2020年3月28日更新節税

相続不動産の売却でかかる税金とは?税金が軽減される特例も紹介

相続不動産の売却では、印紙税や譲渡所得税(住民税)が課税されます。印紙税は固定なので簡単に算出できますが、譲渡所得税の計算は面倒です。相続不動産の売却では多額の税金がかかるので、できる限り特例を活用しましょう。特例の活用により、相続不動産の売却で生じる税負担を大幅に軽減できます。

目次
  1. 相続不動産の売却でかかる税金とは
  2. 相続不動産の売却で必要な税金
  3. 相続不動産の売却でかかる税金の計算
  4. 相続不動産の売却で活用できる3,000万円控除の特例
  5. 相続不動産の売却で活用できる取得費加算の特例
  6. 相続不動産の売却で活用できる空き家売却の特例
  7. 相続不動産の売却でかかるその他の諸経費
  8. まとめ
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相続不動産の売却でかかる税金とは

遺産分割の際に、不動産を相続するケースは多く見受けられますが、相続した不動産を引き続き使用せずに売却するケースもあります。そのような不動産の売却に備えて、どのような税金がかかるのか事前に把握しておくと安心です。

この記事では、相続した不動産の売却時に発生する税金や、税負担を大幅に軽減できる3つの特例についてご紹介します。

相続不動産の売却で必要な税金

はじめに、相続不動産の売却で必要な税金について解説します。相続した不動産の売却時には、以下の税金がかかります。

  1. 印紙税
  2. 譲渡所得税・住民税

①印紙税

相続した不動産を売却する際には不動産の売買契約書を締結しますが、その売買契約を取り交すために「印紙税」と呼ばれる税金が課されます。印紙税は現金を渡す形式で払う税金ではなく、「収入印紙」を購入して不動産の売買契約書に貼り付ける形で納税します。

印紙税の金額は下記表の通り契約金額ごとに異なっていますが、令和2年3月31日までに作成された不動産の売買契約書に関しては軽減税率が適用されることを覚えておきましょう。

契約金額 本則税率 軽減税率
100万円超〜500万円以下 2千円 1千円
500万円超〜1千万円以下 1万円 5千円
1千万円超〜5千万円以下 2万円 1万円
5千万円超〜1億円以下 6万円 3万円
1億円超〜5億円以下 10万円 6万円
5億円超〜10億円以下 20万円 16万円
10億円超〜50億円以下 40万円 32万円
50億円超〜 60万円 48万円

②譲渡所得税・住民税

相続不動産の売却により得た代金は「譲渡所得」と見なされ、所得税と住民税が課税されます。この点は株式の譲渡所得と同様ですが、不動産の場合には保有期間で税率が異なるため、注意が必要です。

相続人ではなく、被相続人による当該不動産の取得日から保有期間を計算する点には特に注意しましょう。相続不動産の保有期間により、下記の通り税率が異なります。

  所有期間 所得税 住民税
長期譲渡所得 5年超 15% 5%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%

不動産の保有期間が5年を超えると、税率がほぼ半分となる長期譲渡所得に該当します。また令和19年までは、上記に加えて基準所得税額のうち2.1%を復興特別所得税として納税することを覚えておきましょう。

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相続不動産の売却でかかる税金の計算

次に、「印紙税」と「譲渡所得税・住民税」の具体的な計算方法をお伝えします。

①印紙税

印紙税については、前述通り不動産の売却金額に基づいて金額が決まるため、特段計算が必要となることはありません。例えば、7,000万円で相続不動産を売却する場合には、3万円の印紙税がかかります。

②譲渡所得税・住民税

譲渡所得税(住民税)については売却代金ではなく、「相続不動産の売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いた金額」である譲渡所得に対して課税されます。不動産における取得費には、登録免許税や土地造成費用、測量費などが該当します。

不動産の購入費用も当然取得費に該当しますが、減価償却費(建物の価値減少分)を差し引いた価額を用いる点には注意しましょう。また、購入時の価格が思い出せない場合には、売却代金の5%を概算取得費として適用可能です。

算出した譲渡所得に対して、前述した税率を掛けることで納税額を計算します。つまり、譲渡所得税や住民税は、下記計算式により算出します(復興特別所得税は簡略化のため省略)。

  • 納税額(長期譲渡所得の場合)=譲渡所得(売却代金−諸費用)×20%(所得税15%、住民税5%)
  • 納税額(短期譲渡所得の場合)=譲渡所得(売却代金−諸費用)×39%(所得税30%、住民税9%)

相続不動産の売却価格が取得費と譲渡費用の合計よりも安い場合には、譲渡所得が発生しません。譲渡所得が発生しないケースでは、短期譲渡所得か長期譲渡所得かに関係なく、納税は不要です。

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相続不動産の売却で活用できる3,000万円控除の特例

相続時には多額の税金がかかるにもかかわらず、追加で税金がかかると負担が増してしまうため、節税を図ることで相続に要する費用を削減できます。不動産相続の際に活用できる特例を把握して、少しでも税金の負担を減らしましょう。

これ以降は、相続不動産の売却で活用できる「3,000万円控除の特例」「取得費加算の特例」「空き家売却の特例」という3つの特例を紹介していきます。はじめに、条件を満たせば3,000万円もの控除が適用される特例をお伝えします。

①3,000万円控除の特例とは

この特例は、相続した居住用不動産(いわゆるマイホーム)を売却した際に、最大で3,000万円が譲渡所得から控除となる特例です。この特例を活用することで、譲渡所得が3,000万円までの不動産売却では課税が発生しません。

しかし、3,000万円を超えるケースでは、超えた部分に対して譲渡所得課税が発生することを覚えておきましょう。

②特例の利用条件

この特例を活用するためには、いくつかの条件をクリアしなくてはいけません。まず、相続不動産に住まなくなってから、3年経った日の属する年度末までに売却することが条件となります。

実家で被相続人と同居していたケースでは、その居住用不動産を相続して名義変更すれば控除が適用されます。この特例を利用すれば、残された家族の老後生活資金を確保できます。

相続不動産の売却で活用できる取得費加算の特例

それでは次に、「取得費加算の特例」をお伝えします。

①取得費加算の特例とは

短期的な不動産の売却の場合、多額の相続税に加えて通常よりも過大な譲渡所得税が課される恐れがあります。したがって、「取得費加算の特例」を活用することで税金の負担を軽減できます。

取得費加算の特例とは、納税した相続税のうち一定金額を取得費に加算できる特例で、通常よりも取得費が増加するため譲渡所得税の負担が軽くなります。しかし、この特例を活用するためには、相続発生日の翌日から3年10カ月以内に不動産を売却する必要があるので注意が必要です。

短期譲渡所得に該当しない場合ならば、純粋に納税額を減らす効果が期待できます。また、短期譲渡所得に該当するケースでも、多少税金の負担を減らすことができます。

②取得費に加算可能な相続税の計算方法

相続税のうち、どの程度の金額を取得費に加算できるのか考えていきましょう。取得費に加算できる相続税額は、下記計算式により算出できます。

  • 取得費に加算できる相続税額=特例適用者の相続税額×{相続税算出の基礎となる売却資産の価額÷(特例適用者の相続税の課税価額+特例適用者の債務控除額)}
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相続不動産の売却で活用できる空き家売却の特例

続いて、相続空き家売却に関する特例をご紹介します。

①空き家売却の特例とは

近年は高齢化に伴い、空き家問題が深刻化しています。3,000万円控除の特例はひと昔前まで相続後に空き家となった不動産には適用不可能で、売却するメリットがないために相続した不動産を放置する事例が増加し、その結果として空き家が増加したのです。

空き家問題が深刻化した現状を踏まえて、平成28年からは相続した空き家を売却するケースでも、3,000万円控除の特例を利用可能になりました。

②特例の利用条件

空き家売却の特例を利用するためには、下記要件を満たさなくてはいけません。

  • 相続開始直前において、被相続人が一人で居住していた
  • 売却価額が1億円以下である
  • 相続開始日から3年を経過する日の年末までに売却する
  • 売却対象の家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたものである
  • 売却対象の家屋はマンションなどの区分所有建物ではない
  • 相続時から売却時まで、事業や貸付、居住の用に供されていない
  • 家屋を取り壊して売却する
  • 家屋を取り壊さず売却する時は、その不動産が新耐震基準に適合する

上記特例を満たしていれば、譲渡所得から3,000万円控除が可能です。しかし、この特例を活用する場合には、取得費加算の特例は活用できないので、注意が求められます。空き家の売却および取得費加算の特例のうち、いずれかしか利用できないので、税金額が有利となる特例を選びましょう。

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相続不動産の売却でかかるその他の諸経費

ここまでは相続不動産の売却でかかる税金と、活用できる特例について紹介していきました。最後に、相続不動産の売却でかかるその他の諸経費について紹介していきますので、実際に不動産を売却する際の目安として覚えておきましょう。

不動産を売却する際にかかる税金以外の諸経費は、以下のようなものが挙げられます。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 抹消登記費用(住宅ローンなどが残っている場合)
  • 建物の解体費用

まず仲介手数料ですが、不動産会社に買い取ってもらう場合は不要となりますが、売却する場合は売却価格の3%が相場です。そして住宅ローンが残っている場合、不動産に設定されている抵当権を外すために、2つ目に挙げた抹消登記を行う必要がありその際に費用がかかります。

そして3つ目は、建物を取り壊してから売却する場合にかかる解体費用です。相続不動産の売却にはこれらの諸経費に加えて、前述した税金が加算されることがあるため、税金が発生する場合は特例の活用をおすすめします。

まとめ

今回は、相続不動産の売却でかかる税金について解説しました。相続不動産の売却では印紙税や譲渡所得税(住民税)といった多額の税金がかかるので、税負担を大幅に軽減できる特例を活用しましょう。

特例ごとに条件が設定されているので、活用する際には条件を確認したうえで、入念な準備を行いましょう。それでは最後に、要点をまとめると下記になります。

・相続不動産の売却でかかる税金
→印紙税、譲渡所得税・住民税

・不動産の売却で活用できる特例
→取得費加算の特例、3,000万円控除の特例、空き家売却の特例

・取得費加算の特例とは
→納税した相続税のうち、一定金額を取得費に加算できる特例

・3,000万円控除の特例とは
→利用条件を満たせば、3,000万円の控除が適用

・空き家売却の特例
→要件を満たしていれば3,000万円の控除が適用

・相続不動産の売却でかかるその他の諸経費
→不動産会社に支払う仲介手数料、抹消登記費用、建物の解体費用

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