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2025年9月24日更新節税
M&Aにおける株式譲渡の税金解説|種類・計算方法・節税対策・最新情報【2025年版】
M&Aにおける株式譲渡は、譲渡益に応じた税金が発生します。本記事では、株式譲渡に係る税金の種類、計算方法、節税対策などを2025年最新情報に基づき解説します。
目次
M&Aにおける株式譲渡で発生する税金の種類
株式譲渡を行った際に発生しうる税金は、主に以下の5つです。本章では、各税金が発生する条件などについて解説します。
【株式譲渡を行った際に発生しうる税金】
【株式譲渡を行った際に発生しうる税金】
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
- 法人税
- 相続税・贈与税(該当する場合)
所得税
所得税とは、個人の所得に課せられる税金です。所得税は収入を得た方法によって10種類に分けられ、株式譲渡によって得た利益は譲渡所得に該当します。
所得税の支払い方法には、総合課税方式と分離課税方式の2方式があります。総合課税とは、総合課税に該当する所得をすべて合算したうえで支払う税金を計算する方式です。分離課税とは、ほかの所得との合算はせず、該当する所得だけに設定された税率で計算して税金を支払う方式です。
総合課税の場合は累進課税方式になっているので、所得額に応じて税率が変化していきます。一方、分離課税方式に該当する譲渡所得の場合は、税率が15%で固定されています。
個人の株式譲渡益は譲渡所得として所得税の課税対象となり、分離課税方式で15.315%の税率が適用されます。(2025年時点)
住民税
住民税は、株式譲渡益に対して5%の税率で課税されます。(2025年時点)
計算上は株式譲渡の譲渡益に対する税金としてほかの税金とまとめて算出しますが、税金の支払い時期は異なります。
住民税の支払い時期は、株式譲渡を行った年の翌年です。つまり、確定申告を行なった年に税金を支払います。
例えば、2021年に株式譲渡によって譲渡益を得た場合は2022年に確定申告を行い、その年の4月から5月頃に送られてくる税金の納付書を使い、4回に分けて税金の支払いを行います。
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に充てる目的の税金です。復興特別所得税は復興所得税の支払いがすべての納税者に発生するので、株式譲渡を行った際も売り手側は復興特別所得税を支払う必要があります。
復興特別所得税は、所得税額の2.1%が加算されます。(2025年時点)
所得税15%×2.1%=0.315%を支払う必要があるので、所得税と合わせると15.315%の税金を支払います。
復興特別所得税には期限があり、2037年で終了するため、この期間中に株式譲渡を行う場合はすべて復興所得税が発生するのです。確定申告の際は、復興特別所得税についても自身で記入する必要があるので、忘れずに記入しなければなりません。
法人税
株式譲渡の売り手が個人である場合の税金は所得税が発生しますが、売り手が法人である場合は法人税が発生します。個人の税金は分離課税方式でしたが、法人の場合はほかの利益も合わせて税額が決定されます。
【法人が株式譲渡によって支払う主な税金】
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
株式譲渡の法人税は、株式譲渡の譲渡益に税率をかけることで算出され、地方法人税は法人税に10.3%をかけて税金を計算しましょう。また、法人住民税は法人税に応じて税金が決められ、法人事業税は株式譲渡の譲渡益によって3.4%~6.7%の範囲で税金が決まります。
相続税・贈与税(該当する場合)
株式譲渡の譲渡価額が適正な株価よりも著しく低い場合や無償で株式譲渡を行う場合は、買い手に相続税・贈与税が発生するケースがあります。
中小企業は専門家に企業価値評価を依頼しなければ適正な株価がわからないケースも多いので、株式譲渡の前に企業価値評価を行いましょう。
相続税・贈与税は累進課税となっているので、株式譲渡価額が高いほど税金の支払いには注意が必要です。
株式譲渡益の計算方法:譲渡所得の算出ステップ
株式譲渡した際の税金は、一般的に以下のとおり計算します。譲渡価額は、企業価値評価やデューデリジェンスなどの結果を踏まえて、最終的には売り手と買い手の交渉によって決まります。
株式譲渡の税金は、譲渡価額から株式譲渡の際にかかった各種費用を引いたうえで算出しましょう。
【株式譲渡したときの税金の計算方法】
- 譲渡価格−経費(取得費+委託手数料など)=譲渡所得
- 譲渡所得×21.315%=譲渡所得税
中小企業の場合、株式の取得費がわからないこともありますが、そのような場合は、現在の評価額の5%程度を取得費として税金の計算を行うことがあります。
M&Aの専門家へ依頼した場合の手数料には、相談料・着手金・中間金・月額報酬・成功報酬などがあり、これらの手数料を合算して税金を計算します。譲渡価額から経費を引くことで、税金の計算に使う譲渡所得を算出できるのです。
取得費の算出方法
計算方法を見ていきましょう。
- 1株の取得費:〔(取得単価×取得株式数)+手数料など+消費税〕÷株式数
- 譲渡株式の取得費:①×譲渡株式数
2回以上に分けて買う場合は以下(総平均法)になります。
- 2回以上購入時における1株の取得費:(初回購入総額+2回目以降購入の購入総額)÷(初回購入総額にかかる株式などの総数+2回目以降購入の総額にかかる株式などの総数)
- 譲渡する株式取得費:①×譲渡株式数
取得費のチェック手順
取得費のチェック手順を見ていきましょう。
- 株式を購入したときに証券会社から交付された取引報告書をチェック
- 株式を購入した証券会社に顧客勘定元帳でチェックしてもらう
- 故人の日記や預金通帳などをチェック
- 名義書き換え日を調べ取得時期を知り、その時期における相場から計算
金融機関は、顧客勘定元帳を10年間保存しています。そのため、10年以内に被相続人が得た場合は、問い合わせ可能です。
上場株式等の譲渡損失の繰越控除
上場株式などにおける譲渡損失の繰越控除について見ていきましょう。
上場株式などにおける譲渡損失に関しては、その年に控除しきれない分(同年の譲渡損失から譲渡益を引いても残る損失)を、損失が生じた翌年以降3年間繰越せます。繰越した損失分は、翌年以降における取引での譲渡益と相殺できるのです。
株式譲渡後の確定申告:手続きと期限
株式譲渡した際の確定申告は、上場企業の株式を株式譲渡するか、非上場企業の株式を株式譲渡するかによって変わります。
上場企業の株式を株式譲渡する場合は、証券会社の特定口座に株式を預けていて、源泉徴収ありになっていれば確定申告の必要はありません。
しかし、源泉徴収なしになっていたり、特定口座ではなく一般口座に株式を預けたりしている場合は、確定申告が必要です。
一方、非上場企業の株式を株式譲渡する場合は確定申告が必要です。1年間で株式譲渡を行った合計額が20万円を超えると、翌年に確定申告をする必要があります。
なお、前述のとおり株式譲渡による税金は申告分離課税となっているので、損益通算できません。
確定申告の期限
確定申告の期限を見ていきましょう。期限は、原則、所得が生じた年の翌年3月15日までです。
税金の計算は難しく、相続では故人が過去に株を売買していると、取得費の計算がより複雑になるでしょう。そのため、税理士に早期に相談することをおすすめします。
外国株式を譲渡したときの税金
この章では、外国株式を譲渡したときの税金について見ていきましょう。
国内外に上場する外国株式の譲渡には、国内株式の譲渡所得と同じく分離課税の対象で、税率も同様です。配当金に関しては、国外で源泉徴収されたケースでは、税引き後の配当金に国内でも源泉徴収されます。ただし、確定申告のときに、外国税額控除を受けられることもあるでしょう。
外国株式では、特定口座で管理されるものとされないものがあるので、証券会社などへ確認してください。
株式譲渡における効果的な節税対策
株式譲渡に伴う税金は、譲渡価額が高くなるほど負担が大きくなるので、税金の負担が事業承継を躊躇する原因にもなりかねません。
そこで、株式譲渡の際は、税金の負担を少しでも軽くする必要があります。本章では、株式譲渡に伴う税金の負担を軽減する代表的な方法を見ていきましょう。
退職金の活用
売り手が法人から退職金を受け取る場合、一定の要件を満たせば退職所得控除が適用され、税負担を軽減できます。ただし、退職金の額や勤続年数によって控除額が変動するため、最新の税制に基づいて計算する必要があります。(2025年時点の情報に基づく)
ただし、退職金による税金対策は、あきらかに節税対策として過剰に行われた場合、損金算入が認められない可能性があるでしょう。株式譲渡の税金対策は、専門家に相談しながら適切に行わなければなりません。
事業承継税制の活用
事業承継税制とは、旧経営者から後継者へ無償で株式譲渡を行う際に、要件を満たせば税金の支払いが猶予または免除される制度です。
事業承継税制を活用することで、一定の要件を満たせば相続税や贈与税の納税を猶予または免除することが可能です。最新の事業承継税制の特例措置も確認しておきましょう。(2025年時点の情報に基づく)
事業承継税制を利用するには、旧経営者要件と後継者要件、会社要件、雇用維持要件を満たす必要があります。特に注意が必要なのは雇用維持要件です。事業承継税制を適用するには、雇用の8割以上を5年間維持しなければなりません。
以前までは事業承継税制の適用要件が厳しく、活用する企業はごく一部でした。そこで、2019年に行われた税制改正で要件は緩和され、多くの企業が適用しやすい制度へと生まれ変わっています。
株式譲渡などのM&Aに専門的な知識や相手探しのためのネットワークが必要になるため、M&A仲介会社など専門家のサポートは不可欠といえるでしょう。
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譲渡損の申告
譲渡損の申告も節税になります。
上場株式の売却で損失が出た場合、分離課税で確定申告すると節税できます。例を挙げると、△証券の特定口座で生じた譲渡損を、〇証券における特定口座の配当益や譲渡益と申告した場合、損失と利益を相殺して所得額を下げることが可能です。
損失が残ると、翌年以後3年間確定申告をすると損失の繰り越しができます。繰り越した損失を将来の譲渡益や配当益と相殺できるのです。
M&Aにおける株式評価の重要性
株式譲渡における価格は、M&Aの成否を大きく左右する重要な要素です。適正な株式評価を行うことで、売主は適切な対価を得ることができ、買主は過大な投資リスクを回避できます。
株式評価の方法
株式評価には様々な方法があり、企業の特性やM&Aの目的に合わせて適切な方法を選択する必要があります。代表的な評価方法には、以下のものがあります。
- DCF法(割引キャッシュフロー法): 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法。将来予測に基づくため、成長性の高い企業の評価に適しています。
- 類似会社比較法: 同業他社の株価や財務指標を参考に評価する方法。市場における評価を反映できるため、上場企業の子会社や類似の上場企業が存在する場合に有効です。
- 純資産法: 企業の資産から負債を差し引いた純資産を基に評価する方法。企業の解散価値を算出する際に用いられることが多いです。
株式評価の注意点
株式評価は専門的な知識と経験を要するため、M&Aアドバイザーなどの専門家に依頼することが一般的です。また、評価額は将来の業績予測などに基づいているため、不確実性を含むことを理解しておく必要があります。
株式譲渡したときの税金に関する特例
この章では、株式譲渡したときの税金に関する特例について見ていきましょう。
非上場株式を事業承継のときに相続や贈与することについて、事業承継税制の特例があります。平成30年度税制改正で、事業承継問題に対応するためにできた制度です。
非上場株式を相続や贈与するときに、同時に会社の事業を引き継ぐ場合は、該当する全非上場株式に課される相続税・贈与税が100%猶予されます。対象は複数の株主から代表者である3人までの後継者です。親族はもちろん、第三者の承継も適用となります。
後継者の相続・贈与があれば取り消しにならない限り、猶予されていた税額が免除になります。ただし、事務手続きが多く制度が複雑であり、取り消しのリスクもあるため、専門家に相談すると良いでしょう。
株式譲渡したときの税金の相談先
株式譲渡を行うときは、節税対策も検討しなければ、数%の違いが数百万円の違いになる可能性もあるでしょう。ただし、譲渡者が個人か法人かで税率が変化するなど仕組みが複雑なので、M&A仲介会社などの専門家に依頼することをおすすめします。
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株式譲渡したときの税金まとめ
M&Aにおける株式譲渡では、多額の税金が発生する可能性があります。事前に税額をシミュレーションし、適切な対策を講じることで、売却後の資金計画をスムーズに進めることができます。
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