2020年3月16日更新会社・事業を売る

TOBとは?株価への影響や規制、意味をわかりやすく解説

買収を目的とするTOBはM&A手法の一種であり、「友好的TOB」と「敵対的TOB」の2種類があります。大規模な買収案件ではTOBを用いるケースがほとんどですが、周囲に与える影響が大きいため、厳格な手続きや規制が設定されています。ここでは、TOBについて解説します。

目次
  1. はじめに
  2. TOBとは?TOBの意味
  3. TOBのメリット
  4. TOBのデメリット
  5. TOBの手続き
  6. TOBによる株価への影響
  7. TOBの事例と不成立
  8. TOBによる上場廃止とは?
  9. TOBに関する規制
  10. まとめ
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はじめに

M&Aの手法には、合併や事業譲渡など多種多様な手法があります。その中でも、大企業同士のM&Aでは、「TOB」と呼ばれる手法が用いられる場合があります。TOBが発生すると、当事会社のみならず投資家にも影響がおよぶため注意が必要です。

そこで今回は、M&A手法の一つである「TOB」について詳しく解説します。

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TOBとは?TOBの意味

ここでは、TOBの意味についてご説明します。TOB(Take Over Bid)とは、あらかじめ期間や株数、価格を公開したうえで、市場を通さずに株式を買い取る行為です。

通常の株取引ではキャピタルゲインの獲得を目的に、証券市場などを通じて自由に株式を買収します。キャピタルゲインとは、株式や債券など、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことで、TOBの場合は、キャピタルゲインの獲得ではなく、企業買収や子会社化を目的に実施されます。

そのため、買収などを目的とするTOBは、M&A手法の一種であるといえます。

TOBの種類

TOBには「友好的TOB」と「敵対的TOB」の2種類があります。「友好的TOB」は、相手企業の経営陣から同意を得たうえで行うTOBのことである一方、「敵対的TOB」とは同意を得ずに行うTOBのことをさします

また、敵対的TOBの場合は無理やり相手企業を買収するため、友好的TOBと比べると買収価格が高くなる傾向にあります。

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TOBのメリット

TOBには、主に下記3つのメリットがあります。

  1. 大量の株式を一度に買い集められる
  2. 一定価額で株式を取得できる
  3. 途中でTOBをやめられる

①大量の株式を一度に買い集められる

通常の取引の場合では、一度に獲得できる株式数に限りがあります。しかし、TOBであれば一度に大量の株式を買い集められます。TOBを実施する場合は経営権の取得が主な目的であるため、このメリットは非常に大きいメリットであるといえるでしょう。

②一定価額で株式を取得できる

市場を通じて株式を買い集める場合は、株価が上昇してしまいます。しかし、TOBを活用すれば、一定価額で買い集めることが可能であるため、買収金額を把握しやすいでしょう。

③途中でTOBをやめられる

あらかじめ設定した株式数を買い集めることができなかった場合には、TOBをやめられます。そのため、中途半端に取得し、無駄に費用だけがかかる事態を回避できる点は大きなメリットです。ただし、TOBをどのタイミングで打ち切るかは専門家に相談することをおすすめします。

例えば、M&A総合研究所には、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロが多数在籍しています。そのため、専門家のサポートを受けながら、M&Aをよりスムーズに進められます。ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、M&Aに関するお悩みを一緒に解決いたします。

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TOBのデメリット

TOBには、下記2つのデメリットもあります。

  1. 市場価格よりも高い価格で買い取る必要がある
  2. 防衛策を取られて失敗するリスクがある

①市場価格よりも高い価格で買い取る必要がある

TOBにより経営権を取得するためには、株主から確実に株式を買い集める必要があります。そのため、確実に株式を買い集めるために、TOBでは通常よりも高値で株式を買い取らなくてはなりません。したがって、通常よりも多額の買収費用がかかる点がTOBの最大のデメリットであるといえます。

②防衛策を取られて失敗するリスクがある

敵対的TOBであれば、当然ながら買収を阻止するために防衛策を講じてきます。そのため、ポイズンピルやホワイトナイトなどの防衛策を取られた場合は、TOBが失敗する可能性が高まります

「ポイズンピル」とは、企業における買収防衛策の一つで、すでに自社の株主となっている人たちに事前に新株予約権を発行しておくことで、会社が好ましくないと思っている相手に自社の株式を奪われることを防ぐことをいいます。

一方、「ホワイトナイト」とは、敵対的買収を仕掛けられた際に、買収者に対抗して、対象会社と友好的に買収または合併する会社のことをいいます。

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TOBの手続き

ここでは、TOBを実行する場合の手続きについて説明していきます。TOBを実施する際は、以下の手続きを実行しなければ実施できないため注意が必要です。

  1. 公開買付開始の公告・公開買付届出書の提出
  2. 意見表明報告書の提出・回答
  3. TOBの結果公表
  4. 公開買付撤回届出書の開示

①公開買付開始の公告・公開買付届出書の提出

はじめに、個人情報・TOBの目的・買付機関などを公告します。さらに、内閣総理大臣に対して買付けの価格や買付け予定株数などを記載した公開買付届出書を提出します。

②意見表明報告書の提出・回答

TOBの対象企業は、TOBの手続きが開始されてから10営業日以内を期限として、「意見表明報告書」を提出する必要があります。

このとき、意見表明報告書には、TOBに対する意見や買収する側に対する質問などを盛り込みます。TOBを実行する会社は、5営業日以内に質問に対する回答を所定の回答報告書(対質問回答報告書)に記し、内閣総理大臣へ提出します。

③TOBの結果公表

TOBの期限が訪れた時点で、買付け者はTOBの結果を公表します。そして、TOBの結果が記された公開買付報告書を内閣総理大臣に提出し、TOBの手続きは完了となり、相手企業の経営権を行使できるようになります。

④公開買付撤回届出書の開示

TOB手続きの途中で公開買付けを撤回したい場合には、「公開買付撤回届出書」を外部に開示する必要があります。また、投資家保護の観点から、TOBを取りやめる理由を述べる必要もあるため注意が必要です。

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TOBによる株価への影響

TOBが発表された場合は少なからず株価に影響をおよぼします。ここでは、TOBによる株価への影響について「対象会社」と「実施会社」の立場に分けて解説します。

TOBの対象会社への影響

TOBに応募すれば通常よりも高い価格で売却することができるため、投資家がTOBの対象会社の株式を買い集めます。つまり、TOBが公表されると、対象会社の株価はTOBの価格に向けて上昇します。また、敵対的TOBによりTOB合戦が発生すれば、一層株価が上昇します。

ただし、TOBを実施する際には実施会社が対象会社をいかに選別するかが重要になります。そのため、M&A総合研究所のような専門家の協力を得ることをおすすめします。

M&A総合研究所は、豊富なM&A案件の中からAIがマッチングするという独自のシステムを持っています。そのため、買収ニーズを登録するだけで自動的に条件の合う案件が紹介され、効率的にM&Aの候補探しができます。お気軽にご相談ください。

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TOBの実施会社への影響

TOBの実施会社に関しては、市場の反応次第で株価が変動します。TOB後に業績が向上すると市場で判断されれば株価は上昇し、無意味もしくはマイナスの影響があると判断されれば株価は下落します。TOBの実施会社に投資する際には、市場の動向に着目する必要があるでしょう。

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TOBの事例と不成立

大企業によるTOB事例は数多く存在し、TOBの実施は市場に大きな影響を与えてきました。ここでは、有名なTOBの事例を3つご紹介します。

①RIZAPグループとワンダーコーポレーションのTOB

2018年2月、美容・健康関連事業が主力のRIZAPグループは、「新星堂」などの運営を行うワンダーコーポレーションの普通株式を金融商品取引法に定める公開買付けにより取得すると発表しました。

RIZAPグループは、フィットネスクラブ市場を利用した集客力の増加、仕入原価を削減することでの利益率の改善、印刷・広告費などのボリュームディスカウント、フランチャイズ事業の展開を目的とし、公開買い付けに踏み切りました。

ワンダーコーポレーションに対しては業務プロセスの抜本的な見直しを行い、RIZAPグループの一員として事業を推進していくことが必要不可欠であると判断したとされています。

しかし、新星堂がワンダーコーポレーションの赤字要因となっていることから、ライザップグループの業績にも悪影響をおよぼし続けました。

②日本郵政と野村不動産のTOB

2017年5月、日本郵政による大手不動産「野村不動産」のTOB検討のニュースが明るみとなり、大きな話題を呼びました。日本郵政は、野村不動産を子会社化する目的でTOBを検討していたようです。

市場では「野村不動産と日本郵政の間で、TOB合戦が生じるのではないか?」と予想されていましたが、1ヶ月後にTOBの交渉が中止となりました。その結果、TOB不成立の影響により、野村不動産や日本郵政の株価は一時的に下落しました。

③王子製紙と北越製紙のTOB

2006年には、王子製紙が北越製紙へのTOBを発表し、話題となりました。このTOBは、製紙業界におけるシェア拡大を目的に実施され、日本では初となる敵対的TOBということもあり、その結末が注目されましたが、最終的には不成立に終わりました

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TOBによる上場廃止とは?

ここでは、TOBによる上場廃止の関係について解説します。

TOBを実施すると、買収される会社側は基本的に上場廃止となります。未上場の株式を保有していると、流動性が悪化し売却しにくくなります。そのため、上場廃止による流動性悪化を回避する際には、主に2つの対応策があります。

  1. TOBへの応募
  2. 市場での売却

①TOBへの応募

上場廃止による流動性悪化を回避する選択肢の1つは「TOBへの応募」です。TOBに応募すれことで、通常よりも高い価格で売却できるため、投資家にとっては大きなメリットになります。しかし、得られる利益は大きいですが、申し込みに際してはいくつか面倒な手続きを要するため注意が必要です。

②市場での売却

上場廃止による流動性悪化を回避する2つ目の選択肢は「市場での売却」です。TOBの応募期間中には、通常通り市場で株式を売却できます。また、TOBへの応募とは異なり、面倒な手続きが不要であるうえに、TOBの価格以上で売却できる場合もあります。

TOBに関する規制

一定要件に該当する株式の売買については、TOB手続きが強制されます。ここでは、TOBが強制される規制(ルール)を2点ご紹介します。

  1. 5%ルール
  2. 3分の1ルール

①5%ルール

ある上場企業の全株式のうち5%超を取得する際には、TOBの手続きを必ず行わなくてはいけません。5%を超える株式を購入した場合は、経営権や株価などに大きな影響を与える可能性があるため、TOBの手続きが必須とされます。

ただし、著しく少数の株主から株式を買い集める場合には、例外的にTOBの手続きが不要となります。

②3分の1ルール

発行株式総数の3分の1を超える株式を買い集める場合には、例外なくTOBの手続きが必須です。

M&Aなどを実施するためには、株主総会で出席株主議決権のうち3分の2以上の賛成が必要です。しかし、ある者が3分の1以上を保有した場合には、特別決議を可決できない恐れが生じるため、3分の1ルールが設定されています。

まとめ

今回は、TOBについてご説明しました。

大規模な買収案件では、TOBを用いるケースがほとんどです。TOBでは周囲に与える影響が大きいため、厳格な手続きや規制が設定されています。

要点をまとめると、下記になります。

・TOBとは?TOBの意味
→事前に期間や株数、価格を公開したうえで、市場を通さずに株式を買い取る行為

・TOBのメリット
→大量の株式を一度に買い集められる、一定価額で株式を取得できる、途中でTOBをやめられる

・TOBのデメリット
→市場価格よりも高い価格で買い取る必要がある、防衛策を取られて失敗するリスクがある

・TOBの手続き
→公開買付開始の公告と公開買付届出書の提出、意見表明報告書の提出と回答、公開買付報告書の提出、公開買付撤回届出書の開示

・TOBによる株価への影響
→TOBの対象会社はTOB価格に近づく、TOBの実施会社は市場の反応次第

・TOBと上場廃止
→上場廃止による流動性悪化を避けるために、TOBに応募したり市場で売却したりする必要がある

・TOBに関する規制
→5%ルール、3分の1ルールなどの規制がある

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