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2019年10月23日公開

製造業(メーカー)は事業承継か廃業どちらが良い?後継者問題の現状と課題も解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

昨今、後継者問題を抱えている会社が増えており、多くの経営者が事業承継と廃業のいずれを選ぶかで苦悩しています。 しかし、事業承継と廃業について熟知してなければ、選択することは難しいでしょう。 今回は製造業の事業承継・廃業や後継者問題の現状についてお伝えします。

目次
  1. 製造業(メーカー)の事業承継
  2. 製造業(メーカー)の事業承継の流れ
  3. 製造業(メーカー)は事業承継と廃業どちらが良いか?
  4. 製造業(メーカー)の事業承継が増える理由
  5. 製造業(メーカー)が抱える後継者問題の現状と課題
  6. 製造業(メーカー)を事業承継する際におすすめの相談先
  7. まとめ

製造業(メーカー)の事業承継

製造業

まずは製造業の特徴や事業承継の手法についてお伝えします。

製造業(メーカー)とは

製造業とはその名の通り、原材料を加工して製品を作る事業を指します。
製造業は製品の種類に関わらず、原材料を加工して製品を作る事業そのものを指します。そのため、自動車や機械から食品、紙も製造を行っているのであれば製造業に含まれています。
また、印刷業や窯業でも、製造を行っているのであれば製造業として扱われることもあります。
製造業は日本の産業を支える事業の一つであり、景気へ及ぼす影響もかなり大きいものになっています。

事業承継とは

事業承継には大まかに分けて3つの手法があります。
それぞれの手法の概要は以下の通りです。

親族内事業承継

親族内事業承継とは経営者の親族を後継者に据えたうえで事業承継を行う手法です。
おそらく「事業承継」と聴いて連想する手法は、これだと思います。
経営者の親族に事業承継を行うことはある意味伝統的なものだといえますし、従業員や取引先も納得しやすい形だといえるでしょう。

一方、昨今は親族内事業承継が上手くいかないケースが増えています。少子化の影響でそもそも後継者となる親族がいないということもありますし、親族に後継者になる意思がないというケースも少なくないからです。

親族外事業承継

親族外事業承継は、経営者の親族以外の人材を後継者に据える手法です。この場合、後継者候補には社内の従業員や外部の人材が選ばれることが多いです。

後継者が経営者の親族ではないため、親族外事業承継は周囲の心証が悪化するリスクはあります。しかし、すでに業務や経営の経験値が高い人材が後継者になるため、育成の手間がかなり省けるようになります。

ある意味、即戦力を後継者にできる点が親族外事業承継が大きなメリットだといえるでしょう。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、昨今注目を集めている手法です。
最近は中小企業を中心に後継者不在が問題化しており、親族・親族外に後継者がおらず、事業承継ができない会社が増えています。

しかし、M&Aは第三者に経営権を託せるため、後継者がいなくても事業承継ができるようになります。そのため、M&Aによる事業承継は後継者不在の会社でも存続が出来る可能性を与えてくれるわけです。

M&Aによる事業承継は多くの会社が実行しており、日本のM&A件数を増加させている一因にもなっています。

製造業(メーカー)の事業承継の流れ

事業承継の流れ

製造業の事業承継は後継者がいる場合と、M&Aを行う場合で流れが異なっています。

親族内事業承継(親族外事業承継)の流れ

親族内事業承継・親族外事業承継の流れは以下のようになっています。

1.事業承継計画の策定

事業承継はまず事業承継計画の策定からスタートします。
事業承継計画は事業承継を円滑に進めていくうえで欠かせないものです。事業承継は10年近くかかることもあり、長期間続けることを覚悟したうえで取り組まなければなりません。

そのため、事業承継計画を策定し、それぞれのプロセスを整理しておくだけでも、スムーズに進められるようになるでしょう。

親族の了承(親族外事業承継の場合)

経営者の親族の了承を得ることは、親族外事業承継を行ううえで不可欠なことだといえます。
親族外事業承継はいってしまえば経営者の親族を差し置き、赤の他人を後継者に据える手法です。そのため、親族から反発を受けたり、相続でトラブルが発生する原因になるリスクがあります。

そのようなリスクを解消するためにも、確実に親族の了承を得ておくことがおすすめです。

専門家への相談

どんな手法で事業承継を行うにせよ、専門家への相談は行っておくようにしましょう。
事業承継はただでさえ様々なプロセスがあるうえに、専門的な知識も必要です。そのため、事業承継に長けている専門家に相談し、サポートを得ておくようにしましょう。

2.後継者の育成・教育

後継者の育成・教育は事業承継において大切なプロセスだといえます。
なぜなら後継者の質が事業承継の結果を左右するといっても過言ではないからです。
どのように後継者を育成・教育するかは経営者次第ですが、外部のセミナーに参加させるなど、様々な形で業務や経営を学ばせた方がいいでしょう。

3.資産・株式などの承継

資産・株式などの承継は後継者が経営者を引き継ぐうえで、必ず成功させなければならないプロセスです。
製造業の場合、事業に関わる施設や設備などといった資産はもちろん、経営権を左右する株式は確実に後継者に引き継がせなければなりません。

資産・株式などの承継は相続・贈与・譲渡といった手法を用いて実行しますが、いずれも課税方式が違うことを認識しておく必要があります。そのため、後継者の税の負担が大きくならないように様々な手法を上手く組み合わせて実践するようにしましょう。

4.個人保証・負債の処理

後継者の負担を減らしたいのなら、経営者は個人保証・負債の処理をやっておくようにしましょう。
経営者個人の債務は後継者に引き継がれてしまう恐れがあり、会社の債務は後継者の経営に影響を及ぼす恐れがあるものです。
全ては無理でも、ある程度処理を進めておくだけでも、後継者にとっては助けになるでしょう。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継を行う場合、流れは以下のようになります。

1.仲介会社などへの相談

M&Aを行うなら仲介会社などへの相談をしておくようにしましょう。
M&Aは専門的な知識が必要であり、なおかつ経験やスキルが結果を左右するものです。専門家のサポートを得るだけでも成約率は大きく変わります。

秘密保持契約書の締結

秘密保持契約書とは会社の秘密情報をどのように扱うかについてまとめた契約です。
秘密保持契約書は基本的にサポートを行う仲介会社や、M&Aの買い手と締結します。これを締結することによって、秘密情報を扱う際に発生するリスクの回避、対処が実現しやすくなります。

2.事業承継先の選定

M&Aを成功させるうえでも、事業承継先(買い手)の選定はとても重要です。
事業承継先の選定はサポートする仲介会社などの力を借りながら行っていきます。
専門家の助言も得ながら、一番相性の良い事業承継先を見つけていくようにしましょう。

意向表明書の提示

意向表明書とは、買い手がM&Aを行ううえで基本的な条件や予想される譲渡価格などが記されている書類です。
M&Aを円滑に進めるうえで意向表明書は重要ですが、しばしば後述する基本合意書と同一視されることがあり、場合によってはオミットされることもあります。

3.基本合意書の締結

基本合意書は独占交渉権や基本的な条件、譲渡価格などについて記載されており、今後のM&Aのベースになる重要な契約書です。

ただ、基本合意書を締結した=M&Aの成約となるわけではありません。基本合意書の内容で法的拘束力があるのは一部だけであり、それ以外の部分は交渉次第で変わることがあります。もちろん、交渉が決裂すればM&Aは失敗に終わります。

4.デューデリジェンスの実施

譲渡価格やM&Aの成否を決めるのが、売り手の会社のリスクを精査するデューデリジェンスです。
デューデリジェンスは法務・財務・税務など様々な専門的な知識を利用して実施します。
 

5.最終契約書の締結

交渉が一段落したら、最終契約書の締結に移ります。
最終契約書には交渉を通じて決定された条件や、譲渡価格、表明保証などが記載されます。
最終契約書には法的拘束力が発生しているため、内容に違反すれば損害賠償を請求されることになります。
ちなみに最終契約書はあくまで便宜的な名前で、実際はM&Aスキームによって名前が変わります。

6.クロージング

最終契約書を締結したら、その内容に合わせてクロージングを実施していきます。
経営統合を実現するプロセスであるクロージングでは、対価の支払いや役員の選任などが行われます。

製造業(メーカー)は事業承継と廃業どちらが良いか?

事業承継と廃業どちらがいいのか

事業承継と廃業、どちらの方が選択肢としてよいのでしょうか?
ここではそれぞれの選択肢のメリット・デメリットについてお伝えします。

事業承継のメリット・デメリット

事業承継のメリット・デメリットはそれぞれ以下の通りです。

事業承継のメリット

事業承継のメリットはやはり「会社・事業を存続させられる」という点でしょう。
経営者にとって自分が経営している会社・事業がなくなるようなことは避けたいものですし、従業員の雇用や顧客からのニーズも失うべきではないでしょう。
後継者への事業承継にせよ、M&Aによる事業承継にせよ、経営者にとって会社・事業が存続する以上のメリットはないといえます。

事業承継のデメリット

事業承継のデメリットは「時間がかかる」という点だといえます。
事業承継は後継者に引き継がせる場合なら長くて10年、M&Aでも1年前後の時間はかかります。また、M&Aに関しては時間がかかるうえに、成功が確実ではないので不確定要素が多いという点もデメリットだといえるでしょう。

いずれにせよ、事業承継は時間がかかるため、最後までやりぬく体力を保てるかが重要となります。どんな重要な経営戦略も時間がかかると、当事者も消耗していくものです。

そのため、事業承継の当事者は精細を欠かないように、最後まで集中し続けるように意識しなければなりません。

廃業のメリット・デメリット

廃業のメリット・デメリットは以下の通りです。

廃業のメリット

廃業のメリットは「会社を手離せる」という点です。
経営者は重責を伴う仕事であり、人によっては会社の経営から離れたいと考えていることもあるでしょう。

成否が分かれるM&Aと違い、廃業は手順通りに進めれば失敗することはありません。そのため、会社を確実に手離せるプロセスだといえます。
 

廃業のデメリット

廃業のデメリットは「手間がかかる」という点です。
廃業というと、「会社をたたむ」だけだから簡単にできるイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。

廃業は清算というプロセスとセットで行うものであり、会社の資産や負債を整理しながら進めていかなければなりません。加えて会社法で設定された規定通りに進めていかなければならず、違反すればペナルティを受ける恐れもあります。
そのため、廃業に思ったより手間取ったというケースは少なくありません。

製造業(メーカー)の事業承継が増える理由

事業承継が増える理由

製造業の事業承継が増えている理由には以下のようなものが挙げられます。

1.経営者・従業員が高齢化している

昨今は社会全体で高齢化が進んでいますが、製造業も例外ではありません。経営者・従業員の高齢化が進むことで経営や業務に支障をきたすことから、事業承継が行われるようになっています。

高齢化が何より顕著に現れているのは中小規模や零細規模の製造業です。この規模の製造業は新しい人材をあまり入れないことが多く、経営者と従業員が全員高齢化し、会社の存続が危ぶまれることも少なくありません。

2.廃業や倒産より事業の成長を選択

廃業や倒産を避け、事業の成長を実現するためにM&Aによる事業承継を選択するケースもあります。
中小規模や零細規模の製造業は規模の都合上、どうしても経営が不安定になりがちです。加えて、資金の限界があって一定以上のステージに達すると成長が伸び悩むことになる傾向があります。

そのため、経営環境や景気の変化のあおりを受けやすく、あっという間に経営状態が悪化することも珍しくありません。そのような製造業はM&Aによる事業承継を行い、大手の傘下に入ることで経営基盤を強化するという選択肢を取ることが多いです。

3.将来的な事業継続への不安

さきほどの話と重なりますが、将来的な事業継続を不安視して事業承継を選ぶこともあります。
経営状態はもちろん、経営者の体調の変化など経営が続け辛くなるファクターには様々なものがあります。もし経営者単身で解決することが難しいと感じたら、新たな経営者を迎えたり、別の会社と経営統合することが活路になり得るでしょう。

4.別事業への挑戦

新たな別事業に挑戦したい経営者にとって、事業承継は有効的な手段だといえます。
経営者たるもの、別事業に着手したいからといって会社を手離すことは簡単にできません。しかし、事業承継で後継者や第三者に経営を託せば、別事業に挑戦する余裕ができるようになります。

また、M&Aによる事業承継であれば売却益も手に入るため、創業資金や運用資金に回すこともできるでしょう。

5.健康問題による引退

経営者が健康問題を抱えており、それによって引退せざるを得ない状況になれば、事業承継は喫緊の課題となるでしょう。

経営者の中には健康問題を抱えていても、無理に経営を続けていることもあります。しかし、経営者に万が一のことがあれば会社の存続に関わります。そのため、できることなら経営者は健康問題を抱える前に、事業承継に着手した方がよいでしょう。

製造業(メーカー)が抱える後継者問題の現状と課題

後継者問題の現状と課題

ここでは製造業が抱える後継者問題の現状と課題についてお伝えしていきます。

後継者問題の現状

製造業の後継者問題の現状は以下の通りです。

1.少子化により企業の平均年齢が年々上昇

日本全体の問題である少子化は製造業にも深刻な影響をもたらしています。
昨今、少子化によって若手の人材が減ってしまうことにより、企業の平均年齢が年々上昇しています。その結果、ノウハウや経営を託せる後継者が減少しており、企業の寿命を縮めることにつながっています。

少子化による人材不足は製造業をはじめ、多くの業界に多大な影響を及ぼしています。この状況に対し、海外から人材を招へいするなど様々な対策が取られていますが、事業承継やM&Aによる人材の確保もその一環だといえます。

2.親族や従業員よりもM&Aを選ぶ会社が増加

冒頭でも触れましたが、昨今は親族や従業員へ事業承継するよりも、M&Aを実践する会社が増加しています。
M&Aは後継者が見つからなかった場合でも事業承継が実現できるため、後継者問題を抱えている会社にとっては有効的な手段だといえます

加えて、売却益が手に入ることも特筆すべきメリットです。M&Aは成功すればまとまった額の売却益が得られるため、老後の生活資金に利用することもできますし、起業する際の創業資金にあてることもできます。ある意味、M&Aは経営者が引退してからの選択肢の幅を広げることができるといえるでしょう。

3.国も専門の公的機関を開設し後継者問題の解決に積極的

後継者問題の解決を図っているのは民間の企業だけではありません。
国も事業引継ぎ支援センターなどといった専門の公的機関を解説し、後継者問題の解決に積極的にアプローチしています。

このような専門の公的機関が主に支援しているのは中小企業や零細企業です。これらの規模の企業は後継者問題の影響を受けやすく、廃業に追いやられるケースも少なくありません。しかし、規模が小さいとはいえ、日本の経済を支える企業を失うことは極めて大きな損失だといえます。

だから国も専門の公的機関を設置し、さらに事業承継のための税制を設定するなどして後継者問題に悩む企業のバックアップを実践しています。

4.後継者問題の相談は年々増加している

昨今は後継者問題の相談は年々増加しています。
「国も専門の公的機関を開設し後継者問題の解決に積極的」でお伝えしたような事態になっているのも、まさにこの現状があるからこそだといえます。

中小企業を中心に後継者問題は深刻化しており、後継者不在の会社は全体の7割近くもあるといわれています。

5.金融機関も協力し支援するケースも増えている

国の公的機関だけでなく、金融機関も事業承継に協力し、支援するケースが増えています。
とりわけ地方の金融機関は、地元の会社の事業承継・M&Aの支援に積極的であり、中には実績を認められて表彰されたケースもあります。

金融機関は多くの会社や経営者と接してきた経験を持つため、事業承継において非常に頼りになるパートナーになってくれます。

後継者問題の課題

製造業の後継者問題の課題には以下のようなものがあります。

1.中小規模の製造業(メーカー)は将来への不安を持っている

中小規模の製造業は将来への不安を持っているものです。
後継者問題や経営状況、経営環境の変化など、製造業が背負っている課題は山積しています。

加えて中小規模だと取り得る選択肢が限られるため、将来の不安を解決が難しくなってしまうことも珍しくありません。

ただ、最近はM&Aが経営戦略が取り入れられることが一般的になっており、将来への不安を解消できる機会も増えています。そのため、経営者一人で悩まず、専門家と相談して活路を模索することも有効的な選択肢です。

2.後継者問題の解決ができず廃業を選ぶ企業も多い

後継者問題の解決ができず、廃業を選ぶ企業が多いことも製造業が抱える問題です。

後継者が見つからず、事業承継ができない企業が廃業するケースは珍しくありません。しかし、廃業することはその企業が持つノウハウが失われ、従業員も路頭に迷ってしまうこともあり得ます。さらに地域の経済の損失にもつながってしまうでしょう。

廃業は必ずしも悪い選択肢というわけではありませんが、後継者問題は決して解決できないわけではありません。廃業を避けたいのであれば、専門家と相談しながら後継者問題の解決に取り組むことがおすすめです。

3.まだまだ後継者問題へ認知度が低い

後継者問題の厄介な点は認知度が低いという点です。
後継者問題は数字上では深刻な問題ですが、当事者があまり気にしていないというケースは少なくありません。

そもそも経営者は日々の業務に追われており、何かにつけて多忙なものです。そのため、後継者問題に真剣に取り組む余裕がないことも珍しくありません。

また、自分はまだまだ現役だと考えており、後継者の必要性をまだ実感できていないケースもあります。
後継者問題の深刻度は会社によって異なりますが、一度第三者に客観的な分析をしてもらい、現状を正確には把握しておくことがおすすめです。

製造業(メーカー)を事業承継する際におすすめの相談先

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まとめ

まとめ

製造業にとって事業承継は非常に重要な問題だといえます。
とりわけ後継者問題を抱える製造業にとって、事業承継は真剣に取り組むべき課題の一つだといえるでしょう。
昨今、事業承継の手法は多様化しており、様々な選択肢が用意されています。
事業承継を行う際はあらかじめ様々な知識を学び、状況にあった選択肢を選ぶようにしましょう。

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