M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年5月31日公開会社・事業を売る
M&Aとトラスト(企業合同)の違いを解説!合併やコングロマリットは?
M&Aとトラスト(企業合同)は会社経営という面で共通点がありますが、使い方や意味することは全く異なります。本記事では、M&Aとトラスト(企業合同)の違いを解説します。また、M&Aやトラスト(企業合同)を検討する際のおすすめの相談先も紹介しています。
M&Aとトラスト(企業合同)の違い
企業経営に携わっていると、M&Aやトラスト(企業合同)という言葉を耳にすることがあります。どちらも企業成長を目的として取り組むものですが、得られる効果は全く違います。
この章では、M&Aとトラスト(企業合同)の基本概要やその目的、それぞれの違いについて解説します。
M&Aとは
M&Aとは、企業の合併や買収の総称です。他社の株式を買収して傘下に加えたり、複数の企業を単一に合併することの総称をM&Aといいます。
買収は、被買収会社の発行済株式1/2超を獲得することで成立します。持株比率が1/2を超えると大半の意思決定を単独で行えるようになるので実質的な経営者となります。
合併は複数の会社を1つの法人格に統合する手法で、「吸収合併」と「新設合併」があります。買収との大きな違いは、合併は被合併会社は消滅することです。
M&Aの目的
M&Aの買収側の目的は経営資源の獲得によるシナジー効果の創出です。被買収会社の人材や技術、未進出領域・地域の顧客基盤などの経営資源を獲得することで、短期間で飛躍的な企業成長を目指すことができます。
M&Aの売却側の目的は会社の存続です。近年は中小企業の後継者不足が深刻化しており、M&Aで後継者や買い手探しを行うケースが急増しています。
また、M&Aの売却側は企業価値に応じた対価を得ることができます。中小企業は大半の株式を経営者や一族の間で所有していることが多く、売却益の獲得を目的にM&Aを実施することも珍しくありません。
トラスト(企業合同)とは
トラスト(企業合同)とは、同一業種の企業が協力して株式の買収や持ち合いを行ったり、持株会社を設立して同種の企業を傘下に持つなどして、特定市場で優位に立ちやすくなる企業経営の形態の一つです。
特定市場のトップシェアを持つ競合企業同士がトラスト(企業合同)すると、価格設定や市場の流動性を企業側の任意で行えるようになるなど、様々な面で独占力を発揮します。
1800年代のアメリカでは、「トラスト」「カルテル」「コンツェルン」などで競合企業を買収する動きが急激に活発になりましたが、健全な競争環境が損なわれる行為として独占禁止法が制定されました。
現在の独占禁止法にも規定されている形態で、過度に市場を独占するトラスト(企業合同)は禁止されています。
トラスト(企業合同)の目的
トラスト(企業合同)の目的は市場や利益の獲得です。自由競争による商品の過剰生産や価格低下を避け、市場における独占力を高めるために同一業種の企業同士で実施されます。
トラスト(企業合同)が独占禁止法に触れるかどうかは、公正取引委員会によって判定が行われます。過度な独占と判断された場合はトラスト(企業合同)を目的とした買収や合併は認められません。
M&Aとトラスト(企業合同)の違いとは
M&Aは買収や合併そのものを指す言葉ですが、トラスト(企業合同)は買収や合併による市場の独占という目的まで含まれています。
トラスト(企業合同)は独占禁止法に該当することも多く、トラスト(企業合同)目的の買収や合併だとしても企業側からトラスト(企業合同)目的と公表されることはほとんどありません。
なお、異業種同士の買収や合併は主流とする市場に違いがあるため独占性が低いと判断されます。独占禁止法の対象外とされているため、市場の独占という理由で買収や合併が否認されることもありません。
トラスト(企業合同)と合併やコングロマリットの違い
トラスト(企業合同)の他に合併やコングロマリットと呼ばれる企業形態もあります。企業成長という点で共通する部分がありますが、目的や性質は全く違います。
この章では、トラスト(企業合同)と合併やコングロマリットの違いについて詳しく解説します。
合併とは
合併とは、複数の法人格を1つに統合するM&A手法の一つです。既存会社に統合する「吸収合併」と、新設会社に統合する「新設合併」があります。
合併の目的は経営の効率化です。合併対象の会社が別々に類似商品を扱っている場合、合併で重複する部門・部署を統合することで開発力の向上や無駄なコスト削減を実現しやすくなります。
吸収合併では、独立した企業同士ではなく親会社が子会社を吸収するケースも多いです。子会社の独立性を維持するよりも高いシナジー効果が期待されるため有効な手法とされています。
新設合併は新設の会社に合併対象会社の資産や権利義務を承継する方法です。吸収合併と比較すると事例が圧倒的に少なく、利用シーンは大企業同士の合併などに限定されています。
トラスト(企業合同)との違い
トラスト(企業合同)は、買収や合併を利用して市場の独占力を高めることを目的とした企業形態の1つです。合併は企業の統合という手法そのものを指す言葉なので、目的という点で大きな違いがあります。
同一業種の大企業同士の合併では、トラスト(企業合同)になることが多く、その場合は公正取引委員会の審査で独占禁止法に該当するかどうかの判定が下されます。
過去の事例では、2012年に新日本製鉄と住友金属工業の合併が行われています。両社は大型鉄鋼企業で合併により国内シェアで圧倒的に1位になることが予測されていましたが、ノンコア事業・部門のシェアを下げることで承認を得ました。
コングロマリットとは
コングロマリットとは、技術的・市場的に関連性の低い異業種企業同士が、株式の持ち合いや合併を通じて形成されている企業形態の1つです。
近年は、新事業やノウハウを短期間で獲得するために、事業の多角化を図るケースが増えています。その過程でM&Aが実施され、異業種で形成されるグループのなかで特に規模が大きいものをコングロマリットと呼びます。
企業集中とは
企業集中とは、市場の支配力や生産規模の拡大などを目的として合併や買収を行うことをいいます。具体的には、「トラスト」「カルテル」「コンツェルン」などの形態による結合が該当します。
企業同士の競争は優劣が生じることは避けられません。競争で優位に立てない企業は自然淘汰され、合併による生き残りを検討するケースが多いです。
トラスト(企業合同)との違い
コングロマリットは、事業の多角化を促進して新規事業への積極的参入を目的とする企業形態です。トラスト(企業合同)は同業種のシェア拡大や、独占を目指す企業形態なので目的が全く異なります。
また、コングロマリットはリスク分散に繋がりやすいというメリットがあります。近年は消費者需要の多様化が加速しており、単体事業で安定的な利益を生み出すことが難しくなりつつあります。
コングロマリットで複数の事業を手掛けることによって、社会環境の変化にも対応しやすくなりリスク分散が図れます。
M&Aやトラスト(企業合同)を検討する際におすすめの相談先
トラスト(企業合同)は、市場の独占力を高めることで事業利益の向上効果が期待できます。同時に競合企業も減るため、同市場での生き残りも容易になるでしょう。
しかし、公正取引委員会に過度な市場独占と判断されると、トラスト(企業合同)を実施できなくなります。進めてきた準備が無駄になる恐れがあるため、M&Aの専門家との相談で慎重に内容を決めていく必要があります。
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M&Aやトラスト(企業合同)に関して無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
まとめ
M&Aとトラスト(企業合同)はどちらも企業の合併や買収を実施するものですが、トラスト(企業合同)は目的が明確になっているという点が異なります。
また、トラスト(企業合同)やコングロマリットは、得られる効果やメリットに違いがあります。M&Aを検討する際は目的を明確化させるためにも、専門家との相談のうえで決定することをおすすめします。
【M&Aとトラスト(企業合同)の違い】
- M&Aとは合併や買収の総称
- トラスト(企業合同)とは市場の独占力の向上を目的とする企業形態の一つ
【トラスト(企業合同)と合併やコングロマリットの違い】
- 合併とは複数の法人格を1つに統合するM&A手法
- コングロマリットとは事業の多角化を目的とする企業形態の一つ
- コングロマリットの強みはリスク分散が図りやすいこと
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。