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2019年4月6日更新
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期待収益率とは?求め方や意味、M&Aにおける期待収益率の活用

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

M&Aや株式投資にとって期待収益率の理解は欠かせません。期待収益率とはある資産の運用により、獲得が期待できるリターン(収益)の平均値を意味します。この記事では、期待収益率について分かりやすく解説します。

目次

    期待収益率

    投資やビジネスにおいて、ファイナンスの知識は必須と言っても過言ではありません。

    株式投資やM&Aの場面では、期待収益率が話題となります。

    期待収益率は様々な場面で役立つ概念ですので、知っておいて損はありません。

    この記事では、期待収益率について分かりやすく解説します。

    投資やM&Aに関心のある方必見です。

    期待収益率とは?期待収益率の意味

    まず最初に、期待収益率の意味について分かりやすくご説明します。

    期待収益率とはある資産の運用により、獲得が期待できるリターン(収益)の平均値を意味します。

    要求収益率とも呼ばれる期待収益率は、投資資金に対して、どの程度のリターンを期待できるかを表しています。

    投資する資産ごとに、期待収益率は異なります。

    最初からリターンが固定されている預金や国債等の安全資産の運用と比べると、値動きのある株式や外貨への投資は不確実性が高いです。

    ファイナンスでは不確実性をリスクと考えられており、不確実性(リスク)の高い投資ほど期待収益率も高くなる傾向があります。

    ハイリスクな資産であれば、投資家はそのリスクに応じた高いリターンを求めます。

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    期待収益率の求め方と計算方法

    この項では、株式投資で用いる期待収益率の計算方法(求め方)を解説します。

    ⑴個別資産の期待収益率

    期待収益率は、各状況における収益率に各状況の発生確率をかけた合計となります。

    つまり期待収益率は、下記の計算方法により求める事が出来ます。

    • 期待収益率=Σ{各状況における収益率×ある状況の発生確率}

    期待収益率の計算方法に関して理解を深める為に、例題を用いて解説します。

    例題1)ある株式は、景気の変動により下記の通り収益率が変動する。

    景気状況 確率 収益率
    好景気 0.4(40%) 20%
    現状維持 0.4(40%) 10%
    不景気 0.2(20%) 1%

     

    以上のデータを参考にすると、この株式の期待収益率は下記の通り計算できます。

    • 期待収益率=20%×0.4+10%×0.4+1%×0.2=12.2%

    つまりこの例題では、期待収益率は12.2%になります。

    ⑵ポートフォリオの期待収益率

    次に、複数の証券を組み合わせた場合(ポートフォリオ)の期待収益率について、2種類の計算方法をお伝えします。

    ①求め方その1

    ポートフォリオの期待収益率は、各証券の期待収益率の加重平均により求める事が出来ます。

    例えば期待収益率20%のA株式、期待収益率10%のB株式を、6:4の割合で投資する場合、ポートフォリオの期待収益率は以下の通り計算されます。

    • 期待収益率=20%×0.6+10%×0.4=16%

    以上がポートフォリオの期待収益率となります。

    この計算方法により算出した期待収益率を用いた場合、リスク(分散や標準偏差)の数値に誤りが生じるのでご注意ください。

    リスクまで計算したいのであれば、次にご紹介する求め方を利用しましょう。

    ②求め方その2

    各状況におけるポートフォリオの収益率を算出してから、加重平均により期待収益率を計算する方法もあります。

    例えばA株式とB株式の状況別収益率が、下記であるとします。

    為替相場 確率 A株式収益率 B株式収益率
    円高 0.4 20% 5%
    不変 0.4 10% 10%
    円安 0.2 1% 20%

     

    まず初めに、ポートフォリオの収益率を算出します。

    A証券に60%、B証券に40%の資産をそれぞれ投資する場合、各状況におけるポートフォリオの収益率は以下になります。

    • 円高:20%×0.6+5%×0.4=14%
    • 不変:10%×0.6+10%×0.4=10%
    • 円安:1%×0.6+20%×0.4=8.6%

    ポートフォリオの期待収益率は、各状況の発生確率の加重平均により計算できます。

    • 期待収益率=14%×0.4+10%×0.4+8.6%×0.2=11.32%

    今回は求め方ごとに異なる数値例を用いた都合で答えが異なりますが、データが同一であればどちらの求め方を用いても、同じ期待収益率が算出されます。

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    期待収益率と資本コスト

    この項では、期待収益率と資本コストの関係をお伝えします。

    ⑴資本コストとは?

    資本コストとは、会社の資金調達に要するコストを意味します。

    株主への配当や銀行への利子、債権者への利払い等、資金調達に際して生じる費用を総称して資本コストと呼びます。

    資本コストは「株主資本コスト」と「負債コスト」の二種類で構成されています。

    株主資本コストとは、株式による資金調達により生じるコストであり、株主への配当金が該当します。

    株主は投資の見返りとして、最低限の利益率(期待収益率)を要求してきます。

    株主資本コストと期待収益率は、見方が違うだけで数値上は同じです。

    一方で負債コストとは負債の借り入れにより生じる費用であり、利息等が該当します。

    利息等の負債コストは、債権者の期待収益率と言えます。

    ⑵WACCとは

    株主資本と負債のいずれも利用している企業に関しては、WACC(加重平均資本コスト)により資金調達で発生するコストを把握します。

    WACCは下記の計算式により算出します。

    • WACC={株主資本×株主資本コスト+負債×負債利子率×(1−税率)}÷株主資本+負債

    WACCを求める際の株主資本コストは期待収益率ではあるものの、前述した方法ではなく「CAPM」と呼ばれるモデルを用いて算出する事が一般的です。

    詳細な違いの説明をすると話がややこしくなるので、とりあえず株主資本コスト(期待収益率)を用いるという認識で大丈夫です。

    WACC(資本コスト)は投資家と債権者の要求収益率の平均とも言える指標であり、様々な場面で役立ちます。

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    株式の期待収益率が債券の期待収益率を上回る条件

    次に、株式の期待収益率が債券の期待収益率を上回るための条件をお伝えします。

    一般的には、株式の期待収益率>債券の期待収益率である事は当たり前であると考えられていますが、必ずしもそうとは限りません。

    通俗的にそうであるべきと考えられているだけで、債券の期待収益率を上回るためには条件があります。

    ある企業に投資する際、株式と債券への投資の二種類を選択できます。

    株式の要求収益率が債券の要求収益率を上回る為には、株式に投資する魅力が債券へ投資する魅力を上回る必要があります。

    その為に企業側は、十分な配当を支払うかもしくは内部留保を用いて効率的に投資しなくてはいけません。

    債券にお金を出した方が魅力的であれば、株式の期待収益率は債券の期待収益率を下回ります。

    株式の期待収益率を債券の期待収益率よりも上回らせたい場合には、外部に株式投資への魅力を提示する必要があります。

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    M&Aにおける期待収益率の活用

    次にM&Aにおける期待収益率の活用について解説します。

    ⑴M&Aの実行可否に用いる期待収益率

    M&Aとは会社同士が合併したり、ある企業が他社を買収する手法であり、日本でも盛んに行われています。

    買い手側はM&Aの際、事業内容やシナジー効果のみならず、収益性についても考慮しなくてはいけません。

    M&Aの収益性を判断する上で、期待収益率は有用な指標の一つです。

    M&Aに要する費用とM&A後に生み出される期待収益率を比較して、期待収益の方が多ければM&Aの実行判断を下せます。

    買収価格が高いM&Aであるほどリスクも高まる為、当然ながら投資決定のラインとなる期待収益率も高くなります。

    例えば買収価格が10億円であれば、最低限必要となる収益(期待収益率)は10億円以上となります。

    一方で買収価格が100億円であれば、10億円の収益では採算が合わないのでM&Aの実行を見送ります。

    このように期待収益率を踏まえることはM&Aにおいて重要です。
    そのためM&Aを行う際には期待収益率も踏まえてアドバイスできる専門家が必要でしょう。
    その際にはM&A総合研究所にご相談ください。
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    ⑵企業価値の算定に用いる期待収益率

    期待収益率は企業価値の算定でも活用されます。

    企業価値の算定方法の一つに、「DCF法」と呼ばれる手法があります。

    DCF法では、将来得られるフリーキャッシュフローの現在価値合計を企業価値とします。

    フリーキャッシュフローを現在価値に割り引く際、前述したWACCを割引率として用います。

    WACCの算出には、株主の期待収益率が必要となります。

    以上の通り、M&Aでは期待収益率を活用する場面が出てきます。

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    リスクプレミアムと期待収益率

    最後に、リスクプレミアムと期待収益率の関係をお伝えします。

    リスクプレミアムとは、ある資産の期待収益率と無リスク資産の収益率の差を意味します。

    リスクのある資産は無リスク資産(リスクゼロの資産)と比べて、リスクの分だけ得られるリターンも大きくなります。

    リスクプレミアムは、リスクに応じたリターンがどの程度あるのかを表しています。

    計算式で表すと、リスクプレミアムは下記となります。

    • リスクプレミアム=ある資産の期待収益率−リスクフリーレート(無リスク資産の収益率)

    リスクプレミアムは個々の資産ごとに異なり、基本的にはハイリスクであるほどリスクプレミアムも高くなります。

    リスクプレミアムの理解を深める為に、例を用いて解説します。

    例えば手元にある100万円を、無リスク資産である長期国債と株式のいずれかに1年間投資するとします。

    長期国債に投資した場合には1%(1万円)の利益、株式に投資した場合には10%(10万円)の利益を獲得出来る場合、株式のリスクプレミアムは下記の通り計算出来ます。

    • リスクプレミアム=10%−1%=9%

    長期国債への投資では無リスクである代わりに1%の利益しか獲得できませんが、リスクがある株式に投資すれば9%分だけ大きな利益を獲得できる訳です。

    仮に他株式のリスクプレミアムが5%である場合、相対的にこちらの株式の方がハイリスクハイリターンであると言えます。

    リスクプレミアムを踏まえるなら、売り手の条件をしっかり吟味したうえで選ぶ必要があります。
    その際にM&A総合研究所のM&Aプラットフォームを活用した方がいいでしょう。
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    まとめ

    ファイナンスにおいて、不確実性をリスクと考えられており、不確実性(リスク)の高い投資ほど期待収益率も高くなる傾向があり、投資する資産ごとに、期待収益率は異なります。

    期待収益率は様々な場面で役立つので、知識を身につけ投資やM&Aに役立てましょう。

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