M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2021年6月8日更新節税
株式譲渡したときの税金とは?種類やおすすめの節税・計算方法のまとめ
株式譲渡を行った際は税金を納める必要がありますが、税金負担は案件によってはとても大きくなるので、税金がどの程度かかるかを事前に把握しておく必要があります。本記事では、株式譲渡の際に納める税金の種類や税金の計算方法、税金を抑える方法を紹介します。
株式譲渡したときの税金とは?
株式譲渡を実施した場合、売り手は譲渡益に対して税金を納める必要があります。また、場合によっては株式を受け取った側が相続税や贈与税といった税金を納める必要もでてきます。
株式譲渡に伴う税金は、案件によっては高額になることもあります。そのため、あらかじめ税金がどの程度かかりそうかを想定しておくことは、株式譲渡後のプランなどを考えるためにも必要です。
また、税金の負担を抑えるためには、税金を抑えるための仕組みや制度などをうまく活用することもポイントです。
本記事では、株式譲渡の際に納める税金の種類や税金の計算方法、税金を抑える方法をご紹介します。
株式譲渡したときの税金の種類
株式譲渡を行った際に発生しうる税金には、主に以下の5つがあります。本章では、各税金が発生する条件などについて解説します。
【株式譲渡を行った際に発生しうる税金】
【株式譲渡を行った際に発生しうる税金】
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
- 法人税
- 相続税・贈与税(該当する場合)
所得税
所得税とは、個人の所得に課せられる税金です。所得税は収入を得た方法によって10種類に分けられ、株式譲渡によって得た利益は譲渡所得に該当します。
所得税の支払い方法には、総合課税方式と分離課税方式の2方式があります。総合課税とは、総合課税に該当する所得をすべて合算したうえで支払う税金を計算する方式です。
一方、分離課税とは、ほかの所得との合算はせず、該当する所得だけに設定された税率で計算して税金を支払う方式です。
総合課税の場合は累進課税方式になっているので、所得額に応じて税率が変化していきます。一方、分離課税方式に該当する譲渡所得の場合は、税率が15%で固定されています。
実際には、復興特別所得税も合わせて株式譲渡の税金を算出するので、15%×2.1%=0.315%を足し合わせた15.315%を株式譲渡の所得税として支払うことになります。
住民税
住民税は株式譲渡による譲渡益に対して5%を乗じて課税されます。計算上は株式譲渡の譲渡益に対する税金としてほかの税金とまとめて算出しますが、税金の支払い時期は異なります。
住民税の支払い時期は、株式譲渡を行った年の翌年です。つまり、確定申告を行なった年に税金を支払います。
例えば、2020年に株式譲渡によって譲渡益を得た場合は2021年に確定申告を行い、その年の4月から5月頃に送られてくる税金の納付書を使い、4回に分けて税金の支払いを行います。
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に充てる目的の税金です。復興特別所得税は復興所得税の支払いがすべての納税者に発生するので、株式譲渡を行った際にも売り手側は復興特別所得税を支払う必要があります。
復興特別所得税は所得税額の2.1%となっているので、所得税15%×2.1%=0.315%を支払う必要があります。つまり、所得税と合わせると15.315%の税金を支払うことになります。
復興特別所得税には期限があり、2037年で終了することとなっています。そのため、この期間中に株式譲渡を行う場合はすべて復興所得税が発生します。
確定申告の際は、復興特別所得税についても自身で記入する必要があるので、忘れずに記入しなければなりません。
法人税
株式譲渡の売り手が個人である場合の税金は所得税が発生しますが、売り手が法人である場合は法人税が発生します。個人の税金は分離課税方式でしたが、法人の場合はほかの利益も合わせて税額が決定されます。
【法人が株式譲渡によって支払う主な税金】
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
株式譲渡の法人税は、株式譲渡の譲渡益に税率をかけることで算出され、地方法人税は法人税に10.3%をかけて税金を計算します。
また、法人住民税は法人税に応じて税金が決められ、法人事業税は株式譲渡の譲渡益によって3.4%~6.7%の範囲で税金が決まります。
相続税・贈与税(該当する場合)
株式譲渡の譲渡価額が適正な株価よりも著しく低い場合や無償で株式譲渡を行う場合は、買い手に相続税・贈与税が発生するケースがあります。
中小企業は専門家に企業価値評価を依頼しなければ適正な株価がわからないケースも多いので、株式譲渡の前に企業価値評価を行う必要があります。
相続税・贈与税は累進課税となっているので、株式譲渡価額が高いほど税金の支払いには注意が必要です。
株式譲渡したときの税金の計算方法
株式譲渡した際の税金は、一般的に以下のように計算します。譲渡価額は、企業価値評価やデューデリジェンスなどの結果を踏まえて、最終的には売り手と買い手の交渉によって決まります。
株式譲渡の税金は、譲渡価額から株式譲渡の際にかかった各種費用を引いたうえで算出します。
【株式譲渡したときの税金の計算方法】
- 譲渡価格−経費(取得費+委託手数料など)=譲渡所得
- 譲渡所得×21.315%=譲渡所得税
中小企業の場合、株式の取得費がわからないこともあります。そのような場合は、現在の評価額の5%程度を取得費として税金の計算を行うことがあります。
また、M&Aの専門家へ依頼した場合の手数料には、相談料・着手金・中間金・月額報酬・成功報酬などがあり、これらの手数料を合算して税金を計算します。譲渡価額から経費を引くことで、税金の計算に使う譲渡所得を算出することができます。
株式譲渡した際の確定申告
株式譲渡した際の確定申告は、上場企業の株式を株式譲渡するか、非上場企業の株式を株式譲渡するかによって変わります。
上場企業の株式を株式譲渡する場合は、証券会社の特定口座に株式を預けていて、源泉徴収ありになっていれば確定申告の必要はありません。
しかし、源泉徴収なしになっていたり、特定口座ではなく一般口座に株式を預けている場合は、確定申告が必要です。
一方、非上場企業の株式を株式譲渡する場合は確定申告が必要です。1年間で株式譲渡を行った合計額が20万円を超えると、翌年に確定申告をする必要があります。
なお、前述のように株式譲渡による税金は申告分離課税となっているので、損益通算をすることはできません。
株式譲渡したときにおすすめの節税方法
株式譲渡に伴う税金は、譲渡価額が高くなるほど負担が大きくなるので、税金の負担が事業承継を躊躇する原因にもなりかねません。
そこで、株式譲渡の際は、税金の負担を少しでも軽くする必要があります。本章では、株式譲渡に伴う税金の負担を軽減する代表的な方法を紹介します。
退職金の活用
株式譲渡の税金を減らすためによく用いられる方法のひとつが、退職金の活用です。売り手は株式譲渡による対価をすべて買い手から受け取るのではなく、一部を自社から退職金として受け取り、残りを株式譲渡の対価として買い手から受け取るようにします。
そうすることで、売り手は税金を減らすことができ、退職金を支払った会社は退職金を損金算入することができます。
ただし、退職金による税金対策は、あきらかに節税対策として過剰に行われた場合、損金算入が認められない可能性があります。株式譲渡の税金対策は、専門家にも相談しながら適切に行わなければなりません。
事業承継税制の活用
事業承継税制とは、旧経営者から後継者へ無償で株式譲渡を行う際に、要件を満たせば税金の支払いが猶予または免除される制度です。事業承継税制が適用されれば、相続税の8割が猶予されます。
事業承継税制を利用するには、旧経営者要件と後継者要件、会社要件、雇用維持要件を満たす必要があります。
特に注意が必要なのは雇用維持要件です。事業承継税制を適用するには、雇用の8割以上を5年間維持しなければなりません。
以前までは事業承継税制の適用要件が厳しく、活用する企業はごく一部でした。そこで、2019年に行われた税制改正で要件は緩和され、多くの企業が適用しやすい制度へと生まれ変わっています。
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まとめ
株式譲渡に伴う税金は、案件によってはかなり高額になることもあります。そのため、どのくらい税金がかかりそうかを想定しておくことは、株式譲渡後のプランなどを考えるためにも必要です。
【株式譲渡の際に発生する主な税金】
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
- 法人税
- 相続税・贈与税(該当する場合)
【株式譲渡を行った際の税金計算方法】
- 株式譲渡した際の価格−株式譲渡の際にかかった経費(取得費+委託手数料など)=譲渡所得
- 譲渡所得×21.315%=譲渡所得税
【株式譲渡を行った際に節税方法】
- 退職金の活用
- 事業承継税制の活用
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