M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年8月30日更新会社・事業を売る
老人ホーム業界の動向とM&Aのメリット!流れや注意点と売却・買収事例15選を解説【2024年最新】
入所する高齢者に介護などの支援を提供するのが老人ホームの事業です。当記事では、老人ホーム業が抱える問題をはじめ、M&Aの動き、M&Aの手法、買収の相場、関係者が享受できるメリット、スケールメリットの獲得を目的としたM&A事例などをまとめています。
目次
老人ホームとは
法律に従って入居する希望者に介護などの生活支援を提供する老人ホームは、事業の形態によって、3つのタイプ(介護付有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホーム)に分類されています。
介護報酬の抑制や、競争の激化、人材不足などの問題に直面しているため、同業・異業種からのM&Aが盛んな業種とされています。
老人ホームの定義
老人ホームとは規定された老人福祉法に従って、入居を希望する高齢者に、食事・介護など身の回りの世話を施す場所です。大半は営利を目的とした法人によって運営され、入居する高齢者の状態・希望に合わせて、3種類の施設が用意されています。
老人ホームの特徴
老人福祉法第29条に規定された内容に沿って、入居する高齢者向けに入浴をはじめ、排せつ・食事の介護、食事の提供、家事、健康管理のどれかを提供するのが老人ホームです。
事業を行うには都道府県知事の許可が必要で、営利を目的とした法人による経営が主体とされています。とはいえ、事業者の形態を限定してはいないため、社会福祉法人なども老人ホームの運営を行っています。
老人ホームの運営では、介護居室と入居者1人あたりの床面積に基準を定めています。介護居室は1室あたり18㎡で、入居者1人あたり13㎡としています。
老人ホームの種類
入居する老人に介護などのサービスを提供する老人ホームは、3つの種類に分けられます。
①介護付有料老人ホーム
介護をはじめとしたサービスを入居する高齢者に提供するのが介護付有料老人ホームです。老人を入居させて、厚生労働省が定める食事・介護・家事・健康管理のどれかを提供します。
介護付有料老人ホームでは、1つのサービスに限定した提供も可能ですが、いくつかのサービスを提供することも認められています。入居後に介護を要する状況に至っても、特定施設入居者生活介護の規定により、入居を継続させつつ、介護のサービスを提供します。
厚生労働省が定める特定施設入居者生活介護を行う有料老人ホームは、以下の基準を満たす必要があるとされています。
人員の基準 | |
管理者 | 1名 |
生活相談者の割合 | 要支援・介護者100:生活相談者1 |
看護・介護職員の割合 | 要支援者10:看護・介護職員1 要介護者3:看護・介護職員1 (要支援・介護者が30人以下の場合は看護職員は1名、30人を上回る場合は50人ごとに1名) |
機能訓練指導員 | 1名以上 |
計画作成担当者 | 介護支援員を1名以上置く(基準の割合は、要支援・介護者100:計画作成担当者1) |
設備の基準 | |
介護居室 | 個室か4名以下の部屋 プライバシーが保たれ介護に必要な広さががある 地下に設けない 出入り口を1つ以上も受け避難に適した空地・廊下・広間に面している |
一時介護室 | 介護に必要な広さがある |
浴室 | 身体が不自由な者の入浴が可能な広さがある |
便所 | 居室を設けた各階に設置し、非常用の設備がある |
食堂・機能訓練室 | 目的を果たすための広さを確保している |
施設全体 | 車いすでの移動を可能とする広さと構造を有している |
②住宅型有料老人ホーム
入居する高齢者に生活の支援サービスを提供するのが住宅型有料老人ホームです。入居を続ける際に、介護を必要とする状態に至っても、外部の訪問介護サービスを受けながら、入居する施設での生活を提供しています。
介護付有料老人ホームの入居者よりも、ある程度自身だけで生活を送れる方が入居する施設といえます。また、現在では要介護の状態にはないけれど、要介護の状態に至る場合を想定した方向けの施設とも捉えられます。
③健康型有料老人ホーム
入居する高齢者に食事などの支援を行うのが健康型有料老人ホームです。介護支援を必要としない高齢者向けの施設で、介護を必要とする状態に至ると、施設ではサービスを提供できません。入居者が介護を要する状態に至ると、施設の退去を求めます。
犯罪などのトラブルや、病気の発症・持病の悪化・転倒などによる負傷、災害の発生などを想定して、一人暮らしで身寄りがいない高齢者に対し、安全な施設での暮らしを提供しています。
老人ホーム業界の動向
老人ホームの市場動向
介護保険制度が2000年度にスタートし民間事業者の参入が本格化しました。厚生労働省が発表する「令和3年社会福祉施設等調査の概況」によると老人ホームの施設数は令和2年は15956に対し令和3年は16724と4.8%増加しています。
厚生労働省が発表した「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況」では令和4年度の保険給付や自己負担を含む介護費用は11兆19億円超をとなっており令和3年度と比較すると約1620億増加しています。
2025年度には団塊の世代が75歳以上になることもあり今後も市場は伸びていくとみられます。
参考:厚生労働省「令和3年社会福祉施設等調査の概況」
厚生労働省「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況」
老人ホーム業界が抱える課題
入居する高齢者に必要なサービスを提供する老人ホームの業界では、要介護者の増加や、介護給付費の増加、介護報酬の改定、施設増加に伴う競争の激化、介護人材の不足、倒産の増加などの問題を抱えています。
1.受給者の増加
他者の支援がなければ日々の生活に支障をきたしてしまう要介護の方は、年々増加する傾向にあります。厚生労働省が公表する令和4年度 介護給付費等実態統計の概況では、介護予防サービス及び介護サービスの受給者数は652万人となっています。
令和3度では638万人としていたため、前年比2.2%の増加しました。
参考:厚生労働省「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況」
2.介護給付費をいかに抑制するか
老人ホームの事業者は、介護サービスを入居者に提供することで、保険者である市町村から介護報酬の給付を受けます。
しかし、日本では高齢化が進行し、働く世代が収める介護保険料が減っていますし、要介護者の認定数増加に伴い、支給される介護給付費の額も上昇しているのが現状です。財政の圧迫が進めば、社会保障のシステムは破綻します。
政府は介護給付費の抑制するために、不正な介護報酬の請求・請求額の誤りに目を光らせているため、請求内容に不備がある老人ホームの事業者には、介護報酬額の減額や事業所の取消しが実施されています。
3.介護報酬の度重なる改定
介護報酬はこれまでに、平成24・26・27・29・30・令和元年に改正が実施されています。令和元年の改正では、介護職員等特定処遇改善加算が設けられたり、栄養スクリーニング加算が削除されたりしています。
しかし、2024年の報酬改定では介護報酬だけではなく、医療、障害福祉サービスでも改定が行われます。2025年には団塊の世代の方が全て75歳以上になることもあり注目度も高い。物価高騰や人材確保の観点からも報酬改定では引き上げは避けられないと考えられています。
老人ホーム事業では、このような介護報酬の改定が度々実施されているため、対応しきれずにいる事業者は、経営への影響を危惧しています。
4.介護施設の増加による競争激化
老人ホームの事業は、平成18年に老人福祉法が改正されたことを受けて、事業運営で満たすべき規程が緩和されています。
定員数を10名以上とした規定がなくなり、提供サービスは食事のみから、食事の提供・介護支援・家事・ 健康管理のどれかを提供すればよいとされたため、老人ホーム事業に参入する法人が増加する傾向にあります。
また、日本では高齢化の進行は今後も加速すると予測されているため、将来性のある事業だと捉えた異業種の参入も増加傾向にあることから、入居者の確保で競争が起きています。
5.介護士の圧倒的な不足
厚生労働省が令和元年に公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、令和4年度の介護士は約215万人としていますが、令和8度末にはおよそ240万人、令和22年度末にはおよそ272万人の需要を求めている点から、介護士不足の状況が窺えます。
政府は処遇の改善などの施策を講じてはいますが、有効求人倍率の高さが示している通り、介護人材の確保が事業運営での課題に挙げています。
出典:厚生労働省/第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
6.倒産を選ぶ経営者も増加傾向
競争の高まりを受けて、既存の事業者のなかには、悪い立地・高い入居費用・居室内での死亡などを要因として、入居者が定員に満たない老人ホームが存在します。
以前は競争相手が少なかったことで、高い入居率を維持できていましたが、規制の緩和と事業の将来性により、新規に老人ホーム事業を始める法人が増加したため、良い条件を掲げる事業者に入居者を奪われて、倒産を選ぶ事業者が増えています。
株式会社東京商工リサーチが公表する2019年の「老人福祉・介護事業」倒産状況では、老人ホームの倒産件数を11件としています。
2010~2015年までの平均がおよそ4.7件で、2016~2019年までの倒産件数が平均で10.5件のため、倒産を選ぶ事業者の増加が見て取れます。
出典:株式会社東京商工リサーチ/2019年「老人福祉・介護事業」倒産状況
老人ホームのM&A動向
老人ホーム業では、同業によるM&Aの増加と異業種の参入が見られ、人材不足の解消や、事業規模・エリアの拡大を理由に、事業者のM&Aを行っています。
1.同業種によるM&Aの増加
老人ホームの1つに分類される介護付老人ホームには、都道府県が受け入れる施設の数に制限が設けられています(平成18年に実施された介護保険法の改正)。
制限なく老人ホームの設置を認めてしまうと、市町村が負担する保険料が増加することで、介護保険制度が成り立たなくなるため、老人ホームの事業者の意思だけでは施設の数を増やせない状況にあります。
運営する施設の数を現在よりも増やすには、許可が下りるのを待つよりも、認可されている同業者をM&Aで買収する方が手っ取り早いため、同業者に対するM&Aが増加傾向にあります。
2.異業種からもM&Aにて参入
老人ホーム業は、介護報酬の改定や、介護給付費の抑制などの問題を抱えているものの、2025年には介護給付費が21兆円ほどにまで達するとの試算を打ち出しているため、市場の成長を見越して、介護事業に携わってこなかった業種もM&Aで参入を果たします。
3.人材不足解消を目的としたM&A
老人ホームで働く人材は、労働環境の悪さから、有効求人倍率が高く、人をあつめにくい業種といえます。
募集をかけても必要な人材があつまらないことから、新たに介護事業に参入する買い手は既存の老人ホームを人材ごと買収して、不足する人材を確保しています。
売り手には、人材不足で事業が続けられなくなる例が見られるため、豊富な人材を抱える大手へのM&Aで、不足する人材を供給してもらい、事業の継続を図っています。
4.事業規模・エリア拡大を目的としたM&A
老人ホームの事業は総量規制が設けられていることから、新規での施設運営には、都道府県知事の許可を得なければ、事業の拡大が望めません。
許可が下りたとしても、事業運営の開始までに時間を要することから、迅速な事業規模とエリアの拡大を図るために、既存の老人ホームをM&Aで取得しています。
老人ホーム業界でのM&Aのメリット
老人ホームのM&Aでは、具体的にどういった利益が得られるのでしょうか。取引の当事者に加えて、関係者である従業員と施設を利用している入居者も、M&Aの実施で利益を得られます。
売り手の利点は後継者問題や経営の安定などで、買い手の利点は許認可の取得やスケールメリットの享受などが挙げられますし、従業員には待遇の改善やキャリアアップなどの利点があり、入居者には提供サービスの向上などの利点があります。
売り手のメリット
老人ホームの売り手が享受できる利点は、後継者問題の解決をはじめ、経営の安定化・容易な人材確保・個人保証と担保の解消・売却益の獲得です。
後継者問題の解決
親族や会社の関係者のなかに、老人ホームの経営を引き継ぐ人物がいなくても、M&Aなら社外の人物に経営を任せられます。
後継者が決まっていても、経営者の体調悪化・死亡などが起これば、育成が間に合っていない状態で、引き継ぎを進めてしまい、承継後の経営状態を悪化させかねません。
しかし、M&Aなら他事業・同事業での経営経験を持つ相手に経営を引き継げるため、承継後も施設の運営継続が見込めます。
大手グループの力で経営安定
老人ホームをはじめとした介護事業を営む大手の傘下に入ると、豊富な資金・経営ノウハウ・事業ブランドなどの経営資源が供給されるため、資金繰りに困っている・自社のみでの事業展開には限界があるなどの売り手は、M&Aによって経営の安定化が望めます。
大手グループの力で従業員確保がしやすくなる
自社よりも大きな会社は、多くの人材を抱えている可能性があります。そのため、大手グループの傘下に入れば、グループ内で抱えている人材から、自社への派遣を求めることも可能です。
これなら、自力で人材を確保する負担を軽減できるため、介護士などの職員の確保が容易に行えます。
個人保証・担保の解消
老人ホームをM&Aでは、買い手に売り手経営者の個人保証・担保を肩代わりしてもらえれば、個人保証・担保の解消は可能です。金融機関から承諾を得る必要があるものの、買い手は売り手に比べて信用力が上回るケースが多いため、承諾は得られやすいといえます。
売却益を獲得
老人ホーム会社の株を譲り渡すと経営者(株主)が譲渡益を手にできますし、事業関連の資産などを譲ると、会社に譲渡益が入ります。
新しい会社の設立・経営からの引退を考えるなら、経営者が対価を得られる株式譲渡をおすすめしまし、他事業に注力するなら、会社が対価を獲得する事業譲渡がおすすめです。
買い手のメリット
老人ホームの買い手が得られる利点は、許可の取得をはじめ、規模・エリアの拡大や、スケールメリット・人材・自社にはない介護サービスの獲得などが挙げられます。
認可取得ができる
老人ホーム会社の株式を取得して、経営権を得られれば、施設の運営許可を承継できます。これなら、総量規制による申請を待たなくても、即座に事業を始められるため、許可を申請する手間と時間を省けます。
規模・エリアの拡大
老人ホームなどの介護事業には、介護給付費を抑制するために、総量規制が設けられているため、新たに施設を建てたとしても、申請が通るまでに時間を要したり、申請が通らなかったりします。
しかし、M&A(株式譲渡)で対象会社を買収すれば、許可を引き継げるため、総量規制による申請を経ずに、老人ホーム事業の規模を大きくしたり、別エリアへ事業を広げられたりします。
スケールメリットの獲得
老人ホームをM&Aで買い取ると事業の規模が大きくなるため、食品・物品の購入費用の低下や、業務の効率化、提供サービス・知名度の向上などが図れます。
老人ホームをはじめとした介護事業は、スケールメリットの効果が現れやすい業種とされているため、買収する対象を同業者に据えると、メリットの獲得が望めます。
介護人材の獲得
M&Aを活用すれば、老人ホーム事業・会社の買収により、抱えている人材の確保が可能です。株式譲渡であれば雇用をそのまま引き継げますし、事業譲渡であっても社員との再契約により雇用を継続させられます。
新しい介護サービスの獲得
医療機関や介護保険施設の運営を行っている事業者が、老人ホームを買収すれば、新たな介護サービスの獲得で事業の幅を広げられます。さらに、既存事業との兼ね合いから、利用者の囲い込みが可能です。
老人ホームの入所者に対する健康診断を自社の医療機関で賄い、入所者にリハビリ・療養・体または心の障害が生じた場合には介護保険施設への入所を勧められるため、既存事業との相乗効果も狙えます。
スムーズな立ち上げ・新規参入が可能
運営している老人ホームの事業・会社を買収するため、一から事業を立ち上げる必要がありません。事業を始めるまでの準備期間がいらないため、買収してから時間を置かずに事業を始められます。
もちろん、売り手が備える運営のノウハウなどを利用できるため、異業種による参入も可能です。
従業員のメリット
老人ホームの社員への利点には、キャリアップ・買い手の教育制度の利用・処遇の改善が挙げられます。
キャリアアップに繋がる
M&Aでは、概ね雇用先の会社よりも事業規模の大きな会社が買収を行うため、M&Aで所属する老人ホームが買い手の傘下に入れば、買い手による面談で、新たな仕事・役職を任される例も散見されます。
つまり、既存の会社では評価されていなかった能力を認めてもらえれば、キャリアアップが望めるため、M&Aの実施は社員にも利益のある行為といえます。
大手グループの教育制度が利用可能
事業規模の大きな会社が買い手となれば、雇用先の売り手がM&Aで傘下に入ることで、買い手の支援制度を活用できます。買い手が介護福祉士などの資格取得を支援していれば、介護職員を束ねる役職や、施設を取り仕切る施設長へのステップアップも可能です。
雇用や処遇の維持・改善
買い手は老人ホームの事業を続けること目的にM&Aを行うため、既存の雇用条件が維持される可能性が高いといえます。
また、買い手の会社が所属する会社よりも規模が大きかったり、事業譲渡で雇用の再契約を行ったりすると、M&A後には雇用・処遇が改善される例も散見されます。
利用者のメリット
老人ホームのM&Aに見られる利点は、M&Aの当事者と売り手の社員だけではありません。入居する高齢者にも、サービスの質が高まる・利用価格の変更という利点が挙げられます。
サービス向上の可能性
M&Aで事業規模が大きくなれば、業務の効率化や、出費の削減、必要人員の確保などを果たせるため、行き届いた支援・新たな設備の購入などが実施されるため、入居者に提供される介護支援などの質を高める可能性があります。
価格改定の可能性
買い手がM&Aの実施でスケールメリットを得られると、業務効率の改善や、入居率の上昇、物品の購入費削減などを果たせます。
得られたスケールメリットを入居費用などに反映させるために、入居契約に明記された価格改定を実施すれば、以前よりも抑えた価格に変更される可能性があります。
老人ホーム業界のM&A手法(スキーム)
老人ホームの事業・事業会社をM&Aで買い取る際には、株式の取得で会社自体を買い取る株式譲渡と、老人ホームの事業に関する資産などを譲り受けによる方法の事業譲渡が用意されています。
株式譲渡
老人ホームの事業を営む会社の株式を買い取って、経営する権限を取得するのが株式譲渡です。株主の構成が変わるだけの取引のため、事業運営に必要な許可も引き継がれます。
ただし、売り手が介護保険法に反していると欠格事由に当てはまり、買い手は指定取り消しの期間があけるまでは、老人ホームの運営を始められないため、M&A実行の前には徹底した調査が求められます。
事業譲渡
老人ホームの運営に関係する資産などを譲り受けるのが事業譲渡です。引き継ぐ対象を選べる方法のため、負債や不要な資産、並行して行う別事業などの引き継ぎを回避できます。
とはいえ、老人ホームの許可は引き継がれないため、買い手には事業を譲り受けてからの申請が必須です。また、社員の雇用なども買い手による再契約が求められるため、必ずしも売り手が抱える社員の雇用を引き継げるとはいえません。
以上のことから、老人ホームをM&Aで買い取る際には、2つの買収方法に見られる特徴を把握した上で、目的を遂げられる方法を選ぶことが重要です。
老人ホーム業界のM&A売却相場
大まかな売却相場
老人ホーム業界に限らず、M&Aの場合は最終的な取引価額を交渉によって決定し、価額交渉時は後述する企業価値をベースに行います。企業価値の算出方法は複数あり、なかには専門的な知識が必要な方法もあるので、算出は専門家に依頼したほうが安心です。
ですが、大まかな売却相場であれば簡単な計算で求めることができ、中小規模事業者の場合は「時価総額+営業利益×2~5年」をひとつの目安と考えることができます。
企業価値評価の方法
前述したように、企業価値の算出方法は複数あり、それぞれ違った特徴があるので自社に合ったものを選ぶことがポイントです。算出方法は大きく以下の3つに分類されます。
- コストアプローチ・・貸借対照表の純資産額をもとに企業価値を評価
- マーケットアプローチ・・類似する上場企業の時価総額や過去のM&A事例から企業価値を評価
- インカムアプローチ・・将来見込まれる収益性や配当予測から企業価値を評価
コストアプローチは、貸借対照表の数字を使用するため客観性の高い評価が得られる点が特徴です。その反面、企業の将来性や固有性質は評価に反映されないというデメリットも持ち合わせています。
マーケットアプローチは株式市場の数字から企業価値を評価するため、客観性が高く市場トレンドも反映される点が大きな特徴です。しかし、類似企業の選定基準には恣意性が入りやすく、中小事業者の場合は類似する企業がみつからないこともあります。
インカムアプローチは将来の収益予測が企業価値に反映される点が大きなメリットですが、将来の収益予測は事業計画書などを基に行うため、客観性に乏しいという面もあります。
売却価格の変動要素
M&Aの売却価額は、営業利益・市場シェア・事業の成長性などによっても変わります。また、ノウハウ・従業員などの無形資産や、老人ホームの立地や入居率なども売却価額が変動する要素です。
買い手側はこれらを総合的に評価して買収価額を決定するため、売り手側はM&A交渉へ入る前に自社の経営状況や強みをしっかり確認しておくとともに、不要な固定費などがないかを見直しておくとよいでしょう。
老人ホームをM&Aで売却する流れ
老人ホームのM&Aは、おおむね以下の流れで進みます。ここではM&Aの流れとポイントを売却側の立場からみていきましょう。
M&Aの専門家への相談
M&Aは通常業務と並行して進めていかなければならないため、支障をきたさないためにも専門家の相談から始めるのがおすすめです。
M&A仲介会社などの専門家に相談すると計画的に進めることができ、効率的に希望条件に合った相手先探しを行うことが可能です。
相談する前にM&Aを行う目的を明確にしておくと、以降の工程を進めやすくなります。
M&Aのご相談はM&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください
老人ホームのM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国に案件に対応しています。
知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。
M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webよりどうぞお気軽にお問い合わせください。
売却先の選定
M&A仲介会社にサポートを依頼すると決めたら、アドバイザリー契約を交わし相手先企業を探していきます。
希望条件を担当者へ伝えれば条件に合った企業をいくつか紹介してもらえるので、交渉したい相手先を絞り込みます。
交渉先を決める際は、M&Aを行う目的を念頭におき、M&A後のビジョンなどを描きつつ絞り込んでいくとよいでしょう。
M&A仲介会社を介し交渉したい相手へ打診を行い、相手企業もM&Aに前向きであれば交渉へと進みます。
秘密保持契約の締結
相手先と具体的な交渉を進めていくには、相手先へ自社に関する詳細な情報の開示が必要です。開示情報のなかには財務やノウハウ・技術といった秘密事項も含まれます。そのため情報漏洩を防ぐ目的で「秘密保持契約書」を締結します。
秘密保持契約は、売却側・買収側とで直接交わすもしくは、M&A仲介会社を介して間接的に交わしますが、どちらの場合も開示範囲の決定を適切に行うことが重要です。
M&Aでは非常に多くの秘密情報を互いに開示するため、どこまで定義するかを慎重に決定する必要があるでしょう。
トップ面談・条件交渉
トップ面談では、売却側・買収側の経営者が直接顔を合わせ、互いの意思や人柄、経営理念などをお互い確認します。
トップ面談は金額交渉などは行わず、書面で伝わりづらい部分の確認や信頼関係構築が主な目的です。
その後、双方がM&A成立に向け前向きな姿勢であば、より具体的な条件を交渉していきます。
基本合意の締結
M&Aの使用スキーム・価額・条件など今までの交渉内容に互いが大筋で合意したものを書面にまとめた「基本合意契約」を締結します。
基本合意書はあくまでも現段階で合意した内容を明確にしたもので、それ自体に法的拘束力はありません。M&A成立を確約するものではないことに注意が必要です。
基本合意書自体に法的拘束力はありません。しかし通常、秘密保持・独占交渉権・デューデリジェンスへの協力義務など一部条項については法的拘束力を持たせます。
デューデリジェンスの実施
基本合意締結後、デューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは買収側からの依頼により対象企業を財務・法務・人事・ITなどの面から調査することです。
デューデリジェンスによって、売却側が抱えているリスクや潜在リスク確認し、買収しても問題はないか価額は妥当であるかなどを検討します。
費用負担は買収側企業ですが、売却側は資料の提出など協力を求められた場合は誠実に対応することが大切です。
最終交渉と最終契約の締結
買収側がデューデリジェンスの結果からM&A実行を判断したら最終交渉を行い、細かな条件を決定します。
最終交渉ではデューデリジェンスの結果を踏まえて条件や価額の変更がなされるケースもあります。また、非常に大きなリスクや問題が発覚した場合、M&A取引が中止されるケースもあることを念頭においておきましょう。
最終交渉で取り決めた内容に互いが合意したら、最終契約を締結すればM&Aが成立します。
最終契約はそのすべてに法的拘束力があります。締結後に一方的に破棄や違反をすれば損害賠償請求の対象となるため、締結前によく内容を確認しておくことが重要です。
クロージング
クロージングでは、最終契約書で取り決めた内容に沿って、対価の支払いや株式の交付や株主名簿の名義書き換えなどを行います。
M&Aスキームによって必要手続きが変わります。M&A仲介会社と相談しながら抜けや漏れのないよう慎重に進めることが重要です。
なお、クロージング日は「クロージング条件」を満たしている必要があるため、一般的に最終契約締結から一定の準備期間として設けます。
クロージングが終わればM&A手続きは完了です。その後は、統合後の事業運営がスムーズに進むようPMIを行います。
老人ホームのM&Aでの注意点
情報漏えい
M&Aを行ううえで、情報漏えいは最も注意すべき事項です。もし、M&Aで開示する情報には自社の秘密情報が多く含まれます。また、売り手側にとっては売却を予定しているという事実がM&A成立前に外部に漏れれば、従業員の離職や取引先との関係悪化などを招きかねません。
企業価値を大きく損なう可能性もあるため、情報漏えいには十分注意するとともに、情報開示が必要な場合は必ず秘密保持契約を締結することが重要です。また、M&Aの検討段階や交渉段階で従業員やサービス利用者へ情報が漏えいしないよう、M&Aの情報を共有する範囲は最低限にとどめておく必要があります。
従業員の離職予防
老人ホームM&Aの買い手側は、売り手側の従業員を引き継ぐことを前提としているケースも多いです。特に、有資格者や経験のある従業員を継続雇用できるかは重要なポイントであることが多いため、売り手側はM&Aに伴い従業員が離職しないよう事前に対策しておく必要があります。
従業員にとってM&Aは少なからず不安のある事柄なので、M&A後の雇用条件はどうなるのか、運営体制や方針はどう変わるのかなどを定年に説明し理解を求めることが重要です。
利用者との関係維持
サービス利用者からみればM&A後は施設運営元が変わるため、これまでと同様のサービスが受けられるのかと不安を招く可能性があります。
売り手側企業・買い手側企業はサービス利用者とその家族に対して、これまで通りのサービスを提供すること、質や内容に変更がないあるいは今後向上することを説明し保証することが重要です。
また、M&Aに伴い変更が生じる点があれば、その内容をサービス利用者とその家族に対し説明し、必要な情報は提供しなければなりません。
法規制のチェック
老人ホームのM&Aを行う場合、介護保険法などの法規制が遵守されているかを事前に確認しておくことが重要です。そのほか、従業員の雇用条件や長期サービス契約の内容確認など、現在の契約条件がM&A後の事業問題がないのかという点も確認しておく必要があります。
介護保険法の違反がないか、介護サービス事業者としての許認可や資格、雇用やサービスなど契約条件の確認など、必要事項をしっかり確認しておくことがポイントです。
老人ホーム業界のM&A事例15選【2024年最新版】
スケールメリットの獲得を目的にした老人ホームの事業・事業会社に対するM&Aの事例では、以前から介護事業を行っていた企業に加えて、新規参入を果たした企業が買い手となり、老人ホームの事業・事業会社を買い取っています。
チャーム・ケア・コーポレーションがケア21の有料老人ホーム事業を一部譲受
2024年7月、チャーム・ケア・コーポレーションはケア21が手掛ける有料老人ホーム事業の一部を譲受すると発表しました。
チャーム・ケア・コーポレーションは、介護付有料老人ホームおよび住宅型有料老人ホームを、東京・神奈川・京都・兵庫・大阪・奈良で運営しています。一方のケア21は、首都圏エリアと近畿エリアで介護付有料老人ホーム・グループホーム・訪問介護事業などを行う企業です。
現在、チャーム・ケア・コーポレーションは、新たな老人ホームや事業エリアの獲得を目的にM&Aを積極的に行っており、ケア21の運営する老人ホームはグループのブランドに合っていることや、ケア21の運営している複数ホームが自グループの展開エリア内に所在するためシナジーが発揮できると判断し今回のM&Aに至りました。
参考:株式会社ケア 21 からの事業譲受に関するお知らせ
揚工舎によるヒューマンライフケアからの一部譲受
2023年9月、揚工舎はヒューマンライフケア有料老人ホーム事業及び小規模多機能型居宅介護事業の一部を譲り受けることを決議したと発表しました。
揚工舎は有料老人ホーム、デイサービス、居宅介護支援、訪問介護などの介護サービス事業や介護資格取得の教育事業に加え、介護人材の紹介・派遣事業の充実と拡大に取り組んでいます。
ヒューマンライフケアが運営する有料老人ホーム「鳩ケ谷の郷」は、2010 年に開設され、併設の小規模多機能型居宅介護「鳩ケ谷の宿」とともに良質なサービスを提供しています。
揚工舎は今後、首都圏に事業拠点を増やしていく戦略に合致し、同社の有料老人ホーム事業および小規模多機能型居宅介護事業を譲り受けることを決めました。
参考:事業の一部譲受
QLSホールディングスによる和みの子会社化
2023年8月、QLSホールディングスは和み及びふれあいタウンの全株式を取得し、子会社化することを発表しました。
QLSホールディングスは現在は主に保育事業を展開していますが、今後は介護福祉事業と人材派遣事業を保育事業以上に拡大し、保育事業に依存せず強い経営体制を構築することを戦略としています。
和みは介護サービス事業を、ふれあいタウンは介護・障害福祉サービス事業を行う会社です。
今回のM&AによりQLSホールディングスは、介護付き有料老人ホームや通所介護(デイサービス)など新たなサービスを広げるとしています。
参考:株式取得(子会社の取得)
揚工舎によるトータルケア陽だまりの子会社化
2023年5月、揚工舎はトータルケア陽だまりの発行済全株式を取得し100%子会社化することを発表しました。
揚工舎は有料老人ホーム、デイサービス、居宅介護支援、訪問介護などの介護サービス事業や介護資格取得の教育事業に加え、介護人材の紹介・派遣事業の充実と拡大に取り組んでいます。
トータルケア陽だまりは神奈川南足柄市で住宅型有料老人ホーム事業や小田原市でサービス付き高齢者向け住宅などを展開し、質の高い介護サービスを提供しています。
揚工舎は首都圏中心の業容拡大戦略に合致するため、同社の全株式を譲り受けたとしています。
参考:トータルケア陽だまりの株式取得(子会社化)
ウェルビーによるナオンの完全子会社化
2022年12月、ウェルビーはナオンの株式を取得し、子会社化することを発表しました。
ウェルビーは主に就労移行支援事業、児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業を展開する療育事業を全国に展開しています。
ナオンは福岡県と佐賀県に合わせて5つの介護事業所を運営する「有料老人ホームうりずん」および、孫会社である有限会社クロヤマは福岡県に「有料老人ホームむつみ」を含む3つの介護事業所を運営しています。
今回のM&Aによりウェルビーは有料老人ホームを中心に介護業界参入をしていくとしています。
参考:株式取得(子会社化及び孫会社化)
株式会社ワイグッドケアのM&A
埼玉県などで有料老人ホーム事業を行う株式会社ワイグッドケアは、2020年の8月に、栃木県にある3つの有料老人ホーム施設を事業譲渡で譲り受ける契約を結びました。
株式会社ワイグッドケアは、栃木県内の老人ホームの施設が不足している現状から、M&Aで事業を譲り受けることで、スケールメリットの獲得を図り、提供サービスの質を高めるとしています。
綜合警備保障株式会社のM&A
個人・法人向けにセキュリティサービスなどを提供する綜合警備保障株式会社は、2020年の4月に、株式会社らいふホールディングスの株式をすべて取得し、子会社としました。
対象会社は、有料老人ホームなどの介護事業会社を束ねる持株会社です。介護事業では、有料老人ホームの運営のほか、訪問・通所介護などを行い、首都圏にある47の施設で、2,000を上回る部屋を用意しています。
綜合警備保障株式会社は、警備事業を主力としつつも、関連する高齢者向けの介護事業へも事業の幅を広げています。介護事業会社を傘下に収める持株会社を買収することで、事業領域の拡大を進められると判断し、対象会社へのM&Aを実施しています。
参考:らいふホールディングスの株式取得
株式会社ソラストのM&A
医療機関の向けの支援・保育・介護事業などを行う株式会社ソラストは、2020年の3月に、有料老人ホームなどの介護事業を行う株式会社恵の会と有限会社恵の会の株式をすべて取得し子会社としました。
株式会社ソラストは、2030年までに、すべての事業エリアに、有料老人ホームなどの各種介護施設を1つ以上設置する目標を掲げています。
M&Aの対象である株式会社恵の会と有限会社恵の会は、大分エリアで高齢者向けの介護施設を26も抱えており、有料老人ホーム・サービス付きの高齢者向け住宅・デイサービスは、大分県で上位の運営規模を誇っています。
参考:恵の会の株式の取得(子会社化)
株式会社ソラストは、M&Aの実施により、対象地域でのエリア拡大とサービスの向上を図る方針です。
株式会社揚工舎のM&A(事業譲渡)
有料老人ホームを含む介護事業や、介護用品のレンタル・販売を行う株式会社揚工舎は、2019年の7月に、有限会社アカネケアコンサルトから有料老人ホームの事業を買収しました。
株式会社揚工舎は有料老人ホーム事業のグループ入りにより、東京近辺での事業拡大を叶えられるとして、東京都の小平市に施設を構える対象事業をM&Aで譲り受けています。
参考:事業の一部譲受
事例⑤ 株式会社揚工舎のM&A(株式譲渡)
有料老人ホームを含む介護事業や、介護用品のレンタル・販売を行う株式会社揚工舎は、2019年の5月に、介護付の有料老人ホーム事業を行う株式会社光風苑の株式をすべて取得し子会社化しました。
株式会社揚工舎は、有料老人ホーム事業を傘下に加えることで、事業の拡大と間接業務の効率化を図る方針です。
参考:光風苑の株式の取得(子会社化)
株式会社サン・ライフによるM&A
ブライダル・葬儀・法要などの事業を行う株式会社サン・ライフは、グループ会社・株式会社クローバーを介して、2018年の3月に、株式会社ノーマライズが営んでいる住宅型の有料老人ホームを事業譲渡で買い取りました。
対象会社が保有する施設は神奈川県の厚木市にあり、全70室、定員70名で、有料老人ホームを営んでいます。株式会社サン・ライフは対象の施設をM&Aで譲り受けることで、介護事業の拡大を進める方針です。
センコーグループホールディングス株式会社のM&A
物流・商事・ライフサポート事業などを行うセンコーグループホールディングス株式会社は、2017年の9月に、フィットネス事業を行う株式会社ブルーアースのほか、関連会社2社(接骨院・有料老人ホームの運営会社)の株式をすべて取得し子会社に加えました。
センコーグループホールディングス株式会社は、幅広い年代に向けたライフサポートを実施するために、介護の分野に事業領域を広げるべく、M&Aでの買収を決めています。
参考:ブルーアースをグループ化
ソニー・ライフケア株式会社のM&A
介護事業会社を束ねるソニー・ライフケア株式会社は、2017年の7月に、新株予約権を付けた社債の行使に加え、株式会社ゆうあいホールディングスの株式をすべて取得して、子会社としました。
ソニー・ライフケア株式会社は、M&Aの実行により、株式会社ゆうあいホールディングスの傘下にある、介護付きの有料老人ホームの運営会社も自社グループに加えています。
自社グループの経営資源を活かして、取得した有料老人ホーム事業で提供するサービスをより一層高めるとしています。
参考:ゆうあいホールディングスの完全子会社化
株式会社京進のM&A
学習塾・英会話・保育事業などを行う株式会社京進は、2017年の6月に、有料老人ホームをはじめとした介護事業を行うシンセリティグループ株式会社の株式をすべて取得し、子会社としました。
M&Aの手順は、シンセリティグループ株式会社が自社の代表取締役が保有する4社の株式を取得した後、株式会社京進がシンセリティグループ株式会社の株式を買い取る形で進められています。
株式会社京進は、社会への貢献を考えて、介護事業領域への進出を図るために、対象会社を傘下に収めました。買収により両社が備えているノウハウを融合させて、介護事業での新たなサービス提供を図る方針です。
関西電力株式会社のM&A
エネルギー・送配電事業などを行う関西電力株式会社は、2017年の4月に、有料老人ホーム・在宅介護事業を行う京阪ライフサポート株式会社の全株式を、京阪ホールディングス株式会社から取得し、自社グループに加えました。
関西電力株式会社は、高齢者向けのサービスが高まっている現状から、介護事業にも進出しているため、今回のM&Aにより、介護事業の強化を図るとしています。
参考:京阪ライフサポート株式会社の全株式取得
老人ホーム業界のM&Aについての相談先
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老人ホーム業界のM&Aのまとめ
入所する高齢者に介護などの支援を提供する老人ホーム業は、介護報酬の改定や、介護士の不足、競争の激化などの問題を抱えているため、事業を継続できない事業者はスケールメリットの獲得などを目的とする買い手への譲渡を選んでいます。
【老人ホーム業界が抱える課題】
- 要介護の対象となる高齢者が増加
- 介護給付費をいかに抑制するか
- 介護報酬の度重なる改定
- 介護施設の増加による競争激化
- 介護士の圧倒的な不足
- 倒産を選ぶ経営者も増加傾向
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