2021年4月27日更新節税

赤字でも消費税がかかる?赤字企業における法人、個人事業主の納税義務

赤字企業であっても、消費税を納税する義務があるのでしょうか。この記事では、消費税納税が不要となるケースや、消費税の還付を受けられる条件、還付金の受け取り方法、赤字企業における法人税・法人住民税について、わかりやすく解説していきます。

目次
  1. 赤字でも消費税がかかる?
  2. 赤字と消費税の関係
  3. 消費税納税が不要となるケース
  4. 赤字企業が活用できる消費税の還付
  5. 赤字企業における法人税、法人住民税
  6. まとめ
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赤字でも消費税がかかる?

赤字でも消費税がかかる?

法人、個人事業主に関係なく、納税の義務は必ず発生します。会社を経営している方であれば、できる限り税金額を少なくしたいと考えることは普通です。

税金の負担を減らすために節税対策を行うことで、資金繰りを改善することができます。節税対策には、多種多様なものがあります。

税金について考える一方で、経営者は本業である事業についても考える必要があります。国内市場の縮小などに伴って、中小企業や個人事業主にとっては厳しい状況となっています。

革新的な技術などにより、大成功を収めている企業・個人事業主も存在しますが、大半は依然苦しい状況での経営を強いられているのです。そのため、小規模な企業や個人事業主の中には、赤字経営が多いという現状があります。

ところが、赤字となっても、納税義務が発生する場合があります。特に赤字の企業にとって、消費税の支払い可否は非常に気になる部分です。

そこで今回は、赤字と消費税の関係について、わかりやすく解説します。赤字となっている法人・個人事業主の方必見です。

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赤字と消費税の関係

赤字と消費税の関係

まず初めに、「赤字でも消費税は納税すべきなのか」ということを解説します。赤字経営をしている経営者の方にとっては、とても気になる点です。なお、ここで紹介する内容は、法人だけでなく個人事業主にも共通して言えることになります。

間接税と直接税

税金には、間接税と直接税の2つがあります。

  • 間接税:税金を支払う人と、納付する人が異なる
  • 直接税:税金を支払う人と納付する人が同じ

間接税は、消費税や酒税、タバコ税などがあります。直接税には、法人税、所得税、住民税、事業税などが挙げられます。

赤字でも消費税の納税義務はある

「赤字でも消費税の納税義務はあるの?」という疑問に対し、結論から述べると、赤字でも消費税の納税は必要です。その理由を理解するためのポイントは、消費税が間接税であるということにあります。

会社側が支払う税金の場合、消費税は「法人に課されるものだ」と思いがちです。しかし実際には、消費税は商品・サービスを購入する消費者に課されているものになります。

ただ、商品を購入するたびに、税務署に申告するのは面倒です。そこで法人・個人事業主が、消費者から消費税を預かって、代わりに納税する仕組みになっています。消費者が支払い、企業が納税するため、間接税に当たるのです。

事実、商品やサービスの価格を設定する際、消費税分の金額を上乗せしています。あくまで会社側は、消費者が支払うべき税金を「預かっている」という状態です。よって、赤字かどうかは関係ありません。

消費税の仕組みから考えると、ある意味当然と言えば当然ですが、利益額に関係なく発生します。

消費税がかからない費用がある

消費税は、全てのものに発生するわけではありません。消費税がかからない費用というものがあります。

  • 役員報酬や給与
  • 法定福利費
  • 租税公課
  • 保険料
  • 減価償却費
ここで挙げた5つが、消費税が発生しない主な費用となります。

消費税の管理をしよう

消費税の仕組みから、赤字であっても消費税は発生します。ところが、消費税の支払い義務について知らない経営者の方も多いのです。「赤字だから納税の必要はないだろう」という認識で、納税について理解のないケースが多く見られます。

後から困らないためにも、常日頃から消費税の管理は徹底的に行う必要があります。そのため、常日頃から消費税額について把握しておくことが大切です。消費税の管理方法としておすすめなのは、2つです。

  • 日頃から帳簿を丁寧につけておく
  • 納税分だけ別の銀行口座に保管する

資金繰りに困らないよう、消費税を管理する方法を選び、実践してみてください。

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消費税納税が不要となるケース

消費税納税が不要となるケース

基本的には、赤字であっても消費税は発生します。ところが、納税が不要となるケースが2つあります。

  1. 課税売上高が1,000万円以下
  2. 事業開始から2年間以内の法人・個人事業主

ここでは、消費税の納税が不要となるケースについてご紹介します。

⑴課税売上高が1,000万円以下

小規模な会社や個人事業主にとって、税金の負担はとても重いものです。税負担を理由に、資金繰りが困難となる企業は少なくありません。

そこで、売上高が1,000万円以下の事業者(法人・個人事業主)は、原則消費税の納税が免除されます。この際基準となる売上高は、2年前のものとなります。

赤字企業の多くは、売上高自体が少ないケースが多いです。特に小規模な赤字企業は、そのほとんどが売上高1,000万円未満となっています。つまり、2年前の売上高が1,000万円未満ならば、赤字でも原則として消費税を納税しなくても良いということになります。

⑵事業開始から2年間以内の法人・個人事業主

消費税の納税義務は、2年前の売上高を基準に決定されます。言い換えると、事業を開始してから2年間は、基準となる売上高0円(存在しない)の状態のため、消費税が課税されることはありません

創業したばかりならば、赤字や黒字、売上高に関係なく消費税の納税義務は発生しません。

ただし、これには例外があります。資本金額、または出資金額が1,000万円以上の法人の場合には、設立2年以内でも消費税の納税義務が発生します。

  • 事業を開始してから2年間以内の法人・個人事業主は消費税の納税義務なし
  • 資本金額、または出資金額が1,000万円以上の法人は、例外となる

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赤字企業が活用できる消費税の還付

赤字企業が活用できる消費税の還付

原則的には、赤字であっても消費税の納税は必要となります。しかし、一定条件に当てはまる企業であれば、消費税の還付を受けることができます。赤字企業にとっては、非常にありがたい制度です。

  • 消費税の還付が受けられる条件
  • 還付の申告方法
ここでは、消費税の還付について見ていきましょう。

消費税の還付が受けられる条件

企業は消費者から消費税を受け取る一方で、仕入れなどによって自身も消費税を支払っています。よって本来支払うべき消費税は、下記の通り計算されます。

  • 納税額=受け取る消費税−支払う消費税

会社を経営していると、受け取る消費税額よりも支払う消費税額の方が多いというケースがあります。

例えば、多額の仕入れを実施したり、高額な設備投資を行ったりした場合です。仕入れや設備投資によって赤字となった場合、消費税を過剰に納税していることになります。

つまり、消費税を払い過ぎている場合には、消費税の還付を受けられるのです。実際に消費税の還付を検討する際には、税に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。

還付の申告方法

還付申告を行うためには、確定申告時に「消費税の還付申告に関する明細書」を添付する必要があります。明細書には、還付を受ける原因である支出の詳細や、支出金額などを記載します。

支出の詳細としては、主に下記があります。

  • 設備投資
  • 過多な仕入れ
  • 経費の大幅赤字

還付金の受け取り方法は、「口座振り込み」もしくは「郵便局での受け取り」から選択できます。なお消費税の還付金は、申告から約1カ月〜1.5カ月程度で受け取ることが可能です。

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赤字企業における法人税、法人住民税

赤字企業における法人税、法人住民税

税金は種類によって、支払う必要があるかどうかが変わります。

  • 法人税の納税義務
  • 法人住民税の納税義務
最後に、赤字企業におけるその他の税金に関する納税義務について、ご説明します。

法人税の納税義務

法人税とは、法人が事業運営によって得た利益に対して課税される税金です。利益に対するものなので、赤字の場合には原則、法人税は課税されません。ただし、会計上の利益と税法上の利益は若干意味が異なります。

  • 会計上の利益:損益計算書に記載された利益額
  • 税法上の利益:税金を計算する上で用いる利益

法人税が非課税となるのは、税法上の利益が赤字の場合です。会計上赤字であっても、税法上黒字という場合には、法人税は課税されます。

会計上の税法上の違いは専門的な知識になるので、ここでは割愛します。ただ会計上赤字であっても、法人税が課税される可能性があるということは覚えておいてください。

法人税とM&A

M&Aを行う場合にかかる税金はとても複雑で、ケースによって異なります。そのため、M&Aを行った場合には、法人税への対処はとても重要なのです。

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法人税対策

会社売却における税金

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法人住民税(均等割)

法人住民税とは、法人が所在している都道府県や市町村に納税する税金です。個人が住民税を支払うように、会社が存在すると法人住民税が発生します。法人住民税は、2つの種類があります。

  • 税割:利益額をもとに課税
  • 均等割:利益額に関係なく納税義務が発生

つまり、税割の場合には赤字であると納税する必要はありませんが、均等割の場合には赤字であっても納税義務が発生するということになります。

具体例を見ていきましょう。例えば、東京23区の法人住民税(均等割)です。資本金が1,000万円以下かつ従業員が50人以下の企業であれば、年間7万円の税金が発生します。たとえ赤字であっても、7万円は納税義務のある企業になります。

大規模な企業の場合には、年間300万円以上かかる可能性もあるのです。法人住民税の種類によって異なるため、どちらに当てはまるのか確認する必要があります。

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法人税の税率と計算方法

中小企業の税制

まとめ

まとめ

今回は、赤字と消費税の関係についてお伝えしました。赤字経営している方にとって、消費税だけでなく税金を極力払いたくないと感じるでしょう。

しかし赤字企業であっても、消費税の支払いは原則必要となるので、消費税の管理を普段から行うことが好ましいです。ただし、設立したばかり、もしくは売り上げが少ないという場合には、消費税が非課税となります。

また、高額な投資や大量仕入れなどによって赤字となった場合には、消費税の還付を受けられます。申告から1カ月程度で還付金を受け取ることができるため、ぜひとも活用しましょう。

さらに、消費税以外にも「法人住民税(均等割)」などの納税義務が生じる税金があります。一方で、税法上の利益が赤字ならば課税されない「法人税」もあります。

赤字企業の税金の取り扱いは非常に難しく、経営者が自ら判断して行動するのは、非常に危険と言えます。場合によっては、脱税と見なされる可能性もあるのです。赤字かどうかに関係なく、節税に関しては税理士に相談するのをおすすめします。

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