M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年10月26日更新業種別M&A
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の動向は?M&A・事業承継時の注意点も解説
本記事は給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・売却・買収・事業承継の動向や成功ポイントを分析しました。M&Aのメリットやデメリット、相場などを事例・案件情報も解説します。給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継を検討中の方は必見です。
目次
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界の特徴
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の最新動向
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の案件例
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の事例とニュース
- M&A総合研究所の給食サービス業の成約事例
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業をM&A・事業承継するメリットとデメリット
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の成功ポイント
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の注意点4選
- 給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の相場
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継まとめ
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の特徴
給食業とは、企業・官公庁・病院・学校などを対象として、飲食サービスを継続的に提供する事業のことです。継続したサービスを提供するうえでベースとなるのは、委託者との契約です。そのため、コントラクトフードサービスとも呼ばれています。この点が、顧客にその場で料理を提供するレストランとの違いです。
また、飲食サービスを提供する際に、配達・宅配事業を行うケースも見られます。これは、食品宅配事業・食材宅配事業などとも呼ばれており、多くの企業がこの形態で事業を展開中です。そして、その関連事業として、テイクアウト業も行われています。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の構造
公益財団法人食の安全・安心財団の資料によると、2023(令和5)年における集団給食業界の市場規模(推計)は、3兆1,741億円でした。
2017(平成29)年が3兆3,791億円、2018(平成30)年が3兆3,606億円、2019(令和元)年が3兆3,534億円、2022年が2兆9,890億円であるため、ここ数年で緩やかな減少傾向にあります。なお、市場規模全体の約30%を売上高上位10社が占めている状況です。
一方、テイクアウト・配達飲食業界では、一般社団法人日本惣菜協会の資料「2021年惣菜白書ダイジェスト版」によると、2020年の市場規模は9兆8,195億円でした。2017年が10兆555億円、2018年が10兆2,518億円、2019年が10兆3,200億円であり、前年よりも微減しています。
出典:一般社団法人 日本フードサービス協会 「令和4年・5年(各年 1 月~12 月)外食産業市場規模推計について 」
一般社団法人日本惣菜協会「2021年惣菜白書ダイジェスト版」
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の市場動向
2023年度の給食市場(6分野計)は、前年度比3.9%増の4兆7,915億円となり、コロナ禍での落ち込みから回復基調を見せました。2021年度以降、行動制限の緩和に伴い人流が戻りつつあり、各分野の市場規模はコロナ前の水準に近づいています。
特に病院や高齢者施設向けの「メディカル給食」分野では、慢性的な人手不足が続いており、特に朝食対応の要員確保が課題となっています。この問題を解決するため、調理済み食品や「完全調理メニュー」の導入が進み、効率化・省力化が図られています。
完全調理メニューは、主菜や副菜、デザートまで揃え、再加熱と盛り付けのみで提供可能なため、調理の負担軽減に寄与しています。
今後も給食市場は回復基調が続き、2026年度には総市場規模が5兆円を超え、2028年度には2023年度比7.0%増の5兆1,254億円に達すると予測されています。
分野別では、事業所対面給食や弁当給食、高齢者施設給食が拡大する一方、病院給食と幼稚園・保育所給食は減少傾向にあり、学校給食は横ばいで推移すると見込まれています。特に2028年度には、高齢者施設給食が病院給食を上回ると予測されています。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の課題と展望
給食業界は、慢性的な人手不足や運営コストの上昇、後継者不足といった複数の課題を抱えています。まず、給食現場は立ち仕事が多く体力を要するため、若い世代の就業希望者が減少し、人手不足が深刻化しています。さらに、給与水準が低いことから離職率も高く、栄養士や調理師などの専門職が確保しづらい状況です。
また、後継者不足も大きな問題です。給食業界では、経営者が次世代に事業を引き継ぐケースが少なく、廃業に至る企業も少なくありません。日本給食業経営総合研究所の調査によると、後継者が決定している企業は全体の2割程度にとどまっています。
さらに、食材価格や人件費、光熱費などの運営コストの増加も課題です。2022年のロシア・ウクライナ情勢や為替円安の影響により、これらのコストが上昇し、収益性が低下しています。コスト削減が求められますが、同時に給食の質を維持することも重要です。
そして学校給食や介護給食分野では、栄養バランスやコストが厳格に規定されているため、差別化が難しく価格競争に陥りやすいです。自社の強みを発信し、メニュー開発や試食会の開催などを通じて競合との差別化を図ることが求められています。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の最新動向
既存の事業の強化・拡大、新規事業の開始などを実現するために、M&Aは効果的な手法です。これは給食業・テイクアウト・配達飲食業界も例外ではなく、最近ではサービス体制の強化や事業の拡大、新規事業への参入などを目的としたM&A事例が見られます。
例えば、同業者同士のM&Aによって給食業事業や配達飲食事業の強化を図るケースや、新たにフードサービス分野に参入するケースなど、事例ごとにさまざまな目的が掲げられています。また、高齢者向けサービスの需要拡大を見込み、事業強化や新規参入のためにM&Aを行うケースも少なくありません。
人口の高齢化が進んでいる状況も踏まえると、今後は高齢者向け配食サービスの開始・強化のためにM&Aを検討する企業が増える可能性があります。さらに、コロナ禍にあってM&Aに活路を求めるケースも出てきました。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aで買収側候補となる企業
給食業・テイクアウト・配達飲食業界では、事業承継を目的とするM&Aであっても、買収側候補となるのは上場企業や大企業が中心であると考えられ、今後は大手企業が中心となり業界再編が進行するとも推察されます。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っている給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。
【四国・業績回復傾向】給食仕出し弁当製造業
味に定評のある仕出し弁当屋さんとして地域内でブランド化に成功しています。2,000個/日の大量受注に対応可能な仕出し業者であり、行政等からも安定的に受注があります。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【中国地方】業歴数十年以上の給食サービス事業
高齢者向け施設への提供のみでなく、学校給食など幅広く取引しています。進行期は2024年3月期比で+2,000万円以上の営業利益で推移しています。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2億円(応相談) |
譲渡理由 | 自身での事業継続・拡大に限界を感じているため |
【セントラルキッチン保有】給食受託事業(関東)
学校給食、企業食堂、病院食、福祉施設院内食など、広く対応可能しています。自社工場も保有しており、仕出し弁当やケータリングサービスも提供可能です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 10億円〜25億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 財務的理由、戦略の見直し |
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の事例とニュース
近年の給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の事例とニュースをピックアップしてご紹介します。
ツナググループ・ホールディングスがAIGATEキャリアを買収
2024年6月、ツナググループ・ホールディングス(以下「ツナググループHD」)は、ジェイフロンティアの子会社であるAIGATEキャリアの全株式を取得し、子会社化することを発表しました。ツナググループHDは、グループ経営戦略策定や経営管理を行い、AIGATEキャリアは医療・介護分野の人材紹介や派遣事業、コールセンター業務などを展開しています。
今回の株式取得の背景には、人口減少による医療・福祉業界での人材確保ニーズの増加があります。
ツナググループHDは、AIGATEキャリアが持つ医療・福祉領域の顧客基盤やノウハウと、同社が保有する人材紹介・派遣分野の経験や集客力を組み合わせ、相乗効果を生み出すことで、サービスの強化と企業の成長を目指します。このM&Aにより、ツナググループHDは医療・福祉業界での採用支援体制をさらに強化する狙いです。
柿安本店が赤塚興産を完全子会社化
2024年6月、柿安本店は、三重県桑名市の赤塚興産の株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。柿安本店は、外食・中食・内食の3分野でレストラン、惣菜、和菓子、精肉販売などを手掛ける企業です。一方、赤塚興産は柿安本店の創業家の資産管理会社で、有価証券の売買を行っています。
今回の株式取得の目的は、柿安本店の株主価値を向上させることにあります。具体的には、資本政策により株価を向上させることや、自己株式の実質的な取得により一株当たり当期純利益(EPS)の増加、株主資本利益率(ROE)の向上を図ることで、株主への利益還元を強化することを目指しています。これにより、株主にとっての利益を最大化することが期待されています。
ジェイフロンティアがグリフィスを買収
2024年1月、ジェイフロンティアは、グリフィスの株式を取得し、子会社化することを決議しました。ジェイフロンティアは、オンライン診療や薬の宅配プラットフォーム「SOKUYAKU」事業、医薬品を含むヘルスケア商品のD2C事業、医療機関向けのB2B支援事業を展開しています。一方、グリフィスは物流業務の受託およびコンサルティングを行う企業です。
今回の子会社化により、ジェイフロンティアは「SOKUYAKU」事業における処方薬の当日配送エリア拡大や冷蔵薬品、検体配送を強化するほか、D2C事業では冷凍・冷蔵便を利用した低糖質弁当の取り扱いを拡充します。また、物流・倉庫機能の効率化を図り、事業拡大と収益力強化を目指します。
オーシャンシステムがヨシケイ両毛から事業取得
2023年4月に、ヨシケイ両毛は新潟県三条市に本社を置く食品関連企業「オーシャンシステム」に株式を譲渡し、その連結子会社となりました。オーシャンシステムは、業務スーパーの運営、食材の宅配、お弁当の配達など、多岐にわたる食関連サービスを手がけています。
一方で、ヨシケイ両毛は夕食材料セットの宅配を専門としており、このM&Aによりグループの一員となりました。この統合によって、オーシャンシステムは群馬県や栃木県での食材宅配事業の営業エリアを拡大し、キャッシュフローの増加を通じて企業価値を向上させることを目指します。
一冨士フードサービスが日京クリエイトを吸収合併
病院や介護福祉施設に食事を提供する会社、日清医療食品の関連企業である一冨士フードサービスと株式会社日京クリエイトが、2021年4月1日に合併しました。
この合併後の新しい会社の名前は一冨士フードサービス株式会社です。この合併の主な目的は、社員の力や会社の資源をより効果的に使うためでした。
ダスキンがいちごホールディングスから事業譲渡
2020(令和2)年11月、ダスキン(大阪府吹田市)は、いちごホールディングス(宮城県仙台市)と同社子会社のストロベリーコーンズ(宮城県仙台市)が行ってきた宅配ピザ事業を譲受しました。取得価額は公表されていません。
ダスキンは、2016(平成28)年にストロベリーコーンズと業務提携し、ダスキンが運営しているミスタードーナツ店舗内で、ストロベリーコーンズのピザ商品である「ナポリの窯」を販売してきた経緯があります。
ダスキンとしては、ミスタードーナツにおける販売促進を加速するために事業を取得しました。事業譲受にあたっては、事業を引き取るための新会社を設立しています。なお、2021年、事業譲受は中止されています。
LINEのシンガポール子会社がフードデリバリー会社を吸収合併
2020年8月、LINE(東京都新宿区)の連結子会社LINE Man Corporation PTE.LTD(シンガポール)が、Wongnai Media Pte. Ltd.(シンガポール)を吸収合併しました。また、この合併に合わせて、第三者割当増資も行われています。
LINE Man Corporation PTE.LTDは、タイでオンラインフードデリバリーなどを行っている会社です。一方、Wongnai Media Pte. Ltd.は、Wongnai Media Company Limitedが設立した会社で、タイ国内の飲食店レビュープラットフォームを運営しています。
この吸収合併によって、LINE Man Corporation PTE.LTDのタイでのフードデリバリー事業を強化することが目的です。
ジャストプランニングがサン電子から事業取得
2020年8月、ジャストプランニング(東京都大田区)が、サン電子(愛知県名古屋市)からスマートフォンアプリ「iToGo(アイトゥゴー)」事業を取得しました。取得価額は公表されていません。
ジャストプランニングは、外食産業向けにアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)事業を展開している会社です。そして、サン電子から取得したスマホアプリ「iToGo」では、一般消費者に対し、テイクアウト料理の事前予約や割引クーポン配信機能などを提供します。
ジャストプランニングとしては、飲食店向けテイクアウト事業支援サービス強化を念頭に事業を取得しました。
ぐるなびが法人向けフードデリバリー事業を譲渡
2020年1月、ぐるなび(東京都千代田区)が、法人向けフードデリバリー事業をスターフェスティバル(東京都)が新たに設立したOMOTENASHI(東京都渋谷区)に譲渡しました。譲渡価額は5億5,000万円です。譲渡の具体的なスキームには、会社分割(簡易吸収分割)が用いられました。
スターフェスティバルは、宅配弁当・ケータリング事業で実績がある会社で、この事業譲渡に関してはスターフェスティバル側から提案した模様です。ぐるなびとしては、事業の選択と集中を考慮・検討し、事業の切り離しを決めています。
M&A総合研究所の給食サービス業の成約事例
M&A総合研究所では、介護施設や病院向けの給食サービスを提供する2つの企業のM&Aをサポートしました。譲渡企業は株式会社ベストで、譲受企業は富士産業株式会社です。
株式会社ベストは設立から約40年、山形県鶴岡市に本社を置く会社で、介護施設向けの給食受託と介護食の製造販売、さらに食事宅配サービスを主な事業としています。地元で高い知名度を誇り、地域密着型のサービス提供と全国展開を目指して事業を拡大しています。
富士産業株式会社は、創業から約50年、本社を東京都港区に構えており、医療機関や介護・福祉施設、学校、企業など様々な場所で食事サービスの提供を行っています。レストラン経営や食材販売など、食に関連する幅広い事業を手掛ける業界のリーダーとして全国的に事業を展開しています。
この合併により、双方の企業がそれぞれの強みを生かし、サービスの質の向上と事業のさらなる拡大を図ることを目指しています。
給食業・テイクアウト・配達飲食業をM&A・事業承継するメリットとデメリット
ここでは、給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社がM&A・事業承継を行う際、実際にどのようなメリット・デメリットがあるのかを確認します。譲受企業(買収側企業)、譲渡企業(売却側企業)に分けてまとめました。
譲受(買収側)企業のメリット7選
まず、給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を買収する場合のメリットは、以下のように多々あります。
- 売却側のブランド(屋号など)を獲得できる
- 自社が同業である場合、シナジー効果により業績拡大が期待できる
- 上記と同時に、スケールメリットも得られる
- 自社が同業・関連業であれば、異なるノウハウなどを得て新たな商品開発やサービスが可能になる
- 時間や労力をかけることなく、新たな事業エリアへの進出や新規事業への参入ができる
- 新たに安定した仕入れ先や販売先を獲得できる
- 有能な人材を大量に確保できる
譲受(買収側)企業のデメリット6選
また、給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を買収する場合に気をつけたいデメリットには、以下のようなものが考えられます。
譲渡(売却側)企業のメリット8選
もう一方の当事者である、給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を売却する側には、M&Aで以下のようなメリットが得られる可能性があります。
- 後継者問題が解決し事業承継がなされる
- 廃業を回避し従業員の雇用が継続できる
- 売却益を獲得できる
- 個人保証や担保供与から解放される
- 財務にゆとりのある買収側の傘下になることで経営が安定する
- スケールメリットを得られるようになる
- 買収側のノウハウ提供により新商品・サービスの展開が可能になる
- 事業譲渡の場合、不要事業(ノンコア事業)を譲渡しコア事業に集中できる
譲渡(売却側)企業のデメリット6選
給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を売却する側として、注意すべきM&Aのデメリットには以下のようなものがあるので把握しておきましょう。
- 事業譲渡の場合、競業避止義務が生じ、20年間、売却した事業と同じ事業を同一地区およびその隣接地区で行えなくなる
- 必ずしも希望どおりの条件で売却が成立するとは限らない
- 取引先や顧客から反発され事業に影響が出る可能性がある
- 売却後も会社に残る場合、売却前のような経営の権限はなくなる
- 売却後すぐにリタイアしたくても、経営統合プロセスへの協力が義務づけられて一定期間、ロックアップされる(会社に残り引き継ぎや統合プロセスへの協力を数カ月にわたって行う)
- 希望に合う買い手が見つからなければM&Aが成立しない
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の成功ポイント
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の企業が売却を行う際や、給食業・テイクアウト・配達飲食業界の企業を買収する際に、そのポイントを知っておけばM&A成功の確率は高まります。以下で、そのポイントを解説します。
給食・テイクアウト・配達飲食事業の売却を行うケース
売却の際には、買い手側に自社の魅力をしっかりと伝える必要があります。相手企業が自社に魅力を感じてくれれば、それだけ買い手として名乗り出てくれる可能性が高まるためです。
例えば、売り手が宅配事業で充実したサービス体制を構築していれば、宅配事業を強化したいと考える買い手にとって、その事業は大きな魅力です。
また、特定のエリアに強みがあるケースや、今後、需要の増加が見込まれる高齢者向け飲食サービスを手掛けているケースなども、売却の際に大きな強みとなります。このような自社の強み・魅力はしっかりとアピールし、売却の成功につなげることが大切です。
強みのある事業は何か、特徴的なサービス体制があるか、これまでどのような実績があるのか、自社の強み・魅力をわかりやすく示しましょう。
給食・テイクアウト・配達飲食事業の買収を行うケース
給食業・テイクアウト・配達飲食会社を買収することで、自社の給食事業や宅配事業の強化・拡大、サービス体制の強化などを図れます。また、需要の増加を見込んで新規参入を図る際も、M&Aによる買収にはメリットが多いです。
買収によってこうしたシナジー効果を生み出すには、そもそも自社がどの事業を強化・拡大したいのか、新しく参入したい分野はどこかといった目的を整理し、買収対象を検討しましょう。目的を整理すると買収の方向性がはっきりするため、成功につながりやすくなります。
相手企業のサービス体制・事業内容・これまでの実績などを判断し、自社の目的に合った買収につなげましょう。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の注意点4選
M&A・事業承継にあたっては、「目的を明確にする」「M&Aの対象は丁寧に選ぶ」「無形資産の承継を丁寧に行う」「デューデリジェンスを徹底する」などの点に特に注意しましょう。以下に、詳細を掲示します。
①目的を明確にする
M&Aの目的がはっきりすれば、具体的なM&A戦略の策定により適切なスキームを選べます。目的に沿った形でM&Aが進み、最終的にM&Aによるさまざまなシナジー効果が期待できるのです。
これに対して、目的がはっきりしていなければ、具体的な戦略やスキームが曖昧になり、M&Aが失敗に終わる可能性があります。「費用がかかっただけで、思ったような効果が現れなかった」といった事態につながりかねません。こうした事態を防ぐためにも、M&Aの目的は明確にしておきましょう。
②M&Aの対象は丁寧に選ぶ
M&Aの相手企業は慎重に選ぶ必要があります。売却によって他社に経営を任せる場合も、買収によって他社を傘下に入れる場合も、信頼できる相手企業を選ばなければなりません。トラブルの発生を防ぐためにも、相手企業の事業方針や事業内容などを確認したうえで、信頼できるかどうかを慎重に判断しましょう。
そして、適切な相手と判断したら、アプローチを早めに行う必要があります。 アプローチが早ければ、他の企業に先を越されるリスクが減るためです。さらに、M&Aを進めるうえでは、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートを受けることがベストです。
専門家のフォローがあれば、目的の明確化や相手企業の選定もスムーズに進みます。また、M&Aでは、法務・税務・財務などの専門知識や、相手との交渉力も必要です。これらの専門的なプロセスを自社だけで進めることは難しいですが、専門家のサポートがあれば各段階でスムーズな進行が可能です。
③無形資産の承継を丁寧に行う
M&Aによる事業承継に伴い、無形資源が喪失されるケースも多くみられます。給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aを行う場合は、顧客関係や従業員の承継にできるだけ多くの時間をかけ、無形資産の承継を丁寧に行うとよいでしょう。
④デューデリジェンスを徹底する
M&A後に給食業・テイクアウト・配達飲食業給食業を即座に展開するためには、デューデリジェンスの徹底が必要不可欠です。
このときは、セントラルキッチンの導入による調理の効率化の有無、調理作業の平準化の有無などもしっかり確認しておくようにしましょう。
また、児童の成長段階や老人の介護状況に応じた多品種のメニュー開発の有無、異物混入や食中毒に対する予防策の有無などの確認も大切です。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・事業承継の相場
ひとことに給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aといっても、事例ごとに目的や対象事業・会社の規模は異なります。特に近年は、M&A事例も多様化しているため、相場・費用を一概に判断することは難しいのが現実です。
ただし、相場・費用を考えずにM&Aを行うわけにはいきません。想定外の費用の発生やトラブルにつながるおそれがあるためです。こうした事態を防ぐためには、自社と似た事例を徹底的に分析し、相場・費用の目安をある程度つけておく必要があります。
具体的には、事例ごとのM&Aの目的、M&Aの当事者となる会社の規模、対象事業の規模、業績、従業員の数、M&Aのスキームなどを確認したうえで、自社の状況と似ている事例を徹底的に分析し、相場・費用の目安を把握することが大切です。
M&Aの譲渡価格の相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置する事例が増加しています。特に、投資銀行やメガバンクなどの大手金融機関は、FAとして買収資金の調達や戦略的アドバイスを行い、M&Aにおいて重要な役割を担っています。
これらの金融機関を活用することで、資金調達に関する高度なアドバイスを受けられるほか、事業承継や株式移転の課題にも対応できることが大きなメリットです。
しかし、大手金融機関は主に大規模案件を取り扱う傾向があり、中小規模の案件には対応しないことも多いため、自社の規模に合った支援機関を選ぶことが重要です。また、アドバイザー報酬が高額になるケースもあるため、契約前にコストを十分確認する必要があります。
公的機関
近年、事業承継やM&Aに関する公的機関の支援体制が整備されてきました。「事業承継・引継ぎ支援センター」は、後継者不足に悩む中小企業を対象に、全国47都道府県でサポートを行う窓口です。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供、専門的なアドバイス、企業間のマッチング支援など、多岐にわたるサポートを無料で受けられるため、特に地方企業にとって利用しやすい点が特徴です。
さらに、個人事業主も相談可能で、必要に応じてM&A仲介会社や専門家の紹介も受けられます。ただし、民間のM&A仲介会社と比べると、対応の迅速さやサポートの範囲に限界があるため、その点を理解した上で利用することが大切です。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売買手続きを一貫して支援する専門機関であり、売却側と買収側の双方と契約し、取引に関する交渉や調整、相手先の選定、企業価値の評価(バリュエーション)、書類作成まで、幅広いサポートを提供します。特に、売り手と買い手の希望や条件をすり合わせ、双方が合意できる条件を見つけ出す役割を担います。
また、豊富なネットワークを活用して最適な取引相手を紹介することで、M&Aの成功率を高めることにも強みがあります。M&Aに不慣れな企業には、取引をスムーズに進めるためのアドバイスも提供するため、安心して取引を進められる点もメリットです。
ただし、着手金や中間報酬が発生する場合もあり、コスト負担が課題となることもあるため、費用を抑えたい場合には、成功報酬型の仲介会社を選ぶのも一つの選択肢です。
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継まとめ
給食業・テイクアウト・配達飲食業界でも、他の業界同様に、事業の強化・拡大、サービス体制の強化、新規事業への参入などを目的としたM&A・事業承継が行われています。
特に、高齢者に向けた飲食サービスは今後の市場拡大が期待されるので、さらにM&Aが活性化することも大いにあり得るでしょう。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界でのM&A・事業承継を考える際には、このような業界事情やM&A動向などを踏まえ、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けながら進めるのがベストです。
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