2021年5月19日更新節税

相続税対策とは?節税のポイントや注意点を解説

相続税対策は代表的な生前贈与による対策や、生命保険や不動産を活用して節税を図るケースもみられます。今回の記事では、事前に把握しておきたい相続税の税率や控除額について、相続税対策の方法について分かりやすく解説していきます。

目次
  1. 相続税対策とは
  2. 相続税対策の方法①生前贈与
  3. 相続税対策の方法②生命保険
  4. 相続税対策の方法③不動産
  5. まとめ
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相続税対策とは

相続や遺言で遺産を受け継ぐと「相続税」が発生する場合があり、遺産の額が大きければかなりの負担になるケースも多いです。一方で、相続税は多額の節税も可能なため、相続税対策として代表的なものを知っておいて損はありません。

特に相続税対策は、M&A後の節税としても重要な意味を持ちます。高齢になった経営者が会社を売却して多額の利益を得るケースなどもあるので、M&Aの実行後、早めに相続税対策をして損はないです。

このような相続税対策について、今回の記事では節税対策の方法やポイント、注意点などを分かりやすく解説していきます。

相続税について

相続税対策を説明する前に、まず相続税について理解を深めていきましょう。

相続税とは?

被相続人の死亡によって相続が発生しますが、遺産を受け継ぐことで必ず相続税が発生するわけではありません。なぜなら、相続税には非課税枠が設けられており、相続した財産が非課税枠内であれば相続税は発生しないからです。

相続によって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合に、その財産を取得した人は相続税を申告する必要があります。

この遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という式で算出されます。つまり、最低でも3,600万円は控除されるので、「遺産が3,600万円を超えなければ相続税は発生しない」ということです。

相続税対策のメリット

相続をしたからといって必ずしも相続税が発生するとは限りません。あくまで「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」や「遺産に係る基礎控除額」をもとに考えるので、非課税枠内(3,600万円以下)であれば相続税は発生しないのです。

つまり、相続財産を減らして非課税枠内におさめておけば、それが相続税対策になるわけです。そもそも相続税が発生しないという段階まで持っていけば、それ以上の相続税対策はありません。

例えば、Aさんが家族に対し、多くの財産を生前に贈与しておいたとします。そうすれば、Aさんが亡くなった際の相続財産は少なくなり、それが非課税枠内であれば相続税は発生しません。

かつ、Aさんの家族はすでにAさんから多くの財産を受け継いでいます。実質的に多くの財産を相続したのと変わらず、しかも相続税が発生しないのであれば、相続税対策としてこれ以上のメリットはないといえるでしょう。

もちろん、実際の相続はもっと複雑なため、こうしたシンプルな方法で対策できるとは限りません。場合によっては、贈与税が多く発生してしまうケースもあるため、さまざまな対策方法を知り早めに対策しておくことをおすすめします。

相続税の算出と税率

前項の内容をもとに、相続財産が8,000万円、法定相続人が2人だった場合の相続税を具体的に考えてみましょう。

相続税の算出

まず上記の条件を、遺産に係る基礎控除額を算出する「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という式に当てはめてみましょう。この場合、遺産に係る基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×2)となります。

相続財産である8,000万円は、基礎控除額4,200万円をもちろん超えていますので、その差額となる3,800万円に対して相続税が発生します。また、相続税の税率は金額ごとに決まっていて、相続人ごとに計算されます。

2人の相続人が半分ずつの割合で相続する場合であれば、課税される3,800万円を半分に分け、それぞれ1,900万円となります。そして1,900万円の場合、税率が15%、控除額が50万円という区分になり、「1,900万円×0.15-50万円」で235万円が納税額として算出されます。

つまり、このケースでは、相続人2人がそれぞれ235万円を納税することになるのです。それでは、ここでも触れた相続税の税率と控除額について次に解説していきます。

相続税の税率と控除額の区分

相続税の税率は、1,000万円以下が10%、3,000万円以下が15%というように、金額によって変わります。また、控除額は「3,000万円以下」からの区分となりますが、こちらも税率と同じく金額ごとに規定されています。

先ほど例に挙げた1,900万円であれば、「3,000万円以下」という区分に該当するので、税率が15%、控除額が50万円となるため、納税額は235万円(1,900万円×0.15-50万円)となるわけです。

また、実際に相続税を算出する場合、法定相続分、実際の相続割合、諸々の特例など、他にも考慮すべきポイントがあります。ただ、上記でご紹介した仕組みや算出方法が基本となることに変わりはありません。

※参考元
国税庁「相続税の税率」

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相続税の節税

相続税対策の方法①生前贈与

さて、ここまでご紹介した相続税の仕組み、そして相続税対策が持つ意味も踏まえ、具体的な相続税対策の方法を整理しておきましょう。まずはじめに、生前贈与による相続税対策について特徴や具体的な仕組みをご紹介します。

生前贈与とは?

生前贈与とは、字のとおり「生前に贈与する」という意味で、自分が生きているうちに財産を贈与することを意味します。生前贈与の相手は身内に限られませんが、相続税対策として行う場合は、自分の配偶者や子供などに贈与することになります。

例えば、Aさんが配偶者や子供に対し、自分の財産の多くを生前に贈与したとします。当たり前ですが、Aさんが亡くなった時の相続財産は少なくなり、Aさんの財産の多くはAさんの配偶者や子供に渡っている状態になります。

課税対象となる相続財産が減れば、その分だけ相続税は安くなります。このように生前贈与は相続税対策として最もわかりやすい方法で、比較的手間をかけずに実行できることもあり、相続税対策として活用する方も多いです。

生前贈与で相続税対策をする場合の注意点

相続が開始した際に相続人となるべき者(推定相続人)に対し、相続開始前3年以内に行われた生前贈与は、実質的に相続とみなされます。この場合、相続税の対象となってしまうのです。
つまり、生前贈与によって相続税対策を行うには、相続開始前の3年より前に贈与を進める必要があることを覚えておきましょう。

具体的な生前贈与の方法

ここからは、具体的な生前贈与の方法を「年間110万円以内の贈与」「結婚、子育て資金の贈与」「教育に要する資金の贈与」の3種類に分けて紹介していきます。

年間110万円以内の贈与

贈与には贈与税の仕組みがありますが、一方で「年間110万円以内」の贈与の場合は非課税となります。そのため、毎年110万円以内の贈与を行っていれば、非課税の状態で財産を移すことが可能です。

この方法で自分の財産を徐々に贈与していけば、贈与税がかからず、将来的な相続財産が減るので相続税対策も実現できます。しかし、初めからまとまった金額を贈与するつもりだとみなされた場合、一括贈与として贈与税が発生するおそれがあるため注意が必要です。

例えば、最初から500万円を贈与するつもりで、毎年100万円贈与することを取り決めたとします。この場合、あくまで「500万円の贈与」としてみなされてしまうので、その分の贈与税が発生します。

このような事態を防ぐためには、1年ごとの贈与契約書を作成し、その契約内容に110万円以内の贈与である点を示すことが必要です。契約内容として1年間で110万円以内の贈与を行う旨を定めれば、基本的には数百万円の一括贈与とはみなされません。

結婚・子育て資金の贈与

20歳から49歳までの子供に対して、結婚・出産・子育てを目的としたお金を渡した場合、1,000万円までは非課税となります。贈与契約を結んだうえで、金融機関の専用口座に預金して、結婚・子育て資金口座の開設を行い贈与金を保管するという制度です。

結婚・出産・子育てを目的としたお金には、挙式費用や衣装代などの婚礼費用、妊婦検診や不妊治療に要する費用、新居(賃貸)の家賃・引越費用、保育料や子の医療費なども含まれています。

この制度は、受贈者が50歳になる前に贈与者が死亡した場合、残額すべてが相続税の対象になる点では注意が必要です。また、結婚・子育てに関する支出を証明する領収書などを金融機関に提出する必要があります。

教育に要する資金の贈与

教育のために使うことを目的として、30歳未満の子や孫に対してお金を渡した場合、1,500万円までは贈与税が非課税となります。入学金や授業料、入学試験の検定料、学用品の購入費や給食費なども教育に要する資金です。

この制度を使用する場合は、まず贈与者と受贈者で贈与契約を結びます。そして、「教育資金非課税申告書」を金融機関経由で税務署に提出し、そのうえで受贈者名義の口座に預金する必要があります。

※関連記事
生前贈与のメリットとデメリット

相続税対策の方法②生命保険

ここまで生前贈与による相続税対策をご説明しましたが、その他の方法として生命保険による相続税対策方法を紹介していきます。

生命保険による相続税対策の特徴

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があり、この枠内であれば相続税が発生しません。そのため、このような枠内で生命保険に加入しておくことも、相続税対策につながります。

生命保険による相続税対策の注意点

生命保険金による非課税枠は、あくまで相続税のみということを忘れてはいけません。例えばAさんが亡くなり、その妻であるBさんが保険金を受け取ったケースにおいて、その保険料を子供のCさんが負担していたとします。

この場合の保険金は、CさんからBさんへの贈与とみなされるため贈与税が発生します。また、保険料の負担者と保険金の受取人が同じ場合、死亡保険金を受け取ると、一時所得または雑所得として所得税が課税されるため注意が必要です。

このように、贈与税や所得税が発生するケースも踏まえ、節税できるかどうか判断しなくてはなりません。

※関連記事
生命保険を活用した相続税対策

相続税対策の方法③不動産

それでは最後に、不動産を活用した相続税対策について説明していきます。

不動産を活用した相続税対策の特徴

相続税における不動産の評価額は公示価格より低いので、現金を不動産にしておくことで相続税対策につなげることができます。特に土地や建物を賃貸する場合、相続税評価額は大きく下がるので節税効果は大きいです。

不動産を活用した相続税対策の注意点

ただし、不動産を購入して運用をする以上、リスクは高まるうえ専門的な知識もある程度必要になってきます。例えば購入した建物を貸し出す場合、入居者が減少すれば当然家賃収入も減ります。

また、不動産の維持費や管理費もかかります。現金を不動産に変えて節税を実現しても運用に関する費用が多くかかり、想定していた収益が見込めなければかえって損失につながるため、購入する際は慎重に検討しなくてはなりません。

※関連記事
土地を相続したら相続税はいくら?相続税評価額の計算と売却にかかる税金や相続対策

まとめ

相続税は、必ず発生する税金というわけではなく、非課税枠が存在することはしっかりと知っておく必要があります。ただ、さまざまな財産を合計したら非課税枠を超えていたなどのケースもあるでしょう。

相続税対策の代表例は、生前贈与による対策が挙げられます。生前贈与によって相続財産を減少させればそれだけ相続税は減り、さらに相続財産を非課税枠内におさめて相続税を発生させないという方法もあります。

一方で、生命保険や不動産を活用して節税を図るケースもあるので、さまざまな方法を比較検討して節税につなげることが大切です。それでは最後に、今回の記事をまとめると以下のようになります。

・相続税とは
→被相続人の死亡により遺産を受け継ぐことで発生する税金

・相続税対策のポイント
→非課税枠内(3,600万円以下)であれば相続税は発生しない

・基礎控除額の算出方法
→「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」

・相続税対策の方法
→生前贈与(年間110万円以内の贈与、結婚・子育て資金の贈与、教育に要する資金の贈与)生命保険、不動産

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