2021年5月7日更新業種別M&A

税理士・会計事務所におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

税理士・会計事務所のM&Aでは、買い手・売り手ごとに実施する目的が異なります。現状・動向を伺いつつ期待できるメリットを十分に判断したうえで、M&Aを実施すると良いです。大きな意思決定であるM&Aには注意点も多いため、専門家に協力を仰ぐことをおすすめします。

目次
  1. 税理士・会計事務所のM&Aとは
  2. 税理士・会計事務所のM&Aの現状と動向
  3. 税理士・会計事務所のM&Aの相場と費用 
  4. 税理士・会計事務所のM&Aの買収メリットとは?買う・買いたい場合 
  5. 税理士・会計事務所のM&Aの売却メリットとは?売る・売りたい場合 
  6. 税理士・会計事務所のM&Aの成功と失敗
  7. 税理士・会計事務所のM&Aの事例
  8. まとめ
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税理士・会計事務所のM&Aとは

ビジネスにおいて税務・会計処理は必要不可欠な分野ですが、これらの処理を実施するには専門的な知識・経験などが求められます。ビジネスを展開していると、税理士・会計事務所に対して、税務相談・税務申告・会計処理などを依頼するケースも珍しくありません。

経営者によっては、顧問税理士・顧問会計士を雇うこともあります。顧問制度を利用すれば、継続的に税務・会計サービスの提供を受けられるためです。以上のことを踏まえると、税理士・会計士事務所はビジネスに欠かせない存在であるといえますが、最近では業界全体でM&Aが広く実施されるようになってきています。

ここからは、税理士・会計事務所業界でM&Aが注目されるようになった経緯を解説します。

①税理士・会計事務所業界の特徴

昨今の日本では少子高齢化が深刻な影響を及ぼしていますが、これは税理士・会計事務所業界においても同様です。税理士・会計事務所に所属する資格保有者の中でも、特に税理士については、資格保有者の半数程度が60歳以上とされるほどに高齢化が非常に進んでいます。

高齢化の傾向が強い要因には、国税専門官の経験があれば税理士登録が可能であることから、退職後に税理士登録をする人が多い点が挙げられます。それに加えて、多くの税理士が高度経済成長の時代に開業していた点も要因の1つです。

税理士・会計事務所には専門性が高いうえに細かい業務が求められるため、高齢になると業務の継続を困難と感じやすいです。高齢になった税理士・公認会計士の中には、後継者に自身の事務所を承継したいと考える人も少なくありません。

②M&Aが注目されるようになった経緯

事業を承継する場合、子供や親族などに跡を継げる人間がいたり自身の事務所に後継者候補がいたりする状況であれば、スムーズに引き継ぎを実施できます。しかし、後継者としてふさわしい若い世代の資格保有者が少ないこともあり、業界全体で後継者の確保が困難となっています。

上記の課題を踏まえて、外部に後継者を見つけるべく、M&Aによる事業継続を模索する動きが活発化しているのです。他業界・他業種と同じように税理士・会計事務所においても、M&Aは事業承継の手法として広く活用されており、この傾向は年々強まっています。

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税理士・会計事務所のM&Aの現状と動向

ここでは、税理士・会計事務所のM&Aの現状と動向について、以下の項目に分けて詳しく解説します。

  1. 小規模の個人事務所が多くを占めている
  2. 報酬水準の下落と顧客数の減少により収益確保が困難になっている
  3. 中小規模の事務所を中心に経営者の高齢化が進んでいる
  4. 経営戦略や事業継続のためのM&Aが増加傾向にある
それぞれの項目を順番に見ていきます。

①小規模の個人事務所が多くを占めている

税理士・会計事務所は、日本全国に数万事務所以上存在しています。税理士・会計事務所の規模は大・中・小と幅広いですが、全体的に見ると小規模の個人事務所が多くを占めているとされています。

業界の傾向を見ると、大規模の事務所が複雑な税務・会計処理が求められる大手企業を主に取り扱う一方で、中小規模の事務所はそれ以外の企業を担当するという構図となっています。大手事務所が比較的に高い報酬水準の業務を集中して対応するため、中小規模の事務所は比較的に低い報酬水準の業務を扱っている状況です。

②報酬水準の下落と顧客数の減少により収益確保が困難になっている

税務・会計処理の業務についてはクラウド会計ソフトの市場拡大もあって、基本的内容であれば高度な専門知識がなくても対応できる環境が整いつつあります。税理士・会計事務所としては、単純業務のみでは付加価値を生み出せない問題に直面しており、もちろん対価となる税務報酬が年々下降傾向にある状況です。

報酬水準の下落と相まって、少子化により企業数(顧客数)自体が減少傾向にある現状もあることから、業界全体で収益の確保が非常に困難になってきています。この傾向は、今後も継続する見込みです。

中小規模の事務所では価格競争における生き残りが大きな課題となっており、全体として薄利多売のビジネスモデルを前提としつつ、シェア拡大の経営戦略を図る事務所が多い傾向にあります。

③中小規模の事務所を中心に経営者の高齢化が進んでいる

中小規模の税理士・会計事務所では、経営者の高齢化も深刻な問題です。バブル期に独立開業した若手の税理士・公認会計士たちが、現在ちょうど60代~70代となっています。高齢になると健康問題やクラウド会計といった新技術に対応することが難しくなることもあって、引退を考える時期に突入します。

ここでは後継者への事業の引き継ぎを考える経営者が多いですが、少子化の影響もあり後継者にふさわしい30代~40代程度の人材が必ずしも身近に存在するとは限らないのです。最適な後継者が見つからずに、仕方なく廃業を選択する税理士・会計事務所も少なくありません。

いわゆる後継者不足の問題は、税理士・会計事務所業界においても深刻化しているのです。

④経営戦略や事業継続のためのM&Aが増加傾向にある

税理士・会計事務所では、M&Aの実施に注目が集まっています。M&Aは、シェア拡大による存在感の強化・後継者確保による事業の継続などをかなえるために適した手段です。こうした目的を掲げてM&Aを実施する税理士・会計事務所は、今後も増加すると見られています。

業界の特性上、多くの税理士・会計事務所では突出した独自性を持ちにくいこともあり、M&Aを実施しても比較的スムーズに統合することが可能です。この点も、M&A増加に拍車をかける要因の1つとなっています。なお、M&A手続きをサポートするM&A仲介会社の増加も、M&A件数の増加に少なからず影響を与えています。

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税理士・会計事務所のM&Aの相場と費用 

M&Aは、相手と個別に交渉することで条件や譲渡価格などを決定する取引です。買い手と売り手それぞれの事業規模・M&Aの目的・経営環境などによって、譲渡価格は大きく変動します。M&Aによる譲渡価格は、以下の3つの方法から1つを選択、あるいは各方法を組み合わせることで算定するケースが多いです。

  1. 修正純資産法(コスト・アプローチ)
  2. DCF法(インカム・アプローチ)
  3. 類似会社比準法(マーケット・アプローチ)
それぞれの算定方法を順番に見ていきます。

①修正純資産法(コスト・アプローチ)

修正純資産法は、資産と損益の両方の要素を考慮して算定する方法であり、中小企業のM&Aにおいて比較的多く採用されています。負担するコストを前提とするため、コスト・アプローチとも呼ばれている方法です。

税理士・会計事務所の純資産の時価に将来の見込みを加えたうえで計算しますが、実務上では固定資産の時価から負債を引いた後に営業権の価値を加味して算定します。

②DCF法(インカム・アプローチ)

DCF法は、将来的に獲得が見込まれるキャッシュに基づき価格を算定する方法です。将来のキャッシュ・フローを割引計算(ディスカウント)することから、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法と名付けられました。

獲得が予想されるキャッシュ・フローに基づき価値を算定するため、インカム・アプローチとも呼ばれている方法です。この方法ではM&Aにより獲得する売り手企業の将来計画を前提として評価するため、今後の見通しをいかに数値化するかによって、評価価値が大きく変化する点に特徴が見られます。

利用する事業計画の精度が高ければ高いほど、より正確に評価の価格を算出可能です。その一方で事業計画の策定・割引率の検討などが必要となることから、比較的多くの手間がかかる方法ともいえます。

③類似会社比準法(マーケット・アプローチ)

類似会社比較法は、市場で実施された他の事例を参考に価格を算定する方法です。市場=マーケットの情報に基づき価格を決定するという観点から、マーケット・アプローチとも呼ばれています。いうなれば、過去の事例の中でも特に同業種の事例を参考にしつつ、価格を算定する方法です。

具体的には、エリア・企業規模・業績・取り扱いサービスなどさまざまなポイントにおいて、検討対象とする企業と類似した特徴を持つ過去事例を引用したうえで、これらの情報を参考にしながら価格を決定していきます。

税理士・会計事務所の譲渡価格を調べる方法

さまざまな算定方法を紹介しましたが、具体的な譲渡価格を調べたい場合には専門家(M&Aアドバイザー)の協力を仰ぐことがおすすめです。税理士・会計事務所の具体的な譲渡価格を算定するには、M&Aの専門知識が求められるためです。

とはいえ、専門家にサポートを要請すれば、相談料・着手金・中間金・成功報酬などさまざまな手数料が発生します。譲渡価格が高くなるほど費用も高額になりますが、一般的には譲渡価格の3〜5%程度が求められます。

M&A総合研究所では、支援実績豊富なM&Aアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

相談料は無料となっておりますので、M&Aによる税理士・会計事務所の売却を検討する場合にはお気軽にご相談ください。

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税理士・会計事務所のM&Aの買収メリットとは?買う・買いたい場合 

税理士事務所 会計事務所のM&A・事業承継
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税理士・会計事務所業界では大きな環境変化が起こっていないこともあり、依然として価格競争が続いています。とはいえ、クラウド会計などの新技術は導入されているため、新しいツールを使用して付加価値をいかに生み出していくかが今後の課題です。

上記の課題を踏まえると、M&Aによる買収は解決に向けた有効策となります。ここからは、税理士・会計事務所をM&Aで買収する具体的なメリットを解説します。

  1. 事業エリアの拡大
  2. 取り扱いサービスの拡充
  3. 資格保有者の獲得
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①事業エリアの拡大

M&Aによる買収では、異なるエリアで活動する事務所との統合を図ることができます。統合を経ることで、事業エリアの拡大が望めるのです。ここでは自身のみでエリアを拡大していくケースと比較して、より効率的に事後規模の拡大を実現できます。

事業エリアの拡大に成功すれば、市場における存在感の強化にもつながります。

②取り扱いサービスの拡充

異なる分野で事業を展開する税理士・会計事務所をM&Aにより買収することで、取り扱い可能なサービスを拡充することができます。自身で新サービスを立ち上げると多くの手間や時間が必要となりますが、M&Aでは顧客基盤を引き継いだうえでサービスラインを拡充可能です。つまり、事業展開を効率的に進められます。

③資格保有者の獲得

M&Aによる買収を実施すれば、他の事務所に在籍する優秀な資格保有者を獲得できます。税理士・会計事務所における最も大切な経営資源は、人材です。特にサービス提供の前線で活躍する税理士・公認会計士などの資格保有者は、事務所の実力そのものに直結する存在といえます。

優秀な人材の確保は、事務所を存続させるうえで必要不可欠な施策です。

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税理士・会計事務所のM&Aの売却メリットとは?売る・売りたい場合 

税理士・会計事務所においても、少子高齢化の影響を受けて、後継者不足の問題が深刻化しています。税理士・会計事務所では資格保有者以外の従業員も業務に従事していることから、簡単に廃業を決めるわけにもいかず、従業員の雇用確保が大きな課題とされています。

このような課題に悩まされる経営者にとって、M&Aによる売却は有力な解決策の1つとなります。税理士・会計事務所をM&Aで売却する具体的なメリットは、以下のとおりです。

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員の雇用確保
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①後継者問題の解決

後継者の確保は事業の継続を考えるうえで重要な課題ですが、自身の事務所内で後継者を見つけることが困難となっているケースが多いのが現状です。M&Aによる売却を実施すれば、外部から後継者にふさわしい人材を吟味して選べるため、事業の存続が大いに期待できます。

税理士・会計事務所業界は地域に根差した事業展開を実施するケースが多い業界であることから、必要に応じて地域状況に精通した後継者人材を探せる点も魅力的なメリットです。

②従業員の雇用確保

税理士・会計事務所業界では、従業員の雇用を維持するために事業を継続しているケースも多いです。M&Aにより事務所を譲渡できれば、従業員の雇用も継続しつつ経営の立場から引退可能です。

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税理士・会計事務所のM&Aの成功と失敗

M&Aにおける成功とは想定した効果を十分に獲得できたことを意味し、一方で失敗はその反対を意味します。税理士・会計事務所のM&Aにおいては、「異なるエリアの事務所と統合して、事業展開エリアを拡大しつつ、特定地域で大きなシェアを獲得できた」というケースが、1つの成功の形といえます。

顧客の獲得には地道な努力が必要であり、多くの手間や時間がかかることが一般的です。M&Aで他事務所と統合して市場における存在感を素早く強めつつ、規模の経済の利益を享受できたというケースは、典型的な成功例といえるのです。

その一方で、「M&A後に資格保有者が多く離職してしまい、事業運営が困難となってしまった」というケースは、1つの失敗の形といえます。税理士・会計事務所業界では、資格保有者の能力が事務所の収益獲得力に大きく影響を及ぼします。

M&Aで他事務所と統合したものの、売り手側の事務所に所属していた税理士・公認会計士が多数退職してしまい、人材不足に陥ったことで経営が困難な状況になったというケースは、典型的な失敗例でしょう。

M&Aでは売り手側の従業員の待遇や環境が大きく変更されるケースも多いことから、退職を避けるためには制度設計や処遇などを十分に見直す必要があります。

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M&A失敗の要因とは?失敗割合や失敗した会社の事例を解説

税理士・会計事務所のM&Aの事例

最後に、税理士・会計事務所業界で実施されたM&Aの中から、有名事例を時系列順に紹介します。

  1. 税理士法人カオス×柄溝税理士事務所(買収)
  2. 税理士法人TOTAL×井上総合会計事務所(買収)
それぞれの事例を順番に見ていきます。

①税理士法人カオス×柄溝税理士事務所(買収)

2018年、税理士法人カオスは柄溝税理士事務所をM&Aによって買収しました。柄溝税理士事務所は、大阪市北区に拠点を構える事務所であり、主として税務調査の業務に強みを持っていました。

買収側の税理士法人カオスは、柄溝税理士事務所と同エリアに拠点を構えており、会計・租税法・経営・社会保険・労務・ファイナンシャルプランニングなど、多種多様な分野の専門家を擁する事務所です。税理士のほかに社労士や行政書士も在籍しています。

本件M&Aによって、売却側のクライアントを引き継ぎつつ事業の多角化が図られています。

②税理士法人TOTAL×井上総合会計事務所(買収)

2013年、税理士法人TOTALは井上総合会計事務所をM&Aによって買収しました。2013年4月1日をもって、合併を実施しています。井上総合会計事務所は、M&A実施当時に創業24年の歴史を誇っていた老舗の会計事務所です。医業経営コンサルタントとしての事業も手掛けており、主に医療系案件に強みがありました。

買収側の税理士法人TOTALは、税理士・司法書士・行政書士事務所として、起業支援・中堅企業のサポートだけでなく、相続・事業承継対策や医療機関のサポートなども幅広く手掛けている事務所です。本件M&Aによって、お互いの強みを生かしつつ既存事業の強化が図られています。

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M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

まとめ

この記事では、税理士・会計事務所のM&Aについて解説しました。税理士・会計事務所業界では、報酬水準の下落と顧客数の減少などの影響で、収益確保が困難になっている現状が目立ちます。経営者の高齢化が進んでいることから、事業承継の必要性も叫ばれている状況です。

M&Aを活用することで上記のような課題の解決を図れますが、経営戦略上の大きな意思決定であるため、専門家からサポートを受けつつ慎重にM&Aを検討することが大切です。要点をまとめると、以下のとおりです。

・税理士・会計事務所のM&Aの現状と動向
→小規模の個人事務所が多くを占めている、報酬水準下落と顧客数減少により収益確保が困難、中小規模の事務所を中心に経営者の高齢化が進行、経営戦略や事業継続のためのM&A実施が増加

・税理士・会計事務所のM&Aの相場と費用 
→修正純資産法(コスト・アプローチ)、DCF法(インカム・アプローチ)、類似会社比準法(マーケット・アプローチ)が代表的

・税理士・会計事務所のM&Aの買収メリット
→事業エリアの拡大、取り扱いサービスの拡充、資格保有者の獲得

・税理士・会計事務所のM&Aの売却メリット
→後継者問題の解決、従業員の雇用確保

・税理士・会計事務所のM&Aの成功と失敗
→想定した効果の獲得有無に大きく左右される

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