2024年5月29日更新業種別M&A

ホテル・旅館業界のM&A事例35選を紹介!動向や積極買収企業から案件例も解説!

本記事では、ホテル・旅館業界で実施されたM&Aの案件例や動向・積極買収企業などを紹介します。ホテル・旅館業界のM&Aを成功させるためには、動向をしっかり把握したうえで適切なタイミングで行うことが大切です。ホテルのM&Aを検討中の方は必見です。

目次
  1. ホテル・旅館業界の動向
  2. ホテル・旅館業界のM&A事例35選
  3. ホテル・旅館業界のM&Aの案件例4選
  4. ホテル・旅館業界のM&Aについて
  5. ホテル・旅館業界のM&Aの現状と動向
  6. ホテル・旅館業界のM&Aのメリット
  7. ホテル・旅館業界のM&A・買収に積極的な企業
  8. ホテル・旅館業界のM&Aの相場と費用
  9. ホテル・旅館業界のM&Aを行う流れ
  10. ホテル・旅館業界のM&Aで買収する際のポイント
  11. ホテル・旅館業界のM&Aで売却する際のポイント
  12. ホテル・旅館業界のM&Aを成功させるには専門家の力を借りよう
  13. ホテル・旅館業界のM&Aのまとめ

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ホテル・旅館業界の動向

2023年10月時点のホテル・旅館市場規模は3.4兆円と推計され、2023年度通期では前年度比1.5倍の4.9兆円前後に達すると予測されています。市場規模拡大の主な理由は、インバウンド需要や国内旅行需要の回復、円安による訪日観光客の増加、出張需要の回復などが挙げられます。

一方、宿泊業の年間賃金総支給額は低く、雇用流動が激しいことが課題です。コロナ禍の影響や原材料価格の高騰など、経営環境の変化への対応も求められています。

インバウンド需要の回復や国内旅行需要の増加により、市場規模は今後も拡大していくと予想されます。一方、人手不足や経営環境の変化といった課題を克服することが、ホテル・旅館業界の持続的な成長に向けて重要となります。

「旅館・ホテル業界」 動向調査(2023年度見通し)

ホテル・旅館業界のM&A事例35選

まずは、ホテル・旅館業界で報告されているM&A事例を紹介します。それぞれの事例からポイントを掴んで、自社のM&A戦略策定に役立てましょう。

ブラックストーンによる近鉄グループホールディングスのM&A

2021年10月、ブラックストーンと近鉄グループホールディングスのM&Aが行われました。

このM&Aは、まず、子会社の近鉄・都ホテルズ(現KMH)からグループ内の別会社(新KMH)へ、吸収分割でホテル事業の権利義務を承継します。

そして、近鉄不動産が現KMHを吸収合併し、近鉄グループと買収側が出資したSPCにホテル資産の権利などを持たせ、新KMHがSPCからホテルの運営業務を引き受けるのです。

ブラックストーンは、アメリカに拠点を置く大手投資ファンドで、近鉄グループホールディングスは、ホテル・レジャー事業や不動産事業などを行っています。

これにより、買収側が持つノウハウ・資金力を活用し、同ホテル事業をより成長させる狙いです。

(開示事項の経過)ブラックストーンとのホテル合弁事業の開始に伴う 子会社の固定資産譲渡並びに固定資産売却益の計上に関するお知らせ

三菱地所によるロイヤルパークホテルのM&A

2021年8月、三菱地所は、株式交換の手法により、ロイヤルパークホテルを子会社としました。

三菱地所は、オフィスビルなどの開発や賃貸、不動産の売買や仲介、コンサルティング事業などをトータルで行い、ロイヤルパークホテルは、東京の一等地にあるロイヤルパークホテルを手掛けています。

三菱地所は、ホテル事業の経営環境が急激に変化しているため、ロイヤルパークホテルズのチェーン運営で必要とする構造改革をより早める必要があると考え、このM&Aを行いました。

三菱地所株式会社による株式会社ロイヤルパークホテルの 完全子会社化に係る株式交換契約の締結(簡易株式交換)に関するお知らせ

ハウステンボスによるウォーターマークホテル長崎のM&A

2021年5月、ハウステンボスは、ウォーターマークホテル長崎を買収しました。

ハウステンボスは、長崎県にあるテーマパークを展開し、ウォーターマークホテル長崎は、HISグループの傘下で、ハウステンボス園内に立地するホテルを手掛けています。

これにより、ハウステンボスは、自社運営のテーマパーク内にあるホテルを買収するので、ハウステンボスブランドを強め、顧客への新商品を展開する見込みです。

ベルーナによるKarakami HOTELS&RESORTSのM&A

2021年5月、ベルーナは、Karakami HOTELS&RESORTSにおける定山渓ビューホテルの権利義務を取得しました。

ベルーナは、通販事業や店舗販売事業、ファイナンス事業などを手掛け、Karakami HOTELS&RESORTSは、リゾートホテルやビジネスホテル、貸会議室の運営事業を行っています。売却対象の定山渓ビューホテルは、北海道札幌市にある巨大スパ・リゾートです。

ベルーナは、将来、国内外からの宿泊客が増えることを見込み、Karakami HOTELS&RESORTSは、安定した経営基盤の確保と経営資源の選択と集中のために、このM&Aを行っています。

BUSINESS REPORT

霞ヶ関キャピタルによるメゾンドツーリズム京都のM&A

2021年4月、霞ヶ関キャピタルは、メゾンドツーリズム京都を子会社としました。

霞ヶ関キャピタルは、不動産コンサルティング事業や自然エネルギー事業を行い、メゾンドツーリズム京都は、ホテル・旅館・飲食店の経営や、日用雑貨などの販売などを手掛けています。

これにより、霞ヶ関キャピタルは、メゾンドツーリズム京都が持つ「ホテル京都木屋町」を取得しました。2021年の夏頃に、ホテルのリブランドを進める見込みです。

メゾンドツーリズム京都株式会社の株式取得(子会社化)及び 資金の借入に関するお知らせ

サンフロンティア不動産によるホテル大佐渡のM&A

2021年3月、サンフロンティア不動産は、グループ企業をつうじて、ホテル大佐渡の株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。株式取得価額は非公開です。

買収側のサンフロンティア不動産は、東京都心部で中小型オフィスビルに特化した不動産再生・活用を本業とする不動産会社で、国内外に複数の子会社を抱えています。

売却側のホテル大佐渡は、リンコーコーポレーションの傘下にある企業で、「ホテル大佐渡」を運営していました。

本件M&Aの目的は、日本旅館とリゾートホテルの差別化、および地方創生事業における魅力の発信による「より多くの方に愛され選ばれるホテル」作りです。

株式会社ホテル大佐渡の株式譲受に関するお知らせ

ヒューリックによる子会社への事業承継M&A

2020年11月、ヒューリックは、観光ビジネス(ホテルおよび旅館の経営・運営・企画・推進などに関する事業)を、M&A(吸収分割)によりヒューリックホテルマネジメントに引き継ぐと発表しました。

ヒューリックは、東京都心を拠点に不動産の保有賃貸業・投資開発事業を展開する不動産会社です。一方、ヒューリックホテルマネジメントは、ヒューリックの完全子会社であり、ホテル経営ならびに運営を手掛けています。

本件M&Aの目的は、注力事業である観光ビジネスの運営を一体化・効率化させることです。

吸収分割に係る事後開示書類

小野写真館による桐のかほり 咲楽のM&A

2020年10月、小野写真館は、河津桜で有名な河津町にある温泉旅館「桐のかほり 咲楽」を取得しました。

小野写真館グループは、人生の節目となる写真撮影、支度、衣装レンタルなどを展開し、桐のかほり 咲楽は、静岡県の伊豆に位置する人気がある高級温泉旅館です。

小野写真館は、コロナ禍に伴う業態転換として、異業種である旅館を対象とするM&Aを行いました。桐のかほり 咲楽は、後継者不在の状態であり、理念に共感してくれた小野写真館とM&Aを実行しています。

伊豆河津の隠れ宿「桐のかほり 咲楽」をM&Aで取得

NAPによるファーストキャビンのM&A

2020年7月、NAPは、ファーストキャビンのホテル事業に関するフランチャイズ契約と知的財産権を取得しました。

NAPは、新日本建物の子会社で不動産関連ビジネスを行い、ファーストキャビンは、カプセルホテルのフランチャイズ本部などを手掛けています。M&Aを行ったとき、ファーストキャビンは破産状態でした。

これにより、NAPは、ホテルのフランチャイズ・運営受託事業に新しく参入し、新しい収益物件を開発し販売の機会を拡大することを狙います。

当社非連結子会社による事業譲受に関するお知らせ

FRACTALEによるアレグロクスホテルマネジメントのM&A

2020年7月、FRACTALEは、アレグロクスホテルマネジメントを子会社としました。売却額は2,111万2千円です。

FRACTALEは、不動産の販売やホテルの開発・リノベーションなどを手掛け、アレグロクスホテルマネジメントは、主にホテルなどの運営受託を行っています。

これにより、FRACTALEは、ホテル事業の経営を効率化し、グローバルホテルチェーンブランドを取り入れ、ホスピタリティサービスやメディカルサービスの拡充によりホテル事業の付加価値を上げることを狙います。

第17回定時株主総会招集ご通知

穴吹興産による祖谷渓温泉観光のM&A

2020年7月、穴吹興産が、祖谷渓温泉観光を子会社としました。穴吹興産は、ホテル・テナントビル運営や海外での不動産開発などを行い、祖谷渓温泉観光は、徳島県にある「和の宿 ホテル祖谷温泉」を展開しています。

これにより、穴吹興産は、地域の行政・住民と築きあげた「和の宿 ホテル祖谷温泉」を得ることで、大きなシナジー効果を期待し、主に四国地域における観光事業を拡大する見込みです。

祖谷渓温泉観光株式会社及び有限会社祖谷温泉の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ブリーズベイホテルによるホテル小田急静岡のM&A

2020年3月、ブリーズベイホテルは、ホテル小田急静岡を子会社としました。

ブリーズベイホテルは、ホテルの運営事業・買収再生業を行い、ホテル小田急静岡は、小田急電鉄の子会社で「ホテルセンチュリー静岡」を手掛けています。

小田急電鉄は、事業環境の変化と業績低迷のため、「ホテルセンチュリー静岡」の事業は、今後、大きな成長が見込めないと判断して売却となりました。

子会社の異動を伴う株式の譲渡に関するお知らせ

GFAによるアトリエブックアンドベッドのM&A

2020年2月、GFAは、アトリエブックアンドベッドを子会社としました。

GFAは、不動産の投資・融資事業やファイナンシャルアドバイザリー事業を行い、アトリエブックアンドベッドは、「泊まれる本屋」がコンセプトの宿泊施設を手掛けています。

これにより、GFAは、不動産事業の収益性を上げ、優秀な人材を確保する見込みです。

子会社 アトリエブックアンドベッド株式会社による 賃貸借契約締結についてのお知らせ

DDホールディングスによる湘南レーベル・サニーサイドインのM&A

2019年11月、DDホールディングスは、湘南レーベルの株式90.1%を取得し連結子会社化すると発表しました。また、サニーサイドインの全持分を取得し連結子会社化することも発表しています。本件株式および持分の取得価額は非公開です。

買収側のDDホールディングスは、レストランの運営およびコンサルティング事業を中心とする外食産業企業「ダイヤモンドダイニング」などを子会社に持つ持ち株会社です。

売却側の湘南レーベルは、神奈川県を拠点にホテル運営事業・飲食事業・貸コンテナ事業・賃貸事業・戸建て不動産販売事業などを展開しています。

本件M&Aの目的は、消費者のライフスタイルや嗜好の多様化に対応できる事業ポートフォリオの拡充、および未展開エリアにおける事業醸成の実現です。

主要株主の異動並びに代表取締役の異動に関するお知らせ

アゴーラ・ホスピタリティー・グループによる難波・ホテル・オペレーションズのM&A

2019年7月、アゴーラ・ホスピタリティー・グループは、難波・ホテル・オペレーションズを子会社としました。

アゴーラ・ホスピタリティー・グループは、主にホテルアライアンスの構築を手掛け、難波・ホテル・オペレーションズは、主に大阪などで賃貸借契約に基づいたホテル運営を行っています。

これにより、アゴーラ・ホスピタリティー・グループは、ホテル事業を拡大する見込みです。

難波・ホテル・オペレーションズ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ヒューリックによる日本ビューホテルのM&A

2019年7月、ヒューリックは、日本ビューホテルを子会社としました。

ヒューリックは、主に不動産賃貸を手掛け、日本ビューホテルは、ホテル事業や遊園地事業などを展開しています。

これにより、両社は、ホテル事業の成長速度をより拡大させる見込みです。ヒューリックは、時代の変化や顧客のニーズに適したホテル展開を早めて収益を増やすことを図り、日本ビューホテルは、ホテル運営の経営資源に集中します。

ヒューリック株式会社による日本ビューホテル株式会社の完全子会社化に関する 株式交換契約締結のお知らせ

ATPによるオムロンのM&A

2019年6月、ATPは、オムロンが運営する「LaLa 御殿場ホテル&リゾート」の土地建物を取得すると発表しました。同年6月1日より事業の運営を開始しています。

買収側のATPは、レンブラントホールディングスの子会社です。同社は神奈川県に本社を置き、レンブラントグループの経営戦略策定および管理事業を行っています。

売却側のオムロンは、京都府に拠点を持ち、御殿場駅より車で10分の距離に位置し、富士山・箱根温泉の観光および静岡東部エリアにおけるゴルフ・レジャースポットへのアクセスも良好な施設「LaLa 御殿場ホテル&リゾート」を運営していました。

本件M&Aの目的は、訪日外国人の取り込みなど幅広い需要促進、およびグループホテルのラグジュアリークラスとして重厚感のある高品質なおもてなしの提供によるブランド展開の実現などです。

ジャパン・ホテル・リート投資法人によるヒューリックのM&A

2019年4月、ジャパン・ホテル・リート投資法人は、ヒューリックの大型ホテル「ヒルトン東京お台場」を取得しました。

ジャパン・ホテル・リート投資法人は、ホテル特化型の不動産投資信託で、ヒューリックは、大手の不動産です。

これにより、ジャパン・ホテル・リート投資法人は、市場成長がより期待できるお台場エリアにおけるホテル市場への進出を狙います。

野村不動産による隆文堂およびUHMのM&A

2019年3月、野村不動産は、隆文堂とUHMを子会社としました。譲渡額は公開されていません。

野村不動産は、マンション分譲事業や戸建分譲事業などを展開する不動産会社です。隆文堂は、「庭のホテル 東京」「東京グリーンホテル後楽園」などを有し、UHMはその子会社でホテル運営を行っています。

これにより、野村不動産は、新事業領域におけるホテル事業を拡大し、成長の加速を実現する見込みです。

長きに亘り国内外より高い評価を得る 「庭のホテル 東京」取得のお知らせ

ホテルエムズによるJAPANINGのM&A

2019年3月、ホテルエムズは、JAPANINGの株式取得を完了しました。株式取得価額は非公開です。

買収側のホテルエムズは、アーキエムズのグループ会社であり、京都を中心にホテル事業を展開しています。売却側のJAPANINGは、京都市内に68棟1,000室規模でゲストハウス・ホテル事業を展開していた企業です。

本件M&Aの目的は、京都市内のホテル事業におけるドミナント戦略の積極的な展開、ホテル開発・予約管理システム・リネンサプライ・清掃・メンテナンス・リノベーションまでの一元管理によるホテル運営事業のさらなる効率化にあります。

JAPANING株式会社 株式取得完了のお知らせ

JR四国によるエイトワンのM&A

2018年12月、JR四国が、エイトワンの持つホテルの物件を取得しました。

JR四国は、四国エリアで公共輸送事業を展開し、エイトワンは、愛媛県松山市にあるホテル「道後やや」を手掛けています。道後ややは、道後温泉本館や椿の湯など外湯にアクセスしやすい立地に位置し、道後温泉街にある宿泊特化型のホテルです。

これにより、JR四国は、宿泊事業を拡大する見込みで、エイトワンは、事業の選択と集中を実施しています。

プリンスホテルによるAB Hotels LtdのM&A

2018年11月、プリンスホテルは、子会社のSWHD社をつうじてAB Hotels Ltdを子会社としました。

プリンスホテルは、西武ホールディングスの子会社で多くのホテルを国内外で運営し、AB Hotels Ltdは、イギリス・ロンドンにあるラグジュアリーホテル「The Arch London」を手掛けています。

これにより、プリンスホテルは、2019年に海外向けラグジュアリーブランド「The Prince AKATOKI」の1号店を開業しました。

AB Hotels Ltd の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

西日本電鉄による西鉄シティホテルのM&A

2018年10月、西日本電鉄は、西鉄シティホテルと吸収合併を行いました。存続会社が西日本電鉄、消滅会社が西鉄シティホテルです。

西日本電鉄は、運輸業、不動産業や流通業などを行い、西鉄シティホテルは、西日本電鉄グループにおけるシティホテル事業の経営や運営などを手掛けています。

これにより、西日本電鉄は、一貫性のある経営方針に基づいた戦略を行い、適切な投資を実施できる体制を整える見込みです。

JR西日本による奈良ホテルのM&A

2018年8月、JR西日本は、奈良ホテルを子会社としました。売却金額は非公開です。

JR西日本は、鉄道事業や飲食、不動産事業などを手掛け、奈良ホテルは、奈良県奈良市でホテル業を展開しています。

これにより、JR西日本は、線区価値向上によって交流人口を拡大する見込みで、増加するインバウンド需要に対応し客室改装などの施策を行います。

株式会社奈良ホテルの株式取得に関するお知らせ

大江戸温泉物語によるTSCホリスティックのM&A

2018年5月、大江戸温泉物語は、TSCホリスティックが手掛ける「タラサ志摩ホテル&リゾート」の事業を取得しました。譲渡金額は15億3千万円です。大江戸温泉物語は、ホテルや旅館、温浴施設を展開しています。

「タラサ志摩ホテル&リゾート」は、タラソテラピーを基盤として商品の展開や営業活動を行ってきましたが、営業損失が続きました。そのため、経営資源を有効活用し財務体質を強めるために譲渡を決めています。

当社子会社における事業譲受に係る契約締結のお知らせ

SeaLink Fraser Island Pty LtdによるコスモスイニシアのM&A

2018年2月、SeaLink Fraser Island Pty Ltdは、コスモスイニシアの連結子会社であるKBRV Resort Operations Pty Ltd(KBRV RO)を子会社としました。売却額は7百万豪ドル(約5.6億円)でした。

SeaLink Fraser Island Pty Ltdは、オーストラリアでホテル・リゾート事業を手掛け、コスモスイニシアの連結子会社であるKBRV ROも同じくオーストラリアでホテル・リゾートを運営しています。

これにより、コスモスイニシアは、ホテル事業から退いて主力事業へ集中する見込みです。

子会社による孫会社株式の譲渡に関するお知らせ

大東建託によるDaisho Asia Development (M) Sdn. Bhd.のM&A

2017年11月、大東建託は、Daisho Asia Development(M)Sdn. Bhd.を子会社としました。取得価額は約137億円でした。

大東建託は、アパートやマンションなどの建設、不動産仲介・管理などを行い、Daisho Asia Development(M)Sdn. Bhd.は、マレーシアのクアラルンプール市でホテル経営を行っています。

これにより、大東建託は、海外のホテル事業を強める見込みです。売却側が経営するホテルと大東建託の海外子会社が運営するホテルは隣接しており、これらを有することで共同受注によるシナジー効果を期待します。

子会社における孫会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

ビーロットによるヴィエント・クリエーションのM&A

2017年2月、ビーロットは、ヴィエント・クリエーションを子会社としました。売却金額は5億4,100万円です。

ビーロットは、収益性や遵法性に改善余地がある不動産を得て不動産の再生を行う事業を手掛け、ヴィエント・クリエーションは、カプセルホテルの運営を手掛けています。

これにより、ビーロットは、新しい事業領域へ参入することを見込んでいます。

ウェルス・マネジメントによるホテルサンルート京都のM&A

2016年12月、ウェルス・マネジメントは、特別目的会社をつうじてホテルサンルート京都を取得すると決め、売買契約を結びました。

ウェルス・マネジメントは、投資事業や不動産金融事業、ホテル運営事業を手掛け、ホテルサンルート京都は、京都市下京区にあるホテルです。

このM&Aにおける目的は明らかにされていませんが、ホテル運営が事業であるため、ウェルス・マネジメントは主力事業を拡大するためにM&Aを行ったといえます。

当社による特別目的会社を通じた ホテルサンルート京都の取得に関するお知らせ

大江戸温泉物語によるホテル水葉亭のM&A

2016年9月、大江戸温泉物語は、ホテル水葉亭を子会社としました。取得額は公開されていません。

大江戸温泉物語は、ホテルや旅館、温浴施設を手掛け、ホテル水葉亭は、静岡県に位置する老舗ホテルで、関東随一の広さを誇る大浴場を持ち、相模湾が見渡せます。

これにより、大江戸温泉物語は、ホテル・旅館事業の規模を拡大する見込みです。

東武鉄道による金谷ホテルのM&A

2016年8月、東武鉄道は、金谷ホテルを子会社としました。取得額は公表されていません。

東武鉄道は、鉄道の運営事業や不動産売買事業などを手掛け、金谷ホテルは、栃木県に位置する名門ホテルの「日光金谷ホテル」と「中禅寺金谷ホテル」を展開しています。

これにより、東武鉄道は、訪日外国人客が増えている日光エリアのホテルを得て、観光需要を取り込む見込みです。

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツによる浦和ロイヤルパインズのM&A

2016年4月、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツは、浦和ロイヤルパインズを子会社としました。

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツは、全国でホテルなどの宿泊施設を手掛け、浦和ロイヤルパインズは、好立地にある「浦和ロイヤルパインズホテル」を展開しています。

これにより、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツは、埼玉県内で顧客から高評価を得ているホテルを取得して、グループ全体の価値を上げ、シナジー効果を得る見込みです。

オリックス不動産によるホテル万惣のM&A

2015年10月、オリックス不動産は、ホテル万惣を取得しました。

オリックス不動産は、不動産投資・開発事業や住宅開発事業、施設運営事業などを行い、ホテル万惣は、温泉旅館施設で、北海道函館・湯の川温泉で最大級の広さを誇る大浴場を有します。

オリックス不動産は、訪日外国人の増加によってよりマーケットが拡大すると見込み、このM&Aを実行しました。

函館湯の川温泉『ホテル万惣』の取得のお知らせ

東日本ハウスによるホテル東日本のM&A

2014年9月、東日本ハウスは、ホテル東日本を子会社としています。

東日本ハウスは、主に住宅の請負建築や住宅・宅地の分譲を手掛け、ホテル東日本は、東日本ハウスが持つホテルの運営を行っていました。

これにより、東日本ハウスは、グループにおいて保有資産を効率的に活用し、スピーディーな意思決定の実現を見込みます。

簡易株式交換による株式会社ホテル東日本の完全子会社化に関するお知らせ

ストライダーズによるロテルド倉敷のM&A

2014年6月、ストライダーズは、ロテルド倉敷を子会社としました。売却額は4億4,136万4千円です。

ストライダーズは、ホテル事業や不動産事業を手掛け、ロテルド倉敷は、好立地にあるシティホテルの「ホテル日航倉敷」を展開しています。

これにより、ストライダーズは、ホテル事業を拡大することを見込みます。

ロテルド倉敷株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

M&A成功事例については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

ホテル・旅館業界のM&Aの案件例4選

本章では、ホテル・旅館業界のM&A案件一覧をご紹介します。

①【オーシャンビューホテル/観光バス】北海道で2事業の運営を行う

一件目は、北海道内での観光バス事業の運営、温泉付オーシャンビューホテルの運営を手がける企業のM&A案件です。

ホテル事業については、コロナによる観光客の大幅減少によりPLは大幅なダメージを受けたものの、進行期は観光需要の回復効果もあって、ホテル売上は前年比163%、EBITDAは13百万円の黒字ペースを計上しています。

売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望金額 応相談
譲渡希望理由 後継者不足(事業承継)

②【首都圏・好立地】ビジネスホテルの不動産M&A案件

二件目は、首都圏のターミナル駅徒歩3分の「好立地」物件における不動産M&Aの案件です。再開発の進む首都圏主要駅前(徒歩3分)の好立地に位置するビジネスホテルで、直近までコロナ療養施設として利用されており現状未運営の状態です。

売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望金額 10億円〜15億円
譲渡希望理由 アーリーリタイアの実現

③【合計約1,000部屋/ホテル2棟】 タイのホテル運営事業

次は、・ホテル2棟(ホテルA/ホテルB)の運営を行う企業のM&A案件です。ホテルAは700室以上、ホテルBは250室以上であり、どちらも大型のハイクラスホテルです。ホテルA、ホテルB共にF&Bの売上が全体の30-40%を占めており、宿泊料以外の売上も確保できています。

売上高 25億円〜50億円
譲渡希望金額 応相談
譲渡希望理由 戦略の見直し

④【海外/部屋数100室以上/5つ星ホテル】タイ南部ホテル事業

続いては、100室以上の5つ星リゾートホテルを運営する企業のM&A案件です。敷地面積約30,000㎡、部屋数100室以上の大型リゾート。5つ星ホテルとして認定されています。調査会社のレポートによると、不動産価値でUSD50-55mil程度あります。

売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 応相談
譲渡希望理由 戦略の見直し

ホテル・旅館業界のM&Aについて

近年、M&Aは幅広い業界で行われていますが、業界が変わればM&Aを行う動機・傾向なども異なります。対象の業界でM&Aを行う場合、業界の現状を適切に把握したうえで実行しなければなりません。

ホテル・旅館業界の定義やM&Aを実施する目的を把握しましょう。

ホテル・旅館業界の定義

ホテル・旅館は一般的な企業とは形態が異なるため、概要をあらためて把握してください。ホテル・旅館業界は、施設の利用者に対して宿泊・飲食・挙式などのサービス提供事業を展開する業界と定義付けられます。

大きな特徴は、集客を自社サイトあるいは宿泊サイトをつうじて行う点です。宿泊施設は、旅館業法に基づきホテル・旅館・簡易宿所・下宿の4つに分類され、それぞれ施設基準が決められています。

簡単に定義を説明すると、ホテルとは、洋式の構造および設備を主とする施設のことで、シティホテル・ビジネスホテル・リゾートホテルなどが代表例です。

旅館は、和式の構造および設備を主とする施設のことで、駅前旅館・温泉旅館・観光旅館・割烹(かっぽう)旅館が該当するほか、民宿も含まれるケースがあります。簡易宿所とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造および設備のことです。

下宿は、1カ月以上の期間を単位として宿泊させ、入浴設備・トイレを有する施設をさします。

参考:厚生労働省「旅館業法概要」

ホテル・旅館業界のM&Aの目的

近年の旅館・ホテル業界では、訪日外国人観光客の獲得を見込む大企業および投資ファンドによる買収事例が多く見られます。

また、近年のホテル・旅館業界における興隆の状況下で、供給力強化・サービス品質の向上などにおける目的が掲げられたM&A事例も多いです。

そのほか、チェーンホテルによる地方旅館やホテルの再生・他業種の進出による事業ポートフォリオ再編なども盛んに実施されている状況です。

例えば、温泉施設を全国展開する「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ」は、経営難に陥った地方の温泉旅館を取得して再生させるビジネスモデルを採用しています。

以上のことから、今後も旅館・ホテル業界のM&Aは活発に実施されるでしょう。

なお、以下の動画ではM&A総合研究所のM&Aアドバイザーがホテル業界のM&Aを解説しておりますので、ぜひご覧ください。

ホテル・旅館業界の特徴

ホテル・旅館業界に該当する施設として、リゾートホテル・ビジネスホテル・エコノミーホテル・シティホテル・スパやアミューズメント施設などの設備を併設したアーバンリゾート・旅館・割烹旅館・一部民宿などが挙げられます。

主な業務は、宿泊事業・飲食事業・観光事業・物販事業・コンベンション事業・レジャー事業などです。ここからは、ホテル・旅館業界に見られる特徴として、以下の3項目を取り上げます。

  1. Webマーケティング投資の重要性
  2. 経営の柔軟性が低い
  3. 人件費や設備にかかる固定費が大きい

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①Webマーケティング投資の重要性

昨今では、インターネット上のレビューサイトや旅行専門のネットエージェントが顧客の満足度を直接的に反映した情報を提供しており、これを参考に顧客は宿泊先を選定するケースが主流です。

そのため、今後はインターネット上の宣伝・ネットエージェント・宿泊予約サイトとの連携といったWebマーケティングが重要視されます。ただし、Webマーケティングを行うにはスキル・ノウハウが必要となるため、事前にしっかりと投資を行わなければなりません。

②経営の柔軟性が低い

ホテル・旅館は経営の柔軟さが乏しく、設備投資が高額になりやすい傾向があります。ホテル・旅館は宿泊だけでなく飲食・宴会・婚礼などさまざまな用途で使われるケースがあり、それぞれのサービスには一定以上の設備だけでなく従業員のスキルも必要です。

そのため、常勤の従業員はトレーニングを積んでスキルを備えたスタッフに限定されるケースが多く、非常勤のアルバイト・パートの雇用が難しいでしょう。

また、ホテル・旅館は年中無休が基本であるため、常勤の従業員を出勤させると多くの人件費がかかる点も懸念されます。

③人件費や設備にかかる固定費が大きい

コストの高さに対してホテル・旅館の売上は客室数に依存し、単価が硬直しやすいです。つまり、ホテル・旅館の経営では人件費や設備にかかる固定費が大きく、売上の柔軟なコントロールが難しい点が大きな課題として挙げられます。

こうした特徴を持つ業態であるため、ホテル・旅館業界は東日本大震災、リーマン・ショック、円高の影響などにより長らく低迷状態でした。これにより、ホテル・旅館の数が減少しましたが、近年は景気の回復や円安傾向により徐々に回復の兆しを見せていたのです。

しかし、2020年以降、ホテル・旅館業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により再び低迷状態に陥っています。

ホテル・旅館の事業譲渡・株式譲渡については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】ホテル・旅館は事業譲渡・株式譲渡どちらの手法がよい?【事例あり】

ホテル・旅館業界のM&Aの現状と動向

本章では、ホテル・旅館業界におけるM&Aの現状と動向を把握しましょう。現在、ホテル・旅館業界のM&Aは活発化していますが、特に中小・中堅のホテル・旅館が積極的にM&Aを行っています。ここからは、以下の項目に分けて現状と動向をまとめました。

  1. ホテル・旅館の施設数の推移
  2. 訪日外国人観光客の受け入れ
  3. 地方のホテル・旅館の再生
  4. 旅行スタイルの変化への対応

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①ホテル・旅館の施設数の推移

旅館では客室1部屋あたりの収容人数が4~5人程度で、シングルやツインルームが主流のホテルよりも多いうえに、浴室は大浴場のみなど団体旅行客向けの施設も多く存在します。

そのため、昨今は単身者でも旅行を楽しむなど旅行者ニーズの多様化が進んでいる影響を受けて、旅館の施設数は年々減少中です。

具体的には、2008年に50,846施設あった旅館数が、2017年時点で38,622施設と半分程度にまで減少しています。一方で、近年はホテルが年々増加中です。リゾート開発によるホテル開発や海外ホテルチェーンの日本進出など、ホテルの建設が積極的に行われています。

2008年に9,603施設あったホテル数は、2017年度時点で10,402施設まで増加しましたが、訪日観光客の増加などにより、ホテル客室が不足しているとして、政府による規制緩和が進められました。

その結果、中規模のオフィスビルや空き家を再生したカプセルホテルや、民泊といった簡易宿泊施設などの新規参入など、新たな事業開発も活発化しました。

参考:(公財)日本交通公社「旅行年報2020」

②訪日外国人観光客の受け入れ

日本は、円高の影響があり訪日外国人観光客が減少傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が沈静化すれば、今後は訪日外国人観光客が増加する可能性があります。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、訪日外国人旅行者の数は2013年に1,000万人を突破し、2019年には前年比 2.2%増の3,188万人を超えるなど年々増加し、統計開始の1964年以降、過去最高の記録です。

2020年の推計訪日外国人旅行者数は、前年比87.1%減の411万5,900人となっています。訪日外国人観光客が訪れるのは東京・大阪・京都などの大都市圏が多いですが、受け皿としての客室提供が滞ってしまうケースも想定されます。

そのため、大手が提供できる客室の増加を目的としてM&Aを行うケースが増加しているのです。売り手側のホテル・旅館も、訪日外国人観光客を受け入れるノウハウやシステムを獲得できるため、M&Aは訪日外国人観光客の受け入れを増やすうえで有益な機会といえます。

こうした目的を持つM&Aは、ホテル・旅館業界の大手だけでなく、投資ファンドから持ちかけられるケースも珍しくありません。

また、新型コロナウイルス感染症の動向次第では、将来的にホテル・旅館業界を専門的に扱うファンドや事業会社が増加する可能性も高いです。

参考:JNTO(日本政府観光局)「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2021年)」

③地方のホテル・旅館の再生

大都市では人の流入が多いため、訪日外国人観光客が増加すれば真っ先に恩恵を受けますが、地方のホテル・旅館は恩恵を得にくいです。世界的な知名度を持つ人気の観光地でない限り、固定宿泊客の確保は簡単ではありません。

また、宿泊客が減少すれば借入金の負担が大きくなり、必要な固定費の確保も難しいでしょう。こうした事情を受けて、地方のホテル・旅館が再生をかけてM&Aを実施するケースも増加しつつあります。

大手のホテル・旅館や投資ファンドなどに買収されれば、再生の資金を得られるうえ、外部のアドバイスを得て経営の効率化も実現可能です。

なお、こうした目的を掲げるM&Aは、一見すると売り手の都合が大きいですが、ホテル・旅館事業への進出を狙う買い手にとってもメリットがあります。

ホテル・旅館の経営では設備や従業員のスキルが重要視されており、ゼロからの準備は決して簡単ではありません。しかし、ホテル・旅館の買収に成功すれば、これらの経営資源を準備するプロセスを省略できます。

④旅行スタイルの変化への対応

近年はネットエージェント・レビューサイト・宿泊予約サイトが台頭し、これに応じて旅行スタイルも変化しています。近年の旅行スタイルを見ると、多くのお金をかけて豪遊したり観光ツアーに参加したりするよりも、安く気軽に短期間に行う旅行タイプが増加中です。

この傾向は訪日外国人観光客も同様であり、海外にはない物珍しさとリーズナブルな料金からカプセルホテルが人気になる事例もあります。こうした旅行スタイルの変化に対応するうえで、いかにWebマーケティングをうまく利用するかが大切です。

Webマーケティングはノウハウや設備がなければ簡単にできる戦略ではなく、右も左もわからない状態では手を出しにくいでしょう。

また、ホテル・旅館は、旅行スタイルの変化に合わせてサービスを変える必要があり、老朽化した設備の一新が求められるケースもあります。

こうした状況を打開するために、ホテル・旅館がM&Aを行い、大手資本の傘下に入って資金を確保しつつ現在のニーズに合わせた経営改善を行う事例も珍しくありません。

ホテル・旅館の事業承継については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】ホテル・旅館の事業承継とは?課題や注意点を解説【事例あり】

ホテル・旅館業界のM&Aのメリット

この章では、ホテル・旅館業界のM&Aメリットを、売却側と買収側に分けて見ていきましょう。

ホテル・旅館業界の売却側のメリット

売却側のメリットは、主に4つあります。

まずは、後継者不足問題の解決です。経営者の高齢化により、事業承継の時期を迎えていても、後継者候補がいない状況に悩むホテル経営者は少なくありません。後継者不在の状態が続くと、廃業になる可能性もあります。

しかし、M&Aを実施すると、外部の経営者・会社に自社のホテル事業を譲渡することが可能です。

次に、従業員の雇用が存続できるメリットが挙げられます。廃業すれば、ホテルの従業員は解雇となりますが、ホテル・旅館を第三者へ売却すると、従業員は買収側で働けるのです。今までより、待遇が良くなることもあるでしょう。

3つ目は、経営基盤の強化です。自社より資本力やブランド力がある企業とM&Aを実施すると、経営基盤を強化できます。買収側の資金を活用すれば、設備などを買い替えたり、Web集客に注力したりでき、収益性や顧客数の増加につながるでしょう。

4つ目は、創業者利益の獲得です。一度にまとまった現金が手に入るため、新規事業や主力事業への投資、アーリーリタイアの実現も可能になります。

ホテル・旅館業界の買収側のメリット

買収側のメリットは、主に3つあります。

まずは、既存事業の拡大や新規事業への参入が可能となるメリットです。ホテルを運営する企業同士のM&Aでは、事業規模が拡大し、売上や利益、顧客数が増加します。異業種の企業がホテルを買収すると、新規事業としてホテルの運営を開始できるでしょう。

次に、希少な経営資源や質の高い人材を得られるメリットです。人気観光地の土地や建物、リピート率の向上につながる運営ノウハウなどは、取得するまでに手間やコストがかかります。語学力や接客力に秀でた質の高い人材も、取得や育成には時間や費用が必要です。

3つ目は、経営戦略をスピーディーに実現できるメリットが挙げられます。一から新規事業の立ち上げや経営資源獲得などの戦略を行うと、軌道に乗るまでにかなりの時間が必要ですが、M&Aを実施するとスピーディーに戦略を遂行できるのです。

ホテル事業へ新規参入するケースでは、すでに施設、人材、顧客などが揃った状態で事業を開始できるので、収益化までの時間を大きく短縮できます。

ホテル・旅館業界のM&A・買収に積極的な企業

本章では、ホテル・旅館業界における積極買収企業の一例をまとめました。

企業名 事業の概要 アピールポイント
カトープレジャーグループ 大阪市を拠点に、レジャー事業開発/飲食店/ホテルなどを営む企業。 ・「日本のレジャーをもっと楽しく!」を企業理念に、ホテル/旅館/スモールラグジュアリーリゾート/公共リゾート/スパ/エンターテインメント/レストランなどを全国600万人以上のお客さまに提供。
・コンセプトワークの企画から運営に至るまで、総合的なプロデュースワークに強みがある。
・多種多様な分野のクリエイターとのコラボレーションも積極的に実施。
GYRO HOLDINGS ・2019年11月、「カフェ・カンパニー」と「subLime」の経営統合により誕生した企業。
・全国で400店舗の飲食店を展開。
・島を買って国をつくる!をモットーに事業展開を進め、現在は島に入るホテル/飲食店/ウェディングなどを募集中。
・ひもの屋/北の家族/ロックアップ/Rainbow Hatなどを運営。
ニュートン ・1986年9月、レジャー/アミューズメント業界への新規参入を目的に設立した企業。
・現在は独創的なホテル業態(サンザ)の展開にも注力。
・「遊び開発企業」「新業態開発企業」として、50種類を超えるレジャーサービスを展開。
・子供の孤食をなくすための「子ども食堂」や、障がい/経済的な困難を抱える家庭の子供に夏の思い出を提供する「夏休み伊豆リゾートホテル無料ご招待」などの社会貢献活動も積極的に展開。

ホテル・旅館業界のM&Aの相場と費用

本章では、ホテル・旅館業界におけるM&Aの相場と費用を把握しましょう。M&Aを行う場合、買収にどれだけの費用がかかるかはケースバイケースですが、一定の傾向はあります。

ホテル・旅館では、立地および温泉・宴会場・客室数などの設備が充実していれば、これに比例して買収費用が高まるのが一般的です。

具体的にいうと、ホテル・旅館の買収は、中小・中堅であれば数千万円~数億円、大規模であれば数十億円規模の資金が必要と考えると良いでしょう。

ホテル・旅館の売却の相場については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】ホテル・旅館の売買相場は?高値で売る方法、案件一覧も紹介

ホテル・旅館業界のM&Aを行う流れ

ホテル・旅館業界のM&Aを行う大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. M&A仲介会社への相談・依頼
  2. 秘密保持契約の締結
  3. 施設に関する資料の提出
  4. 企業価値評価・希望条件の決定
  5. 施設概要書の作成
  6. 相手先候補の選定(マッチング)
  7. 相手先候補との交渉・トップ面談
  8. 基本合意契約の締結
  9. 買収監査(デューデリジェンス)
  10. M&A最終契約の締結
  11. クロージング

上記の流れを事前に把握し、プロセスをスムーズに進行させましょう。

ホテル・旅館業界のM&Aで買収する際のポイント

ここでは、ホテル・旅館業界のM&Aで買収する際のポイントを見ていきましょう。ホテル・旅館の買収側は、大手のホテル・旅館だけでなく投資ファンドなど他事業企業などが該当するケースも増加していますが、いずれも買収時のポイントは共通しています。

買収時の主なポイントは、集客機能・立地条件・収益/コスト管理です。集客機能では、対象のホテル・旅館特有のサービスを提供できているか・Webマーケティングにどれだけ投資を行っているか・投資を行う意識があるかなどに注目しましょう。

ホテル・旅館経営の根幹はあくまでも接客サービスにあり、各宿泊客の満足度が人気に直結するといっても過言ではありません。どれほど満足度を高められるサービスを持っているかが、他者との差別化につながります。

また、ホテル・旅館の宣伝や予約の利便性を高めるための予約フォームの作成など、Webマーケティングをいかに意欲的に取り組んでいるかなども注目すべき点です。

立地条件では、最寄りの駅・空港・観光地や繁華街など宿泊客の目的地となる場所からどれほど距離が離れているかなど、既存のホテル・旅館周辺の競争状況などに注目してください。

収益/コスト管理では、対象のホテル・旅館がどれくらいの高い水準で売上を維持しているか・人件費/設備の維持費/仕入れ代などを圧縮できているかに注目するべきです。

ホテル・旅館は固定費の割合が大きいため、この「固定費をどれほど抑えられているか」は重要な要素といえます。

ホテル・旅館業界のM&Aで売却する際のポイント

次に、ホテル・旅館業界のM&Aで売却する際のポイントです。ホテル・旅館業界は売り手市場とされ、売り手側のホテル・旅館が有利に働きやすい傾向にあります。

ただし、ホテル・旅館の売却を成功させたい場合、押さえるべきポイントがあります。ホテル・旅館を売却する際、まずは客室数をチェックされる点を意識しましょう。

ホテル・旅館の売上は客室数に比例しているため、「どれほどのキャパシティを有しているか」は非常に重要なポイントです。

客室数によって売却の成否が分かれるといっても過言ではありません。実際にM&Aの仲介サイトでホテル・旅館の買収を望む会社は条件に客室数を設定しているケースが多く、一定以上の客室数がなければM&Aにより売却できないケースも珍しくないのです。

客室数以外における「どのようなサービスを行っているか」「どれだけ固定費を抑えられているか」などのポイント次第では、客室数が少なくとも買い手がM&Aに前向きになってくれるケースは存在します。

しかし、都市圏にあるホテル・旅館は、特に客室数を重視するケースが多いため要注意です。

Webマーケティングの実施など、経営状態の改善に意欲的である点も重要となります。時代の変化を理解したうえで、対応する姿勢を持たなければ、M&Aに成功しても買い手との間で摩擦が発生しかねません。

ホテル・旅館における事業売却については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】ホテル・旅館における事業売却とは?メリット・デメリットや事例を解説

ホテル・旅館業界のM&Aを成功させるには専門家の力を借りよう

ホテル・旅館業界のM&Aを成功させるには、専門家からサポートを得ると良いでしょう。M&Aは業界に問わず30%程度の成功率とされ、決して簡単ではありません。案件によって、数カ月で終わるケースもあれば1年以上かけても成功しないケースも見られます。

また、M&Aはいかなる手法を使っても、法務・税務・財務など専門的な知識が必要で(デューデリジェンスが代表例)、交渉などを含めて経営者のみで行うのは非常に難しいです。

M&Aを成功させるには、経営コンサルティング会社やM&A仲介会社などの専門家から力を借りるのが一般的です。特にホテル・旅館は、一般的な企業とは異なる事業を扱っています。

業態に大きな特徴があるうえ業界特有の慣習があるため、業界への理解が深い専門家に依頼すると良いでしょう。近年はM&Aが経営戦略として普及し、特定の業界・業種に特化した経営コンサルティング会社やM&A仲介会社が増加してきました。

ホテル・旅館業界に強いM&A仲介会社に依頼すれば、業界の事情や業態を理解しているので適切なアドバイスを得られる可能性が高いです。

なお、M&A仲介会社の中には、事業承継の支援や事業承継のためのM&Aに協力する機関も多く存在します。近年のホテル・旅館業界では後継者不在が問題視され、後継者が見つからないために廃業に陥ってしまうホテル・旅館も少なくありません。

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ホテル・旅館業界のM&Aのまとめ

従来は縮小傾向にあったホテル・旅館業界ですが、近年は景気の回復や海外からの注目などの影響を受けて徐々に盛り返しつつあります。ホテル・旅館業界では、業界のさらなる活性化を図り、M&Aが盛んに行われている状況です。

ただし、昨今は、旅行者における旅行スタイルの変化が、ホテル・旅館業界へ大きな影響を与えています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響も踏まえて、今後はWebマーケティングにおける集客など時代の変化に合わせた対応の実施が重要です。

本記事の要点を、以下にまとめました。

・ホテル・旅館業界の特徴
→Webマーケティング投資の重要性、経営の柔軟性が低い、人件費や設備にかかる固定費が大きい

・ホテル・旅館業界のM&Aの相場と費用
→中小・中堅であれば数千万円~数億円、大規模であれば数十億円規模

・ホテル・旅館業界のM&Aで買収する際のポイント
→集客機能、立地条件、収益/コスト管理

・ホテル・旅館業界のM&Aで売却する際のポイント
→どれほどのキャパシティを有しているか、経営状態の改善に意欲的であるか

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