービスは評価されやすい傾向があります。
オリジナリティのある料理や質の高い接客対応、斬新なサービスがあるだけでも売却額が上がるきっかけになるでしょう。
リスクの軽減
M&Aの交渉過程で実施されるデューデリジェンス(買収監査)で重大なリスクが発覚すると、売却額の大幅な減額や、最悪の場合、交渉決裂の原因となります。事前に潜在的なリスクを洗い出し、可能な限り解消しておくことが高値売却の鍵です。
具体的には、以下のような点がチェックされます。
- 財務リスク:簿外債務、不明瞭な会計処理など
- 法務リスク:各種許認可の不備、取引先との契約内容、未払い残業代などの労務問題
- 事業リスク:店舗設備の老朽化、衛生管理体制の不備、主要な料理人や店長の退職リスク
これらのリスクを事前に整理・改善することで、買い手に安心感を与え、スムーズな交渉と高評価につながります。
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居酒屋のM&Aを成功に導くための注意点
居酒屋を売却する際には、以下のような注意点に配慮する必要があります。
日々の業務との兼ね合い
居酒屋のM&Aにおいて、最も難しいといえる点は日々の業務との兼ね合いでしょう。全国に店舗を持つ居酒屋チェーンのような規模の会社であれば業務分担しやすいため、M&Aを経営陣のみで進めることは可能です。
しかし、経営者自身がお店に立つことが多い中小規模や零細規模の居酒屋だとそうはいかないでしょう。経営者自身が居酒屋での業務をこなしながらM&Aを進めていくことは決して簡単ではありません。居酒屋はただでさえ過酷な労働になることが多く、M&Aを進める時間を確保することは難しいものです。
もし経営者が日々の業務に追われてしまうと、M&Aを行うことすらできなくなるでしょう。逆に、M&Aを進めることに注力してしまうと、日々の業務がおろそかになってしまうリスクが発生します。
M&A仲介会社など専門家の活用は不可欠
M&Aは買い手とのマッチングや交渉、契約などさまざまなプロセスがあり、それぞれを適切にこなさなければなりません。これが日々の業務とM&Aの進行を同時に行う難しさであり、それでもM&Aを適切な形で進めていくためには専門家の起用がベストだといえます。
M&Aの専門家を起用することで、買い手選びや交渉、契約などのプロセスを任せることができ、経営者はこれまでと同様に日々の業務をこなしているだけでM&Aを進められます。
また、M&Aは法務や税務などの専門知識を多く必要とするため、経営者が一から勉強するよりも専門家を起用したほうが負担が軽くなります。
実際、業種にかかわらずM&Aを行う際は専門家のサポートを受けて進めていくのが一般的ですので、M&A仲介会社などの専門家に相談してサポートを依頼しましょう。
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居酒屋におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説
居酒屋の売却をご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には知識と経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
売却する目的をはっきりさせる
なぜ居酒屋を売却するのか、その目的を明確にすることがM&A成功の第一歩です。目的によって、交渉で優先すべき条件や最適な相手候補が変わってくるためです。
例えば、「後継者不足の解決」が目的なら従業員の雇用維持を最優先し、「事業の選択と集中」が目的なら売却額を重視するなど、優先順位をつけましょう。
目的が曖昧なまま交渉を進めると、売却すること自体がゴールになってしまい、価格や従業員の処遇など、本来守りたかったはずの条件で妥協してしまう失敗につながりかねません。
交渉の重要性を踏まえる
M&Aに交渉は不可欠なプロセスですが、この重要性をしっかり踏まえたうえで行うようにしましょう。売却額はさきほどお伝えしたように、買い手のニーズに応えられるかどうかや、リスクの有無だけでなく交渉によっても左右されます。
そもそもM&Aは、買い手と売り手の双方の考えが衝突する取引でもあります。当然、買い手はより安い価額で買収したいものですし、売り手はより高い価額で売却したいものです。そのため、お互いに妥協点を見出すことが交渉において重要となります。
特に、売り手が経営再建や事業承継などのように切実な理由でM&Aを行う場合は注意が必要です。売り手が切実な理由を抱えているほど、買い手は足元を見るようになるため、安い売却額でM&Aを進めようと強気で交渉してくることもあります。
M&Aに切実な理由を抱えているのなら、売り手はいかに交渉でうまく立ち回れるかが重要になります。ここでもM&A仲介会社などの専門家の協力を受けるのがおすすめです。交渉に長けたアドバイザーが協力してくれることで、お互いの妥協点を見い出してくれます。
居酒屋の売却はM&A仲介会社に相談
居酒屋の売却を行う際にはM&A仲介会社に相談しましょう。そもそも、M&A仲介会社はM&Aにおける買い手と売り手のマッチングやM&Aをスムーズに進めるアドバイザリー業務を行う会社です。
M&A仲介会社にはM&Aの経験や知識が豊富なスタッフが在籍しており、専門知識が必要なプロセスでも安心して任せられます。
中小規模のM&Aに対応するM&A仲介会社も多い
M&A仲介会社というと、M&Aの規模によってはサポートしてくれないイメージを持つ経営者も少なくありません。しかし最近では、中小企業や零細企業のM&A需要が増えており、それに伴って規模に関係なくM&Aを請け負う会社が増えています。
さらに、料金に関してもリーズナブルに設定しているM&A仲介会社も多く、完全成功報酬制の料金体系をとっている会社も多くあります。この点も、経営者にとっては嬉しいポイントだといえるでしょう。
また、M&A仲介会社の中には特定の業界・業種に特化している会社もあます。居酒屋など飲食店のM&Aを得意とするM&A仲介会社もありますので、居酒屋のM&Aを行ううえで非常に頼りになるでしょう。
悪質な業者には要注意
M&A仲介会社にサポートを依頼する際は、悪質な業者に注意する必要があります。M&A仲介会社の中には自社の利益ばかりを優先する業者もあり、何のメリットもないM&Aを勧めて強引に取引させようとしてきます。
もちろんそのような業者は少数ですが、注意しておくことに越したことはありません。サポートを依頼する前にそのM&A仲介会社の実績を調べたり、必要があれば他のM&A仲介会社からセカンドオピニオンを得るのもよい方法です。
居酒屋の売却をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には、知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、案件ごとにアドバイザーがつきM&Aをフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)セカンドオピニオンにも対応しておりますので、M&Aに関してお悩みの際はお気軽に無料相談をご利用ください。
居酒屋のM&A事例
最後に、居酒屋のM&A事例をご紹介します。中小企業のM&Aは非公開となることがほとんどなので、ここでは公表されている大手の事例を紹介していきます。
SFPホールディングスによるジョー・スマイルの買収
2019年1月、SFPホールディングスはジョー・スマイルを買収して子会社化しました。SFPホールディングスは居酒屋チェーンを展開するクリエイト・レストランツホールディングスの傘下企業であり、ジョー・スマイルは熊本市を中心に居酒屋を19店舗展開している会社です。
この買収によりSFPホールディングスは、独自ブランドを育成して強化することや事業エリアの拡大を図るとしています。
ジー・テイストによる湯佐和の買収
2018年9月、ジー・テイストは湯佐和を買収して子会社化しました。ジー・テイストは寿司屋や焼肉屋、居酒屋などを全国に700店舗以上展開する会社であり、湯佐和は神奈川県で居酒屋を13店舗展開している会社です。
この買収によりジー・テイストは、価格競争力を強化して収益力が向上するなどのシナジー効果により、会社の成長を図るとしています。
ユニゾン・キャピタルによるダイナミクスの買収
2017年6月、ユニゾン・キャピタルはダイナミクスを買収しました。ユニゾン・キャピタルは第二種金融商品取引や投資助言などを行う会社であり、ダイナミクスは多様なコンセプトで100店舗以上を展開している会社です。
ユニゾン・キャピタルはこの買収により、ダイナミクスへ経営リソースおよび成長資金を提供してさらなる成長を図るとしています。
まとめ
居酒屋のM&Aはエリアの拡大や買い手のニーズに応えること、経営上のリスク軽減などが理想的な売却額を達成するうえで重要です。ただし、これらのポイントを踏まえてM&Aを行うのは経営者だけでできることではありません。
特に交渉のような難しい場面では苦戦してしまうでしょう。理想的な売却額でM&Aを行いたい場合は、M&A仲介会社などの専門家を起用することをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。