2022年12月15日更新会社・事業を売る

M&A業界への転職!最新動向、仲介会社とアドバイザリーの違い、未経験での転職・必要な資格を解説

平均年収の高さとやりがいから、M&A業界への転職を考える方もいるでしょう。しかし、考えなしに転職すると働き始めてからギャップを感じ、後悔しかねません。今回は、M&Aの業種に興味を持つ方に向けて、M&A業界の転職事情を紹介します。

目次
  1. M&A業界への転職と業界の現状
  2. M&A業界への転職に必要な資格
  3. M&A業界への転職と年収
  4. M&A業界への転職における仲介会社とアドバイザリーの違い
  5. M&A業界に転職する際の注意点
  6. 未経験からのM&A業界への転職
  7. 業界別のM&A最新動向【2022年版】
  8. M&A業界への転職まとめ
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M&A業界への転職と業界の現状

業界の実情を理解せずに転職すると、働き始めてから理想と現実のギャップに苦しむことになります。転職後に後悔しないように、M&A業界への転職と業界の現状を把握しておきましょう。

M&A業界への転職

M&Aの業界にはさまざまな業種が存在しますが、一般的にはM&Aアドバイザリー部門を持つ会社に転職します。M&AアドバイザリーとはM&Aの専門家であり、M&A実行に不可欠な存在です。主に下記の企業がM&Aアドバイザリー業務を行っていて、転職先の対象とされています。

M&A仲介会社

事業承継や事業再編などを目的に、中堅・中小企業におけるM&Aを仲介する企業のことです。買い手企業と売り手企業の間に入ってマッチングや交渉を担当します。M&Aの仲介は大手投資銀行なども着手していなかった市場で、現在急激に成長していることから転職先の候補として見過ごせません。

大手証券会社

大規模な証券会社の多くは、社内にM&Aの専門部署を配置しています。上場企業のM&Aを主に取り扱っており、大人数で多くの案件数をこなす点が特徴的です。みずほ証券や野村証券、SMBC日興證券などが主な転職先です。

投資銀行

金融資産売買や資産運用などを行う投資銀行も、M&A業界の転職先候補として知られています。大規模なクロスボーダー案件に少人数精鋭で取り組む点が特徴です。例えば、モルガン・スタンレーやメリル・リンチなどの企業が挙げられます。

FA専門業者

FA(ファイナンシャルアドバイザリー)業務とは、企業の選定・スキーム策定・クロージングなどのプロセスに対して助言する仕事です。FA業務を専門にする会社も、M&A業界における転職先候補の1つです。GCAやアライアンスパートナーズなどが転職先候補に含まれます。

プレイベートエクイティファンド(PE)

プレイベートエクイティファンド(PEファンド)も、M&Aを実施する存在として知られています。PEとは、経営不振に陥った企業や成長の余地がある企業に投資して利益獲得を目指すファンドのことです。カーライル・ジャパン・エルエルシーやアドバンテッジパートナーズなどの企業が該当します。

監査法人

クライアントである企業の依頼で監査業務を行う法人のことです。なかには、マッチングサービスを付随して提供する法人も存在します。

M&A業務の種類と必要な人材

M&Aは業務に段階があり、それぞれに適した人材が必要とされます。各業務の内容を知って、自分の強みが生かせる仕事を探しましょう。

ソーシング業務

ソーシング業務は、M&Aの案件を探す仕事です。ターゲット企業を選定して交渉を行います。顧客の要望をくみ取る会話能力や、有望な案件を探して顕在化する提案力などに優れた人材が必要とされます。

オリジネーション業務

オリジネーション業務では、M&A案件を企業に持ちかけます。M&Aには、シェアや商圏の拡大、コア事業の強化などさまざまな効果があります。その効果を最大限に生かす提案力や客観的に評価できる能力などが要求されます。

エクセキューション業務

エクセキューション業務は、M&Aに関する事務手続きを管理・実行する仕事です。会計士や税理士、弁護士などと協力して業務を遂行する必要があり、リーダーシップや幅広い知識を持った人物が優遇されます。

デューデリジェンス業務

デューデリジェンス業務とは、企業価値の査定や資産の調査をさします。M&Aのリスクを減らすためにも欠かせない作業です。その作業を専門にしているコンサルファームやM&Aアドバイザリーなどの企業では、デューデリジェンスの経験者を探している場合があります。

【関連】M&Aのデューデリジェンスとは?目的や注意点、費用、種類、進め方を解説| M&A・事業承継の理解を深める

M&A業界の現状

近年、M&A件数の増加に伴い、M&A業界は活発化しています。2000年代以前、M&Aの件数は年間1,000件に及びませんでした。しかし、現在は2,000〜3,000件にまで増えています。中小企業によるM&Aの増加や経済のグローバル化が要因の1つです。

海外進出のためだけでなく、後継者不足の中小企業が事業承継するためにM&Aを活用する事例も増加傾向にあります。業界の活性化をふまえると、M&A業界への転職は検討に値する選択肢の1つといえます。

【関連】M&A件数の推移とは?国内、海外のM&A件数の推移を解説| M&A・事業承継の理解を深める

M&A業界の採用動向

プライベートエクイティファンドでは、ポテンシャル採用を行っていません。M&A仲介企業や投資銀行、フィナンシャルアドバイザリーサービスなどは未経験でも狙える機会があります。

外資系金融機関や日系金融機関の投資銀行部門はいずれも難易度が高く、優秀な人材が求められる傾向があります。これらの部門に転職したい場合は、フィナンシャルアドバイザリーサービスなどで経験を積んでからキャリアアップするとよいです。

M&A業界への転職に必要な資格

M&A業界では資格がなくても業務を実行できるので、転職に必須資格はありません。しかし、M&Aの関連資格を取得すれば転職で有利になります。ここからは、M&A業界の転職に役立つ資格を解説します。

M&Aエキスパート

事業承継・M&Aエキスパートは、中小企業の事業承継などを含めたM&Aの実践的な知識を示せる資格です。ファイナンシャルプランナーの資格を日本に普及させた金融財政事情研究会と、国内でM&Aの実績が最も高い日本M&Aセンターによって企画運営されています。

金融機関の融資担当者、公認会計士、税理士など幅広い業種が対象で、受験資格は特にありません。資格取得後はM&A業界への転職をさらに有利にするために、上位資格である事業承継シニアエキスパートやM&Aシニアエキスパートなどにも挑戦してみるのもよいです。

公認会計士・税理士

M&Aの業務を遂行するにはファイナンスや会計に関する知識が必要不可欠で、具体的にはバリュエーションやデューデリジェンスなどの業務遂行で必要です。公認会計士や税理士の資格は財務知識などを証明できるので、取得すればM&A業界に転職しやすくなります。

特に大手証券会社や投資銀行への転職では、上記の資格保持者は重宝されます。公認会計士や税理士資格は、M&A業界への転職にうってつけです。

弁護士

弁護士資格も、M&A業界の転職を後押しします。M&Aには法務デューデリジェンスと呼ばれる業務があり、法律に関する高度な知識が必要です。M&Aでは契約書の作成も必須であるため、法律関係の資格が重宝されます。

法務関連資格のなかでも弁護士資格はM&A業界で特に需要が高く、大手事務所で勤務した経験があれば、さらに転職が有利になります。

英語関連の資格

クロスボーダーM&Aを遂行するためには、外国人クライアントと会話できる英語力が必要です。TOEICなどの英語関連資格があれば、クロスボーダー案件に力を入れる投資銀行などへの転職が多少有利です。

ただし、M&A業務においてはファイナンスや法務などの知識が最も重視されるため、英語力だけでは不十分だといえます。ファイナンスや会計の知識があってこそ、英語関連の資格をM&A業界への転職に生かせます。

その点、英語力と会計能力を表せるUSCPA(米国公認会計士)の資格は、M&A業界への転職に有利です。公認会計士の資格と比べると取得難易度は低いので、M&A業界への転職を考えている方は、USCPA資格取得を検討してみるのもよいです。

M&A業界への転職と年収

活況を見せているM&A業界ですが、転職した後の年収について結論から述べると、M&Aに関する企業は平均的に年収が高いです。会社四季報にある上場企業の年収ランキングでは、M&A関連会社が常に上位に食い込んでいます。

GCAやM&A総合研究所、M&Aキャピタルパートナーズなどは、平均年収が非常に高いです。はっきり公表されてはいませんが、外資系であれば、2,000〜3,000万円の年収を目指すのも夢ではありません。

M&A業務の実行には、会計や法務などに関する高度な専門知識を要します。そのほか、知識だけでなく交渉能力や営業力、激務に耐え得る体力なども必要です。業務遂行に要求される能力が高いうえに幅広いことから、M&A関連企業の年収は高いです。適性や努力が必要ですが、M&A業界への転職は年収を上げるのに最適といえるでしょう。

M&A業界への転職における仲介会社とアドバイザリーの違い

M&Aアドバイザリーの類似業種に、M&A仲介会社が存在します。両者にはどのような違いがあるのでしょうか?最も大きな違いは、業務やクライアントに対する取り組み方です。M&Aアドバイザリーは売り手や買い手のいずれかに着任し、クライアントの利益最大化を目指します。

一方、M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に入り、双方の利益最大化を目指す点が特徴的です。大手のM&A仲介会社であれば、相手探しからクロージングまで一括サポートします。売り手と買い手の双方から手数料を徴収するので、売上や年収が高いです。

M&A仲介会社にも、公認会計士や弁護士などの専門家が在籍し、サービスの質は高いです。証券会社や投資銀行が大規模なM&Aに取り組む一方で、M&A仲介会社は小・中規模のM&Aも担当します。

一般的な中小企業であれば、M&A仲介会社にM&Aを依頼するケースが大半です。M&A仲介会社とアドバイザリーの違いをふまえて、M&A業界への転職を検討することが大切です。

M&A業界に転職する際の注意点

M&A業界では、転職の際にほかの業界とは異なる事柄が要求されます。この項では、M&A業界に転職する際の注意点を解説します。

経験やスキル重視

業務遂行に専門性が必要となるため、M&A会社への転職ではM&Aに携わった経験が重視されます。仮に前職で優秀な成績を残しているとしても、M&Aにまったく関係ない業界であれば評価されにくいです。M&Aに携わった経験がない方は転職が不利になります。

ただし、M&Aに関する経験がなくても、会計・税務・法務などの業務スキルがあれば、転職に成功する可能性が高いです。企業によっては簿記二級やFP二級などにも注目するかもしれませんが、一般的には公認会計士や弁護士などの資格が高く評価されます。

M&Aについて熟知しておく必要がある

転職前にM&Aに関して熟知しておく必要があります。例えば、M&Aの流れやM&Aのメリット、M&Aのスキームなどです。M&A業界への転職では、専門知識や経験に加えて、M&Aに対する熱意も重視されます。

知識や経験がなくてもM&Aに対する熱意があれば、採用担当者の共感を引き出して内定を獲得できるケースも少なくありません。しかし、熱意が伝わりにくい場合もあるので、M&Aの業種を志す理由について個人のエピソードを交えて具体的に話しましょう。

各M&Aアドバイザリーの違いをふまえる

M&Aアドバイザリーごとに要求するスキルが異なる点にも注意が必要です。例えば、M&A仲介会社であれば、専門知識に加えて営業力が重視される一方で、投資銀行では英語力が重宝されます。M&A業界に転職する際は、自身の強みを把握したうえで各社にアプローチしましょう。

未経験からのM&A業界への転職

M&Aの経験がないからといって、M&Aの業種に転職できないわけではありません。しかし、未経験である以上、簡単に採用されないのも事実です。そこで、未経験者が転職できるポジションや、転職を成功させるポイントをまとめてみました。M&Aの経験がない方は、転職の際にご参考ください。

M&Aの経験がなくても転職できるポジション

業界によっては大学のカリキュラムやアルバイトなどで仕事の経験を積めますが、企業に属さなければM&A業務に携わるのは難しいでしょう。しかし、M&Aの経験がなくても転職できる企業やチームなどがあります。

例えば、銀行や証券会社に属する投資銀行部門のM&Aグループです。近年は好景気によってポテンシャル採用の機会が増えており、転職のチャンスが開かれています。ただし、難関大卒やMBA取得などが条件にされたり、英語能力や財務知識などが要求されたりする傾向があります。

そのほか、M&A仲介会社も未経験者が狙える企業の1つです。少子高齢化による後継者不足を受けて、事業承継のニーズが高まるとともに急成長を遂げていて、営業実績を持つ優秀な人材を異業種から積極的に採用しています。特に金融機関などの営業経験者を求めているので、該当する方はチャレンジしてみるのもよいです。

M&A未経験者が転職を成功させるコツ

経験や実績が重視されるM&A業界で、未経験者が転職することは難しいです。しかし、未経験者であっても、M&A業界に転職できる可能性は十分にあります。未経験者がM&A業界に転職するためには資格取得がおすすめです。

税理士や公認会計士資格を持っていれば、未経験でも採用される可能性が高いです。難関資格を持っていないのであれば、英語力や営業力などの強みを示しましょう。範囲は限定されますが、転職のチャンスを得られます。

具体的には、英語が得意であればクロスボーダーM&Aに力を入れている会社、営業経験が豊富であれば中小企業のM&Aに取り組んでいる会社などが好ましいです。もしもアピールできる点がなければ、M&Aについて学んで転職候補先に熱意を伝えるしかありません。

M&Aに対する熱意とやる気を見せれば、未経験であっても採用してくれる可能性はあります。通常よりも転職の難易度は高いですが、年収の高さとやりがいをふまえるとM&A業界への転職にチャレンジすることは無駄ではありません。

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業界別のM&A最新動向【2022年版】

最後に、M&Aの最新動向を代表的な10の業界に分けて、それぞれ詳しく取り上げます。

IT

システムやアプリ・ソフトウェア・情報処理・通信インフラなど、情報技術を専門とした業界のことです。直近30年ほどトップレベルで成長し続けており、今後も新たな企業が続々と誕生すると考えられています。さまざまな業界の基盤となって発展をサポートしており、多くの国が今後も長く発展すると予測されている業界です。

不動産・建設・ビルメンテナンス

建設業界は、2021年に開催された東京五輪関連のイベントによる大型の再開発がピークの頂点に到達しています。これに対して、不動産・ビルメンテナンス業界では、新築分譲マンションの供給で市場は続伸中です。

近年都市部では商業施設やマンションなどが建設され、地方ではショッピングセンターのような大型施設が建設されるなど、不動産・建設・ビルメンテナンス業が必要とされる一方で、新たな入職者が増えずに人手不足に悩まされています。

食品

食品業界は、製造業・卸業・小売業・外食業など多岐にわたる点が特徴的な業界です。現在は成長傾向で推移しているものの、高齢社会の到来に伴う人口減少により、今後は長期的にみると業界全体の需要減少・規模縮小の可能性が高いと考えられています。

物流

物流業界は、大まかに輸送・運送を行う運送業と、保管を行う倉庫業で成り立っている業界です。現状の需要の高さからみても将来性は十分あるとされています。

個配の需要は落ち着きつつあるものの、今後極端に減るとは考えづらく、高齢社会の影響により買い物に行くのが難しい人が増えると、ますます個配の需要は高くなる見込みです。

製造

製造業は、原材料の加工や組み立てにより製品を作る業界であり、機械や電子機器、衣料品など幅広い分野が存在します。特にITの根幹を担う半導体や電子部品に関わる業界の将来性は期待できます。

なぜなら、半導体は自動運転技術やAIで多く使用されており、世の中が完全運転実用化を目指しているなかで需要が高いためです。

医療・介護

平均年収ランキングで長年にわたり上位をキープしている医療業界には、患者へ医業を行う医師や関連のサービスの提供を行う事業が存在します。

医療・介護業界の将来性は期待できますが、現場や現状の制度には課題も少なくありません。例えば、医療業界では若い医師の存在価値がますます大きくなっており、人材確保が急務とされている状況です。

調剤薬局

調剤薬局業界はM&Aで最も注目を浴びている業界です。M&Aの増加に関わる調剤薬局が抱えている課題は、以下のとおりです。

  • 収益の減少
  • 成熟市場
  • 薬剤師不足
  • 後継者不足

政府は現在の薬局数を多くなりすぎたと捉えており、適正な数に調整しようと働きかけています。すでに調剤報酬は徐々に厳しく改定されており、求められる機能を発揮できる薬局が自然に残るような状況が構築されています。

小売・卸売

いずれもどちらも商品の販売を行う業界であり、商社や食品など幅広い分野が存在します。日本は欧米に比べると商材が多品種であり、小ロットを好む傾向があり、今後ますますニッチな需要も増えると予想されることから、卸売業者の存在が必要不可欠だとされています。そのため、将来性には期待可能です。

サービス

顧客に無形の価値をもてなす業種であり、その分野は情報やモノ、快適性など多種多様です。具体的には、外食や宿泊施設、広告、人材派遣、教育、放送などが当てはまります。

サービス業の需要は年々増加傾向にあります。IT技術の進化による影響を受けているものの、AIでは補えない分野では将来性が期待可能です。

ゲーム

ゲーム業界は、ゲームソフトやハード、アプリの開発と販売に携わる業界です。ハイパーカジュアルゲームやクラウドゲームなどの台頭により、性別や年齢を問わずゲームに親しむ人が増加傾向にある一方、1つのゲームをやり込んで欲しいゲームに合わせてハードウェアを買い替えていくようなコアユーザーは減少傾向にあります。

とはいえ、IT技術の発展やスマートフォンの普及などにより、ゲームのニーズは安定して高いまま推移しています。こうした現状により、ゲーム業界は今後もさらなる進化や発展を遂げる可能性が高いです。

M&A業界への転職まとめ

M&A業界は平均年収も高く、華々しいイメージがあります。業界の魅力にひかれて安易に志望せず、転職事情や必要な資格、注意点などを把握しておくことが大切です。ポテンシャル採用が実施されているケースもみられるので、M&A業界に転職したい方はぜひチャレンジしてみましょう。

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