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2021年5月4日更新節税
節税対策とは?法人や個人事業主向けに保険や経費不動産の活用事例を解説
法人や個人事業主にとって、節税対策は欠かすことができません。「知ってるか、知らないか」が支払う税金の額を大きく変えることになります。今回は、中小企業・法人、個人事業主・サラリーマン、個人年金保険の様々な節税対策を解説します。
目次
節税対策とは?知っておきたい節税の基礎知識
初めに、節税対策をする上で知っておきたい基礎知識を解説します。
節税対策とは、法律の範囲内で支払う税金を少なくする対策です。
例えば、一定の条件を満たすと活用できる「控除」や「非課税制度」などを活用すれば、合法的に税金の額を抑えることができます。
合法的な節税対策は多岐に渡って存在しますが、税務署からは何も教えてもらえません。
だからこそ、節税対策の方法は、自分でアンテナを張って集めていかなければならないのです。
節税対策にはルールがある
税金を抑える目的であれば、何を行っても良い訳ではありません。
非合法的な方法で税金を抑える方法は「脱税」となり、最悪の場合逮捕されてしまいます。
仮に法律の抜け穴を掻い潜る方法で税金を減らしたとしても、「租税回避」となり認められない可能性があります。
- 租税回避:税法が想定していない形式で税負担を減少させようとする行為
脱税はもちろん租税回避にもならない方法を用いて、納税額を少なくすることが大事です。
では、節税にはどのような方法があるのか。ここからは、具体的な方法を確認していきましょう。
【中小企業・法人】知っておきたい節税対策4選
まずは、法人向けの節税対策から解説していきます。
節税対策として主にやるべきことは、『経費を利用して、利益を圧縮すること』です。
以下で、具体的な方法を4つ紹介します。
- 繰越欠損金による節税対策
- 経営セーフティ共済による節税対策
- 社員旅行による節税対策
- 雇用者の増加による節税対策
それぞれ詳しく見ていきましょう。
⑴繰越欠損金による節税対策
青色申告を行っている中小企業法人であれば、繰越欠損金(くりこしけっそんきん)を節税対策に活用できます。
繰越欠損金とは、過去から繰り越している税務上の赤字のことを指します。こちらは、黒字の所得と相殺する事で納税額を減額することが可能です。
欠損金を繰り越せる期間も長く、平成30年度以降に発生した欠損金は10年間に渡り繰り越すことができます。
⑵経営セーフティ共済による節税対策
経営セーフティ共済とは、取引先倒産の影響による倒産を防止する共済制度であり、中小企業倒産防止共済とも呼ばれています。
経営セーフティー共済では、毎月一定の掛け金を払っておけば、掛け金をそのまま経費として計上することができます。
例えば、50万円の掛け金を払った場合は、所得を50万円分下げることが可能です。
また、取引先が倒産した場合、掛け金の10倍の額を無担保・無保証人で借入することもできます。
そのため、節税とリスク対策を同時に行える、一石二鳥の節税対策とも言えます。
年間で最大「240万円×法人税率」だけ納税額を減らす事が出来るため、積極的に活用したい節税対策です。
⑶社員旅行による節税対策
社員旅行の実施は、社員のモチベーションアップにも繋がる節税対策です。
下記要件を満たす社員旅行であれば、旅行費用を損金に計上可能です。
- 旅行の目的や規模・行程が一般的
- 旅行期間は4泊5日以内
- 旅行費用は約10万円以内
- 従業員全体の50%以上が旅行に参加
- 自己都合で参加しない人に現金を支給しない
- 日程表や旅行費用の明細書等の資料は必ず保管する
上記を満たせば、損金計上による節税効果が見込めます。
⑷雇用者の増加による節税対策
雇用者の数を増やすことも、節税対策になります。
こちらは、「雇用促進税制」と言われる制度であり、『増加した人数×40万円』を法人税額から減額することができます。
もし雇用者の追加を検討しているのなら、ぜひ活用しておきたい制度です。
※関連記事
【中小企業必見】法人の正しい節税対策
『個人事業主』知っておきたい節税対策3選
続いては、個人事業主が利用できる節税対策を3つご紹介します。
- 青色申告控除による節税対策
- 小規模企業共済による節税対策
- 少額減価償却資産特例による節税対策
それぞれ確認していきましょう。
⑴青色申告控除による節税対策
初歩的な節税対策ですが、青色申告にすれば所得控除を増やす事が出来ます。
簡易的な簿記による青色申告では10万円、複式簿記による青色申告では65万円の所得控除が認められます。
白色申告と比べて非課税となる金額枠が拡大するので、ある程度稼ぎがある個人事業主の方には青色申告への変更をおすすめします。
⑵小規模企業共済による節税対策
小規模企業共済とは、個人事業主が自身の退職金を積み立てる事が出来る共済制度です。
1,000円~70,000円の間で自由に設定できる掛金は、「全額を所得控除」出来ます。
老後の保障が無い個人事業主にとって、節税対策を施しながら退職金を積み立てる事が出来るのも、嬉しいポイントです。
20年以上共済に加入していれば、解約時に積み立てた掛金の全額を返還してもらえるため、老後対策と節税対策の二つを兼ねて、積立しておくのがおすすめです。
⑶少額減価償却資産特例による節税対策
10万円以上の資産を購入した場合、通常であれば購入代金を何年かに分けて費用計上します。
青色申告を行う個人事業主であれば、30万円未満の減価償却資産を一括で費用計上できます。
この制度は「少額減価償却資産の特例」と呼ばれており、その年度の課税所得をより圧縮できます。
『サラリーマン』知っておきたい節税対策4選
サラリーマンの節税対策も、税金の額に大きく影響してきます。
以下では、サラリーマンの節税対策を4つ紹介しますので、できることから試してみましょう。
- ふるさと納税による節税対策
- 特定支出控除による節税対策
- 医療費控除による節税対策
- 住宅ローン控除による節税対策
では詳しく見ていきましょう。
⑴ふるさと納税による節税対策
ふるさと納税とは、自身の故郷や応援したい地域に寄付を行う事で、地域の活性化に貢献できる制度です。
ふるさと納税で寄付した金額のうち、2,000円以上は、そのまま「所得税」と「住民税」の減額に回してもらえます。
つまり、ふるさと納税を利用することで、所得税と住民税を減らすことができるのです。
単純に節税対策となるだけでなく、その地域の名産品や特産品をお礼として受け取れるメリットもあるので、必ず押さえておきたい節税対策です。
⑵特定支出控除による節税対策
特定支出控除とは、サラリーマンの業務に関連する費用を、給与所得から控除できる制度です。
主に下記の費用が、特定支出控除の対象となります。
- 業務に関連する書籍の購入費用
- 業務に関連する研修にかかる費用
- 資格の取得費用
- 業務に関連する衣類の購入費用
つまり特定支出控除とは、業務に関する費用を個人事業主と同様に、経費にできる節税対策です。
⑶医療費控除による節税対策
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が原則10万円を超えた場合に、税金を控除して貰える制度です。
生計を一緒にしている親族の分も合計して申告出来る点が特徴であり、10万円を超えた部分を節税できます。
総所得の金額が200万円未満の方は、基準金額が10万円ではなく、総所得の5%となります。
⑷住宅ローン控除による節税対策
住宅ローンに加入している人は、住宅ローン控除により節税することができます。
控除の内容は、『住宅ローンの年末時点での残高の1%が10年間、所得税(及び住民税)の額から控除される』という内容です。
最大控除額は10年間で400万円にも達するため、利用していない人は、必ず押さえておくべきです。
ただし、住宅ローン控除を受けるには要件が決まっており、たとえば新築住宅の場合は、「取得した日から6カ月以内に居住していること」といった条件を満たさなければ控除は受けられません。
そのため、まずは自分の家が控除の対象に当たるのか、確認だけでも済ませておきましょう。
経費を増やす税金対策
節税対策の中には、経費を増やす形で節税を図る対策が少なくありません。
たとえば、自宅の家賃や光熱費を経費として計上できれば、大きな節税に繋がります。
この項では、上記のような「経費を有効活用できる節税対策」を3つご紹介します。
- 事務所経費による節税対策
- 旅費交通費による節税対策
- 税理士報酬による節税対策
詳しく見ていきましょう。
⑴事務所経費による節税対策
自宅を事務所と兼用している場合には、支払家賃を経費として計上できます。
家賃全額を経費に出来る訳ではなく、事務所として用いている割合に応じた金額を経費として計上します。
家賃のみならず、水道光熱費や通信費も同様です。
水道光熱費や通信費等に関しては、税務署が妥当と判断する範囲内で、事業主が仕事で用いる割合を決定できます。
⑵旅費交通費による節税対策
仕事に関係する旅行費や交通費であれば、経費として計上可能です。
仕事の往来で支払った電車やバス、タクシー等の乗車代は勿論、仕事に必要な物品を購入しに行く際の交通費も経費となります。
交通費を全て経費として計上すれば、大きな節税の効果が期待できます。
⑶税理士報酬による節税対策
個人事業主や中小企業にとって、税理士は必須の存在と言っても過言ではありません。
税理士報酬は全額経費として計上できます。
税理士報酬は高額であるものの、効果的なアドバイスを得られる点や報酬の全額を経費に出来る点を考慮すれば、税理士を起用するメリットの方が大きいです。
税理士を起用する事自体が、効果的な節税対策となり得ます。
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経費を利用した節税とは
個人年金保険の節税対策
個人事業主や中小企業が用いる節税対策の一つに、個人年金保険の加入があります。
この項では、個人年金保険を節税対策として利用した場合に得られる、二つのメリットをお伝えします。
⑴生命保険料控除による節税対策
公的な年金だけでは老後が不安な人は、個人年金に加入するのもおすすめです。
具体的には、個人年金「iDeCo(イデコ)」を利用して、個人年金を積み立てていく方法があります。
個人年金に加入すれば、「生命保険料控除」を受ける所得税と住民税を下げることが可能です。
⑵相続税の非課税枠による節税対策
変額タイプの個人年金保険であれば、相続税の非課税枠を利用できるメリットがあります。
変額タイプの個人年金保険とは、積み立てた保険料の運用成績により、将来の年金額が変動する個人年金です。
運用期間中に被保険者が亡くなり、相続人に死亡保険金が支払われる場合、「500万円×法定相続人数」までの金額分が非課税となります。
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生命保険を活用した相続税対策
不動産投資による節税対策
不動産投資も節税対策として知られていますが、どの様なメリットがあるのでしょうか?
最後に、不動産投資による節税対策のメリットを2つお伝えします。
⑴税制優遇
不動産投資における最大のメリットは、様々な税制優遇を受ける事が出来る点です。
住宅ローン控除や固定資産税の優遇措置など、不動産の保有により様々な面で優遇されます。
優遇措置を活用しながら、不動産投資により資産を増やす事が可能です。
⑵経費計上
2つ目のメリットは、経費計上できる点です。
収益用の不動産物件で赤字が発生した場合、その赤字を給与所得等他の所得と合算し、納税額を抑える事が可能です。
工夫が必要ですが、実際には損失を被っていなくても、帳簿上でのみ赤字を計上できるケースもあります。
不動産投資を工夫すれば、純粋に経費を増やせるメリットがあります。
要注意!こんな節税対策には気をつけよう
ここまで様々な節税対策の方法を紹介してきました。
最後に「こんな節税対策は注意!」という税金対策方法を紹介していきます。
⑴会社同士で不自然な利益移転を行う
会社同士で仕事の受注・発注を繰り返し、売り上げや経費を調整することも、問題になる可能性があります。
仕事を受注・発注による成果物を提示できないと、罰則を受ける危険があるため、不自然な利益移転はやめましょう。
⑵税金を減らすために経費を使い込む
税金の額を少しでも減らすために、経費を使い込んでしまうのは本末転倒です。
たとえば、経費を減らすために、使う予定のないパソコンを買ったり、必要のないプリンターを購入したり。
経費が将来への投資に繋がっているのならば問題ありませんが、単なる節税のためならば、使い道を考え直す必要があるでしょう。
本記事でも解説している通り、節税の方法は様々あるので、自分にとって一番良い方法で節税対策を行うべきです。
架空の経費計上にも注意しよう
本来経費として認められない物を経費として計上することも、もちろん禁止です。
経費として認められない物を計上してしまうと、追徴課税(ついちょうかぜい)を受けてしまう可能性があります。
追徴課税とは、納税額に不足があった場合、罰則的な意味合いで追加の税額を支払わされることです。
不用意に経費を計上していると、思わぬ罰則を受ける危険があるので、自分自身が自信を持って申告できるものだけを、経費として計上するようにしましょう。
まとめ
今回は、中小企業や個人事業主が活用できる節税対策について解説しました。
中小企業主や個人事業主にとって、節税対策は重要な施策のひとつです。
より多くの利益を手元に残し、事業拡大に向けて投資する必要があります。
事業者のみならず、サラリーマンでも活用できる節税対策も存在します。
状況に合わせて、効果の高い節税対策を選択・活用しましょう。
より専門的に節税対策を実行したいのであれば、税理士に相談する事も一つの手です。
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