赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
2020年11月12日公開会社・事業を売る
ノンネームとは?役割、作り方を解説
ノンネームとは、譲渡対象の企業名を伏せたまま概要を要約したものです。ノンネームは、売却を検討している企業を特定させないため、業種や企業規模、譲渡理由などのポイントに絞って記載します。本記事では、ノンネームの役割や作り方を解説します。
ノンネームとは?
M&Aが成約するまでには、譲渡側・譲受側の意思確認や交渉内容の取り決めなどを目的として、さまざまな書面や契約書を取り交わします。
M&Aの初期段階で作成・提出する書面のなかに、ノンネームと呼ばれるものがあります。その名の通り、匿名性を持つ書面ですが、企業概要を要約したものでM&Aの進行を手助けする重要な役割を持っています。
ノンネームについて
ノンネームとは、M&Aの譲渡対象の企業名を匿名状態にしたまま簡単な企業概要を記載したものです。
企業名を特定されることを防止するため内容を簡潔に1ページに収めることが多く、「一枚もの」と呼ばれることもあります。
ノンネームはM&A仲介会社を介して、譲渡企業より譲受企業に対して提出します。詳細な内容を記載すると譲受企業から特定されるリスクがあるため、簡潔にまとめつつ自社の特徴を分かりやすく伝えることがポイントになります。
社名特定によるデメリットは、情報漏洩リスクが高まることです。M&Aによる売却を検討していることが外部に漏れてしまうと、従業員や取引先に要らぬ憶測を呼んでしまう恐れもあります。
ノンネームを通して譲受企業が興味を示したら、秘密保持契約を締結したうえでネームクリアします。秘密保持契約とは、取引で開示する秘密情報の目的外使用を制約するために締結する契約書です。
ネームクリアとは
ネームクリアとは、ノンネームで伏せていた企業名を譲受企業に対して開示することです。M&A交渉を進めるためには詳細な企業情報が必要になるため、秘密保持契約により安全性が担保された段階でネームクリアします。
ネームクリアは、譲受企業がM&A買収に対して前向きな姿勢であることを意味していますが、M&Aの成約が確定したものではありません。ネームクリアで公開される企業概要や以降の交渉次第では、M&Aが破断になることもあります。
IM(企業概要書)との違い
IM(企業概要書)とは、譲渡企業の詳細な概要を記載したものです。ノンネームで興味を持った譲受企業がさらに検討を進めるために、譲渡企業側はIM(企業概要書)で詳細な情報を提供します。
IM(企業概要書)には、社名や売上高などの会社概要から、会社資産や譲渡理由まで幅広く記載します。譲渡企業の強み・魅力をアピールする役割があるため、通常は開示しないような情報も記載されることが多いです。
独自に保有する技術・ノウハウなども載せるため、秘密保持契約で秘密情報の扱いについて取り決めておくことが大切です。
数十ページにも及ぶ書類となるので、1ページ分のノンネームと比較すると、作成に労力や時間がかかります。事前に会社資料がまとまっている場合は1~2週間で作成できることもありますが、通常は1ヵ月前後かかることが多いです。
ノンネームの役割とは
ノンネームの役割は、秘匿性を持ったまま譲受企業にM&Aを打診することです。M&Aの売却先を探すためには、なるべく多くの譲受企業とコンタクトを取る必要がありますが、打診段階で社名を公開すると情報漏洩のリスクが高くなってしまいます。
そのため、M&A仲介会社などのM&Aの専門家を介して、ノンネームで情報公開範囲を限定しながら複数の譲受企業に買収検討を行ってもらいます。
ノンネームによる買収検討で反応を示す譲受企業が現れたら、秘密保持契約を締結した後、IM(企業概要書)を提供します。ノンネームで伏せていた社名や詳細な概要を記載している書類なので、本格的な交渉を開始することができます。
ノンネームの作り方・手順
ノンネームは、匿名状態で譲受企業にM&Aを打診するための書面です。譲渡企業と譲受企業が直接やり取りするわけにはいかないので、まずM&A仲介会社の仲介サポートを依頼することから始めます。
M&A仲介会社とM&A仲介のアドバイザリー契約を締結したら、M&Aの方針を決定します。M&Aの目的や条件、譲渡希望価格などの情報を共有してM&A戦略を策定します。
M&Aの大まかな方向性が定まったら、M&A相手を探すために譲受企業に提出するノンネームを作成します。
ノンネームの内容は簡単な概要ですが、譲受企業の第一印象を決める大切な書面でもあるので、自社の魅力が伝わるよう丁寧に作成する必要があります。
ノンネームが出来上がったら、譲受企業に提出して買収検討してもらいます。ノンネームによる打診は1社1社進めることも可能ですが、複数社に同時打診することが一般的とされています。
【ノンネームの作り方・手順】
- M&A仲介会社へ相談
- M&A仲介会社とアドバイザリー契約の締結
- M&A戦略の策定
- ノンネームの作成
- ノンネームの提出&M&A相手の選定
ノンネームはどのタイミングで活用される?
ノンネームの活用タイミングは、本格的なM&A交渉に入る直前です。匿名状態で譲受企業を探すために活用するので、M&A仲介会社に委託した直後に作成に取り掛かる必要があります。
ノンネームの記載内容は概要のみなので短時間で作成できますが、直後に必要になるIM(企業概要書)は詳細な情報を記載する必要があるため、1ヵ月前後の作成期間を要することが多いです。
ノンネームで買収検討した譲受企業より反応が得られた場合は、IM(企業概要書)を提供することになります。
即座に提供できる状態が望ましいので、ノンネームと一緒にIM(企業概要書)も準備しておけると交渉を円滑に進めやすくなります。
ノンネームを作成する際に注意すること
ノンネームは匿名状態で譲受企業を探せるメリットがありますが、複数の企業に対して情報提供することになるため、業種や企業規模などから社名を特定されるリスクがあります。
特に地方の場合、業種によっては事業者数が限定されることも多く、限られた情報だけでも特定されやすい傾向にあります。
特定されるのも防ぐためには、都道府県を明記するのではなく、地方(近畿地方、東北地方等)で記載するなど、あえて内容をぼかす方法が有効です。
ただし、内容が曖昧すぎるとM&A相手から関心を持たれにくくなるという問題もあります。M&Aが長期化すると売却するタイミングを失ってしまう可能性もあるので、なるべく早い段階で交渉プロセスに移行するのが望ましいです。
ノンネームでは、特定されない範囲に情報を抑えつつ、自社の魅力・強みを伝える必要があります。記載内容に関しては、M&A仲介会社と相談しながら決定することをおすすめします。
M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
ノンネームは、譲渡企業と譲受企業の橋渡し役を務める大切な書面です。適正な内容に仕上げなければ交渉の場に進めることも難しくなるため、M&A仲介会社のサポートを受けることをおすすめします。
M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介を行っているM&A仲介会社です。中堅・中小規模の案件を得意としており、M&A仲介における豊富な実績を持っています。
M&Aの経験・知識が豊富なアドバイザーがサポートを担当します。ノンネームの作成を含め、ご相談からご成約までのサポート体制が整っているので、一貫性を持ってM&Aを進めることができます。
また、弊社には弁護士も在籍しています。ネームクリア直前の秘密保持契約の締結や各種契約書の締結など、法務が関わる場面でも安心して進めていただくことができます。
無料相談は24時間お受けしています。M&Aにお悩みの際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。M&A経験豊富なスタッフが親身になって対応させていただきます。
まとめ
ノンネームは、M&Aを進めるうえで欠かすことができない書面です。初期段階で必要になるので、早急に作成しなくてはなりませんが、内容が不完全だとM&A相手がみつかりにくくなる可能性もあります。
ノンネームの効果を最大限に発揮するためには、簡潔な内容ながらも相手に魅力が伝わる内容にする必要があります。作成の際は、専門家のサポートを受けつつ進めるとよいでしょう。
【ノンネームとは】
- ノンネームとはM&Aの譲渡対象の企業名を匿名状態にしたまま簡単な企業概要を記載したもの
- ノンネームの役割は秘匿性を持ったまま譲受企業にM&Aを打診すること
- M&A仲介会社へ相談
- M&A仲介会社とアドバイザリー契約の締結
- M&A戦略の策定
- ノンネームの作成
- ノンネームの提出&M&A相手の選定
- 特定されるリスクはゼロではない
- 情報を限定しすぎると興味を持たれにくくなる
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。