2021年5月5日更新節税

土地を相続したら相続税はいくら?相続税評価額の計算と売却にかかる税金や相続対策

土地を相続したら相続税が課されますが、その額はどの程度なのでしょうか。また、相続税対策にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、土地を相続する際の評価方法や相続税対策、相続前に知っておきたい事項をくわしく解説します。

目次
  1. 土地を相続した際にかかる相続税はいくらか
  2. 土地の相続税評価額の計算
  3. 相続した土地や家の売却にかかる税金
  4. 土地の相続税対策
  5. 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例
  6. 土地を生前贈与した場合の税金
  7. 相続税が多額で払えない時は?
  8. まとめ
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土地を相続した際にかかる相続税はいくらか

相続を考える際、土地の扱いは慎重に行わなければなりません。現金をそのまま相続する場合、財産の総額や相続税の計算も楽になりますが、土地は一度金額として評価しなければならず、その分手間がかかります。

土地の評価はどういった基準で行うべきか、相続税がどのように課税されるか知識のある方は少ないと思います。

今回は相続の際の土地の評価方法や相続税への対策、相続の際に役立つ情報をお伝えしていきます。まずは土地の相続税評価額の具体的な計算方法を見ていきましょう。

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土地の相続税評価額の計算

土地の相続税評価額の計算は難しいイメージがありますが、実は誰でもできるものです。一般的な土地には「路線価方式」、山林や農地が多い土地には「倍率方式」という計算方法を用います。それぞれの計算方法は以下のようになっています。

路線価方式

路線価方式は国税庁が定めている「路線価」と呼ばれる土地の価額を使って相続税評価額を計算する方法で、手順は簡単です。国税庁のホームページから所有する土地がある地域の路線価を調べ、固定資産税の納税通知書や不動産の登記簿謄本に記載されている土地の面積をかけ合わせます。具体的な計算式は以下の通りです。

  • 土地の面積 × 路線価 = 土地の相続税評価額

ただ、路線価方式だと計算がこれだけで終わらないことがあります。例えば形がいびつであるため、使いづらい土地があります。このような土地の実際的な価値は低く、同じ面積でも使いやすい土地と同じ相続税評価額にはなりません。そういった場合は上記の計算式に加えて「補正率」をかける必要があります。

補正率は大きく分けて全6種類あり、該当するものをかければ相続税評価額がさらに下がります。加えて「土地が広くて大きすぎる」「水路に面している」「セットバックがある」といった状態の土地はさらに相続税評価額が下がる可能性があります。

倍率方式

倍率方式は路線価がつけられていない土地に使われる計算方法です。名前は違いますが、倍率方式の計算式は路線価方式とあまり違いはありません。倍率方式はまず国税庁で自分の土地に設定されている倍率を確認したあと、それを固定資産税評価額にかけ合わせるだけで完了です。計算式は以下のようになります。

  • 固定資産評価額 × 倍率 = 相続税評価額

倍率方式も情報さえあれば簡単にできるものですが、注意点があります。計算に使う固定資産税評価額は「被相続人が死亡した日が属する年」に限られています。倍率方式で計算する際にはその年の固定資産税評価額を調べておくようにしましょう。

また、固定資産税評価額は年によって変動します。固定資産税評価額は基本的に3年に1回のペースで変わります。3年間は同じ固定資産税評価額になるかと考えがちですが、固定資産税評価額の変化するペースは自治体によります。自治体によっては3年を待たずに変わってしまう場合もあります。

そのため3年間同じ固定資産税評価額だと思って別の年の固定資産税評価額を調べたところで実際の評価額と異なっているというケースがあります。被相続人が死亡した日が属する年の数字を確認するようにしましょう。

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相続した土地や家の売却にかかる税金

土地を相続または家を売却した場合は、相続税以外にも税金が発生します。主に注意しておきたい税金は以下の2つです。

登録免許税

登録免許税は土地を相続または家を売却した際に発生するのではなく、相続した土地や家の名義変更を行った際に発生する税金です。

登録免許税は登記や登録といった行為をすると発生する税金であり、相続では名義変更を行う相続登記をしなければならないため、土地を相続した場合は確実に支払わなければならない税金でもあります。

登録免許税は固定資産税評価額に、土地ならば税率0.4%、家ならば税率2%をかけ合わせて計算されます。登録免許税はそこまで極端に大きい金額にはなりませんが、注意しておきましょう。

所得税

相続した家を売却した場合は所得税にも気を付けておきましょう。家を売却すると譲渡所得が発生し、譲渡所得は所得税の対象になります。

譲渡所得の場合、所得税の課税方式は分離課税となります。つまり給与所得や不動産所得などを合算する総合課税とは違い、それらの所得とは切り離して個別に計算するようになっています。

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土地の相続税対策

相続を控えた人にとって最初に考えることは相続税対策かと思いますが、土地の相続税対策には様々なものがあります。相続税対策としてよく挙げられる「特例の活用」や「生前贈与」に関しては別の項でお伝えし、ここでは代表的なものを2つご紹介します。

配偶者控除の活用

これは相続人が配偶者の場合に活用できる相続税対策です。相続税には配偶者控除が設けられており、配偶者が法定相続分以内で、あるいは相続財産の総額が1億6000万円未満の場合は相続税が発生しません

そのため土地の相続税評価額を含めても相続財産の総額が1億6000万円未満だった場合は相続税が発生しないため、かなり大きく節税することができます。だから配偶者が相続人になる場合、配偶者控除の範囲内に相続財産を調整すれば節税が可能となります。

賃貸マンション・アパートの建築と不動産賃貸


相続財産に含められる土地に賃貸マンションやアパートを建築し、不動産賃貸を行うことも相続税対策の一つです。実は土地の相続税評価額は賃貸マンションやアパートを建築し、不動産賃貸を行うと大幅に低下します。

なぜなら土地の相続税評価額に加えて借地権割合や借家権割合、賃貸割合といたものがかけられるからです。この場合の計算式は以下のようになります。

  • 相続税評価額 ー (相続税評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

この計算式にかけられる3つの割合の数字はそれぞれ異なっています。借地権割合は地域によって数字が変わるものであり、都心部の方が高くなる傾向があります。借家権割合は一律で30%になっています。賃貸割合はどれだけの人に賃貸をできているかによって数字が変動します。

賃貸マンションやアパートを利用した相続税対策はメジャーなものであり、不動産会社から勧められることも多いです。ただ、賃貸マンションやアパートは確かに相続税対策にはなりますが、ちゃんと資産価値を維持できるかどうかはいかにうまく不動産賃貸を行えるかにかかっています。

不動産賃貸の経験が少ない人はうかつに営業に乗らず、しっかりとアドバイスをしてくれる不動産会社を探すようにしましょう。

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相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例

相続税対策として他にも有効な対策が「相続した事業の用や居住の用で使用している宅地等の価額に関する特例」、すなわち「小規模宅地等の特例」です。小規模宅地等の特例は被相続人が持つ土地のうち、小規模宅地等に該当するものがあった場合は相続税評価額を減額できるというものです。

その減額率は80%に達することもあり、相続税の節税を考えている人にとってはかなり有効的な対策だといえます。ただ、小規模宅地等の特例は適用されるためには3つの条件を満たしておく必要があります。その条件は以下の通りです。

  • 被相続人の配偶者が相続人として相続する。
  • 被相続人と同居していた親族が相続人として相続し、申告期限までに引き続き所有、居住用に利用している。
  • 配偶者がいない、同居している親族がいない被相続人の場合は相続が開始される前3年以内に持家がない別居家族が相続し、申告期限まで引き続き所有している。

この3つの条件に加えてその土地の活用法によって限度面積や減額の割合も異なっているため、小規模宅地等の特例を使いたい人は一度国税庁のホームページで調べてみましょう。ただ、小規模宅地等の特例を使えないケースもあります。

もしその宅地が「相続開始する前3年以内に贈与されたもの」あるいは、「相続時精算課税によって取得されたもの」である場合は小規模宅地等の特例を使うことはできないため、気を付けておきましょう。

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土地を生前贈与した場合の税金

相続税対策としてもう一つメジャーなものを上げるなら生前贈与でしょう。生前贈与というと現金で行うイメージがありますが、土地でも生前贈与を行うことは可能です。

生前贈与を行うなら相続税ではなく贈与税に気を付ける必要があります。「暦年贈与」か「相続時精算課税制度」を使えば生前贈与でも贈与税が非課税になるため、節税ができるようになります。

しかし「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」にはそれぞれ注意点があるため、しっかり押さえておくようにしておきましょう。それぞれの注意点は以下の通りです。

暦年贈与

暦年贈与は贈与税の基礎控除の範囲内、つまり「年間110万円以下」の贈与を繰り返すことで財産を承継させ、節税を狙うという方法です。暦年贈与は生前贈与の中でもとりわけよく使われる手法です。

毎年110万円以下になるように土地を贈与していき(その年の1月1日~12月31日の範囲内で)、最終的に全ての土地を贈与することができれば贈与税はもちろん、相続税も発生しなくなります。そのため節税効果はかなり期待できるでしょう。

しかし暦年贈与は時間がかかりすぎるという欠点があります。暦年贈与は基礎控除の範囲内で贈与を行わなければ意味がないため、広大な土地が相続財産に含まれる場合だとかなり時間がかかります。また、暦年贈与を行っていても、相続が開始する前3年以内に行った贈与は相続として扱われてしまいます。

つまり暦年贈与の途中、あるいは終わったばかりのタイミングで被相続人が死亡して相続が発生してしまうと、過去3年以内の贈与は相続扱いになり、相続税の課税対象になってしまうわけです。これだとせっかく暦年贈与を行っても意味がなくなってしまいます。暦年贈与は長期的な視点で計画的に行う必要があります。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は生前贈与を行う際、2500万円以内の贈与をまとめて特別控除できる制度です。これを活用すれば2500万円以下の財産の贈与に対して発生する贈与税を節税することができます。

2500万円分を暦年贈与するとなると単純計算でも20年以上かかるため、一気に財産の贈与を完了させたい時には相続時精算課税制度は有効的な方法だといえるでしょう。しかし相続時精算課税制度はその名の通り「相続時に清算する」制度です。

つまり相続時精算課税制度をしたからといって相続税は消えるわけではなく、贈与した分の財産と相続した財産を合わせて相続税が課税されることになります。また、相続時精算課税制度は一度使うと取り消すことができず、暦年贈与も使えなくなります。逆に暦年贈与を用いた場合には、相続時精算課税制度も使えます。

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相続税が多額で払えない時は?

土地や家のような不動産を相続すると思いのほか相続税が多額になってしまうことは珍しくなく、最悪相続税が支払えないというシチュエーションが発生する可能性があります。この場合は主に3つの方法が使えます。

延納制度の活用

延納制度とは分割形式で納税できるようにする制度であり、これを活用すればローンの分割払いのような形で納税することができます。すぐにまとまった金額を用意できない時には有効的でしょう。延納制度は利子が発生するため、結果的に税額は上がってしまうので注意してください。

相続放棄

相続放棄はその名の通り相続の権利を放棄することです。これを行うと一切の財産の相続ができなくなるため、あくまで最終手段にしておくようにしましょう。相続放棄の判断は相続開始時から3ヶ月以内に下さなければならず、この期間をオーバーすると強制的に相続が決定してしまうため気を付けてください。

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まとめ

土地の相続は相続税評価額の計算こそ簡単ですが、相続税対策に関しては方法が多いうえに様々な知識が必要なため、税理士の協力を得るようにしましょう。ただ、税理士の腕によって評価額の算出や節税効果は大幅に変わってくるので実績のある税理士に依頼することをオススメします。

なお、被相続人が会社経営または事業を行っていた場合は、M&Aを活用して所持していた土地・不動産・事業を包括的に整理をすることで、大きな譲渡益を産み出すことも可能です。

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