2021年11月30日更新会社・事業を売る

株式譲渡の方法とは?未上場企業、有限会社の手続きも紹介

株式譲渡は、M&A・事業承継において最も使われている手法です。株式譲渡の手続方法は、株主総会・取締役会それぞれで異なります。また株式譲渡の必要書類は複数あり、適切に取り扱わないとトラブルにつながるおそれもあるため、専門家に相談しながら手続きを取ると良いです。そこで、今回は株式譲渡の方法と、未上場企業、有限会社の手続きも紹介します。

目次
  1. 株式譲渡とは?
  2. 上場企業における株式譲渡の方法
  3. 未上場企業における株式譲渡の方法
  4. 上場企業と未上場企業の違い
  5. 未上場企業における株式譲渡の手続き・流れ
  6. 株式譲渡の方法と必要書類
  7. 株式譲渡の方法・手続きと注意点
  8. 株式譲渡の方法まとめ
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株式譲渡とは?

株式譲渡とは?

株式譲渡とは、主にM&Aや事業承継において、株式を他の人物あるいは他の会社に譲渡することで、経営権を引き渡す方法です。

M&Aや事業承継における他の手法と比較すると、簡単な手続きが済ませられる方法であり、役所への申請も必要ありません。

M&Aや事業承継において、株式譲渡は最も多く採用されており、メジャーな手法といえます。とはいえ中小企業では、株式が表舞台に出てくることが多くありません。株式譲渡の方法がよくわからない経営者も少なくないでしょう。

そもそも会社における経営権の所在は、株式の所有数によって決まります。基本的に会社の経営権は、全株式の3分の2以上を所有することで確定します。

未上場の中小企業であれば、経営者が100%の全株式を持っているケースも珍しくありません。株式譲渡は会社の経営権をそのまま引き渡す行為であるため、慎重に検討したうえで、実施する必要があります。

株式譲渡のメリット

株式譲渡には、事業譲渡や会社合併とは違ったメリットがいくつかあり、また、株式譲渡側・譲受側双方にもあります。双方にメリットがあるため、どちらの立場もを理解して取り引きを行う必要があり、そのメリットを、譲渡側と譲受側に分けてそれぞれ解説します。

譲渡側のメリット

株式譲渡を実施するメリット(譲渡側)は以下です。

  • 譲渡した株式の対価を受け取れる
  • 会社の事業を存続させられる
  • 後継者問題が解決できる
  • 複雑な手続きが必要ない

・譲渡した株式の対価を受け取れる
まず、株式譲渡側は譲渡した株式に応じた対価を現金として受け取ることが可能です。この場合、「非上場」の中小企業が保有している流動性の低い株式は、売却すること自体が難しいこともありますが、株式譲渡を実施して手続きが完了させれば、現金を受け取れます。

・会社の事業を続させられる
合併や買収などのM&A手法を選択した場合、売り手側の事業が消滅する可能性も考えられますが、株式譲渡では、株主が変わるくらいで、大きな変化は発生しないこともメリットに挙げられます。基本的に、譲渡側企業が運営している事業は存続します。

・後継者問題が解決できる
昨今では、中小企業で後継者問題が深刻化しており、多くの経営者の頭を悩ませています。そこで、株式譲渡を実施できれば、後継者問題が解決し、事業承継を達成することが可能となります。さらに、会社を廃業・清算する必要がないので、譲渡側企業の従業員への雇用も維持できます。

・複雑な手続きが必要ない
最後に、株式譲渡では比較的複雑な手続きをする必要がなく、その分短期間でスムーズに株式譲渡手続きを済ませられる傾向があります。

株式譲渡を行う人が、取引先・債権者などから同意を得る必要がないので、「取締役会または臨時株主総会」にて承認を得て、会社側の株主名簿を書き換えるだけで株式譲渡自体は完了します。

譲受側のメリット

続いて、譲受側のメリットを紹介します。

株式譲渡を実施するメリット(譲受側)は以下です。

  • M&Aを短時間で実行できる
  • 許認可などの再申請は不要

・M&Aを短時間で実行できる
株式の譲受側は、複雑な手続きが特に必要なく、スムーズに短期間でM&Aを実行することが可能となります。その分、M&Aにかかる費用も低く抑えることが可能です。

・許認可などの再申請は不要
さらに、株式譲渡によるM&Aでは、許認可も買い手側企業へ移転されるので、許認可の再申請などの面倒な手続きは不要となり、その分の文手間を省くことが可能です。

株式譲渡のデメリット

M&Aのどのスキームにおいても、メリット・デメリットの双方が存在します。株式譲渡は、中小企業の買収では多く用いられていますが、今度はデメリットも紹介します。株式譲渡を実施する際に考えられるデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

譲渡側のデメリット

株式譲渡を実施するデメリット(譲渡側)は以下です。

  • 税金が発生する

株式譲渡では、譲渡した株主(個人)は株式譲渡金額を手にすることが可能ですが、その金額は譲渡所得とみなされ、所得税や住民税の支払い対象となります。

その際の税率は「所得税:15%」「住民税:5%」「復興特別所得税:0.315%」で、計20.315%となっています。法人の場合は、法人税が適用されて「29%~42%」の課税率となっています。

譲受側のデメリット

続いて、株式譲渡を実施するデメリット(譲受側)は以下です。
 

  • 債券、債務なども引き継がなければいけない
  • 株式を買収への資金が必要

・債権、債務なども引き継がなければいけない
株式譲渡が成立すると、買い手側企業は、売り手側企業が持つものをすべて「引き継ぐ」ことになり、売り手側企業が抱えている債権や債務なども引き継がなければいけないというデメリットがあります。

その中でも、特に注意したいのが簿外債務の存在です。これは、帳簿上に明記されていない債務のことで、中小企業においては会計方式によって簿外債務が発生しがちです。簿外債務は、株式譲渡手続き時には発見できず、M&Aの完了後に、気付けば簿外債務を抱える結果になってしまうという場合もあります。

株式を買収への資金が必要
株式譲渡でのM&Aを実施する際に、株式を買収できるだけの資金を調達しなければならず、場合によっては株式買収をあきらめなければいけなくなるという事態も考えられます。

そこで、財務面や税務面で「専門的知識を持つ専門家」が大事となります。その依頼先の一つが「M&A仲介会社」になり、M&A総合研究所はM&A仲介業務実績が豊富にあり、知識・経験のあるアドバイザーが、M&Aプロセスを一から専任でサポートします。

株式譲渡での失敗を防ぐためにも、お気軽に下記へご相談ください。

【関連】M&A手法の株式譲渡とは?事業譲渡との違い、メリットや手続き、税務、家族間での譲渡も解説| M&A・事業承継の理解を深める

上場企業における株式譲渡の方法

株式譲渡によって株式を譲渡する方法は、保有株式が「上場会社の株式」か、「未上場会社の株式」かによって変わってきます。

まず、上場会社の株式譲渡では、公開取引市場における売買行為の手法が取られ、上場会社の株式を譲渡する場合は、基本的に公開取引市場で売るという方法がとられ、公開取引市場を利用して自由に売買することができます。したがって、比較的簡単に譲渡することが可能です。

未上場企業における株式譲渡の方法

日本の株式会社のほとんどがこの未上場会社にあたり、その株式譲渡の方法として、上場会社の株式が自由に売買できる状態に対して、主に「相対取引」という方法がとられます。

これは、「株式を保有する株主」と「株式を買いたい者・企業」が直接交渉をする取引方法です。さらに、未上場企業が発行する株式のうち「譲渡制限」が設けられた株式を譲渡する際には、対象企業からの「譲渡承認」を得る必要があります。

譲渡制限の定義

一般的に、中小や零細の株式会社の場合、「譲渡制限」がもうけられています。譲渡制限の定義とは、会社は、譲渡による株式取得について会社の承認を必要とすることを定款に定めることができます。

譲渡を制限された株式を譲渡制限株式と言い(会社法第2条17号)、会社が定款変更により、株式に譲渡制限をかけるときは、通常の定款変更に必要な株主総会の特別決議以上に厳格な決議が必要となります。

それは、議決権を有する株主の半数以上であり、かつ議決権を行使できる株主が保有する議決権の3分の2以上の賛成が必要(会社法第309条3項1号)。さらに、反対株主には株式買取請求権が与えられる(会社法第116条1項1号)となっております。

これは、譲渡への制限を設けることで、株式発行会社にとっての不都合な第三者により、株式が譲渡されてしまうことを防ぐことが主な目的となります。

譲渡制限株式の特徴

譲渡制限株式の特徴として、譲渡制限株式を譲渡する場合には「株主総会で承認を得る」や、「株主名義書換請求をする」などの手続きなどを経る必要があります。

ほとんどの中小や零細の株式会社の株式譲渡での場合では、未上場会社の株式譲渡を実施する際に、譲渡制限が設けられていないかを確認する必要があります。

【関連】株式譲渡の議事録| M&A・事業承継の理解を深める

上場企業と未上場企業の違い

ここでは、上場を果たしている上場会社と、上場していない未上場会社との違いをまとめています。

「上場」とはそもそも、株式、債券などを市場において売買可能な状態にすることを意味しており、その上場会社が発行する株式は、証券取引所において、自由に売買することが認められています。

反対に、未上場会社は「未上場」であるため、対象企業が発行する株式を証券取引所で自由に売買はできません。したがって、「上場会社が発行する株式」と「非上場会社が発行する株式」では、取引の方法が異なるのです。

さらに、上場会社と未上場会社では、以下のような違いがあります。
 

        上場企業          非上場企業
・株式を公開している
・証券取引所で自由に株式を売買できる
・株式を所有しているのは主に「投資家(株主)」
・株式公開をしているので「資金を集めやすい」
・株式公開をしているので「買収(敵対的買収)のリスク」がある
・【経営】株主の意見に左右されやすい
・株式を公開していない
・証券取引所で自由に株式を売買できない
・株式を所有しているのは主に「創業者」
・株式を公開していないので「資金を集めにくい」
・株式を公開していないので「買収(敵対的買収)」のリスクがない
・【経営】株主の意見に左右されない

株式会社と有限会社の違い

続いて、「株式会社」と「有限会社」の違いについてもまとめておきます。

大まかですが、「株式会社」は「株式」を発行することで資本金を集める形態の会社を言い、反対に「有限会社」は決算の公告義務が存在せず、取締役の任期に期限も設けられていない会社のことを言います。

他にも、必要な役員数や最低資本金額などの細かい部分でも多くの違いがあり、以下の表でまとめております。
 

               株式会社と有限会社の違い
     現在の株式会社       現在の有限会社
商号(会社名) 「株式会社」と入れる必要がある 「有限会社」と入れる必要がある
資本金の最低額 1円以上 300万円以上
資本金の出資者 発起人が出資額に応じ株主になる 出資額に応じて社員になったものが株主になる
  株式公開 任意 できない
必要な役員数 取締役最低1名 取締役最低1名
必要な役員数 取締役最低1名 取締役最低1名
代表取締役 必要 任意
取締役の任期 株式譲渡制限がある場合:最大10年
株式譲渡制限がない場合:2年
なし
社会保険の加入 義務 義務
決算の公告義務 あり(定款に方法を規定) なし
社員数の制限 なし なし
重要事項の決定機関 株主総会 株主総会
  信用度 高い 株式会社よりは低い


「有限会社」という会社形態は、2006年の新会社法の施行によって廃止され、「有限会社」は「特例有限会社」へ移行しました。現在「有限会社」と名乗っている会社は、2006年以前に有限会社として設立された会社です。

未上場企業における株式譲渡の手続き・流れ

ここから紹介するのは、未上場企業での株式譲渡の手続きや流れです。ここでの手続き方法は会社法により定められており、この方法に従って進めなければなりません。基本的な株式譲渡の手続き方法は、以下の流れで進行していきます。

  1. 株式譲渡についての承認請求
  2. 株主総会・取締役会の開催
  3. 承認内容の通知
  4. 株式譲渡契約の締結
  5. 株主名義書換請求・証明書交付請求
これら5つの手続き方法の流れについて、順番に詳しく見ていきます。

①株式譲渡についての承認請求

譲渡制限株式を第三者に譲渡することについて、会社に承認を求める手続きです。この請求を受けた会社は、株式譲渡について承認もしくは拒否の決定を下すことになります。当然ですが、自社の株式について譲渡制限がかかっていなければ、この手続きは不要です。

具体的な手続き方法としては、株式の譲渡する人物が株式譲渡承認請求書を作成します。この書類に譲渡する株式の種類・株式数と、株式を譲渡する相手の氏名・名称を記載することで、承認請求手続きを行います。

②株主総会・取締役会の開催

株式譲渡についての承認請求が承認されると、取締役会を設置していない会社では株主総会を、取締役会設置会社では取締役会を開催して、株式譲渡行為を承認するかどうか決議します。定款に別段の定めがあれば、取締役会設置会社であっても株主総会で承認決議の実施が可能です。

株主総会と取締役会では、承認決議の方法が若干異なるので、それぞれの違いを見ていきます。

譲渡承認機関が株主総会の場合

譲渡承認機関が株主総会のケースでは、株式譲渡についての承認請求があってから、2週間以内に臨時株主総会を開催する必要があります。株主総会が開催される1週間前までに収集通知を送るのが一般的ですが、会社の定款によってはより短い期間で設定されていることもあり、注意が必要です。

なお株式譲渡における承認決議では、普通決議を実施します。普通決議では、以下の両条件を満たすことで承認となります。

  • 議決権株式の過半数の出席
  • 出席議決権のうち、過半数の賛成

ちなみに​​​​​株主総会で株式譲渡が承認されれば、そのまま株式譲渡を実施できるものの、不承認になってしまった場合には、会社自体が株式を買い取るか、会社が指定した買取人に株式を売却することになります。

会社が株式を買い取るケースでは、株主総会で株式を買い取ることと、買い取る株式数について特別決議で承認を得なければなりません。また、指定買取人を決定して買い取らせるケースでは、株主総会の普通決議もしくは取締役会での承認を得る必要があります。

譲渡承認機関が取締役会の場合

譲渡承認機関が取締役会のケースでは、株主総会で株式譲渡の承認を得るプロセスが取締役会に変わります。取締役会の決議は、以下の条件のもと実施されます。

  • 議決に加わることができる取締役の過半数の出席
  • 出席議決権のうち、過半数の賛成

なお、出席数や賛成数の要件については、上回る割合を定款で定めている場合、それに従います。それ以外にも、株主総会とは手続きのうえで若干異なる点があるので、注意が必要です。

たとえば取締役会では、株主総会と同じように議事録を残す必要がありますが、株主総会の議事録では署名・記名押印が不要であることに対し、取締役会の場合では署名・記名押印が必要となります。

③承認内容の通知

株主総会や取締役会にて株式譲渡が承認されると、譲渡等承認者(株式を取得したい人)に対して、決定内容の通知を送ります。このとき、2週間以内に通知しなければなりません。

④株式譲渡契約の締結

株式譲渡が承認されてからは、株式譲渡を行う人と株式を取得する人との間で株式譲渡契約が締結されます。株式譲渡契約の締結時には、株式譲渡契約書を作成します。

株式譲渡契約書に記載されるのは、以下の内容です。

  • 譲渡の合意・譲渡日
  • 譲渡価格
  • 株式譲渡の目的
  • 対価の支払い方法
  • 取引内容
  • 譲渡実行日前後の誓約事項
  • 損害賠償・補償について

この株式譲渡契約書には、両者の押印が必要ですが、印鑑の種類に関して特別な定めはなく、認印でも問題はありません。ただし、一般的には実印が望ましいです。また、株式譲渡契約を締結するときは、その正当性の確認を公的機関にしてもらう必要はありません。

公的機関の手続きがいらないため、契約がスムーズに進むというメリットにも感じられますが、一方では株式譲渡契約の正当性を公的に保証してもらえないデメリットにも捉えられます。

たとえ株式譲渡契約の内容について正当性が欠けていても罰則などが発生せず、正当性を欠いた株式譲渡契約を締結しても、両者の合意さえあれば有効となっていまいます。そのため、中小企業で株式譲渡を行うケースでは、トラブルが発生しやすいので注意が必要です。

上記のリスクを避けるためにも、株式譲渡契約を締結するときには、会社法や株式に詳しい専門家にチェックしてもらうようにして、プロのサポートを得ることがよいでしょう

⑤株主名義書換請求・証明書交付請求

株式譲渡契約を締結して株式の譲渡が終わると、株式譲渡を証明する手続きとして、会社に株主名簿書き換え請求を行います。これによって株主名簿に株式譲渡を行った人の指名が記載されると、株式譲渡が完了し、株式は効力を発揮するようになります。

株主名簿書き換え請求に関しては、法律上問題ない限り拒否することはできません。株主名簿書き換えが済むと、新しい株主は株主名簿記載事項証明書の交付を請求することができます。株主名簿記載事項証明書とは、株主となったことを証明するものです。

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株式譲渡の方法と必要書類

株式譲渡制限がある非公開会社が株式を譲渡するときには、さまざまな書類の準備が必要となります。ここでは、譲渡承認機関が株主総会であるケースを例にとって、必要と書類を紹介します。

株式譲渡での書類は以下のとおりです。

  • 株式譲渡承認請求書
  • 株主総会招集に関する取締役の決定書
  • 臨時株主総会招集通知
  • 臨時株主総会議事録
  • 株式譲渡承認通知
  • 株式譲渡契約書
  • 株式名義書換請求書
  • 株主名簿
  • 株主名簿記載事項証明書交付請求書
  • 株主名簿記載事項証明書

株式譲渡をするときは、後々のトラブルを避けるためにも、専門知識に長けたプロフェッショナルのチェックを受けながら書類を準備するのがおすすめです。

株式譲渡に関する手続き方法や書類の作成・準備について不安があれば、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&A・株式譲渡をしっかりサポートいたします。

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株式譲渡の方法・手続きと注意点

ここまで読めば、必要書類を含めて株式譲渡の手続きに向けた心構えができているでしょう。とはいえ、株式譲渡の手続きを実施するときには以下の注意点もあり、知っておかなければ将来的にトラブルが発生するおそれもあります。

  • 株券発行会社であれば、株券を交付する
  • 株式譲渡価格の算定方法を知っておく
  • 株式を譲渡すると税金が発生することを知っておく
  • 専門家のサポートを受けつつ厳密に実施する

株券発行会社であれば、株券を交付する

最近では、株券を発行していない会社が増加しています。このような会社は株券不発行会社と呼ばれ、譲渡する側と譲渡される側の合意だけで株式譲渡の効力が発生します。しかし、歴史の長い会社である場合など、現在も株券発行会社として登記されている会社も少なからず存在します。

株券発行会社に該当するならば、株式譲渡をするときに合わせて株券を交付しなければなりません。もしも株券を交付しなければ、株式譲渡の効力が発生しません。けれども、自社で株券を発行しているのかどうかわからないケースもあります。

上記で悩んだ場合は、法人登記を閲覧すると簡単に判明します。この法人登記において、株券を発行するという記載がなされているなら、株券発行会社です。不安であれば、株式譲渡の前にあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

株式譲渡の成立時における対応方法

上記で記載している「株券発行会社」と、「株券不発行会社」での成立時における対応方法には、大きな違いはありません。

しかし、株券発行会社の場合には株式譲渡請求が承認されます。よって、株式譲渡が成立した時点で株券の交付を行う必要があります。

一方、株券不発行会社の場合は、譲渡側・譲受側での合意が成されれば株式譲渡が成立となります。それに加えて株券発行会社では、株券の交付が実施されて初めて株式譲渡成立となります。

第三者への対応方法

株式譲渡を安全に成立させるためには、対抗要件が重要となります。これは、自分が特定の権利を有していることを第三者に主張するために必要な条件のことを言います。

まず、株券不発行会社の株式譲渡における対抗要件は、株主名義書換請求をして株主名義を変更してもらうことです。株主の名義を譲渡側から譲受側に書き換えてもらうことで、第三者に対し自分が株主であることを主張できます。

株式発行会社の株式譲渡の場合では、上記の株主名義書換請求で株主の名義を変更してもらうことは、会社に対しての対抗要件となり、第三者への対抗要件となるのは株券を保有していることとなります。

すなわち、譲渡側から株券の交付を受け、株券を自分に手元に保管している状態にする必要があります。

株主名義書換請求への対応方法

さらに、株券発行会社と株券不発行会社では、株主名義書換請求への対応にも違いがあるので、ここで紹介しておきます。

まず、株券不発行会社へ株主名義書換請求を実施する場合は、原則として、株式譲受側が単独で請求することはできません。これは、株式名簿に記載されている譲受側、相続人、承継者と共同で請求をする必要があります。

株券発行会社へ株主名義書換請求を行う際は、株券を会社に提示できる場合に限り、譲受側が単独で書換請求することが可能です。そこで、株券保有を会社側に証明できれば、譲受側と共同で書換請求する必要はありません。

(2)株式譲渡価格の算定方法を知っておく

無償ではなく有償にて株式を譲渡するケースでは、あらかじめどのような方法で株式譲渡価格を算定するのか知っておくと役立ちます。代表的な株式譲渡価格の算定方法として、以下の5つを紹介します。

  1. 純資産法
  2. DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)
  3. 配当還元方式
  4. 類似会社比較法(マルチプル法)
  5. 類似業種比準方式
それぞれの算定方法の特徴を順番に見ていきます。

①純資産法

純資産法では、帳簿価額をベースに株価を算定します。企業価値の計算方法の中でも比較的容易に算出できる方法です。しかし、将来の収益性が加味されないデメリットがあります。つまり、株式を譲渡する会社の将来性やキャッシュフローを無視してしまいます。

②DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)

DCF法では、キャッシュフローや将来の収益性と想定されるリスクを鑑みることで、株価を算定します。将来の収益性はあくまでも予測の域を出ません。計算する側の主観性が少なからず反映されてしまうのが特徴です。

前提条件を適切に設定すれば、株式の譲渡価格を正確に算定できます。

③配当還元方式

この方式は、株式の配当金額から1株当たりの評価額を算出する方法です。配当金と資本金のみで評価額を算出するので、高い客観性のある評価方法とは言い切れません。

本来、株式は会社全体の財産価値を分配したもので、適正評価をするために財産の全てを見なくてはならないと考えられています。

実際、配当金と資本金のみのみを評価対象とするこちらの方式では、会社の状況の一部しか評価できない面があるため、利用できるケースは限られています

④類似会社比較法(マルチプル法)

類似会社比較法(マルチプル法)とは、事業内容などが類似する上場会社の株価を参考にしながら株価を算定する方法です。そのため、客観性や現実味の高い譲渡価格を算定できます。類似する企業の株価が必しも見つかるとは限らないため、注意が必要です。

以下の動画で弊社M&Aアドバイザーが計算例を用いてマルチプル法について解説しておりますので、是非ご覧ください。

⑤類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、株式譲渡である対象企業と、同一業種・同一規模の企業と比較することで評価額を算出する方式です。

これは、国税庁が定めた基準に沿って評価されるので、客観性のある評価が可能というメリットがあります。ですが、そもそも相続税評価に対応する評価額算定方式であることから、株式譲渡の場合に利用すると、株式譲渡側にとっては株式価値が低くなってしまう可能性があり、注意が必要です。

有限会社の株式譲渡制限内容に関する注意点

有限会社(現在は特例有限会社を言う)の場合でも、株式会社と同様に株式譲渡を実施することが可能です。有限会社では取締役会を設置できないので、株式譲渡の承認決議は株主総会によって行われます。

有限会社の、株式譲渡制限に関する規定内容を変更することは不可能であるため、全て株式譲渡制限会社になるという特徴に注意が必要です。

譲渡制限株式は損益通算を行えない点を把握しておく

譲渡制限株式では、損益通算を行えない点を把握しておく必要もあります。仮に、上場企業の株式譲渡における確定申告の場面では、損益通算を活用することで、支払う税金(所得税・住民税)を抑えられます。

株式を譲渡すると税金が発生することを知っておく

株式を譲渡すると、所得税と住民税という2種類の税金が課されます。株式を譲渡したときの利益は元経営者が得るため、譲渡所得について所得税と住民税が課される仕組みです。

具体的に株式譲渡では、所得税が15%。住民税が5%課されます。なお、厳密にいえば平成25年から復興特別所得税(実質税率0.315%)の課税もあるため、合計20,315%の税金が課されることを覚えておくと良いです。

専門家のサポートを受けつつ厳密に実施する

前述したとおり株式譲渡では、公的な機関が介入しないこともあり、手続きをスムーズに進めることができます。事業承継やM&Aにおいて株式譲渡が多用されるのは、スムーズさが理由のひとつです。けれども、株式譲渡では、公的機関のチェックがありません。

そのため、株式譲渡契約の正当性が欠けていたり、株主総会を正しく開催しなかったというように、何かしら不備があっても罰則が発生しないのです。株式譲渡は、会社法によって定められている行為であり、会社法に則って厳密に実施されるべきです。

たとえ罰則が発生しないとしても、法律の範囲から出ることは許されません。特に気をつけるべきなのは、中小企業での事業承継です。中小企業の中には親族で経営している会社が多く、後継者も親族であることもあります

ここで株式譲渡を実施すると、正当な手続きを省略してしまったり、手続きを中途半端に終わらせてしまいがちです。会社法の定めを疎かにして中途半端に株式譲渡を実施してしまえば、後々のトラブルにつながる可能性があります。

場合によっては後継者に会社を引き継がせるタイミングでトラブルが発生し、会社の経営権を引き継ぐ後継者としての正当性が失われてしまう事態に陥りかねません。

親族同士であればコンセンサスが取りやすく、経営者の意向を踏まえたうえで株式譲渡を実施しやすいですすが、トラブルを未然に防ぐためにも専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

M&A総合研究所では、知識・経験豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)M&Aや事業承継において株式譲渡をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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株式譲渡の方法まとめ

今回の記事をまとめると、株式譲渡の特徴は以下のようになります。

  • 株式を譲渡することにより、会社の経営権を移譲する方法
  • 事業承継やM&Aでよく使われる
  • 会社法に則って行う必要があるが、公的機関のチェックを受けることがない
  • 譲渡承認機関が株主総会か取締役会かによって、プロセスが若干異なる
  • 正しいプロセスで行われなかったり、正当性の欠いた株式譲渡契約が締結される可能性がある
  • 中小企業の事業承継で株式譲渡を行うと、トラブルが発生するリスクが高くなる
  • 株式譲渡を行うならば、専門家のサポートを得ることが大切

株式譲渡は事業承継やM&Aにおいて最もよく使われる方法であり、経営者であれば何らかの機会で活躍する可能性があります。公的機関のチェックがない分、スムーズに手続きが進むことが株式譲渡の利点ですが、厳密に実施しないとトラブルが起きやすいです。

株式譲渡を行うときは、そのプロセスをしっかりチェックしておくと同時に、株主総会や取締役会といったプロセスを軽視しないことが大切です。専門的な知識を持つプロフェッショナルの助力を得ることで、トラブルを未然に防ぐようにすると良いです。

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