2021年6月8日更新会社・事業を売る

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法!M&Aを公表するタイミングは?

M&Aは経営戦略の一環として活用できますが、状況次第では従業員に迷惑がかかる可能性もあります。すべての関係者がよりよい結果を得るためにも、丁寧な説明が大切です。本記事では、M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法を紹介します。

目次
  1. M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法!
  2. M&Aで従業員に迷惑をかけないようにできること
  3. M&Aを従業員に公表するタイミングとは
  4. その他の役職などにM&Aを公表するタイミング
  5. まとめ

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M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法!

多くの経営者はM&A未経験であるため、M&Aの際の説明方法やタイミングが分からないこともあるでしょう。

従業員への伝え方を失敗すると、最悪のケースではM&A事態が破談になる可能性もあるため、M&Aにおける説明は重要な工程でもあります。

ここでは、M&Aで従業員にかかる迷惑にはどのようなものがあるのか、M&Aで迷惑をかけない説明方法について解説します。

M&Aによる従業員にかかる迷惑

M&A後の効果的な企業成長を図るためには、従業員との密な連携が欠かせません。しかし、M&Aのやり方次第では従業員に迷惑がかかり、辞職に繋がる可能性もあります。

ここでは、M&Aにより従業員にかかる迷惑にはどのようなものがあるのかを解説します。予測される迷惑のなかで、特に影響が大きいものは以下の3点です。

【M&Aによる従業員にかかる迷惑】

  1. 離職の可能性がある
  2. 待遇が変わる可能性がある
  3. 人間関係などの軋轢が生まれる可能性がある

1.離職の可能性がある

M&Aによる従業員にかかる迷惑1つ目は、離職の可能性があることです。M&Aは従業員を引き継ぐ形が普通ですが、状況次第では一部の従業員は退職扱いになることがあります。

また、中小企業は経営者のリーダーシップが強いという特徴もあるため、会社全体を牽引してきた経営者を慕う従業員も多く、M&Aで経営者が変わることに抵抗を感じて自主退職を申し出る従業員が現れる恐れもあります。

離職する従業員は、事業の中心的なキーパーソンから中堅社員まで幅広い人材が予測されます。M&A後から次々にやめていく状況になると期待したシナジー効果が創出できなくなり、グループ全体の成長を妨げかねません。

2.待遇が変わる可能性がある

M&Aによる従業員にかかる迷惑2つ目は、待遇が変わる可能性があることです。M&Aは待遇・条件について話し合いしますが、必ずしも要望が叶えられるわけではなく、引き下げられる場合もあります。

待遇が変わる場合は、主に就業時間や給与の引き下げなどが予測されます。従業員の生活に大きく関わる問題なので、受け取り方次第では大量の自主退職に繋がる危険が付きまといます。

また、勤務地や部署が変更になることもあります。自宅から通勤が難しい場合は引っ越しの必要性も生じるため、従業員やその家族に与える迷惑も大きくなります。

3.人間関係などの軋轢が生まれる可能性がある

M&Aによる従業員にかかる迷惑3つ目は、人間関係などの軋轢が生まれる可能性があることです。

M&Aの当事会社が異なる企業文化を持つ場合、業務に対する取り組み方などを巡って、従業員同士の衝突が起こりえます。

基本的に買収側の方が立場は上となるため、買収側の企業文化や価値観などを一方的に押し付けられると、売却側の従業員は不満に感じる可能性が高いです。

従業員同士に軋轢が生まれたままでは、M&Aのシナジー効果を最大化させることは難しくなります。理想形は似通った価値観を持つ企業同士のM&Aですが、叶わない場合は統合に向けた説明が必須になります。

【関連】廃業による従業員の処遇は?解雇にせずM&Aで雇用を守る方法も解説

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法とは

従業員はM&Aに対して不安を感じることが多いです。というのは、M&Aは情報保護の観点から情報を伏せたまま進行するため、従業員からはM&Aの全貌がみえにくいからです。

従業員の不安を解消するためには、経営陣が従業員に対する説明責任を全うすることが重要です。ここでは、M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法5つを解説します。

【M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法】

  1. 役員や管理職などから先に公表していく
  2. きちんと末端の従業員にまで説明する
  3. 待遇や仕事内容などをきちんと説明する
  4. 経営者を含め、役員などの今後も説明する
  5. M&Aにより生まれる将来的な変化について説明する

1.役員や管理職などから先に公表していく

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法1つ目は、役員や管理職などから先に公表していくことです。

基本的に従業員への公表タイミングは一番最後になりますが、あくまでも情報保護の観点からであり、従業員をないがしろにしているわけではありません。

役員・管理職は、会社や事業の経営に深く携わっている大きな役割を担っている人材です。辞職されると会社に与える損失が大きいため、従業員より一足早くM&A情報を公開します。

M&A後も経営に携わってもらいたいと考えている場合は、より説明責任を全うすることが重要になるので、個別面談の場を設けてM&A後の待遇などを説明する必要があります。

また、役員・管理職には次の段階で説明する従業員にM&Aの正当性を諭すという役割もあります。先輩が後輩の不満を聞いて納得させるという形を取ることができるので、まずは役員・管理職からの理解を得ることが重要になります。

2.きちんと末端の従業員にまで説明する

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法2つ目は、きちんと末端の従業員にまで説明することです。従業員もM&A後の自分の待遇を知る権利を持っています。

特に気をつけることは、すべての従業員に正しく情報を伝えなければならないことです。従業員同士の又聞きが起こると誤った情報が広まり、社内の統率が乱れて足並みが揃わなくなる事態に発展する場合があるからです。

M&Aの情報公表の場には、買収側の担当者が同席すると、従業員が説明内容に対して納得感を得やすくなります。

とはいえ、真摯に向き合ってもすべての従業員が居残ることはほぼありません。少なからず退職を選択する者が現れるので、退職金や有給休暇の消化を促すなどの個別対応が求められます。

3.待遇や仕事内容などをきちんと説明する

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法3つ目は、待遇や仕事内容などをきちんと説明することです。従業員にとってM&Aの話は突然のことなので、混乱を抑えるためにも可能な限り詳しく説明しなくてはなりません。

従業員の関心が高い要素は、自分の待遇やM&Aに至った経緯、今後の事業計画などです。伝え方を間違うと、待遇が悪化する事実がなかったとしても悪いイメージを抱かれやすくなるので、正確な情報を伝えるように心掛けなくてはなりません。

M&Aによる環境変化は、従業員の立場からすれば強制的なものです。待遇を変更する場合は、その理由を納得のできる形で説明することが求められます。

4.経営者を含め、役員などの今後も説明する

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法4つ目は、経営者を含め、役員などの今後も説明することです。従業員にとっては上司の行く末も気になる要素なので、あらゆる人材のM&A後の待遇を詳しく解説します。

特に、役員などの上司は従業員にとって身近な人生の先輩でもあるので、役員がM&Aに納得している事実が分かれば従業員に安心感を与えられます。

5.M&Aにより生まれる将来的な変化について説明する

M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法5つ目は、M&Aにより生まれる将来的な変化について説明することです。

M&Aは身売りというネガティブな印象を持たれやすいので、将来的な展望がなくてただ環境が悪化するだけと受け取られることがあります。

あくまでも前向きなM&Aであり、企業成長を目的としたものであることを伝えることが大切です。

今後の事業計画を説明することで、会社の更なる飛躍を目指していることが伝われば、M&Aを受け入れてもらえる見込みが立ちやすくなります。

【関連】会社売却のその後「社員(従業員)・社長」はどうなる?

M&Aで従業員に迷惑をかけないようにできること

M&Aで従業員に迷惑をかけないようにするためには、従業員の不安を取り除くことが大切です。M&A後の待遇や会社の将来性について丁寧に説明することで、M&Aに対する不安を和らげることができます。

具体的には、M&A後にやるべき仕事内容や現在の地位・給与、転勤の有無など、従業員に深く影響する情報を正しく伝えるようにします。

従業員の不安を取り除くことができれば、M&Aを前向きに捉えやすくなり、業務への取り組みが改善されてM&Aのシナジー効果も発揮しやすくなります。

M&Aを従業員に公表するタイミングとは

M&Aは役員や従業員への説明責任を果たすことが大切ですが、従業員に公表するタイミングは最終契約書の締結日の前後です。というのは、タイミングが早すぎるとM&A情報が漏洩する恐れがあるためです。

従業員からM&A情報が漏洩した場合、誤った情報が社内に広まってしまい、悪戯に従業員の不安を煽る恐れがあります。M&Aに対するネガティブなイメージが肥大化すると、大量の自主退職を招きかねません。

また、売り手や買い手が上場企業の場合、株価への影響も懸念されます。従業員がM&A情報を悪用してインサイダー取引したり、社外に情報が漏れて不要に株式市場を混乱させたりなどの事態が起こりえます。

このような事態を防ぐため、M&A情報を従業員に公表するタイミングは、最終契約書の直前あるいは直後となります。

【関連】M&Aの最終契約書(DA)とは?基本合意との違いや目的、項目を解説

その他の役職などにM&Aを公表するタイミング

M&Aでは、従業員以外に対しても情報公開する必要があります。この章では、社内の人材や社外への公表タイミングを解説します。

役員などに公表するタイミング

役員へ公表するタイミングは基本合意締結の前後です。基本合意は、M&Aの交渉がある程度進んだ段階で締結する契約書で、そこまでの交渉内容や今後のスケジュールについて確認するために取り交わします。

基本合意書に記載される内容は仮決定であり、M&Aの成約が保証されるものではありませんが、締結以降はM&Aを本格的に検討する段階に入るため、直前あるいは直前に公表して役員との協力的な体制を構築しておく必要があります。

できることなら買収側の経営陣との会食の場を設けると、役員のM&Aに対する不安を取り除くことができます。従業員を説得する際も一役買ってもらいやすくなるので、公表するタイミングや説明方法は重要なポイントとなります。

管理職の従業員に公表するタイミング

管理職の従業員に公表するタイミングは基本合意締結の直後です。事業の責任者や現場のキーマンなどは、事業に対する影響力が強いことから買収側からも注目されているので、可能な限り自主退職を避けたい人材となります。

M&A成約後に影響力の強い管理職が退職すると、事業存続が危うくなります。買収側にとっては最悪の状況なので、クロージングの前提条件を満たせなくなりM&Aが破談になる恐れがあります。

M&Aの心構えを持てるよう、一般的な従業員よりも一足早く公表しておくことが大切です。基本合意締結の直後であれば、成約までにデューデリジェンスを挟むので時間的な猶予もあります。

【関連】デューデリジェンスとは?M&Aでの流れや進め方、必要な資料・期間・費用をわかりやすく解説

金融機関に公表するタイミング

金融機関に公表するタイミングは最終契約書の締結後です。金融機関に融資を受けている場合は事前報告の義務があるように思えますが、株式譲渡の包括承継であれば借入金も自動的に引き継がれるため、金融機関の同意を得る必要はありません。

ただし、事業譲渡を用いたM&Aの場合は話が変わります。債務者が変わる場合は最終契約書の前に金融機関に公表し、事前に同意を得る必要があります。

取引先に公表するタイミング

取引先に公表するタイミングは最終契約書の締結後です。情報保護の観点から可能な限り社外にM&A情報を公表したくないため、取引先であっても秘密保持を徹底しなくてはなりません。

なお、重要度の高い取引先については、事前に報告・説明することもあります。買収側にとっても重要な取引先なので、情報公開について賛同してもらえる可能性が高いです。

従業員に迷惑をかけないM&Aでおすすめの相談先

M&Aの従業員への公表は、説明方法やタイミングを図る必要がある重要な工程です。なるべく迷惑をかけない形で実行するなら、M&Aの専門家のサポートを受けるのがベストです。

M&A総合研究所は主に中堅・中小規模のM&A案件を手掛けており、実績豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。

特に中小企業の経営者様からのご相談が多く、これまでに多数の友好的M&Aを成約へと導いています。

M&Aの料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談は随時お受けしています。従業員に迷惑をかけずにM&Aを進めたいとお考えの際は、お気軽にM&A総合研究所にご連絡ください。

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まとめ

M&Aの報告を受けた従業員は不安な気持ちでいっぱいになります。今後の自分の待遇や会社の将来を分かりやすく伝えなくてはなりません。

説明手順や方法を誤ると従業員の大量退職でM&Aの失敗に繋がる恐れもあるので、従業員のケアを徹底するならM&Aの専門家のサポートを受けることをおすすめします。

【M&Aによる従業員にかかる迷惑】

  1. 離職の可能性がある
  2. 待遇が変わる可能性がある
  3. 人間関係などの軋轢が生まれる可能性がある
【M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法】
  1. 役員や管理職などから先に公表していく
  2. きちんと末端の従業員にまで説明する
  3. 待遇や仕事内容などをきちんと説明する
  4. 経営者を含め、役員などの今後も説明する
  5. M&Aにより生まれる将来的な変化について説明する
【M&Aを公表するタイミング】
  • 従業員は最終契約書の締結前後
  • 役員は基本合意の締結前後
  • 管理職は基本合意の締結直後
  • 金融機関・取引先は最終契約書の締結直後

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