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IT業界のM&Aの現状は?IT業界の動向や実際にあったM&A事例を紹介!

IT業界のM&Aの現状は?IT業界の動向や実際にあったM&A事例を紹介!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    IT業界のM&A

    M&Aは業界を問わずに行われている経営戦略ですが、業界によってM&Aを行う事情は異なるものです。

    業界によっては、M&Aによる業界再編が急ピッチで進められていたり、中小企業のM&Aばかりが多いなど、M&Aの状況も異なっています。

    今回はIT業界のM&Aに注目していきます。

    パソコンやスマートフォン、インターネットが一般化した今、IT業界は好調なイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

    ぜひ最後まで読んでみてください。

    IT業界の現状

    まずはIT業界の現状を網羅的にお伝えしていきます。

    ITとは「情報技術(Information Technology)」の略称であり、システム、アプリ、ソフトウェア、情報処理、通信インフラなどインターネットに関連する技術のことを指します。

    そしてそんなITを専門にしている企業をIT企業といいます。

    IT業界とその市場の特徴

    IT業界は多重下請け構造になっており、大手の企業である一次請けから、さらに開発・運営業務を担う二次請け、三次請けと連なるピラミッド方の構造になっています。

    さらにIT業界は大手から中小企業、ベンチャー企業と様々な規模の企業がひしめき合っており、かつて受託型ソフトウェア開発が主流だった業態も多様化しています。

    加えてIT技術の発展により、IT、クラウドサービス、ビッグデータ、IoT、認証システム、VRなど、様々な技術が続々登場しており、さらにスマートフォンの普及の拡大もあって、それらに比例するように事業の種類も増えています。

    また、マイナンバー制度の導入や金融業界のシステム更新、IT技術の導入もあって大規模な案件も増えているため、IT企業へのニーズも高くなっています。

    極端な話、今の時代はあらゆるモノがインターネットに接続される時代です。

    そのため、IT技術が発展し続ける限り、IT業界は今後も次々と多様化していくでしょう。

    そんなIT業界の市場は非常に大きく、2017年には総額で約12兆円に達しています。

    東日本大震災やリーマンショックの影響で低迷期こそありましたが、投資の回復もあって、IT業界の市場は徐々に拡大を続けています。

    IT業界が抱えている問題点

    一見好調なIT業界ですが、実は慢性的に抱えている問題点があります。

    それは「人材不足」です。

    「IT業界は好調なのに人材不足?」と感じるかもしれませんが、実はIT業界の人材不足はIT技術の発展と密接な関係にあります。

    IT業界は良くも悪くも発展が著しく、新しい技術が登場するスピードがかなり速くなっています。

    そのため、新しく登場した技術に人材が追い付かないという状況が生まれてしまうわけです。

    加えて、公的機関や大企業のIT技術の導入が加速度的に進み、IT業界への需要が急増している状況も人材不足に拍車をかけています。

    この「新技術の登場」と「需要の増加」という原因によって、IT業界は慢性的に人材不足に悩まされています。

    現段階でもIT業界全体で20万人弱の人材不足が発生しており、IT企業の実に8割が人材不足に悩んでいるといわれています。

    この傾向は今後も継続すると見られており、2020年には人材不足が約37万人、2030年には約79万人にまで拡大するといわれています。

    この数にまで人材不足が拡大すれば、IT業界の根底を揺るがす致命的な事態になってしまうでしょう。

    そもそも、IT業界は人材が定着しにくく、加えて新しい人材を取り入れることが難しい傾向があります。

    IT業界は、とりわけ中小やベンチャーに多いですが、労働環境が過酷であり、俗にいう「ブラック企業」に陥りがちです。

    そのため、納期に追われるハードなスケジュールのために折角の人材がつぶれてしまい、離職してしまうというケースが多発しています。

    加えてIT業界は常に新しい技術が登場するため、40代以上の人材と20代の人材ではスキルや知識に格段の差が発生してしまいます。

    だから減った人材を40代以上の人材で補うようなことはできません。

    このような性質があるIT業界は、求人倍率がすでに7倍を超えています。

    しかし、もはや新卒採用や中途採用では人材を賄えなくなっており、今後真剣に人材不足を解消しなければならない状況にあるといえます。

    IT業界のM&A事情

    IT業界のM&A事情はどのようになっているのでしょうか?

    IT業界は非常にM&Aが活発な業界です。

    IT業界は人材不足のように慢性的に抱えている問題があり、加えて様々な理由でM&Aを行なわなければならない事情を抱えています。

    IT業界でM&Aが行われる理由には、以下のようなものがあります。

    人材不足の解消

    やはりIT業界のM&Aの最大の目的は「人材不足の解消」でしょう。

    慢性的に人材不足に陥っており、新卒採用や中途採用では追いつかない以上、手っ取り早く人材を確保するには、やはりM&Aが最適な方法だといえます。

    M&Aであれば、人材の数はもちろん、すでに研修を受け、スキルを身に付けた質の良い人材を引き継ぐことができます。

    通常の採用よりも、まとめて数と質を伴った人材を獲得できるM&Aであれば、その企業の人材不足を解決できる可能性が高まります。

    また、ITやIoTなど最先端の技術に特化した人材が欲しい場合でも、その技術がある事業を買収すれば、ノウハウと人材を両方手に入れることができます。

    現状、IT業界の人材不足は根本的な解決方法が見つかっていないため、M&Aによる人材不足解消を図る企業は増え続けると見られています。

    新技術の獲得

    さきほどもお伝えしたように、IT業界は常に新しい技術が開発される業界であるため、いかにそれを取り入れるかが重要でもあります。

    M&Aであれば、新技術を扱っている企業をそのまま取り込めるため、新技術を開発するコストや時間を省略することができます。

    AIやビッグデータ関連の技術のように、最先端であれば、研究にも時間がかかるため、M&Aで丸ごとを承継できることは大きな利点だといえるでしょう。

    また、最近では異業種の企業がIT技術を強化するためにIT企業を取り入れることがあります。

    近年はIoTのように、様々なモノがインターネットに紐づけられることが当たり前になっている時代です。

    他にも小売や人材派遣、翻訳・通訳など、様々な分野においてもIT技術は用いられます。

    そのため、自社のIT部門を強化するためにIT企業をM&Aで買収する企業が増えています。

    これも新事業の立ち上げにかかる時間やコストを削減することができる点がメリットです。

    経営基盤の強化

    これは売り手となるIT企業がM&Aを行う目的になりますが、経営強化の基盤もM&Aを行う理由に多いです。

    とりわけ中小やベンチャーのIT企業は規模の都合上、資金繰りが厳しく、融資を受けることも簡単ではありません。

    しかし新技術の開発や、システムやサーバーなどの維持費を踏まえると、常に一定以上の資金は確保しなければなりません。

    そのため、中小やベンチャーのIT企業は大企業に自らを売却することにより、大手の資本を取り入れ、経営基盤を強化するケースが増えています。

    海外市場の進出

    国内のIT業界の市場は好調ではあるものの、日本の国内市場は人口減少も相まって、全体的に縮小傾向にあります。

    人材不足の深刻化と同時に少子化も進んでいる中、IT企業が海外市場に進出するケースが増えています。

    海外市場に進出すれば、新たな市場を開拓し、また海外のIT企業の技術を取り込むこともできます。

    何より、海外の人材を取り込めるため、人材不足も解決するでしょう。

    実際、M&Aでなくても、人材確保のために外国人労働者の採用に目を向けるIT企業も増えています。

    国内に留まらず、海外に飛び出していくことも有意義な経営戦略だといえるでしょう。

    IT企業のM&Aの問題点

    IT企業はM&Aが積極的に行われている業界ですが、問題点もあります。

    IT企業における最大の問題点は「専門家の数が少ない」という点です。

    IT業界は常に新しい技術が誕生しており、それに応じてビジネスモデルも刻々と変化しています。

    その結果、新しい技術やビジネスモデルに精通した専門家が常に不足している状態に陥っています。

    そのため、IT企業がM&Aのサポートを得ようとしても、適切な専門家が見つからず、上手くM&Aを進められないというケースが増えています。

    また、M&Aに関する知識だけでなく、最先端のIT技術の専門家の不足も顕著に目立っています。

    こちらも需要と専門家の数のバランスが取れておらず、新技術の導入の妨げになっています。

    近年はIT企業専門のM&A仲介会社や経営コンサルティング会社が誕生しており、中には最先端のIT技術に対応している業者もいます。

    しかし、それらもまだまだ数が少なく、IT業界全体をしっかりバックアップできるほどではありません。

    M&Aにおいても、IT業界においても、専門家の増員は解決しなければならない課題になっているといえるでしょう。

    IT企業のM&Aの事例

    ここではIT企業のM&Aの事例を見ていきます。

    エヌ・ティ・ティ・データ×シャープビジネスコンピュータソフトウェア

    IT業界の中で、日本最大手のSIerであるエヌ・ティ・ティ・データは2016年に、シャープの孫会社であるシャープビジネスコンピュータソフトウェアを買収しました。

    シャープビジネスコンピュータソフトウェアはスマートフォンなどの組み込みソフトウェアの開発を行っているIT企業ですが、これを買収することにより、エヌ・ティ・ティ・データはIoT関連事業への進出を果たしました。

    最先端のIT技術を取り入れるために行ったM&Aとして、この事例は顕著なものだといえるでしょう。

    そもそもエヌ・ティ・ティ・データは海外の企業を中心に積極的なM&Aを行っており、企業全体の規模拡大に成功、日本のSIerの中でもトップの企業に成長しています。

    エヌ・ティ・ティ・データは今後もIoT関連事業の拡大のため、国内外を問わず、積極的にM&Aを行っていくと見られています。

    ロゼッタ×エニドア

    こちらは最先端のIT技術を持つ企業同士がM&Aを行った事例です。

    AIを用いた自動翻訳支援ツールの開発、翻訳受託サービスを行っているロゼッタは、2016年に翻訳者クラウドソーシングサービスのConyacを運営するエニドアをM&Aで買収しました。

    これにより、ロゼッタは自身の技術とエニドアの技術を合わせてシナジー効果を得るだけでなく、お互いが得意とする翻訳の分野を組み合わせることにより、シェアや顧客の拡大に成功させています。

    昨今はAIやソフトウェアを用いた自動翻訳事業が盛んになっており、これが一般化すれば翻訳・通訳業界の構造やビジネスモデルを一変させることもあり得ます。

    ロゼッタとエニドアのようなタイプのM&Aは、業界全体を変革してしまうような可能性を秘めているものだといえるでしょう。

    モルフォ×Top Dattta Science

    組み込み機器の画像処理技術を用いた各種ソフトウェア開発を行っているモルフォと、フィンランドでヘルスケアや産業用IoTなどといった事業を展開しているTop Dattta ScienceのM&Aも興味深い事例です。

    モルフォは2018年にTop Dattta Scienceを子会社化しましたが、これによって両社の技術やノウハウを生かした事業を共同開発していく姿勢を見せています。

    元々両社は業務提携を結んでおり、それによってディープラーニングを応用した新たな技術を開発するなど、一定の成果を挙げていました。

    今後もモルフォとTop Dattta Scienceが共同開発したからこそ生まれる画期的な技術を、世に送り出していくでしょう。

    ナレッジスイート×ビクタス

    IT業界において、最も重要な課題の一つである人材不足の解決を目指したM&Aが、2018年にあったナレッジスイートによるビクタス買収です。

    クラウドサービスを取り扱っているナレッジスイートは、IT技術者の育成や派遣事業を行っているビクタスを買収することにより、IT技術者育成事業に進出しました。

    それと同時に、市場のニーズに備えた技術力や、研究開発体制を獲得し、収益基盤を強化することによって、より安定的な経営基盤を手に入れています。

    この事例は、IT業界の課題への解決策としてM&Aが用いられた典型的なものだといえるでしょう。

    まとめ

    IT業界は今後も発展が期待でき、市場の好調も続く可能性が高い業界です。

    そしてM&Aも積極的に行われており、常に新たなビジネスモデルが生まれる業界でもあります。

    しかし、業界全体が好調だからこそ人材の数が間に合っておらず、需要と供給のバランスが崩れつつある点がネックだといえるでしょう。

    どのIT企業にも抱える問題を、M&Aを用いていかに解決するかを模索することが、IT企業のM&Aの核心といえるかもしれません。

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