M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年7月2日更新業種別M&A
リース・レンタル業界の動向とM&Aのメリット!流れや注意点と売却・買収事例15選を解説【2024年最新】
リース・レンタル業界では、主要企業が積極的にM&Aを活用するケースが目立ち、M&Aで事業の強化・拡大を図ることやサービス体制・機能の強化、事業エリア拡大などを実現しています。本記事では、各業界の特徴や動向、費用の相場などを解説します。
目次
リース・レンタル業界の概要
近年、さまざまな業界でM&Aの増加が目立ちますが、リース・レンタル業界も例外ではなく、事業拡大やサービス体制の強化などを目的にM&Aが行われている状況です。
また、海外事業における強化・拡大のため、海外企業とのM&Aを進めるケースも見られます。こうしたリース・レンタル業界のM&A動向をおさえるにあたり、まずはリース・レンタルについて見ていきましょう。
リース業界とは
リースとは、企業などに設備・機械を長期間貸すことです。具体的には、企業などが必要とする設備・機械をリース会社が代わりに購入して企業に貸し出し、リースの契約期間中は企業が毎月定額の料金を支払って設備や機会を長期的に使用できます。
つまり、企業は設備・機械を購入することなく、毎月発生する定額の料金だけで一定期間の設備投資ができるメリットがあります。設備・機械の初期費用を大きく抑えられるので、資金の柔軟な運用も可能です。
レンタル業界とは
レンタルとは、企業などに設備・機械を短期間貸すことをいいます。基本的な仕組みはリースとあまり変わりませんが、企業は必要なときに必要な期間だけ設備・機械を使用できるため、費用を抑えられるメリットがあるのです。
リースとレンタルの違いは
リースとレンタルの比較 | ||
リース | レンタル | |
契約期間 | 中長期 | 短期(最短1日) |
対象物件 | 利用者のニーズに合わせて リース会社が購入して賃借 |
リース会社が購入した在庫から賃借 |
中途解約 | 原則不可 | 可能 |
料金体系 | 物件の金額×リースの料率 | 一定料金(日額・月額など) |
リースとレンタルの大きな違いは、設備・機械を貸し出す期間です。前述のとおり、リースは1年や5年など長期間貸し出すのに対し、レンタルは数日や数ヶ月など短期間のみ貸し出します。
また、リースは基本的に一つの企業が一つの設備・機械を使用するのに対し、レンタルの場合は他の企業が使用していた設備・機械を使用することも十分にあり、不特定多数の利用者が一つの設備・機械を使用するのです。
貸し出す期間が違うことで設備・機械の扱いも変わるため、一つの設備・機械をある程度長期間使用したい場合はリースの方が良く、短期間ずつしか使用しない場合はレンタルの方が良いといえます。
ただ、リースは原則として中途解約ができないため、解約したい場合は残りのリース料を支払って解約する必要があり、レンタルは比較的長期間借りるとコストが高くなるデメリットもあるので、ケースに応じて選択しなければなりません。
いずれにしてもリースとレンタルは企業が必要とする設備・機械を貸す点は同じで、企業からの需要は高いです。
リース・レンタル業界の特徴
ここで、リース・レンタル業界の特徴を整理しておきましょう。先述しましたが、金融はその名にもあるとおり金融業界を構成する中枢ともいえ、リース業界も基本的には金融業界に含まれます。
特にファイナンス・リースの場合、企業が希望する設備・機械をリース会社が購入し、それを企業が使用する際に、帳簿上資産扱いになることから資金を借りて設備・機械を購入するケースとあまり変わりません。
帳簿上費用として取り扱うオペレーティング・リースもありますが、これは二次使用を想定する自動車などの機械に限られます。こういった設備・機械以外でさらに帳簿上資産扱いになれば、資金を借りて資産を購入するのと大きな違いはありません。
こうした側面もあることから、リース業界は金融業界に含まれるケースが一般的です。
レンタル業界も金融業界に含まれる
レンタル業界については諸説ありますが、企業が必要とする資産を貸し出す点においては少なくともリース業界と共通点があります。
そのリース業界が金融業界に含まれること、さらには「リース・レンタル事業」などとまとめて表現するケースもあることから、レンタル業界も金融業に含まれるといえるでしょう。
つまり、金融業界とは単に銀行などの金融機関や消費者金融などの貸金業者、保険会社、証券会社だけでなく、リース業界やレンタル業界も含めた大きな業界です。
金融・リース・レンタル業界の種類
リース取引には、主にファイナンス・リースとオペレーティング・リースがあり、以下の条件を満たすリースをファイナンス・リース、それ以外をオペレーティング・リースといいます。
- 途中解約が許されない、あるいは解約時に実質的に途中解約が選択不可能な契約
- 借り手の支払うリース料でリース物件の取得価格や諸経費などほぼ全額を賄う
ファイナンス・リース
ファイナンス・リースのビジネスモデルは、賃借対象(設備など)をリース会社が購入し、ニーズのある企業へ貸すというかたちです。
借り手企業がリース契約期間中に賃借対象(設備など)の価格を全額支払うことが前提となっており、契約満期に全額の支払いが完了すれば賃借対象(設備など)は借り手企業が引き続き所有することができます。
ファイナンス・リースは資本金が少ない企業やスタートアップなど、設備投資に資金を割けないケースなどで活用されるケースが多く、支出を大きく抑えられる点がメリットです。
また、ファイナンス・リースには、所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースがあり、どちらもリース物件から見込める経済的利益は借り手企業が実質的に享受します。
リース物件は、契約期間終了時点で耐用年数のほとんどを経過するので、他社へリースしたり市場で売却したりできず、リース会社にとって利用する価値はほぼありません。
オペレーティング・リース
オペレーティング・リースは、借り手企業がリース期間満了後に賃借対象(設備など)を中古販売する前提となっており、借り手企業が価格の全額を支払うことはありません。
リース契約満了後の中古販売が前提となっているため、契約前にリース契約満了後の中古価格を第三者が介入して評価するケースが一般的です。リース料金はその評価額から設定することが可能なため、借り手企業にとってはファイナンス・リースよりも支払いを抑えられるメリットがあります。
オペレーティング・リースは、ファイナンス・リースより契約期間が短く、借り手は借りている期間に対応するコストを負担して利益を享受し、それ以外のコスト・価値はリース会社が持つので、レンタルに似た取引です。
リース取引の会計
現状の日本会計基準では、原則として、
- ファイナンス・リース:売買取引処理
- オペレーティング・リース:賃貸借処理
もし、リース資産またはリース料が軽微だったりリース期間が短かったりするケース、借り手が中小企業であるケースは所有権移転外ファイナンス・リースも賃貸借取引としての形状が可能です。
売買取引となる場合はリース資産および債務の計上が必要であり、リース取引は貸借対照表の計上対象になります。対して、賃貸借取引となる場合は、リース料を支払った日ごとに費用計上すればよく、貸借対照表の形状対象とはなりません。
リース取引のメリット
ここでは、リース利用企業とメーカー・販売企業に分けて、リース取引のメリットをみていきましょう。まず、リース利用企業のメリットとしては以下の点が挙げられます。
- 設備などの導入に多くの資金の準備が要らない
- 減価償却費の平準化
- 調達力に余裕が生じる
- オフバランス化で収益性指標向上・資産価格変動リスクの低減が見込める
- 事務管理の省力化
また、メーカー・販売企業におけるリース取引の主なメリットとしては以下のものがあります。
- 販売時における与信リスクの軽減
- 販売方法を多様化して売上促進・新規顧客開拓を図れる
- リース契約期間に合わせた計画的な販売活動が実施できる
リース・レンタル業界の動向
ここでは、リース・レンタル業界の主な動向を解説します。なお、リース業界やレンタル業界も金融業界に含まれますが、各業界の特徴が違うこともあるため、各業界に分けてみていきましょう。
リース・レンタル業界の市場規模
経済産業省の調査によれば、2023年におけるリース・レンタル業界の売上高は約5兆2727億円(2023年の速報値合計)であり、内訳はリース業が約3兆3883億円、レンタル業が約1兆8844億円となりました。
前年が約4兆3106億円から約22%の増加となっており、その背景にはアフターコロナによる経済再開で国内の設備投資額が回復しつつあることや、インフラ新設・補修工事など公共投資のニーズが高まったことなどが考えられます。
参考:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」
リース業界の動向
リース業界では最大手となる独立系のオリックス、銀行・商社系の三菱UFJリース、三井住友ファイナンス&リース、東京センチュリーなどが活躍していますが、近年は金融危機の影響などもありリースの需要低下が見られます。
リース業界は企業の設備投資意欲に大きく左右されるため、景気や各業界の動向が大きく影響して業界の規模は減少傾向です。
リース取扱高・比率の減少
リース業は1960年代からバブル期に急成長しました。しかし、2008年の会計基準変更とリーマンショックの影響で、取扱高が大きく下がっています。
会計基準が変更し、オフバランスの対象となるリース取引が制限は、リース業界への大打撃でした。リーマンショック後の低金利状況は借入による購入を促す要因となり、これもリース利用の減少につながったと考えられます。
その後も、リース取扱高は伸び悩んでおり、企業の設備投資へのリースの割合は減少傾向です。
全リース取引オンバランス化の動向
2019年から、国際会計基準では、オペレーティング・リースを含むすべてのリース取引は、オンバランス処理となっています。日本企業は国際会計基準を用いるため、すでに適用している状況です。
ただし、日本の会計基準を国際会計基準へ合わせるよう改訂が行われる流れであり、リース会計でも改訂の議論が進められています。会計基準改訂で、リースのオフバランス処理がより制限あるいは撤廃されると、リース業界への影響は大きくなるでしょう。
サブスクリプション型サービスとの競合
使う分だけサービスとして提供を受けて使う、といったサブスクリプション型が、主にソフトウェア関係で拡がっています。
クラウド上のサブスクリプション型ソフトウェア(SaaS)は、オーダーメイドのシステムやパッケージ販売のソフトウェアをサーバ上で運用するのと比較して導入コストが安い点がメリットであり、必要とする設備や機器のスリム化も可能です。
ソフトウェア関係以外でも、これからはサブスクリプション型サービスが拡がると考えられます。サステナビリティなどの点で、シェアリングエコノミーが注目され、シェアリングエコノミーの普及に伴いサブスクリプション型サービスの多様化も見込まれる状況です。
サブスクリプション型サービスやシェアリングエコノミーにより所有の数が減少すると、リース業にマイナスの影響となるでしょう。
レンタル業界の動向
リース業界の規模が減少傾向であるのに対し、レンタル業界の規模は増加傾向です。これは長期間契約で固定費が発生するリースよりも、必要なときだけ借りられるレンタルを利用する企業が増えていることが一つの要因と考えられます。
また、2022~2023年は建機レンタルで増加傾向がみられました。その主な要因は災害復旧や防災でのニーズ増加、インフラ新設・補修工事など公共投資のニーズが高まったことが挙げられます。
ただ、DVDなどのレンタルを主力とする企業では、インターネットによる動画配信が普及したこともあり近年は減少傾向です。
リース・レンタル業界のM&A動向
ここでは、リース・レンタル業界におけるM&Aや買収、売却、譲渡の動向について見ていきましょう。
同業者同士によるM&A
同業者同士によるM&Aでは、リース取扱高の増大や新規顧客開拓を目的として行われるケースが多くみられます。
特に多くみられるのは、総合リース会社が企業系リース会社・メーカー系リース会社・専門リース会社を買収するケースです。
近年は国内のリース市場が縮小しており、そのような状況下で生き残るべく事業基盤を強化・拡大したり、新規サービスを拡充したりする動きがみられます。
異業種によるM&A
異業種によるM&Aで多いのは、総合リース会社と金融機関グループとが行うケースです。総合リース会社が金融機関グループの傘下となるケースが多く、互いの強みを金融ソリューションという大枠のなかで活用し、事業拡大を図るケースなどがみられます。
リース・レンタル業界のM&Aのメリット
リース・レンタル業界のM&Aには、さまざまなメリットがあります。M&Aのメリットは譲渡側・譲受側で異なりますが、ここでは譲渡側の主なメリットをみていきましょう。
後継者不在の解消
国内の中小企業は後継者不在に悩むケースも少なくなく、近年は後継者不在率が改善傾向にあるとはいえ、後継者がいないために廃業を選択するケースもまだまだ多いです。
リース・レンタル業界も同様であり、黒字経営で顧客も多く保有している中小企業が後継者不在によって廃業を選択するケースもみられます。
廃業となれば積み上げてきた実績や信頼度、顧客などすべてが失われますが、M&Aを活用すれば第三者(他社)へ事業を引き継ぐことが可能です。M&Aは事業承継手段として活用できる方法であり、後継者候補がいない場合も事業を存続させることができます。
従業員の雇用先確保
経営者が何らかの理由で廃業を決断すれば、従業員を自社都合で解雇しなければなりません。また、取引先にとっても契約がなくなるため、廃業による影響は決して少なくありません。
M&Aであれば従業員の雇用を譲受側へ引き継ぐことができるため、雇用維持が実現できる点が大きなメリットです。
また、包括的に権利・義務を承継する手法(株式譲渡など)であれば、M&A後は雇用や契約が譲受側へ自動的に引き継がれるので、手続きの手間がかからない点もメリットといえるでしょう。
売却益の獲得
譲渡側は売却益が獲得できることも、M&Aを行う大きなメリットです。中小企業の場合、引退後の生活費を十分確保できていないという経営者もいるかもしれませんが、M&Aであれば売却益としてまとまった現金を得ることができます。
売却益を誰が受け取るかはM&A手法によって異なり、株式譲渡であれば株主(経営者)、事業譲渡であれば法人(企業)です。
事業譲渡を活用する場合は退職金などのかたちで経営者が現金を受け取ることが可能であり、引退後の生活費や新規事業の立ち上げ資金など自由に使うことができます。
個人保証の解消
リース・レンタル業界に限らず、中小企業が融資を受ける際は経営者が個人保証を負うケースがほとんどです。個人保証は仮に廃業を選択しても完済するまで追わなければならず、経営者にとって大きな負担となります。
また、経営者の子や親族に事業承継することを考えていても、個人保証の引継ぎがネックとなり計画が頓挫するケースも少なくありません。
M&Aであれば、株式譲渡であれば譲受側へ経営者の個人保証も引き継がれるかたちとなり、事業譲渡であれば売却益を返済に充てることができます。個人保証からの解消は、経営者にとってM&Aを行う大きなメリットのひとつです。
安定した経営基盤の獲得
中小企業の場合、どうしても資本力に限りがあるため、事業拡大が難しかったりリソースが十分割けなかったりすることもあるでしょう。
経営基盤の安定させて事業拡大を図りたいといった場合、M&Aを活用して大手企業の傘下に入るのも非常に有効です。
M&A後は譲受企業の経営方針に沿って事業運営を進めるため、経営の自由度が下がるというデメリットもありますが、経営基盤の安定を図れるため自社のさらなる成長につなげることができます。
リース・レンタル業界のM&A成功ポイント
M&Aを成功させるのは簡単なことではなく、目的や事前の準備などをしっかり行わなければ失敗する可能性が高くなるでしょう。ここでは、M&Aを成功させるポイントを売却側の視点から解説します。
自社の強みや弱みを把握する
譲渡側がM&Aを行う目的は、事業エリアの拡大・新規事業への参入・サービスの向上や拡充などです。そのため、目的に合った企業を相手先に選びますが、その際は譲渡側の事業エリア・事業内容・顧客・ブランド力などからシナジーが見込めるかを判断要素とします。
つまり、譲渡側は自社の把握して正しくアピールすることが、好条件でのM&A成立につながるということです。M&Aを行う前はまず自社の強みを客観的に分析し、どのような相手先であればシナジーが見込めるのかなどを十分検討する必要があります。
また、強みだけでなく弱みがどこにあるのかも把握しておくことが重要です。M&Aによって弱みが補完できれば、より大きなシナジーを見込むことも可能となるため、強み・弱みをしっかり分析しておく必要があります。
関連事業への売却も視野に入れる
M&Aは同業種間で行われるケースだけでなく、事業拡大やシナジー創出を狙って関連性の高い業種と行われるケースも多いです。
譲受側はM&Aを検討する際に、同業種だけでなく関連事業への売却も視野に入れると、より好条件でのM&Aにつながる可能性もあります。
はじめから業種を限定せず、どのようなシナジーが見込めるかという視点か相手先の業種を考えることも成功のポイントです。
専門性の強化
譲受側がM&Aを行う際は、自社の強みを強化したり弱みを補完したり、シナジー効果の発揮によって事業の成長を図ることが大きな目的です。
高い専門性を有する企業は譲受側からの評価が高くなりやすいため、よりよい条件でM&Aが成立する可能性が高くなります。そのため、譲渡側はM&Aを行う前に自社の強みや専門性を強化しておくことが重要です。
専門性の強化は「磨き上げ」のひとつであり、さまざまな方法があります。どのように進めてよいかがわからない場合は、専門家に相談してみるのもよい方法です。
M&Aの専門家へ相談する
どのような業界でもM&Aを成功させるためには戦略が不可欠であり、自社の目的に合った相手先企業を探さなければなりません。
しかし、M&A戦略を立てるためにはさまざまな知識や経験が必要であり、相手先企業を探すためには幅広いネットワークがなければ難しいものです。
譲渡側が効率的にM&Aを進め、かつ成功率を高めるためにも、売却を検討した段階でM&Aの専門家に相談しておくとよいでしょう。早期段階で相談しておけば戦略策定や相手先探しを専門家と一緒に進めることができ、専門的なアドバイスを受けることができます。
リース・レンタル業界のM&Aで注意したいポイント
M&Aを実行するにあたり、成功のポイントをおさえることは大事ですが、それ以外に注意しなければならないポイントもおさえる必要があります。ここで紹介するM&Aで注意したいポイントも踏まえてM&Aを進めましょう。
目的に合った手法を選択すること
「目的がはっきりしていれば適切な相手企業を探しやすい」メリットがありますが、これは相手企業を探しやすくするだけではありません。M&Aの目的を明確にすれば、具体的なM&A戦略を策定でき、最適な手法の選択が行いやすくなり、M&Aの方向性もしっかりと定まります。
目的がはっきりしていなければ「M&Aをしたが期待した効果が現れなかった」などの事態になりかねません。メリットが多いM&Aの実現につなげるためにも、M&Aの目的は明確にしましょう。
対象企業は丁寧に選ぶこと
M&Aによって売却または買収を行う以上、信頼できる相手と取引をしなくてはなりません。最初の段階はもちろん、基本合意後のデューデリジェンスにおいても企業の事業内容や方針などをチェックし、自社に合うかどうかを慎重に検討する必要があります。
ふさわしい対象企業が見つかったら他の企業に先を越されるリスクをなくすためにも、早めにアプローチを行いましょう。
専門家のサポートをしっかりと受けること
M&Aでは法務、税務、財務といった専門知識のほか、対象企業との交渉力も求められます。特に金融業界では各法律に注意しなければならず、自社だけでM&Aを進めることは難しいです。また、近年増加傾向にある海外企業とのM&Aでは、現地の法律や習慣なども把握しなければなりません。
そのため、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなど専門家のサポートを受けることが大切です。専門家のサポートを受ければ、適切な手法や相手企業の選定、交渉において力となり、トラブルが起こらないよう細心の注意を払いながらM&Aが進みます。
M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、さまざまな業界・業種のM&A経験と豊富な知識を持つM&Aアドバイザーが、丁寧に案件をフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
リース・レンタル業界のM&A相場
リース・レンタル業界では、国内のM&Aに加え、海外企業とのM&Aも活発化しています。M&Aの多様化に伴い、相場や費用を一概に把握するのは難しいですが、相場や費用の目安を知らなければ、想定外の費用が発生してしまうこともあるでしょう。ここでは、リース・レンタル業界のM&A相場について説明します。
大まかなリース・レンタル業界のM&A相場
M&A価額は交渉で最終的に決定するため、同業種・同程度の事業規模であってもM&A価額にはばらつきが生じます。つまり、M&Aに明確な相場はないということですが、当事者にとってどの程度の価額となるのかを把握したいと考えるのは当然です。
あくまでも大まかな目安ですが、リース・レンタル業界のM&Aでは「時価純資産+営業利益の2〜5年分」を相場と考えることができます。式中で乗じる年数は任意で決定することができますが、実務上では2年~5年の間とするケースが多いです。
企業価値の求め方
M&Aは相手先企業との交渉によって価額が決まります。そのため、相手先からの評価が高ければ、高額でM&Aが成立するケースも少なくありません。
といっても、互いの希望価額を基準に交渉を進めるわけではなく、譲渡側企業の企業価値を交渉ベースとするのが一般的です。企業価値とは言葉どおり「対象企業の値段」という意味ですが、単純に売上高や資産総額、負債などだけで決まるわけではありません。
企業価値には対象企業の保有する人材・ノウハウ・ブランド力・技術力など目に見えない要素も含まれるため、これらが高く評価されれば企業価値が向上することが多いです。企業価値の算出方法には以下の3種類はあり、それぞれ着目する要素が異なります。
コストアプローチ
コストアプローチは、対象企業の貸借対照表に計上されている純資産額(総資産額から総負債額を差し引いた額)を基に算出する方法です。
主な方法には、簿価をそのまま使用して計算する簿価純資産法、純資産額を時価換算した額を使用する時価純資産法があります。
コストアプローチは貸借対照表の数字を使用して企業価値を算出するため、計算しやすく客観性も高い点がメリットですが、価格変動や対象企業の特性や将来の収益力が加味されない点がデメリットです。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、対象企業と事業規模・事業内容・ビジネスモデルなどが似た上場企業を選び、その市場株価やM&A取引事例を基に相対的に企業価値を算出する方法です。
主な方法には、類似会社比較法(マルチプル法)・類似取引比較法・市場株価法などがあります。マーケットアプローチは市場株価を基に算出するため客観性が高く、市場動向や景気動向が反映される点がメリットです。
しかし、評価対象が中小企業の場合は類似企業の選定が難しく、市場動向によって評価が変わる可能性がある点がデメリットであり、評価対象企業と類似する上場企業がみつからない場合、マーケットアプローチは使用できません。
インカムアプローチ
インカムアプローチでは、対象企業(事業)の将来見込まれる利益を、想定されるリスクなどを考慮した割引率で割り引き、企業価値を算出します。
主な方法には、配当還元法・収益還元法・DCF法があり、将来の予測キャッシュフローを基に算出するDCF法はインカムアプローチの代表的な方法です。
インカムアプローチは、企業独自の性質や将来に期待される収益力も加味できるメリットがありますが、対象企業が策定した事業計画などを基に将来の収益を計算するため恣意性が入りやすいというデメリットもあります。
設備投資や事業投資を行うケースではインカムアプローチが適したケースも多いですが、企業価値算定から数年以内廃業や倒産する可能性がある場合は使用できません。
リース・レンタル業界のM&Aの流れ
M&Aは完了までに多くの行程があります。必要な手続きは使用するM&A手法によって異なる部分もありますが、全体的な流れはほとんど変わりません。ここでは、リース・レンタル業界のM&Aを行う流れを譲渡側の視点から説明します。
M&A仲介会社などの専門家へ相談
M&A実施を検討し始めたら、できるだけ早い段階でM&A仲介会社などの専門家へ相談しておくと、効率的に進めていくことができます。
M&A仲介会社はそれぞれ得意な業種や規模などがあるので、支援実績や担当アドバイザーとの相性なども確認して、自社に合ったところを選ぶことがポイントです。
そして、支援業務を依頼する専門家が決まったらアドバイザリー契約を結び、M&Aの戦略策定や交渉を行う相手先企業探しなど、具体的な準備を進めていきます。
相手先企業の選定
M&AアドバイザーにM&Aの希望条件を伝えておき、交渉先候補の一覧(リスト)を作成してもらいます。最初は数社から数十社程度の候補先企業がリストアップされることが多いです。このリストを「ロングリスト」といい、譲渡側はシナジーや事業内容などから交渉したい相手先を絞り込みます。
ロングリストから絞り込んだリストを「ショートリスト」といい、交渉相手はショートリストから決定するのが一般的です。そして交渉を行いたい相手先が決まったら、M&A仲介会社を通じて交渉について打診を行います。
この段階では、社名・詳細な所在地・詳しい事業内容など自社が特定されるような情報は伏せた資料を使用します。これを「ノンネームシート」といい、情報漏洩の防止が主な目的です。
交渉を打診し、相手先もM&A交渉に進む意向であれば、秘密保持契約を締結してから自社の社名・事業内容など詳細情報を開示します。
秘密保持契約とは
秘密保持契約とは、知り得た情報を目的以外で使用あるいは第三者へ漏洩しない旨を書面にして約束することです。M&Aにおいては、財務情報やノウハウ・技術に関する情報など、多くの秘密情報を相手先へ開示します。
これらが第三者へ漏洩すれば企業価値を大きく損なう恐れがあるため、開示前に必ず秘密保持契約を締結することが重要です。
秘密保持契約はリスク回避のために不可欠なものであり、万一情報の漏洩があった場合に賠償請求を行うことができます。
トップ面談
トップ面談とは、M&Aを行う当事会社の経営者同士によって行われ、企業概要書では伝わりにくい経営理念や企業風土、互いの人柄などを確認する場です。
また、企業概要書でわからない部分を確認するだけでなく、互いを理解して信頼関係を構築することもトップ面談の重要な目的となっています。そのため、具体的な交渉はトップ面談では行わないのが一般的です。
基本合意書の締結
トップ面談が終わり、互いがM&A成立を目指す意向であれば交渉を続け、M&A条件・価額・スケジュールなどの内容に大筋で合意した段階で基本合意書を締結します。
基本合意書にはM&A条件・価額・スケジュールなどを記載しますが、秘密保持やデューデリジェンスなどの一部条項を除き、法的拘束力はありません。
基本合意書はその時点までの内容を書面にして互いに確認する意味合いが大きく、この段階ではM&A成立が確約しているわけではないことを理解しておきましょう。
譲受側によるデューデリジェンスの実施
デューデリジェンスは、譲受側がM&Aのリスクの有無や程度を把握し、価額の妥当性やM&A実行の可否を判断するために行う調査です。
財務・法務・人事・ITなどの分野を譲受側から派遣された専門家(会計士・弁護士など)が調査を行い、事前開示された情報と実態が合っているか、買収によるリスクはどのくらいあるのかなどを洗い出します。
譲受側が行う調査なので譲渡側に費用負担や準備は基本的にありませんが、協力を求められたときは誠実に対応するよう心掛けることが重要です。
なお、デューデリジェンスの結果は最終交渉に反映されますが、結果によっては価額や条件が変更されたり、リスクや問題点の大きさによってはM&A交渉自体が白紙になる場合もあります。
最終交渉・最終契約の締結
デューデリジェンスが完了し譲受側がM&Aを実行すると判断したら、最終契約に向けた交渉へと進みます。最終交渉にはデューデリジェンスの内容が反映されるため、結果によっては基本合意締結時から価額の引き下げや条件変更があることを理解して臨みましょう。
そして、交渉した価額・条件などすべての内容に、譲渡側・譲受側が合意したら最終契約を交わしてM&Aは成立となります。なお、最終契約書は記載したすべての条項・内容に法的な拘束力があるため、以降は破棄や変更が原則として認められません。
そのため、最終契約書を締結する前は内容をしっかり確認し、疑問点があれば解消しておくことが重要です。
クロージング実行
クロージングとは、譲渡対象の経営権を譲受側へ移転させ、対価の支払い手続きを行うことをいいます。必要な手続きはM&A手法によって異なりますが、株式譲渡であれば株式の移転(経営権の移転)と対価の支払い、株主名簿の書き換えなどが必要です。
クロージングはM&Aが成立すれば必ず行えるというわけではなく、最終契約で取り決めたクロージング条件を満たしていることが前提となります。
そのため、最終契約締結から一定期間を空けて行うケースがほとんどですが、万一クロージング条件を満たせない場合は実行日が延期されたり、内容によってはこの時点でM&Aが白紙撤回される可能性もあるため注意が必要です。
PMI(経営統合作業)の実施
M&A後は譲渡側・譲受側との新体制で事業を行っていきますが、円滑に事業を展開して最大限M&Aの効果を発揮させるためには双方の経営・業務・意識を統合する必要があります。
この統合作業をPMI(経営統合作業)といい、M&Aの成功はPMIがうまくいくかどうかによって決まるといわれるほど重要なプロセスです。
PMI(経営統合作業)は短期間で行えるものではなく、ある程度長期で臨む必要があります。また、譲渡側・譲受側が協力しなければ成功するのが難しくなるため、交渉段階からどのように進めていくかをしっかり話し合っておくことも重要です。
リース・レンタル業界のM&A事例15選
この章では、リース・レンタル業界において実際に行われたM&A事例を紹介します。
①エヌリンクスによるCoCoXiaの完全子会社化
2023年12月、メディア運営・営業代行を行うエヌリンクスは、福祉用品のレンタル販売業を手掛けるCoCoXiaを完全子会社化すると発表しました。
子会社となるCoCoXiaは福祉用具のレンタル・販売事業や住宅改修事業を手掛ける企業です。エヌリンクスはメディア運営・営業代行のほかにも、ゲーム市場では「アルテマ」不動産市場では「イエプラ」など、今後成長率の伸びに期待できる事業を複数行っています。
エヌリンクスは、今後も需要拡大が見込まれるシニアケア分野はDXの導入などで大幅な業務改善が見込めるとしたうえで、同社の「リアル×ウェブ」構想とのマッチ率が高いと判断し、今回の子会社化に至りました。
エヌリンクスはCoCoXiaをグループに加えることでシニアケア分野への新規参入を実現しており、今後は自社のweb技術を活用したシニアケア事業を展開していくとしています。
参考:株式会社エヌリンクス「CoCoXia株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
②三菱HCキャピタルによるCAIの完全子会社化
2022年3月に、三菱HCキャピタルは、株式譲渡の手法により米CAIを完全子会社にすることを決めました。
CAIは、米国を拠点に海上コンテナリース事業をグローバルに手掛け、三菱HCキャピタルは、総合リース・レンタル事業、資産・機器の有効活用事業、環境・エネルギーソリューション事業などを行っています。
これにより、三菱HCキャピタルは、海上コンテナリース子会社と融合した海上コンテナリース事業の競争力を高め、中長期的な成長ドライバーとして同事業を強化する見込みです。
参考:米国の大手海上コンテナリース企業 CAI 社の買収完了に関するお知らせ
③芙蓉総合リースによるWorkVisionの完全子会社化
2021年10月、芙蓉総合リースは、株式譲渡の手法によりWorkVisionを完全子会社にしました。
WorkVisionは、SaaS型のシステムソフトウェアシリーズの開発や販売・運用やクラウド基盤構築サービスなどを行い、芙蓉総合リースは、総合リース・割賦販売、金銭貸付その他金融業務などを行っています。
これにより、芙蓉総合リースは、新しく展開しているBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とPCライフサイクルマネジメント事業を、ICTソリューションと融合して強める見込みです。
参考:株式会社 WorkVision の株式取得(連結子会社化) に関するお知らせ
④十八総合リースによる東京センチュリーとの資本業務提携
2021年9月、十八総合リースは、東京センチュリーと資本業務提携することを決めています。
十八総合リースは、主に長崎県で十八親和銀行の取引先にリース・割賦販売などを行い、東京センチュリーは、総合リース事業やレンタル事業、海外進出支援事業、IT・IoTソリューション事業などといった事業を手掛ける会社です。
これにより、十八総合リースは、親会社であるふくおかフィナンシャルグループの顧客基盤と東京センチュリーが持つサービスノウハウを合わせて事業の拡大を見込み、東京センチュリーは、関連業務の協業を狙います。
参考:株式会社ふくおかフィナンシャルグループ「株式会社ふくおかフィナンシャルグループと東京センチュリー株式会社の リース事業に関する資本業務提携に向けた基本合意締結のお知らせ」
⑤日本包装リースによるJA三井リースへの譲渡
2021年6月、日本包装リースは、JA三井リースの子会社となりました。
日本包装リースは、包装機械や関連機器のリース、割賦販売を手掛け、JA三井リースは、総合リース・割賦販売事業、農林水産事業者向けリース事業・資金サポート事業、再生可能エネルギー事業参入支援などさまざまな事業を行っています。
これにより、日本包装リースは、シナジー発揮により包装機械・食品機械分野での専門性向上を見込み、JA三井リースは、地域における農林水産業の成長に関するビジネスの加速、既存の営業基盤を活性化させることを狙います。
参考:株式会社日本包装リースと資本業務提携
⑥日通商事によるリース事業の分社化・東京センチュリーとの協業
2021年3月、日通商事は、リース事業を分社化して東京センチュリーと協業しました。
日通商事は、物流関連商品や石油・LPガスの販売事業・リース事業、保険代理店事業、車両建設機械整備事業、コンテナ製作事業、不動産賃貸事業などを手掛け、東京センチュリーは、総合リース・レンタル、IT・IoTソリューションなどの事業を行う会社です。
これにより、日通商事は、両社の顧客基盤やノウハウ、拠点ネットワークを生かしてリース事業の成長・発展を見込み、東京センチュリーは資本効率と企業価値の向上を狙います。
参考:日本通運株式会社「日通商事株式会社のリース事業の分社化に伴う協業に関するお知らせ」
⑦ヤマトリースによる芙蓉総合リースへの譲渡
2020年4月、ヤマトリースは、芙蓉総合リースの子会社となりました。
ヤマトリースは、運送事業者へのトラックリースや中古トラックマッチングアプリによってトラック流通サポートサービスなどを行います。一方、芙蓉総合リースは、総合リース・割賦販売、金銭貸付その他金融業務などを行っています。
これにより、ヤマトリースは、ヤマトグループの事業基盤と芙蓉総合リースのノウハウを合わせ、ソリューションの高度化とサービスラインナップの拡充を狙います。
参考:芙蓉総合リース株式会社「ヤマトリース株式会社を対象とする株式譲渡契約の締結について」
⑧三菱UFJ信託銀行が三菱商事アセットマネジメントを買収
2020年4月、三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社である三菱UFJ信託銀行は、不動産などに特化した運用商品を提供する三菱商事アセットマネジメントを買収しました。
三菱UFJフィナンシャル・グループでは、三菱UFJ信託銀行を中心に資産運用事業の強化に取り組んでおり、この買収もその一環です。
三菱アセットマネジメントが運用する不動産やヘッジファンドは「オルタナティブ領域」といわれ、この分野が成長することを見越して商品の提供力強化を図ります。
参考:三菱UFJ信託銀行株式会社「三菱商事アセットマネジメント株式会社の株式取得について」
⑨東京海上ホールディングスがGCubeを買収
2020年3月、保険事業を手掛ける東京海上ホールディングスは、GCubeを買収しました。GCubeはアメリカやヨーロッパを中心に再生可能エネルギーの保険に特化した保険代理店で、リスクの評価やサービス力に強みを持っています。
東京海上ホールディングスはこの買収により、再生可能エネルギー分野を支援しつつ、収益力の拡大を図ります。
参考:東京海上ホールディングス株式会社「HCC Insurance Holdings, Inc.社による保険総代理店GCube社の買収合意について」
⑩ナルネットコミュニケーションズによるジャフコとの戦略的パートナーシップ締結
2019年9月、ルネットコミュニケーションズは、ジャフコと戦略的パートナーシップを結びました。
ナルネットコミュニケーションズは、自動車専門リース事業を手掛け、ジャフコは、プライベート・エクイティ分野に重点を置いた投資活動を行う会社です。
これにより、ナルネットコミュニケーションズは、創業者の引退に伴う事業承継とジャフコが持つノウハウ・ネットワークの活用による成長の加速を狙います。
参考:株式会社ジャフコ「株式会社ナルネットコミュニケーションズとの戦略的パートナーシップに関するお知らせ」
⑪神鋼リースによる昭和リースへの譲渡
2019年7月、神鋼リースは、株式譲渡の手法により昭和リースの子会社になりました。
神鋼リースは、主に建設機械における動産のリース・賃貸・売買・割賦販売などを行い、昭和リースは、新生銀行グループのメンバーとして総合力を生かした金融ソリューションを手掛けています。
これにより、建設機械分野における一気通貫サービスをより拡大し、さまざまな金融ソリューションを展開する見込みです。
参考:「神鋼リース株式会社の株式取得に関する合意について ~建設機械ビジネスのさらなる強化~」
⑫全国保証によるYUTORI債権回収の子会社化
2018年12月、信用保証事業を手掛ける全国保証は、債権回収業を行うYUTORI債権回収の子会社化を発表しました。取得価額は非公表で、同年12月中にYUTORI債権回収の子会社化が完了しています。
全国保証は、住宅ローンを中心にした信用保証事業を国内で展開している会社です。YUTORI債権回収は、債権管理回収業に関する特別措置法に基づいた債権回収業を行っています。
YUTORI債権回収を全国保証が子会社化したことで、全国保証が持つ求償債権の回収業務や取引先における債権管理業務の受託といったシナジー効果を期待します。なお、2019年3月にYUTORI債権回収は「あけぼの債権回収」に社名変更をしました。
参考:参考:全国保証株式会社「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
⑬オリックスがNTI Connectを買収
2018年12月、オリックスは米国現地法人ORIX Corporation USA傘下のプライベート・エクイティ(PE)運用会社となるORIX Capital Partners, LLC(以下、ORIX Capital)が、アメリカで通信インフラ設備の設置や保守サービスを行うNTI Connect, LLC(以下、NTI Connect)を買収したことを発表しました。
オリックスはメンテナンスリースや法人金融、事業投資といったさまざまな事業展開を進めており、海外事業も積極的に進めています。これまでも交通インフラ安全サービス会社などを買収し、アメリカでの公共インフラ関連サービスの需要を取り込んでいました。
今回のNTI Connectの買収も、こうした動きの一環です。NTI Connectは、通信関連事業者向けに通信インフラ設備の設置、保守・メンテナンス、修繕工事などのサービスを提供し、アメリカ東部を中心に事業展開を行っています。
NTI Connectの主要顧客にはGoogleやAT&Tといった大手も含まれます。オリックスは2018年6月にORIX CapitalをつうじたPE投資として、公共インフラの設置・保守サービス会社であるPeak Utility Services Group(以下、Peak)を買収しました。
PeakとNTI Connectは通信インフラ事業での顧客基盤が近いため、シナジー効果も見込んで今回の買収が行われました。近年のアメリカではインターネット通信の高速化やクラウド化などを背景に、通信インフラの新規設備投資が活発化しています。
こういった動向も踏まえ、オリックスは、今後もアメリカにおける公共インフラ関連サービスの需要を取り込む予定です。
参考:オリックス株式会社「米国の通信インフラの設置・保守サービス会社 NTI Connect を買収」
⑭東京センチュリーによるアマダリースの子会社化
伊藤忠商事などを母体とする東京センチュリーは2018年11月、金属加工機械総合メーカーであるアマダホールディングスの100%子会社であるアマダリースの連結子会社化を発表しました。
アマダリースの発行済株式総数の60%を東京センチュリーが取得する形で子会社化が行われ、株式譲渡実行日は2019年3月末です。
東京センチュリーは伊藤忠商事などを主要株主とし、賃貸事業や割賦販売事業などを展開しており、東京センチュリーとアマダホールディングスは、海外でのベンダーファイナンス事業において10年以上協業しています。
アマダホールディングスにおける国内販売金融会社の役割を担うアマダリースが、東京センチュリーの子会社となり、東京センチュリーとアマダホールディングスの合弁事業として、アマダリースのファイナンス機能の強化、事業基盤の拡大などを図ります。
参考:東京センチュリー株式会社「株式会社アマダリースの株式取得について」
⑮グランド山形リースによるフィデアHDへの譲渡
2018年10月、グランド山形リースは、株式譲渡の手法によりフィデアホールディングスの完全子会社となりました。
グランド山形リースは、総合リース業を行い、フィデアホールディングスは、荘内銀行・都銀行の金融持株会社として経営管理などを手掛けています。
これにより、フィデアホールディングスは、提供ソリューションのラインナップが拡がるのでコンサルティングの営業体制を強め、グループ全体の収益力を強化する見込みです。
参考:フィデアホールディングス株式会社「グランド山形リース株式会社の株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ」
リース・レンタ業界のM&Aまとめ
近年のリース・レンタル業界では、業界の主要企業が積極的にM&Aを活用するケースが目立ちます。これらの事例ではM&Aによって事業の強化・拡大を図り、サービス体制・機能の強化、事業エリアの拡大などを実現しています。
また、海外企業とのM&Aも活発化しており、 国内における需要の動向に伴って、海外における需要取り込みのためのM&Aは今後も増加するでしょう。リース・レンタル業界ではM&A事例が多様化しています。M&Aの際は多様な事例に注目しつつ、自社に似た事例は徹底的に分析し、検討を進めることが大切です。
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